JP2003149329A - 走行軌跡計測装置及び走行軌跡計測方法 - Google Patents

走行軌跡計測装置及び走行軌跡計測方法

Info

Publication number
JP2003149329A
JP2003149329A JP2001346407A JP2001346407A JP2003149329A JP 2003149329 A JP2003149329 A JP 2003149329A JP 2001346407 A JP2001346407 A JP 2001346407A JP 2001346407 A JP2001346407 A JP 2001346407A JP 2003149329 A JP2003149329 A JP 2003149329A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
motion
motion model
vector
acceleration
models
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001346407A
Other languages
English (en)
Inventor
Masayoshi Ito
正義 系
Yoshio Kosuge
義夫 小菅
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Priority to JP2001346407A priority Critical patent/JP2003149329A/ja
Publication of JP2003149329A publication Critical patent/JP2003149329A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Radar Systems Or Details Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 等加速度直進モデルや等速旋回モデルによる
予測処理では、事前に加速度の値や回転半径の値が既知
であることを前提としている。このため、高精度の追尾
を行うためには、例えば、競走場の構造についての正確
な事前知識が必要であった。 【解決手段】 追尾処理部25が競走体の位置及び速度
を推定する際、複数の運動モデルを用いて位置及び速度
の推定処理を実施するとともに、複数の運動モデルの適
合度を計算し、複数の運動モデルによる推定結果を当該
適合度にしたがって重み付け統合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば、競馬、
競輪、競艇等の競走場内において、各競走体に装着され
た発信機からの個別送信波を受信して、各競走体の時々
刻々の位置及び速度を自動的に計測する走行軌跡計測装
置及び走行軌跡計測方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図15は例えば特開平11−24883
0号公報に示された従来の走行軌跡計測装置を示す構成
図であり、図において、1は競走体に装着され、その競
走体の識別情報を含む電波を発信する発信機、2は走路
沿いに所定の間隔で設置され、発信機1から発信される
電波を受信する受信機、3は受信機2により受信された
電波から競走体の識別情報を抽出し、その識別情報に基
づいて競走体を特定する識別処理部、4は受信機2によ
り受信された電波の到来方位を検出することにより、受
信機2から見た各競走体の時々刻々の方位角を計測する
測角処理部、5は測角処理部4の計測結果に基づいて競
走体の時々刻々の位置及び速度を算出する追尾処理部で
ある。
【0003】図16は図15の追尾処理部5の内部を示
す構成図であり、図において、11は測角処理部4の観
測値である方位角が追尾処理に有効なデータであるか否
かを判定する相関判定器、12は測角処理部4により計
測された方位角に対する平滑処理を行う平滑器、13は
競走体の運動状態を表す状態ベクトルに係る平滑ベクト
ル及び平滑誤差共分散行列の初期値を設定する初期値設
定器、14は平滑ベクトルの算出結果を格納する平滑ベ
クトル用メモリ、15は平滑誤差共分散行列の算出結果
を格納する平滑誤差共分散行列用メモリ、16は1サン
プリング前の平滑ベクトル及び平滑誤差共分散行列を読
み出し、その平滑ベクトル及び平滑誤差共分散行列に基
づいて競走体の走行状態を判定する走行状態判定器、1
7は等速直進モデルを使用して予測処理を行う等速直進
モデル用予測器、18は等速旋回モデルを使用して予測
処理を行う等速旋回モデル用予測器、19は等加速度直
進モデルを使用して予測処理を行う等加速度直進モデル
用予測器である。
【0004】次に動作について説明する。以下、各競走
体を識別するための情報として、競走体毎に異なる周波
数の電波を割り当てた場合を例にして走行軌跡計測装置
の動作を説明する。各競走体に装着された発信機1は、
それぞれ固有の周波数の電波を常時発信している。走路
沿いに設置されている各受信機2は、競走体が所定の距
離範囲内に入ると、発信機1から発信される電波を検出
する。このとき、発信機1から発信される電波は、常
時、2又は3以上の受信機2が検出することができるよ
うに発信強度が調整されている。
【0005】受信機2により検出された電波は、ディジ
タル信号に変換された後、識別処理部3に送られ、各競
走体の周波数に対応した帯域通過フィルタを通すことに
より、それぞれの競走体の信号に弁別される。そして、
弁別後の信号は測角処理部4に送られ、測角処理部4が
競走体毎に、その信号電波の到来方位を算出する。この
到来方位は、各受信機2の位置より見た競走体の方位角
の観測値である。追尾処理部5では、各受信機2より送
られてきた方位角の時々刻々の観測値に基づき、各競走
体の時々刻々の位置及び速度の推定値を算出する。
【0006】以下、追尾処理部5の動作を詳細に説明す
る。追尾処理部5は、以下に示す競走体の運動モデル及
び受信機の観測モデルに基づき、いわゆる拡張カルマン
フィルタのアルゴリズムを使用して、各競走体毎に、そ
の位置及び速度を推定することによって競走体の追尾を
行うものである。
【0007】まず、競走体の観測が開始されてからのサ
ンプリング時刻をtk (k=0,1,2,・・・)とし
て、サンプリング時刻tk の競走体の位置と速度の真値
で与えられる状態ベクトルを式(1)で定義する。ここ
で、x(k),y(k)は競走場内において適宜設定し
たxy直交座標系での競走体の位置ベクトルの成分を表
し、また、vx(k),vy(k)はこの座標系での速
度ベクトルの成分を表している。なお、以降、ベクトル
を表す記号にはアンダーバーを付し、行列の転置をTで
表している。
【数1】 また、上記状態ベクトルを使用して、競走体の運動モデ
ルを次式で定義する。
【数2】
【0008】ここで、Φ(k)は時刻tk からtk+1
の状態遷移行列、アンダーバーa(k)は時刻tk に入
力される加速度ベクトル、Γ(k)は加速度ベクトルの
変換行列である。また、アンダーバーw(k)は駆動雑
音ベクトルであり、平均が零ベクトルで共分散行列がQ
(k)の正規性白色雑音に従うものとする。式(2)の
具体的なモデルとして、競走体が直線コースをほぼ等速
で直進運動している場合には、次式のように設定する。
ただし、τ(k)は時刻tk とtk+ 1 の間のサンプリン
グ間隔である。以下、この運動モデルを等速直進モデル
と呼ぶことにする。
【数3】
【0009】また、競走体がほぼ一定の加速度で加速し
ながら直進運動している場合には、次式のように設定す
る。ただし、アンダーバーαは予め設定された定数加速
度ベクトルであり、所定の大きさと直線コースに沿った
方向を有するベクトルである。以下、この運動モデルを
等加速度直進モデルと呼ぶことにする。
【数4】
【0010】また、競走体が回転半径rturnの旋回コー
ス(曲線コース)をほぼ等速で旋回運動している場合に
は、次式のように設定する。ただし、ω(k)は旋回の
角速度である。以下、この運動モデルを等速旋回モデル
(あるいは等速曲進モデル)と呼ぶことにする。
【数5】
【0011】次に、観測モデルを以下のように定義す
る。競走場内にM個の受信機2が設置されているものと
する。これらの受信機をRi (i=1,2,・・・,
M)として、その位置を[Xi ,Yi T で表すものと
する。サンプリング時刻tk において、受信機Ri によ
り観測される競走体の方位角θi (k)(y軸方向より
時計回りの回転を正と定義する)を次式で表すものとす
る。
【数6】 ここで、νi (k)は観測雑音を表し、平均零、分散S
i (k)の正規性白色雑音と仮定する。
【0012】まず、初期値設定器13が平滑ベクトル用
メモリ14に平滑ベクトルの初期値アンダーバーx
s (0)を設定するとともに、平滑誤差共分散行列用メ
モリ15に平滑誤差共分散行列の初期値Ps (0)を設
定して追尾処理が開始される。以降、複数の受信機に対
応する各測角処理部4のいずれかより新たな観測値が入
力される度に、サンプリング時刻を1つ進めて追尾処理
が実行される。なお、時刻tk における平滑ベクトルア
ンダーバーxs (k)は、時刻tk までの観測情報に基
づいて、式(1)の状態ベクトルの値を推定した推定値
を表し、また、平滑誤差共分散行列Ps (k)は、平滑
ベクトルアンダーバーxs (k)の誤差共分散行列を表
している。
【0013】測角処理部4からの入力が生じて、サンプ
リング時刻が進められると、まず、走行状態判定器16
が平滑ベクトル用メモリ14から1サンプリング前の平
滑ベクトルアンダーバーxs (k−1)を読み出すとと
もに、平滑誤差共分散行列用メモリ15から1サンプリ
ング前の平滑誤差共分散行列Ps (k−1)を読み出
し、その平滑ベクトルアンダーバーxs (k−1)と平
滑誤差共分散行列Ps (k−1)に基づいて、競走体の
走行状態が等加速度直進モデル、等速直進モデル又は等
速旋回モデルのいずれの運動モデルの状態にあるかの判
定を行う。
【0014】ここで、出走後所定の時間が経過する以前
で、競走体の速度がある基準の大きさに達していない場
合は、等加速度直進モデルの状態にあると判定し、ま
た、出走後所定の時間が経過し、競走体の速度がある基
準以上の大きさに達して、競走体が直線コースの領域内
に存在する場合には、等速直進モデルの状態にあると判
定し、さらに、出走後所定の時間が経過し、競走体の速
度がある基準以上の大きさに達して、競走体が旋回コー
スの領域内に存在する場合には、等速旋回モデルの状態
にあると判定する。走行状態判定器16は、上記の判定
結果に応じて、等加速度直進モデル用予測器19、等速
直進モデル用予測器17又は等速旋回モデル用予測器1
8のいずれかを選択して、1サンプリング前の平滑ベク
トルアンダーバーxs (k−1)と平滑誤差共分散行列
s (k−1)を当該予測器に送出する。
【0015】次に、等加速度直進モデル用予測器19、
等速直進モデル用予測器17、等速旋回モデル用予測器
18では、各々が選択された場合に、次式にしたがって
予測ベクトルアンダーバーxp (k)と予測誤差共分散
行列Pp (k)を算出する。ここで、時刻tk における
予測ベクトルアンダーバーxp (k)は、1サンプリン
グ前の時刻tk-1 までの観測情報に基づき、式(1)の
状態ベクトルの値を推定した推定値を表し、また、予測
誤差共分散行列Pp (k)は、予測ベクトルアンダーバ
ーxp (k)の誤差共分散行列を表している。
【数7】
【0016】なお、式(10)における駆動雑音共分散
行列Q(k)は予め与えるパラメータである。また、式
(9),(10)の計算を実行するに際して等加速度直
進モデル用予測器19では、現時刻tk と1サンプリン
グ前の時刻tk-1 との間のサンプリング間隔τ(k−
1)を算出し、式(4)の設定を行って計算を実行す
る。一方、等速直進モデル用予測器17では、上記サン
プリング間隔τ(k−1)を算出した後、式(3)の設
定を行って式(9),(10)の計算を実行する。さら
に、等速旋回モデル用予測器18では、サンプリング間
隔τ(k−1)を算出し、平滑ベクトルアンダーバーx
s (k−1)に含まれる競走体の速度推定値と、予め事
前情報として得ている旋回コースの回転半径rturnを使
用して、式(6)の旋回角速度ω(k)を算出した後、
式(5)の設定を行って式(9),(10)の計算を実
行する。
【0017】次に相関判定器11は、上記予測器により
算出された予測ベクトルアンダーバーxp (k)を使用
し、式(11)にしたがって、受信機より見た目標の予
測方位を計算する。ここで、fi (アンダーバーx
(k))は式(8)で定義した関数である。さらに、関
数fi (アンダーバーx(k))の予測ベクトルアンダ
ーバーxp (k)における勾配で表される観測行列Fi
(アンダーバーxp (k))を式(12)で算出した
後、式(13)に基づいて、観測値と上記予測方位との
差(いわゆる残差)θi (k)−θi p(k)の分散gi
(k)を算出する。ここで、si (k)は観測雑音分
散、Pp (k)は上記算出した予測誤差共分散行列であ
る。
【数8】
【0018】そして、dをパラメータとして、観測値θ
i (k)が次式を満たす場合のみ、この観測値を追尾処
理に使用可能な有効データであると判定する。これは、
いわゆるマルチパス現象等によって生じる、極端に観測
精度の悪いデータを除外することを目的としている。
【数9】
【0019】次に平滑器12は、相関判定器11により
観測値θi (k)が有効であると判定された場合、次式
により平滑処理を実行する。
【数10】 一方、観測値θ(k)が有効でないと判定された場
合、以下に示すように、予測ベクトルおよび予測誤差共
分散行列を、平滑ベクトル及び平滑誤差共分散行列にそ
れぞれ代入する。
【数11】 以上で、各サンプリング時刻での処理が終了する。上記
処理は追尾が終了するまで各サンプリング時刻で繰り返
し実行される。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】従来の走行軌跡計測装
置は以上のように構成されているので、競走場のコース
形状を既知とし、競走体がコース上のどこにいるかによ
って運動モデルを切り替えて使用している。また、等加
速度直進モデルや等速旋回モデルによる予測処理では、
事前に加速度の値や回転半径の値が既知であることを前
提としている。このため、高精度の追尾を行うために
は、例えば、競走場の構造についての正確な事前知識が
必要であった。特に競艇場のようにコース幅が広く、こ
の幅内を競走体が比較的自由に運動する場合など、事前
に設定した加速度や回転半径がすべての競走体には当て
はまらない場合には、追尾の精度が劣化するなどの課題
があった。
【0021】この発明は上記のような課題を解決するた
めになされたもので、競走場の構造等についての知識が
必ずしも正確でない場合においても、精度よく競走体を
追尾することができる走行軌跡計測装置及び走行軌跡計
測方法を得ることを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】この発明に係る走行軌跡
計測装置は、追尾手段が競走体の位置及び速度を推定す
る際、複数の運動モデルを用いて位置及び速度の推定処
理を実施するとともに、複数の運動モデルの適合度を計
算し、複数の運動モデルによる推定結果を当該適合度に
したがって重み付け統合するようにしたものである。
【0023】この発明に係る走行軌跡計測装置は、前回
の統合結果に基づいて複数の運動モデルを設定する運動
モデル設定部と、その運動モデル設定部により設定され
た運動モデルを用いて位置及び速度を推定する複数の推
定部と、前回の運動モデルの事後確率から当該運動モデ
ルの事前確率を算出する複数の事前確率算出部と、その
推定部による推定結果,事前確率算出部により算出され
た事前確率及び計測手段の計測結果に基づいて当該運動
モデルの事後確率を算出する複数の事後確率算出部と、
複数の推定部による推定結果を複数の事後確率算出部に
より算出された事後確率にしたがって重み付け統合する
統合部とから追尾手段を構成するようにしたものであ
る。
【0024】この発明に係る走行軌跡計測装置は、計測
手段の計測結果が追尾に有効なデータでない場合、事後
確率算出部が事前確率算出部により算出された事前確率
を事後確率として出力するようにしたものである。
【0025】この発明に係る走行軌跡計測装置は、運動
モデル設定部が、状態遷移行列が相互に異なる運動モデ
ルを設定し、推定部が推定結果の平滑化を図るようにし
たものである。
【0026】この発明に係る走行軌跡計測装置は、運動
モデル設定部が、状態遷移行列が同一の運動モデルを設
定するようにしたものである。
【0027】この発明に係る走行軌跡計測装置は、前回
の統合結果に基づいて複数の運動モデルを設定する運動
モデル設定部と、その運動モデル設定部により設定され
た運動モデルを用いて位置及び速度を推定する複数の推
定部と、その推定部による推定結果及び計測手段の計測
結果に基づいて当該運動モデルの事後確率を算出する複
数の事後確率算出部と、複数の推定部による推定結果を
複数の事後確率算出部により算出された事後確率にした
がって重み付け統合する統合部とから追尾手段を構成す
るようにしたものである。
【0028】この発明に係る走行軌跡計測装置は、運動
モデル設定部が前回の統合結果に基づいて競走体の運動
形態を判定し、その運動形態に応じて運動モデルの設定
数と種別を決定するようにしたものである。
【0029】この発明に係る走行軌跡計測装置は、等加
速度直進モデルを複数個設定する場合、等加速度直進モ
デル毎に異なる加速度ベクトルを設定するようにしたも
のである。
【0030】この発明に係る走行軌跡計測装置は、等速
曲進モデルを複数個設定する場合、等速曲進モデル毎に
異なる回転半径を設定するようにしたものである。
【0031】この発明に係る走行軌跡計測装置は、走路
中心線の接線方向に加速度ベクトルを有する加速度運動
モデルを複数個設定する場合、加速度運動モデル毎に異
なる加速度ベクトルを設定するようにしたものである。
【0032】この発明に係る走行軌跡計測装置は、走路
中心線の法線方向に加速度ベクトルを有する加速度運動
モデルを複数個設定する場合、加速度運動モデル毎に異
なる加速度ベクトルを設定するようにしたものである。
【0033】この発明に係る走行軌跡計測装置は、速度
ベクトル方向に加速度ベクトルを有する加速度運動モデ
ルを複数個設定する場合、加速度運動モデル毎に異なる
加速度ベクトルを設定するようにしたものである。
【0034】この発明に係る走行軌跡計測装置は、速度
ベクトル方向と直交する方向に加速度ベクトルを有する
加速度運動モデルを複数個設定する場合、加速度運動モ
デル毎に異なる加速度ベクトルを設定するようにしたも
のである。
【0035】この発明に係る走行軌跡計測方法は、競走
体の位置及び速度を推定する際、複数の運動モデルを用
いて位置及び速度の推定処理を実施するとともに、複数
の運動モデルの適合度を計算し、複数の運動モデルによ
る推定結果を当該適合度にしたがって重み付け統合する
ようにしたものである。
【0036】この発明に係る走行軌跡計測方法は、前回
の統合結果に基づいて複数の運動モデルを設定し、その
複数の運動モデルを用いて位置及び速度をそれぞれ推定
する一方、前回の運動モデルの事後確率から当該運動モ
デルの事前確率をそれぞれ算出すると、その位置及び速
度の推定結果,その事前確率及び方位角の計測結果に基
づいて当該運動モデルの事後確率をそれぞれ算出し、複
数の推定結果を各事後確率にしたがって重み付け統合す
るようにしたものである。
【0037】この発明に係る走行軌跡計測方法は、方位
角の計測結果が追尾に有効なデータでない場合、算出し
た事前確率を事後確率として出力するようにしたもので
ある。
【0038】この発明に係る走行軌跡計測方法は、状態
遷移行列が相互に異なる運動モデルを設定し、位置及び
速度の推定結果の平滑化を図るようにしたものである。
【0039】この発明に係る走行軌跡計測方法は、状態
遷移行列が同一の運動モデルを設定するようにしたもの
である。
【0040】この発明に係る走行軌跡計測方法は、前回
の統合結果に基づいて複数の運動モデルを設定し、その
複数の運動モデルを用いて位置及び速度をそれぞれ推定
する一方、その位置及び速度の推定結果及び方位角の計
測結果に基づいて当該運動モデルの事後確率をそれぞれ
算出し、複数の推定結果を各事後確率にしたがって重み
付け統合するようにしたものである。
【0041】この発明に係る走行軌跡計測方法は、前回
の統合結果に基づいて競走体の運動形態を判定し、その
運動形態に応じて運動モデルの設定数と種別を決定する
ようにしたものである。
【0042】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の一形態を
説明する。 実施の形態1.図1はこの発明の実施の形態1による走
行軌跡計測装置を示す構成図であり、図において、21
は競走体に装着され、その競走体の識別情報を含む電波
を発信する発信機(発信手段)、22は走路沿いに所定
の間隔で設置され、発信機21から発信される電波を受
信する受信機(受信手段)、23は受信機22により受
信された電波から競走体の識別情報を抽出し、その識別
情報に基づいて競走体を特定する識別処理部(特定手
段)、24は受信機22により受信された電波の到来方
位を検出することにより、受信機22から見た各競走体
の時々刻々の方位角を計測する測角処理部(計測手
段)、25は測角処理部24の計測結果に基づいて競走
体の時々刻々の位置及び速度を推定する追尾処理部(追
尾手段)であり、追尾処理部25は競走体の位置及び速
度を推定する際、複数の運動モデルを用いて位置及び速
度の推定処理を実施するとともに、複数の運動モデルの
適合度を計算し、複数の運動モデルによる推定結果を当
該適合度にしたがって重み付け統合する処理を行う。
【0043】図2は図1の追尾処理部25の内部を示す
構成図であり、図において、31は第1〜第Nの運動モ
デルによる平滑ベクトルの統合結果(前回の統合結果)
に相当する統合平滑ベクトルの値を格納する統合平滑ベ
クトル用メモリ、32は競走体の運動状態に応じて使用
する運動モデルの個数と各運動モデルに設定するパラメ
ータ値を決定する運動モデル制御器、331 〜33N
運動モデル制御器32の指示の下、運動モデルの状態遷
移行列,入力ベクトル及び入力ベクトルの変換行列を設
定する運動モデル設定器である。なお、運動モデル制御
器32及び運動モデル設定器331 〜33N から運動モ
デル設定部が構成されている。
【0044】341 〜34N は運動モデル設定器331
〜33N により設定された運動モデルによる平滑ベクト
ルと平滑誤差共分散行列を格納する平滑諸元用メモリ、
35 1 〜35N は運動モデル設定器331 〜33N によ
り設定された運動モデルを用いて位置及び速度を予測す
る運動モデル用予測器、361 〜36N は運動モデル用
予測器351 〜35N の予測結果の平滑化を図る運動モ
デル用平滑器である。なお、運動モデル用予測器351
〜35N 及び運動モデル用平滑器361 〜36 N から推
定部が構成されている。
【0045】371 〜37N は事後確率算出器431
43N により算出された運動モデルの事後確率を格納す
るモデル確率用メモリ、381 〜38N は運動モデルの
事後確率から当該運動モデルの事前確率を算出する事前
確率算出器(事前確率算出部)、39は複数の運動モデ
ルによる予測ベクトルを統合して統合予測ベクトルを算
出するとともに、その予測ベクトルの誤差共分散行列を
統合して統合予測誤差共分散行列を算出する予測諸元統
合器、40は測角処理部24の観測値である方位角が追
尾処理に有効なデータであるか否かを判定する相関判定
器である。
【0046】411 〜41N は運動モデル用予測器35
1 〜35N による予測結果,事前確率算出器381 〜3
N により算出された事前確率及び測角処理部24の観
測値に基づいて運動モデルの尤度を算出する尤度算出
器、42は尤度算出器411 〜41N による尤度の合計
値を算出するモデル尤度集計器、431 〜43N は尤度
算出器411 〜41N により算出された尤度とモデル尤
度集計器42により算出された合計値から運動モデルの
事後確率を算出する事後確率算出器である。なお、尤度
算出器411 〜41N ,モデル尤度集計器42及び事後
確率算出器431〜43N から事後確率算出部が構成さ
れている。44は運動モデル用平滑器36 1 〜36N
よる平滑後の推定結果を事後確率算出器431 〜43N
により算出された事後確率にしたがって重み付け統合す
る平滑諸元統合器(統合部)である。
【0047】図3はこの発明の実施の形態1による走行
軌跡計測方法を示すフローチャートである。図におい
て、ST1は統合平滑ベクトル,第1〜第Nの運動モデ
ルの平滑ベクトル及び平滑誤差共分散行列,第1〜第N
の運動モデルの事後確率の初期値を設定する初期値設定
ステップ、ST2は受信機より見た競走体の方位角に関
する観測値を入力する観測値入力ステップ、ST3は競
走体の運動状態に応じて使用する運動モデルの個数と各
運動モデルに設定するパラメータ値を決定する運動モデ
ル制御ステップである。
【0048】ST4は運動モデルの個数及び各運動モデ
ルの設定パラメータに応じて、第1〜第Nの運動モデル
の状態遷移行列,入力ベクトル及び入力ベクトルの変換
行列を設定する運動モデル設定ステップ、ST5は第1
〜第Nの運動モデル毎に予測処理を行う予測処理ステッ
プ、ST6は第1〜第Nの運動モデルの事前確率を算出
する事前確率算出ステップ、ST7は第1〜第Nの運動
モデルによる予測ベクトルを統合するとともに、各運動
モデルの予測誤差共分散行列を統合する予測諸元統合ス
テップ、ST8は入力した観測値が追尾に有効なデータ
であるか否かを判定する相関判定ステップである。
【0049】ST9は入力した観測値が有効である場
合、その観測値に基づいて第1〜第Nの運動モデルの尤
度を算出する尤度算出ステップ、ST10は第1〜第N
の運動モデルの尤度の合計値を算出する尤度集計ステッ
プ、ST11は第1〜第Nの運動モデルの事後確率を算
出する事後確率算出ステップ、ST12は第1〜第Nの
運動モデル毎に平滑処理を行う平滑処理ステップ、ST
13は入力した観測値が無効である場合、第1〜第Nの
運動モデルの事前確率を事後確率に代入するモデル確率
代入ステップ、ST14は第1〜第Nの各運動モデル毎
の予測ベクトル及び予測誤差共分散行列を、それぞれの
運動モデル毎の平滑ベクトル及び平滑誤差共分散行列に
代入する推定諸元代入ステップ、ST15は第1〜第N
の運動モデルによる平滑ベクトルを統合するとともに、
各運動モデルの平滑誤差共分散行列を統合する平滑諸元
統合ステップ、ST16は追尾の終了を判定する終了判
定ステップである。
【0050】次に動作について説明する。ただし、この
実施の形態1では、図1の発信機21,受信機22,識
別処理部23及び測角処理部24は、従来の発信機1,
受信機2,識別処理部3及び測角処理部4と同様である
ため説明を省略する。この実施の形態1では、サンプリ
ング時刻tk の競走体の位置と速度の真値で与えられる
式(1)の状態ベクトルを使用してN個の運動モデルを
定義する。以下、これらの運動モデルをMDL(n),
(n=1,2,・・・,N)と表すものとする。
【数12】
【0051】ここで、Φn (k)は運動モデルMDL
(n)における時刻tk からtk+1 への状態遷移行列、
アンダーバーun (k)は運動モデルMDL(n)にお
ける時刻tk での入力ベクトル、Γn (k)は当該入力
ベクトルの変換行列である。また、アンダーバーw
(k)は従来例と同様の駆動雑音ベクトルであり、平均
が零ベクトルで共分散行列がQ(k)の正規性白色雑音
に従うものとする。
【0052】また、競走体の運動モデルは、時刻毎に、
ある運動モデルから他の運動モデルへ所定の確率で推移
するものと仮定する。時刻tk からtk+1 の間に、競走
体の運動がMDL(m)からMDL(n)へ推移する確
率をPmn(k)で表し、さらに、観測モデルは従来の技
術の場合と同様に、式(7),(8)によって定義す
る。
【0053】図1の追尾処理部25において、統合平滑
ベクトル用メモリ31に統合平滑ベクトルの初期値アン
ダーバーxs (0)を設定するとともに、平滑諸元用メ
モリ341 〜34N に、各運動モデルMDL(n),
(n=1,2,・・・,N)の平滑ベクトルの初期値ア
ンダーバーxs (0,n)と平滑誤差共分散行列の初期
値Ps (0,n),(n=1,2,・・・,N)を設定
する。また、モデル確率用メモリ371 〜37N に各運
動モデルの事後確率の初期値μs (0,n),(n=
1,2,・・・,N)を設定して追尾処理を開始する
(ステップST1)。以降、複数の受信機に対応する各
測角処理部のいずれかより新たな観測値が入力される度
に、サンプリング時刻を1つ進めて追尾処理が実行され
る。
【0054】測角処理部24より観測値を入力すると
(ステップST2)、まず、運動モデル制御器32は、
統合平滑ベクトル用メモリ31から1サンプリング前の
時刻t k-1 の統合平滑ベクトルアンダーバーxs (k−
1)を読み出し、その統合平滑ベクトルに含まれる競走
体の位置、速度や競走開始後の経過時間等の情報を基に
して、現サンプリング時刻tk で使用する運動モデルの
個数を決定し、また、これらの各運動モデルに設定する
パラメータ値を決定する。そして、使用対象に決定した
運動モデルに対応する運動モデル設定器331 〜33N
に対して、上記決定した各パラメータ値を伝達する(ス
テップST3)。なお、以下では、説明の便宜上、N個
の運動モデルが設定される場合を想定して説明する。
【0055】運動モデル設定器331 〜33N は、運動
モデルに設定するパラメータ値が送られてくると、各々
に応じた式(20)の状態遷移行列Φn (k)、入力ベ
クトルアンダーバーun (k)、入力ベクトルの変換行
列Γn (k)を設定し、これらの設定内容を運動モデル
用予測器351 〜35N に出力する(ステップST
4)。なお、当然ながら、状態遷移行列Φn (k)、入
力ベクトルアンダーバーun(k)、入力ベクトルの変
換行列Γn (k)は一般に運動モデル毎に異なる値であ
る。
【0056】運動モデル用予測器351 〜35N は、平
滑諸元用メモリ341 〜34N から運動モデルの1サン
プリング前の平滑ベクトルアンダーバーxs (k−1,
n)と平滑誤差共分散行列Ps (k−1,n)を読み出
し、次式にしたがって、各運動モデル毎の予測ベクトル
アンダーバーxp (k,n),(n=1,2,・・・,
N)と予測誤差共分散行列Pp (k,n),(n=1,
2,・・・,N)を算出する(ステップST5)。
【数13】
【0057】次に事前確率算出器381 〜38N は、モ
デル確率用メモリ371 〜37N から運動モデルの1サ
ンプリング前の事後確率μ(k−1,n),(n=
1,2,・・・,N)を読み出し、次式にしたがって運
動モデルの事前確率μp (k,n),(n=1,2,・
・・,N)を算出する(ステップST6)。ここで、事
前確率μp (k,n)は、1サンプリング前の時刻であ
るtk-1 までの観測情報の下で、時刻tk における競走
体の運動がMDL(n)の状態にあるとする確率であ
り、事後確率μs (k,n)は、時刻tk までの観測情
報の下で、時刻tk における競走体の運動がMDL
(n)の状態にあるとする確率である。なお、式(2
3)のPmn(k)はMDL(m)からMDL(n)への
推移確率である。
【数14】
【0058】次に予測諸元統合器39は、各運動モデル
の予測ベクトルアンダーバーxp (k,n)及び予測誤
差共分散行列Pp (k,n)と、各運動モデルの事前確
率μ p (k,n)とを入力し、次式にしたがって統合予
測ベクトルアンダーバーxp(k)と、その誤差共分散
行列Pp (k)を算出する(ステップST7)。ここ
で、統合予測ベクトルは、事前確率μp (k,n)によ
って重み付けられた運動モデル毎の予測ベクトルアンダ
ーバーxp (k,n)の加重平均を表している。
【数15】
【0059】次に相関判定器40は、マルチパス現象等
によって生じる、極端に観測精度の悪いデータを除外す
るため、測角処理部24より入力した観測値が追尾に有
効なデータであるか否かの判定を行う(ステップST
8)。即ち、相関判定器40は、予測諸元統合器39に
より算出された統合予測ベクトルアンダーバーx
p (k)を使用し、式(26)にしたがって受信機より
見た目標の予測方位を計算する。ここで、fi (アンダ
ーバーxp (k))は、観測モデルで定義した式(8)
の関数である。
【0060】さらに、関数fi (アンダーバーx
p (k))の統合予測ベクトルアンダーバーxp (k)
における勾配である式(27)の観測行列Fi (アンダ
ーバーxp(k))を算出した後、式(28)に基づい
て、残差θi (k)−θi p(k)の分散gi (k)を算
出する。ここで、si (k)は観測雑音分散、P
p (k)は上記算出した予測誤差共分散行列である。
【数16】 そして、dをパラメータとして、観測値θi (k)が次
式を満たす場合、この観測値を追尾処理に使用可能な有
効データであると判定する。
【数17】
【0061】次に相関判定器40において、観測値θi
(k)が有効データであると判定された場合の尤度算出
器411 〜41N 、モデル尤度集計器42、事後確率算
出器431 〜43N 及び運動モデル用平滑器361 〜3
N の動作について説明する。まず、尤度算出器411
〜41N は、相関判定器40により観測値θi (k)が
有効であると判定されると、事前確率算出器381 〜3
N から運動モデルMDL(n)の事前確率μp (k,
n)を入力するとともに、運動モデル用予測器351
35N から予測ベクトルアンダーバーxp (k,n)及
び予測誤差共分散行列Pp (k,n)を入力し、また、
相関判定器40から観測値θi (k)を入力して、次式
にしたがって各運動モデルの尤度λ(k,n)を算出す
る(ステップST9)。
【数18】
【0062】ここで、式(30)におけるGn (θ
i (k))は正規分布を示す関数であり、競走体の運動
としてMDL(n)が正しいとする場合、観測値θ
i (k)は、式(32)の予測方位θi p(k,n)を平
均とし、式(33)の残差分散gi (k,n)を分散値
とする正規分布で得られると仮定し、式(31)で定義
する。なお、式(34)のFi (アンダーバーx
p (k))は、式(27)で定義したのと同様に、関数
i (アンダーバーxp (k))のxp (k,n)にお
ける勾配である。
【数19】
【0063】次にモデル尤度集計器42は、尤度算出器
411 〜41N により算出された運動モデルの尤度λ
(k,n)を入力し、次式のように、各運動モデルの尤
度の合計値λSUM (k)を算出する(ステップST1
0)。
【数20】
【0064】さらに、事後確率算出器431 〜43
N は、尤度算出器411 〜41N から各運動モデルの尤
度λ(k,n)を入力するとともに、モデル尤度集計器
42から尤度の合計値λSUM (k)を入力し、次式にし
たがって各運動モデルの時刻tkでの事後確率μ
s (k,n),(n=1,2,・・・,N)を算出する
(ステップST11)。
【数21】
【0065】運動モデル用平滑器361 〜36N は、運
動モデル用予測器351 〜35N から予測ベクトルアン
ダーバーxp (k,n)及び予測誤差共分散行列P
p (k,n)を入力し、また、尤度算出器411 〜41
N から式(32),(33),(34)の値を入力し、
以下の処理を実行する(ステップST12)。まず、次
式にしたがってゲイン行列K(k,n)を算出する。
【数22】 さらに、上記ゲイン行列を使用し、次式にしたがって各
モデルの時刻tk の平滑ベクトルアンダーバーx
s (k,n)と平滑誤差共分散行列Ps (k,n)を算
出する。
【数23】
【0066】一方、相関判定器40において、観測値θ
i (k)が有効データでないと判定された場合の尤度算
出器411 〜41N 、モデル尤度集計器42、事後確率
算出器431 〜43N 及び運動モデル用平滑器361
36N の動作について説明する。まず、尤度算出器41
1 〜41N は、事前確率算出器381 〜38N から運動
モデルMDL(n)の事前確率μp (k,n)を入力
し、その事前確率μp (k,n)をそのまま事後確率算
出器431 〜43N に出力する。この場合、モデル尤度
集計器42は処理を行わない。
【0067】事後確率算出器431〜43Nは、次式に示
すように、各運動モデルの事前確率μp(k,n)を事
後確率μs(k,n)に代入する(ステップST1
3)。
【数24】 また、運動モデル用平滑器361 〜36N は、運動モデ
ル用予測器351 〜35N から予測ベクトルアンダーバ
ーxp (k,n)及び予測誤差共分散行列Pp(k,
n)を入力し、次式のように、これらの値を各運動モデ
ルの平滑ベクトルアンダーバーxs (k,n)、平滑誤
差共分散行列Ps (k,n)に代入する(ステップST
14)。
【数25】
【0068】最後に、平滑諸元統合器44は、相関判定
器40において有効な観測値が得られたか否かに関わら
ず、各運動モデルの平滑ベクトルアンダーバーx
s (k,n)、平滑誤差共分散行列Ps (k,n)及び
各運動モデルの事後確率μs (k,n)を入力し、次式
にしたがって統合平滑ベクトルアンダーバーxs (k)
とその誤差共分散行列Ps (k)を算出する(ステップ
ST15)。ここで、統合平滑ベクトルは、事後確率μ
s (k,n)によって重み付けられた運動モデル毎の平
滑ベクトルアンダーバーxs (k,n)の加重平均であ
る。
【数26】
【0069】以上がサンプリング時刻tk の処理動作で
ある。式(43)で算出した統合平滑ベクトルアンダー
バーxs (k)は、時刻tk での式(1)の状態ベクト
ルに対する最終的な推定値である。なお、上記で算出し
た各運動モデル毎の平滑ベクトルxs (k,n)及び平
滑誤差共分散行列Ps (k,n)と事後確率μs (k,
n)は、それぞれに対応する平滑諸元用メモリ341
34N 、モデル確率用メモリ371 〜37N に格納す
る。この実施の形態1の追尾処理部25では、各サンプ
リング時刻における一連の処理を追尾終了まで繰り返し
実行する(ステップST16)。
【0070】以上で明らかなように、この実施の形態1
によれば、状態遷移行列及び入力ベクトルの異なる複数
の運動モデルを同時に使用するとともに、観測情報に基
づいて、各運動モデルの適合度(事後確率に相当する)
を算出して、運動モデル毎の追尾計算結果を上記適合度
で重み付け統合する方式を取り入れている。これによ
り、競走体の運動が、複数の運動モデルの一つに厳密に
合致しない場合でも、追尾の精度を劣化させることな
く、競走体の位置や速度などを推定することができる。
このため、競走場の構造について正確な事前知識を持た
ない場合や、競走体の運動に自由度がある場合にも、高
い精度で競走体の運動諸元を計測することができる効果
を奏する。
【0071】実施の形態2.図4はこの発明の実施の形
態2による走行軌跡計測装置の運動モデル制御器の処理
内容を示すフローチャートである。図において、ST2
1は1サンプリング前の平滑ベクトルの情報に基づき、
競走体の運動の形態を判定する運動形態判定ステップ、
ST22は等速直進モデルを使用するか否かを決定する
等速直進モデル使用決定ステップ、ST23は使用すべ
き等加速度直進モデルの個数と等速曲進モデルの個数を
決定するモデル数決定ステップ、ST24は上記個数を
決定した等加速度直進モデルの各々に対する加速度ベク
トルを決定する加速度ベクトル決定ステップ、ST25
は上記個数を決定した等速曲進モデルの各々に対する回
転半径を決定する回転半径決定ステップである。
【0072】次にこの実施の形態2における運動モデル
制御器32の動作を説明する。運動モデル制御器32
は、追尾処理部25が測角処理部24から観測値の入力
を受けると、統合平滑ベクトル用メモリ31から1サン
プリング前の統合平滑ベクトルを読み込み、その統合平
滑ベクトルに含まれている競走体の位置及び速度の情報
や、出走後の経過時間の情報に基づいて、競走体の運動
形態を判定する(ステップST21)。
【0073】ここで、運動形態とは、例えば、従来の技
術における走行状態判定器16と同様に、競走体が出走
直後の加速直進中の状態であるか、直線コースをほぼ等
速で直進中の状態であるか、曲線コースをほぼ等速で曲
進中の状態であるかなどの区別を表すものである。運動
形態としては、さらに、直線コースから曲線コースに移
る領域で減速しながら直進する状態や、逆に、曲線コー
スから直線コースに移る領域で加速しながら直進する状
態などを追加することも可能である。
【0074】ステップST22では、上記運動形態の判
定結果に応じて、現サンプリング時刻でN個の運動モデ
ルの1つとして式(3)の等速直進モデルを使用するか
否かを決定する。次にステップST23では、上記運動
形態の判定結果に応じて、現サンプリングで使用する式
(4)の等加速度直進モデルの個数と、式(5),
(6)の等速曲進モデルの個数を決定する。このとき、
運動モデルの個数を多くするほど、競走体の様々な運動
に対応できて、追尾の高精度化が望めるものの、装置全
体としての演算負荷が増大する。このため、必要とする
追尾精度と演算負荷を勘案して、運動モデル数を決定す
る。
【0075】次にステップST24では、上記個数を決
定した等加速度直進モデルの各々に対する加速度ベクト
ル、即ち、式(4)の加速度ベクトルアンダーバーαを
決定する。この加速度ベクトルアンダーバーαは、走路
に沿う方向で、大きさが運動モデル毎に異なる値となる
ように決定する。なお、競走体の進行方向と逆向きの加
速度ベクトルを設定すれば、減速しながら直進する運動
モデルを設定することも可能である。
【0076】さらに、ステップST25では、上記個数
を決定した等速曲進モデルの各々に対する回転半径、即
ち、式(6)のrturnを決定する。これらの回転半径の
大きさは、運動モデル毎に異なる値となるように決定す
る。なお、式(5),(6)で回転半径rturnを正の値
とすれば、進行方向に対して左回りの回転を表すが、こ
れを負の値に設定すれば、右回りの回転とすることも可
能である。
【0077】以上で明らかなように、この実施の形態2
によれば、競走体が直線コース上にいるか、曲線コース
上にいるかなどによる運動形態の判定結果に基づいて、
等速直進モデルを使用するか否かや、等加速度直進モデ
ル、等速曲進モデルの使用個数を決定することにより、
これらの運動モデルのいずれを重点的に使用するかのバ
ランスを制御することができる。また、各等加速度直進
モデルにおける加速度ベクトルの値や、各等速曲進モデ
ルにおける回転半径の値を、上記運動形態の判定結果に
応じて設定することができる。このため、競走体の運動
の状況に応じて、的確な運動モデルの組合せを設定する
ことが可能となり、追尾精度を高めることができる効果
を奏する。
【0078】実施の形態3.図5はこの発明の実施の形
態3における追尾処理部25の内部を示す構成図であ
り、図において、図2と同一符号は同一または相当部分
を示すので説明を省略する。45は複数の運動モデルに
よる平滑ベクトルの統合結果に相当する統合平滑ベクト
ルと、その誤差共分散行列である統合平滑誤差共分散行
列を格納する統合平滑諸元用メモリ、46は複数の運動
モデルによる平滑ベクトルの統合等を行う統合平滑器
(統合部)である。
【0079】図6は統合平滑器46の内部を示す構成図
であり、図において、51は事後確率算出器431 〜4
N により算出された事後確率に基づいて各運動モデル
による予測ベクトルを重み付け統合して統合予測ベクト
ルを算出する統合予測ベクトル算出器、52は統合予測
ベクトル算出器51により算出された統合予測ベクトル
に基づいて競走体の予測方位を算出する予測方位算出
器、53は統合予測ベクトル算出器51により算出され
た統合予測ベクトルに基づいて観測行列を算出する観測
行列算出器、54は観測行列算出器53により算出され
た観測行列と運動モデル用予測器351 〜35N により
算出された運動モデル毎の予測誤差共分散行列に基づい
て平滑化用のフィルタゲインを算出するフィルタゲイン
算出器である。
【0080】55はフィルタゲイン、事後確率による統
合予測ベクトル、観測値及び予測方位から統合平滑ベク
トルを算出する統合平滑ベクトル算出器、56は事後確
率算出器431 〜43N により算出された事後確率に基
づいて各運動モデルの入力ベクトルを重み付け統合した
統合入力ベクトルを算出する統合入力ベクトル算出器、
57は統合平滑ベクトルの誤差共分散行列を算出する統
合平滑誤差共分散行列算出器である。
【0081】図7はこの発明の実施の形態3による走行
軌跡計測方法を示すフローチャートである。図におい
て、図3と同一符号は同一または相当部分を示すので説
明を省略する。ST31は複数の運動モデルを使用した
平滑処理を行う統合平滑処理ステップ、ST32は統合
予測ベクトル及び統合予測誤差共分散行列を、統合平滑
ベクトル及び統合平滑誤差共分散行列に代入する統合推
定諸元代入ステップである。
【0082】図8は統合平滑器46の処理内容を示すフ
ローチャートであり、図において、ST41は事後確率
に基づいて各運動モデルによる予測ベクトルを重み付け
統合して統合予測ベクトルを算出する統合予測ベクトル
算出ステップ、ST42は統合予測ベクトルに基づいて
競走体の予測方位を算出する予測方位算出ステップ、S
T43は統合予測ベクトルに基づいて観測行列を算出す
る観測行列算出ステップ、ST44は観測行列と運動モ
デル毎の予測誤差共分散行列に基づいて平滑化用のフィ
ルタゲインを算出するゲイン算出ステップ、ST45は
フィルタゲインと事後確率による統合予測ベクトル、観
測値及び予測方位から統合平滑ベクトルを算出する統合
平滑ベクトル算出ステップ、ST46は事後確率に基づ
いて複数の運動モデルの入力ベクトルを重み付け統合し
て統合入力ベクトルを算出する統合入力ベクトル算出ス
テップ、ST47は統合平滑ベクトルの誤差共分散行列
を算出する統合平滑誤差共分散行列算出ステップであ
る。
【0083】次に動作について説明する。この実施の形
態3では、サンプリング時刻tk の競走体の位置と速度
の真値で与えられる式(1)の状態ベクトルを使用し
て、次式のようにN個の運動モデルを定義する。これら
の運動モデルをMDL(n),(n=1,2,・・・,
N)のように表現する。
【数27】
【0084】ここで、Φ(k)は運動モデルに依らない
時刻tk からtk+1 への状態遷移行列、アンダーバーu
n (k)は運動モデルMDL(n)における時刻tk
の入力ベクトル、Γn (k)は当該入力ベクトルの変換
行列である。また、アンダーバーw(k)は従来例と同
様の駆動雑音ベクトルであり、平均が零ベクトルで共分
散行列がQ(k)の正規性白色雑音に従うものとする。
なお、式(45)の運動モデルが上記実施の形態1の式
(20)の場合と異なるのは、状態遷移行列Φ(k)が
MDL(n),(n=1,2,・・・,N)に依らない
点である。
【0085】また、競走体の運動モデルは、時刻毎に、
ある運動モデルから他の運動モデルへ所定の確率で推移
するものと仮定する。時刻tk からtk+1 の間に、競走
体の運動がMDL(m)からMDL(n)へ推移する確
率をPmn(k)で表し、さらに、観測モデルは従来の技
術の場合と同様に、式(7),(8)によって定義す
る。
【0086】図5の追尾処理部25において、統合平滑
諸元用メモリ45に統合平滑ベクトルの初期値アンダー
バーxs (0)と統合平滑誤差共分散行列の初期値Ps
(0)を設定するとともに、モデル確率用メモリ371
〜37N に各運動モデルの事後確率の初期値μs (0,
n),(n=1,2,・・・,N)を設定して追尾処理
を開始する(ステップST1)。以降、複数の受信機に
対応する各測角処理部のいずれかより新たな観測値が入
力される度に、サンプリング時刻を1つ進めて追尾処理
が実行される。
【0087】測角処理部24より観測値を入力すると
(ステップST2)、上記実施の形態1と同様に、ま
ず、運動モデル制御器32は、統合平滑諸元用メモリ4
5から1サンプリング前の時刻tk-1 の統合平滑ベクト
ルアンダーバーxs (k−1)を読み出し、その統合平
滑ベクトルに含まれる競走体の位置、速度や競走開始後
の経過時間等の情報を基にして、現サンプリング時刻t
k で使用する運動モデルの個数を決定し、また、これら
の各運動モデルに設定するパラメータ値を決定する。そ
して、使用対象に決定した運動モデルに対応する運動モ
デル設定器331 〜33N に対して、上記決定した各パ
ラメータ値を伝達する(ステップST3)。なお、以下
では、説明の便宜上、N個の運動モデルが設定される場
合を想定して説明する。
【0088】運動モデル設定器331 〜33N は、運動
モデルに設定するパラメータ値が送られてくると、各々
に応じた式(45)の入力ベクトルアンダーバーu
n (k)、入力ベクトルの変換行列Γn (k)を設定
し、これらの設定内容を運動モデル用予測器351 〜3
N に出力する(ステップST4)。なお、当然ながら
入力ベクトルアンダーバーun (k)、入力ベクトルの
変換行列Γn (k)は一般に運動モデル毎に異なる値で
ある。
【0089】運動モデル用予測器351 〜35N は、統
合平滑諸元用メモリ45から1サンプリング前の統合平
滑ベクトルアンダーバーxs (k−1)と、1サンプリ
ング前の統合平滑誤差共分散行列Ps (k−1)を読み
出し、次式にしたがって、各運動モデル毎の予測ベクト
ルアンダーバーxp (k,n),(n=1,2,・・
・,N)と予測誤差共分散行列Pp (k,n),(n=
1,2,・・・,N)を算出する(ステップST5)。
【数28】
【0090】ただし、この実施の形態3では、状態遷移
行列Φ(k)が運動モデルに依らないため、式(47)
の予測誤差共分散行列はいずれのモデルについても同一
の値となる。このため、以下では、式(47)の予測誤
差共分散行列をPp n(k)と表すことにする。なお、図
5では、運動モデル用予測器351 〜35N のそれぞれ
が予測誤差共分散行列Pp n(k)を算出しているが、例
えば、運動モデル用予測器351 だけが代表して算出
し、この値を必要とする各部位へ出力するように構成す
ることもできる。
【0091】次に事前確率算出器381 〜38N は、上
記実施の形態1の場合と同様に、モデル確率用メモリ3
1 〜37N から運動モデルの1サンプリング前の事後
確率μs (k−1,n),(n=1,2,・・・,N)
を読み出し、式(23)にしたがって運動モデルの事前
確率μp (k,n),(n=1,2,・・・,N)を算
出する(ステップST6)。
【0092】次に予測諸元統合器39は、各運動モデル
の予測ベクトルアンダーバーxp (k,n)及び予測誤
差共分散行列Pp n(k)と、各運動モデルの事前確率μ
p (k,n)とを入力し、次式にしたがって統合予測ベ
クトルアンダーバーxp (k)と、その誤差共分散行列
p (k)を算出する(ステップST7)。ここで、前
述のように運動モデル毎の予測誤差共分散行列P
p n(k)はMDL(n)に依らないため、上記実施の形
態1の場合の式(25)は、下記の式(49)のように
簡単化される。
【数29】
【0093】次に相関判定器40は、上記実施の形態1
の場合と同様に、測角処理部24より入力した観測値が
追尾に有効なデータであるか否かの判定を行う(ステッ
プST8)。即ち、相関判定器40は、予測諸元統合器
39により算出された統合予測ベクトルアンダーバーx
p (k)を使用し、式(26)にしたがって受信機より
見た目標の予測方位を計算する。さらに、観測行列Fi
(アンダーバーxp (k))を算出した後、式(28)
に基づいて、残差θi (k)−θi p(k)の分散g
i (k)を算出する。そして、dをパラメータとして、
観測値θi (k)が式(29)を満たす場合のみ、この
観測値を追尾処理に使用可能な有効データであると判定
する。
【0094】次に相関判定器40において、観測値θi
(k)が有効データであると判定された場合の尤度算出
器411〜41N、モデル尤度集計器42、事後確率算出
器431〜43N及び統合平滑器46の動作について説明
する。
【0095】まず、尤度算出器411 〜41N は、相関
判定器40により観測値θi (k)が有効であると判定
されると、事前確率算出器381 〜38N から運動モデ
ルMDL(n)の事前確率μp (k,n)を入力すると
ともに、運動モデル用予測器351 〜35N から予測ベ
クトルアンダーバーxp (k,n)及び予測誤差共分散
行列Pp n(k)を入力し、また、相関判定器40から観
測値θi (k)を入力して、式(30)〜(34)にし
たがって各運動モデルの尤度λ(k,n)を算出する
(ステップST9)。ただし、各モデルの予測誤差共分
散行列は運動モデルに依らない値Pp n(k)となるた
め、上記実施の形態1の場合の式(33)は、次の式
(50)のようになる。
【数30】
【0096】次にモデル尤度集計器42は、尤度算出器
411 〜41N により算出された運動モデルの尤度λ
(k,n)を入力し、式(35)のように、各運動モデ
ルの尤度の合計値λSUM (k)を算出する(ステップS
T10)。さらに、事後確率算出器431 〜43N は、
尤度算出器411 〜41N から各運動モデルの尤度λ
(k,n)を入力するとともに、モデル尤度集計器42
から尤度の合計値λSUM (k)を入力し、式(36)に
したがって各運動モデルの時刻tk での事後確率μ
s (k,n),(n=1,2,・・・,N)を算出する
(ステップST11)。
【0097】次に、統合平滑器46は、運動モデル用予
測器351 〜35N から予測ベクトルアンダーバーxp
(k,n)及び予測誤差共分散行列Pp n(k)を入力
し、また、事後確率算出器431 〜43N から各運動モ
デルの事後確率μs (k,n)を入力し、さらに、相関
判定器40から観測値θi (k)を入力して、統合平滑
ベクトルアンダーバーxs (k)とその誤差共分散行列
s (k)を算出する(ステップST31)。統合平滑
器46の処理の詳細は後述する。
【0098】次に相関判定器40において、観測値θi
(k)が有効データでないと判定された場合の尤度算出
器411 〜41N 、モデル尤度集計器42、事後確率算
出器431 〜43N 及び統合平滑器46の動作について
説明する。まず、尤度算出器411 〜41N は、事前確
率算出器381 〜38N から運動モデルMDL(n)の
事前確率μp (k,n)を入力し、その事前確率μ
p (k,n)をそのまま事後確率算出器431 〜43N
に出力する。この場合、モデル尤度集計器42は処理を
行わない。
【0099】事後確率算出器431 〜43N は、式(4
0)に示すように、各運動モデルの事前確率μp (k,
n)を事後確率μs (k,n)に代入する(ステップS
T13)。また、統合平滑器46は、運動モデル用予測
器351 〜35N から予測ベクトルアンダーバーx
p (k,n)及び予測誤差共分散行列Pp (k,n)を
入力し、次式のように、統合予測ベクトルアンダーバー
p (k)と統合予測誤差共分散行列Pp (k)を、統
合平滑ベクトルとその誤差共分散行列にそれぞれ代入す
る(ステップST32)。
【数31】
【0100】ここで、統合平滑器46の動作の詳細を説
明する。まず、統合予測ベクトル算出器51は、運動モ
デル用予測器351 〜35N から各運動モデルの予測ベ
クトルを入力するとともに、事後確率算出器431 〜4
N から各運動モデルの事後確率を入力して、その事後
確率μs (k,n)によって重み付けられた各運動モデ
ルの予測ベクトルアンダーバーxp (k)の加重平均で
与えられる、次式の統合予測ベクトルアンダーバーx’
p (k)を算出する(ステップST41)。
【数32】
【0101】次に予測方位算出器52は、統合予測ベク
トル算出器51により算出された統合予測ベクトルアン
ダーバーx’p (k)を使用し、次式にしたがって受信
機より見た目標の予測方位θi p’(k)を計算する(ス
テップST42)。
【数33】 さらに、観測行列算出器53は、式(8)の関数f
i (アンダーバーx(k))の、上記事後確率による統
合予測ベクトルアンダーバーx’p (k)における勾配
で表される、次式の観測行列Fi (アンダーバーx’p
(k))を算出する(ステップST43)。
【数34】
【0102】次にフィルタゲイン算出器54は、運動モ
デル用予測器351 〜35N から各運動モデルの予測誤
差共分散行列Pp n(k)を入力し、上記観測行列F
i (アンダーバーx’p (k))と予測誤差共分散行列
p n(k)を使用して、式(56)の残差共分散行列を
算出した後、式(57)でフィルタゲインK(k)を計
算する(ステップST44)。
【数35】
【0103】次に統合平滑ベクトル算出器55は、上記
事後確率による統合予測ベクトルアンダーバーx’
p (k)と予測方位θi p’(k)とフィルタゲインK
(k)を使用し、次式で統合平滑ベクトルアンダーバー
s (k)を算出する(ステップST45)。
【数36】
【0104】一方、統合入力ベクトル算出器56は、事
後確率算出器431 〜43N から各運動モデルの事後確
率を入力して、MDL(n),(n=1,2,・・・,
N)の入力ベクトルアンダーバーun (k−1)の事後
確率による加重平均である統合入力ベクトルを次式で計
算する(ステップST46)。
【数37】
【0105】最後に、統合平滑誤差共分散行列算出器5
7は、運動モデル用予測器351〜35Nから各運動モデ
ルの予測ベクトルを入力し、また、事後確率算出器43
1〜43Nから各運動モデルの事後確率を入力し、さら
に、上記観測行列、フィルタゲイン、統合入力ベクトル
を入力して、次式にしたがって統合平滑誤差共分散行列
s(k)を算出する(ステップST47)。
【数38】
【0106】以上がサンプリング時刻tk の処理動作で
ある。上記算出した統合平滑ベクトルアンダーバーxs
(k)は、時刻tk での式(1)の状態ベクトルに対す
る最終的な推定値とその誤差共分散行列である。なお、
上記で算出した統合平滑ベクトルアンダーバーx
s (k)とその平滑誤差共分散行列Ps (k)は統合平
滑諸元用メモリ45に格納し、各運動モデルの事後確率
μs (k,n)はモデル確率用メモリ371 〜37N
格納する。この実施の形態3の追尾処理部25では、上
記各サンプリング時刻における一連の処理を追尾が終了
まで繰り返し実行する。
【0107】以上で明らかなように、この実施の形態3
によれば、入力ベクトルが異なる複数の運動モデルを同
時に使用し、観測情報に基づいて、各運動モデルの適合
度(上記事後確率に相当する)を算出して、運動モデル
毎の追尾計算結果を上記適合度で重み付け統合する方式
を取り入れている。これにより、競走体の運動が複数の
運動モデルの一つに厳密に合致しない場合でも、追尾の
精度を劣化させることなく、競走体の位置や速度などを
推定することができる。このため、競走場の構造につい
て正確な事前知識を持たない場合や、競走体の運動に自
由度がある場合にも、高い精度で競走体の運動諸元を計
測することができる。
【0108】また、各運動モデルの状態遷移行列を同一
の値に設定するため、上記実施の形態1の場合と比較す
ると追尾精度の低下は見込まれるものの、運動モデル毎
の平滑器が不要であり、1つの統合平滑器のみで平滑処
理を実行できることにより、演算負荷が軽減されるとい
う利点がある。また、運動モデル毎の平滑諸元を記憶す
る必要がないため、所要メモリ量が削減されるという利
点がある。
【0109】実施の形態4.図9はこの発明の実施の形
態4における追尾処理部25の内部を示す構成図であ
り、図において、図5と同一符号は同一または相当部分
を示すので説明を省略する。図10はこの発明の実施の
形態4による走行軌跡計測方法を示すフローチャートで
ある。図において、図7と同一符号は同一または相当部
分を示すので説明を省略する。ST51は入力した観測
値が無効である場合に、第1の運動モデルの予測ベクト
ル及び予測誤差共分散行列を、統合平滑ベクトル及び統
合平滑誤差共分散行列に代入する統合推定諸元代入ステ
ップである。
【0110】次に動作について説明する。まず、上記実
施の形態1,3と同様に、サンプリング時刻tk の競走
体の位置と速度の真値で与えられる状態ベクトルを式
(1)で定義する。また、上記実施の形態3と同様に、
式(45)のようにN個の運動モデルMDL(n),
(n=1,2,・・・,N)を定義する。
【0111】ここで、状態遷移行列Φ(k)はMDL
(n),(n=1,2,・・・,N)に依らない値であ
る。また、この実施の形態4では、あるサンプリング時
刻において競走体の運動がMDL(n),(n=1,
2,・・・,N)のいずれの状態にあるかの確率は、1
つ前のサンプリング時刻においてMDL(n),(n=
1,2,・・・,N)のいずれの状態にあったかとは無
関係であると仮定する。このため、時刻tk から時刻t
k+1 の間に、競走体の運動がMDL(m)からMDL
(n)へ推移する確率Pmn(k)は定義しない。また、
観測モデルは、式(7),(8)によって定義する。
【0112】図9の追尾処理部において、統合平滑諸元
用メモリ45に統合平滑ベクトルの初期値アンダーバー
s (0)と統合平滑誤差共分散行列の初期値P
s (0)を設定して追尾処理を開始する(ステップST
1)。以降、複数の受信機に対応する各測角処理部のい
ずれかより新たな観測値が入力される度に、サンプリン
グ時刻を1つ進めて追尾処理が実行される。
【0113】測角処理部24より観測値を入力すると
(ステップST2)、上記実施の形態3と同様に、ま
ず、運動モデル制御器32は、統合平滑諸元用メモリ4
5から1サンプリング前の時刻tk-1 の統合平滑ベクト
ルアンダーバーxs (k−1)を読み出し、その統合平
滑ベクトルに含まれる競走体の位置、速度や競走開始後
の経過時間等の情報を基にして、現サンプリング時刻t
k で使用する運動モデルの個数を決定し、また、これら
の各運動モデルに設定するパラメータ値を決定する。そ
して、使用対象に決定した運動モデルに対応する運動モ
デル設定器331 〜33N に対して、上記決定した各パ
ラメータ値を伝達する(ステップST3)。以下では、
説明の便宜上、N個の運動モデルが設定される場合を想
定して説明する。
【0114】なお、この実施の形態4では、運動モデル
設定器331 には、このサンプリング時刻での競走体の
運動として最も典型的と考えられる運動モデルを設定す
る。例えば、このサンプリング時刻で競走体が直線コー
ス上にいた場合には等速直進モデルを設定し、曲線コー
ス上にいた場合には、競走体の現在位置からコースの回
転中心に向かい、コースの曲率に対応した大きさの加速
度ベクトルを入力ベクトルとしてもつ運動モデルなどを
設定する。
【0115】運動モデル設定器331 〜33N は、運動
モデルに設定するパラメータ値が送られてくると、各々
に応じた式(45)の入力ベクトルアンダーバーu
n (k)、入力ベクトルの変換行列Γn (k)を設定
し、これらの設定内容を運動モデル用予測器351 〜3
N に出力する(ステップST4)。なお、当然ながら
入力ベクトルアンダーバーun (k)、入力ベクトルの
変換行列Γn (k)は一般に運動モデル毎に異なる値で
あるが、状態遷移行列Φ(k)はすべての運動モデルに
共通の値である。
【0116】運動モデル用予測器351〜35Nは、統合
平滑諸元用メモリ45から1サンプリング前の統合平滑
ベクトルアンダーバーxs(k−1)と、1サンプリン
グ前の統合平滑誤差共分散行列Ps(k−1)を読み出
し、式(46),(47)にしたがって、各運動モデル
毎の予測ベクトルアンダーバーxp(k,n),(n=
1,2,・・・,N)と予測誤差共分散行列Pp(k,
n),(n=1,2,・・・,N)を算出する(ステッ
プST5)。
【0117】ただし、上記実施の形態3の場合と同様
に、この実施の形態4でも、状態遷移行列Φ(k)が運
動モデルに依らないため、式(47)の予測誤差共分散
行列はいずれのモデルについても同一の値となる。この
ため、以下では、式(47)の予測誤差共分散行列をP
p n(k)と表すことにする。なお、図9では、運動モデ
ル用予測器351 〜35N のそれぞれが予測誤差共分散
行列Pp n(k)を算出しているが、例えば、運動モデル
用予測器351 だけが代表して算出し、この値を必要と
する各部位へ出力するように構成することもできる。
【0118】次に相関判定器40は、上述したように、
このサンプリング時刻における競走体の最も典型的な運
動のモデルとして設定された第1の運動モデルによる予
測ベクトル及び予測誤差共分散行列を使用して、相関処
理を実行する(ステップST8)。即ち、運動モデル用
予測器351 により算出された運動モデルの予測ベクト
ルアンダーバーxp (k,1)を使用し、式(62)に
したがって受信機より見た目標の予測方位を計算する。
【0119】さらに、関数fi (アンダーバーx
p (k))の上記予測ベクトルアンダーバーxp (k)
における勾配を式(63)で算出した後、式(64)に
基づいて、残差θi (k)−θi p(k)の分散g
i (k)を算出する。そして、dをパラメータとして、
観測値θi (k)が式(29)を満たす場合のみ、この
観測値を追尾処理に使用可能な有効データであると判定
する。
【数39】
【0120】次に相関判定器40において、観測値θi
(k)が有効データであると判定された場合の尤度算出
器411 〜41N 、モデル尤度集計器42、事後確率算
出器431 〜43N の動作について説明する。まず、尤
度算出器411 〜41N は、それぞれに対応する運動モ
デルの予測ベクトルアンダーバーxp (k,n)と予測
誤差共分散行列Pp (k,n)を入力し、また、相関判
定器40から上記観測値θi (k)を入力して、次式に
したがって各運動モデルの尤度λ(k,n)を算出する
(ステップST9)。
【数40】
【0121】ここで、Gn (θi (k))は正規分布を
示す関数であり、上記実施の形態1で定義した式(3
1)〜(34)と同様である。ただし、各運動モデルの
予測誤差共分散行列は運動モデルに依らない値P’
p (k)となるため、上記実施の形態3の場合と同様
に、式(33)は式(50)のように書くことができ
る。なお、式(65)が上記実施の形態1,3の場合の
式(30)と異なるのは、各運動モデルの尤度λ(k,
n)が、各運動モデルの事前確率μp (k,n)に依存
せず、上記正規分布関数Gn (θi (k))のみによっ
て決まる点である。これは、上記運動モデルの定義で述
べたように、あるサンプリング時刻において競走体の運
動がMDL(n),(n=1,2,・・・,N)のいず
れの状態にあるかの確率は、1つ前のサンプリング時刻
においてMDL(n),(n=1,2,・・・,N)の
いずれの状態にあったかとは無関係であると仮定した結
果である。
【0122】次にモデル尤度集計器42は、上記実施の
形態1,3と同様に、尤度算出器411 〜41N により
算出された運動モデルの尤度λ(k,n)を入力し、式
(35)のように、各運動モデルの尤度の合計値λSUM
(k)を算出する(ステップST10)。さらに、事後
確率算出器431 〜43N は、尤度算出器411 〜41
N から各運動モデルの尤度λ(k,n)を入力するとと
もに、モデル尤度集計器42から尤度の合計値λ
SUM (k)を入力し、式(36)にしたがって各運動モ
デルの時刻tk での事後確率μs (k,n),(n=
1,2,・・・,N)を算出する(ステップST1
1)。
【0123】次に、統合平滑器46は、上記実施の形態
3の場合と同様に、運動モデル用予測器351 〜35N
から予測ベクトルアンダーバーxp (k,n)及び予測
誤差共分散行列Pp n(k)を入力し、また、事後確率算
出器431 〜43N から各運動モデルの事後確率μ
s (k,n)を入力し、さらに、相関判定器40から観
測値θi (k)を入力して、統合平滑ベクトルアンダー
バーxs (k)とその誤差共分散行列Ps(k)を算出
する(ステップST31)。統合平滑器46の詳細な処
理は、上記実施の形態3の場合と同様である。
【0124】一方、相関判定器40において有効な観測
値が得られなかった場合、この実施の形態4では、尤度
算出器411 〜41N 、事後確率算出器431 〜43N
は処理を行わず、統合平滑器46では、次式に示すよう
に、第1の運動モデルの予測ベクトルアンダーバーxp
(k,1)及び予測誤差共分散行列Pp (k,1)を、
それぞれ統合平滑ベクトル及び統合平滑誤差共分散行列
に代入する(ステップST51)。
【数41】
【0125】以上がサンプリング時刻tk の処理動作で
ある。上記算出した統合平滑ベクトルアンダーバーxs
(k)は、時刻tk での式(1)の状態ベクトルに対す
る最終的な推定値とその誤差共分散行列である。なお、
上記で算出した統合平滑ベクトルアンダーバーx
s (k)とその平滑誤差共分散行列Ps (k)は統合平
滑諸元用メモリ45に格納する。この実施の形態4の追
尾処理部25では、上記各サンプリング時刻における一
連の処理を追尾が終了まで繰り返し実行する。
【0126】以上で明らかなように、この実施の形態4
によれば、入力ベクトルが異なる複数の運動モデルを同
時に使用し、観測情報に基づいて、各運動モデルの適合
度(上記事後確率に相当する)を算出して、運動モデル
毎の追尾計算結果を上記適合度で重み付け統合する方式
を取り入れている。これにより、競走体の運動が複数の
運動モデルの一つに厳密に合致しない場合でも、追尾の
精度を劣化させることなく、競走体の位置や速度などを
推定することができる。このため、競走場の構造につい
て正確な事前知識を持たない場合や、競走体の運動に自
由度がある場合にも、高い精度で競走体の運動諸元を計
測することができる。
【0127】また、各運動モデルの状態遷移行列を同一
の値に設定するため、上記実施の形態1の場合と比較す
ると追尾精度の低下は見込まれるものの、運動モデル毎
の平滑器が不要であり、1つの統合平滑器のみで平滑処
理を実行できることにより、演算負荷が軽減されるとい
う利点がある。また、運動モデル毎の平滑諸元を記憶す
る必要がないため、所要メモリ量が削減されるという利
点がある。さらに、運動モデル間の推移を考慮しないた
め、上記実施の形態1,2の場合と比較して、さらに追
尾精度の低下は見込まれるものの、各運動モデルの事前
確率の計算や予測諸元統合処理が不要となり、演算負荷
が一層軽減されるという利点がある。さらに、各運動モ
デルのモデル確率を記憶する必要がないため、所要メモ
リが一層削減されるという利点がある。
【0128】実施の形態5.この実施の形態5は、上記
実施の形態1,3,4の走行軌跡計測装置に使用可能な
運動モデル制御器に関するものである。図11はこの実
施の形態5の運動モデル制御器の処理内容を示すフロー
チャートであり、図において、図4と同一符号は同一ま
たは相当部分を示すので説明を省略する。ST61は走
路中心線の接線方向に加速度ベクトルを持つ加速度運動
モデルと、走路中心線の法線方向に加速度ベクトルを持
つ加速度運動モデルのモデル数を決定するモデル数決定
ステップ、ST62は接線方向に加速度ベクトルを持つ
加速度運動モデルの各々に対する加速度ベクトルの値を
決定する加速度ベクトル決定ステップ、ST63は法線
方向に加速度ベクトルを持つ加速度運動モデルの各々に
対する加速度の値を決定する加速度ベクトル決定ステッ
プである。
【0129】図12は走路の中心線の接線方向と法線方
向の定義を示す説明図であって、図において、Lは走路
の中心線、P1は競走体が直線コース上にいる場合の競
走体位置、P2は競走体が曲線コース上にいる場合の競
走体位置、A11,A12は競走体が直線コース上にい
る場合の、走路中心線の接線方向の加速度ベクトルの例
であって、A11は競走体の進行方向と同じ向き、A1
2は進行方向と逆向きの加速度ベクトルである。また、
A13,A14は走路中心線の法線方向の加速度ベクト
ルの例であって、A13は進行方向に向かって左方向、
A14は右方向の加速度ベクトルである。また、同様
に、A21,A22は競走体が曲線コース上にいる場合
の、走路中心線の接線方向の加速度ベクトルの例であっ
て、A21は競走体の進行方向と同じ向き、A22は進
行方向と逆向きの加速度ベクトルである。また、A2
3,A24は走路中心線の法線方向の加速度ベクトルの
例であって、A23は進行方向に向かって左方向、A2
4は右方向の加速度ベクトルである。
【0130】この実施の形態5の運動モデル制御器32
では、式(45)の運動モデル式において、次式の設定
を行う複数の運動モデルMDL(n),(n=1,2,
・・・,N)を考える。なお、次式は、従来の技術で述
べた式(4)の場合と同様の形式であるが、入力ベクト
ルアンダーバーun (k)がN個の運動モデル毎に異な
る点が、式(4)の場合と異なっている。
【数42】
【0131】ここで、τ(k)は時刻tk とtk+1 の間
のサンプリング間隔、Φs (k)は等速直進運動を表す
状態遷移行列であって、このΦs (k)は運動モデルM
DL(n),(n=1,2,・・・,N)に依らない値
とする。一方、入力ベクトルアンダーバーun (k)に
は、運動モデルMDL(n),(n=1,2,・・・,
N)毎に方向や大きさが異なる加速度ベクトルアンダー
バーαn を設定する。ここで、アンダーバーαn を零ベ
クトルとすれば、式(45)によって等速直進モデルを
設定することも可能である。また、入力ベクトルの変換
行列Γn (k)は運動モデルに依らない値としている。
【0132】この実施の形態5の運動モデル制御器32
は、上記加速度ベクトルを走路の中心線の接線に平行な
方向及び直交する方向(上記中心線の法線方向)に加速
度ベクトルを設定するものである。この加速度ベクトル
の設定方法を図12を用いて説明する。例えば、競走体
が直線コース上の位置P1にいる場合、接線方向の加速
度ベクトルは図12のA11またはA12であり、ま
た、法線方向の加速度ベクトルはA13またはA14で
ある(例えば、接線方向の加速度ベクトルは、競走体の
進行方向と同一のA11を正の方向と定義すれば、A1
2は同一の方向で負の値をもつ加速度ベクトルと表現す
ることもできる。また、法線方向についても同様であ
る)。
【0133】この場合、N個の各運動モデルには、加速
度ベクトルアンダーバーαn として、零ベクトルか、あ
るいは、A11,A12,A13,A14のいずれかの
方向の加速度ベクトルを定義する。ただし、A11,A
12,A13,A14の各方向の加速度ベクトルの大き
さは任意に設定することができる。また、同一方向に大
きさが異なる加速度ベクトルの複数の運動モデルを定義
することも可能である。例えば、A11の方向に異なる
大きさの加速度ベクトルをもつ複数の運動モデルを同時
に定義することができる。
【0134】同様に、競走体が曲線コース上の位置P2
にいる場合には、N個の各運動モデルの加速度ベクトル
アンダーバーαn として、零ベクトルか、あるいは、走
路中心線の接線方向であるA21,A22、または、法
線方向であるA23,A24のいずれかの方向の加速度
ベクトルを設定する。
【0135】ところで、上記のように各運動モデルの加
速度ベクトルを設定する際、競走体がP1のように直線
コース上にいる場合は、コース内を左右に動くための法
線方向A13,A14よりも、比較的に、進行方向の加
速または減速を示す接線方向のA11,12の加速度ベ
クトルを多く設定したり、各加速度ベクトルの大きさを
大きく設定することが望ましいと考えられる。また、図
12のP1の場合のように、コース内で進行方向に向か
って右よりの位置に存在する場合には、法線方向の加速
度ベクトルとして、右方向のA14よりも左方向のA1
3の方を大きな値に設定することが有利である。
【0136】また、競走体がP2のように曲線コース上
にいる場合は、上記とは逆に、接線方向のA21,A2
2よりも、比較的に、法線方向で特にコースの回転方向
に合致するA23の方向の加速度ベクトルを多く設定し
たり、加速度ベクトルの大きさを大きく設定することが
望ましいと考えられる。以上のような考え方に基づいて
動作するように、この実施の形態5の運動モデル制御器
32は構成されている。
【0137】次に、図11を参照して運動モデル制御器
32の動作を詳しく説明する。測角処理部24より追尾
処理部25に観測値が入力されると、運動モデル制御器
32は、統合平滑ベクトルメモリ31等から1サンプリ
ング前の統合平滑ベクトルの値を読み込み、この値に含
まれる競走体の位置、速度の情報や、出走後の経過時間
の情報に基づいて競走体の運動形態を判定する(ステッ
プST21)。ここで、運動形態とは、例えば、従来の
技術における走行状態判定器16の場合と同様に、競走
体が出走直後の加速直進中の状態であるか、直線コース
をほぼ等速で直進中の状態であるか、曲線コースをほぼ
等速で曲進中の状態であるかなどの区別を表すものであ
る。運動形態としては、さらに、直線コースから曲線コ
ースに移る領域で減速しながら直進する状態や、逆に、
曲線コースから直線コースに移る領域で加速しながら直
進する状態などを追加することも可能である。
【0138】ステップST22では、上記運動形態の判
定結果に応じて、現サンプリング時刻でN個の運動モデ
ルの1つとして式(3)の等速直進モデルを使用するか
否かを決定する。次にステップST61では、上記運動
形態の判定結果に応じて、現サンプリングで使用する走
路中心線の接線方向に加速度ベクトルを持つ加速度運動
モデルの個数と、走路中心線の法線方向に加速度ベクト
ルを持つ加速度運動モデルの個数を決定する。このと
き、運動モデルの個数を多くするほど、競走体の様々な
運動に対応できて、追尾の高精度化が望めるものの、装
置全体としての演算負荷が増大する。このため、必要と
する追尾精度と演算負荷を勘案して、運動モデル数を決
定する。
【0139】次にステップST62では、上記運動形態
の判定結果に応じて、上記運動モデル数を決定した走路
中心線の接線方向の加速度ベクトルの各々に対する値を
決定する。なお、競走体の進行方向と同じ向きの加速度
ベクトルの値を正と定義すれば、それと逆向きの加速度
ベクトルは、方向が同一で負の値の加速度ベクトルと表
現することができる。さらに、ステップST63では、
上記運動形態の判定結果に応じて、上記運動モデル数を
決定した走路中心線の法線方向の加速度ベクトルの各々
に対する値を決定する。なお、競走体の進行方向に向か
って左向きの加速度ベクトルの値を正と定義すれば、右
向きの加速度ベクトルは、方向が同一で負の値の加速度
ベクトルと表現することができる。
【0140】以上で明らかなように、この実施の形態5
によれば、競走体が直線コース上にいるか、曲線コース
上にいるかなどによる運動形態の判定結果に基づいて、
等速直進モデルを使用するか否かや、走路の接線方向の
加速度ベクトルを持つ加速度運動モデル、及び走路の法
線方向の加速度ベクトルを持つ加速度運動モデルの使用
個数を決定することにより、これらの運動モデルのいず
れを重点的に使用するかのバランスを制御することがで
きる。また、各加速度運動モデルにおける加速度ベクト
ルの値を、上記運動形態の判定結果に応じて設定するこ
とができる。このため、競走体の運動の状況に応じて、
的確な運動モデルの組合せを設定することが可能とな
り、追尾精度を高めることができる。特に、この実施の
形態5の運動モデル制御器32は、競走場のコースの構
造が比較的正確にわかっている場合に、この情報を有効
に使用して運動モデルを設定することができる。
【0141】実施の形態6.この実施の形態6は、上記
実施の形態1,3,4の走行軌跡計測装置に使用可能な
運動モデル制御器に関するものである。図13はこの実
施の形態6の運動モデル制御器の処理内容を示すフロー
チャートであり、図において、図4と同一符号は同一ま
たは相当部分を示すので説明を省略する。ST71は競
走体の速度ベクトルと同一方向に加速度ベクトルを持つ
加速度運動モデルと、競走体の速度ベクトルに直交する
方向に加速度ベクトルを持つ加速度運動モデルのモデル
数を決定するモデル数決定ステップ、ST72は競走体
の速度ベクトル方向に加速度ベクトルを持つ加速度運動
モデルの各々に対する加速度ベクトルの値を決定する加
速度ベクトル決定ステップ、ST73は競走体の速度ベ
クトルと直交する方向に加速度ベクトルを持つ加速度運
動モデルの各々に対する加速度の値を決定する加速度ベ
クトル決定ステップである。
【0142】図14は競走体の速度ベクトルと同一の方
向及び直交する方向の定義を示す説明図であって、P3
は競走体の位置、Vは競走体の速度ベクトル、A31,
A32は競走体の速度ベクトル方向の加速度ベクトルの
例であって、A31は競走体の進行方向と同じ向き、A
32は進行方向と逆向きの加速度ベクトルである。ま
た、A33,A34は競走体の速度ベクトルと直交する
方向の加速度ベクトルの例であって、A33は進行方向
に向かって左方向、A34は右方向の加速度ベクトルで
ある。
【0143】この実施の形態6の運動モデル制御器32
では、上記実施の形態5の場合と同様に、式(45)の
運動モデル式において、式(68)の設定を行う複数の
運動モデルMDL(n),(n=1,2,・・・,N)
を考える。ただし、式(68)のΦs (k)は運動モデ
ルMDL(n),(n=1,2,・・・,N)に依らな
い等速直進運動を表す状態遷移行列であり、入力ベクト
ルアンダーバーun (k)には、運動モデルMDL
(n),(n=1,2,・・・,N)毎に方向や大きさ
が異なる加速度ベクトルアンダーバーαn を設定する。
ここで、アンダーバーαn を零ベクトルとすれば、式
(45)によって等速直進モデルを設定することも可能
である。また、入力ベクトルの変換行列Γn (k)は運
動モデルに依らない値としている。
【0144】この実施の形態6の運動モデル制御器32
は、上記加速度ベクトルを競走体の速度ベクトルに平行
な方向及び直交する方向に加速度ベクトルを設定するも
のであって、上記実施の形態5の場合における走路中心
線の接線方向を競走体の速度ベクトル方向に、法線方向
を速度ベクトルに直交する方向に置き換えて考えれば、
ほぼ同様のものである。
【0145】この加速度ベクトルの設定方法を図14を
用いて説明する。例えば、競走体の位置をP3、速度ベ
クトルをVとして、速度ベクトルと同一方向の加速度ベ
クトルはA31またはA32であり、また、速度ベクト
ルと直交する方向の加速度ベクトルはA33またはA3
4である。なお、例えば、速度ベクトル方向の加速度ベ
クトルは、競走体の進行方向と同一のA31を正の方向
と定義すれば、A32は同一の方向で負の値を持つ加速
度ベクトルと表現することもできる。直交する方向につ
いても同様である。
【0146】この場合、N個の各運動モデルには、加速
度ベクトルアンダーバーαn として、零ベクトルか、あ
るいは、A31,A32,A33,A34のいずれかの
方向の加速度ベクトルを定義する。ただし、A31,A
32,A33,A34の各方向の加速度ベクトルの大き
さは任意に設定することができる。また、同一方向に大
きさが異なる加速度ベクトルの複数の運動モデルを定義
することも可能である。例えば、A31の方向に異なる
大きさの加速度ベクトルを持つ複数の運動モデルを同時
に定義することができる。
【0147】上記のように各運動モデルの加速度ベクト
ルを設定する際、競走体が直線コース上にいる場合は、
コース内を左右に動くためのA33,A34の方向より
も、比較的に、加速または減速を示すA31,A32方
向の加速度ベクトルを多く設定したり、各加速度ベクト
ルの大きさを大きく設定することが望ましいと考えられ
る。また、図12のP1の場合のように、コース内で進
行方向に向かって右よりの位置に存在する場合には、右
方向のA14よりも左方向のA13の加速度ベクトルを
大きな値に設定することが有利である。また、競走体が
曲線コース上にいる場合は、速度ベクトルと同一方向よ
りも、速度ベクトルに直交する方向で特にコースの回転
方向に合致する方向の加速度ベクトルを多く設定した
り、加速度ベクトルの大きさを大きく設定することが望
ましいと考えられる。以上のような考え方に基づいて動
作するように、この実施の形態6の運動モデル制御器3
2は構成されている。
【0148】次に図13を参照して運動モデル制御器3
2の動作を詳しく説明する。測角処理部24より追尾処
理部25に観測値が入力されると、運動モデル制御器3
2は、統合平滑ベクトルメモリ31等より1サンプリン
グ前の統合平滑ベクトルの値を読み込み、この値に含ま
れる競走体の位置、速度の情報や、出走後の経過時間の
情報に基づいて競走体の運動形態を判定する(ステップ
ST21)。ここで、運動形態とは、例えば、従来の技
術における走行状態判定器16の場合と同様に、競走体
が出走直後の加速直進中の状態であるか、直線コースを
ほぼ等速で直進中の状態であるか、曲線コースをほぼ等
速で曲進中の状態であるかなどの区別を表すものであ
る。運動形態としては、さらに、直線コースから曲線コ
ースに移る領域で減速しながら直進する状態や、逆に、
曲線コースから直線コースに移る領域で加速しながら直
進する状態などを追加することも可能である。
【0149】ステップST22では、上記運動形態の判
定結果に応じて、現サンプリング時刻でN個の運動モデ
ルの1つとして式(3)の等速直進モデルを使用するか
否かを決定する。次にステップST71では、上記運動
形態の判定結果に応じて、現サンプリングで使用する速
度ベクトルと同一方向に加速度ベクトルを持つ加速度運
動モデルの個数と、速度ベクトルと直交する方向に加速
度ベクトルを持つ加速度運動モデルの個数を決定する。
このとき、運動モデルの個数を多くするほど、競走体の
様々な運動に対応できて、追尾の高精度化が望めるもの
の、装置全体としての演算負荷が増大する。このため、
必要とする追尾精度と演算負荷を勘案して、運動モデル
数を決定する。
【0150】次にステップST72では、上記運動形態
の判定結果に応じて、上記運動モデル数を決定した速度
ベクトル方向の加速度ベクトルの各々に対する値を決定
する。なお、競走体の進行方向と同じ向きの加速度ベク
トルの値を正と定義すれば、それと逆向きの加速度ベク
トルは、方向が同一で負の値の加速度ベクトルと表現す
ることができる。さらに、ステップST73では、上記
運動形態の判定結果に応じて、上記運動モデル数を決定
した速度ベクトルと直交する方向の加速度ベクトルの各
々に対する値を決定する。なお、競走体の進行方向に向
かって左向きの加速度ベクトルの値を正と定義すれば、
右向きの加速度ベクトルは、方向が同一で負の値の加速
度ベクトルと表現することができる。
【0151】以上で明らかなように、この実施の形態6
によれば、競走体が直線コース上にいるか、曲線コース
上にいるかなどによる運動形態の判定結果に基づいて、
等速直進モデルを使用するか否かや、競走体の速度ベク
トルに一致する方向の加速度ベクトルを持つ加速度運動
モデル、及び速度ベクトルに直交する方向の加速度ベク
トルを持つ加速度運動モデルの使用個数を決定すること
により、これらの運動モデルのいずれを重点的に使用す
るかのバランスを制御することができる。また、各加速
度運動モデルにおける加速度ベクトルの値を、上記運動
形態の判定結果に応じて設定することができる。このた
め、競走体の運動の状況に応じて、的確な運動モデルの
組合せを設定することが可能となり、追尾精度を高める
ことができる。特に、この実施の形態6の運動モデル制
御器32は、競走場のコースの構造が正確にはわかって
いない場合にも、競走体の時々刻々の速度ベクトルの情
報を有効に使用して運動モデルを設定することができ
る。
【0152】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、追尾
手段が競走体の位置及び速度を推定する際、複数の運動
モデルを用いて位置及び速度の推定処理を実施するとと
もに、複数の運動モデルの適合度を計算し、複数の運動
モデルによる推定結果を当該適合度にしたがって重み付
け統合するように構成したので、競走場の構造等につい
ての知識が必ずしも正確でない場合においても、精度よ
く競走体を追尾することができる効果がある。
【0153】この発明によれば、前回の統合結果に基づ
いて複数の運動モデルを設定する運動モデル設定部と、
その運動モデル設定部により設定された運動モデルを用
いて位置及び速度を推定する複数の推定部と、前回の運
動モデルの事後確率から当該運動モデルの事前確率を算
出する複数の事前確率算出部と、その推定部による推定
結果,事前確率算出部により算出された事前確率及び計
測手段の計測結果に基づいて当該運動モデルの事後確率
を算出する複数の事後確率算出部と、複数の推定部によ
る推定結果を複数の事後確率算出部により算出された事
後確率にしたがって重み付け統合する統合部とから追尾
手段を構成するようにしたので、構成の複雑化を招くこ
となく、競走体の追尾精度を高めることができる効果が
ある。
【0154】この発明によれば、計測手段の計測結果が
追尾に有効なデータでない場合、事後確率算出部が事前
確率算出部により算出された事前確率を事後確率として
出力するように構成したので、計測手段の計測結果が追
尾に有効なデータでない場合でも、競走体の追尾を継続
することができる効果がある。
【0155】この発明によれば、運動モデル設定部が、
状態遷移行列が相互に異なる運動モデルを設定し、推定
部が推定結果の平滑化を図るように構成したので、競走
体の追尾精度を高めることができる効果がある。
【0156】この発明によれば、運動モデル設定部が、
状態遷移行列が同一の運動モデルを設定するように構成
したので、演算負荷の軽減を図ることができるととも
に、メモリ量の削減を図ることができる効果がある。
【0157】この発明によれば、前回の統合結果に基づ
いて複数の運動モデルを設定する運動モデル設定部と、
その運動モデル設定部により設定された運動モデルを用
いて位置及び速度を推定する複数の推定部と、その推定
部による推定結果及び計測手段の計測結果に基づいて当
該運動モデルの事後確率を算出する複数の事後確率算出
部と、複数の推定部による推定結果を複数の事後確率算
出部により算出された事後確率にしたがって重み付け統
合する統合部とから追尾手段を構成するようにしたの
で、演算負荷の軽減やメモリ量の削減を図りつつ、競走
体を追尾することができる効果がある。
【0158】この発明によれば、運動モデル設定部が前
回の統合結果に基づいて競走体の運動形態を判定し、そ
の運動形態に応じて運動モデルの設定数と種別を決定す
るように構成したので、競走体の運動の状況に応じて、
的確な運動モデルの組合せを設定することができるよう
になり、その結果、競走体の追尾精度を高めることがで
きる効果がある。
【0159】この発明によれば、等加速度直進モデルを
複数個設定する場合、等加速度直進モデル毎に異なる加
速度ベクトルを設定するように構成したので、競走体の
追尾精度を高めることができる効果がある。
【0160】この発明によれば、等速曲進モデルを複数
個設定する場合、等速曲進モデル毎に異なる回転半径を
設定するように構成したので、競走体の追尾精度を高め
ることができる効果がある。
【0161】この発明によれば、走路中心線の接線方向
に加速度ベクトルを有する加速度運動モデルを複数個設
定する場合、加速度運動モデル毎に異なる加速度ベクト
ルを設定するように構成したので、競走体の追尾精度を
高めることができる効果がある。
【0162】この発明によれば、走路中心線の法線方向
に加速度ベクトルを有する加速度運動モデルを複数個設
定する場合、加速度運動モデル毎に異なる加速度ベクト
ルを設定するように構成したので、競走体の追尾精度を
高めることができる効果がある。
【0163】この発明によれば、速度ベクトル方向に加
速度ベクトルを有する加速度運動モデルを複数個設定す
る場合、加速度運動モデル毎に異なる加速度ベクトルを
設定するように構成したので、競走体の追尾精度を高め
ることができる効果がある。
【0164】この発明によれば、速度ベクトル方向と直
交する方向に加速度ベクトルを有する加速度運動モデル
を複数個設定する場合、加速度運動モデル毎に異なる加
速度ベクトルを設定するように構成したので、競走体の
追尾精度を高めることができる効果がある。
【0165】この発明によれば、競走体の位置及び速度
を推定する際、複数の運動モデルを用いて位置及び速度
の推定処理を実施するとともに、複数の運動モデルの適
合度を計算し、複数の運動モデルによる推定結果を当該
適合度にしたがって重み付け統合するように構成したの
で、競走場の構造等についての知識が必ずしも正確でな
い場合においても、精度よく競走体を追尾することがで
きる効果がある。
【0166】この発明によれば、前回の統合結果に基づ
いて複数の運動モデルを設定し、その複数の運動モデル
を用いて位置及び速度をそれぞれ推定する一方、前回の
運動モデルの事後確率から当該運動モデルの事前確率を
それぞれ算出すると、その位置及び速度の推定結果,そ
の事前確率及び方位角の計測結果に基づいて当該運動モ
デルの事後確率をそれぞれ算出し、複数の推定結果を各
事後確率にしたがって重み付け統合するように構成した
ので、構成の複雑化を招くことなく、競走体の追尾精度
を高めることができる効果がある。
【0167】この発明によれば、方位角の計測結果が追
尾に有効なデータでない場合、算出した事前確率を事後
確率として出力するように構成したので、方位角の計測
結果が追尾に有効なデータでない場合でも、競走体の追
尾を継続することができる効果がある。
【0168】この発明によれば、状態遷移行列が相互に
異なる運動モデルを設定し、位置及び速度の推定結果の
平滑化を図るように構成したので、競走体の追尾精度を
高めることができる効果がある。
【0169】この発明によれば、状態遷移行列が同一の
運動モデルを設定するように構成したので、演算負荷の
軽減を図ることができるとともに、メモリ量の削減を図
ることができる効果がある。
【0170】この発明によれば、前回の統合結果に基づ
いて複数の運動モデルを設定し、その複数の運動モデル
を用いて位置及び速度をそれぞれ推定する一方、その位
置及び速度の推定結果及び方位角の計測結果に基づいて
当該運動モデルの事後確率をそれぞれ算出し、複数の推
定結果を各事後確率にしたがって重み付け統合するよう
に構成したので、演算負荷の軽減やメモリ量の削減を図
りつつ、競走体を追尾することができる効果がある。
【0171】この発明によれば、前回の統合結果に基づ
いて競走体の運動形態を判定し、その運動形態に応じて
運動モデルの設定数と種別を決定するように構成したの
で、競走体の運動の状況に応じて、的確な運動モデルの
組合せを設定することができるようになり、その結果、
競走体の追尾精度を高めることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1による走行軌跡計測
装置を示す構成図である。
【図2】 図1の追尾処理部の内部を示す構成図であ
る。
【図3】 この発明の実施の形態1による走行軌跡計測
方法を示すフローチャートである。
【図4】 この発明の実施の形態2による走行軌跡計測
装置の運動モデル制御器の処理内容を示すフローチャー
トである。
【図5】 この発明の実施の形態3における追尾処理部
の内部を示す構成図である。
【図6】 統合平滑器の内部を示す構成図である。
【図7】 この発明の実施の形態3による走行軌跡計測
方法を示すフローチャートである。
【図8】 統合平滑器の処理内容を示すフローチャート
である。
【図9】 この発明の実施の形態4における追尾処理部
の内部を示す構成図である。
【図10】 この発明の実施の形態4による走行軌跡計
測方法を示すフローチャートである。
【図11】 この発明の実施の形態5の運動モデル制御
器の処理内容を示すフローチャートである。
【図12】 走路の中心線の接線方向と法線方向の定義
を示す説明図である。
【図13】 この発明の実施の形態6の運動モデル制御
器の処理内容を示すフローチャートである。
【図14】 競走体の速度ベクトルと同一の方向及び直
交する方向の定義を示す説明図である。
【図15】 従来の走行軌跡計測装置を示す構成図であ
る。
【図16】 図15の追尾処理部の内部を示す構成図で
ある。
【符号の説明】
1 発信機、2 受信機、3 識別処理部、4 測角処
理部、5 追尾処理部、11 相関判定器、12 平滑
器、13 初期値設定器、14 平滑ベクトル用メモ
リ、15 平滑誤差共分散行列用メモリ、16 走行状
態判定器、17等速直進モデル用予測器、18 等速旋
回モデル用予測器、19 等加速度直進モデル用予測
器、21 発信機(発信手段)、22 受信機(受信手
段)、23識別処理部(特定手段)、24 測角処理部
(計測手段)、25 追尾処理部(追尾手段)、31
統合平滑ベクトル用メモリ、32 運動モデル制御器
(運動モデル設定部)、331 〜33N 運動モデル設
定器(運動モデル設定部)、341 〜34N 平滑諸元
用メモリ、351 〜35N 運動モデル用予測器(推定
部)、361 〜36N 運動モデル用平滑器(推定
部)、371 〜37N モデル確率用メモリ、381
38N 事前確率算出器(事前確率算出部)、39予測
諸元統合器、40 相関判定器、411 〜41N 尤度
算出器(事後確率算出部)、42 モデル尤度集計器
(事後確率算出部)、431 〜43N 事後確率算出器
(事後確率算出部)、44 平滑諸元統合器(統合
部)、45 統合平滑諸元用メモリ、46 統合平滑器
(統合部)、51 統合予測ベクトル算出器、52 予
測方位算出器、53 観測行列算出器、54 フィルタ
ゲイン算出器、55 統合平滑ベクトル算出器、56
統合入力ベクトル算出器、57 統合平滑誤差共分散行
列算出器。

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 競走体に装着され、その競走体の識別情
    報を含む電波を発信する発信手段と、上記発信手段から
    発信された電波を受信する受信手段と、上記受信手段に
    より受信された電波から競走体の識別情報を抽出し、そ
    の識別情報に基づいて当該競走体を特定する特定手段
    と、上記受信手段により受信された電波の到来方位から
    当該競走体の方位角を計測する計測手段と、上記計測手
    段の計測結果に基づいて当該競走体の位置及び速度を推
    定する追尾手段とを備えた走行軌跡計測装置において、
    上記追尾手段は競走体の位置及び速度を推定する際、複
    数の運動モデルを用いて位置及び速度の推定処理を実施
    するとともに、上記複数の運動モデルの適合度を計算
    し、上記複数の運動モデルによる推定結果を当該適合度
    にしたがって重み付け統合することを特徴とする走行軌
    跡計測装置。
  2. 【請求項2】 追尾手段は、前回の統合結果に基づいて
    複数の運動モデルを設定する運動モデル設定部と、上記
    運動モデル設定部により設定された運動モデルを用いて
    位置及び速度を推定する複数の推定部と、前回の運動モ
    デルの事後確率から当該運動モデルの事前確率を算出す
    る複数の事前確率算出部と、上記推定部による推定結
    果,上記事前確率算出部により算出された事前確率及び
    計測手段の計測結果に基づいて当該運動モデルの事後確
    率を算出する複数の事後確率算出部と、上記複数の推定
    部による推定結果を上記複数の事後確率算出部により算
    出された事後確率にしたがって重み付け統合する統合部
    とから構成することを特徴とする請求項1記載の走行軌
    跡計測装置。
  3. 【請求項3】 事後確率算出部は、計測手段の計測結果
    が追尾に有効なデータでない場合、事前確率算出部によ
    り算出された事前確率を事後確率として出力することを
    特徴とする請求項2記載の走行軌跡計測装置。
  4. 【請求項4】 運動モデル設定部が、状態遷移行列が相
    互に異なる運動モデルを設定し、推定部が推定結果の平
    滑化を図ることを特徴とする請求項2記載の走行軌跡計
    測装置。
  5. 【請求項5】 運動モデル設定部が、状態遷移行列が同
    一の運動モデルを設定することを特徴とする請求項2記
    載の走行軌跡計測装置。
  6. 【請求項6】 追尾手段は、前回の統合結果に基づいて
    複数の運動モデルを設定する運動モデル設定部と、上記
    運動モデル設定部により設定された運動モデルを用いて
    位置及び速度を推定する複数の推定部と、上記推定部に
    よる推定結果及び計測手段の計測結果に基づいて当該運
    動モデルの事後確率を算出する複数の事後確率算出部
    と、上記複数の推定部による推定結果を上記複数の事後
    確率算出部により算出された事後確率にしたがって重み
    付け統合する統合部とから構成することを特徴とする請
    求項1記載の走行軌跡計測装置。
  7. 【請求項7】 運動モデル設定部は、前回の統合結果に
    基づいて競走体の運動形態を判定し、その運動形態に応
    じて運動モデルの設定数と種別を決定することを特徴と
    する請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載の
    走行軌跡計測装置。
  8. 【請求項8】 運動モデル設定部は、等加速度直進モデ
    ルを複数個設定する場合、等加速度直進モデル毎に異な
    る加速度ベクトルを設定することを特徴とする請求項7
    記載の走行軌跡計測装置。
  9. 【請求項9】 運動モデル設定部は、等速曲進モデルを
    複数個設定する場合、等速曲進モデル毎に異なる回転半
    径を設定することを特徴とする請求項7記載の走行軌跡
    計測装置。
  10. 【請求項10】 運動モデル設定部は、走路中心線の接
    線方向に加速度ベクトルを有する加速度運動モデルを複
    数個設定する場合、加速度運動モデル毎に異なる加速度
    ベクトルを設定することを特徴とする請求項7記載の走
    行軌跡計測装置。
  11. 【請求項11】 運動モデル設定部は、走路中心線の法
    線方向に加速度ベクトルを有する加速度運動モデルを複
    数個設定する場合、加速度運動モデル毎に異なる加速度
    ベクトルを設定することを特徴とする請求項7記載の走
    行軌跡計測装置。
  12. 【請求項12】 運動モデル設定部は、速度ベクトル方
    向に加速度ベクトルを有する加速度運動モデルを複数個
    設定する場合、加速度運動モデル毎に異なる加速度ベク
    トルを設定することを特徴とする請求項7記載の走行軌
    跡計測装置。
  13. 【請求項13】 運動モデル設定部は、速度ベクトル方
    向と直交する方向に加速度ベクトルを有する加速度運動
    モデルを複数個設定する場合、加速度運動モデル毎に異
    なる加速度ベクトルを設定することを特徴とする請求項
    7記載の走行軌跡計測装置。
  14. 【請求項14】 競走体に装着されている発信機が発信
    する電波を受信すると、その電波から競走体の識別情報
    を抽出して当該競走体を特定するとともに、その電波の
    到来方位から当該競走体の方位角を計測し、その計測結
    果に基づいて当該競走体の位置及び速度を推定する走行
    軌跡計測方法において、当該競走体の位置及び速度を推
    定する際、複数の運動モデルを用いて位置及び速度の推
    定処理を実施するとともに、上記複数の運動モデルの適
    合度を計算し、上記複数の運動モデルによる推定結果を
    当該適合度にしたがって重み付け統合することを特徴と
    する走行軌跡計測方法。
  15. 【請求項15】 前回の統合結果に基づいて複数の運動
    モデルを設定し、その複数の運動モデルを用いて位置及
    び速度をそれぞれ推定する一方、前回の運動モデルの事
    後確率から当該運動モデルの事前確率をそれぞれ算出す
    ると、その位置及び速度の推定結果,その事前確率及び
    方位角の計測結果に基づいて当該運動モデルの事後確率
    をそれぞれ算出し、複数の推定結果を各事後確率にした
    がって重み付け統合することを特徴とする請求項14記
    載の走行軌跡計測方法。
  16. 【請求項16】 方位角の計測結果が追尾に有効なデー
    タでない場合、算出した事前確率を事後確率として出力
    することを特徴とする請求項15記載の走行軌跡計測方
    法。
  17. 【請求項17】 状態遷移行列が相互に異なる運動モデ
    ルを設定し、位置及び速度の推定結果の平滑化を図るこ
    とを特徴とする請求項15記載の走行軌跡計測方法。
  18. 【請求項18】 状態遷移行列が同一の運動モデルを設
    定することを特徴とする請求項15記載の走行軌跡計測
    方法。
  19. 【請求項19】 前回の統合結果に基づいて複数の運動
    モデルを設定し、その複数の運動モデルを用いて位置及
    び速度をそれぞれ推定する一方、その位置及び速度の推
    定結果及び方位角の計測結果に基づいて当該運動モデル
    の事後確率をそれぞれ算出し、複数の推定結果を各事後
    確率にしたがって重み付け統合することを特徴とする請
    求項14記載の走行軌跡計測方法。
  20. 【請求項20】 前回の統合結果に基づいて競走体の運
    動形態を判定し、その運動形態に応じて運動モデルの設
    定数と種別を決定することを特徴とする請求項14から
    請求項19のうちのいずれか1項記載の走行軌跡計測方
    法。
JP2001346407A 2001-11-12 2001-11-12 走行軌跡計測装置及び走行軌跡計測方法 Pending JP2003149329A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001346407A JP2003149329A (ja) 2001-11-12 2001-11-12 走行軌跡計測装置及び走行軌跡計測方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001346407A JP2003149329A (ja) 2001-11-12 2001-11-12 走行軌跡計測装置及び走行軌跡計測方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003149329A true JP2003149329A (ja) 2003-05-21

Family

ID=19159590

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001346407A Pending JP2003149329A (ja) 2001-11-12 2001-11-12 走行軌跡計測装置及び走行軌跡計測方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003149329A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008538141A (ja) * 2006-06-13 2008-10-09 ビ−エイイ− システムズ パブリック リミテッド カンパニ− 目標追跡に関する改善策
JP2009204418A (ja) * 2008-02-27 2009-09-10 Toshiba Corp 運動クラス類別装置及び追尾処理装置
JP2010203799A (ja) * 2009-02-27 2010-09-16 Toshiba Corp 目標追尾装置
CN104765476A (zh) * 2015-04-13 2015-07-08 深圳市飞马与星月科技研究有限公司 手写轨迹生成方法和装置

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008538141A (ja) * 2006-06-13 2008-10-09 ビ−エイイ− システムズ パブリック リミテッド カンパニ− 目標追跡に関する改善策
JP4897806B2 (ja) * 2006-06-13 2012-03-14 ビ−エイイ− システムズ パブリック リミテッド カンパニ− 目標を追跡する方法、ネットワークおよびコンピュータプログラム
JP2009204418A (ja) * 2008-02-27 2009-09-10 Toshiba Corp 運動クラス類別装置及び追尾処理装置
JP2010203799A (ja) * 2009-02-27 2010-09-16 Toshiba Corp 目標追尾装置
CN104765476A (zh) * 2015-04-13 2015-07-08 深圳市飞马与星月科技研究有限公司 手写轨迹生成方法和装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10145690B2 (en) Map information generation system, method, and program
US9410808B2 (en) Apparatus and method for detecting location information using navigation algorithm
KR100561855B1 (ko) 로봇용 로컬라이제이션 시스템
US20140278054A1 (en) Environmental awareness for improved power consumption and responsiveness in positioning devices
WO2018209997A1 (zh) 用于目标跟踪的车载毫米波雷达滤波估计方法、装置及存储介质
JP6910545B2 (ja) 物体検出装置及び物体検出方法
Lu et al. Heterogeneous multi-task learning for multiple pseudo-measurement estimation to bridge GPS outages
JP2003149329A (ja) 走行軌跡計測装置及び走行軌跡計測方法
CN111182460A (zh) 混合型室内定位方法、装置、计算机设备及存储介质
WO2019234858A1 (ja) 移動体端末及び現在位置補正システム
CN111082878B (zh) 一种基于水下移动无线传感网的目标跟踪方法
CN113093134A (zh) 一种扩展目标的跟踪方法、装置、感知设备及车辆
JP3442642B2 (ja) 走行経路計測装置
CN113280821B (zh) 基于斜率约束和回溯搜索的水下多目标跟踪方法
JPH10246778A (ja) 目標探知追尾装置
CN111123323B (zh) 一种提高便携设备定位精度的方法
JP2014157052A (ja) ナビゲーション装置、ナビゲーション装置の制御方法およびナビゲーション装置の制御プログラム
Kausar et al. A novel Kalman filter based trilateration approach for indoor localization problem
JPH0797136B2 (ja) 多目標追尾方法及びその装置
JP2002341024A (ja) 多目標追尾装置
JP2005308428A (ja) 位置推定装置
Wang et al. An improved PDR/WiFi integration method for indoor pedestrian localization
JP2003202238A (ja) 位置更新方法
JP2002174681A (ja) 目標追尾装置および目標追尾方法
US20240087459A1 (en) Ship monitoring device, ship monitoring method and a non-transitory computer-readable medium