JP2003167266A - 反射型液晶表示装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 マルチカラー表示における表示色を正確に表
示できる反射型液晶表示装置を提供する。 【解決手段】 複数の液晶表示パネル１２の相互間にお
いて表示パターン１６の大きさを異なる大きさに形成す
るとともに、相互に隣位する２枚の液晶表示パネル１２
の相互間において視認方向の上流側に位置する一方の液
晶表示パネル１２の表示パターン１６のサイズを他方の
液晶表示パネル１２の表示パターン１６のサイズよりパ
ネル積層時に生じる位置ずれに見合った分だけ小さく形
成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、反射型液晶表示装
置に係り、特に、カイラルネマティック液晶を用いてマ
ルチカラー表示を行うことのできる反射型液晶表示装置
に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来から情報表示を行う表示装置の一種
として、小型かつ軽量でしかも設置スペースが少なくて
すむ液晶表示装置が知られており、このような液晶表示
装置の表示部として一対の基板の間に液晶が封入された
液晶表示素子が用いられている。また、液晶表示素子の
一種として、外部から入射した光を反射させて表示を行
う反射型の液晶表示パネルが、バックライトを用いない
ため、低消費電力化、薄型化、軽量化、低価格化、高密
度化、高画質化などを容易に実現することができるなど
の理由により近年多用されている。このような反射型の
液晶表示パネルの一種として、ネマティック液晶と光学
活性物質とを混合することにより得られるカイラルネマ
ティック液晶を用いたものがある。

【０００３】このカイラルネマティック液晶を用いた液
晶表示パネルは、プレナー状態では選択反射を呈し、フ
ォーカルコニック状態では微散乱状態を呈することがで
きる。プレナー状態またはフォーカルコニック状態に遷
移させるためにはそれぞれ所定の電圧を印加した後、電
圧を遮断すればよい。電圧遮断後（電圧非印加時）のそ
れぞれの状態は、新たな電圧が印可されるまでその状態
を維持する。したがって、この液晶表示パネルは、メモ
リ効果を具備した素子で、消費電力を低減することがで
きるとともに、偏光板を使用する必要もないので明るい
反射表示を得ることができる。

【０００４】また、カイラルネマティック液晶を用いた
液晶表示パネルは、単体使用されるのが一般的であり、
プレナー状態では液晶の選択反射色による単一色が表示
され、フォーカルコニック状態では外部印刷などにより
形成される光吸収層の色が表示されるようになってい
る。例えば、液晶の選択反射色が「青」、光吸収層の色
が「黒」の場合、プレナー状態では「青」、フォーカル
コニック状態では「黒」の表示が行われることになる。

【０００５】ところで、近年においては表示のカラー化
が求められており、このような要求に応えるため、カイ
ラルネマティック液晶を用いた反射型液晶表示装置にお
いては、異なる選択反射色を呈する液晶層が封入されて
いる液晶表示パネルを積層することで、多層の異なる液
晶層を組み合わせてマルチカラー表示を行う多層構造の
反射型液晶表示装置が提案されている。

【０００６】例えば、２層構造の反射型液晶表示装置と
しては、積層された２枚の液晶表示パネルのうちの観察
側である視認方向の上流側に位置する正面側液晶表示パ
ネルの液晶層による選択反射色を「青」、視認方向の下
流側に位置する背面側液晶表示パネルの液晶層による選
択反射色を「黄橙」、背面側液晶表示パネルの裏面に設
けられる光吸収層の色を「黒」とした場合、正面側液晶
表示パネルの表示パターンの形成部における液晶の状態
と、正面側液晶表示パネルの表示パターンと対向するよ
うに配置されている背面側液晶表示パネルの表示パター
ンの形成部における液晶の状態との組み合わせにより、
反射型液晶表示装置によって表示される１ドットの表示
色は、以下のように変化することになる。

【０００７】すなわち、 ａ．正面側液晶表示パネルおよび背面側液晶表示パネル
がともにプレナー状態の場合、そのドットの表示色は
「白」となり、 ｂ．正面側液晶表示パネルがプレナー状態で、背面側液
晶表示パネルがフォーカルコニック状態の場合、そのド
ットの表示色は「青」となり、 ｃ．正面側液晶表示パネルがフォーカルコニック状態
で、背面側液晶表示パネルがプレナー状態の場合、その
ドットの表示色は「黄橙」となり、 ｄ．正面側液晶表示パネルおよび背面側液晶表示パネル
がともにフォーカルコニック状態の場合、そのドットの
表示色は光吸収層の色である「黒」となり、総計４色に
なる。これにより、「白」、「青」、「黄橙」および
「黒」の４色のマルチカラー表示ができる。

【０００８】なお、情報の表示には、セグメント表示、
マトリクス表示などが用いられており、情報の表示方法
に応じて表示パターンの形状が設定されている。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】ところで、前述した従
来の多層構造を用いた反射型液晶表示装置においては、
表示色を確実に得ることができない場合があるという問
題点があった。

【００１０】例えば、前述した２層構造の反射型液晶表
示装置の場合、相互に対向する正面側液晶表示パネルお
よび背面側液晶表示パネルのそれぞれの表示パターンの
サイズが同一サイズに形成されているため、正面側液晶
表示パネルと背面側液晶表示パネルとを重ね合わせて積
層するパネル積層時において、パネルの位置ずれが生じ
ない場合には、両液晶表示パネルのそれぞれの表示パタ
ーンが対向するので、各液晶表示パネル毎に表示パター
ンの形成部における液晶の配向、すなわちプレナー状態
およびフォーカルコニック状態を制御することで、正面
側液晶表示パネルの表示パターンによる表示色と背面側
液晶表示パネルの表示パターンによる表示色とを重ね
て、予め設定されているドットの表示色を確実に得るこ
とが容易にでき、何ら問題は生じない。

【００１１】これに対して、パネル積層時において、正
面側液晶表示パネルと背面側液晶表示パネルとを重ね合
わせるのに用いる装置による位置精度、正面側液晶表示
パネルおよび背面側液晶表示パネルの形成精度、マルチ
カラーで多様な情報を表示するためにフルドットパター
ンの如く表示パターンの間に余裕がない構成とされてい
るなどの理由により、パネルの位置ずれが生じると、本
来ならば正面側液晶表示パネルおよび背面側液晶表示パ
ネルの液晶層の配向がともにプレナー状態で「白」表示
のドットとすべき正面側液晶表示パネルおよび背面側液
晶表示パネルの表示パターンの組み合わせが、正面側液
晶表示パネルの液晶の配向がプレナー状態で背面側液晶
表示パネルの液晶の配向がフォーカルコニック状態の
「青」表示のドットとなる表示パターンの組み合わせに
入れ替わり、表示色を正確に制御することができないと
いう問題点があった。

【００１２】そこで、マルチカラー表示における表示色
を正確に表示できる反射型液晶表示装置が求められてい
る。

【００１３】なお、このような問題点に対処するための
方法として、パネル積層時におけるパネルの位置決め精
度に見合った分だけ、各液晶表示パネルに形成する表示
パターンのサイズをそれぞれ小さくすることで、パネル
の位置ずれに対するマージンを確保することが可能であ
る。

【００１４】しかしながら、単に各液晶表示パネルの表
示パターンのサイズを小さくすると、１つの液晶表示パ
ネル内に形成される多数の表示パターンの相互に隣位す
る表示パターンの間隔が広くなる。これにより、例え
ば、図３に示すように、反射型液晶表示装置１の背面側
液晶表示パネル２Ｒの一対の基板３Ｒの対向面間に形成
されている表示パターン４Ｒの図３における右端部の上
方に、正面側液晶表示パネル２Ｆの一対の基板３Ｆの対
向面間に形成されている表示パターン４Ｆの無い部分が
重ね合わされることになる。また、背面側液晶表示パネ
ル２Ｆの一対の基板３Ｒの対向面間に形成されている表
示パターン４Ｒの図３における右端部の右側に位置する
表示パターン４Ｒの無い部分の上方に、正面側液晶表示
パネル２Ｆの一対の基板３Ｆの対向面間に形成されてい
る表示パターン４Ｆの図３における左端部が重ね合わさ
れることになる。そして、表示パターン４（符号４は、
正面側液晶表示パネル２Ｆの表示パターン４Ｆおよび背
面側液晶表示パネル２Ｒの表示パターン４Ｒを総称す
る）の無い部分は、液晶の配向を制御できない配向非制
御部であり、この配向非制御部における液晶の配向は、
プレナー状態あるいはフォーカルコニック状態のいずれ
か一方の状態に固定されることになる。

【００１５】したがって、パネルの位置ずれによって、
一方の液晶表示パネル２（符号２は、正面側液晶表示パ
ネル２Ｆおよび背面側液晶表示パネル２Ｒを総称する）
の表示パターン４に、他方の液晶表示パネル２の配向非
制御部が重なった部位は、配向非制御部の配向を制御で
きないのため、適正な表示色を得るための液晶の配向制
御を確実に行うことができない。

【００１６】例えば、図３に示す前述した２層構造の反
射型液晶表示装置１において、配向非制御部がフォーカ
ルコニック状態とされているとともに、正面側液晶表示
パネル２Ｆおよび背面側液晶表示パネル２Ｆのそれぞれ
の表示パターン４の形成部位における液晶の配向がプレ
ナー状態とされ表示色が「白」とされている場合、正面
側液晶表示パネル２Ｆの表示パターン４Ｆと背面側液晶
表示パネル２Ｒの表示パターン４Ｒとが対向して重なっ
ている部分は「白」の表示が行われ、背面側液晶表示パ
ネル２Ｒの表示パターン４Ｒに正面側液晶表示パネル２
の配向非制御部が重なった部分は、「青」の表示が行わ
れることになる。また、背面側液晶表示パネル２Ｒの配
向非制御部に正面側液晶表示パネル２Ｆの表示パターン
４Ｆが重なった部位は、「濁った黄橙」の表示が行われ
ることになる。すなわち、「白」表示のドットの輪郭の
一部に「青」および「濁った黄橙」が混ざった状態とな
り、表示されるドットの輪郭部に色むらが生じて明瞭な
色表示を行うことができない。なお、図３における符号
５はシール材、符号６は液晶層、７はブラックマスクを
示している。そして、図３の上方に示す液晶層６は、例
えば、前述した「青」の選択反射色を呈するカイラルネ
マティック液晶により形成されており、図３の下方に示
す液晶層６は、「黄橙」の選択反射色を呈するカイラル
ネマティック液晶により形成されている。

【００１７】本発明はこのような点に鑑みてなされたも
のであり、マルチカラー表示における表示色を正確に表
示できる反射型液晶表示装置を提供することを目的とす
る。

【００１８】

【課題を解決するための手段】前述した目的を達成する
ため特許請求の範囲の請求項１に係る本発明の反射型液
晶表示装置の特徴は、複数の液晶表示パネルの相互間に
おいて表示パターンの大きさが異なる大きさに形成され
ているとともに、相互に隣位する２枚の液晶表示パネル
の相互間において視認方向の上流側に位置する一方の液
晶表示パネルの表示パターンのサイズが他方の液晶表示
パネルの表示パターンのサイズよりパネル積層時に生じ
る位置ずれに見合った分だけ小さく形成されている点に
ある。そして、このような構成を採用したことにより、
パネルの位置ずれに対するマージンを確保することがで
きるので、マルチカラー表示における表示色を正確に表
示できる。

【００１９】また、請求項２に係る本発明の反射型液晶
表示装置の特徴は、請求項１において、複数の液晶表示
パネルのうちの視認方向の最も上流側に位置する液晶表
示パネルにブラックマスクが形成されている点にある。
そして、このような構成を採用したことにより、ブラッ
クマスクは、ドットの輪郭を複数の液晶表示パネルのう
ちの視認方向の最も上流側に位置する液晶表示パネルに
形成されている表示パターンの大きさに規制するように
働く。したがって、ドットに色むらが生じるのを確実に
防止できるとともに、背景が暗く表示が明るコントラス
トのよいネガ表示を容易に実現できる。

【００２０】

【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に示す実施形
態により説明する。

【００２１】図１は、本発明に係る反射型液晶表示装置
の実施形態の要部を簡略化して示すものである。また、
本実施形態の反射型液晶表示装置は、液晶層を２層構造
としたものを例示している。

【００２２】図１に示すように、本実施形態の反射型液
晶表示装置１１は、上下一対の液晶表示パネル１２を有
している。この一対の液晶表示パネル１２のうちの図１
の上方に示す一方は、観察側である視認方向の最も上流
側に位置する正面側液晶表示パネル１２Ｆとされてい
る。また、一対の液晶表示パネル１２のうちの図１の下
方に示す他方は、視認方向の最も下流側に位置する背面
側液晶表示パネル１２Ｒとされている。そして、正面側
液晶表示パネル１２Ｆと背面側液晶表示パネル１２Ｒと
は、相互に対向するように重ね合わされることで積層さ
れている。

【００２３】前記正面側液晶表示パネル１２Ｆおよび背
面側液晶表示パネル１２Ｒは、それぞれほぼ平行に配置
されて相対向するように配設されている一対の基板１３
を有している。そして、一対の基板１３の対向面間の周
囲には、両基板１３を貼り合わせて一体化するためのシ
ール材１４がほぼ四角枠状に配設されている。このシー
ル材１４により囲まれた部位には、図示しないカイラル
ネマティック液晶が封入されて液晶層１５Ｆ，１５Ｒが
形成されている。

【００２４】前記正面側液晶表示パネル１２Ｆおよび背
面側液晶表示パネル１２Ｒのそれぞれの液晶層１５（符
号１５は、正面側液晶表示パネル１２Ｆの液晶層１５Ｆ
および背面側液晶表示パネル１２Ｒの液晶層１５Ｒを総
称する）は、マルチカラー表示を行うため、異なる選択
反射色を呈するカイラルネマティック液晶を封入するこ
とで構成されている。本実施形態の正面側液晶表示パネ
ル１２Ｆの液晶層１５Ｆには、「青」の選択反射色を呈
するカイラルネマティック液晶が用いられており、背面
側液晶表示パネル１２Ｒの液層層１５Ｒには、「黄橙」
の選択反射色を呈するカイラルネマティック液晶が用い
られている。

【００２５】前記一対の基板１３は、透明なガラスある
いはポリカーボネートなどの透明な樹脂によりほほ矩形
の平板状に形成されている。そして、両基板１３の相互
に対向する内側表面には、透明電極からなる表示用電極
としての表示パターン１６がそれぞれ形成されている。
これらの表示パターン１６の形状としては、従来公知の
如く、セグメント表示、マトリクス表示などの表示方
法、および、情報の表示形態に応じたパターンを用いる
ことができる。

【００２６】本実施形態の表示パターン１６は、図２に
簡略化して示すように、正面側液晶表示パネル１２Ｆに
形成されている表示パターン１６Ｆが、その下方位置に
おいて対向する背面側液晶表示パネル１２Ｒに形成され
ている表示パターン１６Ｒの輪郭の内部に常に位置する
ように形成されている。

【００２７】すなわち、正面側液晶表示パネル１２Ｆの
表示パターン１６Ｆのサイズが背面側液晶表示パネル１
２Ｒの表示パターン１６Ｒのサイズより小さく形成され
ている。なお、正面側液晶表示パネル１２Ｆの表示パタ
ーン１６Ｆと背面側液晶表示パネル１２Ｒの表示パター
ン１６Ｒとを相似とすることが明瞭な表示を行ううえで
より好ましい。また、正面側液晶表示パネル１２Ｆの表
示パターン１６Ｆのサイズとしては、少なくとも正面側
液晶表示パネル１２Ｆと背面側液晶表示パネル１２Ｒと
を重ね合わせて積層するパネル積層時に生じるパネルの
位置ずれに見合った分、詳しくは位置ずれの最大量だけ
中心からの距離が短くなるように小さく形成されてい
る。いいかえると、正面側液晶表示パネル１２Ｆの表示
パターン１６Ｆに対して背面側液晶表示パネル１２Ｒの
表示パターン１６Ｒを、少なくとも位置ずれの分だけオ
ーバーラップさせるように形成されている。

【００２８】例えば、本実施形態の反射型液晶表示装置
１１を、棚札、公衆表示に用いるセグメント表示のもの
とした場合、図１に示すオーバーラップ部のサイズは、
２０〜１００μｍ程度、好ましくは５０〜１００μｍ程
度に形成するとよい。この範囲より小さくなると、反射
型液晶表示装置１１によって表示されるドットの輪郭部
に色むらが生じる傾向があり、この範囲より大きくなる
と、表示に用いるドットのサイズが小さくなる傾向があ
る。

【００２９】なお、オーバーラップ部のサイズは、液晶
表示パネル１２（符号１２は、正面側液晶表示パネル１
２Ｆおよび背面側液晶表示パネル１２Ｒを総称する）の
積層数、液晶表示パネル１２の位置決め精度、表示方
式、設計コンセプトなどの必要に応じて設定することが
できる。なお、表示パターン１６のサイズ比率として
は、上流側の表示パターン１６を３〜１０％小さくする
ことが好ましい。

【００３０】また、液晶表示パネル１２の数を３以上と
して液晶層１５の積層数を３層以上とする場合には、相
互に隣位する２枚の液晶表示パネル１２の相互間におい
て視認方向の上流側に位置する一方の液晶表示パネル１
２の表示パターン１６（符号１６は、正面側液晶表示パ
ネル１２Ｆの表示パターン１６Ｆおよび背面側液晶表示
パネル１２Ｒの表示パターン１６Ｒを総称する）のサイ
ズが他方の液晶表示パネル１２の表示パターン１６のサ
イズよりパネル積層時に生じる位置ずれに見合った分だ
け小さく形成するとよい。

【００３１】本実施形態の正面側液晶表示パネル１２Ｆ
の図１における上の基板１３の内側対向面には、表示パ
ターン１６の形成部位を開口とするブラックマスク１７
が形成されている。このブラックマスク１７は、表示の
１ドットの大きさを規制するとともに、光吸収層として
機能するように構成されている。

【００３２】なお、正面側液晶表示パネル１２Ｆの図１
における下の基板１３にブラックマスク１７を形成する
構成としてもよい。

【００３３】すなわち、ブラックマスク１７は、複数の
液晶表示パネル１２、本実施形態においては上下２枚の
液晶表示パネル１２のうちの視認方向の最も上流側に位
置する正面側液晶表示パネル１２Ｆの一対の基板１３の
うちの一方に形成されていればよい。

【００３４】また、液晶表示パネル１２の数を３以上と
して液晶層１５の積層を３層以上とする場合には、ブラ
ックマスク１７を複数の液晶表示パネル１２のうちの視
認方向の最も上流側に位置する液晶表示パネル１２に設
ければよい。

【００３５】その他の構成は従来の反射型液晶表示装置
１と同様とされているので、その詳しい説明は省略す
る。

【００３６】つぎに、前述した構成からなる本実施形態
の作用について説明する。

【００３７】本実施形態の反射型液晶表示装置１１によ
れば、正面側液晶表示パネル１２Ｆと背面側液晶表示パ
ネル１２Ｒとの２枚の液晶表示パネル１２の相互間にお
いて表示パターン１６の大きさが異なる大きさに形成さ
れているとともに、相互に隣位する２枚の液晶表示パネ
ル１２の相互間において視認方向の上流側に位置する正
面側液晶表示パネル１２Ｆの表示パターン１６Ｆのサイ
ズが背面側液晶表示パネル１２Ｒの表示パターン１６Ｒ
のサイズより、パネル積層時に生じる位置ずれに見合っ
た分だけ小さく形成されている構成とされているので、
正面側液晶表示パネル１２Ｆと背面側液晶表示パネル１
２Ｒとを重ね合わせるパネル積層時においてパネルの位
置ずれが生じても、正面側液晶表示パネル１２Ｆの表示
パターン１６Ｆは、背面側液晶表示パネル１２Ｒの表示
パターン１６Ｒの内部の上方に確実に配置される。これ
により、従来の正面側液晶表示パネル２Ｆおよび背面側
液晶表示パネル２Ｒの表示パターン４の組み合わせが入
れ替わり、表示色を正確に制御することができないとい
う不都合を確実に防止できる。

【００３８】したがって、本実施形態の反射型液晶表示
装置１１によれば、パネルの位置ずれに対するマージン
を確保することができるので、マルチカラー表示におけ
る表示色を正確に表示できる。

【００３９】また、本実施形態の反射型液晶表示装置１
１によれば、正面側液晶表示パネル１２Ｆと背面側液晶
表示パネル１２Ｒとの２枚のパネル１２のうちの視認方
向の最も上流側に位置する正面側液晶表示パネル１２Ｆ
にブラックマスク１７が形成されている構成とされてい
るので、ブラックマスク１７によって周囲が囲まれてい
る正面側液晶表示パネル１２Ｆの表示パターン１６Ｆの
サイズが、表示に用いるドットのサイズとなる。すなわ
ち、ブラックマスク１７は、表示に用いるドットの輪郭
を複数の液晶表示パネル１２のうちの視認方向の最も上
流側に位置する液晶表示パネル１２に形成されている表
示パターン１６の大きさに規制するように働く。これに
より、表示に用いるドットの内部に配向非制御部が配置
されるのを容易に防止できる。さらに、ブラックマスク
１７は、ドットとその周囲の背景とのコントラストを向
上するように働く。

【００４０】したがって、本実施形態の反射型液晶表示
装置１１によれば、表示に用いるドットに色むらが生じ
るのを確実に防止できるとともに、背景が暗く表示が明
るコントラストのよいネガ表示を容易に実現できる。

【００４１】また、本実施形態の反射型液晶表示装置１
１によれば、液晶表示パネル１２を重ね合わせて積層す
る装置に対して、多大な手間をかけて液晶表示パネル１
２の位置決め精度を向上させる必要がない。また、液晶
表示パネル１２を重ね合わせて積層する製造工程におけ
る作業性、歩留まりなどを向上できるので、生産性の向
上および低コスト化を図ることができる。

【００４２】なお、本実施形態の反射型液晶表示装置１
１によれば、観察側である視認方向の上流側に位置する
正面側液晶表示パネル１２Ｆの液晶層１５Ｆによる選択
反射色が「青」、視認方向の下流側に位置する背面側液
晶表示パネル１２Ｒの液晶層１５Ｒによる選択反射色が
「黄橙」、正面側液晶表示パネル１２Ｆに設けられるブ
ラックマスク１７により形成されている光吸収層の色が
「黒」とされているので、例えば、正面側液晶表示パネ
ル１２Ｆの表示パターン１６Ｆにより配向させられる液
晶層１５Ｆの状態と、この正面側液晶表示パネル１２Ｆ
の表示パターン１６Ｆと対向する背面側液晶表示パネル
１２Ｒの表示パターン１６Ｒにより配向させられる液晶
層１５Ｒの状態とが、ともにプレナー状態の場合、その
ドットの表示色は「白」となる。そして、正面側液晶表
示パネル１２Ｆの表示パターン１６Ｆにより配向させら
れる液晶層１５Ｆの状態がプレナー状態とされ、この正
面側液晶表示パネル１２Ｆの表示パターン１６Ｆと対向
する背面側液晶表示パネル１２Ｒの表示パターン１６Ｒ
により配向させられる液晶層１５Ｒの状態がフォーカル
コニック状態の場合には、そのドットの表示色は「青」
となる。さらに、正面側液晶表示パネル１２Ｆの表示パ
ターン１６Ｆにより配向させられる液晶層１５Ｆの状態
がフォーカルコニック状態とされ、この正面側液晶表示
パネル１２Ｆの表示パターン１６Ｆと対向する背面側液
晶表示パネル１２Ｒの表示パターン１６Ｒにより配向さ
せられる液晶層１５Ｒの状態がプレナー状態の場合に
は、そのドットの表示色は「黄橙」となる。また、正面
側液晶表示パネル１２Ｆの表示パターン１６Ｆにより配
向させられる液晶層１５Ｆの状態と、この正面側液晶表
示パネル１２Ｆの表示パターン１６Ｆと対向する背面側
液晶表示パネル１２Ｒの表示パターン１６Ｒにより配向
させられる液晶層１５Ｒの状態とが、ともにフォーカル
コニック状態の場合、そのドットの表示色は光吸収層の
色である「黒」となる。

【００４３】したがって、本実施形態の反射型液晶表示
装置１１によれば、「白」、「青」、「黄橙」および
「黒」の総計４色のマルチカラー表示が色むらなくかつ
明瞭に表示できる。

【００４４】なお、本発明は前記実施形態に限定される
ものではなく、必要に応じて種々変更することができ
る。

【００４５】

【発明の効果】以上説明したように請求項１に係る本発
明の反射型液晶表示装置によれば、パネルの位置ずれに
対するマージンを確保することができるので、マルチカ
ラー表示における表示色を正確に表示できるなどの極め
て優れた効果を奏する。

【００４６】また、請求項２に係る本発明の反射型液晶
表示装置によれば、表示に用いるドットに色むらが生じ
るのを確実に防止できるとともに、背景が暗く表示が明
るコントラストのよいネガ表示を容易に実現できるなど
の極めて優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明に係る反射型液晶表示装置の実施形態
の要部を簡略化して示す正面図

【図２】 図１の反射型液晶表示装置の正面側液晶表示
パネルの表示パターンと背面側液晶表示パネルの表示パ
ターンとの関係を示す平面図

【図３】 従来の反射型液晶表示装置の要部を簡略化し
て示す正面図

【符号の説明】

１１ 反射型液晶表示装置 １２ 液晶表示パネル １２Ｆ 正面側液晶表示パネル １２Ｒ 背面側液晶表示パネル １５、１５Ｆ、１５Ｒ 液晶層 １６、１６Ｆ、１６Ｒ 表示パターン １７ ブラックマスク

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数の液晶表示パネルが積層されるとと
   もに、各液晶表示パネルのそれぞれに異なる選択反射色
   を呈するカイラルネマティック液晶が封入されており、
   マルチカラー表示を行うことのできる反射型液晶表示装
   置において、 前記複数の液晶表示パネルの相互間において表示パター
   ンの大きさが異なる大きさに形成されているとともに、
   相互に隣位する２枚の液晶表示パネルの相互間において
   視認方向の上流側に位置する一方の液晶表示パネルの表
   示パターンのサイズが他方の液晶表示パネルの表示パタ
   ーンのサイズよりパネル積層時に生じる位置ずれに見合
   った分だけ小さく形成されていることを特徴とする反射
   型液晶表示装置。
2. 【請求項２】 前記複数の液晶表示パネルのうちの視認
   方向の最も上流側に位置する液晶表示パネルにブラック
   マスクが形成されていることを特徴とする請求項１に記
   載の反射型液晶表示装置。