JP2003165196A - 平版印刷方法 - Google Patents

平版印刷方法

Info

Publication number
JP2003165196A
JP2003165196A JP2001366778A JP2001366778A JP2003165196A JP 2003165196 A JP2003165196 A JP 2003165196A JP 2001366778 A JP2001366778 A JP 2001366778A JP 2001366778 A JP2001366778 A JP 2001366778A JP 2003165196 A JP2003165196 A JP 2003165196A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
printing
image
hydrophilic
plate
plate material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001366778A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Tashiro
宏 田代
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP2001366778A priority Critical patent/JP2003165196A/ja
Publication of JP2003165196A publication Critical patent/JP2003165196A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Rotary Presses (AREA)
  • Manufacture Or Reproduction Of Printing Formes (AREA)
  • Printing Plates And Materials Therefor (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 オートワインド機構を装備した印刷機と親水
性層の親水性が高い版材を使用して、厳しい印刷条件に
おいても、印刷物に汚れが発生することがなく、さら
に、製版工程の簡素化や、低コスト化を達成することが
できる平版印刷方法を提供する。 【解決手段】 印刷機の版胴中にフレキシブルな支持体
を有する版材をロール収納して、版材を版胴上に供給す
る印刷機にて平版印刷をする方法において、前記版材が
親水性グラフトポリマー鎖の存在する親水性表面を持
ち、且つ印刷機上で該親水性表面上に転写により親油性
画像を形成し印刷することを特徴とし、印刷後画像を消
去し、該画像消去した版材に再び画像形成することによ
り繰り返し印刷することもできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な親水性表面
を有する版材を用いて平版印刷版を作成することにより
汚れのない高精度な印刷物を得ることができ、しかも、
低コスト化や省力化を達成可能な平版印刷方法に関す
る。より詳しくは、デジタル信号に基づいた描画による
製版が可能であり、平版印刷版の画像を消去して繰り返
し画像の形成及び印刷が可能な平版印刷方法に関する。
【0002】
【従来の技術】最近の事務機器の発達とOA化の発展に
伴い、印刷分野において、直描型平版印刷版に電子写真
方式、感熱転写方式、インクジェット方式等の種々の方
法で製版(即ち画像形成)を行い、印刷版とするための
特定の処理をすることなく直接に印刷版を作成するオフ
セット平版印刷方式が望まれている。
【0003】従来の平版印刷方法に用いられる直描型平
版印刷版は、紙等の支持体の両面に裏面層及び中間層を
介して画像受理層となる表面層が設けられている。裏面
層または中間層はPVAや澱粉等の水溶性樹脂及び合成
樹脂エマルジョン等の水分散性樹脂と顔料で構成されて
いる。画像受理層は通常、無機顔料、水溶性樹脂及び耐
水化剤で構成される。
【0004】しかしながら、この様にして得られた従来
の平版印刷版は、印刷耐久性を向上するために耐水化剤
の添加量を多くしたり疎水性樹脂を使用したりして疎水
性を増大させると、耐刷性は向上するが親水性が低下し
て印刷汚れが発生し、他方親水性を良くすると耐水性が
劣化し耐刷性が低下するという問題があった。特に30
℃以上の高温での使用環境下では、オフセット印刷に使
用する湿し水に表面層が溶解し、耐刷性の低下及び印刷
汚れの発生など欠点があった。
【0005】また近年、平版印刷版の製版技術の動向と
して、印刷作業を行うのと同じ印刷機上円筒形版胴の中
に収納しているフレキシブルな支持体を有する版材ロー
ルの送給および巻き取る画期的なオートワインド機構
(自動刷版連続交換装置)を装備し、古い刷版は版胴内に
巻き取られ、新しい版材が版胴に自動的にセットされ、
その版材に画像パターンの形成および印刷版の製版を行
い、その同じ印刷機でその印刷版を用いて自動的に印刷
が可能であり、印刷前準備時間を一段と短縮した平版印
刷機及び平版印刷方法がハイデルベルグ社よりクイック
マスターD146−4として、市場に登場している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の点に
鑑みてなされたものであって、オートワインド機構を装
備した印刷機と親水性層の親水性が高い版材を使用し
て、厳しい印刷条件においても、印刷物に汚れが発生す
ることがなく、さらに、製版工程の簡素化や、低コスト
化を達成することができる平版印刷方法を提供すること
を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
の結果、版胴上に版材をロール供給できる印刷機におい
て、版材が親水性グラフトポリマー鎖の存在する親水性
表面を持ち、前記親水性表面に親油性画像を形成して平
版印刷版を作成する工程と、該平版印刷版により印刷す
る工程とを組合わせることで上記課題が解決できるこ
と、特に、さらに該印刷工程終了後に前記画像を消去す
る工程を加え、前記画像を消去した版材上に再び画像形
成して繰り返し印刷することが可能となることを見出
し、本発明の完成に至った。
【0008】即ち本発明は以下の通りである。 (1)印刷機の版胴中にフレキシブルな支持体を有する
版材をロール収納して、版材を版胴上に供給する印刷機
にて平版印刷をする方法において、前記版材が親水性グ
ラフトポリマー鎖の存在する親水性表面を持ち、且つ印
刷機上で該親水性表面上に転写により親油性画像を形成
し印刷することを特徴とする平版印刷方法。
【0009】(2)前記転写による親油性画像の形成
が、親油性材料の熱転写又は静電転写であることを特徴
とする上記1)記載の平版印刷方法。 (3)印刷後画像を消去し、該画像消去した版材に再び
画像形成することにより繰り返し印刷することを特徴と
する上記(1)又は(2)記載の平版印刷方法。
【0010】本発明の平版印刷方法において、親水性グ
ラフトポリマー鎖が存在する親水性表面は、親水性であ
ると同時に束縛のない構造をしたポリマー鎖の中に水を
取込み易く、その保持性(保水性)が高いため画像部と非
画像部との識別効果、いわゆるディスクリミネーション
を向上して厳しい印刷条件においても印刷物に汚れが発
生することを抑制する。また、親水性グラフトポリマー
鎖は耐久性に優れるため、平版印刷版の画像を消去して
繰り返し画像の形成及び印刷を行うことが可能であり、
製版工程の簡素化や、版材のリサイクルによる低コスト
化を達成することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。本発明の印刷方法に使用する版材
は、フレキシブルな支持体と、親水性グラフトポリマー
鎖の存在する親水性表面を有し、画像形成により特定の
親水性表面を有する非画像部領域とインキ受容性の画像
部領域とが形成されるものである。
【0012】[支持体]本発明の平版印刷方法に使用さ
れる版材において、親水性グラフトポリマー鎖が存在す
る親水性表面を形成するのに使用されるフレキシブルな
支持体には特に制限はなく、寸度的に安定な板状物であ
り、必要な可撓性、強度、耐久性等を満たせばいずれの
ものも使用できるが、例えば、紙、金属板(例えば、ア
ルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例
えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオ
ン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロー
ス、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリスチレ
ン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルア
セタール等)、プラスチック(例えば、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリス
チレン等)がラミネートされた紙又は金属板、上記のご
とき金属がラミネート若しくは蒸着された、紙若しくは
プラスチックフィルム等が挙げられる。本発明の支持体
としては、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が
好ましい。
【0013】(支持体の表面性状)グラフトポリマー鎖
含有の親水性表面を形成するのに使用される支持体は、
親水性表面の形成性、或いは、その上に設けられる画像
層との密着性の観点から、親水性表面が形成される面が
粗面化されたものを用いることが好ましい。以下に、本
発明で用いられる支持体表面(固体表面)の好ましい表
面性状の例について説明する。
【0014】本発明の平版印刷方法に用いられる版材の
支持体基材の好ましい粗面化の状態としては、2次元粗
さパラメータの中心線平均粗さ(Ra)が0.1〜1μ
m、最大高さ(Ry)が1〜10μm、十点平均粗さ
(Rz)が1〜10μm、凹凸の平均間隔(Sm)が5
〜80μm、局部山頂の平均間隔(S)が5〜80μ
m、最大高さ(Rt)が1〜10μm、中心線山高さ
(Rp)が1〜10μm、中心線谷深さ(Rv)が1〜
10μmの範囲が挙げられ、これらのひとつ以上の条件
を満たすものが好ましく、全てを満たすことがより好ま
しい。
【0015】上記2次元粗さパラメータは以下の定義に
基づくものである。 中心線平均粗さ(Ra):粗さ曲線から中心線の方向に
測定長さLの部分を抜き取り、この抜き取りの中心線と
粗さ曲線との偏差の絶対値を算術平均した値。 最大高さ(Ry):粗さ曲線からその平均線の方向に基
準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分の山頂線と谷底
線の間隔を、粗さ曲線の縦倍率の方向に測定した値。 十点平均粗さ(Rz):粗さ曲線からその平均値の方向
に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線か
ら縦倍率の方向に測定した、最も高い山頂から5番目ま
での山頂の標高(YP)の絶対値の平均値と、最も低い
谷底から5番目までの谷底の標高(Yv)の絶対値の平
均値との和をマイクロメートル(μm)で表した値。 凹凸の平均間隔(Sm):粗さ曲線からその平均線の方
向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分において
一つの山及びそれに隣り合う一つの谷に対応する平均線
の和を求め、この多数の凹凸の間隔の算術平均値をミリ
メートル(mm)で表した値。
【0016】局部山頂の平均間隔(S):粗さ曲線から
その平均線の方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取
り部分において隣り合う局部山頂間に対応する平均線の
長さを求め、この多数の局部山頂の間隔の算術平均値を
ミリメートル(mm)で表した値。 最大高さ(Rt):粗さ曲線から基準長さだけ抜き取っ
た部分の中心線に平行な2直線で抜き取り部分を挟んだ
ときの2直線の間隔の値。 中心線高さ(Rp):粗さ曲線からその中心線方向に測
定長さLを抜き取り、この抜き取り部分の中心線に平行
で最高の山頂を通る直線との間隔の値。 中心線谷深さ(Rv):粗さ曲線からその中心線方向に
測定長さLの部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心
線に平行で最深の谷底を通る直線との間隔の値。
【0017】〔版材の親水性グラフトポリマー鎖が存在
する親水性表面について〕次に、本発明の方法に用いる
版材が上記支持体上に有するグラフトポリマー鎖含有の
親水性表面について説明する。本発明の方法に用いる版
材における親水性表面は、親水性グラフトポリマー鎖が
存在する表面のことを指し、これは親水性グラフトポリ
マー鎖が直接支持体表面に結合しているものでもよく、
また親水性グラフトポリマー鎖が幹高分子化合物に結合
したものを用いて、側鎖に親水性グラフトポリマー鎖を
有する該高分子化合物が支持体表面に結合され、もしく
は、塗布或いは塗布架橋により配置されたものであって
もよい。本発明においては、親水性グラフトポリマー鎖
が直接支持体表面に結合しているものを「表面グラフ
ト」と称し、親水性グラフトポリマー鎖がポリマー架橋
膜構造の中に導入されているものを用いる場合は「親水
性グラフト鎖導入架橋親水層」と称する。
【0018】[表面グラフトの作成方法]支持体基材上
にグラフトポリマー鎖からのイオン性基を有する表面を
作成する方法としては、公知の方法を適用すればよく、
具体的には、例えば、日本ゴム協会誌、第65巻、60
4、1992年、杉井新治著、「マクロモノマーによる
表面改質と接着」の記載を参考にすることができる。そ
の他、以下に述べる表面グラフト重合法と呼ばれる方法
を適用することもできる。
【0019】〔表面グラフト重合法について〕グラフト
重合法とは高分子化合物鎖上に活性種を与え、これによ
って開始する別の単量体(モノマー)を重合し、グラフト
(接ぎ木)重合体を合成する方法で、特に活性種を与え
る高分子化合物が固体表面を形成する時には表面グラフ
ト重合と呼ばれる。モノマーとしては、アンモニウム、
ホスホニウムなどの正の荷電を有するモノマー、もしく
はスルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、ホスホン
酸基などの負の荷電を有するか負の荷電に解離しうる酸
性基を有するモノマーを使用可能であり、また水酸基、
アミド基、スルホンアミド基、アルコキシ基、シアノ基
などの非イオン性の基を有するモノマーであってもよ
い。
【0020】該モノマーは、光、電子線、熱などの従来
公知の方法により高分子表面上にグラフトすることがで
きるが、本発明を実現するための表面グラフト重合法と
して、たとえば、新高分子実験学10、高分子学会編、
1994年、共立出版(株)発行、P135に光グラフ
ト重合法、プラズマ照射グラフト重合法が記載され、吸
着技術便覧、NTS(株)、竹内監修、1999.2発
行、p203、p695には、γ線、電子線などの放射
線照射グラフト重合法が記載されている。また、表面グ
ラフトポリマーを有する表面を作成するための手段とし
てはこれらの他、高分子化合物鎖の末端にトリアルコキ
シシリル基、イソシアネート基、アミノ基、水酸基、カ
ルボキシル基などの反応性官能基を付与し、これと基材
表面官能基とのカップリング反応により形成してもよ
い。
【0021】光グラフト重合法の具体的方法としては、
特開昭63−92658号公報、特開平10−2968
95号公報および特開平11−119413号公報に記
載の方法を使用することができる。また、プラズマ照射
グラフト重合法、放射線照射グラフト重合法においては
上記記載の文献、およびY.Ikada et al、
Macromolecules vol. 19、
page 1804(1986)などの記載の方法にて
作成することができる。具体的にはPETなどの高分子
表面をプラズマ、もしくは電子線にて処理し、表面にラ
ジカルを発生させ、その後、その活性表面と親水性官能
基を有するモノマーとを反応させることによりグラフト
ポリマー表面層、即ち、親水性基を有する表面層を得る
ことができる。光グラフト重合は上記記載の文献のほか
に特開昭53−17407号公報(関西ペイント)や、
特開20000−212313号公報(大日本インキ)
記載のように、フィルム基材の表面に光重合性組成物を
塗布し、その後、水性ラジカル重合化合物とを接触させ
光を照射することによっても作成することができる。
【0022】(親水性モノマーについて)親水性グラフ
トポリマー鎖を形成するのに有用な親水性モノマーと
は、アンモニウム、ホスホニウムなどの正の荷電を有す
るモノマーもしくはスルホン酸基、カルボキシル基、リ
ン酸基、ホスホン酸基などの負の荷電を有するか負の荷
電に解離しうる酸性基を有するモノマーが挙げられる
が、その他にも、例えば、水酸基、アミド基、スルホン
アミド基、アルコキシ基、シアノ基、などの非イオン性
の基を有する親水性モノマーを用いることもできる。
【0023】本発明において、特に有用な親水性モノマ
ーの具体例としては、次のモノマーを挙げることが出来
る。例えば、(メタ)アクリル酸もしくはそのアルカリ
金属塩およびアミン塩、イタコン酸もしくはそのアルカ
リ金属塩およびアミン酸塩、アリルアミンもしくはその
ハロゲン化水素酸塩、3−ビニルプロピオン酸もしくは
そのアルカリ金属塩およびアミン塩、ビニルスルホン酸
もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、ビニルス
チレンスルホン酸もしくはそのアルカリ金属塩およびア
ミン塩、2−スルホエチレン(メタ)アクリレート、3
−スルホプロピレン(メタ)アクリレートもしくはその
アルカリ金属塩およびアミン塩、2−アクリルアミド−
2−メチルプロパンスルホン酸もしくはそのアルカリ金
属塩およびアミン塩、アシッドホスホオキシポリオキシ
エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アリル
アミンもしくはそのハロゲン化水素酸塩等の、カルボキ
シル基、スルホン酸基、リン酸、アミノ基もしくはそれ
らの塩、2−トリメチルアミノエチル(メタ)アクリレ
ートもしくはそのハロゲン化水素酸塩等の、カルボキシ
ル基、スルホン酸基、リン酸、アミノ基もしくはそれら
の塩、などを使用することができる。また2−ヒドロキ
シエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミ
ド、N−モノメチロール(メタ)アクリルアミド、N−
ジメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロ
リドン、N−ビニルアセトアミド、アリルアミンもしく
はそのハロゲン化水素酸塩、ポリオキシエチレングリコ
ールモノ(メタ)アクリレートなども有用である。
【0024】[親水性グラフト鎖導入架橋親水層の作成
方法]親水性グラフト鎖が導入された架橋親水層は、一
般的にグラフト重合体の合成法として公知の方法を用い
てグラフトポリマーを作成し、それを架橋することで作
成することができる。具体的にはグラフト重合体の合成
は"グラフト重合とその応用"井手文雄著、昭和52年発
行、高分子刊行会、および"新高分子実験学2、高分子
の合成・反応"高分子学会編、共立出版(株)199
5、に記載されている。
【0025】グラフト重合体の合成は基本的に1.幹高
分子から枝モノマーを重合させる、2.幹高分子に枝高
分子を結合させる、3.幹高分子に枝高分子を共重合さ
せる(マクロマー法)の3つの方法に分けられる。前記
3つの方法のいずれを使用しても本発明の親水性表面を
作成することができるが、特に製造適性、膜構造の制御
という観点からは「3.マクロマー法」が優れている。
【0026】マクロマーを使用したグラフトポリマーの
合成は前記の"新高分子実験学2、高分子の合成・反応"
高分子学会編、共立出版(株)1995に記載されてい
る。また山下雄他著"マクロモノマーの化学と工業"アイ
ピーシー、1989にも詳しく記載されている。具体的
にはアクリル酸、アクリルアミド、2−アクリルアミド
−2−メチルプロパンスルホン酸、N−ビニルアセトア
ミドなど、上記の有機架橋親水層として具体的に記載し
た親水性モノマーを使用して文献記載の方法に従い親水
性マクロマーを合成することができる。
【0027】親水性マクロマーのうち特に有用なもの
は、アクリル酸、メタクリル酸などのカルボキシル基含
有のモノマーから誘導されるマクロマー、2−アクリル
アミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスチレ
ンスルホン酸、およびその塩のモノマーから誘導される
スルホン酸系マクロマー、アクリルアミド、メタクリル
アミドなどのアミド系マクロマー、N−ビニルアセトア
ミド、N−ビニルホルムアミドなどのN−ビニルカルボ
ン酸アミドモノマーから誘導されるアミド系マクロマ
ー、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチ
ルアクリレート、グリセロールモノメタクリレートなど
の水酸基含有モノマーから誘導されるマクロマー、メト
キシエチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコ
ールアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレー
トなどのアルコキシ基もしくはエチレンオキシド基含有
モノマーから誘導されるマクロマーである。またポリエ
チレングリコール鎖もしくはポリプロピレングリコール
鎖を有するモノマーも本発明のマクロマーとして有用に
使用することができる。これらのマクロマーのうち有用
な分子量は400〜10万の範囲、好ましい範囲は10
00〜5万、特に好ましい範囲は1500〜2万の範囲
である。分子量が400以下では効果を発揮できず、ま
た10万以上では主鎖を形成する共重合モノマーとの重
合性が悪くなる。
【0028】これらの親水性マクロマーを合成後、親水
性グラフト鎖が導入された架橋親水層を作成する一つの
方法は、上記の親水性マクロマーと反応性官能基を有す
る他のモノマーと共重合させ、グラフト共重合ポリマー
を合成しその後、合成したグラフト共重合ポリマーとポ
リマーの反応性官能基と反応する架橋剤とを支持体上に
塗布し、熱により反応させて架橋させ作成することがで
きる。もしくは親水性グラフトポリマー側鎖と光架橋性
側鎖、もしくは親水性グラフトポリマー側鎖と重合性架
橋性側鎖を有するポリマーを合成し、それを支持体上に
塗布して光照射により反応させて架橋させ作成してもよ
い。このようにして、支持体上に親水性グラフトポリマ
ー鎖が存在する親水性表面を設けることができる。親水
性表面を形成する層の膜厚は目的により選択できるが、
一般的には0.001μm〜10μmの範囲が好まし
く、0.01μm〜5μmの範囲がさらに好ましく、
0.1μm〜2μmの範囲が最も好ましい。膜厚が薄す
ぎると耐キズ性が低下する傾向があり、厚すぎる場合に
はインキ払い性が悪化する傾向にある。
【0029】[画像形成方法]本発明において、親水性
グラフトポリマー鎖が存在する親水性表面を有する版材
上に画像を設ける方法には、電子写真方式で画像形成材
料を上記版材の親水性表面上に転写し親油性画像を直接
描画する方法(図1参照)と、加熱及び/又は加圧によ
り画像が転写されるテープ状転写フィルムを外部に設け
て版材表面に親油性画像を直接描画する方法(図2参
照)とがある。但し、上記方法には特に限定されない。
【0030】電子写真記録方法としては、図1に例示し
たとおりであり、従来公知の記録方式のいずれをも用い
ることができる。例えば電子写真学会編「電子写真技術
の技術の基礎と応用」(株)コロナ社刊、(1988
年)、江田研一、電子写真学会誌27、113(198
8)、川本晃生、同33、149(1994)、川本晃
生、同32、196(1993)等に記載の方法あるい
は上市のPPC複写機等が挙げられる。デジタル情報に
基づいて露光するレーザー光によるスキャニング露光方
式及び液体現像剤を用いる現像方式の組合せが、高精細
な画像を形成できることから有効なプロセスである。そ
の一例を以下に示す。
【0031】まず、感光材料をフラットベット上にレジ
スターピン方式による位置決めを行った後背面よりエア
ーサクションにより吸引して固定する。次いで、例えば
上記「電子写真技術の基礎と応用」212頁以降に記載
の帯電デバイスにより感光材料を帯電する。コロトロン
又はスコトロン方式が一般的である。この時感光材料の
帯電電位検出手段からの情報に基づき、常に所定の範囲
の表面電位となるようフィードバックをかけ、帯電条件
をコントロールすることも好ましい。その後例えば同じ
く上記引用資料の254頁以降に記載の方式を用いてレ
ーザー光源による走査露光を行う。
【0032】次いで液体現像剤を用いてトナー画像の形
成を行う。フラットベット上で帯電、露光した感光材料
は、そこからはずして同上引用資料の275頁以降に示
された湿式現像法を用いることができる。この時の露光
モードは、トナー画像現像モードに対応して行われ、例
えば反転現像の場合はネガ画像、即ち画像部にレーザー
光を照射し、感光材料を帯電した時の電荷極性と同じ電
荷極性を持つトナーを用い、現像バイアス電圧を印加し
て露光部にトナーが電着するようにする。原理の詳細は
同上引用資料の157頁以降に説明がある。
【0033】現像後に余剰の現像液を除くために、同資
料283頁に示されるようなゴムローラ、ギャップロー
ラ、リバースローラ等のスクイーズ、コロナスクイー
ズ、エアスクイーズ等のスクイーズを行う。スクイーズ
前に現像剤の担体液体のみでリンスをすることも好まし
い。次に感光体上に上記の様にして形成されたトナー画
像層を被転写材である版材上に転写・定着する、または
中間転写体を経由して被転写体上に転写・定着するもの
である。
【0034】加熱及び/又は加圧による画像転写方式は
図2に例示したとおりであり、従来公知の方法を適宜選
択して実施される。
【0035】次に、上記画像形成材料として使用するこ
とで、より耐刷性が向上する、材料について説明する。 〔グラフトポリマー鎖と相互作用しうる官能基を有する
熱可塑性ポリマー〕本発明において、版材のグラフトポ
リマー鎖と熱融着した熱可塑性ポリマーとを強く結合さ
せるのに必要な相互作用とは、共有結合、イオン結合、
水素結合、極性相互作用、ファンデアワールズ相互作用
などを含むものであるが、高感度化の点で特段のエネル
ギー付与、例えば、熱を加えるなどを行わなくても強い
結合(相互作用)が形成されるイオン結合、水素結合が
相互作用として特に好ましい。
【0036】前記親水性グラフトポリマー鎖と相互作用
しうる官能基の具体例としては、アミノ基、ピリジル基
などの塩基性官能基;4級アンモニウム基;水酸基;カ
ルボキシル基、スルホン酸基などの酸性官能基;アミド
基などの水素結合性官能基;等から適宜選択すればよい
が、どのような官能基を選択するかは、親水性表面に存
在するグラフトポリマー鎖の官能基の種類を考慮するこ
とが好ましく、グラフトポリマー鎖との相互作用の形成
しやすさ、形成された相互作用の強度といった観点から
選ぶことが好ましい。例えば、グラフトポリマー鎖がア
クリル酸グラフトの場合、該ポリマーに導入される官能
基としてはアクリル酸と相互作用可能な官能基、具体的
には、アミノ基、ピリジル基、4級アンモニウム基、ア
ミド基等を選択することが好ましい。また、グラフトポ
リマー鎖がアクリルアミドグラフトの場合、該ポリマー
に導入される官能基としては、アクリルアミドと相互作
用可能なカルボキシル基を選択することが好ましい。
【0037】画像形成に用いられる熱可塑性ポリマーの
形態としては、1992年1月のReseach Di
sclosure No.33303、特開平9−12
3387号公報、同9−131850号公報、同9−1
71249号公報、同9−171250号公報およびE
P931647号公報などに記載の熱可塑性微粒子ポリ
マーが好適である。具体例としては、エチレン、スチレ
ン、塩化ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、塩化ビ
ニリデン、アクリロニトリル、ビニルカルバゾールなど
のモノマーのホモポリマーまたはコポリマーあるいはそ
れらの混合物を挙げることができるが、ポリスチレン、
ポリメタクリル酸メチルがより好適である。本発明にお
いて使用する微粒子ポリマーはこれらの熱可塑性微粒子
ポリマーにグラフトポリマー鎖と相互作用しうる官能基
を有するモノマーを共重合させたものを使用することが
できる。もしくは、グラフトポリマー鎖と相互作用しう
る官能基を有するモノマーの単独重合からなるポリマー
でも使用可能である。しかしながら、熱融着温度のコン
トロールが容易であるという観点からは、共重合体を選
択することがより好ましい。
【0038】親水性グラフトポリマー鎖と相互作用しう
る官能基を有するモノマーとしては、2−ジエチルアミ
ノエチルアクリル酸、2−ジメチルアミノエチルアクリ
ル酸、2−ジエチルアミノエチルメタクリル酸、2−ジ
メチルアミノエチルメタクリル酸、2−トリエチルアン
モニウムエチルアクリル酸、2−トリメチルアンモニウ
ムエチルアクリル酸、2−トリエチルアンモニウムエチ
ルメタクリル酸、2−トリメチルアンモニウムエチルメ
タクリル酸、ジメチルアミノメチルスチレン、テトラメ
チルアンモニウムメチルスチレン、ジエチルアミノメチ
ルスチレン、テトラエチルアンモニウムメチルスチレ
ン、などのアミノ基、および4級アンモニウム含有モノ
マー;アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビ
ニルアセトアミドなどのアミドモノマー;アクリル酸、
メタクリル酸などのカルボン酸ポリマー;2−ヒドロキ
シエチルメタクリル酸などの水酸基モノマー;スチレン
スルホン酸等のスルホン酸基モノマー;などを挙げるこ
とができる。
【0039】これらの官能基のポリマーへの導入は、重
合時に行ってもよいし、重合後に高分子反応を利用して
行ってもよいが、重合時に導入する場合は、これらの官
能基を有するモノマーを乳化重合あるいは懸濁重合する
ことが好ましい。また、これらのモノマーと共重合可能
な、相互作用性官能基をもたないモノマーとしては、例
えば、スチレン、アルキルアクリレート、アルキルメタ
クリレート、アクリロニトリル、酢酸ビニルなどを挙げ
ることができるが、相互作用性官能基をもたないモノマ
ーであれば、これらに限定されない。一方、熱反応性官
能基の導入を重合後に行う場合に用いる高分子反応とし
ては、例えば、WO96−34316号公報に記載され
ている高分子反応を挙げることができる。
【0040】本発明の描画に用いる熱可塑性ポリマーと
しては、上記の微粒子ポリマーのうち、画像形成性の観
点からは、ポリマー同志が熱により容易に融着、合体す
るものが好ましい。また、これらの熱反応性官能基を有
するポリマーの熱融着温度は、70℃以上であることが
好ましく、経時安定性を考えると80℃以上がさらに好
ましい。ただし、あまり熱融着温度が高いと感度の観点
からは好ましくないので、80〜250℃の範囲が好ま
しく、100〜150℃の範囲であることがさらに好ま
しい。また、ポリマーの平均粒径は、0.01〜20μ
mが好ましいが、その中でも0.05〜2.0μmがさ
らに好ましく、特に0.1〜1.0μmが最適である。
平均粒径が大き過ぎると解像度が悪くなる傾向があり、
また小さ過ぎると経時安定性が悪化する可能性がある。
【0041】[グラフトポリマー鎖と相互作用しうる官
能基導入ポリマー]また、本発明では、版材の親水性表
面と画像部膜との密着性を向上させるため、感熱層を構
成する高分子化合物として、親水性グラフトポリマー鎖
と相互作用しうる官能基を導入したポリマーを用いる。
ここで親水性グラフトポリマー鎖と感熱層形成ポリマー
とを強く結合させるのに必要な相互作用とは、共有結
合、イオン結合、水素結合、極性相互作用、ファンデア
ワールズ相互作用などを包含するが、高感度化の点で特
段のエネルギー付与、例えば、熱を加えるなどを行わな
くても強い結合(相互作用)が形成されるイオン結合、
水素結合が特に好ましい。
【0042】前記親水性グラフトポリマー鎖と相互作用
しうる官能基の具体例としては、前述のグラフトポリマ
ー鎖と相互作用しうる官能基を有する熱可塑性微粒子ポ
リマーに使用可能な官能基と同一であり、同様に適宜選
択することが好ましい。また、親水性グラフトポリマー
鎖と相互作用しうる官能基を有し、感熱層を構成するポ
リマーの作成に好適なモノマーについても、前述のグラ
フトポリマー鎖と相互作用しうる官能基を有する熱可塑
性微粒子ポリマーに適用可能なモノマーと同一のモノマ
ーを使用することができる。なお、これらの官能基の感
熱層形成ポリマーへの導入は、重合時に行ってもよい
し、重合後に高分子反応を利用して行ってもよい。
【0043】次に、この平版印刷原版の製版工程、印刷
工程、及び画像消去工程について説明する。 [製版工程及び印刷工程]本発明の方法で用いる版材に
おいて画像が形成されるが、例えば、加熱及び/又は加
圧により画像が転写されるテープ状転写フィルム等によ
り、版胴上のグラフトポリマー鎖を有する親水性表面に
直接親油性の画像を形成して平版印刷版を作成する。そ
して、画像部及び非画像部が形成された平版印刷版にイ
ンキと湿し水とを供給すれば、油性であるインキ成分が
画像部に付着するとともに、親水性成分(湿し水)が非画
像部(親水性グラフトポリマー鎖が存在する親水性表面)
に供給され、印刷が可能になる。このとき、親水性グラ
フトポリマー鎖が存在する親水性表面は、親水性である
と同時に保水性が高く、画像部と非画像部との識別効
果、いわゆるディスクリミネーションを向上して厳しい
印刷条件においても印刷物に汚れが発生することを抑制
することができる。なお、平版印刷版に対して、親水性
成分と親油性成分(インキ成分)とを含有するエマルジョ
ンインキを供給すれば、エマルジョンインキが分離して
油性インキ成分が画像部に付着するとともに、親水性成
分が非画像部に供給されて印刷が可能になる。すなわ
ち、エマルジョンインキを使用すれば湿し水を供給する
必要がなく、印刷工程の容易化及び低コスト化を一層向
上することができる。
【0044】このようなエマルジョンインキとしては、
例えば、特公昭49−26844号公報、特公昭49−
27124号公報、特公昭49−27125号公報、特
開昭53−36307号公報、特開昭53−36308
号公報、特公昭61−52867号公報、特開昭58−
2114844号公報、特開昭53−27803号公
報、特開昭53−29807号公報、特開昭54−14
6110号公報、特開昭57−212274号公報、特
開昭58−37069号公報、特開昭54−10630
5号公報などに記載のエマルジョンインキが挙げられ
る。
【0045】[画像消去工程]印刷工程が終了した後、印
刷版上に残存したインキと共に版胴上で画像を消去す
る。画像を消去する方法に特に限定はないが、例えば、
親水性表面上に形成された親油性の画像に対する溶解性
を有し、かつ親水性グラフトポリマー鎖が存在する版材
表面の親水性に悪影響を与えることがない溶剤を適宜選
択して版面上に塗布した後、不織布等の適当なクリーニ
ング部材を用いて払拭する方法や、溶剤を含有させた不
織布等の適当なクリーニング部材により版面を擦る方法
などにより実施することができる。このような溶剤(画
像消去溶剤)としては、例えば、アルコール類(メタノ
ール、エタノール、プロピルアルコール、エチレングリ
コール、ジエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、エチレングリコールモノ
メチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエー
テル、エチレングリコールモノエチルエーテル等)、エ
ーテル類(テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレン
グリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジ
メチルエーテル、テトラヒドロピラン等)、ケトン類
(アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、
シクロヘキサノン等)、エステル類(酢酸メチル、γ−
ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチル、エチレング
リコールモノメチルモノアセテート等)、アミド類
(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルア
セトアミド、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、
ピロリドン、N−メチルピロリドン等)、その他(トリ
エチルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、
ジメチルスルホキシド、スルホラン、トルエン、トリク
ロロエチレン)の有機溶剤の単独液あるいは混合液、及
び前記有機溶剤に水を添加したり、界面活性剤等を用い
水に可溶化したものや、更に、アルカリ剤(例えば、ジ
エタノールアミン、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム
等)を添加したもの等を使用することができる。なお、
画像消去用溶剤の塗布方法に特に限定はなく、例えば、
バーコーター塗布、スプレー塗布、ブレード塗布、ロー
ル塗布等を挙げることができる。
【0046】また、画像消去後、水又は適当な水溶液
(例えば界面活性剤の水溶液や一般に印刷で用いる湿し
水等)で版材表面を水洗することも好適である。そし
て、本発明の平版印刷方法は、画像を消去した版材上の
親水性表面に対して、繰り返し製版工程及び印刷工程を
行う。すなわち、画像を消去した親水性表面上に再び画
像を形成して平版印刷版を形成し、繰り返し印刷を行え
ば、印刷機の版胴上に平版印刷版原版を装着する手間の
省力化、製版工程の簡素化及び平版印刷に要するコスト
全体の低減を達成することができる。
【0047】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。 (実施例1)〔親水性グラフトポリマーからなる表面を
有する版材の作成〕支持体であるポリエチレンテレフタ
レート(ルミラー、東レ社製、180μ)上に下記の光
重合性組成物を塗布用スプレーで塗布し、オーブンで8
0℃で2分間乾燥させた。次にこの塗布された表面を、
400w高圧水銀灯(UVL−400P、理工科学産業
(株)製)を使用し、10分間照射し、予備硬化させ
た。光重合性組成物は次の組成である。
【0048】 アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 4 g (モル比率80/20、分子量10万) エチレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート 4 g (東亞合成(株)M210) 1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 1.6g 1−メトキシ−2−プロパノール 16 g
【0049】次にこの基材をスチレンスルホン酸ナトリ
ウム(10質量%)および次亜塩素酸ナトリウム(Na
ClO,0.01質量%)を含む水溶液をスプレーし、アル
ゴン雰囲気下で400w高圧水銀灯を使用し30分間光
照射した。光照射後得られた表面をイオン交換水で十分
に洗浄しスチレンスルホン酸ナトリウムがグラフトされ
た親水性表面1を得た。上記、親水性表面1を形成した
版材をロール状に巻き取り図1で示す印刷機にセットし
た。
【0050】[画像形成] (画像形成ユニット) <電子写真感光体の作成>X型無金属フタロシアニン
(大日本インキ(株)製)2g、下記結着樹脂(P−
1)14.4g、下記結着樹脂(P−2)3.6g、下
記化合物(A)0.15g及びシクロヘキサノン80g
の混合物を、500mlのガラス容器にガラスビーズと共
に入れ、ペイントシェーカー(東洋精機製作所製)で6
0分間分散した後、ガラスビーズを濾別して感光層分散
液とした。
【0051】
【化1】
【0052】次いでこの分散液を脱脂処理を施した0.
2mm厚のアルミニウム版の上にワイヤーバーで塗布し、
接触乾燥した後、110℃循環式オーブンで20秒間加
熱した。得られた感光層の膜厚は8μmであった。上記
の様にして作成した電子写真感光体を図1の印刷機に画
像ユニットとして取り付け、コロナ帯電して表面電位を
+450Vに帯電したのち、あらかじめ原稿かスキャナ
ーにより読み取り、システム特有の幾つかの色再現に関
わる補正を加えた後、デジタル画像データーとしてシス
テム内のハードティスクに記憶させてあった情報をもと
に、露光装置として半導体レーザー描画装置を用いて7
88mmの光で、ビームスポット径を15μmとしピッチ
10μm及びスキャン速度300cm/秒のスピードで露
光した(即ち、2500dpi)。この時の感光体上露
光量が25erg/cm2になるように露光した。
【0053】続いて下記内容の液体現像剤を用いて現像
し、ついでアイソパーG単独浴中でリンスをして非画像
部の汚れを除いてから、感光体表面温度が50℃となる
温風でアイソパーGの残量が(10mg/トナー重量mg)
となるように乾燥した。更に続けて、この感光体に、コ
ロナ帯電器で−6KVのプリチャージをかけこの感光体
の画像面を、前記の版材と重ね、電子写真感光体側から
マイナスのコロナ放電をかけ転写した。
【0054】<液体現像剤>ニーダーに下記の組成の成
分を混合し95℃で2時間混練し、混合物を得た。この
混合物をニーダー内で冷却した後、同じニーダー内で粉
砕した。この粉砕物1重量部とアイソパーH4重量部を
ペイントシェーカーで6時間分散し分散物を得た。この
分散物はトナー固形分が1リットル当たり1gとなる
様、アイソパーGで希釈し、同時にマイナス荷電性を付
与する荷電調節剤として塩基性バリウムペトローネを1
リットル当たり0.1g含む様にして液体現像剤を作製
した。
【0055】 (混練用組成) エチレン・メタクリル酸共重合体; 4重量郡 ニュクレルN−699(三井デュポン社製) カーボンブラック#30(三菱化成(株)製) 1重量部 アイソパーL(エクソン社製) 15重量部
【0056】画像形成された版材(製版版)を定着ユニ
ットにより温度100℃、30秒間加熱しトナー画像部
を完全定着した。
【0057】[印刷]次いで、湿し水着けローラー2か
ら、湿し水(イソプロパノール10%,EU3(富士写
真フイルム(株)製エッチ液)3%の水溶液)を版面上に
供給し、5回転した後、インキ着けローラー1よりイン
キ(東洋インキ(株)製ハイエコーMZ墨)を版面上に
供給し、印刷を開始したところ、非画像部の汚れがな
く、画像部の着肉も良好な印刷物を得ることができた。
【0058】[画像消去]上記良好な印刷物を1000枚
得た後、画像消去ユニット7において、画像消去溶剤を
含んだクリーニング部材5(不織布)を版面上に押しあ
て、版胴を回転させることにより、版面上を擦り、残存
したインキ及び画像を溶解除去し、版面上から画像を消
去した。
【0059】[版材の再使用]次いで、画像が消去された
支持体上に、上記と同様に画像形成及び印刷を行ったと
ころ、上記と同様に、良好な印刷物を1000枚得た。
また、上記と同様の操作を20回繰り返したところ、何
れの印刷においても、良好な印刷物を1000枚得るこ
とができた。
【0060】(実施例2)画像形成が下記の方法以外は
実施例1と同様に、印刷、画像消去、版材の再使用を行
ったところ、実施例1と同様に、何れの印刷において
も、良好な印刷物を1000枚得ることができた。[画
像形成]図2に示すようにカルナバワックスを主成分と
するインクリボンを感熱ヘッドにより上記版材に画像形
成し、定着ユニットにより100℃、25秒加熱定着し
た。
【0061】
【発明の効果】本発明の平版印刷方法によれば、厳しい
印刷条件においても、印刷物に汚れが発生することがな
く、さらに、画像消去した版材に繰り返し画像形成が可
能となり、製版工程の簡素化や、版材のリサイクルによ
る低コスト化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の平版印刷方法に好適な印刷機を示す模
式図である。
【図2】本発明の平版印刷方法に好適な他の印刷機を示
す模式図である。
【符号の説明】
1 インキローラー 2 湿し水ローラー 3 乾燥風供給ユニット 4 吸気ユニット 5 クリーニング部材 6 画像消去溶剤供給ノズル 7 画像消去ユニット 8 画像形成ユニット 9 版材 10 版胴 11 ブランケット胴 12 圧胴

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 印刷機の版胴中にフレキシブルな支持体
    を有する版材をロール収納して、版材を版胴上に供給す
    る印刷機にて平版印刷をする方法において、前記版材が
    親水性グラフトポリマー鎖の存在する親水性表面を持
    ち、且つ印刷機上で該親水性表面上に転写により親油性
    画像を形成し印刷することを特徴とする平版印刷方法。
  2. 【請求項2】 前記転写による親油性画像の形成が、親
    油性材料の熱転写又は静電転写であることを特徴とする
    請求項1記載の平版印刷方法。
  3. 【請求項3】 印刷後画像を消去し、該画像消去した版
    材に再び画像形成することにより繰り返し印刷すること
    を特徴とする請求項1又は2記載の平版印刷方法。
JP2001366778A 2001-11-30 2001-11-30 平版印刷方法 Pending JP2003165196A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001366778A JP2003165196A (ja) 2001-11-30 2001-11-30 平版印刷方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001366778A JP2003165196A (ja) 2001-11-30 2001-11-30 平版印刷方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003165196A true JP2003165196A (ja) 2003-06-10

Family

ID=19176627

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001366778A Pending JP2003165196A (ja) 2001-11-30 2001-11-30 平版印刷方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003165196A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6283029B1 (en) Direct drawing type lithographic printing plate precursor
EP1134076B1 (en) Direct imaging lithographic printing plate
US6479203B1 (en) Direct drawing type lithographic printing plate precursor
JP2003165196A (ja) 平版印刷方法
US6472055B1 (en) Direct drawing type lithographic printing plate precursor
JP2002264555A (ja) 直描型平版印刷用原版
JP2002362053A (ja) 直描型平版印刷用原版及び製造方法
JP3790959B2 (ja) 平版印刷用原版
JP4210410B2 (ja) 直描型平版印刷用原版
JP2002362048A (ja) 直描型平版印刷用原版
JP3606460B2 (ja) 平版印刷用原版
JPH09197693A (ja) 直描型平版印刷用原版
JPH01279257A (ja) 電子写真平版印刷版材料
JP2001054987A (ja) 直描型平版印刷用原版
JP2003054147A (ja) 平版印刷用原版
JP2001287474A (ja) 直描型平版印刷用原版
JP2001130158A (ja) 直描型平版印刷用原版
JPH1191255A (ja) 平版印刷原版及びそれを用いた平版印刷版の作成方法
JP2000289361A (ja) 直描型平版印刷用原版
JP2001260556A (ja) 直描型平版印刷用原版
JPH10119230A (ja) 画像形成方法
JP2000247051A (ja) 直描型平版印刷用原版
JP2003019873A (ja) 直描型平版印刷用原版及び製造方法
JP2001260555A (ja) 直描型平版印刷用原版
JP2000247052A (ja) 直描型平版印刷用原版