JP2003180865A - アレルゲン不活性化方法 - Google Patents

アレルゲン不活性化方法

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JP2003180865A JP2001384762A JP2001384762A JP2003180865A JP 2003180865 A JP2003180865 A JP 2003180865A JP 2001384762 A JP2001384762 A JP 2001384762A JP 2001384762 A JP2001384762 A JP 2001384762A JP 2003180865 A JP2003180865 A JP 2003180865A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アレルゲンを特異的に排除する方法を提供す
る。 【解決手段】 熱、アルカリ、酸およびプロテアーゼか
らなる群より選択される1の存在する条件下にアレルゲ
ンを維持することにより、前記アレルゲンを不活性化す
る方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】アレルゲンを不活性化する方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、アレルギー問題がクローズアップ
されている。アレルゲンとしてはスギ花粉が有名である
が、住宅の高気密化など、最近の住宅事情により、ダニ
などの害虫およびその排泄物などによるアレルギーも深
刻化している。そのようなアレルギー対策として、従来
から、種々の製品、例えば掃除機やモップなどのハウス
ダストをまとめて処理する掃除用具などが世に送り出さ
れている。
【0003】また、一般的に行われているアレルギーか
ら身を守る方法、即ち、アレルゲンを排除する方法とし
ては以下のようなものがある。例えば、スギに代表され
る花粉の場合には、外出時に着用するマスクに花粉を通
過させないような細かいメッシュを入れることによって
体内に花粉が取り込まれないようにする方法が、また屋
内では集塵機に代表される装置によってそれらを捕獲す
る方法などが行われている。しかしながら、集塵機など
によって居住空間に存在する花粉を積極的に排除したと
しても、それは空気中浮遊物質の一部として花粉が捕獲
されるに過ぎない。従って、このような方法では積極的
なアレルゲンの除去方法とは言い難い。
【0004】一方、ダニなどに代表される害虫由来のア
レルゲンの場合、寝具やソファ、並びに畳や床などの清
掃をこまめに行うことで害虫の存在量を減らし、それに
よってアレルゲン量を軽減させているのが現状である。
しかしながら、このような方法では、一時的にアレルゲ
ンの量は減少するものの、害虫が繁殖すればアレルゲン
量も増加してしまう。従って、アレルゲン量を十分に低
い値で維持するためには相当な人力が必要とされる。ま
た、薬品を用いて害虫駆除を行うことも可能であるが、
使用される薬品自体の人体に対する影響も考慮する必要
があり、十分な方策とは言い難い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような状況に鑑
み、本発明の目的は、アレルゲンを特異的に排除する方
法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めの鋭意研究の結果、本発明者らは、以下のような手段
を見出した。即ち、(1) 熱、アルカリ、酸およびプ
ロテアーゼからなる群より選択される1の存在する条件
下にアレルゲンを維持することにより、前記アレルゲン
を不活性化する方法、(2) アルカリ、酸およびプロ
テアーゼからなる群より選択される1と熱の存在する条
件下にアレルゲンを維持することにより、前記アレルゲ
ンを不活性化する方法、(3) プロテアーゼと尿素の
存在する条件下にアレルゲンを維持することにより、前
記アレルゲンを不活性化する方法、(4) 更に熱も存
在することを特徴とする(3)に記載の前記アレルゲン
を不活性化する方法、並びに(5) (1)から(4)
の何れか1項に記載のアレルゲンを不活化する方法を行
うためのアレルゲン不活性部を具備する空調機である。
【0007】
【発明の実施の形態】1.アレルゲン不活化方法 アレルギーを引き起こす原因物質であるアレルゲンは、
生物由来の蛋白質を主成分とする。本発明は、本発明者
らが蛋白質を変性することによってアレルゲンを特異的
且つ効果的に不活性化できることを明らかにしたことに
基づく。従って、本明細書は、蛋白質の変性によりアレ
ルゲンを不活性化できることを初めて報告するものであ
る。ここで使用される「アレルゲン」または「アレルゲ
ン物質」の語は、アレルゲンとして活性を有する物質を
示す。
【0008】本発明に従うと、熱、アルカリ、酸および
プロテアーゼからなる群より選択される1の存在する条
件下にアレルゲンを維持することによりアレルゲンを不
活性化する方法が提供される。
【0009】従来では、一般的に蛋白質が、酸やアルカ
リによる化学的変性、高温での物理的変性、および蛋白
質分解酵素による生化学的変性によって分解されること
は知られている。しかしながら、このような蛋白質の変
性によって、蛋白質が有するであろうエピトープとなり
得る性質、即ち、アレルゲンとしての活性を特異的に不
活化できることは報告されてはおらず、更にまた、生化
学の知識で理解でき且つ効果的なアレルゲン不活性化方
法はこれまでには報告されていない。今回本発明者ら
が、蛋白質の変性によりアレルゲンを不活性化できるこ
とを明らかにしたことは画期的なことである。
【0010】以下、熱、アルカリ、酸およびプロテアー
ゼを用いてアレルゲンを不活性化する方法に関して説明
する。
【0011】(1)熱 本発明に従って、熱の存在する条件下でアレルゲンを不
活性化する場合、例えば、約80℃以上の場合であれば
約60分間、アレルゲンを熱に対して曝露すればよい。
また、80℃以下の温度であっても、例えば加熱時間を
長くすればアレルゲンの不活性化は可能である。
【0012】本発明の1側面において、本発明は、アレ
ルゲンの不活性化に熱を使用するというユニークで且つ
新しい発想を基に達成された。従って、本発明において
重要な点の1つは、温度や加熱時間などの条件ではな
く、熱を利用してアレルゲンを不活性化すること自体に
ある。言い換えれば、熱によってアレルゲンを不活性化
するために必要な温度や加熱温度の組み合わせなどの条
件は、可能な組み合わせが本発明に含まれるものであ
る。
【0013】またここで使用される「熱の存在する条
件」とは、それ自身公知の熱源を用いてアレルゲンまた
はこれを含む対象を加熱しても、或いは加熱した媒体を
介して間接的にアレルゲンまたはこれを含む対象を加熱
しても得ることが可能である。
【0014】(2)アルカリ 本発明に従って、アルカリの存在する条件下でアレルゲ
ンを不活性化する場合、例えば、約2.5MのNaOH
が存在する条件、またはこれに類似する条件を達成し得
る塩基性物質が存在する条件下でアレルゲンを存在させ
ればよい。本発明においてアルカリの存在する条件を得
るために使用できる塩基性物質は、水に溶解した場合に
水酸化物イオンを生成する物質であればよい。例えば、
これらに限られるものではないが、水酸化ナトリウムお
よび水酸化カリウムなどの種々の塩、並びに強塩基性陰
イオン交換樹脂などの物質でよい。また、アルカリ条件
に加えて、熱を存在させれば、効率的に不活性化を行う
ことが可能である。アルカリと熱を組み合わせて処理す
る場合には、加熱温度と加熱時間を調節することによ
り、上述の条件よりも低濃度の塩基性物質または上述の
強塩基に比較してアルカリ性の弱い弱塩基性物質を使用
することによっても良好なアレルゲンの不活性化が達成
され得る。
【0015】本発明の1側面において、本発明は、アレ
ルゲンの不活性化にアルカリを使用するというユニーク
で且つ新しい発想を基に達成された。従って、本発明に
おいて重要な点の1つは、アルカリの存在に関する詳細
な条件にあるのではなく、アルカリを利用してアレルゲ
ンを不活性化すること自体にある。言い換えれば、アル
カリによるアレルゲンの不活性化に関わるpHおよび塩
基性物質の濃度、並びに加熱の有無や加熱温度および時
間などの条件は、可能な全ての組み合わせが本発明に全
て含まれるものである。
【0016】(3)酸 本発明に従って、酸の存在する条件下でアレルゲンを不
活性化する場合、これに限定されるものではないが、例
えば、約2.5Mの濃度でHClが存在する条件、また
はこれに類似する条件を達成し得る酸性物質が存在する
条件下でアレルゲンを存在させればよい。本発明におい
て酸の存在する条件を得るために使用できる物質は、水
に溶解した場合に水素イオンを生成する物質であればよ
い。例えば、これらに限られるものではないが、塩酸お
よび硫酸などの酸、並びに強酸性陽イオン交換樹脂が含
まれる。また、酸条件に加えて、熱を存在させれば、効
率的に不活性を行うことが可能である。酸と熱を組み合
わせて処理する場合には、加熱温度と加熱時間を調節す
ることにより、上述の条件よりも低濃度の酸性物質また
は上述の強酸に比較して酸性の弱い弱酸性物質を使用す
ることによっても良好なアレルゲンの不活性化が達成さ
れ得る。
【0017】上述の本発明の1側面において、本発明
は、アレルゲンの不活性化に酸を使用するというユニー
クで且つ新しい発想を基に達成された。従って、本発明
において重要な点の1つは、酸の存在に関する詳細な条
件にあるのではなく、酸を利用してアレルゲンを不活性
化すること自体にある。言い換えれば、酸によるアレル
ゲンの不活性化に関わるpHおよび酸性物質の濃度、並
びに加熱の有無や加熱温度などの条件は、可能な全ての
組み合わせが本発明に全て含まれるものである。
【0018】(4)プロテアーゼ ここで使用される「プロテアーゼ」の語は、蛋白質およ
びペプチドを分解する性質を有する酵素を総括的に示
す。本発明において使用できる酵素は、それ自身公知の
酸性、中性および塩基性の何れのプロテアーゼであって
よい。例えば、トリプシンなどのセリンプロテアーゼ、
パパイン、カルパイン、カテプシンBおよびカテプシン
Lなどのシステインプロテアーゼ、ペプシン、レニンお
よびカテプシンDなどのアスパラギン酸プロテアーゼお
よびメタロプロテアーゼなどのプロテアーゼであってよ
い。また、プロテアーゼによりアレルゲンを不活性化す
る場合、使用されるプロテアーゼの至適条件を考慮し
て、温度および補酵素などの条件を実施者が任意に選択
してよい。
【0019】また、本発明に従ってプロテーゼによって
アレルゲンを不活性化する場合には、使用されるプロテ
アーゼに加えて尿素を存在させれば、より効率的に不活
性を行うことが可能である。
【0020】例えば、本発明に使用されるプロテアーゼ
の濃度は、例えば、pfuの場合、アレルゲン蛋白質
0.45μg当たり約1ユニットである。また、プロテ
アーゼを使用する場合、処理温度や処理時間および尿素
の有無によって、得られる効果は変動する。従って、使
用されるプロテアーゼの濃度は上記に限定されるもので
はなく、種々の条件で有効に使用することが可能であ
る。
【0021】上述の本発明の1側面において、本発明
は、アレルゲンの不活性化にプロテアーゼ、並びにプロ
テアーゼと尿素を併用して使用するというユニークで且
つ新しい発想を基に達成された。従って、本発明におい
て重要な点の1つは、それらの濃度および処理時間並び
に加熱温度および加熱時間などの詳細な条件ではなく、
プロテアーゼ、並びにプロテアーゼと尿素の併用処理を
利用してアレルゲンを不活性化すること自体にある。言
い換えれば、プロテーゼおよび尿素によるアレルゲンの
不活性化に関わる酵素の種類および濃度、尿素の有無お
よび尿素の濃度、並びに加熱の有無や加熱温度および時
間などの条件は、可能な全ての組み合わせが本発明に全
て含まれるものである。
【0022】2.空調機への利用 本発明の更なる側面に従うと、上述した方法を空調機に
利用することが可能である。即ち、本発明は、熱、アル
カリ、酸およびプロテアーゼからなる群より選択される
1の存在する条件下にアレルゲンを維持することにより
アレルゲンを不活性化する方法を行うためのアレルゲン
不活性部を具備する空調機も提供するものである。
【0023】本発明に従って使用されるアレルゲン不活
性部は、熱、アルカリ、酸およびプロテアーゼからなる
群より選択される1の存在する条件下でアレルゲンを維
持することが可能な手段であればよい。熱の存在下でア
レルゲンを維持する場合には、それ自身公知の任意の加
熱体を用いればよい。アルカリ、酸またはプロテアーゼ
の存在下でアレルゲンを維持する場合には、例えば、一
般的なクロマトグラフィー技術を利用することが可能で
ある。その場合、アルカリおよび酸を提供し得る化合物
または酵素を、フィルターまたは粒子などの担体に固定
化し、移動相に含まれるアレルゲンを処理すればよい。
【0024】本発明に従って使用され得るフィルターの
例を以下に示す。
【0025】(1)熱によるアレルゲン不活性フィルタ
ー 本発明に従うフィルターの第1の例は、図1に示す通
り、アレルゲンをトラップする不織布フィルター11
と、この不織布フィルター11の片面に配置されたステ
ンレス製面発熱体12と、このステンレス製面発熱体1
2を加熱するヒータ13とを具備する(図1)。
【0026】ステンレス製面発熱体12としては、これ
に限るものではないが、例えば、ステンレス線維をメッ
シュ状に編んだものが含まれる。ヒータ13の電源は、
通常アレルゲン不活性フィルター14は空調機に組み込
まれて使用されるので、空調機の電源を利用することが
好ましい。ヒータ13は、通常空調機がOFFの時、所
定の温度、時間加熱するが、短時間であれば空調機など
の部品に損傷を与えない程度の高温で行い、長時間であ
れば低温で加熱する。しかし、温度および時間は部品の
材質等に応じて適宜設定することができる。ヒータ13
による面発熱体12の加熱によりアレルゲン蛋白質の変
性が起こり、アレルゲンとしての活性が失われる。
【0027】(2)酸またはアルカリを保持させたアレ
ルゲン不活性フィルター 本発明に従うフィルターの第2の例は、図2に示す通
り、不織布フィルター21に、強酸性陽イオン交換樹脂
または強塩基性陰イオン交換樹脂を保持させたことを特
徴とする(図2)。このようなフィルターは、以下に示
すようなイオン交換樹脂(例えば、線維または粒状樹脂
であってよい)を一般的なフィルターに織り込むことに
より製造可能である。
【0028】i)強酸性陽イオン交換樹脂 本発明では、例えば、一般式R−SO・H(但し、R
は高分子基体を)で表される強酸性陽イオン交換樹脂を
使用することが可能である。この樹脂は酸を用いて再生
することが可能である。使用前には酸を用いて活性化し
ておく必要がある。
【0029】ii)強塩基性陰イオン交換樹脂 また、本発明では、例えば、以下の一般式で表される強
塩基性陰イオン交換樹脂を使用することが可能である。
この樹脂は塩基を用いて再生することが可能である。使
用前には塩基を用いて活性化しておく必要がある。
【0030】
【化1】
【0031】酸またはアルカリの存在する条件下で維持
されたアレルゲン蛋白質はそのpH条件の作用によって
変性され、アレルゲンとしての活性を失う。
【0032】(3)酵素を保持させたアレルゲン不活性
フィルター 本発明に従うフィルターの第3の例は、図3に示す通
り、吸水性ポリマーの径より小さいメッシュを有した第
1の支持体31と、この第1の支持体31の片側に配置
された、吸水性ポリマーの径より小さいメッシュを有し
た第2の支持体32と、前記第1の支持体と第2の支持
体間に配置された吸水性ポリマー層34とを具備する
(図3)。
【0033】酵素の担体としては、アクリル酸−ビニル
アルコール共重合体、アクリル酸−ナトリウム重合体な
どの吸水性ポリマーを使用し得る。また、前記担体の吸
水能は少なくとも乾燥重量1gの吸水性ポリマー当たり
600g程度であることが好ましい。
【0034】前記第1および第2の支持体としては、例
えば、樹脂製のものが挙げられるが、これに限るもので
はない。また、前記吸水性ポリマー34は、所定数のプ
ロテアーゼを含むことが好ましい。酵素を保持させたア
レルゲン不活性フィルター35は、例えば、担体を織り
込んだフィルターを作製した後に酵素溶液をフィルター
に塗布してもよく、担体に酵素溶液を塗布した後にこれ
をフィルターに織り込んでもよい。また、相対湿度(即
ち、水分活性)を70%以下に保つことによってカビ汚
染も減少できる。更に、界面活性剤(例えば、0.1%
程度)を共存させることによって更なる効果も期待でき
る。
【0035】アレルギーはアレルゲンが直接皮膚に接触
することによっても生じるが、その多くは、空気中の浮
遊アレルゲンを吸引することによって生じる。従って、
空気中のアレルゲンを排除できれば、アレルギー症状を
緩和できると考えられる。上述のような本発明に従う装
置によって空気中に浮遊するアレルゲンを不活性化する
ことが可能であり、それにより住環境の大幅な改善が期
待できる。
【0036】
【実施例】以下、例を用いて本発明を更に詳しく説明す
る。
【0037】1.方法および材料 (1)アレルゲンの検出 アレルゲンの存在を検出するためには、人間や動物が持
っているアレルギー反応に類似する検出システムを採用
することが望ましい。以下の試験では、本発明者らは、
アレルギー反応が抗体抗原反応であることから、抗体を
使った測定法を採用した。
【0038】(2)アレルゲン 以下の例において行った試験では、アレルゲンの1つと
してダニ抽出物を使用した。また、使用したダニ抽出物
は、コスモバイオ社から入手したダニ抽出物−Df(こ
れはダニ虫体をリン酸緩衝液ですりつぶしその上清を凍
結乾燥した物である)であり、この10mgを、処方箋
に従って2.5mLのPBS溶液に溶解した。得られた
溶液を以下、ダニ原液と称し、使用時にはPBS溶液で
適当な濃度に希釈して実験に用いた。
【0039】2.実施例 (1)方法 実施例1 アレルゲン測定1 本例では、ウエスタンブロッティング法(一般的にはド
ットブロット法とも称する)によってダニ抽出物中のダ
ニアレルゲンの測定を行った。使用したダニ抽出物の量
は蛋白質量として0.01、0.083、0.25、
0.83および2.5μgである。
【0040】ダニ抽出物に対する抗体は、ダニ抽出物で
免役したウサギの全血清(コスモバイオ社から入手し
た、使用時には2500倍希釈した)を用いた。また、
ウサギ全血清に対する抗体は、西洋わさびペルオキシダ
ーゼで修飾したウサギIgに対する抗体(アマシャム社
製)を用いた。使用前に1000倍に希釈してから使用
した。
【0041】アレルゲンの検出には、アマシャム社製の
ウエスタンブロッティング検出システムであるECL+
Plusを用い、製造元のマニュアルに従って行った。
その他の操作手順は一般的な方法に準じて行った。
【0042】ダニ抽出物濃度に依存して得られた発光量
から、ダニ抽出物中のダニアレルゲン量に関する検量線
を取得した。図4はウエスタンブロッティングの結果を
示す模式図である。図4から明かであるように得られた
発光量は濃度依存的に増大した。従って、ダニ抽出物中
の蛋白量はダニアレルゲン量を反映していることが明か
になった。また、ウエスタンブロッティングにより得ら
れた発光量を数値化して得た検量線を図5に示す。
【0043】実施例2 アレルゲン測定2 本例を含む以下の例では、サンプル中のダニアレルゲン
の相対量をダニスキャンによって測定した。まず、ダニ
スキャンの定量性を確認するために、ダニ抽出物中のダ
ニアレルゲンについての検量線を作製した。
【0044】前記ダニ原液をPBS溶液で希釈した溶液
について、ダニアレルゲン測定システムとしてダニスキ
ャン(DaniScan、登録商標、アサヒビール薬品社製)を
用いてアレルゲンを検出した。
【0045】ダニスキャンは、抗原抗体反応を利用して
簡易にダニアレルゲンを検出できるキットである。図6
に示すダニスキャンに具備されるちり採取器1のサンプ
ル添加部2に被検サンプルを添加し、そこに現像液を添
加すれば、被検サンプル中のダニアレルゲンの量を反映
したバンド3が得られる。前記バンドから被検サンプル
中の相対的なアレルゲンを検出することが可能である。
本明細書において、ダニスキャンの各バンドは、便宜上
「太実線」、「中太実線」「細実線」、「破線」および
「表示なし」で示し、これらの表示は、「太実線」>
「中太実線」>「細実線」>「破線」>「表示なし」の
順で4段階の発色強度を模式的に示している。
【0046】また、サンプル中に含まれるダニアレルゲ
ン量は、ダニ抽出物中のダニ抗原に結合したダニ抗体に
由来する発色強度のピーク値(T)とダニ抗原に結合し
なかったダニ抗体に由来する発色強度のピーク値(C)
から、以下の式に従ってピーク比を求めることによって
評価した。図7にダニスキャン上の位置と発色強度の関
係を示すグラフを示す。ここで前記ピーク値(T)とピ
ーク値(C)は図7中の「C」と「T」のピークに相当
する。
【0047】発色強度からピークCとピークTの発色強
度からピーク比を求めるための式は; ピーク比(%)=T/(T+C)*100 である。このとき、C>Tであればサンプル中のダニア
レルゲン量は少なく、T>Cであればサンプル中にダニ
アレルゲンが大量に存在していることを示す。
【0048】図6に、ダニアレルゲン陽性(即ち、アレ
ルゲンが多く存在する場合)のバンドが示されたダニス
キャンの模式図を示す。Cの位置のバンドはダニ抗原に
結合しなかったダニ抗体に由来するバンドであり、Tの
位置のバンドはダニ抗原に結合したダニ抗体に由来する
バンドである。図8にダニ抽出物中に存在するダニアレ
ルゲンに関する検量線を示す。
【0049】実施例3 熱によるアレルゲンの不活性化 熱処理によるダニアレルゲン不活性化作用を証明するた
めに以下の実験を行った。
【0050】ダニ原液のPBS溶液による10倍希釈液
を調製した。得られた10倍希釈液を7本のマイクロチ
ューブに分注し、そのうちの1本を加熱時間0分の対照
区とした。残りの6本をヒートブロック上で80℃に加
熱し、それぞれ、10、20、30、40、50および
60分間維持した。これを処理区とした。加熱終了後、
氷上にて冷却した。その後、各サンプルからそれぞれ5
μLずつを抜き取ってダニスキャンに添加してアレルゲ
ンの検出を行った。添加した5μLには蛋白質として2
μgのダニ抽出物が含まれていることになるので、1ダ
ニスキャン当たり2μgのダニ抽出物を添加したことに
なる。
【0051】熱処理時間とサンプル中のダニアレルゲン
量の関係を示す結果を図9のグラフに示す。図9のグラ
フの縦軸には、対照区におけるピーク比を100とし
た、処理区における相対ピーク比を示し、横軸には熱処
理時間を示す。
【0052】前記グラフから明かであるように、熱処理
によりアレルゲンは不活性化された。特に加熱処理1時
間後にはかなりのアレルゲンが不活性化した(図9)。
【0053】実施例4 アルカリによる不活性化 アルカリ処理によるダニアレルゲン不活性化作用を証明
するために以下の実験を行った。
【0054】まず、氷上で5本のマイクロチューブ内
で、それぞれダニ原液50μLと5M水酸化ナトリウム
50μLを混合した。得られた混合液の水酸化ナトリウ
ムの終濃度は2.5Mである。それらのマイクロチュー
ブを40℃と60℃の温度条件下で、それぞれ0、10
および30分間維持した。反応終了後、5M塩酸50μ
Lを加えて氷上で中和した。その後、得られた反応液の
各1μL(蛋白質として1.33μgダニ抽出物/ダニ
スキャン)をダニスキャンに添加し、ダニアレルゲンを
検出した。図10に結果を示す。図10は反応後のダニ
スキャンに見られるバンドを模式的に示した図である。
図10の1は処理なしから得た結果(即ち、1ダニスキ
ャン当たり1.33μgのダニ抽出物のみを添加した結
果)であり、これは対照サンプルである。図10の2か
ら4は、ダニ抽出物について40℃でそれぞれ0分、1
0分および30分間に亘ってアルカリ処理を行った結果
である。図10の5および6は、ダニ抽出物について、
60℃で、それぞれ0分および10分間アルカリ処理し
た場合の結果である。図10から明かであるように40
℃および60℃ともに、10分間の処理でアレルゲンが
不活性化した(図10)。
【0055】実施例5 酸による不活性化 酸処理によるダニアレルゲン不活性化作用を証明するた
めに以下の実験を行った。
【0056】まず、4本のマイクロチューブにダニ原液
50μLと5M塩酸50μLを氷上で混合した。得られ
た混合液の塩酸の終濃度は2.5Mである。それらのマ
イクロチューブを60℃の温度条件下で、それぞれ0、
10、30および60分間維持した。反応終了後、5M
の水酸化ナトリウム50μLを加えて氷上で中和した。
得られた反応液の各1μL(蛋白質として0.133μ
gダニ抽出物/ダニスキャン)をダニスキャンに添加
し、ダニアレルゲン量を測定した。
【0057】図11に結果を示す。図10は反応後のダ
ニスキャンに見られるバンドを模式的に示した図であ
る。図11の1は処理なし(即ち、1ダニスキャン当た
り蛋白質として1.33μgのダニ抽出物を添加した)
であり、これを対照サンプルとした。図11の2から5
は、ダニ抽出物を60℃でそれぞれ0分、10分、30
分および60分間酸処理した場合の結果を示す。図11
から明かであるように60℃で60分間の酸処理により
大部分のアレルゲンが不活性化されたことが確認され
た。
【0058】実施例6 プロテアーゼによる不活性化1 プロテアーゼによるダニアレルゲン不活性化作用を証明
するために以下の実験を行った。
【0059】まず、3本のマイクロチューブのそれぞれ
に、ダニ原液90μLとpfu プロテアーゼS(以
下、pfuと記す、宝酒造社製)の8μL(0.8ユニ
ット)を氷上で加えた。これらのうち1本を0℃で10
分、他の1本を95℃で10分間、残りの1本を80℃
で10分の加熱を行った。酵素添加なしの対照サンプル
については95℃で10分間の加熱を行った。これらの
熱処理後、全てのマイクロチューブを氷上に戻し、プロ
テアーゼ阻害剤であるフェニルメチルスルホニルフルオ
リド(以下、PMSFと記す)溶液を加えた(PMSF
の終濃度は4mM)。
【0060】その後、PMSFを加えた各サンプルから
5μLを抜き取ってダニスキャンに添加してダニアレル
ゲンを検出した。このとき1ダニスキャン当たり蛋白量
として18μgのダニ抽出物が含まれる。
【0061】結果は図12に示した。図12の1は酵素
添加し、0℃で10分間反応したサンプル、図12の2
は酵素なしで95℃10分間維持した対照サンプル、3
は酵素添加で95℃で10分間処理したサンプル、4は
酵素添加で80℃10分間処理したサンプルについての
結果を示す。図から明かであるように、上述の至適温度
でのプロテアーゼ処理を10分間行えば、ダニアレルゲ
ン活性は失活できる。
【0062】実施例7 プロテアーゼによる不活性化2 次にプロテアーゼと尿素を併用した場合のダニアレルゲ
ン不活性化作用を証明するための実験を行った。
【0063】3本のマイクロチューブのそれぞれに、ダ
ニ原液20μLとpfuの3.2μL(0.32ユニッ
ト)を氷上で加え、更にPBS溶液で調製した10Mの
尿素の16.8μLを加えた。尿素の最終濃度は4.2
Mである。これらを次に60℃で0、10および30分
間加熱した。加熱後、氷上に戻し反応を終了した。得ら
れたサンプルからそれぞれ1μLを抜き取ってダニスキ
ャンによりアレルゲンを検出した。このとき、1つのダ
ニスキャンに添加したダニ抽出物は蛋白量として2μg
である。この結果は図13の1から3に示す。図13の
1、2および3は、それぞれ、60℃で0、10および
30分間加熱したサンプルについての結果である。
【0064】更に以下の試験を同様に行った。4本のマ
イクロチューブのそれぞれに、ダニ原液12μLとpf
uの8μL(0.8ユニット)を氷上で加え、更に10
Mの尿素を80μLを加えた。尿素の最終濃度は8Mで
ある。これらを次に40℃で0、10、30および60
分間加熱した。得られたサンプルからそれぞれ1μLを
抜き取ってダニスキャンによりアレルゲン量を測定し
た。このとき、1つのダニスキャンに添加したダニ抽出
物は蛋白量として0.48μgである。この結果は図1
3の5から8に示す。図13の5、6、7および8は、
それぞれ、40℃で0、10、30および60分間加熱
したサンプルについての結果である。
【0065】また、対照サンプルとして、酵素および加
熱処理なしのサンプルを調製し試験した。氷上で、1本
のマイクロチューブにダニ原液12μL、10Mの尿素
80μLおよびPBS溶液8μLを加えた。尿素の最終
濃度は8Mである。このマイクロチューブには加熱を行
わなかった。このサンプルから1μLを抜き取ってダニ
スキャンによりアレルゲンを検出した。このとき、1つ
のダニスキャンに添加したダニ抽出物は蛋白量として
0.48μgである。この結果は図13の4に示す。
【0066】図13に示す結果から明かであるように、
尿素4.2M存在下で60℃で加熱した場合10分後に
はアレルゲンは不活性化された。また、尿素8M存在下
で40℃で加熱した場合には30分後にはアレルゲンは
不活性化された。
【0067】実施例8 プロテアーゼによる不活性化3 更に、もう1つのプロテアーゼの実施例としてパパイン
を使用した場合のダニアレルゲン不活性化作用を証明す
るために実験を行った。
【0068】まず、10M尿素溶液400μLに0.2
g/mLのパパイン(ナガセケムテックス社製、食品用
精製パパイン)とPBS溶液100μLを混合して8M
の尿素パパイン溶液を調製した。
【0069】8本のマイクロチューブのそれぞれにダニ
原液20μLと80μLの8M尿素パパイン溶液を添加
した。尿素の最終濃度は6.4Mである。これらについ
て40℃での加熱を0、10、30、60、120、1
65、280および320分間行った。前記加熱の後、
各サンプルからそれぞれ18μLずつ取り出し、それぞ
れ10mMのアンチパイン(antipain, BACHEM社製)の
2μLずつを加えた。アンチパインの最終濃度は1mM
である。
【0070】得られた溶液のそれぞれ1μLずつ採取し
てダニスキャンに添加し、ダニアレルゲンを検出した。
このとき1ダニスキャン当たりには蛋白質として0.7
2μgのダニ抽出物を添加されたことになる。
【0071】得られた結果は、図14の1から8に示し
た。図14の1、2、3、4、5、6、7および8は、
それぞれ40℃で0、10、30、60、120、16
5、280および320分間行って得たサンプルについ
ての結果である。これらの結果から、上記の条件では1
65分の加熱でアレルゲンの不活性化が可能であり、特
に320分の加熱では殆どのアレルゲンが不活性化され
た。
【0072】更に、30℃で加熱した場合のパパインの
効果を試験した。
【0073】5本のマイクロチューブのそれぞれにダニ
原液20μLと180μLの8M尿素パパイン溶液を添
加した。尿素の最終濃度は7.2Mである。これらにつ
いて30℃での加熱を0、10、30、120および1
80分間行った。前記加熱の後、各サンプルからそれぞ
れ18μLずつ取り出し、それぞれ10mMのアンチパ
イン(antipain, BACHEM社製)の2μLずつを加えた。
アンチパインの最終濃度は1mMである。
【0074】得られた溶液のそれぞれ1μLずつをダニ
スキャンに添加し、ダニアレルゲンを検出した。このと
き1ダニスキャン当たりには蛋白質として0.36μg
のダニ抽出物が添加されたことになる。
【0075】得られた結果は、図14の9から13に示
した。図14の9、10、11、12および13は、そ
れぞれ30℃で0、10、30、120および180分
間行って得たサンプルについての結果である。上記の条
件では120分の加熱でアレルゲンの不活性化が可能で
あった(図14)。また、図14には示していないが、
上記の条件では320分の加熱により殆どのアレルゲン
が不活性化できた。
【0076】以上の実施例からも明かであるように、本
発明に従うと、蛋白質がエピトープとなるアレルゲンの
不活性化方法として、普遍的に使える解決方法が提供さ
れる。また、本発明は蛋白質がエピトープとなるアレル
ゲンに関して、全てに対応できるものである。
【0077】(2)フィルターおよび空調の実施例 以下に、本発明に従うフィルターおよび空調機の実施例
を図面を参照して説明する。
【0078】実施例9 図1を参照しながら実施例9を説明する。図中の符番1
1は、アレルゲンをトラップする不織布フィルターを示
す。この不織布フィルター11の下面には、花粉粒子
(20〜30μm)やダニ(特にダニの糞、10〜40
μm)の径より小さいメッシュを有したステンレス製の
繊維状面発熱体12が配置されている。このステンレス
製の線維状面発熱体(商品名:ソフテレック、帝人社
製)12の下部には、前記面発熱体12を加熱する電熱
ヒータ13が配置されている。
【0079】このように実施例9に係るアレルゲン不活
性フィルター14は、アレルゲンをトラップする不織布
フィルター11と、この不織布フィルター11の下面に
配置された、花粉粒子やダニの径より小さいメッシュを
有したステンレス製面発熱体12と、この繊維状面発熱
体12の下部に配置された、該面発熱体12を加熱する
電熱ヒータ13とを具備した構成となっている。
【0080】こうしたアレルゲン不活性フィルター14
は、後述する空調機(図15参照)の所定の位置にエア
コン搭載可能な大きさ(例えば、5cm×10cm)で
取り付けられて使用される。空調機の空気取り込み口に
アレルゲン不活性フィルター14を取り付ける際は、不
織布フィルター11をアレルゲン含有空気(矢印A)の
入口側に配置する。そして、空調機がOFFの時、フィ
ルター14の電熱ヒータ13をONにして面発熱体12
の加熱温度を例えば約70℃で発熱される。
【0081】これにより、アレルゲン含有空気は不織布
フィルター11を通過するが、高温状態に保持された面
発熱体12で花粉粒子やダニが捕獲され、ここでアレル
ゲン蛋白質の変性が行われ、アレルゲンとしての活性は
失われ、ステンレス面発熱体12からはアレルゲン軽減
空気(矢印B)が通過する。
【0082】従って、実施例1のアレルゲン不活性フィ
ルター14によれば、従来のように害虫駆除用の薬品を
用いることがないので、薬品自体の人体への影響を回避
できるとともに、前記発熱体を所定の温度で加熱するだ
けで自動的にアレルゲン量を軽減することができる。
【0083】実施例10 図2を参照する。実施例10に係るアレルゲン不活性フ
ィルター21は、不織布フィルター22に、強酸性陽イ
オン交換樹脂(図示せず)を保持させた構成となってい
る。ここで、強酸性陽イオン交換樹脂は、R−SO3・
H(但し、Rは高分子基体を示す)であり、酸を使って
再生が可能である。この強酸性陽イオン交換樹脂は、使
用前に活性化しておく。
【0084】実施例10によれば、アレルゲン含有空気
Aが不織布フィルター22を通過するだけで該不織布フ
ィルター22に保持された強酸性陽イオン交換樹脂によ
りアレルゲン蛋白質はそのpHの影響で変性し、アレル
ゲンとしての活性を失う。従って、不織布フィルター2
2からはアレルゲン軽減空気Bが排気される。従って、
実施例10のアレルゲン不活性フィルター21によれ
ば、従来のように害虫駆除用の薬品を用いることがない
ので薬品自体の人体への影響を回避できるとともに、強
酸性陽イオン交換樹脂を保持させた不織布フィルター2
2にアレルゲン含有空気Aを通すだけで自動的にアレル
ゲン量を軽減することができる。
【0085】なお、実施例10では、強酸性陽イオン交
換樹脂を使用する場合について述べたが、これに限ら
ず、上記化合物1に示す強塩基性陰イオン交換樹脂を使
用してもよい。但し、この場合も、強塩基性陰イオン交
換樹脂は使用前に活性化しておくことが好ましい。
【0086】実施例11 図3を参照して実施例11を説明する。図中の符番31
は吸水性ポリマー32が移動しない大きさで且つ花粉粒
子やダニを通すメッシュ(>50μm)を有した樹脂製
の第1の支持体を示す。この第1の支持体31の下側に
は吸水性ポリマー34が移動しない大きさで且つ花粉粒
子やダニを通さないメッシュ(>50μm)を有した樹
脂製の第2の支持体33が配置されている。前記第1の
支持体31と第2の支持体33の間には、吸水性ポリマ
ー32からなる吸水性ポリマー層34が挟まれて配置さ
れている。ここで、吸水性ポリマー32は、例えば、5
0万ユニット/フィルターのプロテアーゼを含んでい
る。前記吸水ポリマー層34は、例えば、プロテアーゼ
を含む酸素溶液にポリマーを含浸させることにより形成
することができる。
【0087】実施例11に係るアレルゲン不活性フィル
ター35は、樹脂製の第1の支持体31と第2の支持体
33の間に吸水性ポリマー層34を挟んだ構造を有す
る。それにより、アレルゲン含有空気Aが吸水性ポリマ
ー層34を通過するだけで、蛋白質を分解する酵素によ
ってアレルゲンが分解される。従って、実施例11のア
レルゲン不活性フィルター35によれば、従来のように
害虫駆除用の薬品を用いることがないので薬品自体の人
体への影響を回避できるとともに、吸水性ポリマー層3
4にアレルゲン含有空気Aを通すだけで自動的にアレル
ゲン量を軽減することができる。
【0088】実施例12 図15は、実施例9から11に係るアレルゲン不活性フ
ィルターをエアコンの空気取り込み口に取り付けた例を
示す。図15において、符番42はエアコン用冷却ユニ
ットを示し、符番43は筐体を示す。この筐体43の内
側には、ファン44などが配置されている。ここで、前
記アレルゲン不活性フィルター14は、該フィルター1
4の主要な構成である不織布フィルター21が空気アレ
ルゲン含有空気の入口に位置するよう配置される。
【0089】このように実施例12に係る空調機は、エ
アコンの空気取り込み口にアレルゲン不活性フィルター
14を配置した構成になっている。そのため、空調機が
OFFの時、フィルター14の電熱ヒータ13をONに
して面発熱体12を発熱させることにより、高温状態に
保持された面発熱体12で花粉粒子やダニが捕獲され、
ここでアレルゲン蛋白質の変性が起こり、アレルゲンと
しての活性が失われる。ステンレス面発熱体12からは
アレルゲン軽減空気が通過する。なお、前記電熱ヒータ
13には空調機の電源を利用する。
【0090】エアコン、空気清浄機などの空調機に、本
発明のアレルゲン分解機能を付加することで住環境の著
しい改善が図れる。
【0091】
【発明の効果】本発明に従うと、アレルゲンを特異的に
排除する方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従うアレルゲン不活性フィルターの例
を示す図。
【図2】本発明に従うアレルゲン不活性フィルターの例
を示す図。
【図3】本発明に従うアレルゲン不活性フィルターの例
を示す図。
【図4】ウエスタンブロッティングの結果の模式図。
【図5】ウエスタンブロッティングにより得た検量線を
示すグラフ。
【図6】サンプル中にダニアレルゲンが多量に存在する
場合に得られるバンドが示されたダニスキャンの模式
図。
【図7】ダニスキャン上のバンドの位置と発色強度の関
係を示すグラフ。
【図8】ダニ抽出物中に存在するダニアレルゲンに関す
る検量線を示すグラフ。
【図9】熱処理時間とサンプル中のダニアレルゲン量の
関係を示すグラフ。
【図10】反応後のダニスキャンに見られるバンドを模
式的に示した図
【図11】反応後のダニスキャンに見られるバンドを模
式的に示した図
【図12】反応後のダニスキャンに見られるバンドを模
式的に示した図
【図13】反応後のダニスキャンに見られるバンドを模
式的に示した図
【図14】反応後のダニスキャンに見られるバンドを模
式的に示した図
【図15】図1のアレルゲン不活性フィルターを空気の
入口側に取り付けた本発明に係る空調機を示す図。
【符号の説明】
1.ちり採取器 2.サンプル添加部 3.バンド
11.不織布フィルター 12.繊維状面発熱体
13.電熱ヒータ 14.アレルゲン不活性フィ
ルター 21、22.不織布フィルター 31.第
1の支持体 32.吸水性ポリマー 33.第2の
支持体 34.吸水性ポリマー層 35.アレルゲ
ン不活性フィルター 42.エアコン用冷却ユニット
43.筐体 44.ファン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹内 直和 愛知県名古屋市中村区岩塚町字九反所60番 地の1 中菱エンジニアリング株式会社内 Fターム(参考) 2E191 BA11 BB00 BD11 3L051 BB05

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱、アルカリ、酸およびプロテアーゼか
    らなる群より選択される1の存在する条件下にアレルゲ
    ンを維持することにより、前記アレルゲンを不活性化す
    る方法。
  2. 【請求項2】 アルカリ、酸およびプロテアーゼからな
    る群より選択される1と熱の存在する条件下にアレルゲ
    ンを維持することにより、前記アレルゲンを不活性化す
    る方法。
  3. 【請求項3】 プロテアーゼと尿素の存在する条件下に
    アレルゲンを維持することにより、前記アレルゲンを不
    活性化する方法。
  4. 【請求項4】 更に熱も存在することを特徴とする請求
    項3に記載の前記アレルゲンを不活性化する方法。
  5. 【請求項5】 請求項1から4の何れか1項に記載のア
    レルゲンを不活化する方法を行うためのアレルゲン不活
    性部を具備する空調機。
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