JP2003184760A - 圧縮機 - Google Patents

圧縮機

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JP2003184760A
JP2003184760A JP2001383995A JP2001383995A JP2003184760A JP 2003184760 A JP2003184760 A JP 2003184760A JP 2001383995 A JP2001383995 A JP 2001383995A JP 2001383995 A JP2001383995 A JP 2001383995A JP 2003184760 A JP2003184760 A JP 2003184760A
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lubricating oil
pump
oil
compressor
positive displacement
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JP2001383995A
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English (en)
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Hisayuki Kimata
央幸 木全
Hirosato Takasu
洋悟 高須
Susumu Matsuda
進 松田
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 容積型ポンプにより潤滑油を供給する潤滑油
ポンプを備えている圧縮機において、潤滑油ポンプの吸
油室への入口部でキャビテーションが発生するのを防止
して給油性能を向上させる。 【解決手段】 上下方向の駆動軸で連結された圧縮機構
及び電動機が密閉ハウジング内に配置され、前記駆動軸
の下端側に組み込まれた容積型ポンプによって前記密閉
ハウジング内の底部に貯留された潤滑油を循環させる密
閉型の圧縮機において、容積型ポンプの吸入口70から
シリンダ室52の吸油室内へ潤滑油を導入する入口部の
流路断面積が漸次減少するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧縮機構及び電動
機が上下に配置され、駆動軸の下端部に潤滑油ポンプが
組み込まれている密閉縦型の圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】スクロール圧縮機やロータリ圧縮機など
密閉縦型の圧縮機は、密閉ハウジングの内部に圧縮機構
と電動機とが上下に分けて配置されるとともに、電動機
の回転軸が圧縮機構に連結され、電動機により回転軸が
回転されることによって圧縮機構が駆動される構成をな
している。
【0003】一般にこれら密閉縦型の圧縮機では、回転
軸の下端部に組み込まれ、密閉ハウジング内の底部に貯
溜された潤滑油を吸い込んで回転軸の内部に形成された
給油孔を通して圧縮機構の摺動部に給油する潤滑油ポン
プを備えている。
【0004】従来、この密閉縦型圧縮機に装備される潤
滑油ポンプは、図6ないし図9に示される構成をなして
いる。なお、以下の説明では、ベーンロータ型と呼ばれ
ている容積型の潤滑油ポンプを示して説明する。図中の
符号1は密閉ハウジングである。2は密閉ハウジング1
の内底部に配置されたシリンダで、これは下面部が開放
されたシリンダ室3を有している。このシリンダ2はこ
れと一体に形成されたステー4によって密閉ハウジング
1に固定されている。シリンダ室3の下面開放部はシリ
ンダ2に取り付けられたスラストプレート5およびカバ
ープレート6により閉塞されている。
【0005】7は回転軸で、この回転軸7の下端部はシ
リンダ2に挿通され、シリンダ室3に位置する下端には
偏心軸8が形成されている。9はシリンダ室3の内部に
配置された円環状のポンプロータで、これは偏心軸8の
外周部に回転自在に嵌合され外周面がシリンダ室3の内
周面に接触してシリンダ室3を三日月形に制限するもの
である。
【0006】ポンプロータ9の外周部には直径方向に延
びるブレード形の突起10が一体に形成され、これはシ
リンダ室3の内周面に半径方向に沿って形成されたスロ
ット11に摺動自在に挿入されている(図7参照)。こ
の突起10は、シリンダ室3を吸油室3aと排油室3b
とに仕切るとともに、ポンプロータ9の自転を阻止して
いる。なお、ポンプロータ9の外周は、突起10を除く
部分が円形の断面形状をなしている。
【0007】カバープレート6には前記シリンダ室3の
吸油室3aの下側に位置して吸い込み孔12が形成さ
れ、これは密閉ハウジング1の内底部に連通している。
スラストプレート5には吸い込み孔12およびシリンダ
室3の吸油室3aに連通する吸い込み口13が形成され
ている。これらの吸い込み孔12,13は、シリンダ室
3の内周面に開口する吸入口19に連通している。
【0008】カバープレート6には、上述した吸い込み
孔12に加えて、吐出孔14が形成されている。また、
スラストプレート5には、吐出孔14およびシリンダ室
3の排油室3bに連通する吐出口15と、吐出孔14お
よび回転軸7の給油孔17に連通する連通孔16がそれ
ぞれ形成されている。
【0009】給油孔17は回転軸7の内部に下端から上
端にわたって軸方向に沿って形成されている。なお、図
中の符号18は回転軸7に設けられた油溝である。密閉
ハウジング1の内底部には潤滑油LOが溜められてい
る。この潤滑油ポンプにおいては、ポンプロータ9に突
起10が一体に形成されているので、ポンプロータの損
傷を防止できるとともに、部品点数が少ないという利点
がある。
【0010】このように構成された潤滑油ポンプは、電
動機により回転される回転軸7とともに回転されると、
偏心軸8が矢印R方向(図7参照)に偏心回転される。
ポンプロータ9は偏心回転する偏心軸8に押されて、外
周面がシリンダ2のシリンダ室3の内周面に上下方向の
一線で摺接しながら公転旋回運動する。ポンプロータ9
の回転に伴い、シリンダ室3における吸油室3aと排油
室3bとのそれぞれの容積が相対的に増減して変化して
ゆく。
【0011】吸油室3aの容積が増大していくのに伴
い、密閉ハウジング1の内底部に溜められている潤滑油
LOが、カバープレート6の吸い込み孔12およびスラ
ストプレート5の吸い込み口13を通ってシリンダ室3
の吸込口19から吸油室3aに順次吸い込まれる。ま
た、シリンダ室3の排油室3bの容積が減少していくの
に伴い、排油室3b内にある潤滑油LOが加圧されてス
ラストプレート5の吐出口15から吐出される。
【0012】吐出された潤滑油LOは、カバープレート
6の吐出孔14およびスラストプレート5の連通孔16
を経て回転軸7の下端から給油孔17に送り込まれ、こ
の給油孔17を通って回転軸7の上端から流れ出て圧縮
機構における各摺動部に供給されて必要な潤滑を行う。
なお、上述した潤滑油LOの流れは、図8に白抜矢印で
示されている。各摺動部で潤滑をした後の潤滑油LO
は、密閉ハウジング1の内部を流れ落ちて再びハウジン
グ1内の底部に溜まる。従って、潤滑油LOは、以後同
様の経路をたどって循環を繰り返す。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来構造では、図9に示すように、吸入口19がシリンダ
室3の中心方向から見て矩形状に開口している。この吸
入口19は、シリンダ2に形成されて吸い込み孔12,
13と連通し、潤滑油LOの吸い込み流路となる空間部
である。また、吸入口19は、吸い込み孔13からシリ
ンダ室3まで形成された対向する一対の側壁19aを備
えており、両側壁19aは実質的に平行な平面である。
従って、吸入口19がシリンダ室3に開口する両側壁1
9aの端部には、角部19bが形成されている。
【0014】このように構成された吸入口19を備えて
いる容積型の潤滑油ポンプでは、潤滑油LOが吸入口1
9から吸油室3aに入る入口部に形成されている角部1
9bにおいて、流路断面積が急激に変化して減少するた
め、キャビテーションが発生しやすいという問題があっ
た。すなわち、吸入口19から吸油室3aに潤滑油LO
を導入する流路は、吸油室3aへの入口部において吸入
口19の幅W1がロータ9の外周面とシリンダ室3の内
周面との幅W2まで急激に減少し、一方、吸入口19お
よび吸油室3aは高さが同じである。このため、幅W1
/W2の差分だけ流路の断面積が急激に狭くなるので、
圧力の低下を招いてキャビテーションが発生しやすい状
況となる。
【0015】上述したキャビテーションが発生すると、
潤滑油LO中に含まれる冷媒ガス等の圧縮ガスが気化し
て発泡し、潤滑油ポンプの給油性能に悪影響を与えるこ
ととなる。このようなキャビテーションによる発泡は、
潤滑油ポンプが高速で運転されている場合ほど発生しや
すく、また、潤滑油LOに含まれる冷媒ガス等の希釈量
が多い高希釈時ほど発生しやすい。
【0016】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたも
ので、容積型ポンプにより潤滑油を供給する潤滑油ポン
プを備えている圧縮機において、吸油室への入口部でキ
ャビテーションが発生するのを防止して給油性能を向上
させることができる潤滑油ポンプを備えた圧縮機の提供
を目的としている。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するため、以下の手段を採用した。請求項1に記載の
圧縮機は、上下方向の駆動軸で連結された圧縮機構及び
電動機が密閉ハウジング内に配置され、前記駆動軸の下
端側に組み込まれた容積型ポンプによって前記密閉ハウ
ジング内の底部に貯留された潤滑油を循環させる密閉縦
型の圧縮機において、前記容積型ポンプの吸入口から吸
油室内へ潤滑油を導入する入口部の流路断面積を漸次減
少させたことを特徴とするものである。
【0018】このような圧縮機によれば、吸入口から吸
油室内へ潤滑油を導入する入口部の流路断面積を漸次減
少させたことにより、流路断面積の急激な減少によるキ
ャビテーションが発生しにくくなる。
【0019】請求項1記載の圧縮機においては、前記容
積型ポンプをベーンロータ型とし、前記吸入口がロータ
摺動面に開口して上下方向に形成される角部の潤滑油流
れ方向側に面取り加工またはR加工を施したものが好ま
しい。(請求項2)
【0020】このような構成の圧縮機とすれば、ベーン
ロータ型の潤滑油ポンプにおいて、上下方向に形成され
る角部の潤滑油流れ方向側に面取り加工またはR加工を
施したので、潤滑油の流路断面積は漸次減少する。
【0021】請求項1記載の圧縮機においては、前記容
積型ポンプをベーンロータ型とし、前記吸入口がロータ
摺動面に開口して上下方向に形成される角部の潤滑油流
れ方向側を、上下の少なくとも一方を切り欠いたものが
好ましい。(請求項3)
【0022】このような構成の圧縮機とすれば、上下方
向に形成される角部の潤滑油流れ方向側が上下の少なく
とも一方を切り欠かれているので、潤滑油の流路断面積
は漸次減少する。なお、この場合の切り欠きは、平面的
に切り欠いてもよいし、あるいは曲面で切り欠いてもよ
い。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る圧縮機の一実
施形態を図面に基づいて説明する。図4は、密閉縦型の
圧縮機としてスクロール圧縮機の構成例を示している。
このスクロール型圧縮機CPは、有底筒形状の密閉ハウ
ジング20と、該密閉ハウジング20内部の上部にフレ
ーム21で支持されたスクロール型圧縮機構30と、該
スクロール型圧縮機構30の下方、すなわち密閉ハウジ
ング20内部の下部にフレーム21などで支持して配設
された駆動手段の電動機Mとを備え、該電動機Mの回転
軸22が駆動軸としてスクロール型圧縮機構30の下部
に連結されている。また、回転軸22の下端部には、密
閉ハウジング20の底部に貯留されている潤滑油を各摺
動部へ供給する潤滑油ポンプ50が設けられている。
【0024】密閉ハウジング20は、筒部20aの下端
及び上端が底部20b及び蓋部20cによってそれぞれ
閉塞状態とされ、筒部20aには吸入管23が内部と貫
通状態に接続されるとともに、蓋部20cには吐出管2
4が内部に突出状態に接続された閉空間を形成してい
る。スクロール型圧縮機構30は、フレーム21に固定
された固定スクロール31と、フレーム21と固定スク
ロール31との間にスラスト軸受を介して公転旋回運動
が可能に支持された旋回スクロール32と、該旋回スク
ロール32の外面に設けられ旋回スクロール32の公転
旋回運動を許容しながらその自転を阻止する周知のオル
ダムリンク等よりなる自転阻止機構33とを備えてい
る。
【0025】固定スクロール31の端板には、中央部を
上下に貫通して吐出通路34が形成されるとともに、そ
の上面には密閉ハウジング20内を高圧室HRと低圧室
LRとに分割する仕切部材として、ディスチャージカバ
ー25が配設されている。このディスチャージカバー2
5の中央部には吐出ポート26が開口しており、同吐出
ポート26を開閉する吐出弁27が設けられている。な
お、高圧室HRには、上述した吐出管24の開口端が貫
通状態に固定され、吐出管24と高圧室HRとが接続さ
れている。
【0026】また、フレーム21の外周部には、吸入管
23からハウジング2内に導入してこれから圧縮しよう
とする流体(以下、圧縮流体と呼ぶ)をスクロール型圧
縮機構30内に導く吸入口35が形成されている。固定
スクロール31と旋回スクロール32とは、互いに所定
の距離だけ偏心した状態で、互いの渦巻体側面が複数個
所で線接触するように180度の位相差をもって噛み合
わされている。なお、旋回スクロール32は、周知のオ
ルダムリンクを備えた自転阻止機構33によって、フレ
ーム21及び同フレーム21に固定された固定スクロー
ル31に対して、自転が阻止された状態で公転旋回運動
可能に配されている。
【0027】電動機Mの回転軸22は、フレーム21の
内周面に配された上部軸受及び電動機Mの下方に位置す
る下部軸受に軸支され、軸線から所定量偏心された偏心
ピン22aが上端に突出状態に設けられている。偏心ピ
ン22aは、旋回スクロール32の端板下面に連結され
ている。
【0028】偏心ピン22a及び回転軸22には、これ
らを上下に貫通する給油孔28が形成されるとともに、
回転軸22の下端には潤滑油ポンプ50が設けられてい
る。この潤滑油ポンプ50は、給油孔28の下端に接続
されている。また、密閉ハウジング20の底部20bに
は潤滑油LOが貯留されている。この潤滑油LOを給油
する潤滑油ポンプ50は、ステー29を介して密閉ハウ
ジング20に支持され、潤滑油LO内となる回転軸22
下端に配置されている。
【0029】この潤滑油ポンプ50は、図1ないし図3
に示す第1の実施形態のように、ベーンロータ型と呼ば
れている容積型のポンプである。なお、図中の符号51
はシリンダ、52はシリンダ室、53はスラストプレー
ト、54はカバープレート、55はポンプロータを示し
ている。
【0030】シリンダ51は、密閉ハウジング20の内
底部に配置され、下面部が開放されたシリンダ室52を
有している。このシリンダ51は、これと一体に形成さ
れたステー29(図4参照)によって密閉ハウジング2
0に固定支持されている。シリンダ室52の下面開放部
は、シリンダ51に取り付けられたスラストプレート5
3およびカバープレート54により閉塞されている。
【0031】電動機Mの回転軸22は、その下端部がシ
リンダ51に挿通され、シリンダ室52内に位置する下
端には偏心軸22aが形成されている。ポンプロータ5
5は、シリンダ室52の内部に配置された円環状の部材
である。このポンプロータ55は、偏心軸52aの外周
部に回転自在に嵌合され外周面がシリンダ室52の内周
面に接触し、シリンダ室52内に三日月形の空間を形成
する。
【0032】ポンプロータ55の外周部には、半径方向
に延びるブレード形の突起56が一体に形成され、これ
はシリンダ室52の内周面に半径方向に沿って形成され
たスロット57に摺動自在に挿入されている(図3参
照)。この突起56は、シリンダ室52内に形成される
三日月形の空間を吸油室52aと排油室52bとに仕切
り(図3(b)参照)、かつ、ポンプロータ55の自転
を阻止している。なお、ポンプロータ55の外周は、突
起56を除く部分が円形をなしている。
【0033】カバープレート54には、上述したシリン
ダ室52の吸油室52aの下側に位置して吸い込み孔5
8が形成されている。この吸い込み孔58は、潤滑油L
Oが貯留されている密閉ハウジング20の内底部に連通
している。また、スラストプレート53には、カバープ
レート54の吸い込み孔58およびシリンダ室52の吸
油室52aに連通する吸い込み口59が形成されてい
る。
【0034】カバープレート54には、上述した吸い込
み孔58に加えて、吐出孔60が形成されている。この
吐出孔60は、上下方向に設けた一対の縦流路60a,
60bと、これらの下端部どうしを連通常帯とする横流
路60cとを備えている。また、スラストプレート53
には、吐出孔60の縦流路60aおよびシリンダ室52
の排油室52bに連通する吐出口61と、吐出孔60の
縦流路60bおよび回転軸22の給油孔28に連通する
連通孔62がそれぞれ形成されている。
【0035】給油孔28は、回転軸22及び偏心軸22
aの内部に、軸下端から上端に連通するよう軸方向に貫
通して設けられている。なお、図中の符号63は、回転
軸22の外周を軸方向に切り欠いて設けられた油溝であ
る。
【0036】このように構成された潤滑油ポンプ50
は、電動機Mにより回転される回転軸22とともにポン
プロータ55が回転されると、偏心軸22aが矢印R方
向(図3参照)に偏心回転される。ポンプロータ55
は、偏心回転する偏心軸22aに押されて外周面がシリ
ンダ51に形成したシリンダ室52の内周面に接し、上
下方向の一線で摺接しながら公転旋回運動する。このよ
うなポンプロータ55の回転に伴い、シリンダ室52に
おける吸油室52aおよび排油室52bのそれぞれの容
積は、相対的に増減して変化してゆく。
【0037】なお、図3においては、(a)はポンプロ
ータ55が潤滑油LOの吐出を開始した状態、(b)は
ポンプロータ55が潤滑油LOの吸い込みおよび吐出を
している状態、(c)はポンプロータ55が潤滑油LO
の吸い込みおよび吐出をほぼ完了した状態、(d)はポ
ンプロータ55が潤滑油LOの吐出を完了した状態を示
しており、以後これを1サイクルとして、(a)〜
(d)の順に公転旋回運動を繰り返す。
【0038】さて、上述した構成の潤滑油ポンプ50
は、図1に示すように、シリンダ室52の内周面に吸入
口70が開口している。この吸入口70は、シリンダ室
52の中心方向を向いて矩形状に開口するとともに、他
端側がカバープレート54の吸い込み孔58およびスラ
ストプレート53の吸い込み孔59に連通して潤滑油L
Oの吸い込み流路となる空間部である。また、この吸入
口70は、吸い込み孔59からシリンダ室52まで形成
された対向する左右一対の側壁71,72を備えてお
り、両側壁71,72は実質的に平行な平面である。す
なわち、吸入口70はロータ55の旋回中心から放射状
に形成された矩形断面の潤滑油流路である。
【0039】シリンダ室52に開口する両側壁71,7
2のうち、図中に白抜矢印で示した潤滑油流れ方向側と
なる側壁71の端部、すなわち潤滑油LOが吸入口70
から吸油室52aに入る入口部のロータ旋回方向側には
面取部73を形成してある。この面取部73は、上下方
向に形成される側壁71の角部全体を面取り加工したも
のである。なお、図中の符号72aは、潤滑油流れ方向
とは逆側となる側壁72の端部に形成される角部であ
る。
【0040】このような構成とすれば、シリンダ室52
の吸油室52aに導入される潤滑油LOは、吸入口70
から面取部73の傾斜面に沿って漸次流路断面積が減少
する流路を通ることになる。このため、従来問題となっ
ていた入口部における急激な流路断面積の減少は大幅に
緩和されるので、導入する潤滑油LOの圧力低下も抑制
される。従って、潤滑油ポンプ50を高回転数で運転し
てもキャビテーションが発生しにくくなり、圧縮ガスが
高希釈状態となっている場合であっても、発泡が抑制さ
れて所望のポンプ性能を確保することができる。
【0041】換言すれば、入口部の流路断面積を漸次減
少させるようにして、潤滑油流れ方向側となる側壁71
の端部に形成される角部を面取り加工した面取部73を
設けたので、キャビテーションによる発泡を防止して潤
滑油ポンプ50の給油性能を向上させることができる。
【0042】また、上述した第1の実施形態では、図1
(b)に示すように、上下方向に形成される角部全体を
面取り加工により切り欠いて面取部73を設けていた
が、これに限定されることはなく、以下に説明する変形
例が可能である。図1(c)に示す変形例では、角部を
面取り加工して切り欠くことに変えて、上下方向に形成
される角部全体をR加工により切り欠いて曲面部74を
設けてある。このような曲面部74としても、上述した
面取部73と同様にキャビテーションによる発泡を防止
して潤滑油ポンプ50の給油性能を向上させることがで
きる。なお、図1(c)に示す変形例においては、図1
(b)と同様の部分には同じ符号が付されている。
【0043】続いて、図5に基づいて本発明に係る圧縮
機の第2の実施形態を説明する。なお、図5(a),
(b)は上述した第1の実施形態を示す図1に対応する
ものであり、従って、同様の部分には同じ符号を付して
その詳細な説明は省略する。この実施形態では、上下方
向に形成される角部全体を面取り加工またはR加工して
切り欠くのではなく、上下方向に形成される角部71a
のうち、上下の両端部側を部分的に切り欠いてある。図
示の例では、上下の両端部共に面取り加工して面取部7
3a,73bを設けてあるが、上部のみあるいは下部の
みのいずれか一方だけを面取り加工してもよい。また、
上部側の面取部73aと下部側の面取部73bとが上下
方向中央などで接続されたものでもよい。なお、上下の
面取部73a,73bについては、第1の実施形態で説
明したR加工による曲面であってもよい。
【0044】このような構成としても、シリンダ室52
の吸油室52aに導入される潤滑油LOは、吸入口70
から面取部73a,73bの傾斜面(または曲面)に沿
って漸次流路断面積が減少する流路を通ることになる。
このため、従来問題となっていた入口部における急激な
流路断面積の減少は大幅に緩和されるので、導入する潤
滑油LOの圧力低下も抑制される。従って、潤滑油ポン
プ50を高回転数で運転してもキャビテーションが発生
しにくくなり、圧縮ガスが高希釈状態となっている場合
であっても、発泡が抑制されて所望のポンプ性能を確保
することができる。
【0045】以上の説明では、圧縮機がスクロール型圧
縮機構を備えたスクロール圧縮機であったが、本発明は
これに限定されることはなく、ロータリ圧縮機など他の
密閉縦型の圧縮機に適用可能なことはいうまでもない。
また、潤滑油ポンプについても上述したベーンロータ型
に限定されることはなく、ベーンロータ型と類似の構造
をもつ容積型ポンプを使用する場合にも適用可能であ
る。このように、本発明の構成は上述した実施形態に限
定されるものではなく、たとえばスクロール型圧縮機構
の構成など、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において
適宜変更することができる。
【0046】
【発明の効果】上述した本発明の圧縮機によれば、容積
型ポンプの吸入口から吸油室内へ潤滑油を導入する入口
部の流路断面積を漸次減少させる構成としたので、導入
された潤滑油がキャビテーションを原因として発泡する
のを防止または抑制することができる。このため、潤滑
油ポンプの給油性能が向上し、高速回転時や高希釈時に
おいても必要な潤滑油量を確実に供給することができる
ようになり、圧縮機の摺動部で潤滑油不足を原因とする
焼き付き等の不具合が生じるのを防止して耐久性や信頼
性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る圧縮機の第1の実施形態を示す
図で、(a)はシリンダに開口する吸入口をシリンダ室
側から見た要部断面図、(b)は(a)のA−A断面
図、(c)は(b)の変形例を示す断面図である。
【図2】 本発明に係る圧縮機の潤滑油構造例を示す要
部断面図である。
【図3】 図2における潤滑油ポンプの動作を示す説明
図であり、(a)はポンプロータが潤滑油の吐出を開始
した状態、(b)はポンプロータが潤滑油の吸い込みお
よび吐出をしている状態、(c)はポンプロータが潤滑
油の吸い込みおよび吐出をほぼ完了した状態、(d)は
ポンプロータが潤滑油の吐出を完了した状態を示してい
る。
【図4】 本発明に係る圧縮機の構成例として、密閉縦
型のスクロール圧縮機を示す断面図である。
【図5】 本発明に係る圧縮機の第2の実施形態を示す
図で、(a)は要部断面図、(b)は(a)のB−B断
面図である。
【図6】 従来の密閉縦型圧縮機に装備される潤滑油ポ
ンプの周辺構造を示す断面図である。
【図7】 図6に示す従来の潤滑油ポンプとして、ベー
ンロータ型ポンプの構成を示す横断面図である。
【図8】 図7に示す従来の潤滑油ポンプの要部断面図
である。
【図9】 図6ないし図8に示す従来構造について、
(a)はベーンロータ型ポンプのシリンダに開口する吸
入口をシリンダ室側から見た要部断面図、(b)は
(a)のC−C断面図である。
【符号の説明】
22 回転軸 22a 偏心軸 28 給油孔 50 潤滑油ポンプ 51 シリンダ 52 シリンダ室 53 スラストプレート 54 カバープレート 55 ポンプロータ 58,59 吸い込み孔 60,61 吐出孔 62 連通孔 70 吸込口 71,72 側壁 73,73a,73b 面取部 74 曲面部 LR 低圧室
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松田 進 愛知県名古屋市中村区岩塚町字高道1番地 三菱重工業株式会社名古屋研究所内 Fターム(参考) 3H003 AA05 AB03 AC01 BD07 3H029 AA14 BB01 CC35 3H044 AA02 BB05 CC19 DD12

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上下方向の駆動軸で連結された圧縮機
    構及び電動機が密閉ハウジング内に配置され、前記駆動
    軸の下端側に組み込まれた容積型ポンプによって前記密
    閉ハウジング内の底部に貯留された潤滑油を循環させる
    密閉縦型の圧縮機において、 前記容積型ポンプの吸入口から吸油室内へ潤滑油を導入
    する入口部の流路断面積を漸次減少させたことを特徴と
    する圧縮機。
  2. 【請求項2】 前記容積型ポンプをベーンロータ型と
    し、前記吸入口がロータ摺動面に開口して上下方向に形
    成される角部の潤滑油流れ方向側に面取り加工またはR
    加工を施したことを特徴とする圧縮機。
  3. 【請求項3】 前記容積型ポンプをベーンロータ型と
    し、前記吸入口がロータ摺動面に開口して上下方向に形
    成される角部の潤滑油流れ方向側を、上下の少なくとも
    一方を切り欠いたことを特徴とする圧縮機。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007009783A (ja) * 2005-06-29 2007-01-18 Toyota Motor Corp 流体の通路
JP2007085204A (ja) * 2005-09-20 2007-04-05 Sanyo Electric Co Ltd 圧縮機
KR101065978B1 (ko) 2006-07-12 2011-09-19 한라공조주식회사 압축기
JP2016200095A (ja) * 2015-04-13 2016-12-01 株式会社デンソー 流体ポンプ

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