JP2003160783A - 希土類酸化物の製造方法 - Google Patents

希土類酸化物の製造方法

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JP2003160783A JP2001361358A JP2001361358A JP2003160783A JP 2003160783 A JP2003160783 A JP 2003160783A JP 2001361358 A JP2001361358 A JP 2001361358A JP 2001361358 A JP2001361358 A JP 2001361358A JP 2003160783 A JP2003160783 A JP 2003160783A
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Yoshifumi Nakajo
善文 中條
Mitsuhiro Oikawa
充広 及川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】少なくとも鉄,銅,クロム元素を不純物として
含む酸硫化物希土類蛍光体あるいはその原料の希土類酸
化物から、より簡単なプロセスによって不純物を高い精
度で除去し、再利用に供するのに適した高純度希土類酸
化物を効率的に製造する方法を提供する。 【解決手段】少なくとも鉄,銅,クロム元素を不純物と
して含有する酸硫化物希土類蛍光体を鉱酸で溶解して溶
液を調製する工程と、溶液に酸化剤を添加して上記不純
物イオンを酸化する工程と、酸化した不純物イオンをイ
オン交換樹脂で吸着して除去する工程と、不純物イオン
を除去した溶液に蓚酸を加えて蓚酸希土類塩を生成させ
る工程と、生成した蓚酸希土類塩を分離した後に焙焼し
て希土類酸化物を調製する工程とを備えることを特徴と
する希土類酸化物の製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は希土類酸化物の製造
方法に係り、特に不純物を含有した酸硫化物希土類蛍光
体等から効率的に不純物を除去することが可能であり、
高品質の希土類酸化物を簡単な処理工程で高収率で製造
することが可能な希土類酸化物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】カラーブラウン管の赤色蛍光体として、
例えば、ユーロピウム付活酸硫化イットリウム蛍光体:
S:Eu等の酸硫化物希土類蛍光体が、広く使
用されている。これらの蛍光体に含まれる希土類元素は
高価な元素であり、これを回収して再利用することは、
資源の有効利用および製造コストの低減の観点から重要
な技術として位置付けられている。
【0003】ところが、再利用のために回収された酸硫
化物希土類蛍光体には、ポリビニルアルコール,重クロ
ム酸塩,感光樹脂,酸化鉄(Fe)等の顔料およ
び分散剤が付着している。そのため酸硫化物希土類蛍光
体の溶解液には、これらの成分に由来する鉄,銅,クロ
ム等の不純物元素が含まれている。
【0004】これらの不純物元素は、酸硫化物希土類蛍
光体から希土類酸化物を分離して再利用に供するための
精製プロセスにおいて、蓚酸を添加することにより生成
する蓚酸希土類塩中に不純物として内包され、残留す
る。
【0005】このため、鉄,銅,クロム等の除去を十分
に行わないと、再利用時にこれらの元素が取り込まれた
まま蛍光体として使用されることになり、ブラウン管や
放電灯の輝度の低下や、他の青色,緑色発光蛍光体の発
光色が変移する原因ともなっていた。
【0006】酸硫化物希土類蛍光体から希土類元素を分
離精製する技術については、従来から様々な手法が開発
されている。
【0007】例えば、特願2000−102712の出
願明細書には、酸硫化物希土類蛍光体を鉱酸(例えば塩
酸,硝酸等)に溶解したのち、鉄,銅,クロムなどの不
純物元素を化学的処理により沈殿させ、沈殿生成物を硫
化亜鉛あるいはゼオライト等の吸着剤等で吸着除去した
後、蓚酸を添加して希土類塩を生成し、分離精製するプ
ロセスなどが記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
プロセスでは酸硫化物希土類蛍光体を溶解した溶液中の
鉄,銅,クロム等の不純物を沈殿させるプロセスが多段
階処理であるため、処理プロセスが複雑であり、効率的
運用の観点から好ましくなかった。
【0009】例えば、従来の鉄,銅,クロムイオンを化
学的に処理するプロセスの一例を示すと以下のような処
理法が実用化されている。 (工程1)溶液にアンモニア水を添加して鉄イオンを水
酸化鉄Fe(OH)として沈殿させる。 (工程2)溶液に硝酸鉛を添加してクロムイオンをクロ
ム酸鉛PbCrOとして沈殿させる。 (工程3)溶液中に硫化水素を導入して銅イオンを硫化
銅CuSとして沈殿させる。同時に上記工程2のプロセ
スで反応に寄与しなかった鉛イオンを硫化鉛として沈殿
させる。 (工程4)沈殿物を吸着剤により吸着除去する。
【0010】このように、化学的処理により金属イオン
を沈殿させ、沈殿物を吸着除去する方法は複雑なプロセ
スであり、設備コストが高騰する上に、回分操作(バッ
チ操作)であるため処理時間が長く処理効率が低いとい
う問題点もあった。
【0011】そのため、実際に運用されるプロセスにお
いては不純物の化学的除去プロセスを経ずに単純な物理
的プロセスを経て再利用に供しているのが現状である。
【0012】しかしながら、物理的除去法による不純物
の除去では、希土類酸化物を再利用に供することのでき
るレベルまで鉄,銅,クロムイオンを除去するには技術
的限界があった。
【0013】本発明は上述のような事情を考慮してなさ
れたものであって、少なくとも鉄,銅,クロム元素を不
純物として含む酸硫化物希土類蛍光体あるいはその原料
の希土類酸化物から、より簡単なプロセスによってこれ
らの不純物を高い精度で除去し、再利用に供するのに適
した高純度の希土類酸化物を効率的に製造する方法を提
供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明に係る高純度希土
類酸化物の製造方法は、上述した課題を解決するため
に、少なくとも鉄,銅,クロム元素を不純物として含有
する酸硫化物希土類蛍光体を鉱酸で溶解して溶液を調製
する工程と、溶液に酸化剤を添加して上記不純物イオン
を酸化する工程と、酸化した不純物イオンをイオン交換
樹脂で吸着して除去する工程と、不純物イオンを除去し
た溶液に蓚酸を加えて蓚酸希土類塩を生成させる工程
と、生成した蓚酸希土類塩を分離した後に焙焼して希土
類酸化物を調製する工程とを備えることを特徴とする。
【0015】このように酸硫化物希土類蛍光体を塩酸や
硝酸等の鉱酸に溶解した後、酸化剤を添加する構成とし
た理由は、酸硫化物希土類蛍光体に含まれる不純物とし
ての鉄,銅,クロム等を酸化し、より酸化数の高いイオ
ンに転換することにより、イオン交換樹脂にて不純物イ
オンを除去する際の両者の反応性を高めるためである。
【0016】また、上記希土類酸化物の製造方法におい
ては、前記酸化剤として塩素ガス,オゾン,過酸化水素
水,硝酸,過ヨウ素酸カリウムから選択される少なくと
も1種を使用することが好ましい。
【0017】酸化剤の種類としては、特に限定されるも
のではなく、鉄,銅,クロム等の不純物元素を効果的に
酸化するものであれば良い。上述のように塩素ガス,オ
ゾンのようなガス酸化剤や、過酸化水素水,硝酸等の液
体酸化剤あるいは過ヨウ素酸カリウムのような固体酸化
剤の、いずれのタイプの酸化剤でも好適に用いることが
できる。
【0018】また、本発明に係る希土類酸化物の製造方
法において、前記イオン交換樹脂は塩基性陰イオン交換
樹脂を使用することが好ましい。
【0019】陰イオン交換樹脂は、本来陰イオン交換樹
脂中に散在する陰イオンと、陰イオン交換樹脂を充填し
たカラム等を流通する流体中の陰イオンとを、それらイ
オンのイオン化傾向の差によって交換するものである。
しかし、本発明のような強酸性溶液中等の条件下では、
イオン交換樹脂中の陰イオンと流体中の陽イオンとが吸
着することにより、流体中から陽イオンが除去されると
いう特性を備えることが明らかとなっている。
【0020】本発明者らはこの性質に着目し、本発明の
課題とするような鉄,銅,クロム等のイオンの吸着除去
への応用を検討したところ、塩基性陰イオン交換樹脂を
使用することにより、これらの陽イオンを好適に除去す
ることが可能であるという知見を得て、本発明を完成し
たものである。
【0021】本発明に使用される塩基性イオン樹脂とし
ては、強酸溶液中でも使用可能な、例えばCl型イオン
交換樹脂が好適に使用される。
【0022】またイオン交換の手法としては、溶解液と
イオン交換樹脂とを効果的に接触させるため、カラム法
を採用することが好ましい。
【0023】さらに、本発明に係る他の希土類酸化物の
製造方法は、少なくとも鉄,銅,クロム元素を不純物と
して含有する酸硫化物希土類蛍光体を鉱酸で溶解して溶
液を調製する工程と、溶液に酸化剤を添加して上記不純
物イオンを酸化する工程と、酸化した不純物イオンをイ
オン交換電極で吸着して除去する工程と、不純物イオン
を除去した溶液に蓚酸を加えて蓚酸希土類塩を生成させ
る工程と、生成した蓚酸希土類塩を分離した後に焙焼し
て希土類酸化物を調製する工程とを備えることを特徴と
するものである。
【0024】酸硫化物希土類蛍光体溶液に含まれる鉄,
銅,クロムなどの不純物を酸化剤により酸化することに
より、不純物としての金属イオンは、より酸化数の高い
イオンとして溶液中に存在する。このようにして酸化数
を高められた金属イオンは高い反応性を示し、イオン交
換電極を溶液中に挿入することによって容易に吸着さ
れ、除去される。
【0025】なお、不純物の除去を上記イオン交換電極
による吸着で行う場合に使用される酸化剤としては、イ
オン交換樹脂を用いる場合と同様に、塩素ガス,オゾン
のようなガス酸化剤や、過酸化水素水,硝酸等の液体酸
化剤あるいは過ヨウ素酸カリウムのような固体酸化剤を
用いることができる。
【0026】上述した手段により溶液から不純物元素を
除去した後に、溶液に蓚酸を加えて蓚酸希土類塩を生成
させる。次に生成した蓚酸希土類塩を取りだし、濾過お
よび乾燥工程を経て、さらに700℃〜1100℃の温
度範囲で2〜8時間焙焼(焼成)することにより、再利
用するに適した高純度の希土類酸化物が得られる。
【0027】上記構成に係る希土類酸化物の製造方法に
よれば、酸硫化物希土類蛍光体から効率的に不純物を除
去できるため、高純度の希土類酸化物を分離精製するこ
とが可能であり、その結果、蛍光体として再利用するの
に適した高純度の希土類酸化物を低コストで提供するこ
とができる。
【0028】
【発明の実施の形態】次に、本発明に係る希土類酸化物
の製造方法の実施形態について、以下の実施例に基づい
て具体的に説明する。
【0029】カラーブラウン管工場からは、酸硫化物希
土類蛍光体であるユーロピウム付活酸硫化イットリウム
蛍光体(YS:Eu)が排出される。このY
S:Eu蛍光体(以下、単に蛍光体と称する)には、
感光樹脂(ポリビニルアルコール+重クロム酸塩等)と
顔料(Fe)とが含まれており、こうした物質に
由来する鉄,銅,クロム等が不純物として存在する。
【0030】この蛍光体を固体換算で100kg計量
し,以下の実施例1および実施例2に示す手順で不純物
元素を分離し、高純度の希土類酸化物の製造を行った。
【0031】なお、実施例1および実施例2のプロセス
フロー図をそれぞれ図1および図2に示す。
【0032】実施例1(図1) 1.まず、蛍光体100kgを反応槽(容量1000リ
ットルのリアクター)に収容し、さらに35%塩酸溶液
300リットルを投入し、液温を80℃に保持して撹拌
した。次に、67.5%硝酸溶液を100mL/分の速
度で75リットル添加して蛍光体溶液を調製した。添加
終了後、5時間経過した後に、溶液中の希土類イオン濃
度を分析したところ、鉄が430ppm,銅が20pp
m,クロムが90ppmが含有されていた。 2.この蛍光体溶液に酸化剤として31%過酸化水素水
を1.78リットル添加し、蛍光体溶液中の鉄,銅,ク
ロム等の不純物元素を酸化した(例:Fe2+→Fe
3+)。その後、純水を給水して蛍光体溶液を1000
リットルに希釈した。 3.この蛍光体溶液を静置し、溶液中の浮遊物を沈降さ
せた。 4.蛍光体溶液の上澄み液中に含まれる残留浮遊物をメ
ンブランフィルターにて濾過した。 5.蛍光体溶液を、カラム内に充填させたイオン交換樹
脂と接触させて鉄,銅,クロム等の不純物イオンを吸着
させて除去した。 6.イオン交換後の蛍光体溶液を反応槽に移送して加熱
し、50℃に保持しつつ撹拌しながら固形蓚酸130k
gを投入した。蓚酸投入後3時間経過した後に、蛍光体
溶液の撹拌を停止した。 7.溶液と蓚酸の反応によって得られた反応物である蓚
酸希土類塩を取り出して純水で洗浄し、その洗浄液のp
Hが5.0以上となるまで繰り返し洗浄した。 8.洗浄が終了した蓚酸希土類塩を吸引濾過し、濾過物
を150℃で乾燥した。 9.乾燥後の蓚酸希土類塩をアルミナ質トレーに投入
し、連続式焙焼炉により1000℃で5時間焙焼した。
この焙焼操作の完了後に、生成物として89kgの希土
類酸化物が得られた。なお本実施例1における希土類酸
化物の理論収量は93kgであり、本実施例1での収率
は95.7%であり、高い収率が得られた。
【0033】本実施例1による希土類酸化物の製造方法
により製造した希土類酸化物の不純物の含有量を表1に
示す。また比較例1として従来の手法での希土類酸化物
の製造方法による希土類酸化物の不純物含有量を示す一
方、比較例2として新品原料中の不純物の含有量をそれ
ぞれ示した。
【0034】また、実施例1,比較例1,比較例2に係
る希土類酸化物を使用して製造した蛍光体について、色
度を同等にした場合における輝度特性および銀付活硫化
亜鉛蛍光体への変色影響度について調査・比較した。
【0035】実施例1の実験結果を下記表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】表1の結果に示すように、本実施例1に係
る希土類酸化物の製造方法により製造した希土類酸化物
では、鉄,銅,クロムの含有率はそれぞれ3ppm,4
ppm,3ppmであり新品原料(比較例2)とほぼ大
差ない濃度レベルまで不純物を除去することが可能であ
ることが判明した。
【0038】これに対して、比較例1に係る物理的手法
のみで構成した従来の製造方法による鉄,銅,クロムの
含有率は18ppm,9ppm,12ppmと、比較例
2に比較して不純物含有量が多く、再利用に適した希土
類酸化物とは言えなかった。
【0039】さらに、実施例1,比較例1,比較例2に
係る希土類酸化物を使用して蛍光体を製造し、それぞれ
の輝度特性および銀付活亜鉛蛍光体への変色影響度を調
査・比較した。
【0040】表1に示すように、それぞれの蛍光体で、
輝度特性には顕著な差異は生じなかったものの、銀付活
亜鉛蛍光体への変色影響度は、本実施例に係る製造方法
によれば影響がなく、それに対して従来の製造方法によ
る製品では影響を生じていた。
【0041】ここで銀付活亜鉛蛍光体への変色影響と
は、鉄イオンの場合では青色蛍光体の発光が赤色発光に
変化し、また銅イオンの場合では青色発光体の発光が黄
色発光に変化することを意味する。
【0042】従って、本実施例1に係る高純度希土類酸
化物の製造方法によれば、従来の製造方法に比較して簡
単なプロセスで鉄,銅,クロムイオンを効果的に除去す
ることが可能であることが判明した。
【0043】すなわち、本発明に係る希土類酸化物の製
造方法によれば、蛍光体の輝度特性および他の発光色の
蛍光体への影響が少なく、蛍光体としての再利用に適し
た希土類酸化物を効率的に得ることができる。
【0044】実施例2(図2) 1.まず、蛍光体100kgを反応槽(容量1000リ
ットルのリアクター)に収容し、さらに35%塩酸溶液
300リットルを投入し、液温を80℃に保持して撹拌
した。次に、67.5%硝酸溶液を100mL/分の速
度で75リットル添加して蛍光体溶液を調製した。添加
終了後、5時間経過した後に、蛍光体溶液を分析したと
ころ鉄が430ppm,銅が20ppm,クロムが90
ppmが含有されていた。 2.純水を給水して蛍光体溶液を1000リットルに希
釈した。その後、この蛍光体溶液を静置し、溶液中の浮
遊物を沈降させた。 3.蛍光体溶液の上澄み液中に含まれる残留浮遊物をメ
ンブランフィルターにて濾過した。 4.この蛍光体溶液に酸化剤としての31%過酸化水素
水を1.78リットル添加し、蛍光体溶液中の鉄,銅,
クロム等の不純物元素を酸化した(例:Fe →Fe
3+)。 5.この蛍光体溶液にイオン交換電極を挿入し、鉄,
銅,クロム等の不純物イオンを吸着して除去した。 6.イオン交換後の蛍光体溶液を反応槽に移送して加熱
し、50℃に保持しつつ撹拌しながら固形蓚酸130k
gを投入した。蓚酸投入後3時間経過した後に、蛍光体
溶液の撹拌を停止した。 7.溶液と蓚酸の反応によって得られた反応物である蓚
酸希土類塩を取り出して純水で洗浄し、その洗浄液のp
Hが5.0以上となるまで繰り返し洗浄した。 8.洗浄が終了した蓚酸希土類塩を吸引濾過し、150
℃で乾燥した。 9.乾燥後の蓚酸希土類塩をアルミナ質トレーに投入
し、連続式焙焼炉により1000℃で5時間焙焼した。
この焙焼操作の後、生成物として89kgの希土類酸化
物が得られた。なお本実施例2における希土類酸化物の
理論収量は93kgであり、本実施例2での収率は9
5.7%であった。
【0045】本実施例2に係る高純度希土類酸化物の製
造方法、従来の製造方法、新品原料(それぞれ実施例
2,比較例1,比較例2とする)に係る希土類酸化物に
ついて不純物である鉄,銅,クロムの含有量を測定し、
比較した。
【0046】また、実施例2,比較例1,比較例2に係
る希土類酸化物を使用して製造した蛍光体について色度
を同等とした場合における輝度特性および銀付活硫化亜
鉛蛍光体への変色影響度について調査し、比較した。
【0047】実施例2の実験結果を以下の表2に示す。
【0048】
【表2】
【0049】表2の結果に示すように、本実施例2に係
る高純度希土類酸化物の製造方法により製造した希土類
酸化物では、鉄,銅,クロムの含有率はそれぞれ3pp
mであり新品原料(比較例2)とほぼ同等であったのに
対して、従来の製造方法による鉄,銅,クロムの含有率
は17ppm,8ppm,12ppmと、比較例2に比
べて高い数値であり、再利用に適した希土類酸化物とは
言えなかった。
【0050】従って本実施例2に係る高純度希土類酸化
物の製造方法によれば、非常に高い効率で鉄,銅,クロ
ム等の不純物を除去できることが実証された。
【0051】また、実施例2,比較例1,比較例2の希
土類酸化物を使用して蛍光体を製造し、ぞれぞれの輝度
特性および銀付活亜鉛蛍光体への変色影響度を調査・比
較したところ、色度を同等とした場合における輝度特性
については、本実施例2に係る蛍光体では、新品原料に
よる蛍光体(比較例2)と同様に100%であったのに
対して、比較例1の蛍光体では輝度特性が94%と減少
しており、不純物による輝度特性への影響が顕著であっ
た。
【0052】銀付活硫化亜鉛蛍光体への変色影響度につ
いては、本実施例2の蛍光体が影響が皆無であったのに
対して、比較例1の蛍光体では鉄イオンによる青色蛍光
体の赤色発光への変化および銅イオンによる青色蛍光体
の黄色発光への変化が顕著となり、不純物の影響が無視
できないレベルであった。
【0053】これらの結果より、実施例2に係る希土類
酸化物の製造方法によれば、新品原料に比較してほぼ同
等の高品質の希土類酸化物を提供することが可能であ
り、従来の希土類酸化物の製造方法に比較して、より高
純度の希土類酸化物を低コストで提供することが可能と
なることが確認された。
【0054】
【発明の効果】以上説明の通り、本発明に係る希土類酸
化物の製造方法によれば、酸硫化物希土類蛍光体から、
より簡単なプロセスを用いて効率的に不純物を除去でき
るため、高純度の希土類酸化物を分離精製することが可
能であり、その結果、蛍光体として再利用するのに適し
た高純度の希土類酸化物を低コストで提供することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る希土類酸化物の製造方法の実施例
を示すプロセスフロー図。
【図2】本発明に係る希土類酸化物の製造方法の他の実
施例を示すプロセスフロー図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G076 AA02 AB12 AC10 BA13 BA38 BC02 4H001 XA00 XA08 XA21 XA39

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも鉄,銅,クロム元素を不純物
    として含有する酸硫化物希土類蛍光体を鉱酸で溶解して
    溶液を調製する工程と、溶液に酸化剤を添加して上記不
    純物イオンを酸化する工程と、酸化した不純物イオンを
    イオン交換樹脂で吸着して除去する工程と、不純物イオ
    ンを除去した溶液に蓚酸を加えて蓚酸希土類塩を生成さ
    せる工程と、生成した蓚酸希土類塩を分離した後に焙焼
    して希土類酸化物を調製する工程とを備えることを特徴
    とする希土類酸化物の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記酸化剤として、塩素ガス,オゾン,
    過酸化水素水,硝酸および過ヨウ素酸カリウムから選択
    される少なくとも1種を使用することを特徴とする請求
    項1記載の希土類酸化物の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記イオン交換樹脂が塩基性陰イオン交
    換樹脂であることを特徴とする請求項1記載の希土類酸
    化物の製造方法。
  4. 【請求項4】 少なくとも鉄,銅,クロム元素を不純物
    として含有する酸硫化物希土類蛍光体を鉱酸で溶解して
    溶液を調製する工程と、溶液に酸化剤を添加して上記不
    純物イオンを酸化する工程と、酸化した不純物イオンを
    イオン交換電極で吸着して除去する工程と、不純物イオ
    ンを除去した溶液に蓚酸を加えて蓚酸希土類塩を生成さ
    せる工程と、生成した蓚酸希土類塩を分離した後に焙焼
    して希土類酸化物を調製する工程とを備えることを特徴
    とする希土類酸化物の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記酸化剤として、塩素ガス,オゾン,
    過酸化水素水,硝酸,過ヨウ素酸カリウムから選択され
    る少なくとも1種を使用することを特徴とする請求項4
    記載の希土類酸化物の製造方法。
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