JP2003158312A - 磁気抵抗効果素子およびその製造方法並びに磁気メモリ装置 - Google Patents
磁気抵抗効果素子およびその製造方法並びに磁気メモリ装置Info
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Abstract
体層の構造不均一性を解消することで、構造の不均一に
起因する保持力の増大を防ぎ、その記憶素子への書き込
み電流を減少させる。 【解決手段】 二つの強磁性体層24,26の間に非磁
性体層25を挟んだ多層膜構造を有し、一方の強磁性体
層24の磁化方向の変化を利用して情報記録を行う磁気
抵抗効果素子において、前記強磁性体層24,26のう
ちの少なくとも一方を、例えばアモルファスに代表され
るように、明瞭な結晶粒界のないシングルグレイン構造
とする。
Description
界によって抵抗値が変化するという、いわゆるMR(Ma
gnetoResistive)効果を発生する磁気抵抗効果素子およ
びその製造方法、並びにその磁気抵抗効果素子を用いて
情報を記憶するメモリデバイスとして構成された磁気メ
モリ装置に関する。
等の個人用小型機器の飛躍的な普及に伴い、これを構成
するメモリやロジックといったデバイスには、高集積
化、高速化、低電力化等、より一層の高性能化が要請さ
れている。特に、不揮発性メモリの高密度・大容量化
は、可動部分(例えばヘッドシーク機構やディスク回転
機構)の存在により本質的に小型化が困難なハードディ
スク装置や光ディスク装置を置き換える相補的な技術と
して、益々重要になりつつある。
フラッシュメモリや、強誘電体を用いたFeRAM(Fe
rro electric Random Access Memory)等が広く知られ
ている。ところが、フラッシュメモリは、情報の書き込
み速度がμ秒のオーダーであり、DRAM(Dynamic Ra
ndom Access Memory)やSRAM(Static Random Acce
ss Memory)等の揮発性メモリに比べて遅いという欠点
がある。また、FeRAMにおいては、書き換え可能回
数が少ないという問題が指摘されている。
メモリとして注目されているのが、例えば「Wang et a
l.,IEEE Trans.Magn.33(1997),4498」に記載されてい
るような、MRAM(Magnetic Random Access Memor
y)と呼ばれる磁気メモリ装置である。MRAMは、巨
大磁気抵抗効果(Giant Magnetoresistive;GMR)型
またはトンネル磁気抵抗効果(Tunnel Magnetoresistiv
e;TMR)型の記憶素子を用いて情報記録を行うもの
で、特に近年のTMR材料の特性向上により注目を集め
るようになってきている。
配列された磁気抵抗効果型の記憶素子を有するととも
に、その素子群のうちの特定素子に情報を記録するため
に素子群を縦横に横切るワード書き込み線とビット書き
込み線とを有しており、その交差領域に位置する素子の
みにアステロイド特性を利用して選択的に情報の書き込
みを行うように構成されている(例えば、特開平10−
116490公報参照)。一方、記憶素子からの情報の
読み出しは、トランジスタ等の素子を用いて記憶素子の
選択を行い、MR効果を通じてその記憶素子における磁
性体の磁化方向を電圧信号として取り出すことによって
行う。記憶素子の膜構成としては、例えば強磁性体/絶
縁体/強磁性体からなる三層構造、すなわち強磁性トン
ネル接合(Magnetic Tunnel Junction;MTJ)と呼ば
れる構造が提案されている。したがって、片方の強磁性
体の磁化の向きを固定参照層、他方を記憶層として用い
ることによって、トンネルMR効果を通じて記憶層にお
ける磁化方向が電圧信号と対応するようになるので、上
述したような電圧信号としての取り出しが実現可能とな
るのである。
あり、非破壊読み出しおよびランダムアクセスが可能で
あるという点の他に、以下に述べるような特徴を有す
る。すなわち、構造が単純であるため高集積化が容易で
あり、また磁気抵抗効果型記憶素子における磁気モーメ
ントの回転により情報記録を行うために書き換え可能回
数が大である(例えば、1016回以上)。さらには、ア
クセス時間についても非常に高速であることが予想さ
れ、既にナノ秒台で動作可能であることが確認されてい
る(例えば、5ns以下)。また、MOS(Metal Oxid
e Semiconductor)作製後に配線工程のみで形成される
ため、プロセス整合性がよい。特に、書き換え可能回
数、ランダムアクセス、高速動作の3点においてフラッ
シュメモリよりも優れ、またプロセス整合性の点でFe
RAMに勝る。さらには、DRAM並みの高集積度とS
RAM並みの高速性を両立できると期待されるため、メ
モリ装置の主流となり得る可能性を秘めている。
おいては、ワード書き込み線およびビット書き込み線に
流れる書き込み電流によって生じる合成電流磁界を情報
記録に使用するわけであるが、微細化(高密度化)の実
現、消費電力の削減、発熱の問題等を考慮すると、その
書き込み電流を極力低下させることが非常に重要とな
る。書き込み電流を低下させるためには、記憶素子の保
磁力、さらに詳しくは記憶層として用いられる強磁性体
層の保持力を小さくすることが有効である。
Co(コバルト)、Fe(鉄)、Ni(ニッケル)また
はこれらを含む合金(例えばパーマロイ)からなるもの
が一般的であるが、このような磁性材料からなる強磁性
体層では、その強磁性体層が微細な結晶粒および結晶粒
界からなる多結晶構造を有するため、構造の不均一に起
因する保持力の増大を招くおそれがある。これは、多結
晶構造ゆえに各結晶が明瞭な結晶粒界によって区切られ
ることとなり、一つ一つの結晶における特性のバラツキ
や欠陥または介在物の存在等といった構造不均一性が、
強磁性体層全体の特性に大きな影響を与えるからであ
る。すなわち、各結晶における保持力の不均一性が強磁
性体層全体の保持力にも悪影響を及ぼし、結果として保
持力を小さくすることが困難になってしまうのである。
一性を解消することで、構造の不均一に起因する保持力
の増大を防いで書き込み電流を減少させることのでき
る、磁気抵抗効果素子およびその製造方法並びに磁気メ
モリ装置を提供することを目的とする。
成するために案出されたもので、二つの強磁性体層の間
に非磁性体層を挟んだ多層膜構造の磁気抵抗効果素子に
おいて、前記強磁性体層のうちの少なくとも一方は、明
瞭な結晶粒界のないシングルグレイン構造を有したもの
であることを特徴とする。
磁性体層がシングルグレイン(single grain)構造を有
している。ここで、シングルグレイン構造としては、例
えば、全体が一つの結晶であるがゆえに明瞭な結晶粒界
(grain boundary)のない単結晶(single crystal)構
造や、非晶質(non-crystalline)であるがゆえに明瞭
な結晶粒界のないアモルファス(amorphous)構造が挙
げられる。このようなシングルグレイン構造であれば、
各結晶が明瞭な結晶粒界によって区切られる多結晶(po
lycrystal)構造の場合とは異なり、強磁性体層全体に
わたって構造の均一性を確保し得るようになり、その強
磁性体層における保持力の低減を図れるようになる。
体層の間に非磁性体層を挟んだ多層膜構造の磁気抵抗効
果素子の製造方法において、前記強磁性体層のうちの少
なくとも一方を成膜するのにあたり被成膜物である基板
の温度を所定温度に調整する温度管理工程を含むか、あ
るいは前記強磁性体層のうちの少なくとも一方を、強磁
性材料に異種元素を所定の割合で添加した材料によって
成膜する成膜工程を含むことを特徴とする。
おいて、温度管理工程を含む場合には、基板温度を所定
温度(例えば常温)に調整することで、強磁性体層の成
膜時における結晶化が抑止されるので、その成膜後の強
磁性体層が明瞭な結晶粒界のないシングルグレイン構造
を有するようになる。成膜工程を含む場合には、異種元
素の添加によって強磁性材料の結晶化が抑止されるの
で、成膜後の強磁性体層が明瞭な結晶粒界のないシング
ルグレイン構造を有するようになる。したがって、かか
る製造方法を用いて製造した磁気抵抗効果素子によれ
ば、強磁性体層全体にわたって構造の均一性を確保し得
るようになり、その強磁性体層における保持力の低減を
図れるようになる。
に案出されたもので、二つの強磁性体層の間に非磁性体
層を挟んだ多層膜構造の磁気抵抗効果素子を具備し、前
記強磁性体層の磁化方向の変化を利用して情報記録を行
うように構成された磁気メモリ装置において、前記強磁
性体層のうちの少なくとも一方は、明瞭な結晶粒界のな
いシングルグレイン構造を有したものであることを特徴
とする。
記録を行うための磁気抵抗効果素子における強磁性体層
がシングルグレイン構造を有していることから、強磁性
体層全体にわたって構造の均一性を確保でき、その強磁
性体層における保持力の低減を図れるので、その強磁性
体層に対して情報記録を行う際の書き込み電流も低下さ
せ得るようになる。
磁気抵抗効果素子およびその製造方法並びに磁気メモリ
装置について説明する。ここでは、磁気抵抗効果素子と
してTMR型スピンバルブ素子(以下、単に「TMR素
子」という)を、また磁気メモリ装置としてTMR素子
を具備したMRAMを、それぞれ例に挙げて説明する。
に、本発明に係る磁気メモリ装置全体の概略構成につい
て説明する。図1は、MRAMの基本的な構成例を示す
模式図である。MRAMは、マトリクス状に配された複
数のTMR素子1を備えている。さらに、これらのTM
R素子1が配された行および列のそれぞれに対応するよ
うに、相互に交差するワード書き込み線2およびビット
書き込み線3が、各TMR素子1群を縦横に横切るよう
に設けられている。そして、各TMR素子1は、ワード
書き込み線2とビット書き込み線3とに上下から挟まれ
た状態で、かつ、これらの交差領域に位置するように、
それぞれが配置されている。なお、ワード書き込み線2
およびビット書き込み線3は、Al(アルミニウム)、
Cu(銅)またはこれらの合金等の導電性物質を、化学
的または物理的に堆積した後に選択的にエッチングす
る、といった周知の手法を用いて形成されるものとす
る。
素子部分の断面構成の一例を示す模式図である。それぞ
れのTMR素子部分では、半導体基板4上に、ゲート電
極5、ソース領域6およびドレイン領域7からなる電界
効果トランジスタが配設され、さらにその上方に、ワー
ド書き込み線2、TMR素子1およびビット書き込み線
3が順に配設されている。このことからも明らかなよう
に、TMR素子1は、ワード書き込み線2とビット書き
込み線3との交差点において、これらの書き込み線2,
3に上下から挟まれるように配されている。
MR素子1の情報記憶層に対して、ワード書き込み線2
およびビット書き込み線3の両方に電流を流すことによ
って合成電流磁界を発生させ、その合成電流磁界を用い
て情報記憶層の磁化方向を変化させることにより、情報
の書き込みを行う。また、TMR素子1からの情報の読
み出しは、電界効果トランジスタを用いてTMR素子1
の選択を行い、そのTMR素子1における情報記憶層の
磁化方向を電圧信号として取り出すことによって行う。
ようなMRAMに用いられるTMR素子1自体の構成に
ついて説明する。TMR素子1は、MTJ構造の膜構成
を有する。図3は、MTJ構造の基本的な構成例を示す
模式図である。MTJ構造は、強磁性体/絶縁体/強磁
性体からなる三層構造からなり、片方の強磁性体層の磁
化の向きを固定参照層(ピンド層)11、他方を記憶層
(フリー層)12として用いる。そして、書き込み線
2,3が発生する合成電流磁界によって、その記憶層1
2の磁化方向を変化させることで、情報の書き込み(記
録)を行うとともに、トンネルMR効果を通じてその記
憶層12における磁化方向と電圧信号を対応させてい
る。これら二つの強磁性体層、すなわち固定参照層11
および記憶層12の間に挟まれた絶縁体層は、トンネル
障壁層13としての機能を有する。なお、下地層14や
保護層15といった、その他の層は、一般には磁性を持
たない材料からなる。
具体的に説明するための模式図である。TMR素子1と
しては、例えば、被成膜物である基板21上に、下地層
14となるTa(タンタル)膜22と、反強磁性層とな
るPtMn(白金マンガン)膜23と、固定層となるC
oFe(コバルト鉄)およびRu(ルテニウム)の積層
フェリ構造を有するCoFe/Ru/CoFe膜24
と、トンネル障壁層13となるAl−Ox(酸化アルミ
ニウム)膜25と、記憶層12となるCoFeB(コバ
ルト鉄ホウ素)膜26と、保護層15となるTa膜27
とが、順に積層されてなる多層膜構造のものがある。な
お、このうち、PtMn膜23とCoFe/Ru/Co
Fe膜24は、互いに積層されて固定参照層11となる
ものである。
は、記憶層12であるCoFeB膜26の構造に大きな
特徴がある。具体的には、一般的な強磁性体であるCo
およびFeといった磁性材料に、これらの磁性材料とは
異なる種類の元素であるB(ホウ素)を添加したものか
らなり、これにより明瞭な結晶粒界のないシングルグレ
イン構造を有したものとなっている。
て詳しく説明する。ここでいうシングルグレイン構造と
は、文字通り単一のグレイン(結晶構造)からなるもの
をいい、広義には多層膜構造のものが各結晶粒の間に有
するような明瞭な結晶粒界が存在しないものを指す。し
たがって、シングルグレイン構造には、全体が一つの結
晶であるがゆえに明瞭な結晶粒界のない単結晶構造や、
非晶質であるがゆえに明瞭な結晶粒界のないアモルファ
ス構造等も含まれる。
ングルグレイン構造が非晶質のアモルファス構造によっ
て実現されている。すなわち、CoFeB膜26を構成
する材料の原子が不規則(ランダム)な空間的配置をし
た状態にあり、これにより明瞭な結晶粒界のない構造と
なっている。そのため、CoFeB膜26では、各結晶
が明瞭な結晶粒界によって区切られる多結晶構造の場合
とは異なり、そのCoFeB膜26全体にわたって構造
の均一性を確保し得るようになる。つまり、構造不均一
性が膜全体の保持力に悪影響を及ぼしてしまうことがな
いので、多結晶構造の場合に比べると、CoFeB膜2
6における保持力の低減を図れるようになる。
上のような構成のTMR素子1の製造方法について説明
する。
ついて説明する。第一例では、例えば背圧を超高真空領
域にまで排気したマグネトロンスパッタ装置を用いて、
表面を熱酸化したSi(ケイ素)基板21上に、Ta膜
22、PtMn膜23、CoFe/Ru/CoFe膜2
4、Al膜を順に積層する。そして、Al膜を純酸素中
でプラズマ酸化させ、均一なAl−Ox膜25を得る。
このときのAlの厚さは1nmとすることが考えられ
る。その後、再び例えばマグネトロンスパッタ装置を用
いて、CoFeB膜26、Ta膜27を順に成膜する。
最後に、PtMn膜23の規則合金化のための熱処理
を、磁界中、例えば280℃で1時間行う。
26の設計組成は、(Co90Fe10)95B5(原
子%)とすることが考えられる。ただし、そのCoFe
B膜26を成膜するのにあたっては、被成膜物であるS
i基板21の温度を所定温度に調整する。具体的には、
成膜時におけるSi基板21の温度が、例えば30℃程
度となるように冷却する。このように、CoFeB膜2
6の成膜時におけるSi基板21の温度を管理した場合
には、通常は例えば200℃程度といった高温まで上昇
する温度を、例えば30℃といった常温程度まで冷却す
ることで、そのCoFeB膜26の結晶化が抑止される
ことになる。
を含んで成膜されたCoFeB膜26は、明瞭な結晶粒
界のないアモルファス構造を有するようになる。このこ
とは、成膜後のCoFeB膜26を透過型電子顕微鏡
(TEM)で観察することによっても確認されている。
これに対して、(Co90Fe10)95B5(原子
%)のCoFeB膜を、その成膜時の基板温度を例えば
200℃程度とした場合、すなわち温度条件のみが異な
る場合には、そのCoFeB膜が微細な結晶粒および結
晶粒界からなっていることがTEM観察の結果から確認
されている。
について説明する。第二例においても、第一例の場合と
同様に、例えばマグネトロンスパッタ装置を用いて、S
i基板21上に、Ta膜22、PtMn膜23、CoF
e/Ru/CoFe膜24、Al膜を順に積層し、その
Al膜を純酸素中でプラズマ酸化させ、均一なAl−O
x膜25を得る。そして、再び例えばマグネトロンスパ
ッタ装置を用いて、CoFeB膜26、Ta膜27を順
に成膜し、最後にPtMn膜23の規則合金化のための
熱処理を行う。
なり、CoFeB膜26の組成を(Co90Fe10)
80B20(原子%)とする。すなわち、CoFeB膜
26の成膜時におけるSi基板21の温度管理は行わな
いが、そのCoFeB膜26を、CoやFeといった強
磁性材料とは異種元素であるBを所定の割合で添加した
材料によって成膜する。所定の割合としては、強磁性と
しての性質を損なうことなく、後述するようにCoおよ
びFeの結晶化を抑止し得る割合、具体的には原子%で
20%程度の割合が考えられる。このように、CoFe
B膜26の成膜時に異種元素であるBを添加する割合を
管理した場合には、その異種元素であるBの割合を強磁
性としての性質を損なわない程度まで増やすことで、C
oおよびFeの結晶化が抑止されることになる。
加割合を管理する成膜工程を含んで成膜されたCoFe
B膜26は、第一例のような温度管理工程を含まなくて
も、明瞭な結晶粒界のないアモルファス構造を有するよ
うになる。このことは、成膜後のCoFeB膜26を透
過型電子顕微鏡(TEM)で観察することによっても確
認されている。
ような製造方法により製造されたTMR素子1、すなわ
ちCoFeB膜26がアモルファス構造を有するTMR
素子1の特性について説明する。ここでは、上述した第
一例、第二例によって得られる各TMR素子1の特性に
ついて、その比較例となるTMR素子の特性と併せて説
明する。なお、比較例としては、(Co90Fe10)
95B5(原子%)のCoFeB膜を、温度管理工程を
含まずに成膜した場合を例に挙げる。
各TMR素子1と、その比較例のTMR素子とについ
て、これらの保磁力および磁気抵抗変化率(いわゆるT
MR比)を磁気抵抗−外部磁界曲線から求めたところ、
第一例によるものは34Oe、45%、第二例によるも
のは30Oe、45%であるのに対し、比較例によるも
のは44Oe、39%であることがわかった。
膜26をアモルファス構造とすることによって、TMR
素子1におけるTMR比を高く維持しつつ、CoFeB
膜26の保磁力を大きく低減できることを意味してい
る。これは、CoFeB膜26がアモルファス構造であ
るがゆえに、多結晶構造のように明瞭な結晶粒界によっ
て区切られることがなく、一つ一つの結晶における特性
のバラツキや欠陥または介在物の存在等といった構造不
均一性が生じないため、その構造不均一性がCoFeB
膜26全体の特性に悪影響を与えるのを防止できると考
えられるからである。つまり、各結晶における保持力の
不均一性がCoFeB膜26全体の保持力に悪影響を及
ぼすことがないため、結果としてそのCoFeB膜26
の保持力を小さくするができるのである。
素子1は、記憶層12であるCoFeB膜26がアモル
ファス構造であるため、そのCoFeB膜26における
保持力の低減が図れ、これに伴い磁化方向の反転も容易
化する。したがって、かかるTMR素子1を用いたMR
AMにおいては、ワード書き込み線2およびビット書き
込み線3に流す書き込み電流を低下させることが可能と
なり、微細化(高密度化)の実現、消費電力の削減、発
熱の問題等の点で非常に好適なものとなる。
CoFeB膜26がアモルファス構造である場合を例に
挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものでは
ない。すなわち、明瞭な結晶粒界のないシングルグレイ
ン構造であれば、例えばこれを単結晶構造によって実現
した場合であっても、アモルファス構造の場合と全く同
様に保持力の低減が図れるようになる。
モルファス構造によってシングルグレイン構造を実現し
た場合には、例えば成膜時の温度管理工程または異種元
素の添加割合を管理する成膜工程を含むだけでアモルフ
ァス構造が得られるため、そのシングルグレイン構造の
実現が非常に容易かつ確実なものとなる。
CoFeB膜26のみをシングルグレイン構造とした場
合を例に挙げて説明したが、強磁性体からなる固定参照
層11についても記憶層12と同様にシングルグレイン
構造としてもよく、その場合であっても記憶層12にお
ける保持力の低減が図れるようになる。また、固定参照
層11のみをシングルグレイン構造とした場合について
は、直接的な記憶層12の保持力低減の効果は期待でき
ないが、固定参照層11の構造不均一性から生じる悪影
響の解消を通じて、記憶層12の保持力低減を実現可能
にすることも考えられる。したがって、シングルグレイ
ン構造は、強磁性体からなる記憶層12および固定参照
層11の少なくとも一方に適用されていればよい。
およびFeからなる磁性材料に異種元素のBを添加した
CoFeB膜26である場合を例に挙げて説明したが、
記憶層12(または固定参照層11)の組成はこれに限
定されることはなく、Co、FeおよびNiのうちの少
なくとも一つを含む磁性材料に、例えばSi、P(リ
ン)、Al、C(炭素)、Hf(ハフニウム)、Ta、
N(窒素)、Cu、Nb(ニオブ)等といった一つ以上
の異種元素を添加したものであっても構わない。
たものには限られない。例えば、記憶層12よりも固定
参照層11のほうが先に(下方に)積層される、いわゆ
るボトム型のTMR素子1ではなく、記憶層が固定参照
層よりも先に(下方に)積層される、いわゆるトップ型
のTMR素子についても全く同様である。また、TMR
素子のみならず、記憶層と固定参照層との間の非磁性体
層がCu等で構成されたGMR型のものであっても構わ
ないことは勿論である。
抵抗効果素子における強磁性体層を明瞭な結晶粒界のな
いシングルグレイン構造とすることにより、その強磁性
体層の構造不均一性を解消する。したがって、構造の不
均一性に起因する保磁力の増大を防ぐことができ、その
磁気抵抗効果素子を用いて磁気メモリ装置を構成した際
の書き込み電流を減少させることが可能になる。
る。
面構成の一例を示す模式図である。
る。
するための模式図である。
3…トンネル障壁層、14…下地層、15…保護層、2
1…基板、22…Ta膜、23…PtMn膜、24…C
oFe/Ru/CoFe膜、25…Al−Ox膜、26
…CoFeB膜、27…Ta膜
Claims (8)
- 【請求項1】 二つの強磁性体層の間に非磁性体層を挟
んだ多層膜構造の磁気抵抗効果素子において、 前記強磁性体層のうちの少なくとも一方は、明瞭な結晶
粒界のないシングルグレイン構造を有したものであるこ
とを特徴とする磁気抵抗効果素子。 - 【請求項2】 前記シングルグレイン構造は、非晶質の
アモルファス構造であることを特徴とする請求項1記載
の磁気抵抗効果素子。 - 【請求項3】 前記アモルファス構造を有する強磁性体
層は、コバルト、鉄およびニッケルのうちの少なくとも
一つを含む磁性材料に、一つ以上の異種元素を添加した
ものからなることを特徴とする請求項2記載の磁気抵抗
効果素子。 - 【請求項4】 二つの強磁性体層の間に非磁性体層を挟
んだ多層膜構造の磁気抵抗効果素子の製造方法におい
て、 前記強磁性体層のうちの少なくとも一方を成膜するのに
あたり被成膜物である基板の温度を所定温度に調整する
温度管理工程を含むことを特徴とする磁気抵抗効果素子
の製造方法。 - 【請求項5】 二つの強磁性体層の間に非磁性体層を挟
んだ多層膜構造の磁気抵抗効果素子の製造方法におい
て、 前記強磁性体層のうちの少なくとも一方を、強磁性材料
に異種元素を所定の割合で添加した材料によって成膜す
る成膜工程を含むことを特徴とする磁気抵抗効果素子の
製造方法。 - 【請求項6】 二つの強磁性体層の間に非磁性体層を挟
んだ多層膜構造の磁気抵抗効果素子を具備し、前記強磁
性体層の磁化方向の変化を利用して情報記録を行うよう
に構成された磁気メモリ装置において、 前記強磁性体層のうちの少なくとも一方は、明瞭な結晶
粒界のないシングルグレイン構造を有したものであるこ
とを特徴とする磁気メモリ装置。 - 【請求項7】 前記シングルグレイン構造は、非晶質の
アモルファス構造であることを特徴とする請求項6記載
の磁気メモリ装置。 - 【請求項8】 前記アモルファス構造を有する強磁性体
層は、コバルト、鉄およびニッケルのうちの少なくとも
一つを含む磁性材料に、一つ以上の異種元素を添加した
ものからなることを特徴とする請求項7記載の磁気メモ
リ装置。
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