JP2003153461A - ハイブリッド電源を搭載した移動体 - Google Patents
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Abstract
て、主電源の出力低下時に補助電源による走行距離の延
伸を図る。 【解決手段】 車両に燃料電池30を主電源、バッテリ
20を補助電源として搭載する。燃料電池30の異常な
出力低下が検出された場合には、次の方法により、バッ
テリ20の電力消費を抑制する。第1にバッテリ20か
ら補機への電力を抑制する。第2にバッテリ20からの
電力の出力効率の低下を回避するよう、電流の最大値を
制限する。第3にモータ41の運転効率が低下しないよ
う、運転可能な回転数、トルクを制限する。こうするこ
とにより、バッテリ20での走行距離の延伸を図ること
ができる。
Description
電源および補助電源からなるハイブリッド電源を搭載し
た移動体に関する。
目されている。燃料電池は、高効率であるものの、要求
される電力の変動に対する応答性が低いという短所が存
在する。応答性を高めるため、燃料電池以外に補助電源
を搭載し、補助電源からの電力で燃料電池の応答遅れを
補償するハイブリッド電源の搭載も提案されている。こ
のようなハイブリッド電源を搭載した車両では、故障な
どにより、主電源である燃料電池の出力が低下した場合
でも、補助電源によってある程度は走行することができ
る。
電源による走行距離は十分とは言えなかった。主電源の
出力低下時には、修理可能な場所まで車両を退避させる
ために、補助電源による走行距離が十分に確保されてい
ることが好ましい。かかる課題は、燃料電池を主電源と
する場合に限らず、主電源と補助電源とを併用するハイ
ブリッド電源に共通の課題であった。また、車両に限ら
ず、種々の移動体で共通の課題であった。
のであり、ハイブリッド電源を搭載した移動体におい
て、主電源の出力低下時に補助電源による走行距離の延
伸を図ることを目的とする。
発明では、移動体において、駆動力を出力するための電
動機と、電動機に電力を供給するための主電源および補
助電源とを備え、主電源の異常な出力低下が検出された
場合には、補助電源の電力消費を抑制する。電力消費の
抑制は、補助電源自体の制御または補助電源に接続され
た回路系の少なくとも一部を制御することにより実現さ
れる。このように主電源の異常時に補助電源の電力消費
を抑制することにより、補助電源での走行距離の延伸を
図ることができる。
舶、航空機などが含まれる。主電源の異常は、出力また
は温度を監視することで検出可能である。例えば、出力
値が出力要求値に満たない場合、出力値が予め設定され
た所定値を下回る場合、温度が予め設定された適正範囲
を超える場合などに異常と判断することができる。主電
源とは、複数の電源のうち、最も出力が大きい電源を意
味する。主電源および補助電源は、複数存在してもよ
い。
を採ることができる。例えば、以下に示す3つの態様の
一つを選択してもよいし、複数を組み合わせて用いても
良い。
およびトルクの範囲内で運転されるよう電動機を制御す
るものとしてもよい。このように電動機の運転範囲を制
限することにより、無条件で電動機を運転する場合に比
較して、電力消費を抑制することができる。
合、その範囲は、補助電源が出力可能な電力の残量に応
じて設定することが好ましい。こうすることで、電力の
消費を抑制しつつ、残量に応じた広い運転範囲を確保す
ることができる。
基づいて設定してもよい。こうすることにより、運転効
率の高い領域で電動機を運転することが可能となり、電
力の消費を抑制することができる。
量に基づいて設定してもよい。一般に電動機は、温度の
上昇に伴い運転効率が低下する。従って、電動機におけ
る発熱量を抑制することにより、運転効率の悪化を抑制
し、消費電力を抑制することができる。なお、発熱量に
基づいて運転範囲を設定する場合には、併せて電動機の
冷却効率を考慮することが好ましい。例えば、冷却可能
な熱量を発熱量が下回る場合には、電動機の温度上昇を
抑制することができ、運転効率の低下を抑制することが
できるからである。
ある場合には、補助電源から出力される電流を所定値以
下に抑制するものとしてもよい。一般に二次電池では、
出力電流が高くなると、電力の出力効率が低下する。従
って、出力される電流に上限値を設けることにより、二
次電池に残された電力を効率的に利用することが可能と
なる。
力を供給可能である場合には、補助電源から補機の一部
への電力供給を低減するものとしてもよい。こうするこ
とにより補助電源による電力消費を抑制することができ
る。電力供給の低減には、補機への電力供給の停止も含
まれる。電力の供給を抑制または停止する補機は、移動
体の運転への重要性を考慮して優先順位を設けることが
できる。例えば、操舵系、制動系に関連する補機につい
ては、可能な限り電力の供給を維持することが好まし
い。一方、空調系、照明系、音響系などの補機について
は、優先的に電力を抑制等することができる。
池を用いることができる。また、本発明は、移動体の
他、移動体の電源システム、移動体または電源システム
の制御方法など種々の態様で構成することができる。本
発明について上述した特徴点は、適宜、組み合わせた
り、その一部を省略したりすることも可能である。
下の順序で説明する。 A.システム構成: B.運転制御処理: B1.モータの発熱に基づく制限: B2.バッテリの最大電流に基づく制限: B3.モータの運転効率に基づく制限: C.効果: D.変形例:
車両の概略構成を示す説明図である。車両は、燃料電池
30を主電源、バッテリ20を補助電源とするハイブリ
ッド電源を搭載している。電源から供給される電力は、
インバータ40によって三層交流に変換され、モータ4
1に供給される。モータ41には、種々のタイプを適用
可能であるが、本実施例では三層同期モータを適用し
た。モータ41の動力は、回転軸42を介して車輪43
L、43Rに伝達され、車両を駆動する。
であるが、本実施例では、固体高分子膜型を用いた。燃
料電池30の水素極には、水素が水素タンク33から供
給され、酸素極には空気が供給される。水素および空気
を供給するためのポンプは、補機31に含まれている。
補機31は、燃料電池30およびバッテリ20の電力に
よって駆動される。これらの電源から出力される電力
は、DC/DCコンバータ32によって電圧を下げられ
た上で、補機31に供給される。なお、補機31には、
上述のポンプの他、いわゆるパワーステアリング、ブレ
ーキを動作させるためのオイルポンプ、空調機器などが
含まれる。
ト10によって制御される。制御ユニット10は、内部
にCPU、メモリなどを備えたマイクロコンピュータと
して構成されている。運転制御を実行するために、制御
ユニット10には、種々の信号が入力されている。入力
信号としては、例えば、バッテリ20の残容量SOCを
検出するセンサ21の信号、車速を検出するセンサ13
の信号、燃料電池30の温度を検出するセンサ34の信
号などが含まれる。出力信号としては、例えば、インバ
ータ40およびDC/DCコンバータ32の動作状態を
制御するための制御信号が含まれる。
フローチャートである。制御ユニット10が所定のタイ
ミングで繰り返し実行する処理である。この処理が開始
されると、制御ユニット10は、トルク指令値、車速、
およびSOCを入力する(ステップS10)。トルク指
令値は、アクセルの踏み込み量などに対応づけて設定さ
れる。
異常の有無を判断する(ステップS11)。異常は、例
えば、燃料電池30の温度、出力の急激な低下などに基
づいて判断することができる。
ユニット10は、指定されたトルク指令値、車速でモー
タ41を駆動する(ステップS16)。モータ41は、
例えば、周知のベクトル制御により制御することができ
る。
ユニット10は、燃料電池30の出力を制限する(ステ
ップS12)。出力の制限には、燃料電池30の運転も
含まれる。制御ユニット10は、また、以下に示す2つ
の方法で、バッテリ20の消費電力を抑制するための処
理を行う。バッテリ20による走行距離の延長を図り、
車両の待避、修理場所への移動を可能とするためであ
る。
制御ユニット10は、補機の運転を抑制する(ステップ
S13)。運転抑制とは、不要な補機の停止または出力
低下を意味する。対象となる補機としては、空調機器、
照明系統、音響系統など、車両の走行に直接影響を与え
ない補機が含まれる。また、燃料電池30の運転が停止
されている場合には、燃料電池30に水素および空気を
供給するための補機の運転を停止してもよい。
制御ユニット10は、モータ41の運転制限範囲を設定
し(ステップS14)、入力されたトルク指令値がこの
範囲に収まるよう、トルク指令値に制限を施す(ステッ
プS15)。こうして制限されたトルク指令値、車速に
基づいて、制御ユニット10はモータ41の駆動を制御
する(ステップS16)。
テリ20の最大電流、モータ41の運転効率をそれぞれ
考慮して設定される。ステップS14では、これらの3
つに基づいて設定された制限を全て満足する範囲が、運
転制限範囲として設定される。
モータの発熱を考慮した運転制限範囲の設定方法を示す
説明図である。図の上方に示す通り、モータ41の運転
効率は、その温度に依存する。一般に温度が高くなるに
つれて運転効率は低下し、特に高温状態では運転効率が
急激に低下する(図中の領域A)。従って、バッテリ2
0の電力消費を抑制するためには、モータ41の温度上
昇を抑えることが好ましい。
いた差分は、モータ41で発生する熱量に相当する。こ
の熱量がモータ41の冷却量以下である場合には、モー
タ41の温度は上昇しない。モータ41の冷却機構によ
る冷却量を、モータ41に供給される電力で正規化した
冷却効率を図中に示した。この値は、冷却機構に応じて
異なる。冷却効率と運転効率とが交差する点における温
度Tlimが、温度上昇を招くことなくモータ41を運
転できる上限温度となる。
トルクTrに応じて変動するから、上述の上限温度は、
回転数とトルクに応じて求めることができる。こうして
得られた上限温度を横軸に回転数、縦軸にトルクをとっ
た平面にプロットし、等温度線を求めることにより、モ
ータ41の温度に応じた運転制限範囲を求めることがで
きる。
曲線Climは、モータ41の運転可能な限界を示して
いる。曲線Ct1〜Ct3は、等温度線を示している。
この順序で温度が低くなる。モータ41の温度が比較的
低い場合には、曲線Ct3内の広範囲で運転をすること
ができ、比較的高い場合には、曲線Ct1のように運転
範囲が制限される。かかるマップを予め用意しておくこ
とにより、制御ユニット10は、モータ41の温度に基
づき、運転範囲を制限することができる。
図4はバッテリ20の最大電流を考慮した運転制限範囲
の設定方法を示す説明図である。一般にバッテリ20
は、電流が大きくなる程、電圧が降下する特性を有して
いる。大電流出力時の電圧の降下は、バッテリ20から
の電力の出力効率の低下を意味する。従って、出力され
る最大電流を制限することにより、バッテリ20の消費
電力を抑制することができる。
可能ではあるが、本実施例では、バッテリ20の残容量
SOCに基づいて設定した。図示する通り、SOCが比
較的高く余裕がある状態では、電流の制限値I1は大き
い値となる。SOCが比較的小さく余裕が少ない状態で
は、電流の制限値I2は小さい値となる。
での制限を示した。最大電流の制限は、バッテリ20か
ら出力される電力の制限に相当し、モータ41の動力の
制限に相当する。曲線Cw1、Cw2は、それぞれ最大
電流I2,I2に基づく制限に対応する。車両は、これ
らの曲線Cw1、Cw2よりも低トルク側に運転領域が
制限される。
5はモータの運転効率に基づく運転制限範囲の設定方法
を示す説明図である。曲線Climは、モータ41が運
転可能な限界を示している。破線で示した曲線Ce1〜
Ce3は、それぞれモータ41の運転効率が一定の回転
数NおよびトルクTrを与えている。運転効率は、曲線
Ce3、Ce2、Ce1の順に高くなる。
トルクを選択すると、曲線Ae1が得られる。モータ4
1の運転効率を最優先する場合には、曲線Ae1上のト
ルクで運転することが好ましい。
効率の低下を許容することにより、曲線Ae2、Ae3
を設定することができる。曲線Ae2で挟まれた領域内
で運転する場合には、曲線Ae1よりもトルクの設定値
に自由度がある反面、運転効率が低くなることがある。
曲線Ae3で挟まれた領域内で運転する場合には、トル
クの設定値に自由度がある反面、更に運転効率が低くな
ることがある。
範囲に応じて運転制限範囲を設定し、これをバッテリ2
0のSOCに応じて使い分けるものとした。SOCが比
較的低い場合には、曲線Ae1上など運転効率が高い領
域が運転制限範囲となる。SOCが比較的高い場合に
は、曲線Ae3など運転効率が低い領域が運転制限範囲
となる。
によれば、燃料電池30の出力が低下した場合に、バッ
テリ20の消費電力を抑制することができる。従って、
バッテリ20の残容量を有効活用することができ、車両
の運搬または待避を行うことができる。
熱、バッテリ20の最大電流、モータ41の運転効率を
考慮して運転制限範囲を設定しているが、これら3つの
要素の一部を省略しても差し支えない。
て運転制限範囲を変更しているが、SOCに依存しない
設定としてもよい。
テリ20が補助電源の場合を例示したが、本発明は、か
かる場合に限らず、2種類以上の電源を有するハイブリ
ッド電源を搭載した移動体において、主電源に異常が生
じた場合の制御処理に適用可能である。
したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その趣
旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができるこ
とはいうまでもない。例えば、以上の制御処理はソフト
ウェアで実現する他、ハードウェア的に実現するものと
してもよい。
ある。
法を示す説明図である。
囲の設定方法を示す説明図である。
方法を示す説明図である。
Claims (9)
- 【請求項1】 移動体であって、 駆動力を出力するための電動機と、 該電動機に電力を供給するための主電源および補助電源
と、 前記主電源の異常な出力低下を検出する異常検出部と、 該異常が検出された場合に、前記補助電源の電力消費を
抑制する抑制部とを備える移動体。 - 【請求項2】 請求項1記載の移動体であって、 前記抑制部は、予め設定された回転数およびトルクの範
囲内で運転されるよう前記電動機を制御する移動体。 - 【請求項3】 請求項2記載の移動体であって、 前記範囲は、前記補助電源が出力可能な電力の残量に応
じて設定されている移動体。 - 【請求項4】 請求項2記載の移動体であって、 前記範囲は、前記電動機の運転効率に基づいて設定され
ている移動体。 - 【請求項5】 請求項2記載の移動体であって、 前記範囲は、前記電動機における発熱量に基づいて設定
されている移動体。 - 【請求項6】 請求項1記載の移動体であって、 前記補助電源は、二次電池であり、 前記抑制部は、該補助電源から出力される電流を所定値
以下に抑制する移動体。 - 【請求項7】 請求項1記載の移動体であって、 前記補助電源は、補機にも電力を供給可能であり、 前記抑制部は、該補助電源から該補機の一部への電力供
給を低減する移動体。 - 【請求項8】 請求項1〜7いずれか記載の移動体であ
って、 前記主電源は、燃料電池である移動体。 - 【請求項9】 駆動力を出力するための電動機と、該電
動機に電力を供給するための主電源および補助電源とを
備える移動体の運転を制御する制御方法であって、 前記主電源の異常な出力低下を検出する工程と、 該異常が検出された場合に、前記補助電源の電力消費を
抑制する工程とを備える制御方法。
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