JP2003161606A - 膜厚測定方法、膜厚測定装置、およびプログラム - Google Patents

膜厚測定方法、膜厚測定装置、およびプログラム

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JP2003161606A
JP2003161606A JP2001363375A JP2001363375A JP2003161606A JP 2003161606 A JP2003161606 A JP 2003161606A JP 2001363375 A JP2001363375 A JP 2001363375A JP 2001363375 A JP2001363375 A JP 2001363375A JP 2003161606 A JP2003161606 A JP 2003161606A
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light
film
film thickness
interface
slit
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JP2001363375A
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Shigeji Katsuo
茂治 勝尾
Shigeki Kudo
重樹 工藤
Kazuyuki Mito
和行 水戸
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Mitsubishi Chemical Corp
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 移動しているフィルムにおける膜の厚さを精
度良く測定する。 【解決手段】 所定の速度で移動するフィルム上の膜に
対して所定角度で光を照射する光源21と、この光源2
1から照射される光をフィルムの移動方向に略直交する
方向のスリット光に変換するスリット22と、このスリ
ット22により変換されたスリット光が膜の備える2つ
の界面により反射されて形成される反射光に対して略直
交する方向に設けられるラインセンサ26とを備え、フ
ィルムと対物レンズ24との距離のずれを膜厚算出部3
2によって補正して正確な膜厚を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シート材の厚さ測
定方法等に係り、より詳しくは、移動している透明体の
厚さの測定方法等に関する。
【0002】
【従来の技術】複写機やレーザプリンタ等における画像
を紙に転写する部分には、例えばアモルファスセレン
(α―Se)やアモルファスシリコン(α―Si)等の無機
感光体ドラムが広く用いられている。その一方で、この
無機感光体ドラムに代わるものとして、有機感光体(O
PC)の発展が著しい。この有機感光体では、ドラム
状、シート状の両者があり、シート状の場合には、PE
Tフィルムの基材にアルミニウムを蒸着したフィルム
(シート材)に、透明体である電荷生成層(CGL)、電荷
輸送層(CTL)等、何層かの薄膜が形成されている。
【0003】例えばこのフィルム状の有機感光体の製造
では、数千メートルという長さのPETフィルムに対し
て、10数μm(例えば15μm)の有機層の膜を連続し
て形成する必要がある。例えば有機感光体では、この有
機層の厚さが不均一であると、電荷の発生が均一になら
ず、例えばレーザプリンタに適用した場合に、出力され
るプリントに対してムラやスジが出てしまう。特に近
年、プリント出力に対する高精細、高画質化が進み、有
機層の厚さの管理が非常に重要となり、少なくとも±1
μm程度のスペックが要求されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ここで、従来の感光体
ドラムの測定では、形成される膜厚に対して1本、1
本、ハンドリングを行って測定し、この測定に基づいて
必要とされる膜厚の製品を製造することができる。しか
し、フィルム材からなる有機感光体のように、数千メー
トルという長さからなるフィルムの全長に亘って、上述
のスペックを保証することは簡単ではない。例えば10
00mの膜を形成後にフィルムを切断して1つの有機感
光体を製造する場合に、この製造後に測定して不具合が
発見されたとしても、その不具合に対する回復は困難で
ある。
【0005】そこで、フィルムに膜を形成する作業の途
中で、好ましくは、膜の形成直後に、しかもフィルムの
全長に亘って、フィルムに膜が正しく形成されたか否か
を測定することが要求される。しかしながら、例えば1
0m/分のワークスピードにて移動して巻き取られるフ
ィルムに対して、その移動中に10数ミクロンからなる
膜の厚さを測定することは、従来の技術では難しい。
【0006】例えば、特開昭60−210705号公報
では、走行するシート材の厚さ測定に際して、被測定物
であるシート材を挟んで光源と顕微鏡とを配置し、この
光源によりシート材の裏面斜め方向から光を照射し、こ
の顕微鏡で測定されるピンボケ以外の鮮明な像部分がシ
ート材の厚さに関わる部分として、シート材の厚さを求
める技術について開示されている。しかしながら、かか
る公報記載の技術のように二次元の像を読み取って厚さ
を得ることは、信号処理が複雑化する点で好ましくな
い。また、走行するシート材は、測定する顕微鏡との距
離を一定に保つことができず、全ての測定に際してピン
ボケな像と鮮明な像とを選別して厚さを測定することに
は困難が伴う。更に、有機感光体の製造のように、高速
に移動するフィルムに対する高い精度の測定に際して十
分に機能するとは言い得ない。
【0007】本発明は、以上のような技術的課題を解決
するためになされたものであって、その目的とするとこ
ろは、移動しているフィルムにおける透明体の層の厚さ
を精度良く測定することにある。また他の目的は、レン
ズと被測定物との距離のずれを許容した測定方法を提供
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】かかる目的のもと、本発
明が適用される膜厚測定方法は、第1の界面および第2
の界面を有する膜に対してスリット光を照射し、このス
リット光によって得られる第1の界面からの第1の反射
光およびスリット光によって得られる第2の界面からの
第2の反射光を検出し、この第1の反射光および第2の
反射光によって得られる相対距離を算出し、算出された
相対距離から膜の厚さを測定することを特徴としてい
る。
【0009】ここで、この第1の反射光における位置の
ずれに基づき相対距離の値を補正して膜の厚さを測定す
ることを特徴とすれば、被測定物である膜と反射光を検
出する光学系との距離がずれた場合であっても、ほぼ正
確な膜の厚さを測定することができる点で好ましい。
【0010】また、本発明が適用される膜厚測定方法
は、透明体の膜が備える第1の界面により得られた第1
の光およびこの膜が備える第2の界面によって得られた
第2の光に関する情報を入力し、第1の光の位置および
第2の光の位置を算出し、算出された第1の光の位置と
第2の光の位置との相対位置差を算出し、この第1の光
の位置が存在する位置に基づいて相対位置差を補正する
ことを特徴としている。更に、補正された相対位置差に
基づいて透明体の膜厚を算出することを特徴としてい
る。ここで、「透明体」とは、完全に透明である必要は
なく、光がある程度まで判別できる程度であれば問題は
ない。尚、第1の光の位置は第1の光における第1のピ
ーク位置とし、第2の光の位置は第2の光における第2
のピーク位置とし、相対位置差はピーク位置差と置き換
えることができる。このピーク位置とは、必ずしも完全
なピーク位置だけに限定されず、所定の幅を有するもの
であり、また、所定の臨界等を含むものである。以下の
発明でも同様に置き換えることが可能である。
【0011】一方、本発明が適用される膜厚測定装置
は、透明体の膜を備えて所定の速度で移動するフィルム
に対し、所定の入射角でスリット光を照射する照射手段
と、この照射手段により照射されたスリット光に対して
膜における2つの界面からの反射光を検出する検出手段
と、この検出手段により検出された反射光の位置に基づ
いて膜の厚さを算出する膜厚算出手段と、実測値より得
られた第1の反射光の位置ずれに伴う相対位置の補正に
関する情報を予め格納する格納手段と、照射手段により
スリット光が照射される位置においてフィルムを位置決
めする位置決め手段とを備えたことを特徴としている。
【0012】また、本発明が適用される膜厚測定装置
は、所定の速度で移動する透明体の膜に対して所定角度
で光を照射する光源と、この光源から照射される光を膜
の移動方向に略平行な方向のスリット光に変換するスリ
ットと、このスリットにより変換されたスリット光が膜
の備える2つの界面により反射されて形成される反射光
に対して略直交する方向に設けられるラインセンサとを
備えたことを特徴としている。
【0013】他の観点から捉えると、本発明が適用され
る膜厚測定装置は、所定の速度で移動する透明体が備え
る第1の界面により得られた第1の光およびこの透明体
が備える第2の界面によって得られた第2の光に関する
情報を入力する入力手段と、この第1の光の位置および
前記第2の光の位置を算出する光位置算出手段と、この
第1の光の位置と第2の光の位置との相対位置差を算出
する相対位置差算出手段と、第1の光の位置に基づいて
相対位置差を補正する補正手段と、この補正手段により
補正された相対位置差に基づいて、第1の界面および第
2の界面との間隔である透明体の厚さを算出する厚さ算
出手段と、第1の光の位置が存在する位置に基づいて相
対位置差を補正するための補正情報を予め格納する格納
手段とを備えたことを特徴している。
【0014】また、本発明は、コンピュータに、所定の
機能を実現させるプログラムとして把握することができ
る。この所定の機能とは、透明体の膜が備える第1の界
面により得られた第1の光およびこの膜が備える第2の
界面によって得られた第2の光に関する情報を入力する
機能と、第1の光の位置および第2の光の位置を算出す
る機能と、算出された第1の光の位置と第2の光の位置
との相対位置差を算出する機能と、第1の光の位置に基
づいて相対位置差を補正する機能と、補正された相対位
置差に基づいて透明体の膜における厚さを出力する機能
である。このプログラムの提供方法としては、コンピュ
ータに実行させるプログラムをこのコンピュータが読取
可能に記憶した記憶媒体にて提供する形態が考えられ
る。この記憶媒体としては、例えばCD−ROM媒体等
が該当し、コンピュータにおけるCD−ROM読取装置
によってプログラムが読み取られ、例えば、測定計算を
行うコンピュータにおけるハードディスクにこのプログ
ラムが格納され、実行される形態が考えられる。また、
これらのプログラムは、例えば、プログラム伝送装置に
よってネットワークを介して測定計算のためのコンピュ
ータ装置に提供される形態が考えられる。このプログラ
ム伝送装置としては、プログラムを格納するメモリと、
ネットワークを介してプログラムを提供するプログラム
伝送手段とを備えていれば足りる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に示す実施の形態
に基づいて本発明を詳細に説明する。図1は、本実施の
形態が適用される膜厚測定装置の全体構成を示した図で
ある。図1に示す膜厚測定装置は、光学系とラインセン
サとを組み合わせてユニット化される検出機器20と、
検出機器20により検出されたデータを処理して透明体
(透明部分)からなる膜厚の値を出力する信号処理装置3
0とを備えている。ここで、この膜厚測定装置にて測定
可能な透明体は、完全な透明だけではなく、半透明を含
み、また、ある程度光が判別できる程度に透明なもので
あっても測定することが可能である。この透明体は、例
えば長さ1000m程度に巻かれたフィルムに対して、
例えば10m/分のワークスピードにて塗布される。本
実施の形態では、インラインの状態(工場のライン上で
移動している状態)にて、フィルムにおける透明体の厚
さ(膜厚)を測定している。
【0016】検出機器20は、例えばハロゲンランプ等
の充分な光量が得られる光源からなる単眼あるいは複眼
の光源21、この光源21から得られた光に対してスリ
ット光を生成するスリット22、スリット22から得ら
れた光を更に絞るための投光用対物レンズ23を備え、
被測定物であるフィルムの透明部分に対して約45°の
傾斜角度から光を照射している。このとき、スリット光
は、フィルムの移動方向に対して略平行な方向に照射さ
れる(但し、図1では作図上の問題から略平行には描か
れていない)。一方、受光側としては、フィルムに反射
した光を集光する対物レンズ24、所定の倍率によって
実視野を拡大させる結像レンズ群25、結像された光を
測定するラインセンサ26を備えている。このラインセ
ンサ26は、例えば7μm幅のディテクタ素子を備え、
結像レンズ群25の接眼レンズから得られる画像部分を
所定のライン位置にて読み取っている。
【0017】一方、信号処理装置30は、ラインセンサ
26により読み取られた信号を入力する信号入力部3
1、この信号入力部31からの信号を処理して膜厚を算
出する膜厚算出部32、膜厚算出部32によって算出さ
れた結果を出力するディスプレイ等のコンソール33、
膜厚算出部32による膜厚算出に用いられる換算係数等
を格納するメモリ35を備えている。この信号処理装置
30は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)により実
行され、例えば膜厚算出部32は、PCのCPUが実行
するアプリケーションプログラムによって機能させるこ
とが可能である。
【0018】また、搬送しながら測定されるフィルム
は、位置決め手段であるロール15に巻きつけられ、こ
のロール15によって張力をかけられている。測定され
るフィルムは、搬送しながら測定するためにフィルムの
位置が上下し、その結果、レンズ(対物レンズ24)に対
する焦点距離がずれてしまう。そこで本実施の形態で
は、寸法精度を高くして製造されたロール15にフィル
ムを巻きつけ、一定の張力をかけることで、フィルムと
レンズとの距離が所定範囲内となるように構成されてい
る。尚、ロール15の代わりに、棒材等を用いてフィル
ムに張力をかけることも可能である。また、測定される
フィルムは、例えば有機感光体(OPC)に用いられる場
合には、PETフィルムにアルミニウムが蒸着され、そ
の上に有機層として、透明体である例えばポリカーボネ
ート樹脂が10数μm程度の厚さで塗布される。本実施
の形態では、この透明体の厚さがインラインで測定され
る。
【0019】次に、本実施の形態における膜厚検出原理
について説明する。図2(a),(b)は、本実施の形態に
て採用した測定方法の説明を行うための図であり、図2
(a)は測定点近傍の様子を示し、図2(b)は測定方法を
説明するための単層モデルを示している。光源21から
出力されてスリット22および投光用対物レンズ23を
経て形成されるスリット状の入射光は、図2(a)に示す
ようにフィルムに形成される透明体または半透明体であ
る薄膜の界面と例えばアルミニウムが表面に蒸着される
基板の表面とで反射し、光路1および光路2となって、
図1に示した対物レンズ24に入力される。
【0020】今、図2(b)に示すように、光を反射させ
る基板の上に、厚さd、屈折率nの透明体である薄膜が
形成されており、その上部から入射角φで光が入射され
るものとする。光は薄膜と雰囲気の界面で反射し、かつ
屈折の法則に従って薄膜内に入る。薄膜内を進んだ光
は、基板/薄膜界面(第1の界面)で反射し、薄膜/雰囲気
界面(第2の界面)で屈折されて雰囲気内を進む。このと
き、最初に薄膜/雰囲気界面で反射した光(光路1)と基
板/薄膜界面で反射され雰囲気中に出てきた光(光路2)
は平行である。
【0021】この2つの光に垂直な平面状でこの光を捉
えた場合、その距離l(光路1と光路2との距離、ピー
ク位置差)は、薄膜の厚さdに依存して変化する。幾何
学的に考察すると、図2(b)に示す長さpは、屈折角θ
を用いて、
【式1】 で表される。また、距離lと厚さdは、
【式2】 となる。更に、屈折の法則より、
【式3】 なので、結局、膜厚dは、光路1および光路2の2つの
反射光に対して、これらに垂直な面内での距離lを用い
て、
【式4】 と表すことができる。従って、図1に示したラインセン
サ26を用いて距離lを測定すれば、薄膜の厚さ(膜厚)
dを測定することが可能となる。
【0022】図3は、図1に示すラインセンサ26の位
置に、このラインセンサ26の代わりに2次元CCDカ
メラを取り付けて採取した静止画像を示した図である。
この撮影画像では、薄膜/雰囲気界面で反射した光路1
による光のスジと、基板/薄膜界面で反射した光路2に
よる少々ぼやけた光のスジとが観察される。ラインセン
サ26は、この2つの光路(光路1および光路2)に略直
交する方向に配置され、1次元でデータを採取してお
り、所定のワークスピードで搬送されるフィルムから反
射する光(光路1および光路2の光)の出力をリアルタイ
ムでモニタリングしている。
【0023】図4は、ラインセンサ26におけるデータ
取得例を示した図である。ラインセンサ26から得られ
る1次元のデータでは、2つのピークが現れる。その1
つは光路1によるピークであり、他の1つは光路2によ
るピークである。被測定物であるフィルムのワークライ
ンスピードを例えば10m/分とし、例えば、1.5mm
分解能を実現するとすると、10msecのスキャンレ
ート(あるいは処理間隔)が必要となる。その後、図4に
示すような光路1および光路2のピーク位置を検出し、
膜厚計算のためのピーク位置差を求めている。
【0024】1ラインのデータ中における2つのピーク
位置(光路1および光路2の位置)を確定するに際し、本
実施の形態では、2次多項式補間が実行される。この2
次多項式補間では、2つのピーク位置近傍のそれぞれに
対して極大と考えられる点を取り出し、この点の前後2
つの点からなる3点を通る2次曲線を各々のピーク位置
近傍にて計算する。この曲線が極大を取る座標と、その
座標で取る値を計算し、それぞれピーク位置、ピーク輝
度としている。また、それぞれのピーク位置の差である
ピーク位置差は、各々の2次多項式により補間して算出
された2つのピーク位置における引き算の絶対値とする
ことができる。
【0025】その後、予め定められた「膜厚換算係数」
と、前述したピーク基準位置からのずれ量として測定さ
れる「ピーク位置差」とに基づいて、膜厚計算がなされ
る。即ち、膜厚d(μm)は、膜厚換算係数α(μm/ピク
セル)、ピーク位置差をPd(ピクセル)とすると、 d = αPd で計算される。ここで用いられる膜厚換算係数α(μm/
ピクセル)は、実際のワーク中における測定の前に所定
のサンプルの膜厚を測定した際のピクセル数から算出さ
れ、図1に示すメモリ35に格納される。
【0026】以上のようにして、本実施の形態では、透
明体からなる膜を備えたフィルムの厚さを測定するに際
し、光源としてスリット光を用い、厚さを測定する膜の
2界面それぞれからの反射光を画像として検知し、各反
射光の間の相対距離から膜の厚さを求めることが可能で
ある。しかしながら、このとき、画像検知に際して、透
明体からなる膜の表面に焦点を合わせたレンズ(対物レ
ンズ24)と膜との距離が幾分でもずれると、像が不鮮
明になると共に、得られる距離lによって膜厚を正確に
測定することができなくなる。特に、本実施の形態のご
とく、フィルムを搬送しながら測定する場合には、レン
ズと膜との距離を一定に保つことが非常に難しい。図1
に示した2つのロール15によって張力をかけることで
一定範囲に治めることは可能であるが、正確な膜厚を得
るためには十分とは言い得ない。
【0027】図5は、ラインセンサ26における測定に
際してピーク位置がどのようにずれるかを示す図であ
る。縦方向は時間変化を示している。白色は各測定時点
でのピーク位置を示しており、時間軸で変化状態が線で
示されている。レンズと膜との距離が一定であれば、例
えばピーク基準位置に一致した直線が得られる。しかし
ながら、実際には、この図5から理解できるように、補
正をせずに正確な膜厚を測定できるピーク基準位置に対
し、時間によってピーク位置がずれてしまう。これは、
時間に伴う被測定物であるワークの移動によって被測定
物が対物レンズ24に対して上下し、その結果、界面の
反射位置がずれ、図2に示した光路1がピーク基準位置
からずれることによっている。図5に示すピーク基準位
置からずれたときのピーク位置差(光路1と光路2との
距離l)は、理想的な値とは異なっており、このままで
は正確な膜厚として使用することができない。
【0028】そこで、本実施の形態では、膜厚算出部3
2にてレンズと透明体との距離によって得られる補正デ
ータを準備し、測定して得られた検出結果をこの補正デ
ータを用いて補正することで、ほぼ正確な膜厚値を得る
ように構成されている。即ち、本実施の形態では、ワー
ク(被測定物である透明体)と対物レンズ24間の距離に
基づく膜厚補正を行っている。このとき膜厚補正とし
て、比較的クリアな反射光が得られるピーク位置1(薄
膜/雰囲気界面からの反射)に対応する補正係数関数を利
用して補正係数を決定し、決定された補正係数により、
先に算出された膜厚に対して調整された値を観測点での
膜厚としている。
【0029】図6は、実際の作業時における膜厚測定前
に、膜厚補正のためのデータ補正情報を得るための処理
を示したフローチャートである。ここでは、前述した膜
厚換算係数αも決定される。実際の膜厚測定の前に、ま
ず、膜厚が既存である(予め測定されて膜厚が認識され
ている)サンプルを用意し(ステップ101)、静止状態
にて検出機器20による検出箇所に配置する。次に、検
出機器20の光学系に対するワーク(サンプル)の相対高
さを少しずつ変化させ、同一箇所のデータを取得する
(ステップ102)。この変化された相対高さに対応する
ピーク位置1およびピーク位置2を後述する2次多項式
補間等により算出する(ステップ103)。この2つのピ
ーク位置は、図4に示した光路1および光路2によるピ
ーク位置である。この2つのピーク位置(ピーク位置1
およびピーク位置2)のピーク位置差を求める(ステップ
104)。そして、ワークの光学系に対する相対高さと
各測定データのピーク位置1との関係、ワークの光学系
に対する相対高さとピーク位置差(ピーク位置1および
ピーク位置2の差)との関係を決定する(ステップ10
5)。また、ワークの光学系に対する相対高さを仲介と
して、ピーク位置1とピーク位置差との関係を決定する
(ステップ106)。そして、これらの関係を把握して、
得られるピーク位置1とピーク位置差とから実際の膜厚
を得るための補正方法、換算係数を決定する(ステップ
107)。最後に、決定された補正方法に基づくデー
タ、決定された膜厚換算係数αをメモリ35に格納して
(ステップ108)、実際の膜厚測定前の処理が終了す
る。
【0030】図7は、光1のピーク位置(光のピーク位
置1)と計算ピーク位置差との関係を示した図である。
横軸(x軸)は薄膜/雰囲気界面からの反射光1の位置の
値を示し、縦軸(y軸)は得られる光のピーク位置差を示
している。図に示す丸印は、実測値より得られる光1の
位置に対する計算ピーク位置差を示しており、例えばル
ックアップテーブルとしてメモリ35に格納する。ま
た、膜厚が既存であるサンプルの既存膜厚をdkとし、
dkと任意の定数Aから膜厚換算係数αを α=dk/A で計算し、メモリ35に格納する。
【0031】ここで、取得した光の情報から算出された
光1の位置をPc、光のピーク位置差をPdとし、メモ
リ35に格納されたルックアップテーブルから例えば線
形補間によりPcに対応する値ycを算出する。このデ
ータに関する補正係数Ccorrectは、
【式5】 となる。また、補正後の光のピーク位置差Pcorrect
は、
【式6】 で求められる。その結果、対応する膜厚は、
【式7】 で求められる。
【0032】図8は、このようにして、膜厚算出部32
によって実行される実際の膜厚測定の処理を説明するた
めのフローチャートである。膜厚算出部32では、ま
ず、信号入力部31から測定データが取得される(ステ
ップ201)。次に、例えば前述した2次多項式補間に
より、ピーク位置1およびピーク位置2を算出する(ス
テップ202)。更に、ピーク位置1とピーク位置2と
のピーク位置差pdを算出する(ステップ203)。ここ
で、ピーク位置1(pc)に対応する補正を、メモリ35
に格納され予め決定されている補正方法により実行し、
補正係数Ccorrectを求める(ステップ204)。そし
て、ピーク位置1(pc)に対応する補正係数Ccor rect
よびピーク位置差pdから補正後ピーク位置差pcorrect
を算出し、メモリ35に格納されている換算係数αを考
慮して、膜厚を求める(ステップ205)。このようにし
て得られた膜厚は、被測定物である透明体のフィルムが
対物レンズ24から上下した状態を補正して得られたも
のであり、移動中のワークに対して、高い精度で厚さ測
定を可能としている。
【0033】尚、上述の例では、ピーク位置1のずれと
光のピーク位置差との関係をルックアップテーブルとし
てメモリ35に格納し、このルックアップテーブルを用
いて実測されたピーク位置1のずれから光のピーク位置
差を例えば線形補間し、膜厚を算出しているが、例えば
図7に示したピーク位置1と光のピーク位置差との関係
を予め用意した関数で近似し、その関数に関する情報を
メモリ35に格納し、膜厚算出部32では、この関数に
関する情報を用いて実測されたピーク位置1のずれから
光の相対位置差(ピーク位置差)を補正する補正係数を算
出し、膜厚を算出するように構成することも可能であ
る。
【0034】このように、本実施の形態によれば、工場
のライン上で移動しているインラインのフィルムの膜
(透明部分)に対し、光の反射を用いて厚さを測定してい
る。このとき、光源としてスリット光を用い、膜の2界
面それぞれからの反射光を検知し、この相対距離から厚
さを求めている。このスリット光を用いることで、光の
幅を減少させることが可能となり、測定に際して精度を
向上させることが可能となる。また、本実施の形態に示
した測定方法によれば、精度として、例えば0.1μm
程度まで(理論上は0.03μm程度まで)確保すること
が可能である。これにより、例えば、OPCシート等の
高い精度が要求される膜を備えるフィルムに対して、イ
ンラインにて膜厚を測定することが可能となる。
【0035】また、被写界深度の浅いレンズを用いて微
細な膜厚の測定を行う場合に、レンズとフィルムとの距
離がずれると、正確なピーク位置差が測定できなくな
る。しかしながら、本実施の形態によれば、予めレンズ
と被写体であるフィルムとの距離による補正方法(補正
値)を準備し、検出結果をこの補正方法により補正する
ことで、レンズとフィルムとの距離の変動を考慮して膜
厚を測定することができる。その結果、工場における膜
の塗布のためにライン上で移動している最中に、塗布さ
れた膜の膜厚を測定することが可能となる。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
移動しているフィルムにおける膜の厚さを精度良く測定
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施の形態が適用される膜厚測定装置の全
体構成を示した図である。
【図2】 (a),(b)は、本実施の形態にて採用した測
定方法の説明を行うための図である。
【図3】 図1に示すラインセンサの位置に、このライ
ンセンサの代わりに2次元CCDカメラを取り付けて採
取した静止画像を示した図である。
【図4】 ラインセンサにおけるデータ取得例を示した
図である。
【図5】 ラインセンサにおける測定に際してピーク位
置がどのようにずれるかを示す図である。
【図6】 実際の作業時における膜厚測定前に、膜厚補
正のためのデータ補正情報を得るための処理を示したフ
ローチャートである。
【図7】 ピーク位置1と計算ピーク位置差との関係を
示した図である。
【図8】 膜厚算出部によって実行される実際の膜厚測
定の処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
15…ロール、20…検出機器、21…光源、22…ス
リット、23…投光用対物レンズ、24…対物レンズ、
25…結像レンズ群、26…ラインセンサ、30…信号
処理装置、31…信号入力部、32…膜厚算出部、33
…コンソール、35…メモリ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 水戸 和行 神奈川県小田原市成田1060番地 三菱化学 株式会社内 Fターム(参考) 2F065 AA30 BB13 BB15 BB22 BB23 CC02 FF44 GG02 HH05 HH12 JJ02 JJ08 JJ25 LL04 LL28 UU05 UU07

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の界面および第2の界面を有する膜
    に対してスリット光を照射し、 前記スリット光によって得られる前記第1の界面からの
    第1の反射光および当該スリット光によって得られる前
    記第2の界面からの第2の反射光を検出し、 前記第1の反射光および前記第2の反射光によって得ら
    れる相対距離を算出し、 算出された前記相対距離から前記膜の厚さを測定するこ
    とを特徴とする膜厚測定方法。
  2. 【請求項2】 前記第1の反射光における位置のずれに
    基づき前記相対距離の値を補正して前記膜の厚さを測定
    することを特徴とする請求項1記載の膜厚測定方法。
  3. 【請求項3】 透明体の膜が備える第1の界面により得
    られた第1の光および当該膜が備える第2の界面によっ
    て得られた第2の光に関する情報を入力し、 前記第1の光の位置および前記第2の光の位置を算出
    し、 算出された前記第1の光の位置と前記第2の光の位置と
    の相対位置差を算出し、 前記第1の光の位置が存在する位置に基づいて前記相対
    位置差を補正することを特徴とする膜厚測定方法。
  4. 【請求項4】 補正された前記相対位置差に基づいて前
    記透明体の膜厚を算出することを特徴とする請求項3記
    載の膜厚測定方法。
  5. 【請求項5】 透明体の膜を備えて所定の速度で移動す
    るフィルムに対し、所定の入射角でスリット光を照射す
    る照射手段と、 前記照射手段により照射されたスリット光に対して前記
    膜における2つの界面からの反射光を検出する検出手段
    と、 前記検出手段により検出された前記反射光の位置に基づ
    いて前記膜の厚さを算出する膜厚算出手段とを備えたこ
    とを特徴とする膜厚測定装置。
  6. 【請求項6】 前記膜厚算出手段は、前記2つの界面か
    ら反射される第1の反射光および第2の反射光の位置を
    算出し、当該第1の反射光と当該第2の反射光との相対
    位置を補正して前記膜の厚さを算出することを特徴とす
    る請求項5記載の膜厚測定装置。
  7. 【請求項7】 実測値より得られた前記第1の反射光の
    位置ずれに伴う前記相対位置の補正に関する情報を予め
    格納する格納手段を更に備え、 前記膜厚算出手段は、前記格納手段に格納された前記情
    報に基づき前記相対位置を補正して前記膜の厚さを算出
    することを特徴とする請求項5記載の膜厚測定装置。
  8. 【請求項8】 前記照射手段により前記スリット光が照
    射される位置において、前記フィルムを位置決めする位
    置決め手段を更に備えたことを特徴とする請求項5記載
    の膜厚測定装置。
  9. 【請求項9】 所定の速度で移動する透明体の膜に対し
    て所定角度で光を照射する光源と、 前記光源から照射される光を前記膜の移動方向に略平行
    な方向のスリット光に変換するスリットと、 前記スリットにより変換されたスリット光が前記膜の備
    える2つの界面により反射されて形成される反射光に対
    して略直交方向に設けられるラインセンサとを備えたこ
    とを特徴とする膜厚測定装置。
  10. 【請求項10】 所定の速度で移動する透明体が備える
    第1の界面により得られた第1の光および当該透明体が
    備える第2の界面によって得られた第2の光に関する情
    報を入力する入力手段と、 前記第1の光の位置および前記第2の光の位置を算出す
    る光位置算出手段と、 前記第1の光の位置と前記第2の光の位置との相対位置
    差を算出する相対位置差算出手段と、 前記第1の光の位置に基づいて前記相対位置差を補正す
    る補正手段と、 前記補正手段により補正された相対位置差に基づいて、
    前記第1の界面および前記第2の界面との間隔である前
    記透明体の厚さを算出する厚さ算出手段とを備えたこと
    を特徴とする膜厚測定装置。
  11. 【請求項11】 前記第1の光の位置が存在する位置に
    基づいて前記相対位置差を補正するための補正情報を予
    め格納する格納手段とを更に備え、 前記補正手段は、前記格納手段に格納された前記補正情
    報に基づいて前記相対位置差を補正することを特徴とす
    る請求項10記載の膜厚測定装置。
  12. 【請求項12】 コンピュータに、 透明体の膜が備える第1の界面により得られた第1の光
    および当該膜が備える第2の界面によって得られた第2
    の光に関する情報を入力する機能と、 前記第1の光の位置および前記第2の光の位置を算出す
    る機能と、 算出された前記第1の光の位置と前記第2の光の位置と
    の相対位置差を算出する機能と、 前記第1の光の位置に基づいて前記相対位置差を補正す
    る機能と、 補正された前記相対位置差に基づいて前記透明体の膜に
    おける厚さを出力する機能とを実現させることを特徴と
    するプログラム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009257987A (ja) * 2008-04-18 2009-11-05 Konica Minolta Holdings Inc 膜厚計測装置、膜厚計測方法

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