JP2003169693A - 可溶性IL−15レセプターα鎖の製造方法 - Google Patents

可溶性IL−15レセプターα鎖の製造方法

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JP2003169693A
JP2003169693A JP2001373478A JP2001373478A JP2003169693A JP 2003169693 A JP2003169693 A JP 2003169693A JP 2001373478 A JP2001373478 A JP 2001373478A JP 2001373478 A JP2001373478 A JP 2001373478A JP 2003169693 A JP2003169693 A JP 2003169693A
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chain
shil
ser
soluble
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Izumi Kumagai
泉 熊谷
Kohei Tsumoto
浩平 津本
Mitsuhiro Matsumoto
光広 松本
Satoru Misawa
悟 三沢
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 封入体を形成した不活性型のIL-15レセ
プターα鎖を効率よく活性型にリフォールディングする
ことによる可溶性IL-15レセプターα鎖の効率的な
生産方法の提供。 【解決手段】 IL-15レセプターα鎖の封入体を変
性剤で可溶化して樹脂に吸着させた後、当該樹脂を変性
剤濃度の漸減した緩衝溶液と接触させてリフォールディ
ングすること、好ましくは、前記緩衝溶液に酸化型及び
還元型グルタチオンを添加したことからなる可溶性IL
-15レセプターα鎖の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、遺伝子工学的に原
核微生物中で封入体として発現させたIL-15レセプ
ターα鎖を変性条件化で樹脂に吸着させた後、変性剤濃
度を緩やかに低下させた緩衝溶液と接触させることによ
り高濃度で効率よくリフォールディングし、可溶性IL
-15レセプターα鎖を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】IL-15はサルの腎臓上皮細胞から分
泌され、T細胞株の増殖促進因子として、1994年に
cDNAが単離された(Grabstein, K. H., et al., Sc
ience264, 965-968 (1994))。IL-15はIL-2レセ
プターβ鎖及びγ鎖をIL-2と共有していることか
ら、その生理活性はIL-2の作用と類似している。し
かし、IL-15を産生する細胞はIL-2とは異なり、
IL-15はリンパ球系の細胞では発現が認められず、
多くの組織や臓器に発現が認められる。このことからI
L-15独自の作用機構が存在するものと考えられる。
【0003】IL-15レセプターα鎖のcDNAはマ
ウスのTh2細胞株であるD10細胞からクローニング
された(Giri, J. G., et al., EMBO J. 14, 3654-3663
(1995))。分子量は58から60kDaの膜結合型糖
タンパク質で、シグナルペプチド、細胞外領域、膜貫通
領域及び細胞内領域から構成され、糖鎖結合部位が1カ
所存在する。構造上、sushiドメインと呼ばれるモチー
フを持つことからIL-2レセプターα鎖と近縁なレセ
プターであると考えられる。IL-15レセプターα鎖
は生体内で広範囲に発現が認められ、組織のノーザンハ
イブリダイゼーション解析において、心臓、脾臓、肺、
骨格筋、肝臓に発現が分布することが示されている。更
にNK細胞、マクロファージ 、B細胞、好中球など多
様な細胞種に発現していることが報告されている。IL
-15は慢性関節リウマチ(RA)患者の滑液から多量
に検出され、その滑液由来T細胞はin vitroにおいてI
L-15の添加によりTNF-αの産生を誘導する。ま
た、マウスコラーゲン関節炎モデルにおいて可溶性マウ
スIL-15レセプターα鎖の投与が関節炎の発症を顕
著に抑制することが報告された(Ruchatz, H., et al.,
J. Immunol. 160, 5654-5660 (1998))。これらの事実
は、IL-15がRAの病態形成に重要な役割を担って
おり、更にはIL-15の生物活性の中和がRAの病態
改善につながることを示している。つまり、可溶性IL
-15レセプターα鎖は抗リウマチ薬としての臨床応用
が期待される蛋白質であり、遺伝子工学的に原核微生物
を宿主として大量発現させ、安価な製造プロセスを確立
することにより、組換え医薬品としての産業応用が可能
になると考えられる。また、可溶性IL-15レセプタ
ーα鎖に対する低分子アンタゴニストのスクリーニング
系を構築する上でも、組換え型可溶性IL-15レセプ
ターα鎖の大量調製法の確立は重要である。
【0004】すでに可溶性マウスIL-15レセプター
α鎖の大腸菌を宿主とした発現ならびにリフォールディ
ングの報告はあるものの(Ruchatz, H., et al., J. Im
munol. 160, 5654-5660 (1998))、その具体的方法は開
示されておらず、また、可溶性ヒトIL-15レセプタ
ーα鎖の大腸菌を宿主とした発現ならびにリフォールデ
ィングに関する報告はない。可溶性IL-15レセプタ
ーα鎖を医薬品として開発する場合、免疫原性の観点か
らヒト由来蛋白質の方が好ましいと考えられる。また、
低分子レセプターアンタゴニストをスクリーニングする
上でもヒト由来蛋白質を用いることが適切と考えられ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記課題を解
決するもので、本発明の目的は封入体を形成した不活性
型のIL-15レセプターα鎖を効率よく活性型にリフ
ォールディングする可溶性IL-15レセプターα鎖の
効率的な生産方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために、鋭意、研究を進めた結果、新規なリフ
ォールディングプロセスを開発し、可溶性IL-15レ
セプターα鎖を高濃度で効率よく活性型にリフォールデ
ィングできる方法を見出した。
【0007】すなわち、本発明は、IL-15レセプタ
ーα鎖の封入体を変性剤で可溶化して樹脂に吸着させた
後、当該樹脂を変性剤濃度の漸減した緩衝溶液と接触さ
せてリフォールディングすること、好ましくは、前記緩
衝溶液に酸化型及び還元型グルタチオンを添加したこと
からなる可溶性IL-15レセプターα鎖の製造方法に
関する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のIL-15レセプターα
鎖としては、ヒト、サル、マウス、その他、いずれの由
来のものでも良く、その封入体としては、原核微生物に
より産生されたものであれば、特に支障なく用いること
ができるが、特には、大腸菌にヒトIL-15レセプタ
ーα鎖のcDNAを導入した菌、例えば、独立行政法人
産業技術総合研究所特許生物寄託センターにFERM
P−18628として寄託されている形質転換菌E. col
i BL21/pMTHshIL-15Rを用いて産生されたものを用いる
ことが好ましい。
【0009】このIL-15レセプターα鎖の封入体
は、組換え大腸菌を培養、増殖させた後、例えば、遠心
分離等により菌体を分離して当該湿菌体を得、これを、
10mMリン酸緩衝液(pH7.0)等の菌体破砕用バッファ
ーに懸濁して超音波処理を行い、さらにTriton X-100等
の非イオン性界面活性剤で細胞膜を可溶化し、洗浄、分
離する方法により、簡便に得ることができる。
【0010】IL-15レセプターα鎖は分子内に2箇
所のジスルフィド結合を有しており、宿主由来の蛋白質
と分子間ジスルフィド結合を組み、封入体を形成してい
ると考えられる。したがって、本発明においては、先
ず、このIL-15レセプターα鎖の封入体を、還元し
て可溶化させる必要がある。この可溶化は、通常用いら
れる封入体を可溶化する方法、すなわち変性剤、例え
ば、グアニジン塩酸溶液や尿素溶液で処理することによ
り行うことができる。より具体的には、当該封入体1重
量部に対して、4〜8Mのグアニジン塩酸溶液や尿素溶
液を10〜100容量部加え、25〜40℃の温度で、
30分〜2時間振盪あるいは撹拌することにより、容易
に可溶化できる。なお、可溶化後の溶液については、不
溶物を遠心分離等で除くことが好ましく、また純度が低
い場合等、必要により、変性剤等の存在下にゲル濾過も
しくはイオン交換クロマトグラフィー等で精製すること
が好ましい。また、可溶化後のIL-15レセプターα
鎖の濃度は、2〜10mg/mlの範囲に調整しておくこと
が好ましい。
【0011】本発明では、上記方法で可溶化されたIL
-15レセプターα鎖を、樹脂に吸着させるが、この樹
脂としては、変性剤として尿素溶液を用いる場合はイオ
ン交換樹脂等を用いることができ、また、変性剤として
グアニジン塩酸溶液のように強いカオトロピックイオン
を含むような変性剤溶液を用いる場合、IL-15レセ
プターα鎖のN又はC末端側に6残基のヒスチジンタグ
(His6-tag)を付加して、ニッケルニトリロトリアセテ
ート(Ni-NTA)樹脂を用いて吸着させることが、IL-
15レセプターα鎖を特異的に吸着させることができ、
特に好ましい。このIL-15レセプターα鎖のN又は
C末端側にヒスチジンタグ(His6-tag)を付加したもの
は、IL-15レセプターα鎖のcDNAに、ヒスチジ
ンタグをコードするDNAを予め結合したもので、大腸
菌を形質転換し、IL-15レセプターα鎖にヒスチジ
ンタグが付加した形態で発現させることが、簡便で好ま
しい。
【0012】樹脂へのIL-15レセプターα鎖の吸着
は、上記可溶化後のIL-15レセプターα鎖を含む溶
液100ml当たり、10〜100mgの樹脂を加えて、撹
拌することにより行うことができるが、同量の樹脂を充
填したカラムにIL-15レセプターα鎖含有溶液を流
下させる方法が、その後の処理が簡便となり好ましい。
【0013】上記方法でIL-15レセプターα鎖を吸
着させた樹脂を、変性剤を含有する緩衝溶液と接触さ
せ、次いで当該変性剤の濃度を漸次低下させた緩衝溶液
と接触させることにより、リフォールディングする。こ
の時の緩衝液としては、リン酸ナトリウム、トリス塩酸
等の緩衝液を用いることができ、変性剤としては、グア
ニジン塩酸塩や尿素を用いることができる。この変性剤
は、上記可溶化に用いた変性剤と同一であっても異なる
ものであっても良い。変性剤の濃度は、スタート時で
は、4〜8Mで、その後、直線的勾配で濃度を低減させ
るとよく、低減速度は、0.1〜1M/hrの範囲で適宜選
定すればよく、変性剤の濃度が0Mとなった時点で終了
する。このリフォールディングの温度は、4〜37℃で
行うと良い。
【0014】なお、この場合、前記緩衝液に酸化型及び
還元型グルタチオンを、それぞれ、0.01〜10mMで
添加しておくと、分子内に存在する2箇所のジスルフィ
ド結合をより正確に形成させることができる。
【0015】
【実施例】(ヒトIL-15レセプターα鎖(shIL-15R
α)発現ベクターの構築と生産菌の調製)shIL-15Rα遺
伝子(配列表1)の5’末端にEcoRI切断部位とHis6-ta
gをコードする配列(配列表3)を持つフォワードプラ
イマー(forward primer)、3’末端にはHindIII切断
部位を付加するための配列(配列表4)を持つリバース
プライマー(reverse primer)をそれぞれ合成した。P
CRはTaKaRa LA Taq(宝酒造製)と、テンプレートD
NAとしてヒト脾臓のcDNAを用い、95℃で1分間
熱変性を行ってから、95℃で30秒間、60℃で1分
間、72℃で1.5分間を1サイクルとして30サイク
ル増幅反応を行った後、72℃で7分間追加伸長してか
ら4℃に保冷した。PCR産物をQIA quick PCR Purifi
cation Kit(QIAGEN製)で精製後、EcoRIとHindIIIで消
化した。
【0016】shIL-15Rα遺伝子断片を同じ制限酵素で切
断した発現ベクターpMT1(特開平03-164184号参照)に
連結し、大腸菌JM109株へ導入した。形質転換体を10
0mlの100μg/mlアンピシリンを含有する5mlの2×Y
T(2×YT-Amp)培地で振とう培養し、shIL-15Rα発現ベ
クターpMTHshIL-15RをQIAGEN Plasmid Maxi Kit(QIAGE
N)により調製した。その発現ベクターを大腸菌BL21株
に導入して得られた形質転換体をshIL-15Rα生産菌とし
た。図1にshIL-15Rα発現ベクターの模式図を示した。
図1中のPtrpはトリプトファンプロモーター、rrnB T1T
2はrrnBリボソームRNAターミネーター、pUCoriはpUC18
複製開始点、Amprはアンピシリン耐性遺伝子をそれぞれ
示す。
【0017】(shIL-15Rα生産菌の培養と不溶性顆粒の
調製)5mlの2×YT-Amp培地を試験管に入れて、shIL-15
Rα生産菌BL21/pMTHshIL-15Rのグリセロール保存液を1
00μl接種し、37℃、160rpmで3時間振盪培養を
行った。100mlの2×YT-Amp培地を入れた500ml三
角フラスコに先の種培養液2mlを添加し、37℃、16
0rpmで3時間振盪培養を行った。その種培養液20ml
を1Lの2×YT-Amp培地を含む5L三角フラスコに添加
し、37℃、200rpmで18時間振盪培養を行った。
培養終了後、培養液を4℃、6,000rpmで20分間遠
心を行って菌体を回収した。得られた培養菌体は使用す
るまで−80℃に保存した。培養菌体の湿重量1gに対
して5mlの50mM Tris-HCl,pH8.0、1mM EDTAで懸
濁した後、超音波破砕装置(Branson製;SONIFIRE 25
0)により、output control:4、duty cycle:70%
で1分間、5回処理して菌体を破砕した。4℃、18,0
00rpmで30分間遠心して不溶性画分を回収した。不
溶性画分を50mlの2M尿素、2%Triton X-100、50m
M Tris-HCl、pH8.0、1mM EDTAに懸濁後、24℃、1
60rpmで30分間撹拌し、不溶性画分の洗浄を行っ
た。その後、4℃、18,000rpmで10分間遠心して
不溶性画分を回収した。不溶性画分を50mlの超純水に
再度懸濁して、4℃、18,000rpmで10分間遠心を
行い、得られた不溶性画分をshIL-15Rα封入体として回
収した。
【0018】shIL-15Rα封入体の調製及びリフォールデ
ィングの過程における純度分析結果を表す電気泳動の結
果を図2に示した。shIL-15Rαを含む封入体を2M尿素
と2% Triton X-100を含む緩衝液で洗浄したが、顕著
な洗浄効果は認められなかった。図2中のレーン1は分
子量マーカー、レーン2はBL21/pMT1(コントロール)
の全菌体蛋白質、レーン3はBL21/pMTHshIL-15R(shIL-
15Rα生産菌)の全菌体蛋白質、レーン4はshIL-15Rα
生産菌の可溶性画分、レーン5はshIL-15Rα生産菌の不
溶性画分、レーン6は2M尿素/2%Triton X-100洗浄の
上清、レーン7は2M尿素/2%Triton X-100洗浄の沈
殿、レーン8は8M尿素可溶性画分、レーン9は8M尿素
不溶性画分、レーン10はNi-NTAカラム素通り画分、レ
ーン11はリフォールディングの後のNi-NTAカラム溶出
画分をそれぞれ示す。
【0019】(shIL-15Rαの固相上でのリフォールディ
ング及びアフィニティ精製)shIL-15Rα封入体を1mMジ
チオスレイトール(DTT)を含有する50mlの8M尿素、
20mMリン酸ナトリウム、pH7.4、150mM NaCl、1
0%グリセロール、20mMイミダゾール(バッファー
A)で懸濁し、24℃、160rpmで16時間撹拌してs
hIL-15Rα封入体の可溶化を行った。その後、4℃、1
8,000rpmで30分間遠心し、可溶性画分を回収し
た。この8M尿素可溶性画分を1mMの還元型グルタチオ
ンと0.2mMの酸化型グルタチオンを含有するバッファ
ーAで平衡化したNi-NTA Superflow(QIAGEN)カラムに
負荷し、His6-tagを介して変性shIL-15Rαをカラムに結
合させた。1mMの還元型グルタチオンと0.2mMの酸化
型グルタチオンを含有するバッファーAでカラムを十分
洗浄後、1mMの還元型グルタチオンと0.2mMの酸化型
グルタチオンを含有する180mlのバッファーAと、1
mMの還元型グルタチオンと0.2mMの酸化型グルタチオ
ンを含有する200mlの20mMリン酸ナトリウム、pH
7.4、150mM NaCl、10%グリセロール、20mM i
midazole(バッファーB)をグラジエントリザーバーを
用いて、次に示す条件で72時間かけてカラムに負荷
し、尿素の濃度を直線的に減少させてshIL-15Rαの活性
型へのリフォールディングを行った。20mlのバッファ
ーBでカラムを洗浄後、300mMイミダゾール、20mM
リン酸ナトリウム、pH7.4、150mM NaCl、10%グ
リセロールを、前記と同じ条件でカラムに負荷してshIL
-15Rαを溶出させた結果、図2のレーン11に示すよう
に高純度のshIL-15Rαが高収率で得られた。
【0020】Ni-NTA SuperflowカラムでのshIL-15Rαの
リフォールディング及び精製条件 カラム:Ni-NTA Superflowカラム(2.2×2.6 cm) 流速:120ml/h(サンプル負荷、洗浄、溶出) 5.3ml/h(リフォールディング) 分画:2ml/min/tube 検出波長:280nm
【0021】(活性再生したshIL-15Rαのゲルろ過カラ
ムクロマトグラフィーによる精製)Ni-NTA Superflowカ
ラムから溶出されたshIL-15Rαを含む画分を20mMリン
酸ナトリウム、pH7.4、150mM NaClで平衡化したSe
phacryl S-100 HR(Pharmacia Biotech製)カラムに負
荷して、次に示した条件でゲルろ過カラムクロマトグラ
フィーを行った。このゲルろ過カラムクロマトグラフィ
ーにおける各フラクションの280nmにおける紫外吸収
のクロマトグラムを図3にAとして、また各クラクショ
ンのSDS-PAGEによる純度分析結果を示す電気泳動の結果
を図3にBとして示した。
【0022】Sephacryl S-100 HRカラムでのshIL-15Rα
の精製条件 カラム:Sephacryl S-100 HRカラム(2.2×95 cm) 流速:27 ml/h 分画:3.8 ml/8.44 min/tube 検出波長:280 nm
【0023】図3のAに示すように、排除体積のFr. 31
付近に凝集体、Fr. 44付近に単量体と推定されるA280
の吸収が検出された。単量体のshIL-15Rαを含有する画
分(Fr. 41-47)を1つにまとめて、限外ろ過膜YM-10(A
micon)で濃縮し、0.22μmのフィルター(Millipor
e)で無菌ろ過後、−80℃に凍結保存した。
【0024】shIL-15Rαは分子内の2箇所のジスルフィ
ド結合の形成がリガンドとの結合に必須であると言われ
ている。今回調製したサンプルがこの結合を形成してい
るかを確認するために、精製標品を還元剤添加、無添加
の条件でSDS-PAGEを行った。この結果の電気泳動の結果
を図4に示した。この図4が示すように、還元剤無添加
のサンプルは、添加したサンプルよりも移動度が大きか
った。これは分子内でジスルフィド結合を形成した本来
の立体構造を有するshIL-15Rαであることを示唆してい
る。最終的に培養液1L当たりshIL-15Rα精製標品を1.
2mg得ることができた。
【0025】(タンパク質定量)タンパク質濃度は、ウ
シγグロブリン(Bio-Rad)を標準タンパク質とし、Pro
tein Assay(Bio-Rad)を用いて測定した。
【0026】(質量分析)shIL-15Rα精製標品を分画分
子量10,000の透析膜MINI Slide-A-Lyser Dialysis
Unit(Pierce)を用いて脱塩を行った。そのサンプル
の質量分析を四重極型質量分析装置API 300(Perkin-El
mer Sciex製)により行った。この質量スペクトルを図
5に示した。この結果から、分子量は19,020.6Da
と算出され、得られた分子量は、His6-tagが付加したsh
IL-15Rαに開始メチオニンが付加した分子量とほぼ一致
することが判明した。
【0027】(N末端アミノ酸配列分析)質量分析の結
果を受けて、開始メチオニンの有無を確認するためにN
末端アミノ酸配列分析を行った。shIL-15RαをSDS-PAGE
により分離し、polyvinylidene difluoride(PVDF)膜
へブロッティング後、PVDF膜をクマシー染色してshIL-1
5Rαのバンドを可視化した。shIL-15Rαのバンドを切り
出し、アミノ酸配列分析装置G1005A Protein Sequencin
g System(Hewlett Packard製)を使用してN末端アミ
ノ酸配列分析を行った。
【0028】その結果、メチオニンにヒスチジン6個が
連なった配列が得られ、質量分析の結果から推定された
通り、開始メチオニンは除去されていないことが判明し
た。
【0029】(shIL-15RαのヒトIL-15に対する解
離定数の測定)shIL-15RαのヒトIL-15に対する解
離定数(Kd)の測定は、生体分子間相互作用解析装置
(日製産業製;IAsys Plus)を用いて行った。10mM
酢酸ナトリウム、pH4.5に溶解し、100μg/mlに調
製したヒトIL-15(PeproTech)50μlをCM-Dextra
nキュベットに添加し、N-ヒドロキシサクシンイミドと1
-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
を用いてヒトIL-15を固相化した。PBSTで希釈した
750pM、1000pM、2500pM又は5000pMのsh
IL-15RαをヒトIL-15が固相化されたキュベットに
添加して、ヒトIL-15への結合能を評価した。
【0030】得られた結合曲線よりshIL-15RαのヒトI
L-15に対する反応速度論的パラメーターを求めた結
果、結合速度定数kon=9.56×105 s-1 M-1、解離
速度定数koff=2.88×10-4 s-1及びKd=3.01×
10-10 Mと算出された。このKd値は、遺伝子導入によ
り細胞表面上に発現させたヒトIL-15レセプターα
鎖に対するサルIL-15(ヒトIL-15と1次構造上
96%の相同性を有する。)の解離定数Kd≒1×10
-11 Mと近似していることから、shIL-15Rαは本来の結
合能を保持していることが示唆された。
【0031】(ヒトIL-15応答性CTLL-2細胞増殖に
おけるshIL-15Rαの中和活性の測定)1×105/mlのCT
LL-2細胞懸濁液を100μlずつ96wellプレートに蒔
き込んだ(1×104/well)。shIL-15Rαを0.04〜40
0nMとなるように10%ウシ胎児血清、100IU/mlの
ペニシリン及び100μg/mlのストレプトマイシンを含
有するRPMI1640培地(以降cRPMI1640培地と略す)で希
釈した。希釈溶液50μlを先程のCTLL-2細胞懸濁液に
添加して、更にcRPMI1640培地で希釈した50μlの4nM
ヒトIL-15(Biogenesis)または4nMヒトIL-2
(GenzymeTechne)を加えて37℃、5%CO2で24時間
培養を行った。培養終了4時間前に0.05mCi/mlの
[3H]チミジンを含むcRPMI1640培地を20μlずつ添加し
(1μCi/well)、培養を継続した。培養終了後、細胞
をセルハーベスターでUniFilter-GF/Cプレート(Packar
d)にハーベストし、プレートを乾燥後、各wellに液体
シンチレーター(Packard製;Microscint-20)を20μ
lずつ添加した。細胞内に取り込まれた[3H]チミジンの
放射活性はシンチレーションカウンター(Packard製;T
opCount)を使用して、Data Mode : CPM、Radionucleot
ide : 3H-MicroScint、Count Time :2min、Count Dela
y :2minの条件で測定した。
【0032】得られた結果を、図6に、可溶性ヒトIL
-15レセプターα鎖精製標品の濃度(対数目盛)に対
する細胞内に取り込まれた[3H]チミジン量のグラフとし
て示した。この図6に示すようにヒトIL-15によるC
TLL-2細胞の増殖に対して濃度依存的なshIL-15Rαの中
和活性が確認された(IC50=518 pM)。また、shIL-15R
αは、ヒトIL-15と類似の構造を有するヒトIL-2
の増殖活性に対しては中和活性を示さなかった。このこ
とは、shIL-15RαヒトIL-15に対して特異的に結合
することを示唆している。
【0033】
【発明の効果】本発明はIL-15レセプターα鎖の封
入体を変性剤で可溶化して樹脂に吸着させた後、緩衝液
中の変性剤濃度を緩やかに低下させてリフォールディン
グするために、高濃度で効率よく可溶性IL-15レセ
プターα鎖を製造でき、また、前記リフォールディング
の際に、当該緩衝液に酸化型及び還元型グルタチオンを
添加するようにすると、分子内に存在する2箇所のジス
ルフィド結合を正確に形成させることができるという格
別の効果を奏する。
【0034】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> JAPAN ENERGY CORPORATION <120> Preparation for soluble IL-15 receptors <130> FJ131126A1 <140> <141> <160> 4 <170> PatentIn Ver. 2.1 <210> 1 <211> 540 <212> DNA <213> human <220> <221> CDS <222> (1)..(540) <400> 1 atg cat cac cat cac cat cac agc agc ggc atc acg tgc cct ccc ccc 48 Met His His His His His His Ser Ser Gly Ile Thr Cys Pro Pro Pro 1 5 10 15 atg tcc gtg gaa cac gca gac atc tgg gtc aag agc tac agc ttg tac 96 Met Ser Val Glu His Ala Asp Ile Trp Val Lys Ser Tyr Ser Leu Tyr 20 25 30 tcc agg gag cgg tac att tgt aac tct ggt ttc aag cgt aaa gcc ggc 144 Ser Arg Glu Arg Tyr Ile Cys Asn Ser Gly Phe Lys Arg Lys Ala Gly 35 40 45 acg tcc agc ctg acg gag tgc gtg ttg aac aag gcc acg aat gtc gcc 192 Thr Ser Ser Leu Thr Glu Cys Val Leu Asn Lys Ala Thr Asn Val Ala 50 55 60 cac tgg aca acc ccc agt ctc aaa tgc att aga gac cct gcc ctg gtt 240 His Trp Thr Thr Pro Ser Leu Lys Cys Ile Arg Asp Pro Ala Leu Val 65 70 75 80 cac caa agg cca gcg cca ccc tcc aca gta acg acg gca ggg gtg acc 288 His Gln Arg Pro Ala Pro Pro Ser Thr Val Thr Thr Ala Gly Val Thr 85 90 95 cca cag cca gag agc ctc tcc cct tct gga aaa gag ccc gca gct tca 336 Pro Gln Pro Glu Ser Leu Ser Pro Ser Gly Lys Glu Pro Ala Ala Ser 100 105 110 tct ccc agc tca aac aac aca gcg gcc aca aca gca gct att gtc ccg 384 Ser Pro Ser Ser Asn Asn Thr Ala Ala Thr Thr Ala Ala Ile Val Pro 115 120 125 ggc tcc cag ctg atg cct tca aaa tca cct tcc aca gga acc aca gag 432 Gly Ser Gln Leu Met Pro Ser Lys Ser Pro Ser Thr Gly Thr Thr Glu 130 135 140 ata agc agt cat gag tcc tcc cac ggc acc ccc tct cag aca aca gcc 480 Ile Ser Ser His Glu Ser Ser His Gly Thr Pro Ser Gln Thr Thr Ala 145 150 155 160 aag aac tgg gaa ctc aca gca tcc gcc tcc cac cag ccg cca ggt gtg 528 Lys Asn Trp Glu Leu Thr Ala Ser Ala Ser His Gln Pro Pro Gly Val 165 170 175 tat cca cag ggc 540 Tyr Pro Gln Gly 180 <210> 2 <211> 180 <212> PRT <213> human <400> 2 Met His His His His His His Ser Ser Gly Ile Thr Cys Pro Pro Pro 1 5 10 15 Met Ser Val Glu His Ala Asp Ile Trp Val Lys Ser Tyr Ser Leu Tyr 20 25 30 Ser Arg Glu Arg Tyr Ile Cys Asn Ser Gly Phe Lys Arg Lys Ala Gly 35 40 45 Thr Ser Ser Leu Thr Glu Cys Val Leu Asn Lys Ala Thr Asn Val Ala 50 55 60 His Trp Thr Thr Pro Ser Leu Lys Cys Ile Arg Asp Pro Ala Leu Val 65 70 75 80 His Gln Arg Pro Ala Pro Pro Ser Thr Val Thr Thr Ala Gly Val Thr 85 90 95 Pro Gln Pro Glu Ser Leu Ser Pro Ser Gly Lys Glu Pro Ala Ala Ser 100 105 110 Ser Pro Ser Ser Asn Asn Thr Ala Ala Thr Thr Ala Ala Ile Val Pro 115 120 125 Gly Ser Gln Leu Met Pro Ser Lys Ser Pro Ser Thr Gly Thr Thr Glu 130 135 140 Ile Ser Ser His Glu Ser Ser His Gly Thr Pro Ser Gln Thr Thr Ala 145 150 155 160 Lys Asn Trp Glu Leu Thr Ala Ser Ala Ser His Gln Pro Pro Gly Val 165 170 175 Tyr Pro Gln Gly 180 <210> 3 <211> 62 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:forward primer <400> 3 gcgaattcat gcatcaccat caccatcaca gcagcggcat cacgtgccct ccccccatgt 60 cc 62 <210> 4 <211> 33 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:reverse primer <400> 4 gcaagcttag ccctgtggat acacacctgg cgg 33
【図面の簡単な説明】
【図1】 可溶性ヒトIL-15レセプターα鎖発現ベ
クターの模式図
【図2】 SDS-PAGEによる可溶性ヒトIL-15レセプ
ターα鎖封入体の調製及びリフォールディングにおける
純度分析結果を示す電気泳動の結果の図
【図3】 活性再生した可溶性ヒトIL-15レセプタ
ーα鎖のゲル濾過カラムクロマトグラフィーのクロマト
グラム(A)及び各クラクションの純度を示す電気泳動
の結果の図(B)
【図4】 SDS-PAGEによる可溶性ヒトIL-15レセプ
ターα鎖精製標品に対する還元剤の影響を示す電気泳動
の結果の図
【図5】 可溶性ヒトIL-15レセプターα鎖精製標
品の質量分析スペクトルを示す図
【図6】 ヒトIL-15応答性CTLL-2細胞増殖におけ
る可溶性ヒトIL-15レセプターα鎖精製標品の中和
活性を示すグラフ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松本 光広 埼玉県戸田市新曽南三丁目17番35号 株式 会社ジャパンエナジ−内 (72)発明者 三沢 悟 埼玉県戸田市新曽南三丁目17番35号 株式 会社ジャパンエナジ−内 Fターム(参考) 4B064 AG20 CA02 CA19 CC24 CE02 CE03 CE11 CE12 DA01

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 IL-15レセプターα鎖の封入体を変
    性剤で可溶化して樹脂に吸着させた後、当該樹脂を変性
    剤濃度の漸減した緩衝溶液と接触させてリフォールディ
    ングすることを特徴とする可溶性IL-15レセプター
    α鎖の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1の記載において、緩衝溶液に酸
    化型及び還元型グルタチオンを添加したことを特徴とす
    る可溶性IL-15レセプターα鎖の製造方法。
JP2001373478A 2001-12-07 2001-12-07 可溶性IL−15レセプターα鎖の製造方法 Pending JP2003169693A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8759007B2 (en) 2002-09-02 2014-06-24 National Food Research Institute Method to produce a receptor chip using biotinylated protein
AU2016203362B2 (en) * 2009-08-14 2018-07-19 The Government Of The United States Of America As Represented By The Secretary Of The Department Of Health And Human Services Use of il-15 to increase thymic output and to treat lymphopenia

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US8759007B2 (en) 2002-09-02 2014-06-24 National Food Research Institute Method to produce a receptor chip using biotinylated protein
AU2016203362B2 (en) * 2009-08-14 2018-07-19 The Government Of The United States Of America As Represented By The Secretary Of The Department Of Health And Human Services Use of il-15 to increase thymic output and to treat lymphopenia
US10894816B2 (en) 2009-08-14 2021-01-19 The Government Of The United States Of America As Represented By The Secretary Of The Department Of Health And Human Services Use of IL-15 to increase thymic output and to treat lymphopenia

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