JP2003173732A - 電子管用陰極の製造方法 - Google Patents

電子管用陰極の製造方法

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JP2003173732A
JP2003173732A JP2001373695A JP2001373695A JP2003173732A JP 2003173732 A JP2003173732 A JP 2003173732A JP 2001373695 A JP2001373695 A JP 2001373695A JP 2001373695 A JP2001373695 A JP 2001373695A JP 2003173732 A JP2003173732 A JP 2003173732A
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cathode
electron
powder
particle size
manufacturing
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Satoru Yamagishi
悟 山岸
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Panasonic Holdings Corp
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子放射特性にばらつきのない陰極を提供す
る。 【解決手段】 タングステン6の粉末の粒子の周りに予
め熱分解した電子放射物質7の粉末を被覆あるいは披着
させて形成した複合粉末から陰極を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、テレビジョン受像
機やコンピュータモニタに使用される陰極線管や、放電
管等の電子管に用いられる陰極の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、特に、大型、高輝度の陰極線管も
しくは放電管用の陰極として、多孔質基体中に電子放射
物質を含浸させた含浸型陰極が用いられている。
【0003】含浸型陰極の一般的な製造方法について、
図6の流れ図を参照しながら説明する。
【0004】まず、準備工程12において、高融点金属
粉末として、粒径30〜150μmの粒子の占める割合
が90重量%以上で、かつ、粒径50〜90μmの粒子
が占める割合が50重量%以上であるタングステン粉末
を準備し、これを恒温器を用いて60℃で3時間以上空
気乾燥させる。また、含浸剤として、例えば、BaCO
3、CaCO3、Al23をモル比4:1:1で混合した
粉末を準備する。
【0005】次に、成型工程13において、準備したタ
ングステン粉末を円筒状の型に充填後、機械プレスや静
水圧プレス等によって加圧荷重80〜150kg/cm
2で圧縮成型し、円筒状のペレットを形成する。
【0006】シンター工程14では、円筒状のペレット
を還元性雰囲気または真空中において1500℃〜20
00℃で焼結して、多孔質タングステン焼結体ペレット
とする。
【0007】次に、含浸工程15では、多孔質タングス
テン焼結体ペレットと含浸剤を、真空チャンバー内で水
素中もしくは真空中、又は非酸化性の雰囲気において1
500〜2000℃で約1時間加熱する。この間に、含
浸剤が電子放射物質であるバリウム・カルシウム・アル
ミニウム複合酸化物(4BaO+CaO+Al23)に
変化し、さらに溶融状態となって、多孔質タングステン
焼結体ペレットの空隙に含浸される。
【0008】この後、分離工程16において、この陰極
ペレットをビーカの中にガラス球と一緒に入れシェーキ
ングした後でふるいにかけ、陰極ペレットの周りに付着
していた余剰の電子放射物質を物理的に取り除く。
【0009】次に洗浄工程17で、純水、イソプロピル
アルコールの順に超音波洗浄を行い、陰極ペレットの周
りの余剰の電子放射物質を更に除去した後、真空乾燥さ
せる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の製造法では、含浸工程において約1時間もの
間1500℃〜2000℃の高温雰囲気を維持する必要
があり、その温度管理が容易ではなかった。また、この
ような製造方法では、電子放射物質を高融点金属基体中
に均一に存在させることが難しく、このため、完成した
陰極の電子放射特性にばらつきが生じやすいという課題
があった。
【0011】本発明は、従来の製造法が抱えるこのよう
な問題を解決するもので、電子放射特性にばらつきのな
い陰極を簡単に製造する方法を提供することを目的とす
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の陰極の製造方法では、電子放射物質と高融
点金属からなる陰極の製造方法において、予め熱分解し
た電子放射物質粉末を高融点金属粉末の粒子の周りに被
覆させて複合粉末を作成した後、前記複合粉末から陰極
を製造する。
【0013】これにより、陰極中で電子放射物質を均一
に存在させることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態につい
て、図2の流れ図を用いて説明する。
【0015】まず、準備工程1において、BaCO3
CaCO3、Al23の材料をモル比4:1:1で混合
したものを空気中において1000〜1300℃で加熱
することで、バリウム・カルシウム・ アルミニウムの
複合酸化物(4BaO+CaO+Al23)である電子
放射物質粉末を作る。ここで、電子放射物質粉末は粒径
5μm以下で、平均粒径0.1μm〜1.0μmとす
る。また、高融点金属粉末として、粒径が300μm以
下であり、30μm〜150μmの粒子が90重量%以
上であって、かつ、50μm〜90μmの粒子が最多で
あるタングステン粉末を準備し、このタングステン粉末
を、恒温器により60℃で3時間以上空気乾燥させる。
【0016】次に、複合粉末作成工程2において、電子
放射物質粉末20gとタングステン粉末100gを内容
積1000ccの混合容器内に入れ、メカノフュージョ
ンシステム(ホソカワミクロン(株)社製 AMS−L
AB)によって、真空に排気し、溶融温度80〜100
℃、回転速度800RPM〜1000RPMで60分間
動作させる。これにより、2種類の粉末がメカノケミカ
ル反応をおこし、図1に示すように、粒径の大きいタン
グステン6の粒子の周りに粒径の小さい電子放射物質7
の粉末が被覆され、電子放射物質とタングステンの複合
粉末が作られる。
【0017】次に成型工程3において、図3にイメージ
的に示すように、内径1.0mm、深さ0.5mmの円
筒状カプセル8に、電子放射物質とタングステンの複合
粉末9を充填させ、プレス機10によって80〜150
kg/cm2の圧力で成型し、複合粉末のペレットを形
成する。
【0018】この後、シンター工程4において、還元雰
囲気または真空中で1800℃〜2000℃で約10〜
30分間焼成して複合粉末のペレットを焼結させ、陰極
ペレットとする。
【0019】次に洗浄工程5において、この陰極ペレッ
トを純水、イソプロピルアルコールの順に約5分間超音
波洗浄することで、表面の余剰電子放射物質を取り除
く。
【0020】以上のような本発明の製造方法によって完
成した陰極ペレットは、高融点金属であるタングステン
の粒子の周りに電子放射物質粉末が被覆された複合粉末
から形成されているので、従来の製造方法のように、シ
ンター工程後に電子放射物質を含浸させる工程を特別に
設ける必要がない。このため、含浸させるための高温で
長時間の処理を行う必要がない。
【0021】また、本発明の製造方法による陰極ペレッ
トでは、従来の含浸工程を経て作られた陰極ペレットに
比べて、陰極ペレット中に電子放射物質が均一に存在す
る。従来の製造方法では高融点金属ペレットの空隙に電
子放射物質を含浸させているため、ある部分では空隙が
多く他の部分では空隙が全くないといった「空隙の偏
り」があるとそれがそのまま「電子放射物質の偏り」に
つながってしまうのに対し、本発明の製造方法によれ
ば、高融点金属であるタングステンの粒子の周りに電子
放射物質粉末が被覆されるので、電子放射物質が偏り無
く陰極ペレット中に存在するからである。
【0022】ここで、高融点金属粉末は、粒径が300
μm以下であり、30μm〜150μmの粒径のものが
90重量%以上であって、かつ、50μm〜90μmの
粒径のものが最多であることが好ましい。このような粒
径分布とすることにより、高融点金属粉末の各粒子をほ
ぼ同じ大きさとして、これに被覆される電子放射物質の
陰極ペレット内での均一性を高めることができる。ま
た、電子放射物質は、粒径5μm以下で、平均粒径0.
1μm〜1.0μmとすることが好ましい。高融点金属
粉末及び電子放射物質粉末の粒径をそれぞれこのように
することにより、高融点金属粉末への電子放射物質の被
覆状態を良好にすることができる。
【0023】また、電子放射物質粉末の量は、タングス
テン粉末に対して10〜25重量%とすることが好まし
い。電子放射物質粉末がこれより多くなると、その後の
シンター工程での焼結が均一に行われず強度ムラが生じ
たり、また、電子管の動作中に金属の蒸発が多くなり絶
縁特性が悪くなる。また電子放射物質粉末が少なすぎる
と、電子管の動作時に陰極が十分に電子を放射させるこ
とができない。
【0024】本発明の製造方法によれば、前述のように
陰極ペレット中に電子放射物質を均一に存在させること
ができるので、完成した陰極ペレットの電子放射特性の
ばらつきがなくなり、常に安定した性能の陰極を得るこ
とができる。また、強度や絶縁特性のよい陰極を得るこ
とができる。
【0025】図4は、本発明の製造方法による陰極と、
含浸工程を有する従来の製造方法による陰極について、
複数本の初期電子放射特性を比較したものである。ここ
では、初期電子放射特性を評価する方法として、カソー
ド部とアノード部で構成される2極管を用い、アノード
部にパルス幅12μs、周波数50Hzの高圧パルスを
印加した時のゼロ磁界における飽和エミッション電流を
測定した。なお、陰極ペレットの直径は約1.2mmで
あり、また、測定時のカソード動作温度は約1000℃
である。本発明の製造方法による陰極(図中◆で示す)
では、飽和エミッション電流の平均値は108.6mA
であり、そのばらつきは±15%であった。これに対
し、含浸工程を有する従来の製造方法による陰極(図中
△で示す)では、飽和エミッション電流の平均値は10
2.4mAであり、ばらつきは±25%であった。この
ことからもわかるように、本発明の製造方法によれば、
電子放射特性が高く、かつ、ばらつきのない安定した陰
極を得ることができる。
【0026】また、本発明の陰極の製造方法では、従来
の製造方法で設けられている分離工程を省くことができ
る。含浸工程を有する従来の製造方法では、陰極ペレッ
トの周りに余剰の電子放射物質が付着しやすく念入りな
除去処理を要していたが、本発明の製造方法では含浸工
程を設けていないので、洗浄工程だけで余剰の電子放射
物質除去を行えるからである。このように、本発明の製
造方法では、従来の製造方法に比べて工程数を少なくす
ることができるという利点も有する。
【0027】なお、本発明の実施の形態では、成型工程
の後に、ペレットを還元雰囲気または真空中で焼結させ
るシンター工程を設けたが、このシンター工程の代わり
に、熱間等方加圧処理工程を設けてもい。これをブロッ
ク図で示すと図5のようになる。熱間等方加圧処理工程
11では、温度と圧力によって焼結を行う方法の代表的
なものとして、熱間静水圧加圧法を用いる。熱間静水圧
加圧法を用いると、シンター工程のように2000℃近
い高温とする必要がなく、1000〜1500℃の温度
で陰極ペレットを作成することができる。このように処
理温度を下げることにより、電子放射物質であるバリウ
ム・カルシウム・アルミニウム複合酸化物がタングステ
ン粉末と反応することを抑えることができるので、焼結
時の電子放射物質の損失を減らすことができるという利
点も有する。
【0028】また、本実施の形態では、複合粉末作成工
程において、高融点金属粉末の周りに電子放射物質粉末
を被覆させる方法として、メカノフュージョンシステム
を用いた例を示したが、メカノフュージョンシステムの
代わりに自動乳鉢、ボールミルによっても電子放射物質
と高融点金属との複合粉末を作成するペレットに仕上げ
ることができる。但し、高融点金属粉末の周りに被覆さ
れた電子放射物質粉末の均一性が優れているという点
で、メカノフュージョンシステムが最も適している。
【0029】また、実施の形態では、高融点金属として
タングステンを用いた例を示したが、これに限ったもの
ではなく、例えば、モリブデンを用いることもできる。
【0030】以上に述べた本発明の製造方法による陰極
は、陰極線管や放電管などの、従来含浸型陰極が用いら
れてきた電子管に広く用いることができる。
【0031】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、電子放
射特性が高く、かつ、ばらつきのない電子管用陰極を簡
単に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の陰極の製造方法におけるタングステン
と電子放射物質との複合粉末を示すモデル図
【図2】本発明の陰極の製造方法の一実施形態を示す流
れ図
【図3】本発明の陰極の製造方法における複合粉末の成
型工程を示すイメージ図
【図4】本発明の陰極の製造方法による陰極と従来の製
造方法による陰極との初期電子放射特性の比較図
【図5】本発明の陰極の製造方法の他の実施形態を示す
流れ図
【図6】従来の陰極の製造方法を示す流れ図
【符号の説明】
6 タングステン 7 電子放射物質

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 予め熱分解した電子放射物質粉末を高融
    点金属粉末の粒子の周りに被覆させて複合粉末を作成し
    た後、前記複合粉末から陰極を製造することを特徴とす
    る電子管用陰極の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記複合粉末をペレット状に成型し、そ
    の後、還元雰囲気中または真空中で焼結させることを特
    徴とする請求項1記載の電子管用陰極の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記複合粉末をペレット状に成型し、そ
    の後、圧力下で焼結させることを特徴とする請求項1記
    載の電子管用陰極の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記複合粉末は、メカノフュージョン法
    によって作成されることを特徴とする請求項1〜3のい
    ずれかに記載の電子管用陰極の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記電子放射物質粉末は、予め熱分解し
    た、バリウム、カルシウム、アルミニウムからなる複合
    酸化物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか
    に記載の電子管用陰極の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記電子放射物質粉末の粒子は、粒径が
    5μm以下であって、かつ平均粒径が0.1μm〜1.
    0μmの範囲にあることを特徴とする請求項1〜5のい
    ずれかに記載の電子管用陰極の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記高融点金属粉末の粒子は、粒径が3
    00μm以下であり、30μm〜150μmの粒径のも
    のが90重量%以上であって、かつ、50μm〜90μ
    mの粒径のものが最多であることを特徴とする請求項1
    〜6のいずれかに記載の電子管用陰極の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記電子放射物質粉末は、前記高融点金
    属粉末に対して10〜25重量%であることを特徴とす
    る請求項1〜7のいずれかに記載の電子管用陰極の製造
    方法。
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