JP2003163983A - スピーカのエンクロージャ構造体 - Google Patents

スピーカのエンクロージャ構造体

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JP2003163983A
JP2003163983A JP2001341637A JP2001341637A JP2003163983A JP 2003163983 A JP2003163983 A JP 2003163983A JP 2001341637 A JP2001341637 A JP 2001341637A JP 2001341637 A JP2001341637 A JP 2001341637A JP 2003163983 A JP2003163983 A JP 2003163983A
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enclosure structure
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Masao Matsumoto
雅男 松本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】音響上や構造上の特性が優れ、多チャンネル再
生に適し、ラジアル効果のある臨場感が表現でき、メイ
ンスピーカにも適用できるスピーカのエンクロージャ構
造体を提供する。 【解決手段】空気室91がスピーカ41の背面側に設け
られている。この空気室41はスピーカ前面音の中高音
域の再生が可能でスピーカ背面音の中高音域を抑制ない
し吸収することのできる容積を有するものである。空気
室91に後続して位相遅延用のダクト95が設けられて
いる。このダクト95はスピーカ41の駆動有効面積よ
りも小さい断面積を有するものである。スピーカ背面音
を外部に放出するための放射孔12がダクト95の端末
側に設けられている。そしてスピーカ前面音とスピーカ
背面音とを合成して音を再生するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は音響系の技術分野に
属するものであってスピーカのエンクロージャ構造体を
改良したものに関する。
【0002】
【従来の技術】スピーカのエンクロージャで小型化され
たのものは、背面音ダクトによる共振作用を利用したバ
スレフ方式が主流になっている。バスレフ方式はスピー
カ本来の特性と異なり低域部(低音)を強調するという
ものである。バスレフ方式についてさらにいうと、映画
など特殊効果が必要な作品ではさほど問題にならない
が、たとえばストレス解消のために利用する音楽鑑賞で
は、個々の好みも異なることから適当でない場合があ
る。他の方式もエンクロージャが大きいものになった
り、バスレフ方式以上に個性の強い音色のものになった
りするため、その種の音楽鑑賞には適さない。
【0003】一方で、スピーカを上向きまたは下向きに
設置し、水平方向や垂直方向を含む全方位に対応させる
再生方式がこれまでにもあった。しかしこの方式は、あ
まりにも音声が拡散することや、室内での音の反射の影
響もあって楽器などの存在を推定することが困難となっ
ていた。ゆえにこの再生方式のものも音楽鑑賞用には不
適切であった。
【0004】かかる欠点を解消するためのものとして、
半球状・球状・流線形状などの反射器をスピーカの前面
かつ軸方向に設け、水平方向の音の具合を改良したシス
テムも存在する。この場合の反射器はスピーカごとに1
個あて設けられており、一定の反射方向を保持するよう
固定されている。このシステムも楽団演奏などの鑑賞に
なると、定位感が少ないために適さなくなる。
【0005】とはいえ最近の多チャンネル再生では、上
記の特性がメインスピーカ以外の効果音用スピーカに有
効であるという報告もある。これは目的に応じて利用者
が適当な方式を選択すればよいということである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述した従来
技術の課題に鑑みなされたもので、その目的とするとこ
ろは、スピーカのエンクロージャ構造体について、音響
上の特性が優れていること、構造上の特性が優れている
こと、多チャンネル再生に適すること、ラジアル(放射
状)効果のある臨場感が表現できること、メインスピー
カにも適用できること、その他、各種の要求を満足させ
ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に記載
されたスピーカのエンクロージャ構造体は、所期の目的
を達成するために下記の課題解決手段を特徴とする。す
なわち請求項1記載エンクロージャ構造体は、スピーカ
前面音の中高音域の再生が可能でスピーカ背面音の中高
音域を抑制ないし吸収することのできる容積をもつ空気
室がスピーカの背面側に設けられていること、および、
スピーカの駆動有効面積よりも小さい断面積を有する位
相遅延用のダクトが空気室に後続して設けられているこ
と、および、スピーカ背面音を外部に放出するための放
射孔がダクトの端末側に設けられていること、および、
スピーカ前面音とスピーカ背面音とを合成して音を再生
するものであることを特徴とする。
【0008】本発明の請求項2に記載されたスピーカの
エンクロージャ構造体は、請求項1記載のものにおい
て、スピーカの背面側に位置する空気室とこれに後続す
るダクトとが内外に嵌め合わされた複数の管で構成され
ていることを特徴とする。
【0009】本発明の請求項3に記載されたスピーカの
エンクロージャ構造体は、請求項1記載のものにおい
て、スピーカの背面側に位置する空気室とこれに後続す
るダクトとが箱の内部に設けられているとともに、箱内
の一部を仕切る仕切部材によってダクトが形成されてい
ることを特徴とする。
【0010】本発明の請求項4に記載されたスピーカの
エンクロージャ構造体は、請求項1〜3いずれかに記載
のものにおいて、位相調整孔がダクトに設けられている
ことを特徴とする。
【0011】本発明の請求項5に記載されたスピーカの
エンクロージャ構造体は、請求項1〜4いずれかに記載
のものにおいて、ダクトが屈曲した音道を有するものか
らなることを特徴とする。
【0012】本発明の請求項6に記載されたスピーカの
エンクロージャ構造体は、請求項1〜5いずれかに記載
のものにおいて、ダクトの断面積がほぼ一定であること
を特徴とする。
【0013】本発明の請求項6に記載されたスピーカの
エンクロージャ構造体は、請求項1〜5いずれかに記載
のものにおいて、多孔構造の前面カバーがスピーカに設
けられていることを特徴とする。
【0014】本発明の請求項7に記載されたスピーカの
エンクロージャ構造体は、請求項6記載のものにおい
て、前面カバーが中空形状のものからなり、音の反射片
が角度調整具を介して前面カバーの内部に取り付けられ
ていることを特徴とする。
【0015】
【作用】スピーカ発生音のうちで前面音は、スピーカ前
面の空気を振動させながら聴取者まで達する。この場合
に多孔構造の前面カバーがスピーカに設けられていたり
角度調整自在な反射片が前面カバー内に設けられていた
りすると、つぎのようになる。すなわちスピーカ前面音
は、その一部の音が多孔構造の前面カバーを通過し、他
の一部の音が反射片で反射して伝搬方向を変える。この
際の反射音の方向は反射片の向き(反射角度)を変更す
ることで自在に設定できる。したがって前面カバー内に
反射片がある場合は、再生目的・設置位置・設置場所の
音響特性・聴取者の好みなどに応じて再生音の伝搬方向
や伝搬範囲を容易に設定することができ、メインやサブ
など複数のスピーカも簡単に調和させることができる。
こうして再生されるスピーカ前面音は、直接音のみでな
いため音質がソフトである。
【0016】一方でスピーカの背面音は、空気室→位相
遅延用ダクトの内部→放射孔のような経路で外部に伝搬
する。ここで空気室についていうと、これの容積は、ス
ピーカ前面音の中高音域(通常音域)を再生することの
できる大きさであり、かつ、スピーカ背面音の中高音域
に対してはこれを抑制ないし吸収することのできる大き
さである。かかる空気室は、上記のように伝搬するスピ
ーカ背面音の中高音域にほとんど影響を与えることがな
い。しかも空気室の容積が比較的大きいことから、スピ
ーカ背面音の中高音に対してはこれを吸収して低音化す
る。低音化された背面音は、その後、位相遅延用ダクト
の内部を通り放射孔から外部に出る。このダクトは長さ
に応じた位相遅延機能を有するものである。したがって
背面音が外部に出るまでの間、ダクトは背面音の位相を
十分に遅延させる。ダクトは、また、その断面積がスピ
ーカの駆動有効面積よりも小さいから、音道が長い場合
に起こりがちな周波数の山・谷の影響(いわゆる「く
せ」)を少ないものにする。この場合にダクトの断面積
がほぼ一定であると、余剰空気の介在がほとんどなくな
り、余剰空気の振動に起因した「くせ」(加工音のよう
な響き)も発生しがたくなる。このほかダクトに位相調
整孔が設けられていたりすると、それによって背面音の
位相が調整されるから、ほぼ位相の揃った背面音(低
音)が放射孔より外部放射される。位相調整孔は、ま
た、周波数の山・谷の影響をより少ないものにする。さ
らに放射孔がスピーカ側に接近した位置にあったりする
と、前面音と背面音との合成音が定位感のよいものとな
る。
【0017】本発明に係るスピーカのエンクロージャ構
造体は、このようにしてスピーカの前面音(中高音)と
背面音(低音)とを合成し再生するものであるから、質
感のよい音を聴取者に与えることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明に係るスピーカのエンクロ
ージャ構造体については、はじめに図1〜図6の実施形
態を説明し、そのつぎに図7の実施形態を説明し、その
あとで図8の実施形態を説明する。
【0019】図1〜図6の実施形態において、11は外
管、21は内管、31は誘導盤、41はスピーカ、51
は取付具、61・64は前面カバー、71は反射板、8
1は台座をそれぞれ示す。
【0020】図1〜図5に例示された外管11は金属製
・合成樹脂製(FRP製を含む)・ゴム製(たとえば硬
質ゴム)・木製・強化ガラス製・セラミック製・これら
の複合材製など周知の材料で作製されたものである。そ
の代表例として金属製や合成樹脂製の外管11をあげる
ことができる。外管11は、典型例として断面円形(断
面楕円形も含む)のものであるが、断面多角形のもので
も構わない。外管11は先端部と後端部の間の管壁に複
数の放射孔12や複数の位相調整孔13を有している。
これらのうちで、各放射孔12は外管11の先端部側に
近い管壁にあって周方向に等間隔で分布している。これ
に対し、各位相調整孔13は外管11の後端部側に近い
管壁にあって周方向に等間隔で分布している。したがっ
て外管11の軸方向を基準にして相対的にみれば、各位
相調整孔13は外管11の後端部と放射孔12との間に
あり、放射孔12は外管11の先端部と位相調整孔13
との間にあることとなる。位相調整孔13については、
また、所要数(複数)のものが適当に分散して外管11
の後端部と放射孔12との間の管壁に設けられることが
ある。このほか、外管11の先端部外周にはフランジ1
4が一体に設けられている。
【0021】図2〜図5に例示された内管21も外管1
1と同様の材料からなる。その代表例は金属製や合成樹
脂製のものである。内管21も、また、典型的には断面
円形であるが、断面多角形でも構わない。内管21は外
管11よりも径が小さくて短い。すなわち内管21は外
管よりも短小である。内管21の管壁にも複数の位相調
整孔22がある。具体的には、内管21の後半部側の管
壁に各位相調整孔22が点在している。図2において、
内管21の先端部に取り付けられた集音スロート23
は、内管21と同質または異質の材料からなる。集音ス
ロート23は筒状であるが、その径は先端に向かうにし
たがい拡大している。内管21を外管11内に保持する
とき用いられる部材は、図2〜図5に示されたリング形
のスペーサ24と角形棒状のスペーサ25である。リン
グ形スペーサ24は、その外径が外管11の内径にほぼ
等しく、その内径が内管21の外径にほぼ等しいもので
ある。棒状のスペーサ25は複数本あり、これらは内管
21よりも短い。各棒状スペーサ25の厚さ(図2の径
方向の寸法)は、これを[t]とすると、[t]≒
[(外管11の内径)−(内管21の外径)]/[2]
である。内管21に関連するものとしてはこのほかに、
図2の誘導放射部材26や吸音材27もある。音の誘導
放射部材26は円弧面ないし湾曲面のような表面を有し
ている。誘導放射部材26は表面が所定の曲面で形成さ
れているかぎり、図示のような板状でも、図示しない小
さなブロック状でもよい。誘導放射部材26の材料も既
述のものでよいが、とくにあげれば合成樹脂や金属であ
る。吸音材27は図示例において筒状をしている。吸音
材27の材料としては、グラスウール・フェルト・吸音
ボード・軟質繊維板・布など周知のものが用いられる
が、通常は変形しやすいもの、または、弾力性のあるも
のが選択される。
【0022】図1〜図2に例示された誘導盤31で重要
な部分は、音の進行方向を反転させるため該誘導盤31
の内面に形成された誘導面32である。誘導面32は誘
導盤31の内面側からみた場合に環状をなしており、そ
の断面形状が半円の溝形となっている。したがって誘導
面32は誘導凹面ともいえる。この場合に誘導面32の
環状の中心は、誘導盤31の内面の中心と一致するもの
である。誘導盤31の内面から突出した筒状の接続部3
3は誘導盤31と一体のものである。このほか、誘導盤
31の外周にはフランジ状に張り出した座部34が一体
に設けられている。誘導盤31の構成材料も既述のうち
から選択される。誘導盤31は、また、外管11や内管
21が多角形である場合に、それらに対応した多角形の
ものとなる。誘導盤31の接続部33は外管11の後端
部と嵌め合い自在に対応している。
【0023】図2に例示されているスピーカ41は周知
のもので、ワイヤ付きやワイヤレスのいずれでもよい。
スピーカ41は、後述のごとく外管11の先端部で保持
されるため、それに対応した大きさのものとなってい
る。
【0024】図2に例示された取付具51は上述のスピ
ーカ41と後述の前面カバー61とを外管11の先端部
に取り付けるためのもので、二つのリング部材52・5
3が一体化されたものである。そのうちの一つのリング
部材52は扁平なリング形状をしており、外管11のフ
ランジ14と対応するものである。他の一つのリング部
材53は短い筒ような形状をしてリング部材52の上面
から立ち上がっている。このリング部材52は後述の前
面カバー61を脱着自在に受け止めるものである。取付
具51の構成材料も、金属・合成樹脂・その他既述もの
から選択される。外管11や内管21の形状に応じて取
付具51の形状が円形になったり多角形になったりする
点は他の構成部材と同じである。
【0025】図2を参照して、前面カバー61は多孔部
材で形成されたものであり、図示例では中空形状をして
いる。前面カバー61の構成材料も、特段の制約がない
かぎり既述ものから選択されるが、通常は金属製や合成
樹脂製のものからなる。具体的にいうと、網目構造をな
す面状の多孔部材とか、多数のパンチング孔もつ面状の
多孔部材とかで前面カバー61がつくられる。図2に示
された前面カバー61は、底面のみが開放された筒状多
孔部材62と、筒状多孔部材62の内部を複数段に仕切
る板状多孔部材63とで形成されている。前面カバー6
1も、これと関連する構成部材の形状に応じて平面円形
になったり平面多角形になったりする。図1〜図2に示
されているところの他の一つの前面カバー64も多孔部
材で形成されたものである。前面カバー64は前面カバ
ー61の表面を覆うことのできるキャップ形をしてい
る。前面カバー64は主として軟らかい多孔材料からな
る。その一例は伸び縮みのするスポンジ(連続気孔のも
の)で、他の一例は目の粗い厚手の生地である。そのほ
か、これらに類したものも採用できる。
【0026】図2と図6、とくに図6を参照して、反射
片71は角のとれた略三角形をしているが、これは円形
(楕円形を含む)や四角形以上の多角形でも構わない。
反射片71の反射面(表面)が曲面のときもある。反射
片71も、代表的には合成樹脂(例:アクリル樹脂)や
金属(例:アルミニウム)でつくられたりするが、これ
ら以外のものが既述の材料から選択されてつくられるこ
ともある。反射片71には、また、角度調整具72が付
帯している。角度調整具72は、反射片71の角度を調
整するとき曲げ伸ばしするものであるため、屈伸変形の
容易な金属たとえばアルミニウム薄板からなる。角度調
整具72は、ボルト・ナットからなる止具73を一端部
に具備し、他端部が反射片71の一部に一体に付着して
いる。止具73は後述のごとく反射片71を前面カバー
61内に取り付けるもの、したがってこれは、クリップ
のようなものであってもよい。角度調整具72も、曲げ
伸ばしの容易な金属棒に代えることができるし、関節を
締めたり弛めたりすることで屈伸調整が可能な屈伸式ア
ームに代えることもできる。
【0027】図1〜図2を参照して、台座81はフラッ
トな盤状をしている。これはエンクロージャのスタンド
となるものである。台座81も木製・合成樹脂製・金属
製など既述の材料から選択される。台座81は、スタン
ドとしての安定性がありさえすれば、中空体でも充実体
でもよい。
【0028】本発明に係るスピーカのエンクロージャ構
造体で図1〜図6の実施形態に係るものは、上述の各構
成部品(構成部材)を図1〜図2のように組み立ててな
る。その組み立ての際、「ビス止め手段」「部品相互に
形成された雄ネジと雌ネジによる締結手段」「接着手
段」「溶接手段」「圧着手段」「クランプ手段」など周
知の手段で部品相互を固定したりしているが、いずれの
手段を用いるかは構成部品の材質に応じて適宜決定す
る。もちろん以下に述べる組み立て順序や部品相互の固
定手段も具体的一例にすぎないから、自明の範囲内での
変更があり得る。
【0029】図2・図3・図5から理解できるように、
リング状のスペーサ24は、これを内管21の先端部側
の外周面にあてがい、溶接手段または接着手段でそこに
取り付けておく。棒状のスペーサ25については、複数
本(例:4本)のものを用意する。棒状の各スペーサ2
5は内管21の外周面に対し、それぞれを内管21の長
さ方向に沿う姿勢にして周方向に等間隔であてがい、上
記と同様の手段でそこに取り付けておく。複数個(4
個)の誘導放射部材26は図2のように、各棒状スペー
サ25の間であってリング状スペーサ24の下面と内管
21の外周面とがなす角部にそれぞれあてがい、上記と
同様の手段でそこに取り付けておく。吸音材27も図2
のように、内管21の上部外周面や集音スロート23の
外周面を覆うようにそこに被せておく。
【0030】二種のスペーサ24・25・誘導放射部材
26・吸音材27などを具備した内管21は、外管11
の後端開口または先端開口からその内部に挿入する。こ
の場合、誘導放射部材26が外管11の放射孔12を向
くように内管21の挿入状態を調整する。外管11内に
挿入された内管21は一例として、これに取り付けられ
た両スペーサ24・25を外管11に接着することで固
定するが、外管11の管壁を貫通して両スペーサ24・
25にねじ込まれたビスで固定したり、接着とビス止め
との併用で固定したりすることもある。こうして外管1
1内に保持された内管21は、これの取り付けが強固で
あるため、スピーカ音圧などで不要な振動を起こしたり
はしない。なお、リング状スペーサ24のみで外管11
内での内管21の安定性が得られる場合は、棒状スペー
サ25を省略してよい。各棒状スペーサ25を省略する
ときの誘導放射部材26としては、リング状をしたもの
一つを用いる。
【0031】図1〜図2を参照して、誘導盤31は外管
11の後端開口を閉鎖するためその後端部に取り付け
る。一例として雄ネジが外管11の後端部外周面に形成
され、雌ネジが誘導盤31の接続部33の内周面に形成
されている場合は、これらをねじ込むことで誘導盤31
を外管11の後端部に取り付ける。
【0032】図2で明らかなように、スピーカ41には
取付具51を取り付ける。具体的にはスピーカ41を取
付具51内に嵌め込むような状態で、取付具51のリン
グ部材52をスピーカ41の裏面外周部にあてがい、そ
れらの部分を接着したりビス止めしたりする。こうした
後は、外管11の先端側にあるフランジ14と取付具5
1のリング部材52とを重ね合わせ、これらをビス止め
することでスピーカ41を外管11の先端部に装着す
る。
【0033】前面カバー61については、その内部の板
状多孔部材63に適当数の反射板71を取り付ける。図
2を参照して具体的にいうと、角度調整具72が反射板
71に付帯していたり止具73が角度調整具72に設け
られていたりするから、たとえば一つまたは二つ以上の
板状多孔部材63に止具73を差し込み、これを締着し
て任意数の反射板71を前面カバー61内の所要位置に
取り付ける。前面カバー61内に取り付けられた反射板
71は、角度調整具72を曲げることで傾きを与えるこ
とができる。したがって反射板71による音の反射方向
(反射角度)を調整するため、そのようにする。反射板
71を取り付けた後の前面カバー61も図2のごとく外
管11の先端部側に取り付ける。具体的には、取付具5
1のリング部材53と前面カバー61の後端部とを圧入
方式で嵌め合わせ、この圧入による摩擦力で前面カバー
61をリング部材53に保持する。さらに前面カバー6
1を覆うように、他の前面カバー64をその上から被せ
る。
【0034】スピーカのエンクロージャ構造体は、これ
までの組立作業でほとんどの組み立てを終えてしまう。
あとは図1〜図2のごとく、当該構造体に台座81を取
り付けるだけである。その際は当該構造体を台座81上
に置き、ビス止めやその他の手段で誘導盤31を台座8
1に固定する。
【0035】上記のようにして組み立てられたスピーカ
のエンクロージャ構造体すなわち図1・図2の構造体は
外管11と内管21とが同心状に保持されており、しか
も図2で明らかな空気室91・中心音道92・反転音道
93・折り返し音道94を内部に有している。これらの
うちで空気室91は、外管11の先端部内において、ス
ピーカ41背面と内管21先端部との間に残存している
ものである。したがって空気室91はスピーカ41の背
面にある。中心音道92は空気室91に後続するもので
あって内管21内にある。反転音道93は、外管11の
後端部の内側であって誘導盤31内面と内管21後端部
との間にある。折り返し音道94は、互いに重なり合っ
た外管11と内管21との内外周面間に残存している。
これらの音道92〜94を有する部分については、空気
室91に後続した位相遅延用のダクト95ということが
できる。外管11内における空気室91やダクト95の
各音道92〜94は、また、空気室91→中心音道92
→反転音道93→折り返し音道94の順に連続した一連
の伝搬経路(スピーカ背面音の伝搬経路)を形成してお
り、そのうちの折り返し音道94が放射孔12を介して
外部と通じている。したがって図2で代表するところの
実施形態では、空気室91に後続するダクト95が一連
の屈曲した音道を有しているのである。
【0036】上記の実施形態でダクト95はスピーカ4
1に対してつぎの関係を有する。すなわち図2において
スピーカ41の外径(直径)をD、集音スロート23の
最大内径(直径)をd、中心音道92の口径(直径)
とし、スピーカ41の駆動有効面積をS、スロート
23の最大断面積をs、中心音道92の断面積をs
とした場合、S、s、sはそれぞれ下記の(1)(2)
(3)式で求まる。 S=πD/4……(1) s=πd /4……(2) s=πd /4……(3) 自明のとおりD>dかつD>dであるから、S>s
かつS>sという関係が成立する。一方、折り返し
音道94と中心音道92の相対関係では、折り返し音道
94の断面積が中心音道92の断面積よりも大きいもの
の、スピーカ駆動有効面積Sに対しては折り返し音道9
4の断面積が小さい。ゆえに位相遅延用ダクト95の各
空間の断面積(各音道の断面積)は、スピーカ駆動有効
面積Sよりも小さいこととなる。
【0037】なお、集音スロート23は、ダクト95の
構成部材ではないが、ダクト95と直接関連している。
本発明で単にダクト95というときは、集音スロート2
3を含まない。
【0038】本発明に係るスピーカのエンクロージャ構
造体が図1〜図6の実施形態からなるときはこれを室内
その他適当なところに立ててスピーカ41の再生音を聴
取する。すなわちスピーカ41の前面音とその背面音と
の合成音を聴取者が聴取するのである。これらの前面音
や背面音はつぎのとおりである。
【0039】スピーカ41の前面音について、一部の前
面音は前面カバー61内で反射板71と衝突することな
く直進するが、他の一部の前面音は反射板71と衝突し
て所定の方向に反射する。そして直進音・反射音とも、
前面カバー61・64を通過して外部へと伝搬していく
から、これが聴取者によって聴取される。
【0040】スピーカ41の背面音は空気室91からダ
クト95側へ後進し、ダクト95においては中心音道9
2→反転音道93→折り返し音道94のように進行して
放射孔12より外部へ伝搬していくから、これと上記前
面音との合成音が聴取者によって聴取される。しかも背
面音は、前述したように空気室91で低音化され、内管
21や外管11の各位相調整孔22・13でそれぞれ位
相調整されるものであるため、特定周波数の強調が生じ
ない。したがってスピーカ背面音については、位相の揃
った低音ないし位相遅れ(位相ずれ)のわずかな低音を
聴取者が聴取することとなる。このような位相調整低音
は、また、外管11の後端部でなく、それよりもスピー
カ41側に接近した放射孔12から放出されるので、前
面音と背面音との合成音は定位感のよいものになる。こ
れら以外でも、折り返し音道94の断面積が中心音道9
2の断面積よりも大きいから、折り返し音道94での音
の通過抵抗が小さいものとなる。このような場合は背面
音の外部放射が円滑に行われることとなり、背面音の音
圧がスピーカ41に与える影響も少ない。しかし実体形
態いかんでは、中心音道92の断面積が折り返し音道9
4の断面積よりも大きい場合とか、両音道92・94の
断面積が互いに等しい場合とか、各音道92〜94の断
面積が互いに等しい場合とかもある。
【0041】さらにいうと、スピーカ背面音を位相遅延
させて放射する点で音響迷路方式との共通性もあるが、
複数の管を内外に重ねるものであるから大きい空気室9
1を確保しながらも断面空間の小さいダクト95が簡単
に作製できる。全体的な特性上からはスピーカ背面音を
補完のために活用しながらスピーカ41の特性も十分に
活かすことができる。外管11と内管21は、また、相
互に固定されて安定している。この場合、管に剛性があ
りさえすればスピーカ音圧による管壁の望ましくない振
動は抑制される。
【0042】上述した実施形態のエンクロージャ構造体
は、スピーカ41を上にした縦型のものである。このタ
イプのものでは、多チャンネル再生に適したラジアル
(放射状)効果のある臨場感が表現できる。もちろん当
該構造体は、各種サブスピーカのほかメインスピーカと
しても用いることもできる。この実施形態の逆のタイプ
として上下反転させスピーカ41を下にした縦型もあ
る。このほか当該構造体を横型(水平型)にしたり傾斜
型にしたりする態様もある。台座81は、スピーカ41
を上にした縦型の場合に用いられることが多いが、この
ような縦型でも台座81が省略されることがある。横型
や傾斜型では、ほとんどのケースで図示例の台座81が
省略されたり別の台座が用いられたりする。
【0043】図7の実施形態でスピーカのエンクロージ
ャ構造体は、外管11と二つの内管21a・21bとを
主体にして構成されている。以下この実施形態について
説明する。
【0044】図7を参照して、複数の位相調整孔13を
管壁に有する外管11は、これの後端開口が誘導盤31
で閉塞されている。
【0045】図7の内管21aの先端部側には集音スロ
ート23が取り付けられている。図7の内管21bの先
端部外周にはフランジ14が一体に設けられており、フ
ランジ14の背面と内管21bの先端外周面とがなす角
部には環状の誘導放射部材26が取り付けられている。
このほかにも、複数の棒状スペーサ25が内管21bの
外周面に周方向に等間隔で取り付けられたり、取付具5
1がフランジ14の前面に取り付けられたりする。二つ
の内管21a・21bは、これらの後端部を揃えた同心
状の嵌め合い状態で、しかも当該両管の内外周面間にリ
ング状スペーサ24を介在させた状態で相互に固定され
ている。さらにスペーサ24の外側面には、凸形の膨ら
みをもつリング状の誘導部材28が取り付けられてい
る。かくて二重管構造をした内管21a・21bは、後
述する空気室91のほかに空気溜部91aも有するもの
となる。この空気溜部91a内には吸音材27が装填さ
れている。
【0046】図7において二重管構造の内管21a・2
1bは、フランジ14等のある先端部側を除き、外管1
1内に挿入される。このとき内管21bの外周面にある
各棒状スペーサ25が外管11の内周面に接するので、
両管11・21b間には折り返し音道94用の空隙が確
保される。加えて、外管11先端面とフランジ14背面
との間にも環状の空隙が生じる。ここの空隙は、前述し
た放射孔(放射口)12となる。この組み合わせで外管
11と内管21bが既述の手段で相互に固定されるか
ら、これら三つの管11・21a・21bは多重管構造
に仕上がる。
【0047】図7においてスピーカ41は内管21bの
先端側にある取付具51に組み付けられている。スピー
カ41の前面には、取付具51を利用してそこに格子状
のカバー65が取り付けられる。
【0048】図7の反射片71も前例と同様、これの向
きを調整するための角度調整具72を有する。このよう
な反射片71は複数のものがそれぞれの角度調整具72
でカバー65の格子に取り付けられる。したがって図7
の各反射片71は、既述のものと同様に向きを調整する
ことができる。
【0049】図7のように組み立てられたスピーカのエ
ンクロージャ構造体も各管11・21a・21bが同心
状に保持されており、しかも空気室91・中心音道92
・反転音道93・折り返し音道94が内部にある。これ
らのうちでスピーカ背面の空気室91は、内管21b内
の前半部空間を占有しているだけでなく、内管21a内
周面と内管21b外周面との間に生じた空気溜部91a
をも有している。内管21の内部空間であるところの中
心音道92は空気室91に後続している。反転音道93
は、外管11の後端部内側であって凸形誘導部材28外
面と誘導盤31内面との間にある。折り返し音道94
は、互いに重なり合った外管11と内管21bとの内外
周面間に残存している。これらの音道92〜94を有す
る部分についても空気室91に後続した位相遅延用のダ
クト95ということができる。内管21b内の空気室9
1やダクト95の各音道92〜94は、また、空気室9
1→中心音道92→反転音道93→折り返し音道94の
順に連続した一連の伝搬経路(スピーカ背面音の伝搬経
路)を形成しており、そのうちの折り返し音道94が放
射孔12を介して外部と通じている。したがって図7の
実施形態でも、空気室91に後続するダクト95が一連
の屈曲した音道を有しているのである。
【0050】図7の実施形態で説明を省略した技術的事
項は、図1〜図6を参照して説明したところの技術的事
項と実質的に同じかそれに準ずる。もちろん両実施形態
では、互換性の範囲内において一方の技術を他方の技術
に適用することもできる。その具体的一例として、図2
の前面カバー61・64が図7のスピーカ41の前面に
施されたりする。
【0051】本発明に係るスピーカのエンクロージャ構
造体が図7の実施形態からなるときも前例とほぼ同様、
スピーカ41の前面音とその背面音との合成音を聴取者
が聴取する。スピーカ前面音についていえば、一部の前
面音が直進したり他の一部の前面音が反射板71で反射
したりしながら伝搬していく。一方でスピーカ背面音
は、空気室91からダクト95側へ後進したときに、中
心音道92→反転音道93→折り返し音道94のように
進行して放射孔12より外部へ伝搬していく。したがっ
て聴取者は、こうした前面音と背面音との合成音を聴取
することとなる。
【0052】図7の実施形態のものは前例と比べて空気
室91が大きく、放射孔(放射口)12も前例と比べて
スピーカ41側へさらに接近している。このような場合
は、空気室91が大きいことでスピーカ背面音の低音化
効率がよくなり、また、放射孔12がスピーカ41に近
接していることから前面音と背面音との合成も円滑に行
え、合成音の定位感がよいものとなる。
【0053】図8の実施形態でスピーカのエンクロージ
ャ構造体は、箱体111と仕切部材121とを主体にし
て構成されている。以下この実施形態について説明す
る。
【0054】図8において、中空構造からなる箱体11
1の前壁には、その上部側にスピーカ用の装着口112
が形成されていたりその直下に放射孔12が形成されて
いたりする。箱体111は直方体または立方体のような
箱形をしているが、内部空間を有するものであればこれ
ら以外の中空構造も採用できる。このような箱体111
についてはキャビネットということもできる。箱体11
1の構成材料も既述のものから選定されるが、代表的な
ものは木製・合成樹脂製・金属製などである。箱体11
1の適当な壁面に内張材や外張材が張り付けられること
もある。
【0055】図8でスピーカ41は、箱体111の前壁
に形成された装着口112に装着されている。
【0056】図8に例示された仕切部材121は板状
(パネル状)のものである。これも前記任意材料のうち
から木製・合成樹脂製・金属製のものなどが選定された
りする。仕切部材121はダクト95を構成するため、
複数のものが箱体111の前壁内面下部・後壁内面下部
・底壁内面などに沿って配置固定されるというものであ
る。具体的には図8のごとく、複数(多数)の仕切部材
121が相互に組み付けられたり箱体111の内面に取
り付けられたりしてダクト95が構成される。こうして
構成されたダクト95は、一連となった入口音道96・
中間音道97・出口音道98を有する。これらのうち
で、縦方向の入口音道96は仕切部材121と箱体11
1の後壁で形成されており、その仕切部材23の入口端
には傾斜した集音スロート23が設けられている。横方
向の中間音道97は複数の仕切部材121と箱体111
の底壁で形成されており屈曲している。縦方向の出口音
道98は仕切部材121と箱体111の前壁で形成され
ており、入口音道98の終端部が放射孔12に通じてい
る。そのほか各音道96〜98の角部にはそれぞれ誘導
放射部材26が取り付けられている。
【0057】図8の箱体111内についてはダクト95
を除いた部分が空気室91である。この空気室91には
空気溜部91aもある。空気室91の後部や空気溜部9
1aの底部にはそれぞれ吸音材27が配置され、該各吸
音材27がその場の壁面に固定されている。したがっ
て、かかる実施形態(図8)のエンクロージャ構造体は
空気室91とダクト95を箱体111の内部に備えてい
る。さらに空気室91・ダクト95・放射孔12の関係
についていうと、空気室91とダクト95は互いに通じ
ており、ダクト95は放射孔12を介して外部と通じて
いる。そのほか図8のダクト95は、箱体111の後壁
を開けられた位相調整孔13も有している。
【0058】図8の実施形態で説明を省略した技術的事
項は、前例(先に述べた二つの実施形態)で説明したと
ころの技術的事項と実質的に同じかそれに準ずる。図8
の実施形態でも互換性の範囲内で前例の技術を採用する
ことができる。したがって図8の実施形態においては、
箱体111の壁や仕切部材121を開口するという態様
で各音道96〜98に位相調整孔13が設けられたり、
またスピーカ41の前面に前面カバーが設けられたりす
ることもある。
【0059】本発明に係るスピーカのエンクロージャ構
造体が図8の実施形態からなるときも前例とほぼ同様、
スピーカ41の前面音とその背面音との合成音を聴取者
が聴取する。スピーカ前面音についていえば、これが前
方へ放射しながら伝搬していく。一方でスピーカ背面音
は、空気室91からダクト95側へ後進したときに、入
口音道96→中間音道97→出口音道98のように進行
して放射孔12より外部へ伝搬していく。したがって聴
取者は、こうした前面音と背面音との合成音を聴取する
こととなる。
【0060】図8の実施形態のものも空気室91が大き
く、放射孔12もスピーカ41の直下にあるから、スピ
ーカ背面音の低音化効率がよく、前面音と背面音の合成
にも無理がない。
【0061】本発明のものにおいては、位相遅延用ダク
ト95の断面積すなわち集音スロート23を除く一連の
通路の断面積(長さ方向の軸線と直交する空間断面積)
が、「ほぼ一定」という実施態様もある。これはダクト
95の一端から他端までの間のいずれの箇所を切断して
も、通路の空間断面積がほぼ等しいというものである。
ここで「ほぼ一定」とは、一定の断面積をDsとした場
合、ダクト用通路の空間断面積が(Ds)±(Ds×
0.1)の範囲内にあることを意味する。これまでに述
べた実施態様のうちで図2に示されたものや図8に示さ
れたものが、概ね、このような条件を満足させる。図7
に示されたものも、中心音道92・反転音道93・折り
返し音道94の空間の大きさを適宜設定することで、こ
のような条件をを満足させることができる。
【0062】
【発明の効果】本発明に係るスピーカのエンクロージャ
構造体はつぎのような効果を有する。
【0063】スピーカ背面音は、エンクロージャ構造体
のダクトを通過する過程で低音化されたり位相遅延され
たり位相調整されたりするから、くせのない質感のよい
低音となって外部に出る。しかも特定周波数の強調が生
ぜず、望む低音を前面音と合成しながら聴取することが
できる。また、ダクト後端部よりもスピーカ側に接近し
た放射孔から放出される低音が前面音と合成したとき、
その合成音の定位感がよいものとなる。
【0064】背面音のための位相遅延用ダクトは長いも
のであるが、それが屈曲したものであるためエンクロー
ジャ構造体が長大化せず、断面空間の小さい音道も簡単
に作製することができ、総じて小型でコンパクトなもの
になる。とくに外管や内管でダクトを構成する場合は、
それらの管がエンクロージャの主体でありながらも位相
調整管を兼ねるので、部品数の増加を抑制して構成の経
済性をはかることができる。また、複数の管や仕切壁な
どいずれの手段でダクトを構成する場合でも、それらの
部材に剛性がありさえすれば、スピーカ音圧による管壁
の望ましくない振動は抑制される。
【0065】特性の異なるスピーカを用いる場合でも再
生目的の周波数に応じた位相調整孔の設定(位置・数・
直径など)で一定の特性を確保することができる。これ
はスピーカ種が異なる場合でも、基本設計をほとんど変
える必要がないということである。別の観点からは設計
の自由度が確保できるということや部品のバラツキや誤
差よる影響も位相調整孔によって解消できるということ
であり、各部品の精度やそれに基づく構造体の精度も緩
和される。
【0066】全体的な特性上からはスピーカ背面音を補
完のために活用しながらスピーカの特性も十分に活かす
ことができる。また、ダクトの前段に低音化のための空
気室がある点で迷路方式を上回る特性が得られる。
【0067】バスレフ方式の場合はスピーカ特性に応じ
てパイプダクトの直径や長さを複雑な計算で求めなけれ
ばならず、エンクロージャの大きさも変動する。これに
対して、位相調整孔で所定のダクト特性が得られるもの
は、ダクト構成が自由になり面倒な計算も要しない。一
連の各音道を形成するためのダクトの径や長さも最適値
のほぼ1/2でよい。
【0068】前面カバー内に反射片のあるものは、再生
目的・設置位置・設置場所の音響特性・聴取者の好みな
どに応じて再生音の伝搬方向や伝搬範囲が容易に設定で
き、メインやサブなど複数のスピーカも簡単に調和がと
れる。こうして再生されるスピーカ音は、直接音のみで
ないため音質がソフトである。これをサラウンド再生に
用いるときは、音の拡散範囲を調整することで比較的自
由な聴取位置を確保することができる。一方、インテリ
ア上の制約から、このエンクロージャ構造体のみでDV
D等の再生システムを構成する場合でも、反射片の調整
によってメインスピーカ(前面ステレオスピーカ)とし
て機能させることが可能になる。
【0069】長い一連の音道を内部に有するものである
が、その音道の長さに比べ全体が小さいものであるか
ら、室内その他の空間内に配置したとき圧迫感が少な
い。また、インテリア上からは室内調度品としての機能
も発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明構造体の第1実施形態を示した正面図で
ある。
【図2】本発明構造体の第1実施形態を示した要部拡大
縦断面図である。
【図3】本発明構造体の第1実施形態を一部分解斜視図
である。
【図4】図1のIV−IVに沿う断面図である。
【図5】図1のV−Vに沿う断面図である。
【図6】本発明構造体における反射片の一例を示した斜
視図である。
【図7】本発明構造体の第2実施形態を示した断面図で
ある。
【図8】本発明構造体の第3実施形態を示した断面図で
ある。
【符号の説明】
11 外管 12 放射孔 13 位相調整孔 14 フランジ 21 内管 21a 内管 21b 内管 22 位相調整孔 23 集音スロート 24 リング形スペーサ 25 棒状スペーサ 26 誘導放射部材 27 吸音材 28 誘導部材 31 誘導盤 32 誘導面 33 接続部 34 座部 41 スピーカ 51 取付具 52 リング部材 53 リング部材 61 前面カバー 62 筒状多孔部材 63 板状多孔部材 64 前面カバー 71 反射片 72 角度調整具 73 止具 81 台座 91 空気室 91a 空気溜部 92 中心音道 93 反転音道 94 折り返し音道 95 位相遅延用のダクト 96 入口音道 97 中間音道 98 出口音道 111 箱体 112 装着口 121 仕切部材 D スピーカの外径(直径) d 集音スロートの最大内径(直径) d 中心音道の口径(直径)

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】スピーカ前面音の中高音域の再生が可能で
    スピーカ背面音の中高音域を抑制ないし吸収することの
    できる容積をもつ空気室がスピーカの背面側に設けられ
    ていること、および、スピーカの駆動有効面積よりも小
    さい断面積を有する位相遅延用のダクトが空気室に後続
    して設けられていること、および、スピーカ背面音を外
    部に放出するための放射孔がダクトの端末側に設けられ
    ていること、および、スピーカ前面音とスピーカ背面音
    とを合成して音を再生するものであることを特徴とする
    スピーカのエンクロージャ構造体。
  2. 【請求項2】スピーカの背面側に位置する空気室とこれ
    に後続するダクトとが内外に嵌め合わされた複数の管で
    構成されている請求項1記載のスピーカのエンクロージ
    ャ構造体。
  3. 【請求項3】スピーカの背面側に位置する空気室とこれ
    に後続するダクトとが箱の内部に設けられているととも
    に、箱内の一部を仕切る仕切部材によってダクトが形成
    されている請求項1記載のスピーカのエンクロージャ構
    造体。
  4. 【請求項4】位相調整孔がダクトに設けられている請求
    項1〜3いずれかに記載のスピーカのエンクロージャ構
    造体。
  5. 【請求項5】ダクトが屈曲した音道を有するものからな
    る請求項1〜4いずれかに記載のスピーカのエンクロー
    ジャ構造体。
  6. 【請求項6】ダクトの断面積がほぼ一定である請求項1
    〜5いずれかに記載のスピーカのエンクロージャ構造
    体。
  7. 【請求項7】多孔構造の前面カバーがスピーカに設けら
    れている請求項1〜5いずれかに記載のスピーカのエン
    クロージャ構造体。
  8. 【請求項8】前面カバーが中空形状のものからなり、音
    の反射片が角度調整具を介して前面カバーの内部に取り
    付けられている請求項7記載のスピーカのエンクロージ
    ャ構造体。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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