JP2003171279A - アレルギー性皮膚疾患治療用外用剤 - Google Patents

アレルギー性皮膚疾患治療用外用剤

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JP2003171279A
JP2003171279A JP2001371231A JP2001371231A JP2003171279A JP 2003171279 A JP2003171279 A JP 2003171279A JP 2001371231 A JP2001371231 A JP 2001371231A JP 2001371231 A JP2001371231 A JP 2001371231A JP 2003171279 A JP2003171279 A JP 2003171279A
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Toshiyuki Watanabe
俊之 渡辺
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安全性が高く、長期にわたって投与しても問
題のない、アトピー性皮膚疾患治療用外用剤を提供する
こと。 【解決手段】 テオフィリン、アミノフィリンまたはコ
リンテオフィリンを有効成分として外用剤基剤中に良好
に溶解させ含有するアレルギー性皮膚疾患治療用外用剤
であり、アレルギー性皮膚疾患がアトピー性皮膚炎、接
触性皮膚炎また乾癬症であるアレルギー性皮膚疾患治療
用外用剤である。該外用剤は、皮膚刺激性がなく、安定
性に優れた経皮吸収の良好な外用剤である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アレルギー性皮膚
疾患治療用の外用剤に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、生活環境の変化や複雑化、あるい
は食生活の変化に伴い、アレルギー性皮膚疾患が急増
し、疾患そのものが重症化・難治化してきたことから、
アトピー性皮膚疾患が社会問題にまで発展するようにな
ってきている。しかしながら、このような社会問題化さ
れているアレルギー性皮膚疾患であっても、いまだ有効
な治療方法が確立していないのが現状である。
【0003】その理由として、本疾患の発症や悪化の原
因に多くの因子の存在が考えられることより、民間治療
法を含め種々の治療法が提唱され、患者サイドに混乱を
もたらしたことが挙げられている。
【0004】ところでこのアトピー性皮膚疾患には、ア
トピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、乾癬症等があり、いず
れも再発性であり、激しい痒みを伴うものである。アト
ピー性皮膚炎の発症機序として、「免疫異常と皮膚バリ
ヤー機能の障害による皮膚被刺激性の亢進」という考え
方が定着しつつある。すなわち、いわゆるアトピー性皮
膚といわれるバリヤー機能の低下した皮膚から抗原が侵
入すると、肥満細胞が特異的IgE抗体を介して活性化
され、種々のケミカルメディエーターを放出し、湿疹や
痒みなどの臨床的症状を発現する。
【0005】また、ヘルパーT(Th)細胞は、抗原提
示細胞から抗原提示を受け、各種のサイトカインを産生
・放出する。例えば、Th1細胞からはインターロイキ
ン−2(IL−2)、インターフェロン−γ(IFN−
γ)を、Th2細胞からはIL−4、IL−5を、また
両者からはIL−3、顆粒球マクロファージコロニー刺
激因子(GM−CSF)が産生される。これらのサイト
カインは、遅延型アレルギーを惹起したり(宮本昭正
ら、「アレルギーとサイトカイン」医薬ジャーナル誌、
17頁,1996)、あるいはB細胞のIgE抗体産生の促進
[J. Penaら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85, 6880
(1988): H. J. Bursteinら、J. Immunol.,147, 2950-29
56 (1991): R. Kuhnら、Science, 254, 707-710 (199
1)]や、好酸球の分化・増殖をおこしたり[C. J. Sand
ersonら、Immunol. Rev., 102, 29−50 (1988): Y. Yam
aguchiら、J. Exp. Med., 167, 43-56 (1988) ]、また
肥満細胞の増殖(宮本昭正ら、「アレルギーとサイトカ
イン」医薬ジャーナル誌、46頁,1996)や、好酸球の活
性化(宮本昭正ら、「アレルギーとサイトカイン」医薬
ジャーナル誌、147頁,1996)を誘導する作用がある。
【0006】これらのサイトカインで増殖・活性化され
た免疫・炎症系細胞がアトピー性皮膚炎の病態の発展に
重要な役割を果たすと考えられており、したがって、T
h1細胞やTh2細胞由来の前記したサイトカインの産
生を抑制することは、アトピー性皮膚炎の治療上、非常
に重要なものであると考えられる。
【0007】事実、1999年に発売された移植免疫抑
制薬であるタクロリムス外用剤は、サイトカインの産生
抑制を主たる薬理作用とした外用剤であり、アトピー性
皮膚炎に極めて高い有効率を示している薬剤である。し
かしながら、タクロリムスは本来臓器移植時における拒
絶反応の抑制を目的に開発された薬剤であることより、
たとえ外用剤として適用する場合であっても、その使用
に際しては、種々の注意(年齢制限、患者の状態の適
否、使用量の制限等)を必要とする。
【0008】ところで、気管支喘息患者に対して半世紀
前から気管支拡張剤として常用されてきているテオフィ
リンには、抗炎症作用があることが最近良く報告される
ようになっている。その抗炎症作用には、サイトカイン
であるIL−2[Bruserud,Clin. Immunol. Immunopath
ol., 32, 111-118 (1984) : M. Didierら、J. Immuno
l., 139, 1179-1184 (1987) ]、IL−3、IL−4
[Y. Todaら、Int. Arch.Allergy Immunol., 115, 42-4
6 (1998) ]、IL−5、GM−CSF[Y. Todaら、In
t. Arch. Allergy Immunol., 115, 42-46 (1998) ]の
産生抑制作用が含まれている。
【0009】したがってテオフィリンのこれらサイトカ
インの産生抑制作用を考慮すると、テオフィリン自体に
アトピー性皮膚疾患に対する治療効果が期待できる。特
に、テオフィリンは気管支喘息治療剤として日常的・長
期的に、錠剤、顆粒剤、シロップ剤等で経口投与されて
いるものであり、その安全性も高いことより、アトピー
性皮膚疾患治療用外用剤として、極めて有用性の高いも
のとなり得る可能性を秘めている。
【0010】しかしながら、テオフィリンを外用剤とし
て製剤化するにあたっては、該化合物が外用製剤中に均
一に配合される必要があるにもかかわらず、この化合物
自体の各種溶媒に対する溶解性が極めて低いため、従来
の基剤を用いた外用剤としての製剤化は、ほとんど不可
能であった。すなわち、テオフィリンの薬理作用の特性
を考えた場合、その外用剤の治療効果対象疾患として
は、湿疹、皮膚炎、乳児、小児あるいは成人のアトピー
性皮膚炎等のアレルギー性皮膚炎が予想されることよ
り、製剤的特長としては、経皮吸収性製剤であることは
勿論のこと、その他に皮膚刺激性のないこと、安定性に
優れていること等が要求される。しかしながら、テオフ
ィリン自体は各種溶媒に対する溶解性が極めて低いこと
から、上記の諸条件を満たす製剤化は不可能であった。
【0011】本発明者は、上記の如き実情に鑑み、テオ
フィリンを有効に配合した外用剤の開発を検討した結
果、難溶性のテオフィリンを、溶解補助剤として非イオ
ン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤および陽イオン
性界面活性剤の1種または2種以上、あるいは適当な溶
解補助剤を用いて可溶化して外用剤とした場合に、上記
の諸条件を充足する極めて有効な製剤となることを見出
した。また、テオフィリンとエチレンジアミンの混合物
であるアミノフィリン、さらにテオフィリンを含むコリ
ンテオフィリンを使用し、同様外用剤とした場合に、極
めて有効な外用剤になることを見出し、本発明を完成さ
せるに至った。
【0012】すなわち本発明者は、テオフィリン、アミ
ノフィリンまたはコリンテオフィリン(以下、これらを
含めテオフィリンと称する場合もある)の有効量を溶解
補助剤として界面活性剤、あるいは適当な溶解補助剤を
用いることにより、水溶性高分子化合物、多価アルコー
ル、油、白色ワセリン等の外用剤基剤成分中に均一に溶
解、分散させ、クリーム剤、軟膏剤等の外用剤とした場
合に、極めて良好な外用剤であることを確認し、本発明
を完成したのである。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】すなわち本発明は、安
全性が高く、長期にわたって投与しても問題のない、ア
トピー性皮膚疾患治療用外用剤を提供することを課題と
する。かかる課題を解決するべく本発明者は鋭意検討を
進めた結果、テオフィリン、アミノフィリンまたはコリ
ンテオフィリンを有効成分として含有する外用剤を得る
ことに成功し、この外用剤を疾患部位に直接投与するこ
とにより、極めて高い治療効果を挙げることができるこ
とを確認して、本発明を完成させるに至った。
【0014】
【課題を解決するための手段】したがって、本発明の基
本的態様にかかる請求項1に記載の本発明は、テオフィ
リンを有効成分として含有するアレルギー性皮膚疾患治
療用外用剤である。
【0015】また、本発明の別の基本的態様にかかる請
求項2に記載の本発明は、アミノフィリンを有効成分と
して含有するアレルギー性皮膚疾患治療用の外用剤であ
る。
【0016】さら本発明の別の態様として請求項3に記
載の発明は、コリンテオフィリンを有効成分として含有
するアレルギー性皮膚疾患治療用の外用剤である。
【0017】さらにまた、請求項4に記載の本発明は、
請求項1ないし3に記載のアレルギー性皮膚疾患が、ア
トピー性皮膚炎であるアレルギー性皮膚疾患治療用外用
剤である。
【0018】さらに、請求項5に記載の本発明は、請求
項1ないし3に記載のアレルギー性皮膚疾患が、接触性
皮膚炎であるアレルギー性皮膚疾患治療用外用剤であ
る。
【0019】さらにまた、請求項6に記載の本発明は、
請求項1ないし3に記載のアレルギー性皮膚疾患が、乾
癬症であるアレルギー性皮膚疾患治療用外用剤である。
【0020】これまで難治型のアレルギー性皮膚疾患に
対しての中心的な治療法としては、ステロイド剤の投与
が行われていたが、ステロイド剤は副作用が強いため、
特に乳幼児への適用や長期投与は避けなければならない
という問題点があった。しかしながら、本発明が提供す
る上記のアレルギー性皮膚疾患治療剤は、安全性が高
く、長期にわたる投与でも、何ら副作用の発現が認めら
れない点で、極めて有用性の高い外用剤が提供される特
徴を有するものである。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明が提供する外用剤において
有効成分として含有されるテオフィリンは、気管支喘息
治療剤として経口的に投与されている薬剤である。しか
しながら、かかるテオフィリンをアトピー性皮膚疾患へ
の治療のため、外用剤の形態として適用しようとする考
え方は、全く存在しなかった。
【0022】本発明者の検討によれば、テオフィリンの
有するサイトカイン産生抑制作用が、アトピー性皮膚疾
患治療に極めて有効なものであること、かつ長期投与に
よっても、ステロイド剤等にみられた副作用の発現は全
くないものであり、安全性が極めて高いものであった。
【0023】本発明の外用剤におけるテオフィリンの含
有量は、特に制限されるものではなく、目的とするアト
ピー性皮膚疾患の治療効果をあげ得る量の範囲内であれ
ばよい。具体的には、その含有量は製剤全重量に対して
0.01ないし10重量%、好ましくは0.05ないし
8重量%、より好ましくは0.1ないし5重量%配合す
るのがよい。この配合量は、テオフィリンが固有的に所
有する薬理作用に基づき、人のアトピー性皮膚炎症、湿
疹、皮膚炎の治療を目的とした場合には、それぞれの製
剤からの放出性、あるいは経皮吸収性を考慮し、外用製
剤全重量に対し上記の量を配合することで、十分その目
的とする薬理効果が認められることより決定された。
【0024】本発明の外用剤にあっては、上記の量で配
合されるテオフィリンが、該化合物の溶解補助剤として
の界面活性剤等により製剤基剤中に均一に溶解、配合、
分散されることにより、薬物の経皮吸収性がきわめて良
好になることをひとつの特長とする。その場合の界面活
性剤としては、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面
活性剤および陽イオン性界面活性剤が挙げられる。その
なかでも、好ましくは非イオン性界面活性剤、陰イオン
性界面活性剤である。
【0025】非イオン性界面活性剤としては、皮膚外用
剤において用いられている非イオン性界面活性剤が挙げ
られ、例えば、ポリオキシエチレン脂肪族アルコールエ
ーテル(EO重合度5〜50、脂肪族アルコールは炭素
数12〜18のもの;例えばBrij(登録商標)3
5、同78、同98など)、ポリオキシエチレン脂肪族
エステル(EO重合度8〜40、脂肪酸は炭素数12〜
18のもの;例えばMyrij(登録商標)45、同5
2、同53など)、ソルビタン脂肪族エステル(EO重
合度0から40、脂肪酸は炭素数12〜18のもの;例
えば、Tween(登録商標)20、同40、同60、
同80:Span(登録商標)20、同40、同60、
同80など)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(EO
重合度5〜60;例えば、ニッコール(登録商標)HC
O−50、同60、同100など)等が挙げられる。
【0026】そのなかでも、特に好ましい非イオン性界
面活性剤としては、セスキオレイン酸ソルビタン、モノ
ラウリル酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、
モノオレイン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビ
タン、トリステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソ
ルビタン、モノイソステアリン酸ソルビタン、セスキイ
ソステアリン酸ソルビタン、モノラウリン酸POE(2
0)ソルビタン、モノパルミチン酸POE(20)ソル
ビタン、モノステアリン酸POE(20)ソルビタン、
トリステアリン酸POE(20)ソルビタン、モノステ
アリン酸POE(20)ソルビタン、POE(2)、
(4.2)、(9)、(21)、(25)等のラウリル
エーテル、POE(2)、(5)、(7)、(10)、
(15)、(20)、(23)、(35)等のセチルエ
ーテル、POE(2)、(7)、(10)、(15)、
(20)等のオレイルエーテルである。
【0027】また陰イオン性界面活性剤としては、同様
に皮膚外用剤において一般的に用いられている陰イオン
性界面活性剤をすべて包含する。具体的には、ラウリン
酸塩、パルミチン酸塩、オレイン酸塩、ステアリン酸
塩、イソステアリン酸塩、ベヘニン酸塩、アビチエン酸
塩などの脂肪酸塩;ラウリル硫酸塩、ココイル硫酸塩な
どのアルキル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレン(P
OE)ラウリル硫酸塩、POEココイル硫酸塩などのア
ルキルエーテル硫酸エステル塩;ライロリルサルコシン
塩などのN−アシルサルコシン塩;N−ミリストイル−
N−メチルタウリン塩、ココイルメチルタウリン塩、ラ
ウリルメチルタウリン塩などの脂肪酸アミドスルホン酸
塩;POEオレイルエーテルリン酸塩、POEステアリ
ルエーテルリン酸塩などのリン酸エステル塩;ジ−2−
エチルヘキシルスルホコハク酸塩、モノラウロイルモノ
エタノールアミドポリオキシエチレンコハク酸塩、ラウ
リルポリプロピレングリコールスルホコハク酸塩などの
スルホコハク酸塩;リニアドデシルベンゼンスルホン酸
塩などのアルキルベンゼンスルホン酸塩;N−ラウロリ
ルグルタミン酸塩、N−ステアロイルグルタミン酸塩、
N−ミリストイルグルタミン酸塩、N−パルミトイルア
スパラギン酸塩などのN−アシルアミノ酸塩;ロウロイ
ルモノエタノールアミドコハク酸塩などのアミドコハク
酸塩;あるいはPOEアルキルエーテルカルボン酸塩、
POEアルキルアリルエーテルカルボン酸塩、α−オレ
フィンスルホン酸塩、第2級アルコール硫酸エステル
塩、脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩などが例
示される。
【0028】上記の塩を形成するカチオンとしては、ナ
トリウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウ
ム、カルシウムなどのアルカリ土類金属、ジエタノール
アミン、トリエタノールアミンなどのアミン、リジン、
アルギニンなどの塩基性アミノ酸のほか、2−アミノ−
2−メチルプロパノールあるいはアンモニアなどが挙げ
られる。そのなかでもラウリル硫酸塩が好ましく、特に
ラウリル硫酸ナトリウムが好ましく使用される。
【0029】さらに陽イオン性界面活性剤としては、塩
化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムなどが挙げら
れる。また、その他の溶解補助剤としては、クロタミト
ンなどが挙げられる。
【0030】本発明においては、これらの界面活性剤の
うち、任意の1種あるいは2種以上が選択され使用する
ことができる。なかでも本発明の外用剤にあっては、上
記界面活性剤中、ラウロマクロゴール、ポリオキシアル
キルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシ
エチレンソルビタン脂肪酸エステルを用いることによ
り、配合された薬物の基剤からの放出性が迅速かつ的確
になされ、皮膚への刺激性もなく、使用感、製剤の安定
性などの点で特に優れたものであることが判明した。
【0031】この場合の界面活性剤の配合量は特に限定
されるものではないが、製剤重量を基準として、2〜4
0重量%、好ましくは2〜30重量%、より好ましくは
2〜20重量%程度である。この配合量は、本発明の有
効成分であるテオフィリンを溶解する量であればよく、
配合量が多すぎると製剤の調製が困難となり、使用感が
悪くなるので好ましいものとはいえない。
【0032】本発明が提供する外用剤としては、皮膚の
局所表面部分に有効成分であるテオフィリンを直接投与
し得る剤型であれば特に制限されるものではない。その
ような剤型としては、例えば油脂性軟膏、乳剤性軟膏
(クリーム剤)、水溶性軟膏等の軟膏剤、ゲル軟膏剤、
クリーム剤、ローション剤、テープ剤および貼付剤等の
製剤の形態を採用することができる。そのなかでも、軟
膏剤、クリーム剤あるいはローション剤等の剤型が特に
好ましい。これらの製剤は、製剤学の分野でそれ自体周
知の汎用されている方法を用いて調製することができ
る。
【0033】本発明の外用剤に使用される基剤は、一般
的な軟膏剤、ゲル軟膏剤、クリーム剤などの外用剤の製
造に使用される基剤であり、例えば、水溶性高分子化合
物、多価アルコール、油、白色ワセリン等の外用基剤成
分である。
【0034】水溶性高分子化合物としては、例えば、カ
ルボキシビニルポリマー、メチルセルロース、ヒドロキ
シエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、
ポリビニルピロリドン等が挙げられる。この場合のカル
ボキシビニルポリマーは、本発明の外用剤においては外
用クリーム剤におけるゲル化剤として使用されるが、該
カルボキシビニルポリマーは分子内にカルボキシル基を
有する分子量が約1,000,000〜約3,000,
000の範囲内の水溶性ビニルポリマーであり、例え
ば、ハイビスワコー(登録商標)103,104,10
5の商品名で、またカルボポール(登録商標)934,
940,941の商品名で市販されているものを使用す
ることができる。
【0035】これらの水溶性高分子化合物、例えばカル
ボキシビニルポリマーの配合量は厳密なものではなく、
他の配合成分の配合量に応じて広範に変えることがで
き、一般的にその配合量は、0.1〜10.0重量%、
好ましくは0.3〜5.0重量%、より好ましくは0.
5〜3.0重量%程度である。
【0036】また、多価アルコールとしては、具体的に
はグリセリン、ソルビトール、ポリグリセリン、エチレ
ングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレング
リコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコ
ール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブチレング
リコール、エチレン−プロピレングリコール共重合体等
が挙げられる。これらの多価アルコールは、単独で使用
してもよく、また2種以上を用いることもできる。その
配合量は2.0〜20.0重量%、好ましくは4.0〜
15.0重量%、より好ましくは5.0〜12.0重量
%程度である。
【0037】油脂としては、一般的な油性物質があげら
れ、具体的には炭化水素類、固形ワックス、動・植物
油、高級脂肪酸、脂肪族高級アルコール、脂肪酸エステ
ル、シリコン油などが挙げられる。
【0038】炭化水素類としては、パラフィン、流動パ
ラフィン、白色ワセリン、スクワラン、スクワレン、プ
ラチスベースなどが、動・植物油としては、豚脂、牛
脂、鯨ロウ、ラノリン、ミツロウ、サラシミツロウ、カ
ルバナバロウ、ヤシ油、オリーブ油、ヒマシ油、ゴマ油
等が挙げられる。
【0039】高級脂肪酸としては、炭素数16〜18の
飽和ないし不飽和脂肪酸、例えばパルミチン酸、ステア
リン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などが挙
げられ、脂肪族高級アルコールとしてはセタノール(セ
チルアルコール)、ステアリルアルコールなどが挙げら
れる。
【0040】さらに脂肪族エステル類としては、モノ
(ジ)カルボン酸のアルキルエステルないしグリセリン
エステルであり、例えば、カルボン酸部分の炭素数が2
〜30程度、エステル部分の炭素数が1〜30程度であ
るものが使用される。具体的には、ミリスチン酸イソプ
ロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ラウリン酸エ
チル、リノール酸メチル、トリアセチン、カプリル酸ジ
(トリ)グリセリド、カプリン酸ジ(トリ)グリセリ
ド、カプリル酸とカプリン酸からなる混酸基トリグリセ
リド、オレイン酸ジ(トリ)グリセリド、リノール酸ジ
(トリ)グリセリド、オレイン酸とリノール酸からなる
混酸基トリグリセリド、ジエチルアジペートまたはジイ
ソプロピルアジペートなどである。
【0041】本発明の外用剤にあっては、以上列記した
油性物質の1種または複数種を用いることができる。こ
れらの油性物質を用いる場合には、その配合量は本発明
の外用剤として所望の製剤となりうるに必要な十分量で
あればよく、例えば、製剤全重量に対して5〜90重量
%、好ましくは10〜80重量%、より好ましくは20
〜80重量%程度である。
【0042】本発明が提供する外用剤にあっては、必要
に応じて、外用剤の分野で汎用されている吸収促進剤、
保湿剤、増粘剤、乳化剤、着色剤、芳香剤、抗酸化剤、
安定剤、殺菌剤、防腐剤等を含有することができる。
【0043】吸収促進剤としては、例えば尿素、クロタ
ミトン、セバシン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピ
ル等を挙げることができ、なかでもクロタミトンが好ま
しく使用される。
【0044】保湿剤としては、グリセリン、ソルビトー
ル、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、ピ
ロリドンカルボン酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウ
ム等の多価アルコール等が挙げられ、なかでもグリセリ
ン、プロピレングリコール、ヒアルロン酸ナトリウム等
が好ましく使用される。
【0045】増粘剤としては、アラビアガム、グアーガ
ム、ローカストビーンガム、カラギナン、カルボキシメ
チルセルロース、カルボキシメチルセルロース・ナトリ
ウム、ポリアクリル酸塩類、ポリアクリル酸エステル
類、天然ラテックス、酢酸ビニル樹脂エマルジョン、ポ
リビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース等
が挙げられる。そのなかでもポリアクリル酸塩類、カル
ボキシメチルセルロース・ナトリウム等が好ましく使用
される。
【0046】乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステ
ル、ショ糖脂肪酸エステル(シュガーエステル)、ソル
ビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エ
ステル、レシチン、ポリオキシエチレン脂肪酸エステ
ル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン
硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ラウリ
ル硫酸ナトリウム等が挙げられる。そのなかでもポリオ
キシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン脂肪酸エス
テル、グリセリン脂肪酸エステル等が好ましく使用され
る。
【0047】芳香剤としては、ユーカリ油、ラベンダー
油、メントール、ハッカ油、ローズ油、オレンジ油、チ
ューリップフレーバー、フルーツフレーバー、バニリ
ン、バニラフレーバー等が挙げられる。
【0048】抗酸化剤としては、L−アスコルビン酸、
アスコルビン酸ステアリン酸エステル、パルミチン酸ア
スコルビル、アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン
酸、エリソルビン酸ナトリウム、クエン酸イソプロピ
ル、dl−α−トコフェロール、d−δ−トコフェロー
ル、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒ
ドロキシアニソール(BHA)等が挙げられる。そのな
かでもパルミチン酸アスコルビル、アスコルビン酸ステ
アリン酸エステル、L−アスコルビン酸、dl−α−ト
コフェロール、d−δ−トコフェロール等、あるいはこ
れらの組合せが好ましい。
【0049】安定化剤としては、ポリソルベート、ポリ
エチレングリコール、エタノール、アセトン、軽質無水
ケイ酸、EDTA等が挙げられる。
【0050】防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エス
テル類、塩化ベンザルコニウム、ソルビン酸、フェノー
ル、クロロブタノール、クロロクレゾール、ベンジルア
ルコール等を挙げることができる。
【0051】また、本発明が提供する外用剤にあって
は、従来からアレルギー性皮膚疾患治療のために使用さ
れている他の薬剤、例えばステロイド剤、抗アレルギー
剤、免疫抑制剤等の薬効成分を同時に含有させることも
できる。
【0052】本発明が提供する外用剤の投与は、症状、
発症部位、発症部位の面積、年齢、体重、薬剤の投与形
態等に応じて広い範囲で変更することができるが、一般
的には1日当たり0.1g〜5g程度の範囲内の用量が
標準的であり、通常これを1日1回または数回に分けて
患部に直接塗布する。
【0053】
【実施例】以下に、本発明の外用剤を、具体的製剤処方
例および実際に患者に投与して行った試験例によってさ
らに詳細に説明するが、本発明の範囲は、かかる記載に
よって何ら制限されるものではない。
【0054】実施例1:外用軟膏剤 アミノフィリン300mgおよび白色ワセリン9.7g
をよく混合し、目的とするアミノフィリン3%含有の軟
膏剤を得た。
【0055】実施例2:外用軟膏剤 テオフィリン 0.5重量% アジピン酸ジブチル 2.0 セバシン酸ジエチル 2.0 イソステアリン酸 3.0 オレイン酸オクチル 3.0 精製ラノリン 3.0 スクワラン 3.0 セスキオレイン酸ソルビタン 4.0 固形ワックス 6.0 流動パラフィン 8.0 プラチスベース 32.0 白色ワセリン 33.5 上記の各成分を、製剤手法として汎用されている外用剤
の練合−混合手順により順次混合し、目的とするテオフ
ィリン0.5%含有の外用軟膏剤を得た。
【0056】実施例3:外用軟膏剤 テオフィリン 1.0重量% ステアリルアルコール 25.0 プロピレングリコール 20.0 ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60 4.0 モノステアリン酸グリセリン 1.0 メチルパラベン 0.1 プロピルパラベン 0.1 精製水 残 部 上記の各成分を、製剤手法として汎用されている外用剤
の練合−混合手順により順次混合し、目的とするテオフ
ィリン1%含有の外用軟膏剤を得た。
【0057】実施例4:外用クリーム剤 コリンテオフィリン 1.0重量% POE(25)ラウリルエーテル 3.0 プロピレングリコール 6.0 POE(4)ステアリルエーテル 4.0 モノステアリン酸ソルビタン 3.0 セチルアルコール 6.0 スクワラン 4.0 パルミチン酸セチル 6.0 ポリエチレングリコール400 3.0 ステアリン酸 4.0 精製水 59.2 カルボキシビニルポリマー 0.8 上記の各成分を、製剤手法として汎用されている外用剤
の練合−混合手順により順次混合して、目的とするコリ
ンテオフィリン1%含有の外用クリーム剤を得た。
【0058】[外用剤の適用例] 適用例1:年齢11歳のアトピー性皮膚疾患の女児患者
に対して本外用剤(前記実施例1の外用軟膏剤)を使用
した。生後1歳頃よりアトピー性皮膚炎発症。ここ数年
間は小康状態を保っていたが、3ヶ月前より悪化。ステ
ロイド剤の使用を拒否するため、保湿剤により3ヶ月様
子をみていたが横ばい状態。両大腿部に激しい痒みと小
丘疹が集積、臀部では重度の鱗屑、たいせん化あるいは
皮膚の硬化と激しい痒みのため、本外用剤を使用した。
本発明の外用剤は、約1gを1日2回患部に直接塗布し
た。その結果、本剤による治療開始後4週間後で、色素
沈着があるものの、鱗屑消失・たいせん化もほとんど消
失し、皮膚軟らかく、痒みの軽減と明らかな改善を認め
た。なお、本外用剤の治療期間中、副作用や患部におけ
る異常は認められなかった。
【0059】適用例2:年齢24歳のアトピー性皮膚炎
症の女性患者に対して本外用剤(前記実施例1の外用軟
膏剤)を使用した。幼児期にアトピー性皮膚炎と診断さ
れる。その後、寛解・増悪を繰返し、増悪期にはステロ
イド剤を使用。半年前から悪化し、リンデロンVG軟膏
(strongクラスのステロイド剤)・プロトピックを数ヶ
月間使用するも改善しないため、本外用剤と、アルメタ
(mildクラスのステロイド剤)を併用使用した。使用開
始時には、両下肢には全面に激しい掻痒を伴う小丘疹、
臀部にも激しい掻痒を伴った発赤腫脹がみられ、軽度の
皮膚の硬化が認められた。使用開始1週間後には下肢は
色素沈着を残すのみで症状のほとんどが消失していた。
その段階でアルメタ(mildクラスのステロイド剤)の併
用をやめ、本外用剤のみを使用し、治療を継続した。症
状の再発を認めず、臀部では痒みがあるものの発赤腫脹
が軽減し、皮膚も軟らかくなり、発症は軽快していっ
た。
【0060】
【発明の効果】以上記載のように、本発明によれば、テ
オフィリン、アミノフィリンまたはコリンテオフィリン
を外用基剤中に可溶化して皮膚刺激性がなく、安定性に
優れた経皮吸収の良好な外用剤が提供される。これらの
外用剤は、アトピー性皮膚炎に対して有効な治療効果を
示し、その医療上の効果は多大なものである。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 テオフィリンを有効成分として含有する
    アレルギー性皮膚疾患治療用外用剤。
  2. 【請求項2】 アミノフィリンを有効成分として含有す
    るアレルギー性皮膚疾患治療用外用剤。
  3. 【請求項3】 コリンテオフィリンを有効成分として含
    有するアレルギー性皮膚疾患治療用外用剤。
  4. 【請求項4】 アレルギー性皮膚疾患がアトピー性皮膚
    炎である請求項1ないし3のいずれかに記載のアレルギ
    ー性皮膚疾患治療用外用剤。
  5. 【請求項5】 アレルギー性皮膚疾患が接触性皮膚炎で
    ある請求項1ないし3のいずれかに記載のアレルギー性
    皮膚疾患治療用外用剤。
  6. 【請求項6】 アレルギー性皮膚疾患が乾癬症である請
    求項1ないし3のいずれかに記載のアレルギー性皮膚疾
    患治療用外用剤。
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