JP2003174350A

JP2003174350A - 縦結合型弾性表面波フィルタ

Info

Publication number: JP2003174350A
Application number: JP2001373208A
Authority: JP
Inventors: Hiroshi Tanaka; 宏田中
Original assignee: Mitsubishi Electric Corp
Current assignee: Mitsubishi Electric Corp
Priority date: 2001-12-06
Filing date: 2001-12-06
Publication date: 2003-06-20

Abstract

(57)【要約】【課題】小型で通過帯域外減衰量が大きい縦結合型弾
性表面波フィルタを実現する。【解決手段】少なくとも２つ以上のＩＤＴ３、４、５
または７、８、９の両側に、上記ＩＤＴと異なるピッチ
の短絡グレーティング電極からなる反射器２、６または
６、１０を配して構成した２ポート弾性表面波共振子
を、圧電基板１上に複数個形成し、上記複数の２ポート
弾性表面波共振子ａ、ｂを構成する少なくとも１つの反
射器６を、上記複数の２ポート弾性表面波共振子ａ、ｂ
の反射器として共用し、かつ上記共用した反射器のグレ
ーティング電極に重み付けをした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、例えば携帯電
話、自動車電話に代表される移動体通信装置の高周波回
路等に用いられる縦結合型弾性表面波フィルタに関する
ものであり、特に小型で減衰量が良好な縦結合型弾性表
面波フィルタを提供するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年の急激な携帯電話の普及により、世
界各国で多くの携帯電話システム並びに携帯電話端末が
用いられている。またその市場規模の大きさから、多く
の携帯電話端末メーカーが熾烈な開発、販売競争を繰り
広げており、そのため携帯電話等に多く用いられる弾性
表面波フィルタにも、小型化、高性能化の要求が厳し
い。

【０００３】弾性表面波フィルタの小型化に関しては、
弾性表面波の電極パターンを小さくして弾性表面波チッ
プを小型にすることや、弾性表面波チップとパッケージ
を接続する技術に、従来広く使われていたワイヤーボン
ディング方式から、バンプを介したフリップチップボン
ディング方式にすること等の方法が多く用いられてい
る。

【０００４】弾性表面波チップの小型化でいえば、例え
ば特開平８−２６５０９９号公報の図１に記載のような
１ポート弾性表面波共振子を梯子型回路構成にした梯子
型弾性表面波フィルタにおいて、反射器を複数の１ポー
ト弾性表面波共振子間で共用することで、弾性表面波の
電極パターンを小さくし小型化を図っている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、例えば２ポー
ト弾性表面波共振子を２段従続接続した縦結合型弾性表
面波フィルタにおいて同様に反射器を共用させた場合、
共用の反射器が２つの２ポート弾性表面波共振子の共振
にそれぞれ影響を及ぼす結果、通過帯域外にスプリアス
を生じさせ、良好な通過帯域外減衰量が得られないとい
う問題があった。これは、梯子型弾性表面波フィルタと
縦結合型弾性表面波フィルタとでは、弾性表面波共振子
の構造及び回路構成の違いにより、フィルタ機能を持た
せるための動作原理が異なるためであり、縦結合型弾性
表面波フィルタ固有の問題点であると考えられる。

【０００６】そこでこの発明では、複数の２ポート弾性
表面波共振子間で反射器を共用させ小型でありながら、
上記スプリアスを低減あるいは除去し帯域外の減衰量が
良好で、開発、製造が容易な構造を有する縦結合型弾性
表面波フィルタを実現することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この発明に係る縦結合型
弾性表面波フィルタは、少なくとも２つ以上のくし型電
極の両側に、上記くし型電極と異なるピッチの短絡グレ
ーティング電極からなる反射器を配して構成した２ポー
ト弾性表面波共振子を、圧電基板上に複数個形成し、上
記２ポート弾性表面波共振子を構成する少なくとも１つ
の反射器を、上記複数の２ポート弾性表面波共振子の反
射器として共用し、かつ上記共用した反射器のグレーテ
ィング電極に重み付けをしたものである。

【０００８】また、上記の縦結合型弾性表面波フィルタ
において、複数の２ポート弾性表面波共振子の反射器と
して共用かつ重み付けした上記反射器の形状を、５乃至
７角形にしたものである。

【０００９】また、上記の縦結合型弾性表面波フィルタ
に、少なくとも１つ以上の１ポート弾性表面波共振子を
直列あるいは並列に接続したものである。

【００１０】また、上記の縦結合型弾性表面波フィルタ
において、上記共用されていない反射器のグレーティン
グ電極に重み付けをしたものである。

【００１１】

【発明の実施の形態】実施の形態１．図１はこの発明に
係る実施の形態１の構成図である。本実施の形態では、
弾性表面波を励振可能な圧電基板１上に、３つのくし型
電極（以下ＩＤＴという）３、４、５を有する２ポート
弾性表面波共振子ａ、及び同じく３つのＩＤＴ７、８、
９を有する２ポート弾性表面波共振子ｂが形成され、か
つ上記２つの２ポート弾性表面波共振子ａ、ｂが縦続接
続されている。また、３つの反射器２、６、１０のう
ち、反射器２と１０はグレーティング電極に重み付けが
されていないが、反射器６は、７角形の形状になるよう
グレーティング電極に重み付けがされ、なおかつ２つの
２ポート弾性表面波共振子ａ、ｂ間で共用されている。
その結果、２ポート弾性表面波共振子ａでは反射器２と
反射器６の間で共振現象による定在波が発生し、２ポー
ト弾性表面波共振子ｂでは反射器６と反射器１０の間で
共振現象による定在波が発生することで、２段従続接続
の縦結合型弾性表面波フィルタとして機能させている。

【００１２】発明者は、反射器６の重み付けの効果を確
認するため、圧電基板１にLiTaO3（タンタル酸リチウ
ム）を用い、各ＩＤＴ及び反射器をAl（アルミニュー
ム）電極にて形成した縦結合型弾性表面波フィルタを実
際に試作し、図２、図３で伝送特性（横軸：周波数、縦
軸：減衰量）を比較した。図１の構造にて反射器６の重
み付けが無い場合の伝送特性を図２に、反射器６が図１
のように７角形で左右対称に重み付けされた場合の伝送
特性を図３に示す。ここで上記２つの縦結合型弾性表面
波フィルタの構造は、反射器６の形状を除き全く同じ電
極構造にして比較を行っている。

【００１３】図２に示すように、反射器６の重み付けが
無い場合の伝送特性は、通過帯域の低域側サイドローブ
がスプリアスS２のようにこぎり歯状になり、その結果
減衰が悪化しているが、図３に示すように、反射器６の
グレーティング電極に重み付けすることにより、サイド
ローブがスプリアスS３のように、のこぎり歯状部分の
振幅が抑えられて、通過帯域外減衰が大きくなっている
ことがわかる。

【００１４】ここで、本実施の形態１では反射器６のグ
レーティング電極の一部を３角形状に取り除いて重み付
けしているが、表面波の伝播方向に並べられたグレーテ
ィング電極のうち、少なくとも一つの電極の長さを他の
電極よりも短くすれば、この発明の効果を得ることがで
きる。たとえば、取り除く部分が、円形、楕円形及びそ
の一部であったり、４角形以上の多角形であったり、正
弦曲線及びその他の任意の曲線を含む図形の場合でも、
効果の大小は異なるが同様に帯域外のスプリアスを低減
させる効果があり、この発明の技術思想を逸脱するもの
ではない。しかしその場合重み付けが複雑になることか
ら、弾性表面波フィルタの設計において反射器部分の特
性のシミュレーションで精度を上げ、また、マスクデー
タの作成等を容易にするには、上記のように、グレーテ
ィング電極の一部を３角形状に取り除いて重み付けをす
るのがベストである。

【００１５】また、反射器６の重み付け時に、グレーテ
ィング電極の一部を取り除く３角形の形状を変えること
で、反射器６の形は図４に示す６角形、図５に示す５角
形とすることができる。この場合は重み付け形状が複雑
になることなく、図１のものと同様に帯域外のスプリア
スを低減させる効果がある。また図６のように電極の一
部のバスバーが片側の場合でも効果は同様である。

【００１６】実施の形態２．図７はこの発明に係る実施
の形態２の構成図である。実施の形態１と比べ共用さ
れていない反射器１２と２０においても重み付けされて
おり、反射器６による効果と合わせて帯域外のスプリア
スが最小となるよう重み付けパターンを最適化すること
で、帯域外の減衰量をさらに一層改善することができ
る。

【００１７】また、２１乃至２３から構成される１ポー
ト共振子を直列に接続したり、２４乃至２６から構成さ
れる１ポート共振子を並列に接続したり、あるいはこれ
らを多数組み合わせて接続した構造においても、上記重
み付けによる同様の効果を得ることができ、通過帯域外
減衰量が一層大きな弾性表面波フィルタを得ることがで
きる。

【００１８】

【発明の効果】以上のように、請求項１の発明によれ
ば、２ポート弾性表面波共振子を構成する少なくとも１
つの反射器を、複数の２ポート弾性表面波共振子の反射
器として共用させ、かつ上記共用された反射器のグレー
ティング電極を重み付けすることで、小型で通過帯域外
減衰量が良好な縦結合型弾性表面波フィルタを実現する
ことができる。

【００１９】また、請求項２に記載の発明によれば、共
用する反射器を多角形、特に５乃至７角形になるように
重み付けすることで、弾性表面波フィルタを開発、製造
する上で、シミュレーションを含む電極パターンの設計
がし易く、またフォトマスクの作製の際には弾性表面波
フィルタの電極パターンのデータ作成が容易な構造とす
ることができる。

【００２０】また、請求項３に記載の発明によれば、１
ポート共振子を直列または並列、あるいは直並列組み合
わせた構造にすることにより、上記重み付けによる同様
の効果を得ることができ、通過帯域外減衰量が一層大き
な弾性表面波フィルタを得ることができる。

【００２１】また、請求項４に記載の発明によれば、共
用されていない反射器においても重み付けすることによ
り、共用されている反射器による効果と併せて、帯域外
のスプリアスが最小となるよう重み付けパターンを最適
化することで、帯域外の減衰量をさらに一層大きくする
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施の形態１に係る縦結合型弾性
表面波フィルタの構成を示す図である。

【図２】実施の形態１の動作説明のための、共用反射
器の重み付けをしていない従来の縦結合型弾性表面波フ
ィルタの伝送特性である。

【図３】実施の形態１に係る縦結合型弾性表面波フィ
ルタの伝送特性である。

【図４】実施の形態１の共用反射器の第１の変形例を
示す図である。

【図５】実施の形態１の共用反射器の第２の変形例を
示す図である。

【図６】実施の形態１の共用反射器の第３の変形例を
示す図である。

【図７】実施の形態２に係る縦結合型弾性表面波フィ
ルタの構成を示す図である。

【符号の説明】１圧電基板、２、６、１０、１２、２０、２１、２３、２４、２６
反射器、３、４、５、７、８、９、２２、２５ＩＤＴ、ａ、ｂ共振子、S２、S３スプリアス。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】少なくとも２つ以上のくし型電極の両側
に、上記くし型電極と異なるピッチの短絡グレーティン
グ電極からなる反射器を配して構成した２ポート弾性表
面波共振子を、圧電基板上に複数個形成し、上記２ポー
ト弾性表面波共振子を構成する少なくとも１つの反射器
を、上記複数の２ポート弾性表面波共振子の反射器とし
て共用し、かつ上記共用した反射器のグレーティング電
極に重み付けをしたことを特徴とする縦結合型弾性表面
波フィルタ。
【請求項２】請求項１に記載の縦結合型弾性表面波フ
ィルタにおいて、複数の２ポート弾性表面波共振子の反
射器として共用しかつ重み付けした上記反射器の形状
を、５乃至７角形にしたことを特徴とする縦結合型弾性
表面波フィルタ。
【請求項３】請求項１または請求項２に記載の縦結合
型弾性表面波フィルタに、少なくとも１つ以上の１ポー
ト弾性表面波共振子を直列あるいは並列に接続したこと
を特徴とする縦結合型弾性表面波フィルタ。
【請求項４】請求項１乃至請求項３のいずれか一項に
記載の縦結合型弾性表面波フィルタにおいて、上記共用
されていない反射器のグレーティング電極に重み付けを
したことを特徴とする縦結合型弾性表面波フィルタ。