JP2003181507A - 冷間圧延作業ロールの表面粗度制御方法、冷間圧延作業ロール及び被圧延材 - Google Patents

冷間圧延作業ロールの表面粗度制御方法、冷間圧延作業ロール及び被圧延材

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JP2003181507A
JP2003181507A JP2001388923A JP2001388923A JP2003181507A JP 2003181507 A JP2003181507 A JP 2003181507A JP 2001388923 A JP2001388923 A JP 2001388923A JP 2001388923 A JP2001388923 A JP 2001388923A JP 2003181507 A JP2003181507 A JP 2003181507A
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rolling work
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Takahiro Takeda
貴宏 武田
Tamito Kawahigashi
民人 川東
Osamu Shimotamura
修 下タ村
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ロール表面に微粒子を吹き付けることにより、
高度な技能を要せず、最小費用効果で容易にロールの表
面粗度、粗度形状を形成することができる冷間圧延作業
ロールの制御方法及び冷間圧延作業ロール並びにこれを
用いて圧延した被圧延材を提供する。 【解決手段】円筒研磨仕上げ後の冷間圧延作業用の圧延
ロール1の表面に、粒径100μm以下の微粒子を50
m/秒以上の噴射速度で吹き付け、かつ微粒子吹き付け
前後における圧延ロール1の表面粗度の変化をほぼ2倍
以内とすることにより、円筒研磨仕上げによる圧延ロー
ル1の仕上面不良を改善する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷間圧延作業ロー
ルの表面粗度制御方法に係わり、特に円筒研磨仕上げに
よるロール表面の研磨不良を改善し、ロール表面の粗度
状態を向上させることができる冷間圧延作業用ロールの
表面粗度及び冷間圧延作業ロール、またこれを用いて圧
延した被圧延材に関する。
【0002】
【従来の技術】通常、被圧延材の表面の仕上がりには、
これを加工(圧延)する圧延ロールの表面の状態が大き
く影響するため、被圧延材の品質確保のためには、圧延
ロールの表面の粗度や粗度形状等の制御が極めて重要な
課題となる。従来、冷間圧延作業ロールの仕上げ加工に
おいては、仕上寸法の削り出し(寸法形成)と表面粗度
や粗度形状の形成とは、円筒研磨により併せて行われる
ことが多かった。
【0003】ところが、例えば、サーメット、セラミッ
ク等といったように、近年、ロール材質が高硬度化(難
削材化)してきており、こうした難削材を円筒研磨で仕
上げた場合、その仕上面には、例えばいわゆるスクラッ
チ、タタキ、送りマーク等といった研磨不良が生じるこ
とが多くなってきていた。また、こうしたロール材質の
高硬度化に伴い、SiC砥石、CBN砥石、ダイヤモン
ド砥石等といった様々な砥石が使用されるようになって
きており、ロール材質に応じた砥石の種類、研磨条件、
研磨機械等の適切な選定、或いは砥石に目詰まりや摩耗
が生じた際のドレッシング等には、作業者の経験や高度
な技能が要求され、円筒研磨においては、ロール表面の
粗度や粗度形状の再現性にも課題があった。また、被圧
延材の用途によって、円筒研磨による研削条痕そのもの
が悪影響となる場合には、ロール表面に例えばバフ研磨
を施すこともあるが、この場合も作業者の高度な技能が
要求され、必ずしも要求される粗度(例えば、Ra0.
05〜1.0μm)が得られない場合が多い。
【0004】そこで、近年では、ロール表面の粗度や粗
度形状の形成は、寸法形成と別工程で行うことが多くな
ってきている。ロール表面の加工方法としては、いわゆ
るダル加工(放電、レーザー、電子ビーム、ショット
等)や、例えば、特許第2696276号公報に記載の
ように、回転するロール外周面にロールよりも軟質材で
形成された当て物を押し当て、この当て物とロールとの
間に研磨剤を含んだスラリーを供給し、ロール表面を研
磨するいわゆる遊離砥粒による研磨方法等が提唱されて
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ダル加工を施したダルロールは、研削条痕こそ残らない
が、通常、表面粗度がRa1.0μmを超えてしまい、
一般的に表面粗度Ra1.0μm以下で使用されること
が多い冷間圧延作業ロールとしては、必ずしも好ましい
ものではない。また、特許第2696276号公報に記
載の従来技術のように、遊離砥粒による研磨方法におい
ては、粗度形成はある程度良好に行えるが、Rmax/R
aが20〜40と比較的大きくなってしまい、ロール表
面の粗度形状の観点からは、必ずしも望ましいものでは
なかった。このような粗度形状の圧延ロールで圧延した
被圧延材は、その用途によっては不良判定される場合が
ある。この場合、圧延ロールの再研磨が必要となり、労
力及びコストを大きくロスする結果、生産性を著しく低
下させる可能性もある。
【0006】ここで、圧延ロールを対象としたものでは
ないが、工具類、機械部品等の金属製品の表面加工熱処
理方法として、特公平2−17607号公報や特開平7
−188738号公報に記載のように、金属製品の表面
に微粒子を高速衝突させるものがある。この従来技術
は、微粒子を高速衝突させて金属製品表面付近の温度を
3変態点以上に上昇させることにより、従来、別工程
で行われていた表面付近の残留応力の均一化及び熱処理
を同時に行うものである。
【0007】しかしながら、この従来技術は、金属表面
付近の金属組織の改質を目的としたものであって、その
まま圧延ロールの表面粗度形成に適用した場合、加工前
後で大きく表面粗度が変化する可能性がある。通常の冷
間圧延ロールは、上記のように円筒研磨で粗度Raが
1.0μm以下の高度な平滑面を要するため、このよう
な微粒子高速衝突による表面加工は、ロール表面の粗度
や粗度形状への悪影響が懸念され、圧延ロールの表面粗
度形成には適用されていなかった。
【0008】本発明の目的は、ロール表面に微粒子を吹
き付けることにより、高度な技能を要せず、最小費用効
果で容易にロールの表面粗度、粗度形状を形成すること
ができる冷間圧延作業ロールの制御方法及び冷間圧延作
業ロール並びにこれを用いて圧延した被圧延材を提供す
ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】(1)上記目的を達成す
るために、本発明の冷間圧延作業ロールの表面粗度制御
方法は、円筒研磨仕上げ後の冷間圧延作業用のロール表
面に、粒径100μm以下の微粒子を50m/秒以上の
噴射速度で吹き付け、かつ前記微粒子吹き付け前後にお
ける前記ロールの表面粗度の変化をほぼ2倍以内とする
ことにより、前記円筒研磨仕上げによる仕上面不良を改
善する。
【0010】(2)上記(1)において、好ましくは、
前記ロールの軸方向にトラバースさせつつ、回転する前
記ロールの表面に対し前記微粒子を略直角に吹き付け
る。
【0011】(3)上記(1)において、前記ロールの
軸方向にトラバースさせつつ、回転する前記ロールの表
面に対する前記微粒子の吹き付け角度を適宜変更しても
良い。
【0012】(4)上記(2)又は(3)において、好
ましくは、前記微粒子を50〜100m/秒の噴射速度
で、前記ロール表面に吹き付ける。
【0013】(5)上記(2)〜(4)のいずれか1つ
において、また好ましくは、前記微粒子の吹き付け後、
回転する前記ロール表面に対し、砥粒を塗布したフィル
ムを押し当てつつ、前記ロールの軸方向にトラバースさ
せる。
【0014】(6)上記目的を達成するために、本発明
の冷間圧延作業ロールは、円筒研磨仕上げ後、表面に粒
径100μm以下の微粒子を50m/秒以上の噴射速度
で吹き付け、かつ前記微粒子吹き付け前後における前記
ロールの表面粗度の変化を2倍以内とすることにより、
前記円筒研磨仕上げによる仕上面不良を改善する。
【0015】(7)上記目的を達成するために、本発明
の被圧延材は、円筒研磨仕上げ後、表面に粒径100μ
m以下の微粒子を50m/秒以上の噴射速度で吹き付
け、かつ前記微粒子吹き付け前後における前記ロールの
表面粗度の変化を2倍以内とすることにより、前記円筒
研磨仕上げによる仕上面不良を改善した冷間圧延作業ロ
ールで圧延する。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の冷間圧延作業ロー
ルの表面粗度制御方法の実施の形態を説明する。図1
(a)は本発明の冷間圧延作業用ロールの表面粗度制御
方法の第1の実施形態に用いる研磨装置の概略構造を表
す概念図、図1(b)はこの図1(a)中Ib−Ib断面に
よる断面図である。これら図1(a)及び図1(b)に
示すように、この研磨装置は、両端が回転自在に支持さ
れた被研磨材としての冷間圧延作業用の圧延ロール1
(円筒研磨済み)を周方向に回転させる駆動装置2と、
圧延ロール1の表面に微粒子を高速衝突させるブラスト
機3とで概略構成されている。駆動装置2は、圧延ロー
ル1の軸部1aに対し、例えば摩擦力等を利用して回転
伝達するもの(この回転伝達機構に関しては、その他に
もプーリを用いたもの等様々考えられる)で、駆動速度
が自在に調整可能な構成となっている。また、ブラスト
機3は、微粒子を噴射するノズル3aを備えており、こ
のノズル3aは、圧延ロール1の胴部1bの長手方向
(図1中左右方向)全長に渡って、トラバース可能とな
っている。また、本実施の形態において、このノズル3
aは、図1(b)に示すように、圧延ロール胴部1bに
対し、微粒子の吹き付け角度が略直角となるように配設
されている。
【0017】通常、円筒研磨による仕上面には、砥石が
目詰まりした際のドレッシングの状態による圧延ロール
表面の不均一な仕上りや、砥石から脱落した砥粒の噛み
込み等により生じるスクラッチ、砥石の回転振れ等によ
り生じるタタキ、また砥石のトラバースに伴う送りマー
ク等といった仕上面不良が生じることがある。特に、近
年のロール材質の難削材化に伴い、円筒研磨によるこう
した仕上面不良の発生は顕著になってきており、被圧延
材の品質確保の観点からも好ましくない。
【0018】本実施形態は、図1(a)及び図1(b)
に示したような研磨装置を用い、スクラッチ、タタキ、
送りマーク等といった円筒研磨により生じた圧延ロール
1の仕上面不良を改善するものである。その際、本実施
形態では圧延ロール1の表面に微粒子を吹き付けるた
め、圧延ロール1の表面粗度や粗度形状に大きく影響す
ることが考えられ、好ましい表面状態に改善することが
できる条件を見出す必要がある。また、その際、生産性
等の観点から、コストや時間等といったものを考慮する
ことも重要である。
【0019】ここで、図2は微粒子の吹き付け前後にお
ける圧延ロール(胴部)の表面粗度の変化と、微粒子の
噴射速度とをそれぞれ縦軸、横軸に取り、その関係を傾
向的に表した図である。微粒子の粒径によって表面粗度
の変化と噴射速度との関係を表す曲線は変動するが、こ
の図2に示すように、噴射速度が50[m/秒]以下の
場合、微粒子の吹き付け前後で圧延ロールの表面粗度に
変化は生じず、円筒研磨による研削条痕も残存したまま
で、仕上面不良はほとんど改善されない。一方、噴射速
度が50[m/秒]を超えると、仕上面不良が解消さ
れ、また噴射速度の上昇に伴い、微粒子の吹き付け前後
における圧延ロールの表面粗度の変化は増大し、噴射速
度がある値を超えると安定する。従って、本願発明者等
は、円筒研磨による仕上面不良の改善効果が得られる範
囲として、微粒子の噴射速度を50[m/秒]以上と設
定した。次に、本願発明者等は、噴射する微粒子の粒径
の適正範囲を以下のように見出した。
【0020】図3は吹き付ける微粒子の粒径と、吹き付
け前後の圧延ロールの粗度変化量との関係を表す図であ
る。この図においては、微粒子吹き付け前の圧延ロール
の表面粗度を横軸に、これに対する微粒子吹き付け後の
圧延ロールの相対的な表面粗度を縦軸に表し、それぞれ
粒径の異なる微粒子をロール表面に吹き付け、各粒径の
微粒子について、吹き付け前後の表面粗度の変化を表し
ている。この図3に示すように、微粒子の粒径がほぼ1
0[μm]の場合には、吹き付け前後における圧延ロー
ルの表面粗度はほとんど変化なく、微粒子の粒径が大き
くなるに連れ、微粒子吹き付け後の表面粗度が吹き付け
前に比べて大きくなっていく。
【0021】ここで、微粒子吹き付け後の表面粗度が吹
き付け前に比べてあまり大きくなると品質確保の観点か
ら好ましくなく、具体的には粗度変化が2倍以上になる
と圧延ロールを再研磨しなければならなくなる。こうし
た再研磨には多大な時間やコストを要し生産性を著しく
低下させることから、微粒子の吹き付け前後における表
面粗度の変化量は2倍以内に抑制する必要がある。そこ
で、図3に示すように、通常使用される冷間圧延ロール
の粗度範囲で考えた場合、その範囲内において、微粒子
吹き付け前後の粗度変化量が常に2倍以内となる微粒子
の最大粒径は、100[μm]程度であることが分か
る。微粒子の粒径が100[μm]を超えると、少なく
とも上記粗度範囲内において、吹き付け前の圧延ロール
の粗度が比較的小さい範囲では、吹き付け前後の粗度変
化量が2倍を越えてしまい、生産性を低下させる原因と
なる。
【0022】以上のように、本願発明者等は、その知見
により、円筒研磨仕上げ後の冷間圧延作業用の圧延ロー
ルの表面に、粒径100[μm]以下の微粒子を50
[m/秒]以上の噴射速度で吹き付け、かつ微粒子吹き
付け前後における圧延ロールの表面粗度の変化をほぼ2
倍以内とすることにより、通常、冷間圧延作業用ロール
で要求される表面粗さRa1.0[μm]以下に比較的
容易に保つことができ、かつスクラッチ、タタキ、送り
マーク等といった円筒研磨により生じた圧延ロールの仕
上面不良を改善することができる条件を見出した。
【0023】このような条件で研磨することにより、図
1(c)及び図1(d)に示すように、その表面の周方
向A、軸方向Bの粗さ分布とも、表面が低粗度かつ均一
な(Ra、Rmax/Raともに値の小さい)圧延ロール
1を得ることができる。また、このような条件で研磨し
た圧延ロール1を用いて圧延した被圧延材は、図4
(a)における圧延方向Cの粗さ分布で見た場合、従来
の圧延ロール(円筒研磨で仕上た圧延ロール)に比べ、
図4(b)に示すように粗度(Ra)をあまり変化させ
ずに、粗度形状(Rmax/Ra)を均一化させることが
できる。また、図4(a)における板幅方向Dの粗さ分
布で見た場合においても、従来の圧延ロールに比べ、図
4(b)に示すように粗度(Ra)をあまり変化させず
に、粗度形状(Rmax/Ra)を均一化させることがで
き、かつ圧延方向Cとほぼ同等の状態とすることができ
る。そして、こうして製造された被圧延材を被加工物と
すると、例えば打ち抜き、深絞り、エッチング加工等と
いったその後の2次加工の際にも、精度良く加工するこ
とができる。また、このような良質な被圧延材を得るこ
とができるので、例えば、この被圧延材に打ち抜き加工
を施す工具の寿命も延長することができる。
【0024】なお、上記研磨装置において、ノズル3a
は、圧延ロール1の表面に対し、微粒子をほぼ直角に吹
き付けるよう配設したが、これに限られず、図5に示し
たように、回転する圧延ロール1の表面に対する微粒子
の吹き付け角度を適宜変更可能に構成しても良いし、図
6(a)及びこの図6(a)中VIb−VIb断面による断
面図である図6(b)に示すように、圧延ロール1の接
線方向に微粒子を吹き付ける構成としても構わない。こ
のように、微粒子の吹き付け方に種々バリエーションを
持たせた場合、圧延ロール表面の粗度や粗度形状をより
自由に制御することができる。例えば、ロール表面に適
度な粗度があった方が都合が良い場合等は、接線方向に
微粒子を吹き付けることにより、ロール表面に円筒研磨
では得られない均一な粗度模様を形成することも可能で
あり、また、この場合、上記ノズル3aをトラバースさ
せつつ微粒子の吹き付け角度を適宜変更することによ
り、ロール表面に図5に示すような均一なクロスハッチ
ング模様を形成することも可能となる。
【0025】以下に、本実施形態を用いて圧延ロールを
実験的に研磨し、その実験結果を順次説明していく。 [実験−1]ここでは、まず、0.9%C−3.0%C
r−0.5%Mo成分の材質を、溶解(エレクトロスラ
グ溶解)−鍛造−焼鈍−荒加工−熱処理−円筒研磨仕上
げといった一連の工程を経てアルミニウム箔の圧延作業
用ロールを製作した。寸法は、胴部直径250[m
m]、ロール胴長1600[mm]、全長2500[m
m]で、ロールの表面硬さはHs100であった。ま
た、円筒研磨には粒度600番の砥石を使用した結果、
仕上がった圧延ロールの表面粗度は、Ra0.05[μ
m]であったが、この圧延ロールにより圧延されたアル
ミニウム箔の表面には、若干のスクラッチが確認され
た。
【0026】その後、図6(a)及び図6(b)のよう
な研磨装置を用い、駆動装置2(図6(a)参照)によ
り圧延ロールを30[rpm]で回転させ、ノズル3a
を送り速度100[mm/分]でトラバースさせつつ、
微粒子(粒度6000番のSiC砥粒)を上記条件(こ
の実験では150[m/秒])で圧延ロールに接線方向
に吹き付けた。その結果、圧延ロールのスクラッチは改
善され、微粒子吹き付け後の圧延ロールの表面粗度もR
a0.05[μm]とほとんど変化のない表面粗度が得
られた。この微粒子吹き付け後の圧延ロールで実際に圧
延した結果、表面にスクラッチのない良質なアルミニウ
ム箔を製造することができた。
【0027】[実験−2]ここでは、0.9%C−5.
0%Cr−0.7%Mo成分の材質を、エレクトロスラ
グ溶解−鍛造−焼鈍−荒加工−熱処理−円筒研磨仕上げ
といった一連の工程を経て、ブリキ仕上用の圧延作業用
ロールを製作した。このロールの寸法は、胴部直径60
0[mm]、ロール胴長1400[mm]、全長350
0[mm]で、表面硬さはHs95であった。また、円
筒研磨には粒度320番のSiC砥石を用いた結果、ロ
ール表面の粗度はRa0.2[μm]で若干のスクラッ
チが確認され、このロールで実際に圧延した結果、ブリ
キの表面にはスクラッチが転写されてしまい、不良品と
判定された。
【0028】その後、この圧延ロールを、図1(a)及
び図1(b)に示したような研磨装置を用い、駆動装置
2(図1(a)参照)により圧延ロールを30[rp
m]で回転させ、ノズル3aを送り速度100[mm/
分]でトラバースさせつつ、100[m/秒]の噴射速
度で粒度1000番のSiC砥粒をロール表面にほぼ直
角に吹き付けた。その結果、ロール表面粗さはRa0.
25[μm]と若干上昇したが、均一な粗度形状の低ダ
ル面が得られた。この微粒子吹き付け後の圧延ロールで
実際に圧延した結果、スクラッチのない良質なブリキ板
を製造することができた。
【0029】[実験−3]ここでは、遊離砥粒を用いた
研磨方法等、他の研磨方法と比較し、また組合せた研磨
方法で実験を行った。まず、Ti3N4系サイアロンロ
ールを粒度800番のダイヤモンド円筒砥石で研磨し、
胴部直径50[mm]、ロール胴長500[mm]、表
面硬さHv1600の圧延ロールを、Rmax1.0[μ
m]以下に仕上げた(Rmax/Raは10程度であっ
た)。この圧延ロールで圧延した結果、被圧延材には、
タタキ、送りマーク等が若干転写された。
【0030】次に、この圧延ロールを前述した特許26
96276号公報に記載の遊離砥粒を用いた研磨方法に
より研磨した結果、圧延ロールの表面粗度はRa0.0
5[μm]まで低減され、圧延ロール表面のタタキ、送
りマークは改善されたが、Rmax/Raが35と増大し
好ましい結果が得られなかった。また、遊離砥粒を用い
た研磨方法に代え、図1(a)及び図1(b)に示した
研磨装置を用い、微粒子を圧延ロール表面にほぼ直角に
吹き付けた結果、圧延ロールの表面粗度はRa0.20
[μm]に増大したが、Rmax/Raは14まで低減さ
れた。
【0031】このように、以上の実験−1〜3からも、
微粒子を圧延ロールに対し、上記条件で吹き付けること
により、円筒研磨による仕上げ面の研削条痕や、スクラ
ッチ、タタキ等といった仕上面不良を改善することがで
き、Rmax/Raも従来に比べて小さくすることができ
るので、高度な技能を要せず、良好な表面状態の圧延ロ
ールをえることができる。また、微粒子吹き付け前後に
おける粗度変化量をほぼ2倍以内に抑制することによ
り、研磨不良として再研磨されることも防止することが
でき、最少費用効果で上記効果を得ることができる。
【0032】なお、例えば高硬度材ロールの研磨や、被
圧延材の品質上、極めて平滑なロール表面が要求される
場合には、本実施形態の方法で研磨した圧延ロールを図
7に示すような研磨装置を用いて更に研磨することによ
り、より良質な表面状態の圧延ロールを製作することが
できる。図7に示した研磨装置は、ダイヤモンド砥粒を
塗布したフィルム4を回転する圧延ロール1に対し、図
示しない押し付け装置により所定圧力で押し付けつつ、
圧延ロール1の胴部1b全長に渡ってトラバースさせる
ようになっている。この装置を用い、微粒子吹き付けに
より研磨した圧延ロールを更に実験的に研磨し、その結
果を以下に記載する。
【0033】[実験−4]ここでは、先の実験−3で微
粒子により研磨した圧延ロールを図7の研磨装置を用い
て更に研磨した。その結果、圧延ロールの表面粗度、R
max/RaをそれぞれRa0.05[μm]、8程度ま
で低下させることができ、研磨不良(送りマーク、タタ
キ、スクラッチ)のない、表面状態が更に良好な圧延ロ
ールに仕上げることができた。このように、微粒子吹き
付け後、フィルム研磨を施すことことにより、粗度Ra
0.1[μm]を下回るさらに低粗度の方向性の無い均
一ダル面が得ることができる。なお、上述の実験−3に
おいて、遊離砥粒を用いて研磨した圧延ロールに、この
ようなフィルム研磨を施したところ、ほぼ同等の結果が
得られた。
【0034】なお、以上において、微粒子の噴射速度を
50[m/秒]以上としたが、微粒子の噴射速度を上昇
させる場合、必要なエネルギーは噴射速度の上昇割合の
2乗(例えば、噴射速度を倍にするためには、4倍のエ
ネルギーが必要)となり、実質的に過度に噴射速度を大
きくしても得られる効果はある値を超えるとあまり変化
しない。そのため、圧延ロール生産の観点から見た場合
には、微粒子の噴射速度は、50〜100[m/秒]位
が妥当な範囲と考えられる。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、ロール表面に微粒子を
吹き付けることにより、高度な技能を要せず、最小費用
効果で容易にロールの表面粗度、粗度形状を形成するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の冷間圧延作業用ロールの表面粗度制御
方法の第1の実施形態に用いる研磨装置の概略構造を表
す概念図、この図中Ib−Ib断面による断面図、及び研磨
後の圧延ロール表面の周方向、軸方向のそれぞれの粗度
形状を模式的に表す図である。
【図2】微粒子の吹き付け前後における圧延ロールの表
面粗度の変化と、微粒子の噴射速度とをそれぞれ縦軸、
横軸に取り、その関係を傾向的に表した図である。
【図3】吹き付ける微粒子の粒径と、吹き付け前後の圧
延ロールの粗度変化量との関係を表す図である。
【図4】本実施形態により研磨した圧延ロールにより圧
延した被圧延材、従来の圧延ロールにより圧延した被圧
延材において、それぞれ圧延方向、板幅方向における粗
度形状を模式的に表す図である。
【図5】本発明の冷間圧延作業用ロールの表面粗度制御
方法の第1の実施形態に用いる研磨装置の変形例を表す
概念図で、微粒子の噴射角度を自在に変更可能とした研
磨装置の概略構造を表す概念図である。
【図6】本発明の冷間圧延作業用ロールの表面粗度制御
方法の第1の実施形態に用いる研磨装置の変形例を表す
概念図で、微粒子を圧延ロールの接線方向に吹き付ける
研磨装置の概略構造を表す概念図、及びこの図中VIb−V
Ib断面による断面図である。
【図7】本発明の冷間圧延作業用ロールの表面粗度制御
方法の第1の実施形態により研磨した圧延ロールを更に
フィルム研磨する研磨装置の概略構造を表す概念図であ
る。
【符号の説明】
1 圧延ロール 1a 軸部 1b 胴部 2 駆動装置 3 ブラスト機 3a ノズル 4 フィルム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 下タ村 修 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立茨城ビジネスエンジニアリング内 Fターム(参考) 4E002 AD05 BB09 CB03 CB09 4E016 AA03 CA09 DA12 FA11 FA20

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】円筒研磨仕上げ後の冷間圧延作業用のロー
    ル表面に、粒径100μm以下の微粒子を50m/秒以
    上の噴射速度で吹き付け、かつ前記微粒子吹き付け前後
    における前記ロールの表面粗度の変化をほぼ2倍以内と
    することにより、前記円筒研磨仕上げによる仕上面不良
    を改善すること特徴とする冷間圧延作業ロールの表面粗
    度制御方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の冷間圧延作業ロールの表面
    粗度制御方法において、前記ロールの軸方向にトラバー
    スさせつつ、回転する前記ロールの表面に対し前記微粒
    子を略直角に吹き付けることを特徴とする冷間圧延作業
    ロールの表面粗度制御方法。
  3. 【請求項3】請求項1記載の冷間圧延作業ロールの表面
    粗度制御方法において、前記ロールの軸方向にトラバー
    スさせつつ、回転する前記ロールの表面に対する前記微
    粒子の吹き付け角度を適宜変更することを特徴とする冷
    間圧延作業ロールの表面粗度制御方法。
  4. 【請求項4】請求項2又は3記載の冷間圧延作業ロール
    の表面粗度制御方法において、前記微粒子を50〜10
    0m/秒の噴射速度で、前記ロール表面に吹き付けるこ
    とを特徴とする冷間圧延作業ロールの表面粗度制御方
    法。
  5. 【請求項5】請求項2〜4のいずれか1項記載の冷間圧
    延作業ロールの表面粗度制御方法において、前記微粒子
    の吹き付け後、回転する前記ロール表面に対し、砥粒を
    塗布したフィルムを押し当てつつ、前記ロールの軸方向
    にトラバースさせることを特徴とする冷間圧延作業ロー
    ルの表面粗度制御方法。
  6. 【請求項6】円筒研磨仕上げ後、表面に粒径100μm
    以下の微粒子を50m/秒以上の噴射速度で吹き付け、
    かつ前記微粒子吹き付け前後における前記ロールの表面
    粗度の変化を2倍以内とすることにより、前記円筒研磨
    仕上げによる仕上面不良を改善したこと特徴とする冷間
    圧延作業ロール。
  7. 【請求項7】円筒研磨仕上げ後、表面に粒径100μm
    以下の微粒子を50m/秒以上の噴射速度で吹き付け、
    かつ前記微粒子吹き付け前後における前記ロールの表面
    粗度の変化を2倍以内とすることにより、前記円筒研磨
    仕上げによる仕上面不良を改善した冷間圧延作業ロール
    で圧延したことを特徴とする被圧延材。
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