JP2003149416A - マルチ偏光ビームスプリッタ装置及びそれを用いた投射型プロジェクタ装置 - Google Patents

マルチ偏光ビームスプリッタ装置及びそれを用いた投射型プロジェクタ装置

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JP2003149416A
JP2003149416A JP2001350937A JP2001350937A JP2003149416A JP 2003149416 A JP2003149416 A JP 2003149416A JP 2001350937 A JP2001350937 A JP 2001350937A JP 2001350937 A JP2001350937 A JP 2001350937A JP 2003149416 A JP2003149416 A JP 2003149416A
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pbs
light
beam splitter
prism
polarization beam
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JP2001350937A
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Masahiko Tanitsu
雅彦 谷津
Koji Hirata
浩二 平田
Futoshi Yamazaki
太志 山崎
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、光学システムを大型化する
ことなく、消光比、即ち、コントラスト性能を改善した
色分離合成系及びそれを用いた投射型プロジェクタ装置
を実現することが課題である。 【解決手段】 従来のPBS面の反射面の後方に、透過
PBS面を隣接し配置する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、反射型液晶パネル
を用いた投射型プロジェクタ装置に関する。この投射型
プロジェクタ装置は、前面投射のいわゆる液晶プロジェ
クタや、背面から投射する投射型テレビといった分野に
広く利用できる。
【0002】
【従来の技術】業務用途の液晶プロジェクタが大きく普
及してきている。また,従来のブラウン管に表示された
画像をスクリーンに投影する方式の画像表示装置に代わ
るものとして、液晶表示素子を用いた投射型テレビの開
発が行われてきた。
【0003】液晶プロジェクタや、家庭用の投射型テレ
ビで映画などの動画を楽しむ場合には、その動画表示に
対応した高速応答性の良い画像表示素子が望まれる。
【0004】近年、この条件を満たす反射型液晶パネル
(LCOS)が開発されてきた。ところで、透過型液晶
パネルの場合は,液晶をいわゆるシャッターとして作用
させることによって、いわゆる、ON/OFF作用を実
現していたが、反射型液晶パネルではそのシャッター作
用は期待できない。
【0005】図8から図11を用いて、反射型液晶パネ
ルでの従来の技術について説明する。
【0006】図10は、反射型液晶パネルの直前に偏光
ビームスプリッタ(以下PBSと称す)を配置した構成
図である。図10において、反射型液晶パネル22の前
にPBS面142を有するPBS14が配置され、PB
S14の左方より偏光方向をS偏光に揃えた照明光学系
の光束(色1)がPBS14に入射する。PBS14の
PBS面142でS偏光である入射光束は反射され、反
射型液晶パネル22に照射される。反射型液晶パネル2
2のある画素がON(画素での反射光が明るい場合をい
う)のときは、偏光状態はP偏光に変換され、今度は、
PBS面142を透過し、後続の投射レンズ(図示せ
ず)に入射する。一方、画素がOFF(画素での反射光
が暗い場合をいう)のときは、偏光状態がS偏光のまま
なので、PBS面142で再び反射し、後続の投射レン
ズ(図示せず)に入射しない。
【0007】ところで、図10では、P偏光透過の光束
が投射レンズに入射するPBSの構成なので、ON光束
であるP偏光の透過率をOFF光束であるS偏光の透過
率で割った値を消光比あるいは偏光比として定義する。
この消光比は、PBS14のコントラスト性能を示す性
能項目である。この消光比を劣化させる第1の要因はP
BS14の膜の性能、或いは、PBS14へ入射する照明
光学系のF値であり、第2の要因はPBS14を構成す
るプリズム材料の複屈折の問題である。
【0008】一般の反射防止コーティングの場合と同様
に、膜数を増やすことによってある任意の入射角度(通
常、光軸に平行な光線)に対する理想的な膜性能を得る
ことができる。しかしながら、その設計中心からずれた
入射角度に対する膜性能は理想状態から徐々に遠ざかっ
ていく。一方、明るいプロジェクタの実現のためには、
照明光学系のF値は小さいことが望ましい。F値が小さ
いとは、PBS14への入射光束の最大入射角度が大き
いことであり、消光比、即ち、コントラスト性能が劣化
する。
【0009】一方、PBS14を構成するプリズム自体
の加工工程、その接着工程や、保持工程等によって内部
応力が生じ、プリズム内部の光学的異方性によって複屈
折が生じる。図10の場合で、反射型液晶パネル22で
反射したOFFの光はS偏光のままであり、本来、PB
S面142で反射されるべきところが、複屈折によって
P偏光に偏光状態が変換した成分はPBS面142を透
過してしまう。この結果、消光比、即ち、コントラスト
性能が劣化する。このことは、色合成光学系に用いたP
BSでも同様に問題となる。
【0010】図11は、反射型液晶パネル(図示せず)
を複数枚用いたシステムでの色合成光学系に用いたPB
S15の作用を説明する図である。色分離光学系(図示
せず)で分離された各色は、それぞれの色に対応した光
路に導かれ、各色に対応した反射型液晶パネル(図示せ
ず)で反射される。例えば、図11のように、ON光束
である色1の反射光をS偏光で下側から入射させ、色2
の反射光をP偏光でPBS15の左側から入射させる
と、PBS面152で、S偏光である色1は反射され、
P偏光である色2は透過する。その結果、右側へは合成
された光束が出射する。しかし、図11の場合でも図1
0と同様に、プリズム内部の光学的異方性によって複屈
折が生じる。例えば、S偏光である光1がPBS15に
入射後、複屈折でP偏光に変換されると、PBS面15
2を透過し、投射レンズ(図示せず)に入射しなくな
る。逆に、図10のPBS14で漏れたOFFの光束
(S偏光)が、図8で後述するように1/2波長板で偏
光方向を変えられてP偏光で、ON光束であるS偏光の
色1に混じって図11のPBS15に下側から入射した
場合には、同様に、複屈折でS偏光に変換されると、P
BS面152で反射され、投射レンズ(図示せず)に入
射してしまいコントラスト性能を劣化させる。
【0011】図10のPBS14と図11のPBS15
は、単板式や2板式等でも適用可能であるが、3板式の
色分離合成系に適用した場合について、図8と図9で説
明する。
【0012】図8は、白色光束の色分離と、反射型液晶
パネルでの反射と、そして、この反射光束の色合成まで
を示す基本構成図である。図8において、緑の光束を反
射し赤と青の光束を透過して緑光束と赤・青光束を分離
するダイクロイックプリズム31と、赤光束と青光束を
分離合成するPBS11と、PBS14と、色合成のP
BS15とは田の字状に配置されており、ダイクロイッ
クプリズム31とPBS11との間には青光束の偏光方
向を90度回転させるBロ−テ−タ41が設けられ、P
BS11とPBS15との間にはBロ−テ−タ42が設
けられ、ダイクロイックプリズム31とPBS14との
間にはBローテータ41と光路長をほぼ同一とするため
の光路長調整フィルタ61が設けられ、PBS14とP
BS15との間には、Bローテータ42と光路長をほぼ
同一とするためのダミーのガラスフィルタを付加した1
/2波長板51が設けられている。PBS11と14と
15はともにP偏光の光束を透過しS偏光の光束を反射
する。
【0013】以下、図8の動作について述べる。図8に
おいて、S偏光に揃えられた白色の照明系入射光束は、
ダイクロイックプリズム31の下側から入射される。ダ
イクロイックプリズム31は緑の光束を反射し赤と青の
光束を透過し分離する。
【0014】ダイクロイックプリズム31を透過した赤
の光束は、S偏光のままでBローテータ41を通過し、
PBS11のPBS面112で反射されて赤反射型液晶
パネル21に照射される。赤反射型液晶パネル21で反
射されたON光束はP偏光に変換される。今度は、PB
S11のPBS面112を透過し、Bローテータ42を
透過して、PBS15のPBS面152を透過する。
尚、OFF光束は赤反射型液晶パネル21で反射されて
もS偏光のままなので、PBS11のPBS面112で
反射され投射レンズ(図示せず)に入射しない。実際
は、PBS11とPBS15の消光比で、ON光束の一
部が投射レンズ(図示せず)に入射せずに、逆に、OF
F光束の一部が投射レンズ(図示せず)に入射し、コン
トラスト性能を劣化させる。
【0015】ダイクロイックプリズム31で反射された
緑の光束は、光路長調整フィルタ61を通ってPBS1
4に入射する。緑の光束はS偏光なのでPBS14のP
BS面142で反射されG反射型液晶パネル22に照射
される。G反射型液晶パネル22で反射されたON光束
はP偏光となり、今度は、PBS14のPBS面142
を透過する。次に、1/2波長板51でP偏光がS偏光
に変換され、PBS15に入射し、PBS15のPBS
面152で反射される。尚、OFF光束は緑反射型液晶
パネル22で反射されてもS偏光のままなので、PBS
14のPBS面142で反射され投射レンズ(図示せ
ず)に入射しない。実際は、PBS14とPBS15の
消光比で、ON光束の一部が投射レンズ(図示せず)に
入射せずに、逆に、OFF光束の一部が投射レンズ(図
示せず)に入射し、コントラスト性能を劣化させる。な
お、光路長調整フィルタ61は、赤光束と青光束の光路
中に配置してあるBローテータ41と光路長をほぼ同一
とするためのフィルタである。同様に、1/2波長板5
1においても、赤光束と青光束の光路中に配置してある
Bローテータ42と光路長をほぼ同一とするためのダミ
ーのガラスフィルタを付加している。
【0016】ダイクロイックプリズム31を透過した青
の光束は、Bローテータ41でS偏光がP偏光に変換さ
れ、PBS11のPBS面112を透過し青反射型液晶
パネル23に照射される。青反射型液晶パネル23で反
射されたON光束はS偏光となり、今度は、PBS11
のPBS面112で反射される。次に、Bローテータ4
2でS偏光がP偏光に変換され、PBS15に入射し、
PBS15のPBS面152を透過する。尚、OFF光
束は青反射型液晶パネル23で反射されてもP偏光のま
まなので、PBS11のPBS面112を透過し投射レ
ンズ(図示せず)に入射しない。実際は、PBS11と
PBS15の消光比で、ON光束の一部が投射レンズ
(図示せず)に入射せずに、逆に、OFF光束の一部が
投射レンズ(図示せず)に入射し、コントラスト性能を
劣化させる。
【0017】以上のように、白色光は赤・緑・青に色分
離され、各色に対応した反射型液晶パネルで反射され
て、ON光束は色合成され投射レンズ(図示せず)に入
射する。図8では、赤の光路上にはPBS11とPBS
15を、緑の光路上にはPBS14とPBS15を、青
の光路上にはPBS11とPBS15を、配置している
のでPBSが1個の場合よりも、総合的な消光比を大き
くできコントラスト性能が良くなる。しかし、更に、コ
ントラスト性能を改善するためには、そもそも消光比の
大きいPBSを用いるか、光路上に配置するPBSの個
数を増やすことが必要となる。
【0018】なお、図8において、ダイクロイックプリ
ズム31は、緑の光束を反射し赤と青の光束を透過して
緑光束と赤・青光束を分離するものであり、ダイクロイ
ックミラ−で構成してもよい。
【0019】図9は、投射レンズ(図示せず)を図で上
側に配置した構成を採用した場合の例であり、色合成の
ためのPBS15に入射させる各色の偏光状態を図8と
逆にしている。具体的には、赤の光束はBローテータ4
2をRローテータ43に置換することでP偏光からS偏
光に変換され、緑の光束は1/2波長板51を光路長調
整フィルタ62に置換することでP偏光のままとし、青
の光束はBローテータ42をRローテータ43に置換す
ることでS偏光のままとしている。構成は異なるが、消
光比、即ち、コントラスト性能の問題は図8と同様であ
る。
【0020】この問題を解決する手段として複屈折性能
を示す光弾性定数の絶対値が小さい材料を使用すること
が、特開平9−54213に示されている。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】特開平9−54213
では、PBSを構成するプリズムを、1.8以上の屈折
率を有するとともに、波長0.4μm〜0.7μmの入
射光に対し、光弾性定数の絶対値が1.5×10−8
/N以下の透光性材料と規定している。屈折率が
1.8以上ということは、一般的に窓ガラス等に使用さ
れている安価なBK7等がプリズムとして使用不可能と
なる。
【0022】また、特開平9−54213の中で、消光
比を改善する方法として、本来のPBSに加えて、補助
PBSを液晶パネルの入射側、或いは、出射側に配置す
る方法が示されており、補助PBSを液晶パネルの入射
側、或いは、出射側に配置した実施例が記載されてい
る。補助PBSによる消光比の改善効果は大きいが、P
BSブロックを2段以上重ねた結果、光学システムが大
型化・高コスト化する。反射型液晶パネルと投射レンズ
の間に配置する挿入プリズムの総厚が増えることによっ
て、投射レンズに必要なバックフォーカスが大きくな
り、投射レンズも大型化する。
【0023】本発明の目的は、光学システムを大型化す
ることなく、補助PBSの配置を規定することによって
消光比、即ち、コントラスト性能を改善した投射型プロ
ジェクタ装置を提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】PBS面を有し屈折率が
等しい2つのプリズムを以下の関係式を満足させた近接
配置の構成であるマルチPBSを設ける。 C<(A+B)/2 … (数1) 但し、PBS面を有する第1プリズムの高さをAとし、
PBS面を有する第2プリズムの高さをBとし、第1プ
リズムと第2プリズムの距離をCとしたとき、AとB
は、光軸上に投影した各プリズムの高さであり、Cは各
プリズム間の光軸上の距離おする。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、図1から図6を用いて本発
明の実施の形態について説明する。
【0026】図1は、本発明の実施の形態1である投射
型プロジェクタ装置の要部である色分離合成系の基本構
成図である。図2は、図1の色分離合成系を含む光学系
の全体構成図である。図3から図5は、本発明のマルチ
PBSの配置規定に関する説明図である。図6は、図1
の色分離合成系で用いたマルチPBSの構成である。反
射型液晶パネルの直前にマルチPBSを配置した実施の
形態であり、図1の3板式と異なる単板式等にも適用可
能である。図7は、図1の色分離合成系で用いたマルチ
PBSの構成である、色合成系にマルチPBSを配置し
た実施の形態であり、図1の3板式と異なる2板式等に
も適用可能である。
【0027】図2において、色分離合成系を含む光学系
はリフレクタ4を備えた光源であるランプ3から投射レ
ンズ2に向けて投射される光路上に、インテグレ−タ
5、偏光変換素子6、フォ−カスレンズ7、フィ−ルド
レンズ8、色分離合成系1、投射レンズ2が順に配置さ
れている。
【0028】光源であるランプ3から出射した自然光で
ある白色光はリフレクタ4で反射され、インテグレータ
5に入射する。インテグレータ5は、2次元状に並んだ
2組のレンズアレイで構成され、第1のレンズアレイに
含まれる各レンズ面上の光量分布を、一旦、第2のレン
ズアレイ上に2次光源として集光し、後続のフォーカス
レンズ7の作用で反射型液晶パネル(図2では図示せ
ず)上に重ね合わせる。フォーカスレンズ7の次に配置
したフィールドレンズ8では、照明光学系の射出瞳位置
を略無限大、いわゆる、テレセントリックにする。
【0029】インテグレータ5とフォーカスレンズ7の
間の偏光変換素子6は自然光である白色光を一旦、P偏
光とS偏光に分離し、片方の偏光の光束を1/2波長板
で偏光方向を変えて、1つの偏光方向に揃える作用を持
つ。尚、本実施の形態では、S偏光に揃えている。
【0030】また、インテグレータの方式としては、本
実施の形態とは異なるロッドレンズなどのライトトンネ
ルでも良く、その場合は、後続のレンズ系は、ロッドレ
ンズの出射面で一様になった光量分布を写像するリレー
レンズ系を配置することとなる。
【0031】フィ−ルドレンズ8を通過して色分離合成
系1に入射した光束は図示しない色分離系で色分離さ
れ、図示しない各色に対応した反射型液晶パネルに入射
し、反射型液晶パネルで光強度変調され、図示しない色
合成系で色合成され、投射レンズに入射し拡大されて図
示しないスクリ−ンに投影される。
【0032】図1は図2で示した色分離合成系の基本構
成図である。図1を用いて、図2の色分離合成系1の詳
細について説明する。
【0033】図1は、図8の色分離合成系において、緑
反射型液晶パネル22の前に配置されたPBS14をマ
ルチPBS12に、色合成のPBS15をマルチPBS
13に置き替えたものである。マルチPBS12と13
は、屈折率の等しい2つのプリズムの境界面にPBS膜
を隣接して2面形成したものである。なお、図1におい
て、図8に同一な部分には同一符号を付して、その説明
を省略する。
【0034】図1において、図8で述べたように、赤反
射型液晶パネル21からのON光束であるP偏光の反射
光はPBS11のPBS面112を通過し、Bローテー
タ42を通過してマルチPBS13に入射する。入射し
た赤の光束はP偏光なので、PBS13の透過PBS面
131とPBS面132を通過し、投射レンズ2(図示
せず)に入射する。逆に、赤反射型液晶パネル11の各
画素がOFFの場合は、反射光はS偏光のままなので、
PBS11のPBS面112で反射し、投射レンズ2
(図示せず)に入射しない。しかし実際の、PBS11
のPBS面112のPBS膜はS偏光の光束を100%
反射できず、従来の技術のままではS偏光の一部の光束
は透過し、消光比、即ち、コントラスト性能が劣化す
る。本実施の形態においては、赤反射型液晶パネル21
での赤の反射光の光路上には、S偏光を反射させP偏光
を透過させるPBS面112と透過PBS面131とP
BS面132を従来に比べ1面多い3面配置しており、
従来技術でのPBSの2個分とほぼ同等のスペースで、
総合的な消光比、即ち、コントラスト性能を大幅に改善
している。このマルチPBSの詳細構成は、図3から図
5を用いて、後述する。
【0035】次に、ダイクロイックプリズム31で反射
された緑(G)の光束は、マルチPBS12のPBS面
122で反射され、緑反射型液晶パネル22に照射され
る。緑反射型液晶パネル22の各画素がONの状態の場
合、反射光はP偏光に変換されるので、今度は、マルチ
PBS12のPBS面122を通過し、続いて、透過P
BS面121も通過する。次に、1/2波長板51でP
偏光がS偏光に変換されるので、マルチPBS13のP
BS面132で反射され、投射レンズ2(図示せず)に
入射する。逆に、緑反射型液晶パネル22の各画素がO
FFの場合は、反射光はS偏光のままなので、マルチP
BS12のPBS面122で反射され、投射レンズ2
(図示せず)に入射しない。しかし実際の、マルチPB
S12のPBS面122のPBS膜はS偏光の光束を1
00%反射できず、従来の技術のままではS偏光の一部
の光束は透過し、消光比、即ち、コントラスト性能が劣
化する。本実施の形態においては、緑反射型液晶パネル
22での緑の反射光の光路上には、S偏光を反射させP
偏光を透過させるPBS面122と透過PBS面121
とPBS面132を従来に比べ1面多い3面配置してお
り、従来技術でのPBSの2個分とほぼ同等のスペース
で、総合的な消光比、即ち、コントラスト性能を大幅に
改善している。
【0036】ダイクロイックプリズム31を透過した青
(B)の光束は、Bローテータ41を通過した後でP偏
光に変換されるので、PBS11のPBS面112を透
過し、青反射型液晶パネル23に照射される。青反射型
液晶パネル23の各画素がONの状態の場合、反射光は
S偏光に変換されるので、今度は、PBS11のPBS
面112で反射され、Bローテータ42でP偏光に変換
されてマルチPBS13に入射する。入射した青の光束
はP偏光なのでマルチPBS13の透過PBS面131
とPBS面132を通過し、投射レンズ2(図示せず)
に入射する。逆に、青反射型液晶パネル13の各画素が
OFFの場合は、反射光はP偏光のままなので、PBS
11のPBS面112を透過し、投射レンズ2(図示せ
ず)に入射しない。しかし実際の、PBS11のPBS
面112のPBS膜はP偏光の光束を100%透過でき
ず、従来の技術のままではP偏光の一部の光束は反射さ
れ、消光比、即ち、コントラスト性能が劣化する。本実
施の形態においては、青反射型液晶パネル23での青の
反射光の光路上には、S偏光を反射させP偏光を透過さ
せるPBS面112と透過PBS面131とPBS面1
32を従来に比べ1面多い3面配置しており、従来技術
でのPBSの2個分とほぼ同等のスペースで、総合的な
消光比、即ち、コントラスト性能を大幅に改善してい
る。
【0037】以上の構成によって、緑の光束はマルチP
BS12のPBS面で反射され緑反射型液晶パネル22
に照射される。そして、緑反射型液晶パネル22で反射
されたON光束がマルチPBS12のPBS面122に
続いて、隣接した配置した透過PBS面121も透過
し、消光比、即ち、コントラスト性能の改善を実現して
いる。
【0038】また、赤の光束と青の光束と、緑の光束を
合成するマルチPBS13においても、緑の光束はマル
チPBS13のPBS面132で反射され、一方、赤の
光束と青の光束は、マルチPBS13のPBS面132
で色合成される前に、マルチPBS13の透過PBS面
131を透過しており、消光比、即ち、コントラスト性
能の改善を実現している。
【0039】ここで、定量的な、消光比の改善効果につ
いて説明する。
【0040】PBSの消光比Aは、ON光束に対する透
過率T(P偏光でTp,S偏光でTs)或いは反射率R(P
偏光でRp,S偏光でRs)をOFF光束に対する透過率
或いは反射率で割った値で定義される。
【0041】本実施の形態では、赤反射型液晶パネル2
1を反射後の、P偏光のON光束はPBS面面112を
透過、透過PBS面131を透過、PBS面132を透
過なので、赤の光束に対する消光比は、A=(Tp/Ts)
となる。次に、緑反射型液晶パネル22を反射後の、
P偏光のON光束はPBS面122を透過、透過PBS
面121を透過、PBS面132を反射なので、緑の光
束に対する消光比は、A=(Tp/Ts)×(Rs/Rp)
となる。最後に、青反射型液晶パネル23を反射後の、
S偏光のON光束はPBS面112を反射、透過PBS
面131を透過、PBS面132を透過なので、青の光
束に対する消光比は、A=(Tp/Ts)×(Rs/Rp)
となる。ここで、赤・緑・青の各光路に配置したPBS
の透過率Tと反射率Rを同じ記号で記述したが、実際に
は、対象とする波長域でその値は厳密には異なる。これ
は、膜設計の問題と、加えて、PBSを構成するプリズ
ム材料の複屈折の違いによっても異なるが、ここの説明
では、その改善効果の説明が目的であるので、同じ値と
して同じ記号で説明する。
【0042】仮に、PBSの消光比を100とすると、
PBS面を3回用いることによって、総合的な消光比は
1,000,000となる。もし、PBS面を2回でこ
の総合的な消光比を実現するためには、消光比1,00
0のPBS面が必要となる。逆に、消光比4000のP
BS面を2回用いた総合的な消光比16,000,00
0は、本発明の構成によるPBS面を3回用いる場合で
は、(4,000 1/3=252で実現可能となる。
複屈折率の小さい特殊なガラスをプリズムに用いなくと
も、同等の消光比が実現可能となる。
【0043】ここで、PBSの消光比について、補足し
ておく。PBSを透過で使用する光学システムで、理想
状態からの透過率の劣化量をδT、理想状態からの反射
率の劣化量をδRとすれば、消光比Aは数2となる。
【0044】 A=(1−δT)/δR … (数2) ここで、透過率と反射率の劣化量を同じ量δT=δRと
すると、数3が得られる。 δR=1/(A+1) … (数3) 以下、消光比Aと透過率の関係を示す。 消光比A ON光の透過率(1−δT) OFF光の透過率(δR) 2000 99.95% 0.05% 1500 99.93% 0.07% 1000 99.90% 0.10% 500 99.80% 0.20% また、コントラスト性能を優先し、δT:δR=2:1
として、δRを小さした場合、消光比Aは数4、δR、
δTは数5となる。 A=(1−δT)/δR=(1−2δR)/δR … (数4) δR=1/(A+2),δT=2δR … (数5) 以下、同様に、消光比Aと透過率の関係を示す。 消光比A ON光の透過率(1−δT) OFF光の透過率(δR) 2000 99.90% 0.05% 1500 99.87% 0.07% 1000 99.80% 0.10% 500 99.60% 0.20% 即ち、消光比Aは、OFF光の透過率をいかに小さくす
るかで、決まる値である。実際は、明るさも考慮し、総
合的に定めることとなる。しかし、例えば、図1のPB
S11では、赤反射型液晶パネル21のONの反射光束
はP偏光で透過であり、コントラスト性能優先とはS偏
光の反射率を優先となる。しかし逆に、青反射型液晶パ
ネル23のONの反射光束はS偏光で反射なので、コン
トラスト性能優先とはP偏光の透過率を優先となる。従
って、赤と青の光束で、同時にコントラスト性能を優先
することは不可能であり、マルチPBSが有効な対策手
段となるのである。
【0045】ところで、マルチPBSのPBS面が近い
場合,この隣接したPBS面での多重反射が生じる。こ
の多重反射によるコントラスト性能への影響について説
明する。
【0046】下記の式の説明では、ON光束に対する透
過率を0.99、OFF光束に対する透過率を0.01
即ち消光比100として、式の内容が直感的にわかるよ
うにし、説明を行う。なお、以下で説明するON光束の
総合透過率をOFF光束の総合透過率で割った値がマル
チPBSの消光比となる。
【0047】緑光路のマルチPBS12と、赤光路・青
光路のマルチPBS13、すなわち、ON光束が透過光
の場合での多重反射によるOFF光束は、基準が2面透
過0.01で、多重反射ごとに反射0.99が掛か
るので、以下の式となる。 多重反射OFF光束=0.01 (0次光) +0.01×0.99 (1次光) +0.01×0.99 (2次光) … +0.01×0.992N (N次光) =0.01×(1−0.992N+2)/(1―0.99) 逆に、多重反射ON光束の場合は、基準が2面透過0.
99で、多重反射ごとに反射0.01が掛かるの
で、以下の式となる。 多重反射ON光束=0.99 (0次光) +0.99×0.01 (1次光) +0.99×0.01 (2次光) … +0.99×0.012N (N次光) ≒0.99 同様にして、緑光路のマルチPBS13、すなわち、O
N光束が反射光の場合での多重反射によるOFF光束
は、基準が1面反射0.01で、1次光が1面反射0.
01と2面透過0.99で、さらに、多重反射ごとに
反射0.01が掛かるので、以下の式となる。 多重反射OFF光束=0.01 (0次光) +0.01×0.99 (1次光) +0.01×0.99 (2次光) … +0.012N−1×0.99 (N次光) ≒0.01+0.01×0.99 =0.01×(1+0.99) 同様に、多重反射ON光束の場合は、基準が1面反射
0.99で、1次光が1面反射0.99と2面透過0.
01で、さらに、多重反射ごとに反射0.99 が掛
かるので、以下の式となる。 多重反射ON光束=0.99 (0次光) +0.99×0.01 (1次光) +0.99×0.01 (2次光) … +0.992N−1×0.01 (N次光) ≒0.99 多重反射の回数は、マルチPBSの大きさとマルチPB
Sを構成する2つのプリズムの間に挟まれた平板の厚さ
(マルチPBSの構成の詳細な説明は後述)、さらに、
光線が通過する場所によって異なる。本発明の実施の形
態では、マルチPBSサイズを□約30mm、間に配置
した平板の厚さを2mmとしたので、平均値に相当する
光軸上の光線で(30/2)/(2√2)≒5回の多重
反射が起きる。以下、多重反射5回の場合と、比較で、
多重反射10回と3回の場合の計算例を示す。
【0048】多重反射5回とした本発明の実施の形態に
ついて説明する。ON光束99.78%、OFF光束
0.22%である消光比456のPBSを用いると、R
/B光路の場合は、従来のPBS11の消光比456
と、マルチPBS13(ON光束が透過)の多重反射を
考慮した消光比35,037を掛けた値が総合の消光比
15,976,730となる。この値を従来のPBS2
組で実現するためには、平方根を取って、1個あたり
3,997の消光比であるPBSが必要となる。
【0049】同様に、G光路の場合は、マルチPBS1
2(ON光束が透過)の多重反射を考慮した消光比3
5,037と、マルチPBS13(ON光束が反射)の
多重反射を考慮した消光比228を掛けた値が総合の消
光比8,005,864となる。この値を従来のPBS
2組で実現するためには、平方根を取って、1個あたり
2,829の消光比であるPBSが必要となる。
【0050】即ち、多重反射が生じても、元々が消光比
456のPBSを本発明のマルチPBSに用いることに
よって、R/B光路では、消光比約4,000の従来P
BSを2段配置した場合と同等の総合的な消光比を実現
できる。G光路についても同様に、消光比約3,000
の従来PBSを2段配置した場合と同等の総合的な消光
比を実現できる。
【0051】尚、より小型化を狙い、間の平板の厚さを
薄くすると多重反射の回数が増える。しかし、間の平板
もしくは、2つのPBS面の間にある接着材の透過率を
小さくすることによって、総合的な消光比を改善でき
る。これは、正常なON光束が、平板や接着材を各1度
(透過系で)しか通過しないのに対して、多重反射光は
平板や接着材を複数回通過することに着目した対策手段
である。
【0052】以下に、多重反射回数5回と10回と3回
の場合について、算出結果を纏めて示す。
【0053】 多重反射回数 5回 消光比 456 ON光束 99.78% OFF光束 0.22% マルチPBS消光比(反射系) 228 多重OFF漏れ光(透過系) 0.003% マルチPBS消光比(透過系) 35,037 R/B光路の消光比 15,976,730 平方根(従来PBS換算) 3,997 G光路の消光比 8,005,864 平方根(従来PBS換算) 2,829 多重反射回数 10回 消光比 557 ON光束 99.82% OFF光束 0.18% マルチPBS消光比(反射系) 279 多重OFF漏れ光(透過系) 0.003% マルチPBS消光比(透過系) 28,713 R/B光路の消光比 15,993,186 平方根(従来PBS換算) 3,999 G光路の消光比 8,010,937 平方根(従来PBS換算) 2,830 多重反射回数 3回 消光比 399 ON光束 99.75% OFF光束 0.25% マルチPBS消光比(反射系) 200 多重OFF漏れ光(透過系) 0.002% マルチPBS消光比(透過系) 40,100 R/B光路の消光比 15,999,749 平方根(従来PBS換算) 4,000 G光路の消光比 8,019,899 平方根(従来PBS換算) 2,832 以上で説明したコントラスト性能は、厳密には、白と黒
のコントラスト性能に相当する。ところで、コントラス
ト性能としては、白黒の画面、いわゆる、チェスボード
表示時のコントラスト性能も重要である。本発明のマル
チPBS場合、複数のPBS面を隣接し配置したので、
この複数のPBS面での多重反射について説明する。
【0054】PBSに斜めからの光線が入射した場合と
して、小さい消光比100のPBS面、P偏光の透過率
99%、S偏光の透過率1%を仮定して、図1のPBS
12を用いて説明する。緑反射型液晶パネル22のON
の反射光束は、PBS面122と透過PBS面121を
通過するので、透過率98.0%(=0.99×0.9
9)となる。一方、PBS面122を透過し、透過PB
S面121で反射し、今度は、PBS面122で反射
し、最後に透過PBS面121を透過する多重反射光束
は、透過率9.8×10−3%(=0.99×0.01
×0.01×0.99)となる。従って、多重反射光束
は、正常光束の1/10000(=0.01×0.0
1)であり、チェスボード表示でのコントラスト性能は
ほとんど変化しない。
【0055】次に、図3から図5を用いて、マルチPB
Sの具体的な配置の実施形態について説明する。
【0056】図3は、隣接して配置する2つのPBS面
の位置関係を示す図である。図3で示すように、マルチ
PBSは、反射型液晶パネル20の前の光路上に配置さ
れた、斜面にPBS膜を形成した第1プリズム103
と、第1プリズム103の斜面に重ねて配置された平板
105と、平板105に重ねて配置された斜面にPBS
膜を形成した第2プリズム104とからなる。第1プリ
ズム103と第2プリズム104と平板105の屈折率
は等しい。この実施形態では、第1プリズム103の斜
面にPBS膜を、第2プリズム104の斜面にPBS膜
を形成し、平板105を間に接着材で挟んだ構成として
いる。反射型液晶パネル20で反射した光束は、同図の
点線で示したようにF値分の広がりを有しており、第1
プリズム103を小さく、第2プリズム104を大きく
している。そして、第1プリズム103と第2プリズム
104の位置関係を、下記の数1で規定することにより
小型化を実現している。 C<(A+B)/2 … (数1) 但し、PBS面を有する第1プリズムの高さをAとし、
PBS面を有する第2プリズムの高さをBとし、第1プ
リズムと第2プリズムの距離をCとする。なお、高さA
とBは光軸上に投影した長さで定義する。また、長さC
は光軸上の長さで定義する。
【0057】ところで、第1プリズム103と平板10
5の貼り合わせ面は、反射作用と透過作用を有するPB
S面であり、従来のPBSと同等の加工精度・組立精度
が必要である。しかし、本配置の特徴として、第2プリ
ズム104と平板105の貼り合わせ面は、基本的に透
過面として作用するので、面の傾きや曲面化等の部品精
度に対して許容値が大きなレンズ面となる。即ち、図3
の場合で、光束が通過する研磨面が2面増えているが、
増えた2面のレンズ面精度は、従来のPBS面に比べて
部品精度の許容値が大きなレンズ面である。
【0058】この実施形態では、第1プリズム103の
斜面にPBS膜を、第2プリズム104の斜面にPBS
膜を形成し、平板105を間に接着材で挟んだ構成とし
ているが、PBS膜は第1プリズム103の斜面ではな
く、向かい合った平板105の側に設けても良い。ま
た、PBS膜は第2プリズム104の斜面ではなく、同
様に向かい合った平板105の側に設けてもよい。更に
は、平板105を設けずに、直接、接着材で貼り合わせ
ても良い。なお、そのときは、波動光学レベルの影響が
起きないように、接着材の厚さは波長の約10倍以上と
することが望ましい。
【0059】図4は、第1プリズム103と第2プリズ
ム104を、F値の光束に合わせてそれぞれ最小化を図
った場合の構成図であるが、第1プリズム103と第2
プリズム104の高さAとBは、図3の場合と同様に、
光軸上に投影した長さで定義する。
【0060】以上では、第1プリズム103と第2プリ
ズム104そして、平板105の組合せで説明したが、
図5のように、表面にPBS膜を設けた複数の平板を配
置しても同様の効果が得られる。更には、平板の前後面
にPBS膜を設けて、平板1枚で構成しても良い。
【0061】図1では、3板方式の実施の形態を説明し
たが、マルチPBS12の部分を抜出した図6のよう
に、反射型液晶パネル22を単板とすれば、単板の反射
型液晶パネル対応の光学システムでも有効である。同様
に、マルチPBS13の部分を抜出した図7のように、
2板式の反射型液晶パネル対応の光学システムでも有効
である。尚、図6と図7では、マルチPBSの全体サイ
ズに対して平板105の厚さは薄いので、第1プリズム
と第2プリズムがもともとほぼ同じ大きさなので、製造
を優先し、点線で示したように第1プリズムと第2プリ
ズムの大きさを同じとした。
【0062】最後に、図1の色分離合成系のPBS11
に本発明を適用した実施の形態を図12に示す。図1で
述べたマルチPBS12、13では、一方のPBS面は
少なくとも所定入射光束に対し反射作用を有し、他方の
PBS面は透過作用のみを有している。これに対し、図
12の構成では、両方のPBS面ともに所定方向からの
入射光束に対して反射作用を有している。
【0063】図12において、マルチPBS16はPB
S面161が形成されたプリズムとPBS面162が形
成されたプリズムを備えている。PBS161が形成さ
れたプリズムのPBS16の入射面側とは異なる他方の
面側に赤反射型液晶パネル21’が、PBS162が形
成されたプリズムの赤反射型液晶パネル21’に直交す
る面側に青反射型液晶パネル23’が配置されており、
PBS162が形成されたプリズムと青反射型液晶パネ
ル23’との間に光路長調整フィルタ63が設けられて
いる。
【0064】図12において、S偏光の赤光束R(S)と
P偏光の青光束B(P)がマルチPBS16に入射する
と、赤光束R(S)はPBS面161で反射されて赤反射
型液晶パネル21’に照射される。赤反射型液晶パネル
21’で反射されたON光束はP偏光に変換されるの
で、PBS面161を透過し、さらにPBS面162も
透過し、マルチPBS16の出射面から出射する。
【0065】一方、P偏光の青光束B(P)はPBS面1
61とPBS面162を透過し、光路長調整フィルタ6
3を通って青反射型液晶パネル23’に照射される。青
反射型液晶パネル23’で反射されたON光束はS偏光
に変換されるので、PBS面162で反射されてマルチ
PBS16の出射面から出射する。
【0066】このように、赤ON光束は、PBS面16
1と162と2面透過するの消光比が大きくなりコント
ラスト性能を改善することができる。また、青ON光束
は改善されないが、青反射型液晶パネル23’に入射す
る青光束はPBS面161と162を透過するので、入
射青色光束のコントラストを改善することができる。
【0067】但し、本実施の形態のように、両方のPB
S面ともに所定方向からの入射光束に対して反射作用を
有している場合、マルチPBS16の出射面(例えばM
o位置)から出射する赤光束と青光束は色ずれが生じな
いように一致させる必要があるので、青反射型液晶パネ
ル23’からの青ON光束の出射位置は、図12のよう
にBoとなり、赤・青光束のマルチPBS16への入射
位置Miに対応する青反射型液晶パネル23’への青光
束の入射位置Biとは異なる。これは、PBS面161
と162との間の光軸上の長さΔがあるためである。ま
た、これにより、少なくとも、PBS面間の光軸上の長
さΔ分だけマルチPBS16への光束照射範囲を広げる
必要があるため、赤反射型液晶パネル21’、青反射型
液晶パネル23’はパネルを照射するスポットサイズが
大きくなる。さらに、青ON光束と赤ON光束の光学距
離を等しくするため、光路長調整フィルタ63を使用す
る必要もある。なお、青色は赤色や緑色に比べ視感度が
小さいので、近軸の像面位置をあわせたうえで、光路長
調整フィルタ63を省くことも可能であり、また、光源
から反射型液晶パネルまでの光学距離が赤光束に比べ青
光束は少し長くなるが、この影響も無視できる。
【0068】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、ほ
とんど大型化することなく、PBSブロックの総合的な
消光比、即ち、コントラスト性能を改善できる。また、
別な適用の方法としては、逆に、消光比が小さいPBS
を用いても、従来とほぼ同等な、総合的な消光比、即
ち、コントラスト性能を得ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1におけるマルチPBSを
含む色分離合成系の構成図である。
【図2】本発明の色分離合成系を含むマルチPBS装置
及び、それを用いた投射型プロジェクタ装置を示す説明
図である。
【図3】本発明でのマルチPBSの配置関係を示す第1
の説明図である。
【図4】本発明でのマルチPBSの配置関係を示す第2
の説明図である。
【図5】本発明でのマルチPBSの配置関係を示す第3
の説明図である。
【図6】本発明でのマルチPBS作用を示す第1の説明
図である。
【図7】本発明でのマルチPBS作用を示す第2の説明
図である。
【図8】従来の技術での色分離合成系の第1の構成図で
ある。
【図9】従来の技術での色分離合成系の第2の構成図で
ある。
【図10】従来の技術でのPBS作用を示す第1の説明
図である。
【図11】従来の技術でのPBS作用を示す第2の説明
図である。
【図12】図1の色分離合成系のPBS11に本発明を
適用した実施の形態。
【符号の説明】
1…色分離合成系、2…投射レンズ、3…ランプ、4…
リフレクタ、5…インテグレータ、6…偏光変換素子、
7…フォーカスレンズ、8…フィールドレンズ、11…
PBS、112…PBS面、12…マルチPBS、12
1…透過PBS面、122…PBS面、13…マルチP
BS、131…透過PBS面、132…PBS面、14
…PBS、142…PBS面、15…PBS、152…
PBS面、16…マルチPBS、161…PBS面、1
62…PBS面、20…反射型液晶パネル、21…赤反
射型液晶パネル、22…緑反射型液晶パネル、23…青
反射型液晶パネル、31…ダイクロイックプリズム、4
1…Bローテータ、42…Bローテータ、43…Rロー
テータ、51…1/2波長板、61…光路長調整フィル
タ、62…光路長調整フィルタ、63…光路長調整フィ
ルタ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平田 浩二 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株 式会社日立製作所デジタルメディアシステ ム事業部内 (72)発明者 山崎 太志 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株 式会社日立製作所デジタルメディアシステ ム事業部内 Fターム(参考) 2H042 CA10 CA14 CA15 CA16 CA17 2H049 BA05 BA06 BB03 BB61 BB66 BC22 2H088 EA14 EA15 EA16 HA13 HA20 HA23 HA24 MA02 2H091 FA05X FA10X FA14X FA21Z FA26X FA41X GA17 LA17 MA07

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】偏光ビームスプリッタ面を有し屈折率が等
    しい2つのプリズムを近接配置し、偏光ビームスプリッ
    タ面を有する第1プリズムの高さをAとし、偏光ビーム
    スプリッタ面を有する第2プリズムの高さをBとし、該
    第1プリズムと該第2プリズムの距離をCとしたとき、
    以下の関係を満足することを特徴とするマルチ偏光ビー
    ムスプリッタ装置。 C<(A+B)/2 但し、A、Bは光軸上に投影した各プリズムの長さと
    し、Cは光軸上の各プリズム間の距離とする。
  2. 【請求項2】前記第1プリズムと前記第2プリズムの間
    に、屈折率がプリズムの屈折率に等しい平板フィルタを
    配置したことを特徴とする請求項1記載のマルチ偏光ビ
    ームスプリッタ装置。
  3. 【請求項3】前記第1プリズムと前記第2プリズムを、
    直接接着材で貼り合わせしたことを特徴とする請求項1
    記載のマルチ偏光ビームスプリッタ装置。
  4. 【請求項4】前記偏光ビームスプリッタ面が、所定色の
    光束の大部分が透過する透過偏光ビームスプリッタ面で
    あるように構成したことを特徴とする請求項1記載のマ
    ルチ偏光ビームスプリッタ装置。
  5. 【請求項5】照明系からの光束を反射し反射型液晶パネ
    ルへ導き、且つ、反射型液晶パネルで反射し偏光状態が
    変換された光束を透過させる偏光ビームスプリッタ面の
    光路の後側に、少なくとも1つ以上の前記透過偏光ビー
    ムスプリッタ面を隣接配置したこと特徴とする請求項4
    記載のマルチ偏光ビームスプリッタ装置。
  6. 【請求項6】複数の反射型液晶パネルで反射した複数の
    色の光束を反射及び透過することによって色合成する偏
    光ビームスプリッタにおいて、透過する色の光路上で、
    色合成作用を有する前記偏光ビームスプリッタ面の手前
    に、少なくとも1つ以上の前記透過偏光ビームスプリッ
    タ面を隣接配置したこと特徴とする請求項4記載のマル
    チ偏光ビームスプリッタ装置。
  7. 【請求項7】光源と、請求項1乃至6の何れかに記載の
    マルチ偏光ビームスプリッタ装置と、投射手段とを有す
    ることを特徴とする投射型プロジェクタ装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006337860A (ja) * 2005-06-03 2006-12-14 Ricoh Opt Ind Co Ltd 偏光分離素子、偏光分離方法、及び光学装置
JP2008158093A (ja) * 2006-12-21 2008-07-10 Topcon Corp 液晶プロジェクタ付き携帯電話装置
WO2010099708A1 (zh) * 2009-03-06 2010-09-10 上海三鑫科技发展有限公司 反射型光学引擎

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