JP2003178721A - 無電極放電ランプ - Google Patents

無電極放電ランプ

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JP2003178721A
JP2003178721A JP2001374154A JP2001374154A JP2003178721A JP 2003178721 A JP2003178721 A JP 2003178721A JP 2001374154 A JP2001374154 A JP 2001374154A JP 2001374154 A JP2001374154 A JP 2001374154A JP 2003178721 A JP2003178721 A JP 2003178721A
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Kiyoshi Hashimotoya
磨志 橋本谷
Akira Hochi
保知  昌
剛 ▲荒▼川
Takeshi Arakawa
Mitsuharu Kawasaki
充晴 川▲崎▼
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 効果的な冷却および低コスト化を達成できる
とともに、ランプ効率の低下を防止できる無電極放電ラ
ンプを提供する。 【解決手段】 バルブ10の凹入部10aに挿入され、
コア30aと巻線30bとからなる誘導コイル30と、
誘導コイル30に電力を供給する電源回路40と、電源
回路40を収容するハウジング50と、誘導コイル30
に沿って設けられた第1の熱伝導部材70とを備えた無
電極放電ランプ100である。第1の熱伝導部材70
は、電源回路40側に設けられた第2の熱伝導部材90
に熱的に接続されており、バルブ10と第2の熱伝導部
材90との間には、フェライトから構成された磁場遮蔽
部材80が設けられている。磁場遮蔽部材80を構成す
るフェライトの比透磁率は、コア30aの比透磁率より
も小さく、磁場遮蔽部材80は、バルブ10内に発生す
るプラズマの位置を制御するプラズマ位置制御手段とし
て機能する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無電極放電ランプ
に関する。特に、電球形蛍光ランプとして構成された無
電極放電ランプに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、地球環境保護と経済性の視点か
ら、電球に比べて効率が約5倍高い有電極の電球形蛍光
ランプが、住宅やホテルなどにおいて電球代替用として
広く利用されてきている。さらに、最近、従来から存在
する有電極の電球形蛍光ランプの他に、無電極の電球形
蛍光ランプが普及し始めている。無電極蛍光ランプは、
電極が無いことから寿命が有電極蛍光ランプに比べて更
に長いことが特徴であり、今後ますます普及していくこ
とが期待される。
【0003】そのような電球形無電極蛍光ランプは、例
えば、特願2000−086114号明細書に開示され
ている。同公報に開示された電球形無電極蛍光ランプを
図17に示す。
【0004】図17に示した電球形無電極蛍光ランプ1
000は、装置全体として電球形状を有している。より
具体的に説明すると、このランプ1000は、透光性の
放電容器101と、放電容器101の凹入部101a内
に挿入されたコイル103と、コイル103に交流電流
を供給する電源回路104とから構成されている。コイ
ル103は、略棒状のフェライトコア103aと巻線1
03bとから構成されており、巻線103bは、電源回
路104に接続されている。電源回路104は、プラス
チック製のハウジング105によって覆われており、そ
して、ハウジング105の一部に設けられた口金106
を介して、電源回路104の入力電力は供給されること
になる。
【0005】放電容器101の内部には、発光物質とし
て水銀とアルゴンが封入されており、放電容器101の
内面には、蛍光体層102が形成されている。この蛍光
体層102によって、放電容器101内で発生した紫外
線は、可視光に変換されることになる。凹入部101a
のコイル103側の面には、巻線103bの巻回方向に
沿って、電気絶縁性の第1の熱伝導部材107が配置さ
れている。第1の熱伝導部材107は、電気絶縁性の第
2の熱伝導部材108に熱的に接続されており、それに
よって、放電動作中に放電容器101内で発生するプラ
ズマ発生熱のうち、コイル103に伝達された熱は、第
1の熱伝導部材1から第2の熱伝導部材2を経て、さら
にハウジング105を介してランプ外に放熱される。こ
れにより、巻線103bの温度低下を実現できる。ま
た、第1熱伝導部材107および第2の熱伝導部材10
8ともに、電気絶縁性であるので、コイル103から発
生する磁界による渦電流損失もなくすることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本願出願人は、図17
に示したようなタイプの電球形無電極蛍光ランプのコイ
ルを効果的に冷却できる構造を、低コストで実現すべく
鋭意研究し、その結果、そのような構造の電球形無電極
蛍光ランプを完成させることに成功し、特願2001−
210063号(出願日;平成13年7月10日)に開
示した。そのランプの構成を図18に示す。なお、説明
の簡潔化を図るために、図17中の構成要素と実質的に
同一の機能を有する構成要素については、同一の参照符
号を付してその説明を省略する。
【0007】図18に示したランプ2000は、図17
に示したランプ1000と比べて、放電容器101と、
第2の熱伝導部材108との間に、フェライトディスク
110が設けられている点が大きく異なる。このフェラ
イトディスク110を設けた構成にすることにより、第
2の熱伝導部材108が熱伝導部材(例えば、銅)であ
っても、第2の熱伝導部材108に渦電流がほとんど生
じないようにすることができる。すなわち、フェライト
ディスク110によって、点灯中に放電容器101内に
生じる磁場(電磁界)が、フェライトディスク110よ
りも電源回路104側に位置する第2の熱伝導部材10
8に実質的に達しなくなるため、第2の熱伝導部材10
8として銅製の部材を用いても、第2の熱伝導部材10
8に渦電流が生じないようにすることができる。ランプ
1000で用いた電気絶縁性の第2の熱伝導部材108
(セラミック製の部材108)よりも、銅製の第2の熱
伝導部材108の方が、高い熱伝導率を有するので、ラ
ンプ2000の構成の方がコア103aをより効果的に
冷却することができる。加えて、銅は、セラミックより
も安価で、加工性に優れているので、より低コスト化を
図ることが可能となる。
【0008】ランプ2000の第2の熱伝導部材108
は、より放熱性を向上させるために、円筒部108aを
備えている。また、放電容器101内に生じる磁束が、
第2の熱伝導部材108および円筒部108aに達しな
いように、フェライトディスク110は、第2の熱伝導
部材108および円筒部108aの外径よりも大きくし
た部分111を有している。第1の熱伝導部材107
は、銅製のチューブであり、円筒状のコア103aの内
部に設けられており、フェライトディスク110の中央
部に位置する開口部を通じて、第2の熱伝導部材(プレ
ート)108に連結されている。第1の熱伝導部材10
7のチューブ内には、放電容器101の排気細管101
bが挿入されている。放電容器101の内壁には、図示
しないが、保護膜や蛍光体層、場所によっては反射膜も
形成されている。
【0009】しかしながら、ランプ2000には、次の
ような問題が生じることを本願発明者は見出した。すな
わち、フェライトディスク110を用いると、より効果
的な冷却および低コスト化を達成することができるもの
の、そのフェライトの磁性の影響により、放電容器10
1内に生じるプラズマが口金106側へ移動し、ランプ
効率が悪くなるという問題である。
【0010】この問題は、電球形無電極蛍光ランプをベ
ースアップで使用する場合に特に顕著になる。この場
合、点灯中に放電容器101内の対流にて生じる浮力
と、フェライトディスク110の磁性の影響とによっ
て、プラズマがより大きく口金106側へ移動してしま
い、その結果、放電容器101から出射する光の量が減
ってしまう。つまり、本来、放電容器101の中央部に
プラズマの中心が位置するようにランプは設計されてい
たのであるが、プラズマが口金106に移動すると、透
光性でないハウジング105の方へ出射する光の割合が
増え、その結果、放電容器101から外部へ出る光の総
量が減ってしまう。
【0011】また、放電容器101が略球形の場合に
は、放電容器101の中央部よりも、放電容器101内
の口金106側の部分の方が狭くなる構造をしているの
で、プラズマが口金106側へ移動すると、放電容器1
01の内壁による抵抗が大きくなり、それゆえ、両極性
拡散で失われる電子の数が増大することになる。このた
め、放電を維持するためにより多くの電子を必要とし、
その結果、投入電力が増大する。すなわち、放電容器1
01中の封入ガスを励起してある一定量の紫外放射を発
生させるために必要な投入電力が増大する。したがっ
て、放射効率が低下することとなり、ランプ効率が低下
する。
【0012】本発明はかかる諸点に鑑みてなされたもの
であり、その主な目的は、効果的な冷却および低コスト
化を達成できるとともに、ランプ効率の低下を防止でき
る無電極放電ランプを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明による第1の無電
極放電ランプは、凹入部を有し、発光物質が封入された
バルブと、前記バルブの前記凹入部に挿入され、コアと
巻線とからなる誘導コイルと、前記誘導コイルに電力を
供給する電源回路と、前記電源回路を収容するハウジン
グと、前記誘導コイルに沿って設けられた第1の熱伝導
部材とを備え、前記第1の熱伝導部材は、前記電源回路
側に設けられた第2の熱伝導部材に熱的に接続されてお
り、前記バルブと前記第2の熱伝導部材との間には、フ
ェライトから構成された磁場遮蔽部材が設けられてお
り、前記磁場遮蔽部材を構成する前記フェライトの比透
磁率は、前記コアの比透磁率よりも小さく、それによっ
て、前記磁場遮蔽部材は、前記バルブ内に発生するプラ
ズマの位置を制御するプラズマ位置制御手段として機能
する。
【0014】前記コアの比透磁率は、2000以上であ
り、前記フェライトの比透磁率は、13以上、100以
下であることが好ましい。
【0015】ある好適な実施形態において、前記磁場遮
蔽部材および前記第2の熱伝導部材は、前記ハウジング
内に設けられており、前記第2の熱伝導部材は、金属か
ら構成されている。
【0016】前記磁場遮蔽部材は、前記第1の熱伝導部
材および前記第2の熱伝導部材の両者に熱的に接続され
ていることが好ましい。
【0017】ある好適な実施形態において、前記電源回
路の周波数は、50kHz以上、1MHz以下である。
【0018】前記電源回路の周波数は、50kHz以
上、500kHz以下であることが好ましい。
【0019】本発明による第2の無電極放電ランプは、
凹入部を有し、発光物質が封入されたバルブと、前記バ
ルブの凹入部に挿入され、コアと巻線とからなる誘導コ
イルと、前記誘導コイルに電力を供給する電源回路と、
前記電源回路を収容するハウジングと、前記誘導コイル
に沿って設けられた第1の熱伝導部材とを備え、前記第
1の熱伝導部材は、前記電源回路側に設けられた第2の
熱伝導部材に熱的に接続されており、前記バルブと前記
第2の熱伝導部材との間には、磁場を遮蔽する機能を有
するフェライトディスクが設けられており、前記フェラ
イトディスクの比透磁率は、前記コアの比透磁率よりも
小さく、それによって、前記バルブ内に発生するプラズ
マの位置を制御するプラズマ位置制御手段として機能
し、前記第2の熱伝導部材は、少なくともディスク状部
分を有しており、前記フェライトディスクのディスク直
径をD1とし、前記第2の熱伝導部材における前記ディ
スク状部分のディスク直径をD2としたとき、D2≦D
1≦1.1×D2の関係を満たす。
【0020】本発明による第3の無電極放電ランプは、
凹入部を有し、発光物質が封入されたバルブと、前記バ
ルブの凹入部に挿入され、コアと巻線とからなる誘導コ
イルと、前記誘導コイルに電力を供給する電源回路と、
前記電源回路を収容するハウジングと、前記誘導コイル
に沿って設けられた第1の熱伝導部材とを備え、前記第
1の熱伝導部材は、前記電源回路側に設けられた第2の
熱伝導部材に熱的に接続されており、前記バルブと前記
第2の熱伝導部材との間には、フェライトから構成され
た磁場遮蔽部材が設けられており、前記磁場遮蔽部材を
構成する前記フェライトの比透磁率は、前記コアの比透
磁率よりも小さく、それによって、前記磁場遮蔽部材
は、前記バルブ内に発生するプラズマの位置を制御する
プラズマ位置制御手段として機能し、前記磁場遮蔽部材
は、ディスク状の形状を有しており、前記第2の熱伝導
部材は、ディスク状部分と、当該ディスク状部分の周辺
部に設けられた壁部とを含む。
【0021】前記第2の熱伝導部材の前記壁部は、前記
ハウジングに接触していることが好ましい。
【0022】本発明による第4の無電極放電ランプは、
凹入部を有し、発光物質が封入されたバルブと、前記バ
ルブの凹入部に挿入され、コアと巻線とからなる誘導コ
イルと、前記誘導コイルに電力を供給する電源回路と、
前記電源回路を収容するハウジングと、前記誘導コイル
に沿って設けられた第1の熱伝導部材とを備え、前記第
1の熱伝導部材は、前記電源回路側に設けられた第2の
熱伝導部材に熱的に接続されており、前記バルブと前記
第2の熱伝導部材との間には、フェライトから構成され
た磁場遮蔽部材が設けられており、前記磁場遮蔽部材を
構成する前記フェライトの比透磁率は、前記コアの比透
磁率よりも小さく、それによって、前記磁場遮蔽部材
は、前記バルブ内に発生するプラズマの位置を制御する
プラズマ位置制御手段として機能し、前記磁場遮蔽部材
は、径方向について比透磁率が不均一となる構成のディ
スク状の部材であり、前記第2の熱伝導部材は、少なく
ともディスク状部分を有している。
【0023】本発明による第5の無電極放電ランプは、
凹入部を有し、発光物質が封入されたバルブと、前記バ
ルブの凹入部に挿入され、コアと巻線とからなる誘導コ
イルと、前記誘導コイルに電力を供給する電源回路と、
前記電源回路を収容するハウジングと、前記誘導コイル
に沿って設けられた第1の熱伝導部材とを備え、前記第
1の熱伝導部材は、前記電源回路側に設けられた第2の
熱伝導部材に熱的に接続されており、前記バルブと前記
第2の熱伝導部材との間には、フェライトから構成され
た磁場遮蔽部材が設けられており、前記磁場遮蔽部材を
構成する前記フェライトの比透磁率は、前記コアの比透
磁率よりも小さく、それによって、前記磁場遮蔽部材
は、前記バルブ内に発生するプラズマの位置を制御する
プラズマ位置制御手段として機能し、前記磁場遮蔽部材
は、ディスク状の形状を有しており、前記第2の熱伝導
部材は、少なくともディスク状部分を有しており、前記
磁場遮蔽部材と前記第2の熱伝導部材との間には、空隙
が設けられている。
【0024】本発明による第5の無電極放電ランプは、
凹入部を有し、発光物質が封入されたバルブと、前記バ
ルブの凹入部に挿入され、コアと巻線とからなる誘導コ
イルと、前記誘導コイルに電力を供給する電源回路と、
前記電源回路を収容するハウジングと、前記誘導コイル
に沿って設けられた第1の熱伝導部材とを備え、前記第
1の熱伝導部材は、前記電源回路側に設けられた第2の
熱伝導部材に熱的に接続されており、前記コアは、当該
コアの軸方向に沿って比透磁率の異なる部分を有し、そ
れによって、前記コアは、前記バルブ内に発生するプラ
ズマの位置を制御するプラズマ位置制御手段として機能
する。
【0025】ある好適な実施形態において、前記バルブ
の形状は、略球形であり、前記バルブの内面には、蛍光
体層が形成されている。
【0026】さらに、前記電源回路に電気的に接続され
た口金を備え、電球形蛍光ランプとして構成されている
ことが好ましい。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら、本発
明による実施の形態を説明する。以下の図面において
は、説明の簡潔化のため、実質的に同一の機能を有する
構成要素を同一の参照符号で示す。なお、本発明は以下
の実施形態に限定されない。 (実施形態1)図1は、本発明による実施形態1にかか
る無電極放電ランプ100の断面構成を模式的に示して
いる。
【0028】図1に示したランプ100は、ベースアッ
プ状態にされた電球形の無電極放電蛍光ランプである。
ランプ100は、発光物質が封入されるバルブ(放電容
器)10と、バルブ10の凹入部10aに挿入された誘
導コイル30と、誘導コイル30に電力を供給する電源
回路40とを有している。誘導コイル30は、コア30
aと、コア30aに巻き付けられた巻線30bとからな
り、巻線30bは、電気回路40に電気的に接続されて
いる。電気回路40は、ハウジング50内に収容されて
おり、ハウジング50の上部には、口金60が取り付け
られている。口金60は、電源回路40に電気的に接続
されており、口金60によって入力電力を供給すること
ができる。
【0029】ランプ100においては、誘導コイル30
の放熱機能を果たす第1の熱伝導部材70が誘導コイル
30に沿って設けられている。この第1の熱伝導部材7
0は、電源回路40側に設けられた第2の熱伝導部材9
0に熱的に接続されており、そして、バルブ10と第2
の熱伝導部材90との間には、フェライトから構成され
た磁場遮蔽部材80が設けられている。磁場遮蔽部材8
0を構成するフェライトは、透磁率の高いソフト磁性材
料であるので、磁場遮蔽部材80によって、点灯中にバ
ルブ10内に生じる磁場(電磁界)の磁束が、磁場遮蔽
部材80よりも電源回路40側へ延びることを防止する
ことができる。その結果、第2の熱伝導部材90の材料
の自由度が高まり、例えば、熱伝導性に優れた金属(例
えば、銅)から第2の熱伝導部材90を構成しても、磁
場遮蔽部材80のシールド効果により、第2の熱伝導部
材90における渦電流の発生を抑制することができる。
ここで、磁場遮蔽部材80を構成するフェライトの比透
磁率は、コア30aの比透磁率よりも小さくなるように
構成されている。この構成により、磁場遮蔽部材80
は、シールド機能を発揮するだけでなく、点灯中にバル
ブ10内に形成されるプラズマの位置を制御する機能も
発揮する。換言すると、磁場遮蔽部材80は、磁場を遮
断する手段として機能するとともに、プラズマの位置を
制御する手段としても機能する。この磁場遮断部材80
が、プラズマの位置を制御できる機構の詳細は後述す
る。
【0030】本実施形態のバルブ10は、略球形の形状
をしており、バルブ10の中には、例えば、水銀と希ガ
ス(例えばアルゴン)が封入されている。水銀は、液体
またはアマルガムとして封入され、動作時のプラズマに
よって加熱され、その温度で規定される蒸気圧となる。
バルブ10の内容積は、例えば、100〜270cm 3
であり、そしてバルブ10内には、2〜10mgの水
銀、封入圧力50〜300Pa(25℃時)のアルゴン
が封入されている。バルブ10の内壁には、蛍光体から
なる蛍光体層(不図示)が形成されている。なお、蛍光
体層の他に、例えばアルミナ等からなる保護膜や、反射
膜も形成してもよい。本実施形態では、突出部の無いの
バルブ10を示しているが、図18に示すような最冷点
を規定するための突出部を設けたバルブを用いても良
い。本実施形態におけるバルブ10の中心の外径は、5
0〜90mm(肉厚;約1mm)であり、バルブ10
は、例えば、ソーダライムガラスから構成されている。
バルブ10の高さ、および口金を含むランプ100の高
さは、それぞれ、例えば、60〜80mm、130〜2
40mmである。そして、バルブ10の凹入部10aの
内径は、例えば、16〜26mmである。
【0031】バルブ10の凹入部10aに挿入される誘
導コイル30のコア30aは、Mn−Znフェライトか
ら構成されており、その比透磁率は、2000以上(例
えば、2300)である。コア30aは、略筒状の形状
を有しており、そのコア30aの筒内に、第1の熱伝導
部材70が配置されている。より詳細に述べると、第1
の熱伝導部材70は、コア30aの内面に接しており、
そして、巻線30bの巻回軸方向に沿って配置されてい
る。第1の熱伝導部材70は、熱伝導性に優れる金属
(例えば、銅)から構成されており、その熱導電率は、
例えば、約400W/m・Kである。この例では、第1
の熱伝導部材70は、管状構造を有しており、この第1
の熱伝導部材70(例えば、銅製の円管)の管内に、バ
ルブ10の排気細管10bが貫通している。
【0032】また、バルブ10と第2の熱伝導部材90
との間に配置される磁場遮蔽部材80は、フェライトデ
ィスク(例えば、フェライト製の円板)であり、このフ
ェライトディスク80は、第1の熱伝導部材70の円管
と略直角となるように配置されている。フェライトディ
スク80の比透磁率は、約13以上であり、フェライト
コア30aの比透磁率の値より小さい。好ましくは、フ
ェライトディスク80の比透磁率は、約13以上、約1
00以下であり、例えば30である。また、フェライト
ディスク80の熱伝導率は、例えば、約5W/m・Kで
ある。フェライトディスク80の中心部には、第1の熱
伝導部材(例えば、銅製の円管)70およびバルブ10
の排気細管10bを通す開口部が形成されている。フェ
ライトディスク80の電源回路40側には、フェライト
ディスク80に接するようにして、少なくともディスク
状部分92を有する第2の熱伝導部材90が位置してい
る。
【0033】本実施形態における第2の熱伝導部材90
は、フェライトディスク80に接触しているディスク状
部分92と、当該ディスク状部分92の周辺部に設けら
れた、円筒状の壁部94とを含んでいる。言い換える
と、第2の熱伝導部材90は、ディスク状部分92に、
円筒状の壁部94を設けた構成をしている。このような
構成にすることによって、ディスクだけの構成よりも、
第2の熱伝導部材90の表面積を大きくすることがで
き、その結果、放熱性を向上させることができる。ま
た、壁部94を設けることにより、第2の熱伝導部材の
保持性も向上する。
【0034】第2の熱伝導部材90は、第1の熱伝導部
材70と同様に、熱伝導性に優れる金属(例えば、銅)
から構成されており、その熱導電率は、例えば、約40
0W/m・Kである。本実施形態では、第2の熱伝導部
材90の壁部94をハウジング50の一部に接触させ、
それによって、さらに放熱性を向上させている。また、
フェライトディスク80の側面もハウジング50に接触
させており、それゆえ、第2の熱伝導部材90およびフ
ェライトディスク80は、ハウジング80と熱的に接続
されている。なお、これらは熱的に接続されていれば良
いので、第2の熱伝導部材90、フェライトディスク8
0、ハウジング80の間に、熱伝導性の良好な部材(例
えば、グリス)が介在してもよい。勿論、それぞれ直接
接合されていてもよい。
【0035】シールド機能を有するフェライトディスク
80は、ディスク状部分92よりも突き出た部分(突出
部)82を有しており、言い換えると、フェライトディ
スク80の直径は、ディスク状部分92の直径よりも大
きくされている。この突出部82によって、点灯中に生
じる磁場の磁束が、第2の熱伝導部材90(92,9
4)にまで回り込まないようにして、金属製の第2の熱
伝導部材90に渦電流が生じることを抑制している。
【0036】ハウジング50内に設けられた電源回路4
0は、口金60を介して入力された商用交流電力を高周
波交流電力に変換し、巻線30aに供給する機能を有し
ている。電源回路40は、回路を構成する電子部品(例
えば、半導体素子、コンデンサ、抵抗、コイルなど)
と、これらの電子部品を配設するためのプリント基板と
から構成されている。電源回路40を収容するハウジン
グ50は、耐熱性の材料から構成されており、本実施形
態では、耐熱性の樹脂(例えば、ポリブチレンテレフタ
レート)から構成されている。また、より放熱性を向上
させるために、熱伝導性に優れた材料(例えば、金属な
ど)からハウジング50を構成することも可能である。
【0037】次に、本実施形態にかかるランプ100の
動作を説明する。口金60を介して、電源回路40に商
用交流電力が供給されると、電源回路40は、商用交流
電力を高周波交流電力に変換して、巻線30bに供給す
る。電源回路40が供給する交流電流の周波数は、例え
ば、50〜500kHzであり、そして、供給する電力
は、例えば、5〜200Wである。巻線30bが高周波
交流電力の供給を受けると、誘導コイル30は、その近
傍の空間に高周波交流磁界を形成する。すると、当該高
周波交流磁界に直交するように誘導電界が生じ、バルブ
10の内部の発光ガスが励起発光し、その結果、紫外域
もしくは可視域の発光が得られる。紫外域の発光は、バ
ルブ10の内壁に形成された蛍光体層(不図示)によっ
て、可視域の発光(可視光)に変換される。なお、蛍光
体層を形成せずに、紫外域の発光(または、可視域の発
光)をそのまま利用するランプを構成することも可能で
ある。紫外域の発光は、主として、水銀から生じる。詳
述すると、バルブ10に近接させた誘導コイル30に高
周波電流を流した場合、電磁誘導による磁力線によって
形成された誘導電界により、バルブ10内の水銀原子と
電子との衝突が起き、それにより、励起した水銀原子か
ら紫外線が得られる。
【0038】ここで、電源回路40が供給する交流電流
の周波数について説明する。本実施形態において、電源
回路40が供給する交流電流の周波数は、実用的に一般
的に使用されているISM帯の13.56MHzまたは
数MHzと比べると、1MHz以下(例えば、50〜5
00kHz)の比較的低い周波数の領域である。この低
周波数領域の周波数を使用する理由を述べると、次のよ
うである。まず、13.56MHzまたは数MHzのよ
うな比較的高い周波数領域で動作させる場合、電源回路
(高周波電源回路)40から発生するラインノイズを抑
制するためのノイズフィルタが大型となり、電源回路4
0の体積が大きくなってしまう。また、ランプから放射
または伝播されるノイズが高周波ノイズの場合、高周波
ノイズには非常に厳しい規制が法令にて設けられている
ため、その規制をクリアーするには、高価なシールドを
設けて使用する必要があり、コストダウンを図る上で大
きな障害となる。一方、50kHz〜1MHz程度の周
波数領域で動作させる場合には、電源回路40を構成す
る部材として、一般電子機器用の電子部品として使用さ
れている安価な汎用品を使用することができるととも
に、寸法の小さい部材を使用することが可能となるた
め、コストダウンおよび小型化を図ることができ、利点
が大きい。ただし、本実施形態のランプ100は、1M
Hz以下の動作に限らず、13.56MHzまたは数M
Hz等の周波数の領域においても動作させ得るものであ
る。
【0039】次に、磁場遮蔽部材80が、プラズマの位
置を制御する機構について説明する。まず、当該機構を
説明する前に、図2を参照しながら、フェライトディス
クによって、プラズマの中心が口金60側に移動する量
について説明する。
【0040】図2は、ランプ100の要部拡大図であ
り、誘導コイル30と、第1の熱伝導部材70と、フェ
ライトディスク80と、第2の熱伝導部材90との各構
成を模式的に示している。
【0041】図2中のS0は、フェライトディスク80
が無い場合のプラズマの中心位置を表しており、一方、
S1は、フェライトディスク80を設けた場合のプラズ
マの中心位置を表している。そして、Δhは、フェライ
トディスク80が存在することにより、プラズマの中心
が口金60側にシフトする距離(以下、「シフト距離」
という。)を表している。図2に示した例では、フェラ
イトディスク80による効果に着目して説明するため、
浮力の影響は無視し、フェライトディスク80の無い場
合のプラズマの中心位置は、誘導コイル30の中央部の
垂直断面上、より正確には、巻線30bの中央部の垂直
断面上に存在するものとする。ここで、「プラズマの中
心」とは、蛍光体を塗布しない透明バルブの放射輝度分
布を測定し、この輝度値が極大となる軌跡からなるリン
グ状の部位を意味するものとする。このように定義した
のは、プラズマの中心は、実際に目視にて特定しきれな
いからである。また、「輝度値が極大となる軌跡」とし
た理由は、バルブ10内に形成されるプラズマは、誘導
コイル30の周りにドーナツ状に形成されるため、最大
点のような一点を特定するのが難しいからである。した
がって、バルブ10内のある特定の一つの部位をプラズ
マの中心とすることは避けて、放射輝度が高い極大点を
結んでなるリング状の部位をプラズマ中心としている。
【0042】本願発明者は、コア30aの比透磁率μを
2300と一定とした上で、フェライトディスク80の
比透磁率μを変化させて、シフト距離Δhがどのように
変化するかを電磁場シミュレーション解析によって調べ
た。つまり、フェライトディスク80の比透磁率μをパ
ラメータとして、誘導コイル30中央部垂直断面上から
口金60側へ、プラズマ中心がシフトしたシフト距離Δ
hを調べた。この電磁場シミュレーション解析では、プ
ラズマ中心位置は、単位面積当たりの電磁エネルギー流
量を表すポインティング・ベクトルを電磁場空間で算出
することにより求めた。これと共に、蛍光ランプの効率
に影響する渦電流損失Weの値(W)も算出した。な
お、この渦電流損失は、主に、電気伝導性を有する第2
の熱伝導部材90で発生するものであり、フェライトデ
ィスク80の磁場遮蔽効果によって、その大きさは変化
する。
【0043】電磁場シミュレーション解析の計算条件と
して、誘導コイル30のコア30aの長さを50mmと
し、巻線30bの長さを40mmとし、巻数を66ター
ンとし、フェライトディスク80の直径を50mmと
し、第2の熱伝導部材90の直径を44mmとし、電源
回路40の周波数を100kHzとし、印加電圧を34
0Vとした。その電磁場シミュレーション解析結果を図
3に示す。図3では、フェライトディスク80の比透磁
率μを横軸にとり、一方の縦軸にシフト距離Δh(m
m)をとり、そして、もう一方の縦軸に渦電流損失We
(W)をとっている。
【0044】ランプ効率の低下を抑制するためには、渦
電流損失Weおよびシフト距離△hの両者とも小さい方
が良いのであるが、図3からわかるように、渦電流損失
Weは、比透磁率μが大きいほど小さくなり、一方、シ
フト距離△hは、比透磁率μが小さいときに小さくな
る。つまり、両者はトレードオフの関係にある。ただ
し、渦電流損失Weは、比透磁率μが30より高くなる
とほぼ一定となり、その値は、シフト距離△hが一定値
に近づく値よりも小さい。このことを考慮すると、ラン
プ効率の低下を最低限に抑えるのに、好適な比透磁率μ
の範囲が存在することがわかる。
【0045】そこで、本願発明者は、18Wの試作ラン
プを作製して、シフト距離△hが増大することによって
ランプ光束がどの程度低下するかを実験的に検討した。
その結果を図4に示す。図4の横軸は、シフト距離Δh
(mm)を表し、そして、縦軸は、プラズマ中心がシフ
トすることによるランプ光束の低下ΔF(lm)を表し
ている。なお、シフト距離Δhが0mmのときを、ラン
プ光束の低下ΔF(lm)の基準としている。シフト距
離Δhが0mmのときの試作ランプの全光束は、渦電流
損失が無い理想的な条件では1450lmであった。図
4からわかるように、シフト距離Δhが大きくなるほ
ど、ランプ光束の低下ΔFは大きくなる。
【0046】さらに、図3および図4の結果をもとにし
て、フェライトディスク80の比透磁率μをパラメータ
として変化させたときに、これによってシフト距離Δh
と渦電流損失Weとが変化し、結果として生ずるランプ
光束低下ΔF(lm)を求めた。その結果を図5に示
す。図5中の菱形点は、解析計算により算出された値で
あり、曲線は、これらの点をスプライン補間したもので
ある。なお、渦電流損失による光束低下は、試作ランプ
の光束測定値をもとに損失1Wあたり80lmとして求
めた。
【0047】図5からわかるように、シフト距離および
渦電流損失の影響による光束低下を同時に抑制するため
には、フェライトディスク80の比透磁率を点A(四
角)未満にしないようにすることが好ましい。点Aは、
比透磁率13であるので、フェライトディスク80の比
透磁率は、13以上の範囲にすることが好ましい。ただ
し、フェライトコアの比透磁率(例えば、2000程
度)にまで、フェライトディスク80の比透磁率を大き
くしてしまうと、プラズマ位置のシフトによる弊害が大
きくなってしまうので、その範囲は、例えば、点Aから
点Dの範囲α(13以上、100以下)にすることが好
ましい。フェライトディスク80の比透磁率を範囲α内
にした場合、図5に示すように、その光束低下(ΔF)
は、84lmであり、理想的な条件での光束に対する光
束低下を6%以下に抑えることが可能となっている。
【0048】より好ましくは、フェライトディスク80
の比透磁率をB点(比透磁率20)からC点(比透磁率
60)の範囲β内にする。この範囲β内にすることによ
って、プラズマ中心シフトと渦電流損失による光束低下
をさらに低くことができる。さらには、フェライトディ
スク80の比透磁率を、80lmよりも小さく抑えるこ
とができる範囲にすることがより望ましい。以上の検討
の下、本実施形態では、光束低下を効果的に抑制できる
ように、範囲αまたはβ内の透磁率を有するNi−Zn
フェライトからフェライトディスク80を構成してい
る。
【0049】本実施形態では、誘導コイル30のコア3
0aの材料として、比透磁率が比較的高い比透磁率23
00のMn−Znフェライトを用いている。このような
高い比透磁率を有するフェライトにより強い磁界を形成
することが可能であり、そして、発光ガスの励起のため
に大きな電磁エネルギーを供給することができる。誘導
コイル30によって供給される電磁エネルギーは、フェ
ライトのコア30aの軸方向のほぼ中央部が大きくな
り、より厳密には、巻線30bの巻かれる領域の中央部
と直交する断面上が最も大きくなるため、この断面上に
おいて、バルブ10内のプラズマはコア30aの周りに
リング状に形成される。
【0050】このリング状のプラズマは、フェライト製
の磁場遮蔽部材80の磁性の影響を受けるので、口金6
0側にシフトすることになるのであるが、比透磁率が範
囲α(13以上、100以下)または範囲β(20以
上、60以下)内にあるNi−Znフェライトから、磁
場遮蔽部材80を構成しているので、この磁場遮蔽部材
80にプラズマ位置制御の機能を持たせることができ
る。したがって、プラズマ中心が口金60側にシフトす
る距離を抑えて、プラズマの位置の制御することによ
り、光束低下を効果的に抑制することができる。つま
り、本実施形態における磁場遮蔽部材80を用いると、
プラズマ中心が口金60側にシフトするシフト距離Δh
と渦電流損失Weとを共に小さく抑えることができ、図
18に示したような無電極蛍光ランプと比べて、ランプ
効率を向上させることができる。加えて、プラズマの位
置を制御できることより、略球形のバルブ10を用いて
も、バルブ10の内壁によって受けるプラズマの抵抗が
大きくならないようにすることができる。したがって、
両極性拡散で失われる電子の数が増大することを抑制す
ることができ、その結果、安定放電の維持に必要な最低
電力を低減することも可能となる。
【0051】図6は、無電極蛍光ランプをベースアップ
状態で点灯したときの配光曲線を示しており、図6中の
点線は、フェライトディスク80の比透磁率が50のと
きを表し、一方、実線は、フェライトディスク80の比
透磁率が2300のときを表している。図6において、
0°と180°とが真横方向(水平方向)であり、27
0°が真下方向(垂直上方)、90°が真上方向(垂直
下方)である。
【0052】図6からわかるように、比較例となる比透
磁率が2300の場合(実線)、一番ポイントとなる2
70°の方向の光度が低下しており、したがって、配光
が良いとはいえない。一方、比透磁率が50の場合(点
線)、比較例のときのような270°の方向における凹
みは改善されており、比較例のときと比べて、配光が非
常に改善されていることがわかる。また、比透磁率が5
0の場合(点線)には、上述したように光束低下も抑制
されているので、比較例と比べて、各方向についての光
度も大きくなっている。このように、本実施形態のラン
プ100によれば、配光特性に優れた無電極放電ランプ
を実現することができる。つまり、磁場遮蔽部材である
フェライトディスク80をプラズマ位置制御手段として
機能させることにより、配光特性を向上させることがで
きる。
【0053】ランプ内で発生する熱は、ランプの動作や
ランプの効率に大きな影響を及ぼすが、本実施形態で
は、その熱を効果的に外部に放熱することができる。特
に、誘導コイル30のコア30aを構成するフェライト
は、安定な放電を維持するためにキュリー温度以下で動
作させる必要があるところ、本実施形態では、良好にキ
ュリー温度以下で動作させることが可能である。ランプ
内で発生する熱で最も大きいのはプラズマ発生熱である
が、本実施形態のランプは、このプラズマ発生熱を効果
的に外部に放熱できる構造を有している。より詳細に述
べると、本実施形態の構造では、プラズマ発生熱のうち
の約半分余りはバルブ10を通して外部に放熱され、残
りの約半分弱は誘導コイル30に与えられる。この誘導
コイル30に与えられる熱の大半は、熱伝導性の良い銅
製の第1の熱伝導部材70に伝導され、さらに、磁場遮
蔽部材であるフェライトディスク80および銅製の第2
の熱伝導部材90を介してハウジング50に伝達された
後、ハウジング50の外に放熱される。このような放熱
構造とすることによって、誘導コイル30のコア30a
の温度を、フェライトのキュリー温度以下に維持するこ
とができ、その結果、安定放電を確保することができ
る。
【0054】なお、本実施形態においては、第1の熱伝
導部材70および第2の熱伝導部材90を構成する材料
として、金属の中で最も熱伝導率の高い銅を用いたが、
これに限定されない。銅の他にも、金、銀、アルミニウ
ム、真鍮など、熱伝導率が例えば100W/m・K〜4
00W/m・Kの範囲の材料も良好に用いることができ
る。また、第1の熱伝導部材70を金属から構成した
が、第1の熱伝導部材70における渦電流損失を抑制し
たいならば、前記第1の熱伝導部材を、絶縁性の材料
(例えば、熱伝導性が比較的良好なセラミック等)から
構成してもよい。なお、第2の熱伝導部材90について
は、磁場遮蔽部材80によってその渦電流損失が抑制さ
れているので、価格が安く、熱伝導率が高い金属を用い
ればよい。ただし、第2の熱伝導部材90に絶縁性の材
料を用いることを排除するものではない。
【0055】本実施形態では、磁場遮蔽部材80を構成
する材料として、高い電気絶縁性と中程度の熱伝導性と
を備えたNi−Znフェライトを用いたが、これに限定
されず、他の材料(例えば、他のソフト磁性材料)を用
いてもよい。つまり、磁場遮蔽部材80は、渦電流損失
を抑制できる電気絶縁性と、中程度の熱伝導性という2
つの条件を満足するソフト磁性材料から構成されていれ
ば良く、例えば、フェライトから構成されている。誘導
コイル30のコア30aを構成する材料としては、発光
ガスを励起するために大きな電磁エネルギーを供給でき
るという観点から、比透磁率が2000〜3000と高
いフェライトが好適である。
【0056】本実施形態では、発光物質として水銀とア
ルゴンを使用しているが、水銀と組み合わせる物質とし
てはネオン、クリプトン、キセノンといった他の希ガス
も可能である。また、水銀を除いて、無水銀の無電極放
電ランプとしてもよい。 (実施形態2)次に、図7および図8を参照しながら、
本発明による実施形態2にかかる無電極放電ランプにつ
いて説明する。上記実施形態1では、磁場遮蔽効果をよ
り確実なものにするために、磁場遮蔽部材であるフェラ
イトディスク80のディスク直径D2を、第2の熱伝導
部材90のディスク部分92のディスク直径D3よりも
大きくしているが、本願発明者は、さらに、そのディス
ク直径D2とディスク直径D3とが、シフト距離△hお
よび渦電流損失に及ぼす影響を調べ、好適な関係を導き
だした。以下、さらに詳述する。なお、本実施形態およ
び後述する実施形態の説明の簡潔化のために、以下で
は、実施形態1と異なる点を主に説明し、実施形態1と
同様の点の説明は省略または簡略化する。
【0057】本願発明者は、電磁場シミュレーション解
析を用いて、シフト距離Δhと渦電流損失Weへの影響
を調べた。この解析においては、第2の熱伝導部材90
のディスク直径D3は44mm一定とした上で、フェラ
イトディスク80のディスク直径D2をパラメータとし
て、D2が30mm、40mm、50mmと変化させ
た。なお、誘導コイル30の形状、巻数、電源周波数な
どの条件は、上記実施形態1の構成と同様なので説明を
省略する。
【0058】電磁場シミュレーションの解析結果を図7
に示す。図7中の各点における数字は、シフト距離Δh
の値、または、渦電流損失Weの値を表している。図6
からわかるように、シフト距離Δhと渦電流損失Weと
は相反関係にあり、ディスク直径D2がディスク直径D
3(40mm)よりも大きくすれば、渦電流損失Weを
大幅に低減することができる。しかし、シフト距離は逆
に増大する。
【0059】そこで、本願発明者は、シフト距離Δhに
よる光束低下と、渦電流損失Weによる光束低下とを総
合的に評価するために、ディスク直径D2を、30m
m、40mm、50mmとした変化させたときの光束低
下をそれぞれ算定し、ディスク直径をどのようにするの
がランプ効率の点から得策であるかを検討した。以下、
その検討結果を説明する。
【0060】図8は、プラズマ中心のシフト及び渦電流
損失が無いときのランプ光束に対して、ディスク直径D
2とディスク直径D3との比(D2/D3)を変えたと
きに、ランプ光束がどのように低下するかを示したグラ
フである。図8において、横軸はD2/D3比を、縦軸
は光束低下ΔF(lm)を表す。そして、C1、C2、
C3は、それぞれ、フェライトディスク80の直径D2
が30mm、40mm、50mmの条件に対応する点を
表しており、カッコ内の数値は、それぞれの点における
横軸、縦軸の座標の値を表している。また、点C1から
点C2の間の光束低下ΔFがD2/D3の変化に対して
直線的に変化すると考えた上で、D2/D3比が1.0
および1.1としたときの光束低下ΔFを示す座標点
を、それぞれ、P1、P2として表している。
【0061】図8からわかるように、C2からC3へと
近づくほど、光束低下は小さくなる。すなわち、シフト
距離Δhと渦電流損失Weとによる光束低下を小さく抑
えるためには、D2/D3が約0.9よりも大きけれ
ば、大きい程良い。換言すれば、フェライトディスク8
0のディスク直径D2に比べて、第2の熱伝導部材90
のディスク直径D3を小さくするほど光束の低下が小さ
くなり、その結果、ランプ効率を高くすることができ
る。
【0062】図8から、例えばP1、P2の光束低下値
を読みとると、それぞれ、147lm、91lmであ
り、P1、P2では、それぞれ、光束低下をC2に対し
て約25%および54%低減することができる。したが
って、C1、C2の条件のランプに比べて、光束低下を
例えば約25%以内にするには、P1の横座標D2/D
3=1.0以上となるようなD2/D3値の条件にする
ことが望ましい。
【0063】一方、第2の熱伝導部材90は、熱伝導率
が高い銅製からなるので、本来、ヒートシンクとしての
機能を持つものである。本実施形態の構成では、第2の
熱伝導部材90は、ハウジング50と熱的に接続されて
おり、その結果、プラズマ発生熱を第1の熱伝導部材7
0を介して外部に放散することができる。第2の熱伝導
部材90がヒートシンク機能を十分果たすためには、第
2の熱伝導部材90は、ハウジング50と熱的に接続さ
せることが好ましく、すると、第2の熱伝導部材90の
ディスク直径D3は、ハウジング50の形状設計上およ
びランプ全体の外観上の美的観点からみて、フェライト
ディスク80のディスク直径D2よりも極端に大きいも
のは好ましくない。したがって、第2の熱伝導部材90
のディスク直径D3は、フェライトディスク80とほぼ
同等ないしは少し大きい程度とすることが望ましい。以
上述べたことを総合して判断すると、フェライトディス
ク80のディスクの直径D2と、第2の熱伝導部材90
のディスク状部分の直径D3とは、P1とP2に対応す
る横軸の範囲内にすること、すなわち、D3≦D2≦
1.1×D3なる関係を満足することが望ましい。 (実施形態3)図9から図12を参照しながら、本発明
による実施形態3にかかる無電極放電ランプについて説
明する。本実施形態にかかる無電極放電ランプの構成
は、上記実施形態1の構成と基本的に同じであるが、フ
ェライトディスク80が、比透磁率の異なる複数の部材
から構成されている点において異なる。以下、この点に
ついて詳述する。
【0064】本実施形態の無電極放電ランプにおいて
は、図9に示すように、外径D2=50mm、内径D2
0=14mmのフェライトディスク80は、比透磁率が
異なる2枚の円環状のディスク81および82から構成
されている。ディスク81の比透磁率μは10であり、
そして、ディスク82の比透磁率μは2300である。
【0065】本実施形態の構成を決定するにあたり、本
願発明者は、フェライトディスク80の比透磁率が不均
一であることより、プラズマ中心位置及び渦電流損失へ
及ぼす影響について検討を行った。具体的には、図10
に示すように、径方向に3分割された円環状のディスク
81〜83から構成されたのフェライトディスク80を
用いて、電磁場シミュレーション解析により検討した。
つまり、ディスク81〜83の3枚のディスクから、フ
ェライトディスク80を構成したとき、各々のディスク
81〜83がシフト距離Δh及び渦電流損失Weにどの
ように寄与するかを電磁場シミュレーション解析により
検討した。
【0066】電磁場シミュレーション解析における検討
条件は、フェライトディスク80が3枚のディスクから
構成されていることを除き、上記実施形態1の電磁場シ
ミュレーション解析で用いた条件と同じ条件を用いた。
図11に、その検討結果の一例を示す。図11中、ディ
スク81、ディスク82、ディスク83の比透磁率は、
それぞれ、μ1、μ2、μ3で表している。
【0067】図11からわかるように、フェライトディ
スク80を構成するディスク81〜83の比透磁率を変
えることにより、シフト距離Δhおよび渦電流損失We
を制御することが可能である。ただし、図11から理解
できるように、シフト距離Δhと渦電流損失Weとの関
係は、トレードオフの関係にあるため、μ1=μ2=μ
3である条件Aと比べると、シフト距離△hが小さくな
った条件では、渦電流損失Weは大きくなる。
【0068】このトレードオフの関係を踏まえて、シフ
ト距離Δhによる光束低下と、渦電流損失Weとによる
光束低下とを総合して考えたときに、光束低下ΔF(l
m)がどのようになるかを求めた。その結果を図12に
示す。図12の棒グラフにおいては、数値も併記した。
【0069】図12に示した結果を検討すると、シフト
距離Δh及び渦電流損失Weによる光束低下をトータル
として低く押さえるためには、フェライトディスク80
内側のディスク81の比透磁率を100以下とし、でき
るだけ10に近づけるのが好適であることがわかった。
特に、ディスク81の比透磁率は10程度とすることが
より好ましい。このことを踏まえると、フェライトディ
スク80の内径をD20、外径をD2で表すとき、直径
が(D2−D20)/3以内の領域に含まれる熱伝導部
材の比透磁率を10以上、100以下に、より好ましく
は10程度とするのが好適であることが導き出された。
【0070】このような検討の下、図9に示した構成が
決定された。つまり、図10に示した構成において、デ
ィスク81の比透磁率を10とし、ディスク82および
83の比透磁率を2300とした構成の1枚のディスク
とした構造である。図9中のディスク81の比透磁率μ
を10とし、ディスク82の比透磁率μを2300とし
た構成のフェライトディスク80を用いたランプの光束
低下は、65lmとなり、一方、μ1=μ2=μ3=2
300としたフェライトディスク80を用いたランプの
光束低下(これを「基準条件における光束低下」と呼
ぶ。)は、72lmであった。したがって、図9に示し
た構成によれば、光束低下を約10%低減できることに
なる。
【0071】また、図12からわかるように、ディスク
82の比透磁率の比透磁率を10、100、2300と
3段階で変化させた場合、比透磁率を100としたとき
が最も光束低下を低減する効果が大きい。ディスク83
の比透磁率の比透磁率を10、100、2300の3段
階で変化させた場合もやはり比透磁率を100としたと
きが最も光束低下を低減する効果が大きい。以上述べた
ことを総合すると、ディスク81、ディスク82、ディ
スク83のいずれか一つのディスクの比透磁率を100
程度とすることは、プラズマ中心のシフトや渦電流損失
による光束低下を抑制するために有効であると言えるで
あろう。このような構成にした無電極放電ランプは、解
析シミュレーション結果から評価すると、基準条件にお
ける光束低下に比べて、約5%光束低下を抑えることが
できる。 (実施形態4)図13を参照しながら、本発明による実
施形態4にかかる無電極放電ランプについて説明する。
本実施形態にかかる無電極放電ランプの構成は、上記実
施形態1の構成と基本的に同じであるが、フェライトデ
ィスク80と、第2の熱伝導部材90とが密着しておら
ず、両者の間に空隙が設けられている点において異な
る。
【0072】図13は、本実施形態の無電極放電ランプ
における要部拡大図であり、図2に対応するものであ
る。図13は、第1の熱伝導部材70、フェライトディ
スク80、第2の熱伝導部材90、および、誘導コイル
(30a、30b)を模式的に示している。なお、第1
の熱伝導部材70の中空部分、および、バルブ10の排
気細管10bは、省略して表している。
【0073】図13に示すように、フェライトディスク
80と第2の熱伝導部材90の間には、間隔dの空隙が
設けられており、間隔dは、例えば5mmである。
【0074】本願発明者は、直径D2が50mmのフェ
ライトディスク80と、直径D3が44mmの第2の熱
伝導部材90との間隔dを0mmまたは5mmとした場
合について電磁場シミュレーション解析を行い、シフト
距離Δhおよび渦電流損失Weがどのように変化するか
を調べた。その結果を表1に示す。
【0075】
【表1】
【0076】上記表1には、シフト距離Δhおよび渦電
流損失Weとともに、それらによって生ずる光束低下Δ
Fも算出して示してある。なお、誘導コイル30の形
状、巻数、電源の周波数などの解析条件は、上記実施形
態1と同様である。表1を見るとわかるように、フェラ
イトディスク80の比透磁率μが10の場合、間隔dを
0mmから5mmにすると、光束低下ΔFをより小さく
することができることがわかった。比透磁率μが100
および2300のときには、間隔dを5mmにしても、
光束低下ΔFが小さくならなかったことを考えると、比
透磁率μが比較的小さい場合(例えば、μが10〜6
0)に、間隔dを設けるのが効果的であると思われる。
また、比透磁率μが10で、間隔dを5mmにした場合
は、他のいずれの条件の場合よりも光束低下ΔFが小さ
くなった。比透磁率μが比較的小さい場合に間隔dを5
mm程度あける方が良い理由は、比透磁率μが小さいと
きは、フェライトディスク80の磁場遮蔽効果が小さい
ため、間隔をあけることで熱伝導部材90への磁束の侵
入を小さくできる効果が顕著になったからと思われる。 (実施形態5)図14から図16を参照しながら、本発
明による実施形態5にかかる無電極放電ランプについて
説明する。本実施形態にかかる無電極放電ランプの構成
は、上記実施形態1の構成と基本的に同じであるが、誘
導コイル30のコア30aが軸方向(長手方向)に沿っ
て比透磁率の異なる部分を有しており、そのコア30a
が、プラズマの位置を制御する手段として機能する点が
異なる。
【0077】図14は、本実施形態の無電極放電ランプ
における要部拡大図である。図14は、図13と同様
に、第1の熱伝導部材70、フェライトディスク80、
第2の熱伝導部材90、誘導コイルのコア30aおよび
巻線30bを模式的に示しており、第1の熱伝導部材7
0の中空部分、および、バルブ10の排気細管10b
は、省略して表している。
【0078】図14に示すように、本実施形態のコア3
0aは、それぞれ比透磁率の異なる2つの部分(31、
32)から構成されている。具体的には、コア30a
は、巻線30bの巻回軸方向(コアの長手方向)に沿っ
て、高透磁率部31と低透磁率部32とから構成されて
いる。高透磁率部31は、先端側(紙面下方側)に配置
されており、その比透磁率は、例えば2500である。
一方、低透磁率部32は、フェライトディスク80側
(紙面上方側)に配置されており、その比透磁率は、高
透磁率部31の比透磁率よりも低く、例えば1000で
ある。本実施形態では、2つのコアを接合することによ
り、高透磁率部31と低透磁率部32とを含むコア30
aを作製しているが、これに限らず、比透磁率の異なる
2つの磁性体材質を一体として整形し焼結させることで
作製することも可能である。
【0079】このように2つの部分(31、32)から
コア30aを構成すると、バルブ10内での磁束の分布
に偏りが生じる。すなわち、誘導コイル30の巻線30
bで形成された磁束は、高透磁率部31側を通る成分
と、低透磁率部32側を通る成分とで、コア30a内の
磁気抵抗が異なることになり、その結果、バルブ10内
での磁束の分布に偏りが生じる。本実施形態の構成で
は、口金側(すなわち、低透磁率部32側)の磁束密度
が低下することになるため、プラズマ中心位置を口金か
ら離す効果を得ることができ、プラズマの位置を制御す
ることができる。
【0080】図14に示した構成では、コア30aを2
つの部分から構成したが、これに限らず、3つまたはそ
れ以上の部分から構成してもよい。図15は、コア30
aを3つの部分(35、36、37)から構成した例を
示している。図15に示したコア30aは、第1の低透
磁率部35と、高透磁率部36と、第2の低透磁率部3
7とから構成されている。高透磁率部36は、3つの部
分のうちの中央に配置されている。本実施形態では、高
透磁率部36は、誘導コイル30の長手方向における巻
線30bの中心位置を含むように配置されている。高透
磁率部36の比透磁率は、例えば2500である。第1
の低透磁率部35および第2の低透磁率部37は、高透
磁率部36を挟むように配置されており、その比透磁率
は、それぞれ、例えば1000である。
【0081】本願発明者は、図15に示した構成の場合
においてバルブ10内に形成される磁束密度Brを、電
磁場シミュレーション解析により求めた。その結果を図
16(a)に示し、図16(a)の横軸に対応するコア
30aの構成を図16(b)に示す。
【0082】図16(a)中の横軸は、誘導コイル30
の巻回軸方向を表しており、縦軸は、コア30aと平行
に、コア30aから5mm離れた線上に形成される巻回
軸方向成分の磁束密度Br(T)を表している。すなわ
ち、縦軸は、コア30aの表面から5mm離れた位置に
おける磁束密度Br(T)を表している。図16(a)
中の実線は、コア30aが比透磁率2300の単一の材
質から構成されている場合の比較例の結果であり、点線
が、図15に示した構成の結果である。
【0083】図16(a)からわかるように、比較例の
場合(実線)では、端部効果によりコア30aの両端付
近に磁束密度が極端に高くなる領域が形成される。これ
に対し、本実施形態の構成(図16(b))のようにコ
ア30aの両端部に低透磁率部35および37を配置し
た場合(点線)には、比較例のように磁束密度が極端に
高くなることを抑制することができ、その結果、プラズ
マの分布を適切に制御することが可能となる。
【0084】上述した各実施形態においては、電源回路
40の周波数を100kHzとしたが、上述したよう
に、この周波数は100kHzに限定されない。ただ
し、フェライトの磁性損失を低く押さえるために、当該
周波数は、50kHz以上、1MHz以下であることが
好ましく、50kHz以上、500kHz以下とするこ
とがより好ましい。
【0085】また、プラズマ位置制御手段として機能す
る磁場遮蔽部材80の形状は、ディスク状に特に限定さ
れるわけでない。ディスク状に形成する場合であって
も、Q値を高くするために、ディスクの周辺にスカート
状の鍔を付けたものであっても良い。さらに、外観は悪
くなるが、ハウジング50から一部が飛び出すようにし
て磁場遮蔽部材80を設けてもよい。なお、バルブ10
として略球形のものを使用したが、それ以外の形状のバ
ルブの使用を排除するものではない。
【0086】誘導コイル30のコア30aとして用いる
フェライトの比透磁率は2000以上であれば大きけれ
ば大きいほど、放電ガスを励起するエネルギー供給の観
点から有利であることを述べた。さらに付け加えて説明
すると、この比透磁率が大きいことは、シフト距離△h
を低減する方向に作用するため、この観点からみてもコ
ア30aに用いるフェライトの比透磁率は大きいことが
望ましい。
【0087】なお、上記実施形態において、誘導コイル
30のコア30aを構成するフェライトと、磁場遮蔽部
材80を構成するフェライトについて、それぞれの好適
な比透磁率の範囲を電磁界シミュレーション解析によっ
て求め、その結果を述べたが、この場合の比透磁率の値
は厳密にはランプ動作中の比透磁率である。一般にフェ
ライト材料の比透磁率には温度特性があり、材質によっ
ても異なるが温度が上昇するにつれてキュリー点の直下
までは比透磁率の値は上昇し、キュリー点付近で急激に
低下する。したがって、実際の無電極放電ランプに使用
するフェライトの選定にあたっては、そのフェライトの
比透磁率の温度特性がどうであるかを予め考慮すること
が望ましい。
【0088】
【発明の効果】本発明によると、フェライトから構成さ
れた磁場遮蔽部材がバルブと第2の熱伝導部材との間に
設けられており、かつ、磁場遮蔽部材が、プラズマ位置
制御手段として機能して、バルブ内に発生するプラズマ
の位置を制御するため、効果的な冷却および低コスト化
を達成できるとともに、ランプ効率の低下を防止できる
ができる。
【0089】磁場遮蔽部材がディスク状の形状を有し、
そして、第2の熱伝導部材が少なくともディスク状部分
を有している場合、磁場遮蔽部材のディスク直径をD1
とし、第2の熱伝導部材におけるディスク状部分のディ
スク直径をD2としたときに、D2≦D1≦1.1×D
2の関係を満たすようにすると、さらにランプ効率の低
下を防止することができる。また、第2の熱伝導部材
が、ディスク状部分と、当該ディスク状部分の周辺部に
設けられた壁部とを含む場合には、第2の熱伝導部材の
表面積が広くなるため、放熱性を向上させることができ
る。さらに、当該壁部がハウジングに接触している構成
にすると、さらに放熱性を良好にすることができる。磁
場遮蔽部材は、径方向について比透磁率が不均一となる
構成のディスク状の部材としてもよいし、磁場遮蔽部材
と第2の熱伝導部材との間に、空隙が設けられた構成に
してもよい。そして、コアの軸方向に沿って比透磁率の
異なる部分を有する構成のコアにし、当該コアをプラズ
マ位置制御手段として機能させるようにしてもよい。
【0090】本発明の無電極放電ランプが、電球形蛍光
ランプとして構成されている場合には、電球の代替品と
して使用できるため、無電極放電ランプに特に好適な用
途だけなく、より広範な用途に適用可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による実施形態1にかかる無電極放電ラ
ンプ100の構成を模式的に示す断面図である。
【図2】実施形態1のランプ100の要部拡大図であ
る。
【図3】フェライトディスク80の比透磁率μと、シフ
ト距離Δh(mm)および渦電流損失We(W)との関
係を示すグラフである。
【図4】シフト距離Δh(mm)とランプ光束の低下Δ
F(lm)との関係を示すグラフである。
【図5】比透磁率μとランプ光束低下ΔF(lm)との
関係を示すグラフである。
【図6】ベースアップ状態で点灯したときの配光曲線を
示すグラフである。
【図7】フェライトディスク80のディスク直径D2
と、シフト距離Δh(mm)および渦電流損失We
(W)との関係を示すグラフである。
【図8】D2/D3と光束低下ΔF(lm)との関係を
示すグラフである。
【図9】実施形態3かかる無電極放電ランプのフェライ
トディスク80の構成を模式的に示す図である。
【図10】径方向に3分割された円環状のディスク81
〜83から構成されたのフェライトディスク80の構成
を模式的に示す図である。
【図11】条件A〜Gのフェライトディスク80と、シ
フト距離Δhおよび渦電流損失Weとの関係を示す棒グ
ラフである。
【図12】条件A〜Gのフェライトディスク80と、光
束低下ΔF(lm)との関係を示す棒グラフである。
【図13】実施形態4にかかる無電極放電ランプの要部
拡大図である。
【図14】実施形態5にかかる無電極放電ランプの要部
拡大図である。
【図15】コア30aを3つの部分から構成した例を示
す要部拡大図である。
【図16】(a)は、コア30aから5mm離れた線上
に形成される巻回軸方向成分の磁束密度Br(T)を示
すグラフである。(b)は、(a)の横軸に対応するコ
ア30aの構成を模式的に示す断面図である。
【図17】従来の電球形無電極蛍光ランプの構成を模式
的に示す断面図である。
【図18】電球形無電極蛍光ランプの構成を模式的に示
す断面図である。
【符号の説明】
10 バルブ(放電容器) 10a 凹入部 10b 排気細管 30 誘導コイル 30a コア(磁芯) 30b 巻線 40 電源回路 50 ハウジング 60 口金 70 第1の熱伝導部材 80 磁場遮蔽部材(プラズマ位置制御手段) 90 第2の熱伝導部材 100 無電極放電ランプ(電球形無電極蛍光ランプ) 101 放電容器 101a 凹入部 102 蛍光体層 103 誘導コイル 103a 巻線 103b コア(磁芯) 104 電源 105 ハウジング 106 口金 1000、2000 電球形無電極蛍光ランプ
フロントページの続き (72)発明者 ▲荒▼川 剛 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 川▲崎▼ 充晴 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5C039 NN02

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 凹入部を有し、発光物質が封入されたバ
    ルブと、 前記バルブの前記凹入部に挿入され、コアと巻線とから
    なる誘導コイルと、 前記誘導コイルに電力を供給する電源回路と、 前記電源回路を収容するハウジングと、 前記誘導コイルに沿って設けられた第1の熱伝導部材と
    を備え、 前記第1の熱伝導部材は、前記電源回路側に設けられた
    第2の熱伝導部材に熱的に接続されており、 前記バルブと前記第2の熱伝導部材との間には、フェラ
    イトから構成された磁場遮蔽部材が設けられており、 前記磁場遮蔽部材を構成する前記フェライトの比透磁率
    は、前記コアの比透磁率よりも小さく、それによって、
    前記磁場遮蔽部材は、前記バルブ内に発生するプラズマ
    の位置を制御するプラズマ位置制御手段として機能す
    る、無電極放電ランプ。
  2. 【請求項2】 前記コアの比透磁率は、2000以上で
    あり、 前記フェライトの比透磁率が13以上、100以下であ
    る、請求項1に記載の無電極放電ランプ。
  3. 【請求項3】 前記磁場遮蔽部材および前記第2の熱伝
    導部材は、前記ハウジング内に設けられており、 前記第2の熱伝導部材は、金属から構成されている、請
    求項1または2に記載の無電極放電ランプ。
  4. 【請求項4】 前記磁場遮蔽部材は、前記第1の熱伝導
    部材および前記第2の熱伝導部材の両者に熱的に接続さ
    れている、請求項1から3の何れか一つに記載の無電極
    放電ランプ。
  5. 【請求項5】 前記電源回路の周波数は、50kHz以
    上、1MHz以下である、請求項1から4の何れか一つ
    に記載の無電極放電ランプ。
  6. 【請求項6】 前記電源回路の周波数は、50kHz以
    上、500kHz以下である、請求項5に記載の無電極
    放電ランプ。
  7. 【請求項7】 凹入部を有し、発光物質が封入されたバ
    ルブと、 前記バルブの凹入部に挿入され、コアと巻線とからなる
    誘導コイルと、 前記誘導コイルに電力を供給する電源回路と、 前記電源回路を収容するハウジングと、 前記誘導コイルに沿って設けられた第1の熱伝導部材と
    を備え、 前記第1の熱伝導部材は、前記電源回路側に設けられた
    第2の熱伝導部材に熱的に接続されており、 前記バルブと前記第2の熱伝導部材との間には、磁場を
    遮蔽する機能を有するフェライトディスクが設けられて
    おり、 前記フェライトディスクの比透磁率は、前記コアの比透
    磁率よりも小さくされ、それによって、前記バルブ内に
    発生するプラズマの位置を制御するプラズマ位置制御手
    段として機能し、 前記第2の熱伝導部材は、少なくともディスク状部分を
    有しており、 前記フェライトディスクのディスク直径をD1とし、前
    記第2の熱伝導部材における前記ディスク状部分のディ
    スク直径をD2としたとき、 D2≦D1≦1.1×D2 の関係を満たす、無電極放電ランプ。
  8. 【請求項8】 凹入部を有し、発光物質が封入されたバ
    ルブと、 前記バルブの凹入部に挿入され、コアと巻線とからなる
    誘導コイルと、 前記誘導コイルに電力を供給する電源回路と、 前記電源回路を収容するハウジングと、 前記誘導コイルに沿って設けられた第1の熱伝導部材と
    を備え、 前記第1の熱伝導部材は、前記電源回路側に設けられた
    第2の熱伝導部材に熱的に接続されており、 前記バルブと前記第2の熱伝導部材との間には、フェラ
    イトから構成された磁場遮蔽部材が設けられており、 前記磁場遮蔽部材を構成する前記フェライトの比透磁率
    は、前記コアの比透磁率よりも小さく、それによって、
    前記磁場遮蔽部材は、前記バルブ内に発生するプラズマ
    の位置を制御するプラズマ位置制御手段として機能し、 前記磁場遮蔽部材は、ディスク状の形状を有しており、 前記第2の熱伝導部材は、ディスク状部分と、当該ディ
    スク状部分の周辺部に設けられた壁部とを含む、無電極
    放電ランプ。
  9. 【請求項9】 前記第2の熱伝導部材の前記壁部は、前
    記ハウジングに接触している、請求項8に記載の無電極
    放電ランプ。
  10. 【請求項10】 凹入部を有し、発光物質が封入された
    バルブと、 前記バルブの凹入部に挿入され、コアと巻線とからなる
    誘導コイルと、 前記誘導コイルに電力を供給する電源回路と、 前記電源回路を収容するハウジングと、 前記誘導コイルに沿って設けられた第1の熱伝導部材と
    を備え、 前記第1の熱伝導部材は、前記電源回路側に設けられた
    第2の熱伝導部材に熱的に接続されており、 前記バルブと前記第2の熱伝導部材との間には、フェラ
    イトから構成された磁場遮蔽部材が設けられており、 前記磁場遮蔽部材を構成する前記フェライトの比透磁率
    は、前記コアの比透磁率よりも小さく、それによって、
    前記磁場遮蔽部材は、前記バルブ内に発生するプラズマ
    の位置を制御するプラズマ位置制御手段として機能し、 前記磁場遮蔽部材は、径方向について比透磁率が不均一
    となる構成のディスク状の部材であり、 前記第2の熱伝導部材は、少なくともディスク状部分を
    有している、無電極放電ランプ。
  11. 【請求項11】 凹入部を有し、発光物質が封入された
    バルブと、 前記バルブの凹入部に挿入され、コアと巻線とからなる
    誘導コイルと、 前記誘導コイルに電力を供給する電源回路と、 前記電源回路を収容するハウジングと、 前記誘導コイルに沿って設けられた第1の熱伝導部材と
    を備え、 前記第1の熱伝導部材は、前記電源回路側に設けられた
    第2の熱伝導部材に熱的に接続されており、 前記バルブと前記第2の熱伝導部材との間には、フェラ
    イトから構成された磁場遮蔽部材が設けられており、 前記磁場遮蔽部材を構成する前記フェライトの比透磁率
    は、前記コアの比透磁率よりも小さく、それによって、
    前記磁場遮蔽部材は、前記バルブ内に発生するプラズマ
    の位置を制御するプラズマ位置制御手段として機能し、 前記磁場遮蔽部材は、ディスク状の形状を有しており、 前記第2の熱伝導部材は、少なくともディスク状部分を
    有しており、 前記磁場遮蔽部材と前記第2の熱伝導部材との間には、
    空隙が設けられている、無電極放電ランプ。
  12. 【請求項12】 凹入部を有し、発光物質が封入された
    バルブと、 前記バルブの凹入部に挿入され、コアと巻線とからなる
    誘導コイルと、 前記誘導コイルに電力を供給する電源回路と、 前記電源回路を収容するハウジングと、 前記誘導コイルに沿って設けられた第1の熱伝導部材と
    を備え、 前記第1の熱伝導部材は、前記電源回路側に設けられた
    第2の熱伝導部材に熱的に接続されており、 前記コアは、当該コアの軸方向に沿って比透磁率の異な
    る部分を有し、それによって、前記コアは、前記バルブ
    内に発生するプラズマの位置を制御するプラズマ位置制
    御手段として機能する、無電極放電ランプ。
  13. 【請求項13】 前記バルブの形状は、略球形であり、 前記バルブの内面には、蛍光体層が形成されている、請
    求項1から12の何れか一つに記載の無電極放電ラン
    プ。
  14. 【請求項14】 さらに、前記電源回路に電気的に接続
    された口金を備え、電球形蛍光ランプとして構成されて
    いる、請求項13に記載の無電極放電ランプ。
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