JP2003166930A - 水蒸気移動制御装置の性能試験装置 - Google Patents
水蒸気移動制御装置の性能試験装置Info
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Abstract
度及び湿度の測定を行いながら空気の圧力変化を微調整
し、ある圧力条件又は圧力変化の条件下における膜体の
透湿性又は透気性を評価し、又、その結果をもとに熱交
換効率を精密に測定することができる水蒸気移動制御装
置の性能試験装置の提供。 【解決手段】 質量が大きく、熱伝導速度が速い材質で
形成され、上面の開口部に被検体を気密状態に取り付け
るカップ容器4と、シリンダ60内に微動可能なピスト
ン61を設けた変圧シリンダ6と、シリンダ内とカップ
容器を連通させる連通路7と、カップ容器内の空気温度
及び湿度及び空気圧力を測定する温湿度センサ50及び
圧力センサ51,52と、カップ容器の上部に空気層4
9が生じる状態にカップ容器の底部からシリンダ内に至
る間に水を収容させたときに、その水の温度を測定する
温度センサ53を備えている。
Description
を有する膜体又はその膜体の配列で水蒸気の移動方向を
制御することにより調湿装置等として利用される水蒸気
移動制御装置を被検体とした性能試験装置に関する。
の透湿度を測定する方法として、JIS透湿度試験法に
よるカップを用いたウォーター法が知られている。この
ウォーター法に用いる装置は、カップ状構造になってお
り、被検体としての膜体の水蒸気透過特性を秤量法によ
り測定する方法である。尚、この従来のウォーター法の
改良方法については、本出願人においてPCT出願(P
CT/JP99/03998)により既に提案している
が、カップ内の水より上の膜体直下部分はほぼ飽和水蒸
気となり、圧力の調整に対しては何らの手段も設けられ
ていなかった。
湿度試験法によるカップを用いたウォーター法にあって
は、単純なカップによる秤量法であるため、膜体の圧力
変化に応じた透湿量や透気性の評価を行うことができな
いものであった。
気を用い、温度及び湿度の測定を行いながら空気の圧力
変化を微調整し、ある圧力条件又は圧力変化の条件下に
おける膜体の透湿性又は透気性を評価することができ、
又、その結果をもとに熱交換効率を精密に測定すること
ができるようにした水蒸気移動制御装置の性能試験装置
を提供することを課題としている。
に、本発明の水蒸気移動制御装置の性能試験装置(請求
項1)では、通気性及び透湿性を有する膜体又はこの膜
体によって区画された複数の小室が形成されている水蒸
気移動制御装置を被検体とした性能試験装置であって、
質量が大きく、熱伝導速度が速い材質で形成され、上面
の開口部に被検体を気密状態に取り付けるようにしたカ
ップ容器と、シリンダ内に微動可能なピストンを設けた
変圧シリンダと、この変圧シリンダのシリンダ内と前記
カップ容器の底部を連通させる連通路と、前記カップ容
器内の空気温度及び湿度を測定する温湿度センサ及びカ
ップ容器内の空気圧力を測定する圧力センサと、カップ
容器の上部に空気層が生じる状態にカップ容器の底部か
らシリンダ内に至る間に水を収容させたときに、その水
の温度を測定する温度センサを備えている構成とした。
開口部に断熱体を介して被検体を気密状態に取り付ける
ようにした態様(請求項2)がある。
器の上部から延長した送気管に送気開閉バルブを介して
送風装置が接続されると共に、連通路における変圧シリ
ンダ寄り近傍に排気開閉バルブが設けられている態様
(請求項3)がある。この場合、圧力センサを送気管の
途中に取り付けることができる(請求項4)。
ンダのピストン移動量を表示する移動量ゲージが設けら
れている態様(請求項5)がある。
上部に空気層が生じる状態にカップ容器の底部からシリ
ンダ内に至る間に水を収容させ、この水を変圧シリンダ
により与圧又は減圧することで空気層の空気の圧力を変
化させ、被検体の透湿性を評価することになる。この場
合、カップ容器の上部において水と被検体との間に生じ
させた空気層の湿度はほぼ飽和状態になるもので、この
飽和状態の空気に変圧シリンダにより微弱な圧力変化を
加えて、被検体の透湿性を評価するものである。又、カ
ップ容器内の空気温度及び湿度、それに水を収容した場
合の水温の三種類を測定することができるようにしてい
る。
からシリンダ内に至る間に水を収容させて使用する評価
方法と、又、水を収容することなく、温度や湿度が調整
された空間の空気を取り入れることができる通風装置を
備えている。このように、水を収容することなく、通風
装置によって水蒸気飽和状態でない空気を取り入れるよ
うにすれば、低湿度の与圧条件の変化に伴なう被検体の
温度変化を実測することができる。この結果、水蒸気の
飽和水蒸気圧曲線の気相から液相への変化による通気路
の移動特性について、広範囲な水蒸気濃度の圧力変化に
よる測定を可能とした。
め、熱容量は大きい。熱交換は、常時発生しているが、
大きな質量を有し、熱伝導速度の高いカップ容器は、一
定条件におかれた温度や湿度が調整された空間の温度条
件は、カップ容器内では一定の数値を示しやすい。送気
するカップ容器内の空間の周辺を囲むカップ容器の温度
変化または熱量変化を小さくして、送気する空気の熱容
量の変化を被検体内部に設定した温湿度センサや圧力セ
ンサを用いて精密に測定することができる。この検査装
置を用いることによって、膜体を通過する空気の熱容量
は、カップ容器の質量が大きく、熱伝導速度が速い材質
で形成されているため、一定した変化量を得ることがで
き、通過によって変化する熱伝導条件や熱交換効率を得
ることができる。
置された箱体に水蒸気移動制御装置を設置した場合を考
える。このとき同一の温度変化が箱体に均等に与えられ
るものと仮定すると、箱体の容積が異なった場合には、
外気との間に発生する呼吸量に差が現れる。また、箱体
の内部圧力がほぼ外気と同一の圧力条件で変化するもの
と仮定した場合には、通過容積が異なり、一方、等しい
水蒸気移動質量しか得られない場合を仮定した場合に
は、同容積の移動を伴うために必要な圧力条件が異な
る。すなわち、断熱的に考察して、水蒸気を理想気体と
想定した場合には、水蒸気移動制御装置内では、箱体の
呼吸現象に伴って熱交換が発生し、さらに設置する箱体
の容積や環境の温度条件により水蒸気の移動量に変化が
現れることが考えられる。
測定結果をもとに、設置する環境の温度条件や設置した
箱体の容積を考慮して調湿性能の評価を類推することは
できた。しかし、通気路を構成する熱伝導性の異なる物
質や、設置環境の急激な変化による具体的な評価手段を
得ることは難しいもので、本発明は、かかる問題を解決
するために開発した性能試験装置である。
により説明する。図1は水蒸気移動制御装置を設定した
箱体の略横断面図、図2は図1に示した箱体の8倍の箱
体積を有する箱体の略横断面図である。図1及び図2に
おいて、1は水蒸気移動制御装置で、通気性及び透湿性
を有する膜体10,11,12によって区画された複数
の小室13,14が形成されている。この水蒸気移動制
御装置1は密閉された箱体2に取り付けられるもので、
この水蒸気移動制御装置1の内部を通気路15として箱
体2の内部と外気3が連通している。この場合、図2で
示す箱体2の容積は、図1で示す箱体2の容積の8倍に
なっている。ここで、水蒸気を理想気体と考え、箱体2
内から水蒸気移動制御装置1を経て外気3に至る水蒸気
の移動経路を断熱的に考察した場合、図1における水蒸
気の移動特性と、図2における水蒸気の移動特性とは異
なる移動条件となる。
御装置1の内部の移動の境界を形成する各膜体10,1
1,12には強度と破断[破壊]限界が存在する。尚、
図3は縦軸に付加力、横軸に時間経過を示した水蒸気移
動制御装置の内部の移動の境界を形成する膜の破断限界
と安全領域を示す略図である。この破壊の限界点に必要
な圧力は、水蒸気移動制御装置1の特性として一定と仮
定できる。ところが、一定の温度変化の下では、箱体2
の容積が大きくなればなるほど、呼吸される空気の体積
は大きくなるので圧力変化量は高くなる。
は、水蒸気の移動速度を制御するために透湿可能な膜体
を用いて、その表面積差や、撥水性の差、または吸水特
性などを用いて、水蒸気の移動特性が偏向性を持ちやす
いように配慮して設計が行われる。実際に移動する水蒸
気の移動特性は、圧力条件の変化や環境の温度変化など
によって変化する。また、水蒸気の移動質量は、熱容量
の変化として考察することができる。移動量の差を人工
的に形成するために設定した膜体や小室は、常に外界や
周辺の接続物質との間で伝導、輻射、対流などの熱交換
が行われる。たとえば、箱体を容積が異なる条件に設定
した場合には、通過速度に変化が発生することになり、
熱交換速度も変化する。模擬的にこのような温度変化
を、熱容量の変化としてシミュレーションすることはで
きるが、実際には、計算が複雑になり困難である。そこ
で、特定の容積の箱体にある温度変化が得られる条件を
与え、実際に水蒸気移動制御装置を通過させて、各小室
の温度変化を実測し、特定の環境に置かれた水蒸気移動
制御装置の性能の評価を、実測に基づいてあらかじめ評
価することができるようにする装置の開発が必要にな
る。
境界を形成する膜体の水蒸気移動曲線は、通過前の圧力
の条件によりXnの曲線のように変化する。また通過速
度は小室の形状や通過空気の水蒸気濃度の変化による熱
伝導率の変化などによっても変化を受ける。尚、図4は
縦軸に透湿度、横軸に経過時間を示した1[atm]とn
[atm]の圧力下でのある移動の境界を形成する膜体の
水蒸気移動量曲線を示す略図である。
壊]点が得られる圧力上昇速度を膜体の通過空気量をも
とに求めて、安全な非破壊領域における水蒸気の移動特
性を求める必要がある。水蒸気移動制御装置の各移動の
境界を形成する膜体の水蒸気移動量を示す曲線を示す図
5は、各膜体においてそれぞれ3種類の曲線があり、こ
れらは、移動の経過で等圧変化を受ける場合と、等温変
化を受ける場合とでは、熱交換にとっての考察の仕方を
変えなければならない。尚、図5は縦軸に水蒸気移動質
量、横軸に経過時間を示した水蒸気移動制御装置の各移
動の境界を形成する膜の水蒸気移動量を示す曲線を示す
略図、図6は縦軸に相対湿度、横軸に経過時間を示した
水蒸気移動制御装置を設置した箱体の箱体内部の相対湿
度を時間経過に伴い示した略図である。
界面の経過に伴い、移動の前後の熱エネルギー関係は等
しくなるように変化が発生し易い。また、等温変化は、
実際の空間では得られない条件と考えられるが、このと
き、被検体の各通気路が等温変化をとげる状態は、通過
速度が大きな場合には熱交換速度が大きい時に得られや
すいと考えられる。
境におかれた水蒸気移動制御装置と箱体を考える場合に
は、水蒸気の移動量変化は微弱であり、温度変化も小さ
い。しかし前述したように図1や図2に示したような容
積差があれば、図1で得られる移動の境界面に与えられ
る圧力条件は異なる。すなわち、これらの移動量は圧力
変化に伴って変化するので、各移動境界の周辺部の温度
変化を類推することは困難である。
装置の性能試験装置を発明したもので、この性能試験装
置は、通気性及び透湿性を有する膜体10,11,12
によって区画された複数の小室13,14が形成されて
いる水蒸気移動制御装置1を被検体としている。
ップ容器4が設けられている。このカップ容器4は、質
量が大きく、熱伝導速度が速い材質で形成されるもの
で、この例では、ステンレスを材質として形成されてい
る。そして、このカップ容器4の上面に形成された開口
部にスクイーズパッキング41を介してリング状の断熱
体42が取り付けられると共に、この断熱体42の上面
開口部が前記膜体10で塞がれる状態に、水蒸気移動制
御装置1を気密状態に取り付けるようにしている。尚、
図中43はクランプで、上側断熱体44を介して水蒸気
移動制御装置1を押圧固定させている。このように、被
検体としての水蒸気移動制御装置1とカップ容器4との
間には断熱体42が介在され、気密性を確保するために
スクイーズパッキング41を介在させている。この結
果、カップ容器4自体の熱容量と被検体(水蒸気移動制
御装置1)の熱容量とは個別に考察することができる。
プ容器4内の空気温度及び湿度を測定する温湿度センサ
50が設けられると共に、カップ容器4内の空気圧力を
測定する圧力センサ(デジタル圧力ゲージ51及びアナ
ログ圧力ゲージ52)が設けられ、また、前記温湿度セ
ンサ50の下方でカップ容器4の底側に水温センサ53
が取り付けられている。
内に微動可能なピストン61を設けた変圧シリンダ6が
設けられている。この変圧シリンダ6のシリンダ60内
と前記カップ容器4の底部は連通路7により連通されて
いる。
は、手動ハンドル62によって手動操作できるし、又、
シリンダ60に形成したネジ穴63にピストン61のネ
ジ軸64を螺合させ、このネジ軸64をギヤ列65を介
して微動可能なモータ66に接続させることで、遠隔操
作を行うことができるようになっている。このように、
変圧シリンダ6を使用することにより、一定の圧力変化
量を維持することができるし、移動速度を変化させるこ
とにより圧力の変化速度を微妙に調整することができ
る。又、ピストン61のネジ軸64には、変圧シリンダ
6のピストン移動量をネジ軸64の回転数(回転角度)
で表示する移動量ゲージ(目盛板67及び読取装置6
8)が設けられている。尚、図中15、16は小室用温
湿度センサ、17、18は小室用圧力センサ、45は水
位センサ、46は水位計、70は水供給口、71は水供
給口バルブ、72は排水用バルブである。又、30は恒
温恒湿室で、ここに性能試験装置を設置することにな
る。
給口70から水(純水)を注水して、カップ容器4の上
部に空気層49が生じる状態にカップ容器4の底部から
連通路7及びシリンダ60内に水Wを収容させ、この状
態で変圧シリンダ6のピストン61を微動させながら、
各温湿度センサ50,15,16、水温センサ53、各
圧力センサ51,52,17,18の値を測定していく
ことになる。
うにカップ容器4の内部に水を収容せずに、あらかじめ
温度や湿度が調整された恒温恒湿室30の空気をカップ
容器4の内部から連通路7及びシリンダ60内部に取り
込んで、低湿度における加圧性能の評価を行うことがで
きる。その為の構造として、カップ容器4の上部から横
方向に延長して送気管80が設けられ、この送気管80
に送気開閉バルブ81を介して送風装置82が接続され
ると共に、前記連通路7における変圧シリンダ6寄り近
傍に排気開閉バルブ83が設けられている。尚、前記圧
力センサ(デジタル圧力ゲージ51及びアナログ圧力ゲ
ージ52)は送気管80の途中に取り付けられている。
バルブ83を開放した状態で送風装置82により恒温恒
湿室30の空気を通風させ、カップ容器4、連通路7、
シリンダ60の内部空間が均一雰囲気になった状態で送
気開閉バルブ81及び排気開閉バルブ83を閉じれば、
恒温恒湿室30の空気を取り込むことができる。そし
て、この状態で変圧シリンダ6のピストン61を微動さ
せながら、各温湿度センサ50,15,16及び各圧力
センサ51,52,17,18の値を測定していくこと
になる。この場合、送気開閉バルブ81や排気開閉バル
ブ83を遠隔操作するとともに、送風装置82を駆動し
て内部空間の試験前の条件を整えることができる。この
ほか、図7のようにカップ容器4の内部に水Wを収容し
て使用する場合、送風装置82によりカップ容器4等の
内部空間の温度や湿度の調整を行ったあとで、カップ容
器4内に水供給口70から水Wを供給することができる
し、水供給口バルブ71にモータバルブを用いること
で、遠隔操作により給水するようにしてもよい。
合の、水蒸気移動制御装置を用いた圧力変化と、その圧
力変化に伴うカップ容器内の温度変化を示した略図、図
10は箱体内に発熱性、非発熱性の機器を収容した場合
の、水蒸気移動制御装置を用いた圧力変化と、その圧力
変化に伴うカップ容器内の温度変化を示した略図であ
る。
を用いた圧力変化に伴うカップ容器4内の温度変化を示
すもので、この図9の下側部に、変圧ピストン6を移動
して大気圧から加圧した後、一定時間経過後に減圧して
再び大気圧に戻した圧力曲線を太線で示した。また同様
に、大気圧から減圧した後、一定時間経過後に加圧した
圧力曲線を細線で示している。
変動に伴う温度は、カップ容器4の材質の密度が大き
く、また熱伝達速度が速い金属製(ステンレス製)である
ために、この性能試験装置を収容する空間(恒温恒湿室)
の温度によって一定の温度を示し易い。この性質を用い
てカップ容器4内の温度を一定の温度に設定することが
できる。まず、この前準備として、カップ容器4内の温
度が、収容される空間(恒温恒湿室30)の温度に一致す
るまで少なくとも2時間放置し、その後、図9に示した
ように圧力を変化させた場合に、カップ容器4の開口部
に金属製プレートを配置して通気路を塞ぎ、完全に遮断
すると、カップ容器4内の温度は一旦上昇するが、前述
したようにカップ容器4の材質の密度が大きく、また熱
伝達速度が速い金属製(ステンレス製)であるために、空
間(恒温恒湿室30)の温度に速やかに一致するように変
化する。
恒湿室30)の温度に接近する変化であるが、この温度
変化は性能試験装置固有の変化速度を示す。そこで、こ
の性能試験装置固有の変化速度をもとに、被検体となる
膜体10,11,12や水蒸気移動制御装置1の通気路
への通気量の容積を圧力変化から逆算して算出し、被検
体の熱交換効率を、実測した、例えば水蒸気移動制御装
置1の小室13,14の温度や湿度をもとに得られるカ
ップ容器4からの熱移動量を精密に測定することができ
る。
(水蒸気)の熱交換量は、挟んだ物体の全伝熱面積と熱通
過率とその流体の温度により算出される。 Q=K・A・(Ta−Tb) Q:温度の高い流体(水蒸気A)から温度の低い流体(水
蒸気B)への熱交換量 K:熱通過率 A:流体により挟まれた物体の全伝熱面積 Ta:温度の高い流体(水蒸気A)の温度 Tb:温度の低い流体(水蒸気B)の温度 この熱通過率Kには、小室の軸部、壁部、スケルトン、
メッシュ、軸受け部などの接触熱抵抗も含まれる。 (参考文献:コンパクト熱交換器,p13,ISBN4−
526−03165−8)
が行われる分、圧力変動が小さくなり、遮断した場合に
比べ温度変動が小さくなる。このとき、カップ容器内の
温度は一旦上昇するが、カップ容器の材質の密度が大き
く、また熱伝達速度が速い金属製(ステンレス製)である
ために、図9の破線に示すように、空間(恒温恒湿室)の
温度に速やかに一致するように変化する。尚、図9の実
線は、熱伝達速度が遅い場合を示す。そこで、前述した
通気路を完全に封鎖した場合のこの測定装置固有の温度
変化速度をもとにして、実測により求めた被検体の温度
変化速度と水蒸気濃度から、移動した熱容量の変化量を
求める。このとき、被検体の熱交換効率は通気量に依存
する。したがって、見かけ上、通気させる移動方向の熱
容量が変化したように測定結果が得られることになる。
断熱圧縮を受けることが考えられる移動経路の場合に
は、カップから通気する水蒸気の濃度は高濃度でも測定
が行える。水蒸気を理想気体と見なしたとき、熱量の変
化等は断熱的に考えることができる。このとき、断熱冷
却を受けることが考えられる被検体の通気路の移動経路
にあっては、温度下降が生ずることが考えられ、通気路
は移動する水蒸気の相変化による膜体などの表面に水が
凝縮し、このために移動速度は大きな変化を受ける。そ
こで、断熱的に考えたとき、断熱冷却が予測される通気
路の移動経路にあっては、温度下降を考慮して、移動す
る水蒸気の相変化による通気路の移動速度の大きな変化
が生じにくい、低濃度の水蒸気を通気するように送風装
置82を使用してカップ容器4内の水蒸気濃度を低濃度
にすることができる。
めにカップ容器4内に金属製固体を配置することができ
る。また、前述した前準備の後に得られる、装置固有の
通気による熱量変化量の調整用として、カップ容器4内
に対してヒーターや冷却装置を配置し、装置固有の熱量
変化速度を調整してもよい。
等速運動による圧力変化の一例を示したが、例えばピス
トンの運動速度を変化させ、圧力の上昇または、下降の
変化速度を調整し、容積と調湿対象となる空間を構成す
る機器の総質量に影響される熱エネルギーの重積によ
る、例えば、実線で示すような温度変化が生じるときの
圧力変化を再現するようにしてもよい。このとき、例え
ば箱体内に発熱性の機器が収容される場合には、図10
の実線に示したように温度の上昇は促進されることにな
るので、この測定装置を使って再現するためには、温度
が一定の環境下の空間に配置して、発熱量から得られる
圧力上昇量を熱交換の変化速度量に対して、加減した圧
力上昇速度量を調整すればよい。
となる空間の質量や熱伝導速度が影響して、周囲環境の
温度変化に伴うその空間の温度変化は影響を受ける。こ
のような場合には、質量や熱伝導速度の影響を受けて、
温度変化の速度量は小さくなるので、圧力の変化速度量
も小さくなる。このとき、図10の温度の実線に示すよ
うに、熱エネルギー量の重積によって、一定の熱量変化
量に至る時間量は長くかかる。尚、図10の破線は、熱
量の変化速度が前述の実線に比べて小さい場合を示す。
又、このとき、温度の変化速度と熱エネルギーの重積に
影響を受け、圧力の変化には圧力を示す曲線a1,a
0、b1,b0のような場合がある。t1で電源による
熱変動が行われる場合をa1,a0とし、又、質量が大
きく、温度変化がしにくい場合をc1,c0とする。発
熱性の機器を収容する場合には、a1のように立ち上が
りが速いが、a0のように下降も速い。発熱量や収容す
る空間の熱交換の状態、例えば周囲の風速や物理的に接
続する構造物などに影響を受ける。
にも同様に、質量が大きく温度変化が遅くなるので、c
1のように下降は速いが上昇も速い。又、周囲の風速や
物理的に接続する構造物などに影響を受ける。このよう
な、変化速度の違いを考慮して、測定時に温度変化に相
当する圧力変化速度量の調整を行い、精密な再現性を確
保することができる。このためには、ピストンの駆動用
モータの回転速度をプログラムし、調整すれば容易に再
現することができる。又、等速運動による圧力変化をも
とにした、例えば図9による温度変化を用いて予測計算
し、図10を求めるようにしてもよい。
体とする性能試験装置で破断点を超える前と超えた後の
水蒸気移動制御装置を示し、図11(イ)は与圧前の被
検体(水蒸気移動制御装置)の断面模式図を示し、図1
1(ロ)は破断点を求めた場合の模式図を示している。
り、圧力を変化させ、この結果、水蒸気移動制御装置の
内部を水蒸気及び空気が通過する速度が変化する。ま
た、通過速度は各膜体の表面温度の変化に影響する。さ
らに通気路を構成する多孔体や小室内部の構成要素とし
てフィンなども通過する水蒸気や空気の移動速度によっ
て影響を受ける。この影響は通過する空気または水蒸気
を断熱的に考えた場合の断熱圧縮や断熱冷却による温度
変化のほかに、通過する水蒸気または空気が、水蒸気移
動制御装置の内部の通気路を通過する時に熱交換を生じ
る。
気圧の変動などによって影響を受けることが考えられる
が、通過する空気または水蒸気の圧力変化は模擬的な装
置各部の通気路の温度変化を起こすことができる。その
温度変化による水蒸気の移動変化量を厳密に測定し、熱
交換によって影響を受けた水蒸気移動量の変化量の要因
を調べることができる。そこで、箱体の容積が異なる場
合の水蒸気移動の特性を調べたり、設定する環境に依存
した箱体内部の温度変化による影響を模擬的に試行する
ことができる。すなわち、異なる箱体の容積や環境に依
存した箱体内部の温度変化による、水蒸気の移動特性が
あらかじめ得られる。
箱体に設置した水蒸気移動制御装置の内部膜の移動水蒸
気質量をn[kg/m3]と仮定した場合には、状態方程
式より箱体の圧力Pと温度Tと体積V1の関係は次式で
表される。 P×V1=n1×R×T また、図1の8倍の箱体体積を有する図2の箱体の圧力
Pと温度Tと体積V2の関係は次式で表される。 P×V2=n2×R×T V2=8×V1 V2=8V1 温度一定、 または圧力一定の条件下では PV1=n1RT P/RT=n1/V1 同様に PV2=n2RT P/RT=n2/V2 よって n1/V1=n2/V2 n1/V1=n2/8V1 n2=8n1
果を計算して求めた膜の水蒸気移動質量を図12に示
す。この図は縦軸に水蒸気移動質量を横軸に経過時間を
示している。上方の太い水蒸気移動質量曲線は図2の箱
体を持つ場合、下方の細い水蒸気移動質量曲線は図1の
箱体を持つ場合の水蒸気移動量である。
(Memb2)、第3膜(Memb3)について同様の
計算を行い求めた水蒸気移動質量曲線で、縦軸に水蒸気
移動質量を横軸には経過時間を示している。ここで、体
積、圧力一定で、温度がΔT[℃]変化した時の水蒸気移
動質量をn3[kg/m3]とすると水蒸気移動質量n3
とn1は次式で表される。 PV1=n1RT PV1/R=n1T 同様に PV1=n3R(T+ΔT) PV1/R=n3(T+ΔT) よって n1T=n3(T+ΔT) n3=T/(T+ΔT)n1
水蒸気移動質量と20℃上昇した時の温度の水蒸気質量
を相対湿度に変換し、縦軸に相対湿度、横軸に膜の種類
を示したグラフを図14及び図15に示す。図14は5
分後の相対湿度、図15は30分後の各膜に対する相対
湿度を示している。移動の境界の前後が共に等圧条件下
にあるときには、水蒸気は熱エネルギ-的に熱エネルギ-
関係が等しいように動こうとするので、図14、図15
において、温度上昇に伴い各膜体の相対湿度の差が大き
くなっており、その分、水蒸気移動量も大きくなる。ま
た、図14の5分後の相対湿度の温度変動量と、図15
の30分後の相対湿度の温度変動量を比べると、時間経
過に伴い温度変動量が大きくなっており、時間経過に伴
い、水蒸気の移動速度が上昇している。つまり、温度上
昇により水蒸気の移動量速度が促進され易くなる。図1
3に見られるように、30分までは第3膜から第2膜、
第2膜から第1膜への水蒸気移動速度が急激に上昇し、
それ以降には比較的に穏やかな速度変動を行っている。
圧力変化に装置が絶えることができるか、あるいはどれ
ぐらいの温度変化が水蒸気の移動特性に影響して、小さ
な実容積の場合にどのような水蒸気移動特性が得られる
かということを考慮して、日々の温度変化に伴う箱体の
内部の呼吸現象を再現し、水蒸気移動制御装置の破壊強
度を求めることができる。
験装置によれば、膜体を通過させる物質として空気を用
い、温度及び湿度の測定を行いながら空気の圧力を微調
整し、ある圧力条件下における膜体の透湿性を評価する
ことができる。
図である。
の略横断面図である。
移動制御装置の内部の移動の境界を形成する膜の破断限
界と安全領域を示す略図である。
tm]とn[atm]の圧力下でのある移動の境界を形成
する膜体の水蒸気移動量曲線を示す略図である。
た水蒸気移動制御装置の各移動の境界を形成する膜の水
蒸気移動量を示す曲線を示す略図である。
気移動制御装置を設置した箱体の箱体内部の相対湿度を
時間経過に伴い示した略図である。
装置の性能試験装置を示すもので、カップ容器内部に水
を収容した場合の略断面図である。
装置の性能試験装置を示すもので、カップ容器内部に空
気を収容した場合の略断面図である。
制御装置を用いた圧力変化と、その圧力変化に伴うカッ
プ容器内の温度変化を示した略図である。
場合の、水蒸気移動制御装置を用いた圧力変化と、その
圧力変化に伴うカップ容器内の温度変化を示した略図で
ある。
装置で破断点を超える前(イ)と、超えた後(ロ)の水
蒸気移動制御装置を示す略断面図である。
に示した箱体と図2に示した箱体に設置した水蒸気移動
制御装置の各移動の境界を形成する膜体の水蒸気移動量
を示す曲線の略図である。
に示した箱体と図2に示した箱体に設置した水蒸気移動
制御装置の各移動の境界を形成する主要3膜の水蒸気移
動量を示す曲線の略図である。
1に示した箱体と図2に示した箱体に設置した水蒸気移
動制御装置の水蒸気通過5分後の各移動の境界を形成す
る膜体の温度変化による水蒸気移動量を示す略図であ
る。
1に示した箱体と図2に示した箱体に設置した水蒸気移
動制御装置の水蒸気通過30分後の各移動の境界を形成
する膜体の温度変化による水蒸気移動量を示す略図であ
る。
Claims (5)
- 【請求項1】 通気性及び透湿性を有する膜体又はこの
膜体によって区画された複数の小室が形成されている水
蒸気移動制御装置を被検体とした性能試験装置であっ
て、 質量が大きく、熱伝導速度が速い材質で形成され、上面
の開口部に被検体を気密状態に取り付けるようにしたカ
ップ容器と、 シリンダ内に微動可能なピストンを設けた変圧シリンダ
と、 この変圧シリンダのシリンダ内と前記カップ容器の底部
を連通させる連通路と、 前記カップ容器内の空気温度及び湿度を測定する温湿度
センサ及びカップ容器内の空気圧力を測定する圧力セン
サと、 カップ容器の上部に空気層が生じる状態にカップ容器の
底部からシリンダ内に至る間に水を収容させたときに、
その水の温度を測定する温度センサを備えていることを
特徴とした水蒸気移動制御装置の性能試験装置。 - 【請求項2】 請求項1記載の性能試験装置において、
カップ容器の開口部に断熱体を介して被検体を気密状態
に取り付けるようにした水蒸気移動制御装置の性能試験
装置。 - 【請求項3】 請求項1又は2記載の性能試験装置にお
いて、カップ容器の上部から延長した送気管に送気開閉
バルブを介して送風装置が接続されると共に、連通路に
おける変圧シリンダ寄り近傍に排気開閉バルブが設けら
れている水蒸気移動制御装置の性能試験装置。 - 【請求項4】 請求項1又は2又は3記載の性能試験装
置において、圧力センサが送気管の途中に取り付けられ
ている水蒸気移動制御装置の性能試験装置。 - 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載された性
能試験装置において、変圧シリンダのピストン移動量を
表示する移動量ゲージが設けられている水蒸気移動制御
装置の性能試験装置。
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---|---|---|---|
JP2001364660A JP3631196B2 (ja) | 2001-11-29 | 2001-11-29 | 水蒸気移動制御装置の性能試験装置 |
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---|---|---|---|---|
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WO2017168558A1 (ja) * | 2016-03-29 | 2017-10-05 | 株式会社日立製作所 | ガス透過性計測方法及びそのシステム |
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CN114935522A (zh) * | 2022-06-13 | 2022-08-23 | 重庆大学 | 一种建筑材料湿物性参数检测方法 |
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2001
- 2001-11-29 JP JP2001364660A patent/JP3631196B2/ja not_active Expired - Fee Related
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