JP2003155425A - 二液型光触媒塗料及び光触媒含有塗膜、光触媒含有塗膜の形成方法 - Google Patents

二液型光触媒塗料及び光触媒含有塗膜、光触媒含有塗膜の形成方法

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JP2003155425A
JP2003155425A JP2001355584A JP2001355584A JP2003155425A JP 2003155425 A JP2003155425 A JP 2003155425A JP 2001355584 A JP2001355584 A JP 2001355584A JP 2001355584 A JP2001355584 A JP 2001355584A JP 2003155425 A JP2003155425 A JP 2003155425A
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coating film
oxide
liquid
oxide semiconductor
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JP2001355584A
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Hiroyuki Shimatani
博之 島谷
Joji Nishimoto
丈治 西本
Shinya Matsuo
伸也 松尾
Takahisa Komata
孝久 小俣
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Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 密着性、透明性、光触媒性能等の特性に優れ
た塗膜を再現性良く形成することができる可視光域で触
媒活性を有する光触媒含有塗膜の形成方法を提供する。 【解決手段】 互いに光触媒特性を持ち、かつ、真空準
位を基準としたエネルギーバンド構造における伝導帯底
部の電子のエネルギーレベルと価電子帯頂上の電子のエ
ネルギーレベルがそれぞれ異なる酸化物半導体(I)と
(II)による接合部を有する酸化物複合体により構成さ
れ、少なくとも一方の酸化物半導体が可視光域でも光触
媒特性を持つ光触媒であって、上記酸化物複合体が、p
型酸化物半導体とn型酸化物半導体から成るヘテロ接合
を有する光触媒微粒子を含有するA液と、メチル基を含
むオルガノモノシラン及びオルガノシランオリゴマーか
らなる群から選択された1種を溶媒に溶解させたB液と
を混合して、基材上に塗布し、乾燥硬化させた光触媒含
有塗膜およびその形成方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、二液型光触媒塗料
及び常温硬化が可能な光触媒含有塗膜、および光触媒含
有塗膜の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ガラス、金属、セラミックス、コンクリ
ート、プラスチック等からなる建築物外壁材や橋梁等の
表面の汚染や腐食を防止するために、従来より、フッ素
樹脂系塗料やポリウレタン系塗料等が使用されている。
しかし、これらの塗料が使用された外壁等は、時間の経
過に従って表面が汚染されるため、定期的にクリーニン
グを行ったり、塗り替える等の必要が生じ、メンテナン
スのために費用がかかるという問題があった。また、ガ
ラス窓のクリーニング等においては、危険を伴うという
問題もあった。
【0003】これらの問題を解決するために、最近、塗
膜中に酸化チタンを含有する、セルフクリーニング機能
を有する塗料が注目されている。この塗料を使用して塗
膜を形成すると、塗膜中のアナターゼ型酸化チタンが太
陽光線に含まれる紫外線を吸収し、電子と正孔とが生成
する。生成した正孔は、強い酸化力を有するため、塗膜
表面に付着した有機物等を分解し、これにより塗膜表面
の有機物による汚染を防止することができる。
【0004】しかしながら、酸化チタンが光触媒として
の性能を発揮するのは紫外線に対してのみである。屋外
では、紫外線は太陽光線のうち4%程度に過ぎないた
め、酸化チタンの高機能化・可視光領域での応答性を目
指して、酸化チタン上に色素を吸着させ可視光を吸収し
て生じた吸着色素の励起状態から酸化チタンへ電子を注
入する方法、Cr,V,Mn,Fe,Niなどの金属イ
オンを化学的に注入する方法、プラズマ照射によって酸
素欠陥を導入する方法、異種イオンを導入する方法など
さまざまな試みが国内外で行われてきている。しかしな
がら、いずれの方法も均一分散が難しい、電子と正孔の
再結合により光触媒活性が低下する、調整コストが高い
などの問題があるため工業化には至っていない。
【0005】その他、最近、ペロブスカイトタイプ酸化
物が触媒活性を有するとして注目されている。例えば、
特開平7−24329号公報においては、一般式A3+
3+3であるLaFeO3および一般式A2+3+Oxであ
るSrMnOxなどが提案されているが、高い触媒活性
は得られていない。また、層状ペロブスカイトタイプの
酸化物の研究も盛んに行われている。例えば、特開平1
0−244164号公報には層状ペロブスカイト型のA
BCO4が記載されており、特開平8ー196912号
公報には、KLaCa2Nb310系複合酸化物が記載さ
れており、特開平11−139826号公報には、KC
2Nb310が提案されている。これらの原理および製
法は複雑であり、また得られた酸化物の化学的安定性に
も問題があるため工業化には至っていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、可視
光領域で、シンプルな新しい機構に基づいて光触媒活性
を発揮する複合酸化物の光触媒を用い、二液型光触媒塗
料及び常温硬化が可能な光触媒含有塗膜、および光触媒
含有塗膜の形成方法によって、密着性、透明性、光触媒
性能等の特性に優れた光触媒含有塗膜を再現性良く形成
することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記に鑑
み、可視光領域で光触媒活性を発揮する優れた特性を持
つ塗膜を再現性良く形成することを目的として検討を重
ねた結果、光触媒として、互いに光触媒特性を持ち、か
つ、真空準位を基準としたエネルギーバンド構造におけ
る伝導帯底部の電子のエネルギーレベルと価電子帯頂上
の電子のエネルギーレベルがそれぞれ異なる酸化物半導
体(I)と(II)による接合部を有する酸化物複合体に
より構成されると共に、少なくとも一方の酸化物半導体
が可視光域でも光触媒特性を持つ光触媒であって、上記
酸化物複合体が、p型酸化物半導体とn型酸化物半導体
から成るヘテロ接合を有する酸化物複合体で構成される
可視光域でも触媒活性を有する光触媒の微粒子を含有す
る液とオルガノシランを含有する液とを混合して混合液
を調製した後、短時間で塗布することにより密着性、透
明性、光触媒性能等の特性に優れた塗膜を再現性良く形
成することができることを見いだし、本発明を完成する
に至った。
【0008】すなわち、本発明の第1の発明は、光触媒
含有塗膜の形成に用いる二液型光触媒塗料において、互
いに光触媒特性を持ち、かつ、真空準位を基準としたエ
ネルギーバンド構造における伝導帯底部の電子のエネル
ギーレベルと価電子帯頂上の電子のエネルギーレベルが
それぞれ異なる酸化物半導体(I)と(II)による接合
部を有する酸化物複合体により構成されると共に、少な
くとも一方の酸化物半導体が可視光域でも光触媒特性を
持つ光触媒であって、上記酸化物複合体が、p型酸化物
半導体とn型酸化物半導体から成るヘテロ接合を有する
酸化物複合体で構成される可視光域でも触媒活性を有す
る光触媒の微粒子を含有するA液と、メチル基を含むオ
ルガノモノシラン及びメチル基を含むオルガノシランオ
リゴマーからなる群から選択された少なくとも1種を溶
媒に溶解させたB液とからなることを特徴とする二液型
光触媒塗料を提供するものである。
【0009】また、第2の発明は、互いに光触媒特性を
持ち、かつ、真空準位を基準としたエネルギーバンド構
造における伝導帯底部の電子のエネルギーレベルと価電
子帯頂上の電子のエネルギーレベルがそれぞれ異なる酸
化物半導体(I)と(II)による接合部を有する酸化物
複合体により構成されると共に、少なくとも一方の酸化
物半導体が可視光域でも光触媒特性を持つ光触媒であっ
て、上記酸化物複合体が、p型酸化物半導体とn型酸化
物半導体から成るヘテロ接合を有する酸化物複合体で構
成される可視光域でも触媒活性を有する光触媒の微粒子
を含有するA液と、メチル基を含むオルガノモノシラン
及びメチル基を含むオルガノシランオリゴマーからなる
群から選択された少なくとも1種を溶媒に溶解させたB
液とをそれぞれ調製しておき、前記A液と前記B液とを
混合して光触媒塗料組成物を調製した後、短時間のうち
に基材上に前記光触媒塗料組成物を塗布し、乾燥、硬化
させることを特徴とする光触媒含有塗膜の形成方法を提
供するものである。
【0010】第3の発明は、第1の発明、第2の発明記
載の光触媒において、可視光域でも光触媒特性を持つ上
記p型酸化物半導体が、アクセプターをドープすること
で生じた正孔を介し水素を水素イオンとして溶解保持す
ることのできるペロブスカイト型酸化物で構成され、か
つ、上記n型酸化物半導体が、ルチル型若しくはアナタ
ーゼ型またはこれ等2つの型が混ざった酸化チタン、酸
化亜鉛、酸化錫、酸化ジルコニウム、チタン酸ストロン
チウム、一般式A2-X2+X8-2δ(但し、−0.4<
X<+0.6、かつ、−0.5<2δ<+0.5)で表
され、かつ複数の価数を取り得るAイオンとBイオンが
それぞれ規則配列をした一般式A2-X 3+2+X 4+
7+(X/2)+Y(但し、−0.4<X<+0.6、かつ、−
0.2<Y<+0.2)のパイロクロア型酸化物の蛍石
型構造から見た酸素欠損位置または侵入型位置の少なく
とも一方に酸素イオンが挿入されたパイロクロア関連構
造酸化物のいずれかである可視光域でも触媒活性を有す
る光触媒であることを特徴とする第1、2の発明記載の
二液型光触媒塗料を提供するものである。
【0011】第4の発明は、第2の発明記載の光触媒含
有塗膜の形成方法により形成されたことを特徴とする光
触媒含有塗膜を提供するものである。
【0012】さらに、第5の発明は、基材表面に形成さ
れたプライマー塗膜の上に光触媒含有塗膜が形成された
ことを特徴とする第4の発明記載の光触媒含有塗膜を提
供するものである。
【0013】第6の発明は、第1の発明記載の二液型光
触媒塗料を構成するA液とB液とを混合して光触媒塗料
組成物を調製した後、短時間のうちに、表面にプライマ
ー塗膜が形成された基材に前記光触媒塗料組成物を塗布
し、乾燥、硬化させることを特徴とする第5の発明記載
の光触媒含有塗膜の形成方法を提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳述する。
【0015】本発明に係る光触媒は、互いに光触媒特性
を持ちかつ少なくとも一方が可視光域でも光触媒特性を
持つp型酸化物半導体とn型酸化物半導体から成るヘテ
ロ接合を有する酸化物複合体で構成されることを特徴と
している。
【0016】そして、酸化物複合体の一方を構成する可
視光域でも光触媒特性を持つp型酸化物半導体として
は、Bイオンよりも低価数の陽イオンCが最大50モル
%の範囲でドープされた一般式A2+4+ 1-x3+ x3-δ
(但し、0<X≦0.5、かつ、0<δ<0.5)で表
されると共に、一般式中、Aイオンはアルカリ土類金属
元素から選択された1種以上の元素、Bイオンはランタ
ノイド、IVa族元素、IVb族元素から選択された1種以
上の元素、Cイオンはランタノイド、IIIa族元素、III
b族元素から選択された1種以上の元素である水素を水
素イオンとして溶解保持することのできるペロブスカイ
ト型酸化物、あるいは、窒化チタン(TiN)と酸化チ
タン(TiO2)を混合粉砕し、焼成処理後、再度粉砕
して得られる窒素がドープされた酸化チタン等が挙げら
れる。
【0017】アルカリ土類元素を含む上記一般式A2+
4+ 1-x3+ x3-δで表されるペロブスカイト型酸化物に
おいては、Bイオンサイトにより低価数の陽イオンCを
ドープすると、生じた正孔を介して水素が水素イオンと
して溶解するため600℃以上では高温プロトン(水素
イオン)伝導体となることが知られている。本発明者等
は、このような酸化物を光触媒に用いた場合、水素イオ
ンの溶解サイトは無数にあり活性であるため、飛躍的に
光触媒活性が増大することを見出した。また、陽イオン
Cのドープによりエネルギーバンドギャップ内に形成さ
れたアクセプター準位、および、陽イオンCのドープに
より生成が促進された外部雰囲気に起因した不純物準位
を介した電子の励起が可能になるため、エネルギーバン
ドギャップよりも低いエネルギーの可視光に対して有効
に光触媒作用を有する材料となることを見出している。
【0018】ここで、一般式ABO3で表されるペロブ
スカイト構造の酸化物(ペロブスカイト酸化物)はよく
知られているが、上記ペロブスカイト構造とは、厳密に
は立方単位格子を有し空間群Pm3mに属する構造であ
り、この構造をとる酸化物はそれ程多くない。多くのペ
ロブスカイト酸化物においては、単位格子は歪んで立方
単位格子からずれているため、ペロブスカイト型酸化物
と称される。
【0019】一方、p型酸化物半導体としてペロブスカ
イト型酸化物が適用された場合のn型酸化物半導体とし
ては、例えば、ルチル型若しくはアナターゼ型またはこ
れ等2つの型が混ざった酸化チタン、酸化亜鉛、酸化
錫、酸化ジルコニウム、チタン酸ストロンチウム、一般
式A2-X2+X8-2δ(但し、−0.4<X<+0.
6、かつ、−0.5<2δ<+0.5)で表され、かつ
複数の価数を取り得るAイオンとBイオンがそれぞれ規
則配列をした一般式A2-X 3+2+X 4+7+(X/2)+Y(但
し、−0.4<X<+0.6、かつ、−0.2<Y<+
0.2)のパイロクロア型酸化物の蛍石型構造から見た
酸素欠損位置または侵入型位置の少なくとも一方に酸素
イオンが挿入されたパイロクロア関連構造酸化物のいず
れか等が挙げら、また、窒素がドープされた酸化チタン
をp型酸化物半導体として適用した場合の上記n型酸化
物半導体としては、例えば、酸化錫、酸化ジルコニウ
ム、チタン酸ストロンチウム、および、上記パイロクロ
ア関連構造酸化物のいずれか等が挙げられる。
【0020】そして、上記p型酸化物半導体として一般
式A2+4+ 1-x3+ x3-δ(但し、0<X≦0.5、か
つ、0<δ<0.5)で表されるペロブスカイト型酸化
物粉末を用い、かつ、上記n型酸化物半導体としてアナ
ターゼ型酸化チタン粉末を用いた以下に述べる実施例か
ら次のことが確認されている。すなわち、上記ペロブス
カイト型酸化物粉末とアナターゼ型酸化チタン粉末を重
量比でZ:(1−Z)[但し、0<Z<1]となるよう
に混合し、かつ、700℃で1時間焼成処理した後、乳
鉢で粉砕して各実施例に係る粉末(光触媒)を先ず調製
した。
【0021】ヘテロpn接合ではp型酸化物半導体から
n型酸化物半導体へと電子が流れ、n型酸化物半導体か
らp型酸化物半導体へと正孔が流れることが知られてい
る。このとき、光励起された電子はp型酸化物半導体表
面へと移動し、これによりp型酸化物半導体表面に光触
媒反応に関わる分子及びイオンが吸着することを促進
し、その後、光触媒反応に関わる分子及びイオンがpn
接合部近くのn型酸化物半導体表面に崩れ広がってい
き、、この結果、光励起された電子はpn接合部の表面
(外界と接する側)を流れ、光励起された正孔はpn接
合部の中心を流れることになり、電子と正孔が空間的に
分離されることになって電子と正孔の再結合は起こり難
くなる。
【0022】また、光触媒反応に関わる分子及びイオン
のp型酸化物半導体表面への吸着が促進されると、n型
酸化物半導体中で光励起された電子もヘテロpn接合表
面へ引き寄せられ、電子と正孔の空間的分離は一層進行
する。p型酸化物半導体中の可視光で励起された電子は
n型酸化物半導体である酸化チタンへと流れて光触媒に
寄与するため、可視光のエネルギーも有効に利用するこ
とができる。
【0023】更に、電子がpn接合部において光触媒反
応を起こすことができるため、反応に関与する電子のエ
ネルギーは酸化チタン中の電子のエネルギーより高くな
る等、ヘテロpn接合を有する酸化物複合体の光触媒作
用には種々の利点がある。例えば、水の分解にも有利に
働く可能性を有している。
【0024】同様の現象は、n型酸化物半導体が可視光
域において光触媒特性を持ち、p型酸化物半導体がより
短波長域において光触媒特性を持つヘテロpn接合を有
する酸化物複合体においても出現する。
【0025】ここで、本発明においてp型酸化物半導体
として適用される一般式A2+4+ 1- x3+ x3-δ(但
し、0<X≦0.5、かつ、0<δ<0.5)で表され
るペロブスカイト型酸化物粉末は、通常の固相法、すな
わち原料となる各金属成分の酸化物又は炭酸塩や硝酸塩
等の塩類を目的組成比で混合し、焼成することで合成で
きるが、それ以外の湿式法あるいは気相法で合成しても
よい。
【0026】Bサイトにアクセプタ−としてドープされ
るBイオンよりも低価数の陽イオンCのドープ量につい
ては0<X≦0.5であることを要する。Xの値が0.
5を越えた場合、異相の析出量が増えてしまうため光触
媒性能が低下してしまうからである。
【0027】ここで、現在、入手可能な例えばZrO2
には不可避的に0.9〜2.0モル%程度のHfO2
含まれており、HfO2を含んだ状態でZrO2の秤量が
行われているが、最終的に調製された化合物の光触媒特
性を悪化させてはいない。
【0028】上記ペロブスカイト型酸化物の出発試料粉
末は、混合後、恒温槽で100〜140℃で乾燥し、空
気などの酸素含有ガス中、1350〜1450℃で10
〜50時間仮焼される。仮焼後、乳鉢等で粉砕し、遊星
回転ミル等で混合する。その後、200〜300MPa
の圧力で圧粉成形し、空気などの酸素含有ガス中、14
50〜1650℃で50〜60時間焼成することにより
得られる。
【0029】得られたp型酸化物半導体としてのペロブ
スカイト型酸化物を乳鉢などで粉砕して粉状にし、以下
の比較例で示す通常の方法で得られたアナターゼ型酸化
チタンの粉末と重量比でZ:(1−Z)[但し、0<Z
<1]の割合となるように計り取り、乳鉢あるいはボー
ルミル等を用いて混合する。
【0030】混合した試料を300〜1200℃で5分
から2時間程度焼成して、ヘテロpn接合を有する酸化
物複合体を調製する。焼成温度が300℃より低くなる
と良好なpn接合が得られない場合があり、1200℃
より高くなると異種の反応相が生成することがあり、光
触媒性能が低下してしまう場合がある。
【0031】尚、ヘテロpn接合を有する上記酸化物複
合体を得る方法としては、上述した方法以外に以下の方
法も例示できる。すなわち、p型酸化物半導体であるペ
ロブスカイト型酸化物微細粉体の表面に、例えば、水酸
化チタン、水酸化亜鉛、水酸化錫、水酸化ジルコニウ
ム、オキシ水酸化チタン、オキシ水酸化亜鉛、オキシ水
酸化錫、オキシ水酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化
亜鉛、酸化錫、酸化ジルコニウム、チタン酸ストロンチ
ウム等を化学的に析出させる方法である。この場合、当
然のことながら300〜1200℃の熱処理を必要とす
る。
【0032】次に、本発明に係るヘテロpn接合を有す
る光触媒の形状は、光を有効に利用するために比表面積
の大きい粒子からなることが望ましく、一般には各粒子
の大きさは0.1〜10μm、より好ましくは0.1〜
1μmが適当である。このような粒径のヘテロpn接合
を有する酸化物複合体粉末を得る慣用的な手段として
は、乳鉢を用いた手粉砕、あるいはボールミル、遊星回
転ボールミルを用いて、p型酸化物半導体であるペロブ
スカイト型酸化物の粉砕、および、n型酸化物半導体で
ある酸化チタンの粉砕を先ず行い、得られた2種類の粉
末を秤量、混合、焼成して上記ヘテロpn接合を有する
酸化物複合体を得た後、再度粉砕を行って最終的な試料
粉末を得る。
【0033】本発明の光触媒含有塗膜の形成方法は、上
記、互いに光触媒特性を持ち、かつ、真空準位を基準と
したエネルギーバンド構造における伝導帯底部の電子の
エネルギーレベルと価電子帯頂上の電子のエネルギーレ
ベルがそれぞれ異なる酸化物半導体(I)と(II)によ
る接合部を有する酸化物複合体により構成されると共
に、少なくとも一方の酸化物半導体が可視光域でも光触
媒特性を持つ光触媒であって、上記酸化物複合体が、p
型酸化物半導体とn型酸化物半導体から成るヘテロ接合
を有する酸化物複合体で構成されることを特徴とする可
視光域でも触媒活性を有する光触媒であって、上記p型
酸化物半導体が、アクセプターをドープすることで生じ
た正孔を介し水素を水素イオンとして溶解保持すること
のできるペロブスカイト型酸化物で構成され、かつ、上
記n型酸化物半導体が、ルチル型若しくはアナターゼ型
またはこれ等2つの型が混ざった酸化チタン、酸化亜
鉛、酸化錫、酸化ジルコニウム、チタン酸ストロンチウ
ム、一般式A2-X2+X8-2δ(但し、−0.4<X<
+0.6、かつ、−0.5<2δ<+0.5)で表さ
れ、かつ複数の価数を取り得るAイオンとBイオンがそ
れぞれ規則配列をした一般式A2-X 3+2+X 4+
7+(X/2)+Y(但し、−0.4<X<+0.6、かつ、−
0.2<Y<+0.2)のパイロクロア型酸化物の蛍石
型構造から見た酸素欠損位置または侵入型位置の少なく
とも一方に酸素イオンが挿入されたパイロクロア関連構
造酸化物のいずれかである、可視光域でも触媒活性を有
する光触媒の微粒子を含有するA液と、メチル基を含む
オルガノモノシラン及びメチル基を含むオルガノシラン
オリゴマーからなる群から選択された少なくとも1種を
溶媒に溶解させたB液とをそれぞれ調製しておき、上記
A液と上記B液とを混合して光触媒塗料組成物を調製し
た後、短時間のうちに基材上に上記光触媒塗料組成物を
塗布し、乾燥、硬化させることを特徴とするものであ
る。
【0034】上記A液中の光触媒物質の含有量は、1〜
30重量%が好ましい。A液は、前記光触媒物質の微粒
子が均一に分散しているものが好ましく、そのため前記
光触媒物質のスラリー等を希釈してA液を調製した際
に、分散安定剤やpH調整剤等を添加してもよい。
【0035】上記A液中には、HLB(Hydroph
ile−Lipophile Balanceの略称)
が7.0〜17.0のノニオン系界面活性剤が含まれて
いてもよい。ここで、HLBは、親水性と親油性とのバ
ランスを表しており、ノニオン系界面活性剤のHLB
は、下記の式(1)で表される。 ノニオン系界面活性剤のHLB= (親水基部分の分子量/界面活性剤の分子量)×(100/5)・・・(1) 界面活性剤として、ノニオン系のものを使用するのは、
界面活性剤がアニオン系やカチオン系のものであると、
上記光触媒物質の微粒子の安定化を妨害し、そのため微
粒子が凝集してしまい、形成する塗膜の透明性が失われ
るからである。従って、HLBが大きいと、親水性基の
部分の割合が大きく、親水性が大となる。特に、HLB
が7以上であると、そのノニオン系界面活性剤は、浸透
作用、可溶化作用等を有することとなる。
【0036】HLBが7.0未満のものでは、ノニオン
系界面活性剤の親水性が充分でないため、前記光触媒物
質や水とのなじみが悪くなり、充分な透明性を有する塗
膜が得られない場合がある。一方、HLBが17.0を
超えると、反対にノニオン系界面活性剤の疎水性が殆ど
失われてくるため、疎水性の強いバインダーになじみに
くく、バインダーの分散が悪くなり、塗膜の透明性や均
質性が失われてくる場合がある。HLBが7.0〜1
7.0であるノニオン系界面活性剤は、疎水性と親水性
のバランスが良好であり、光触媒塗料組成物中の全ての
化合物の分散性を良好にすることができ、その結果、形
成される塗膜は、透明性及び均質性に優れる。ノニオン
系界面活性剤は、HLBが8.0〜17.0のものがよ
り好ましい。
【0037】HLBが7.0〜17.0のノニオン系界
面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリ
ルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリ
オキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレ
ン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンオクチ
ルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエー
テル、ポリオキシエチレン誘導体、ソルビタンモノラウ
レート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレー
ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、
ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリ
オキシエチレンソルビタンモノオレエート、テトラオレ
イン酸ポリオキシエチレンソルビット、ポリエチレング
リコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノ
オレエート等の化合物が挙げられる。
【0038】これらノニオン系界面活性剤の具体例とし
ては、例えば、レオドールTW−L120、TW−L1
06、TW−P120、TW−S120、TW−O12
0、TW−O320、エマルゲンLS−106、LS−
110、LS−114、MS−110、903、90
5、909、910、911、920、930(以上、
花王(株)製)等が挙げられる。上記ノニオン系界面活
性剤は、B液中に含まれていてもよい。その含有量は、
全塗料組成物中0.1〜5.0重量%が好ましく、0.
3〜2.0重量%がより好ましい。
【0039】また、上記A液中には、例えば、タルク、
硫酸バリウム、炭酸カルシウム、マイカ、アルミナ等の
顔料が含まれていてもよい。また、着色された塗膜を形
成したい場合には、A液にカーボンブラック、酸化鉄、
黄鉛、酸化クロム等の着色顔料を添加してもよい。これ
ら顔料や着色顔料は、単独で用いてもよく、2種以上を
併用してもよい。
【0040】形成した塗膜中にこれらの顔料が含まれて
いると、基材に対する密着性や硬度等の特性が向上す
る。上記顔料の含有量は、顔料/〔B液中のメチル基を
含むオルガノモノシラン及びメチル基を含むオルガノシ
ランオリゴマーからなる群から選択された少なくとも1
種に含まれるSiをSiO2 に換算した値(以下、「S
iO2 換算値」という)〕で、60/40〜10/90
が好ましい。上記ノニオン系界面活性剤や上記顔料は、
B液中に含まれていてもよい。
【0041】B液は、メチル基を含むオルガノモノシラ
ン及びメチル基を含むオルガノシランオリゴマーからな
る群から選択された少なくとも1種を溶媒に溶解させた
ものである。
【0042】上記メチル基を含むオルガノモノシラン
は、 一般式(3):(CH3 )4-a SiXa (式中、Xは、アルコキシル基又はハロゲン原子であ
り、aは、2又は3である)で表される。上記アルコキ
シル基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プ
ロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられ、上記ハロゲン原
子としては、例えば、Cl、Br等が挙げられる。
【0043】上記一般式(3)で表されるオルガノモノ
シランとしては特に限定されず、例えば、メチルトリク
ロルシラン、メチルトリブロムシラン、メチルトリメト
キシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイ
ソプロポキシシラン、メチルトリt−ブトキシシラン、
ジメチルジクロルシラン、ジメチルジブロムシラン、ジ
メチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等
が挙げられる。
【0044】上記メチル基を含むオルガノシランオリゴ
マーは、上記オルガノモノシラン等が重合した重合体で
あって、Si原子同士は、酸素を介して、Si−O−S
iの形で結合され、Si原子に、メチル基、アルコキシ
ル基等が結合しているオリゴマーをいう。
【0045】上記オルガノシランオリゴマーは、通常、
数百以下の重合度を有するものであるが、20以上の重
合度を有し、分子量が1700以上のものが好ましい。
これらメチル基を含むオルガノモノシラン及びメチル基
を含むオルガノシランオリゴマーは、単独で用いてもよ
く、2種以上を併用してもよい。
【0046】上記メチル基を含むオルガノモノシラン又
はメチル基を含むオルガノシランオリゴマー(以下、オ
ルガノモノシラン等ともいう)は、上記光触媒物質のバ
インダーとしての役割を果たすものである。上記B液中
の上記オルガノモノシラン等の含有量は、SiO2 換算
値で1〜10重量%が好ましい。
【0047】また、A液中の前記光触媒物質とB液中の
オルガノノシラン等との重量比は、90/10〜10/
90が好ましく、80/20〜20/80がより好まし
い。従って、このような割合になるように、A液とB液
との量を調整する。
【0048】上記オルガノモノシラン等を溶解するため
の溶媒としては特に限定されず、例えば、メタノール、
エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n
−ブタノール、i−ブタノール、t−ブタノール等のア
ルコール類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘ
キサン、シクロオクタン、ノナン、デカン等の脂肪族系
炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベ
ンゼン等の芳香族系炭化水素類、エチルセロソルブ、ブ
チルセロソルブ等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチ
ル等の酢酸エステル類、アセトン、メチルメソブチルケ
トン等のケトン類等が挙げられる。これら溶媒のなかで
は、室温でも比較的大きな蒸気圧を有し、乾燥時に蒸発
し易いものが好ましく、メタノール、エタノール、n−
プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール等が
好ましい。これら溶媒は、単独で用いてもよく、2種以
上を併用してもよい。
【0049】上記B液中には、塩酸、硫酸等の酸、アン
モニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカ
リ、酸化亜鉛、塩化亜鉛等の亜鉛化合物、四塩化チタ
ン、チタニウムテトラ−n−ブトキシド、チタニウムテ
トラ−i−プロポキシド、チタニル硫酸等のチタン化合
物、四塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム等の
ジルコニウム化合物等の硬化触媒が含まれていてもよ
い。これらのなかでは、チタン化合物が好ましく、四塩
化チタンがより好ましい。これらの触媒は、単独で用い
てもよく、2種以上を併用してもよい。
【0050】上記B液中の上記オルガノモノシラン等と
硬化触媒(Ti化合物を使用した場合)との割合は、S
iO2 換算値100重量部に対し、硬化触媒中のTiを
TiO2 に換算した値(以下、「TiO2 換算値」とい
う)で、0.3〜20重量部が好ましく、0.8〜5.
0重量部がより好ましい。上記硬化触媒は、A液中に含
まれていてもよい。
【0051】本発明の光触媒含有塗膜の形成方法におい
ては、上記した成分及び濃度になるように、A液及びB
液を調製した後、このA液とB液とを混合し、光触媒塗
料組成物を調製する。混合方法としては特に限定されな
いが、A液及びB液は希薄溶液であるので、簡単な攪拌
装置を用い混合時間を短時間にしても、充分に均一に混
合される。上記方法により調製した光触媒塗料組成物
を、短時間に基材表面に塗布し、乾燥、硬化させる。
【0052】光触媒塗料組成物を調製してから、基材表
面に上記光触媒塗料組成物を塗布するまでの時間は、混
合を開始してから1時間以内に塗布するのが好ましく、
30分以内がより好ましい。混合開始から1時間を超え
ると、密着性、透明性、光触媒性能等の特性が劣化し始
め、数時間で要求特性を満足し得ない塗膜が形成されて
しまうからである。
【0053】光触媒性能に関しては、混合開始から30
分以内に塗布を行ったものでは、短時間で光触媒機能が
発現しているが、時間が数時間と長くなるにしたがって
光触媒機能が発現するまでの時間が長くなり、光触媒性
能自体も弱くなっている。従って、大きな面積に塗布を
行い、混合を開始してから塗布を終了するまでに30分
以上かかる場合には、A液とB液の混合を何回かに分け
て行うことが好ましい。
【0054】上記塗布方法としては特に限定されず、例
えば、スプレーコーティング法、ディップコーティング
法、フローコーティング法、ロールコーティング法、ス
ピンコーティング法、刷毛塗り、スポンジ塗り等が挙げ
られる。乾燥時に加熱処理を施すことにより、より早く
乾燥、硬化させることもできるが、このような加熱処理
を施さず、常温で乾燥、硬化させても、光触媒性能等の
特性に優れた塗膜を形成することができる。
【0055】本発明の光触媒含有塗膜の基材が、ガラ
ス、金属、セラミックス、コンクリート等の光触媒によ
り変質しにくいものである場合には、上記方法を用い、
直接、基材表面に光触媒含有塗膜を形成することができ
る。
【0056】上記光触媒含有塗膜の形成方法により形成
された塗膜は、1μm以下の極めて薄い塗膜であり、速
乾性の塗料として用いることができる。すなわち、常温
での乾燥時間が10分程度であればハンドリング性は何
ら問題がなく、その後通常の雰囲気中で放置しておくこ
とにより加水分解反応が進行し、約24時間後に加水分
解反応及び縮合反応が終了する。
【0057】作業効率を上げるために、50〜150℃
程度の温度で加熱することにより、短時間で乾燥、硬化
させてもよい。光触媒性能は、1μm以下の薄い塗膜が
形成された場合により強くなるため、比較的厚い塗膜を
形成したい場合には、塗布を繰り返して塗膜を厚くする
ことが好ましい。
【0058】このように本発明の光触媒含有塗膜の形成
方法により形成された塗膜は、密着性、透明性等の特性
に優れた光触媒含有塗膜であり、これを再現性良く形成
することができる。また、形成された光触媒含有塗膜
は、可視光域で光触媒活性を有する光触媒として機能す
る光触媒物質を含有するため、強力な酸化作用を有し、
塗膜表面に種々の有機物からなる汚物が付着した際に
は、上記酸化作用により有機物を分解し、塗膜表面が汚
染されるのを防止することができる。
【0059】工業的に光触媒含有塗膜を形成する際に
は、予め調製されたA液とB液とからなる二液型光触媒
塗料を塗装現場に運び、簡単な攪拌装置で混合した後、
塗布を行う方法をとるのが好ましい。
【0060】塗膜を形成する基材がプラスチックやソー
ダガラス等からなる場合には、基材上に光触媒物質を含
む塗膜を直接形成すると、光触媒物質の強力な酸化作用
のため、基材自身が酸化されて劣化したり、基材から移
動してくる化学物質により酸光触媒物質の光触媒機能が
阻害される場合がある。そこで、まず、基材上に前記光
触媒物質により劣化しないプライマー塗膜を形成し、こ
のプライマー塗膜の上に、光触媒含有塗膜を形成する必
要がある。
【0061】すなわち、本発明の2層型光触媒含有塗膜
の形成方法は、表面にプライマー塗膜が形成された基材
に上記光触媒塗料組成物を塗布し、乾燥、硬化させるこ
とを特徴とするものである。プライマー塗膜を形成する
際には、下記のプライマー組成物を用いて基材表面に塗
布し、乾燥、硬化させる。
【0062】プライマー組成物としては、例えば、メチ
ル基を含むオルガノモノシラン及びメチル基を含むオル
ガノシランオリゴマーからなる群から選択された少なく
とも1種及び溶媒からなるシラン系プライマー組成物、
シリコーン変成ウレタン樹脂及び溶媒からなるウレタン
系プライマー組成物等が挙げられる。
【0063】上記シラン系プライマー組成物において、
上記メチル基を含むオルガノモノシラン又はメチル基を
含むオルガノシランオリゴマーとしては、上記二液型光
触媒塗料を構成するB液に用いられているものと同様の
ものを使用することができる。溶媒も、上記B液に用い
られている溶媒と同様のものを使用することができる。
上記シラン系プライマー組成物におけるメチル基を含む
オルガノモノシラン及びメチル基を含むオルガノシラン
オリゴマーからなる群から選択された少なくとも1種の
含有量は、SiO2 換算値で5〜15重量%が好まし
い。
【0064】上記ウレタン系プライマー組成物に含まれ
るシリコーン変性ウレタン樹脂は、低分子量のシリコー
ン樹脂と低分子量のウレタン樹脂とのブロック共重合体
であり、上記シリコーン樹脂と上記ウレタン樹脂とは、
例えば、両樹脂の末端に存在するイソシアネート基とシ
ラノール基との反応により形成された結合(−NHCO
OSi−)で結合されている。
【0065】上記シリコーン樹脂の種類は特に限定され
ず、例えば、末端に反応性基を有する低分子量のシリコ
ーン樹脂であれば、いずれのものも使用が可能である。
また、ウレタン樹脂の種類も限定されず、例えば、通
常、塗料用のウレタン樹脂として使用されている種類の
もので、低分子量のものであればいずれのものも使用が
可能である。
【0066】上記ウレタン系プライマー組成物中に含ま
れる溶媒としては特に限定されず、例えば、酢酸エチ
ル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類、メタノール、エタ
ノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブ
タノール、i−ブタノール、t−ブタノール等のアルコ
ール類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサ
ン、シクロオクタン、ノナン、デカン等の脂肪族系炭化
水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼ
ン等の芳香族系炭化水素類、エチルセロソルブ、ブチル
セロソルブ等のエーテル類、アセトン、メチルメソブチ
ルケトン等のケトン類等が挙げられる。
【0067】これら溶媒のなかでは、塗膜を形成した
後、塗膜中又は表面に溶媒が微量残留した場合でも、第
2層の塗料組成物との親和性に優れる酢酸エステル類、
芳香族系炭化水素類が好ましい。これら溶媒は、単独で
用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0068】上記ウレタン系プライマー組成物中のシリ
コーン変性ウレタン樹脂の含有量は、固形分換算で10
〜70重量%が好ましく、溶媒の含有量は、30〜90
重量%が好ましい。
【0069】上記ウレタン系プライマー組成物は、上記
溶媒のほかに、例えば、オルガノモノシラン等のシラン
カップリング剤;オルガノシランオリゴマー;タルク、
炭酸カルシウム等の顔料等を含んでいてもよい。また、
上記プライマー組成物がオルガノモノシラン等を含む場
合には、硬化触媒として、酸、アルカリ、亜鉛化合物、
チタン化合物、ジルコニウム化合物等を含んでいてもよ
い。
【0070】上記プライマー組成物を用いてプライマー
塗膜を形成する際には、通常、上記プライマー組成物
を、プラスチック板等に塗布した後、常温で数十分〜数
時間乾燥させる。これにより、べたつきがなく、基材と
の密着性に優れた塗膜を形成することができる。塗膜形
成後に、プラスチック等が変質しない程度の温度で加熱
処理を施すことにより、より早く乾燥、硬化させること
ができることは勿論である。
【0071】上記プライマー組成物の塗布形成方法とし
ては特に限定されず、例えば、スプレーコーティング
法、ディップコーティング法、フローコーティング法、
ロールコーティング法、スピンコーティング法、刷毛塗
り、スポンジ塗り等の方法が挙げられる。
【0072】本発明の2層型光触媒含有塗膜の形成方法
においては、上記方法により基材表面にプライマー塗膜
を形成した後、又は、プライマー塗膜を形成する前に、
二液型光触媒塗料を構成するA液とB液とを混合して光
触媒塗料組成物を調製し、その後短時間のうちに、プラ
イマー塗膜が形成された基材に塗布し、乾燥、硬化させ
る。
【0073】上記二液型光触媒塗料を構成するA液とB
液とは、上記した光触媒含有塗膜の形成方法において使
用したものと同様のものを使用することができる。ま
た、A液とB液とを用いた光触媒塗料組成物の調製方
法、及び、上記方法により調製された光触媒塗料組成物
を用いた塗布方法も上記光触媒含有塗膜の形成方法と同
様である。したがって、A液とB液との混合を開始して
から1時間以内に塗布するのが好ましく、30分以内が
より好ましい。
【0074】上記工程により形成されたプライマー塗膜
は、基材との密着性に優れるとともに、その上に形成さ
れる光触媒含有塗膜との密着性にも優れる。また、基材
表面にプライマー塗膜を形成することにより、光触媒含
有塗膜は、直接、基材と接触しないため、塩化ビニルの
ようなプラスチック製基材であっても、酸化による基材
の劣化が進行しない。
【0075】また、ソーダガラスのようなアルカリを含
有する基材に、塗膜を形成した場合であっても、上記第
1層のプライマー塗膜により、基材からのアルカリの溶
出を抑えることができ、アルカリによる光触媒性能の低
下を防止することができる。また、石膏や発泡コンクリ
ート等の多孔性基材表面に第1層プライマー塗膜を形成
することにより、光触媒含有塗膜が基材中にしみこむの
を防止することができる。
【0076】上記プライマー塗膜の上に形成された光触
媒含有塗膜は、強力な前記光触媒機能を有する物質を含
有するため、酸化作用を有し、塗膜表面に種々の有機物
からなる汚物が付着した際には、上記酸化作用により有
機物を分解し、塗膜表面が汚染されるのを防止すること
ができる。
【0077】本発明の光触媒含有塗膜及び2層型光触媒
含有塗膜が形成される基材は特に限定されず、例えば、
ガラス、金属、セラミックス、コンクリート、プラスチ
ック、木、石、セメント等が挙げられる。具体的には、
例えば、車両用バックミラー、浴室用鏡等の鏡、眼鏡の
レンズ、写真機のレンズ等のレンズ、プリズム、建物等
の窓ガラス、自動車、鉄道車両等の乗物の窓ガラス、ス
ポーツ用ゴーグル、スポーツ用マスク等に光触媒含有塗
膜を形成することにより、汚れ等を防止することができ
る。
【0078】また、建築物の外壁材や内壁材、窓枠、窓
ガラス、構造部材、種々の機械装置や電気機器、交通標
識、広告塔、橋梁、ガードレール、トンネル、便器、浴
槽、洗面台、照明器具、台所用品、食器、ブラウン管、
磁気記録用テープ、フレキシブルディスク等の有機物等
による汚れを防止することが好ましいと考えられる全て
の物品に適用することができる。
【0079】本発明の光触媒含有塗膜及び形成方法を用
いれば、形成した塗膜を常温で乾燥、硬化させることが
できるので、加熱により変形し易いプラスチック等を基
材に用いた場合でも、塗膜を形成することが可能であ
り、かつ、塗膜形成時に加熱処理用の設備を必要としな
いため、安価に塗膜を形成することができる。
【0080】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。
【0081】[実施例1] (第1工程)光触媒の調製 [Ca(Zr0.950.05)O3-δの調製] (原料) CaCO3粉末(高純度科学研究所株式会社
製、純度99.99%、ig.-loss0.04%):5.2
126g、 ZrO2粉末(三徳金属工業株式会社製、ZrO2+Hf
2の純度度99.60%、ig.-loss0.51%):
6.1693g Y23粉末(高純度科学研究所株式会社製、純度99.
9%、ig.-loss2.07%):0.3001g 尚、上記「ig.-loss」は、水分、吸収物等によるロスを
示している。
【0082】(混合処理)1:秤量後の各粉末試料をジ
ルコニア製乳鉢を用い、エタノールを加え1.5時間混
合した。
【0083】2:混合後の試料を乾燥後、ジルコニア製
ポットに入れ、遊星回転ボールミルを用いて40分間粉
砕した。
【0084】(乾燥処理) 粉砕後の試料を恒温槽で1
20℃で30分以上乾燥させた。
【0085】(仮焼処理) 乾燥後の試料を、ロジウム
/白金製るつぼに入れ、大気中、1350℃で10時間
仮焼した。
【0086】(再粉砕・混合・乾燥処理) 仮焼後、乳
鉢で再粉砕し、遊星回転ミルで混合した。その後、先の
乾燥と同条件で乾燥した。
【0087】(成形処理) 265MPaの圧力で17
mmφの円盤状に成形した。
【0088】(焼成処理) 成形後の試料をロジウム/
白金製るつぼに入れ、大気中、1650℃で50時間焼
成した。
【0089】(粉砕処理) 焼成後、ジルコニア乳鉢で
1時間粉砕して試料粉末を得た。
【0090】(水素溶解) このようにして調製された
焼成物には水素がイオンとして溶解していた。また、焼
成物の組成は、Ca(Zr0.950.05)O3-δ(δの値
は、0<δ<0.5内の数値である。以下、同様)であ
った。
【0091】(アナターゼ型酸化チタンの製造)硫酸チ
タン溶液を用い、アンモニアをアルカリ処理溶液として
水酸化物の沈殿を生成させ、かつ、この沈殿物を、大気
中、650℃で1時間の条件で焼成処理してアナターゼ
型の酸化チタン(n型酸化物半導体)を得た。
【0092】(pn接合を有する酸化物複合体の製造) (混合処理) 上記方法で調製されたアナターゼ型の酸
化チタン(n型酸化物半導体)とCa(Zr
0.950.05)O3-δ(p型酸化物半導体)を次の重量比
で採取し、ジルコニア乳鉢を用いて乾式で30分間混合
した。 酸化チタン:0.7220g、Ca(Zr0.950.05
3-δ:0.0802g(重量比90:10) (焼成処理) 混合後の試料をそれぞれロジウム/白金
製のるつぼに入れ、大気中、700℃の条件で1時間焼
成した。
【0093】(粉砕処理) 得られた焼成物をジルコニ
ア乳鉢を用いて乾式で30分間粉砕して試料粉末を得
た。 (第二工程)光触媒塗料組成物、光触媒含有塗膜の作製
法 こうして調整された光触媒スラリー(TiO2:Ca
(Zr0.950.05)O3-δ(重量比90:10))含有
量:40重量%、硝酸酸性:pH1以下)100重量部
に純水600重量部を加えてよく攪拌したたものをA液
とした。次に、アルコール混合溶液(エタノール/i−
プロパノール/n−ブタノール=45/45/10;重
量比)290重量部にメチルトリメトキシシラン24重
量部を加え、よく攪拌したものをB液とした。
【0094】次に、ビーカーにA液とB液とを入れ、攪
拌機で2分間混合して光触媒塗料組成物を調製した後、
予め表面をアルカリ脱脂剤(メルクジャパン社製のエク
スランMA01を純水で20倍に希釈したもの)で洗浄
したステンレス鋼板(100mm×200mm×0.0
5mm)に、ディップコーティング法を用いて上記光触
媒塗料組成物を塗布した。塗布後、常温で24時間放置
し塗膜を形成した。その後、下記する種々の試験を行
い、塗膜の性能を評価した。混合時間、放置時間及び塗
膜の評価結果を表1に示した。
【0095】[実施例2] 光触媒をTiO2:Ca(Zr0.95Ga0.05)O3-δ
(重量比80:20)とした以外は実施例1と同様にし
て光触媒塗料組成物を調製し、ステンレス鋼板に上記光
触媒塗料組成物を塗布した後、常温で2分間放置した。
その後、110℃で20分間乾燥して塗膜を形成し、さ
らに24時間放置した後、下記の種々の試験を行い、塗
膜の性能を評価した。混合時間及び塗膜の評価結果を表
1に示した。
【0096】[実施例3]混合時間を表1に示した時間
とした他は、実施例1と同様に光触媒塗料組成物を調製
し、ステンレス鋼板に上記光触媒塗料組成物を塗布し、
形成された塗膜について、下記の種々の試験を行い、塗
膜の性能を評価した。評価結果を表1に示した。
【0097】[比較例1〜3] (光触媒アナターゼ型酸化チタンの調整)硫酸チタン溶
液を用い、アンモニアをアルカリ処理溶液として、水酸
化物の沈殿を生成させ、焼成は、大気中、650℃、1時間
行い、アナターゼ型の酸化チタンを得た。これを光触媒
とし、混合時間を下記の表1に示した時間とした他は、
実施例1と同様に塗料組成物を調製し、ステンレス鋼板
に上記塗料組成物を塗布し、形成された塗膜について、
下記の種々の試験を行い、塗膜の性能を評価した。評価
結果を表1に示した。
【0098】[比較例4] 光触媒をTiO2:Ca(Zr0.95Ga0.05)O3-δ
(重量比80:20)とし、実施例1と同様にビーカー
にA液とB液とを入れ、攪拌機で4時間混合して光触媒
塗料組成物を調製した後、実施例1と同様にして光触媒
塗料組成物を調製し、ステンレス鋼板に上記光触媒塗料
組成物を塗布した。常温で2分間放置した。その後、1
10℃で20分間乾燥して塗膜を形成し、さらに24時
間放置した後、下記の種々の試験を行い、塗膜の性能を
評価した。混合時間及び塗膜の評価結果を表1に示し
た。(評価方法) (1)透明性 形成された塗膜の透明性を目視により観察し、以下のよ
うな基準で評価を行った。 ○:完全に透明である △:若干透明性に欠ける ×:著しく透明性に欠ける (2)密着性 形成された塗膜にセロハンテープを圧着した後、一気に
セロハンテープを剥がし、セロハンテープへの塗膜の付
着具合により、塗膜の密着性を評価した。 ○:セロハンテープに塗膜がほとんど付着しない △:セロハンテープに塗膜が少し付着する ×:セロハンテープに塗膜がほぼ全部付着する (3)赤インキ分解性(有機物分解性) アセトンで脱脂した50ミリリットルのガラス製ビーカ
ーの内面に、上記実施例及び比較例において調製した塗
料組成物を刷毛で塗布し、24時間室温で放置した。こ
のビーカーに、市販の赤インキ(パイロット社製)を純
水で0.1重量%に希釈した液50ミリリットルを入
れ、2日間光源:下方照射型500WXeランプ光(フ
ィルター:可視光を照射する場合はL42カットフィル
ターを使用して、波長>420nmの光を照射)を照射
し、赤インキの色を観察し、以下のように評価した。 ◎:完全に無色透明である ○:薄いピンク色である △:薄いオレンジ色である ×:照射前と変わらないオレンジ色である (4)親水性 上記実施例及び比較例において形成された光触媒含有塗
膜に、光源:下方照射型500WXeランプ光(フィル
ター:可視光を照射する場合はL42カットフィルター
を使用して、波長>420nmの光を照射)を照射し
た。次に、試料表面の水との接触角を測定し、以下のよ
うな基準で評価を行った。 ◎:水との接触角が10°以下である ○:水との接触角が11〜30°である △:水との接触角が31〜60°である ×:水との接触角が61°以上である
【0099】
【表1】
【0100】[実施例4〜7]実施例4,6,7の光触
媒は実施例1と同様にし、実施例5の光触媒は実施例2
と同じにした。混合時間、放置時間を表2に示した時間
とし、実施例1と同様に光触媒塗料組成物を調製し、ス
テンレス鋼板に上記光触媒塗料組成物を塗布し、塗膜を
形成した。この後、親水性の評価を行った。表2には、
この測定結果に基づき、接触角が10°以下になる時間
を記載している。
【0101】[比較例5〜7]比較例5,6の光触媒は
比較例1と同様にし、比較例7の光触媒は実施例2と同
じにした。混合時間、放置時間を表2に示した時間と
し、実施例1と同様に光触媒塗料組成物を調製し、ステ
ンレス鋼板に上記光触媒塗料組成物を塗布し、塗膜を形
成した。この後、親水性の評価を行った。下記の表2に
は、この測定結果に基づき、接触角が10°以下になる
時間を記載している。 (評価方法) (1)親水性 上記実施例4〜7及び比較例5〜7において形成された
光触媒含有塗膜に、光源:下方照射型500WXeラン
プ光(フィルター:可視光を照射する場合はL42カッ
トフィルターを使用して、波長>420nmの光を照
射)を照射し、時間毎に試料表面の水との接触角を測定
し、接触角が10°以下になる時間を求めた。
【0102】A液とB液とを混合して光触媒塗料組成物
を調製した後、30分以内に塗布し、乾燥、硬化させる
ことにより、密着性、透明性、光触媒性能等の特性に優
れた塗膜を再現性良く形成することができた。また、上
記表2に示した評価結果より明らかなように、本発明の
光触媒塗料を用いれば、水との接触角が10°以下にな
る時間が早く、より短時間の光照射で光触媒機能が発現
した。
【0103】
【表2】
【0104】
【発明の効果】本発明の光触媒含有塗膜及びその形成方
法は、上述の構成よりなるので、基材上に密着性、透明
性、可視光域で触媒活性を有する光触媒性能等の特性に
優れた塗膜を再現性良く形成することができる。また、
本発明の2層型光触媒含有塗膜の形成方法は、上述の構
成よりなるので、プライマー塗膜が形成された基材上
に、密着性、透明性、光触媒性能等の特性に優れた塗膜
を再現性良く形成することができる。また、上記方法に
よれば、基材上にプライマー塗膜を介して光触媒含有塗
膜を形成するので、基材がプラスチック等であっても、
基材を変質させたり、光触媒機能が阻害されることはな
い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B05D 5/00 B05D 5/00 H 7/24 302 7/24 302A 302Y C09D 5/00 C09D 5/00 Z 183/04 183/04 E04B 1/64 E04B 1/64 Z (72)発明者 小俣 孝久 大阪府吹田市山田丘2−1 大阪大学大学 院工学研究科内 Fターム(参考) 2E001 DH25 FA04 GA06 HA04 HA11 HA14 HD11 4D075 BB24Z BB26Z CA34 DC02 DC05 EA05 EA12 EB01 EB42 4G069 AA03 AA08 BA04A BA04B BA27A BA27B BA48A BB06A BB06B BC09B BC17B BC40B BC51B CA10 DA06 EA08 FB07 4J038 DL031 HA216 KA04 KA12 KA14 KA20 NA05 NA18 PA07 PA18 PB05 PC02 PC03 PC04 PC08

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光触媒含有塗膜の形成に用いる二液型光
    触媒塗料において、互いに光触媒特性を持ち、かつ、真
    空準位を基準としたエネルギーバンド構造における伝導
    帯底部の電子のエネルギーレベルと価電子帯頂上の電子
    のエネルギーレベルがそれぞれ異なる酸化物半導体
    (I)と(II)による接合部を有する酸化物複合体によ
    り構成されると共に、少なくとも一方の酸化物半導体が
    可視光域でも光触媒特性を持つ光触媒であって、上記酸
    化物複合体が、p型酸化物半導体とn型酸化物半導体か
    ら成るヘテロ接合を有する酸化物複合体で構成されるこ
    とを特徴とする可視光域でも触媒活性を有する光触媒の
    微粒子を含有するA液と、メチル基を含むオルガノモノ
    シラン及びメチル基を含むオルガノシランオリゴマーか
    らなる群から選択された少なくとも1種を溶媒に溶解さ
    せたB液とからなることを特徴とする二液型光触媒塗
    料。
  2. 【請求項2】 互いに光触媒特性を持ち、かつ、真空
    準位を基準としたエネルギーバンド構造における伝導帯
    底部の電子のエネルギーレベルと価電子帯頂上の電子の
    エネルギーレベルがそれぞれ異なる酸化物半導体(I)
    と(II)による接合部を有する酸化物複合体により構成
    されると共に、少なくとも一方の酸化物半導体が可視光
    域でも光触媒特性を持つ光触媒であって、上記酸化物複
    合体が、p型酸化物半導体とn型酸化物半導体から成る
    ヘテロ接合を有する酸化物複合体で構成されることを特
    徴とする可視光域でも触媒活性を有する光触媒の微粒子
    を含有するA液と、メチル基を含むオルガノモノシラン
    及びメチル基を含むオルガノシランオリゴマーからなる
    群から選択された少なくとも1種を溶媒に溶解させたB
    液とをそれぞれ調製しておき、前記A液と前記B液とを
    混合して光触媒塗料組成物を調製した後、短時間のうち
    に基材上に前記光触媒塗料組成物を塗布し、乾燥、硬化
    させることを特徴とする光触媒含有塗膜の形成方法。
  3. 【請求項3】 請求項1、2記載の光触媒において、可
    視光域でも光触媒特性を持つ上記p型酸化物半導体が、
    アクセプターをドープすることで生じた正孔を介し水素
    を水素イオンとして溶解保持することのできるペロブス
    カイト型酸化物で構成され、かつ、上記n型酸化物半導
    体が、ルチル型若しくはアナターゼ型またはこれ等2つ
    の型が混ざった酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ジ
    ルコニウム、チタン酸ストロンチウム、一般式A2-X
    2+X8-2δ(但し、−0.4<X<+0.6、かつ、−
    0.5<2δ<+0.5)で表され、かつ複数の価数を
    取り得るAイオンとBイオンがそれぞれ規則配列をした
    一般式A2-X 3+2+X 4+ 7+(X/2)+Y(但し、−0.4<
    X<+0.6、かつ、−0.2<Y<+0.2)のパイ
    ロクロア型酸化物の蛍石型構造から見た酸素欠損位置ま
    たは侵入型位置の少なくとも一方に酸素イオンが挿入さ
    れたパイロクロア関連構造酸化物のいずれかである可視
    光域でも触媒活性を有する光触媒であることを特徴とす
    る請求項1,2記載の二液型光触媒塗料。
  4. 【請求項4】 請求項2記載の光触媒含有塗膜の形成
    方法により形成されたことを特徴とする光触媒含有塗
    膜。
  5. 【請求項5】 基材表面に形成されたプライマー塗膜の
    上に光触媒含有塗膜が形成されたことを特徴とする請求
    項4記載の光触媒含有塗膜。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の二液型光触媒塗料を構成
    するA液とB液とを混合して光触媒塗料組成物を調製し
    た後、短時間のうちに、表面にプライマー塗膜が形成さ
    れた基材に前記光触媒塗料組成物を塗布し、乾燥、硬化
    させることを特徴とする請求項5記載の光触媒含有塗膜
    の形成方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003104342A1 (ja) * 2002-06-11 2003-12-18 有限会社セラミック・クラフト 塗料組成物
CN114643188A (zh) * 2022-03-16 2022-06-21 陕西科技大学 一种构筑高效可见光自清洁涂层的方法

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