JP2003147452A - 塩化ニッケル溶液の精製方法 - Google Patents
塩化ニッケル溶液の精製方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 亜鉛やクロムを含む塩化ニッケル溶液から、
不純物の亜鉛やクロムを完全に分離除去することができ
る塩化ニッケル溶液の精製方法を提供する。 【解決手段】不純物を含む塩化ニッケル溶液を陰イオン
交換樹脂に接触させて不純物を吸着させ、0.5N以上
の塩酸溶液にて樹脂に付着している塩化ニッケル溶液を
分離回収した後、水と接触させて樹脂から亜鉛を溶離・
除去する。樹脂から亜鉛と共にクロムを溶離・除去する
には、水に代えて、酸化還元電位がAg/AgCl電極
に対し600mV以下となるように調整した溶液を用い
る。
不純物の亜鉛やクロムを完全に分離除去することができ
る塩化ニッケル溶液の精製方法を提供する。 【解決手段】不純物を含む塩化ニッケル溶液を陰イオン
交換樹脂に接触させて不純物を吸着させ、0.5N以上
の塩酸溶液にて樹脂に付着している塩化ニッケル溶液を
分離回収した後、水と接触させて樹脂から亜鉛を溶離・
除去する。樹脂から亜鉛と共にクロムを溶離・除去する
には、水に代えて、酸化還元電位がAg/AgCl電極
に対し600mV以下となるように調整した溶液を用い
る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非鉄金属の製錬工
程において、不純物を含有する塩化ニッケル溶液から不
純物を除去して精製する方法に関する。
程において、不純物を含有する塩化ニッケル溶液から不
純物を除去して精製する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】製錬工程において非鉄金属を回収する場
合、一般的には、非鉄金属原料を酸やアルカリに溶解
し、目的元素及び不純物を含有した水溶液とする。この
水溶液中の不純物は中和、硫化等の操作によって順次除
去され、目的元素のみを含む水溶液が得られる。その
際、非鉄金属原料中に含まれる不純物を効率的に除去す
ることが、精製プロセスの優劣を決定する。
合、一般的には、非鉄金属原料を酸やアルカリに溶解
し、目的元素及び不純物を含有した水溶液とする。この
水溶液中の不純物は中和、硫化等の操作によって順次除
去され、目的元素のみを含む水溶液が得られる。その
際、非鉄金属原料中に含まれる不純物を効率的に除去す
ることが、精製プロセスの優劣を決定する。
【0003】従来、ニッケル原料として一般的であるニ
ッケルマットは乾式製錬で製造されるため、揮発されや
すい金属はマットの製造工程で揮発除去される。また、
ニッケルに比べて酸化されやすい元素はスラグとなり、
ニッケルマットから分離・固定される。そのため、揮発
しやすい亜鉛及び酸化されやすいクロムは、原料鉱石に
含まれていても、ニッケルマットには殆ど含まれること
がない。
ッケルマットは乾式製錬で製造されるため、揮発されや
すい金属はマットの製造工程で揮発除去される。また、
ニッケルに比べて酸化されやすい元素はスラグとなり、
ニッケルマットから分離・固定される。そのため、揮発
しやすい亜鉛及び酸化されやすいクロムは、原料鉱石に
含まれていても、ニッケルマットには殆ど含まれること
がない。
【0004】しかしながら、近年、各種スクラップ、工
程内生成物のリサイクルや、低品位ラテライト鉱の硫酸
浸出法による処理が活発化したのに伴い、新規原料とし
て新たなニッケル含有物がニッケル製錬の対象となって
きた。これら新規原料中には亜鉛やクロムが存在するた
め、これまでのニッケル製造プロセスでの精製処理は困
難である。
程内生成物のリサイクルや、低品位ラテライト鉱の硫酸
浸出法による処理が活発化したのに伴い、新規原料とし
て新たなニッケル含有物がニッケル製錬の対象となって
きた。これら新規原料中には亜鉛やクロムが存在するた
め、これまでのニッケル製造プロセスでの精製処理は困
難である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一般的に、亜鉛は硫化
物の安定性が高いため、H2Sガスなどを吹き込むこと
でZnSを生成させ、除去することが行われている。し
かしながら、塩化ニッケル溶液中に存在する亜鉛は塩素
イオンとZnCl4 2−などの錯イオンを形成するた
め、硫酸塩溶液の場合に比べて完全除去が困難である。
また、完全に除去しようとすれば、同様に硫化物を生成
するニッケルの共沈も多くなる。更には、有毒ガスであ
るH2Sガスを使用するため作業上の問題も多い。
物の安定性が高いため、H2Sガスなどを吹き込むこと
でZnSを生成させ、除去することが行われている。し
かしながら、塩化ニッケル溶液中に存在する亜鉛は塩素
イオンとZnCl4 2−などの錯イオンを形成するた
め、硫酸塩溶液の場合に比べて完全除去が困難である。
また、完全に除去しようとすれば、同様に硫化物を生成
するニッケルの共沈も多くなる。更には、有毒ガスであ
るH2Sガスを使用するため作業上の問題も多い。
【0006】また、亜鉛はニッケルよりも低pHで水酸
化物を形成する性質があるため、NaOH、Na2CO
3等で中和して除去する方法も考えられる。しかしなが
ら、亜鉛を低濃度まで低減させるためにはpHを6以上
に上昇させる必要があり、このような高いpHでは多量
のニッケルの共沈を抑制することができない。
化物を形成する性質があるため、NaOH、Na2CO
3等で中和して除去する方法も考えられる。しかしなが
ら、亜鉛を低濃度まで低減させるためにはpHを6以上
に上昇させる必要があり、このような高いpHでは多量
のニッケルの共沈を抑制することができない。
【0007】一方、クロムは、通常3価イオンとして存
在する。クロムイオンが3価であれば、pH5以上で水
酸化物を形成するため溶液から除去することができる。
鉄が溶液に共存すれば、中和により生じたFe(OH)3
による吸着作用も加わり、更に低いpHでの除去が可能
となる。
在する。クロムイオンが3価であれば、pH5以上で水
酸化物を形成するため溶液から除去することができる。
鉄が溶液に共存すれば、中和により生じたFe(OH)3
による吸着作用も加わり、更に低いpHでの除去が可能
となる。
【0008】ところで、ニッケル製錬で得られる塩化ニ
ッケル溶液には、亜鉛やクロムよりも多量のコバルトが
含まれるため、コバルトの回収も同時に行われなければ
ならず、中和工程では多量のコバルトを除去することに
重きがおかれる。一般にコバルトは、Cl2ガス等を用
いて溶液中のコバルトイオンを3価に酸化し、Co(O
H)3として除去する。
ッケル溶液には、亜鉛やクロムよりも多量のコバルトが
含まれるため、コバルトの回収も同時に行われなければ
ならず、中和工程では多量のコバルトを除去することに
重きがおかれる。一般にコバルトは、Cl2ガス等を用
いて溶液中のコバルトイオンを3価に酸化し、Co(O
H)3として除去する。
【0009】しかし、このコバルトの中和工程におい
て、塩化ニッケル溶液のクロムイオンも同時に酸化され
て3価イオンからCr2O7 2−となり、この酸化され
たクロムイオンは中和処理では除去困難である。従っ
て、クロムを中和により除去するためには、コバルトを
除去した後、還元してクロムを再度3価イオンに戻し、
その後再び中和することが必要となるため、工程の増加
が避けられない。
て、塩化ニッケル溶液のクロムイオンも同時に酸化され
て3価イオンからCr2O7 2−となり、この酸化され
たクロムイオンは中和処理では除去困難である。従っ
て、クロムを中和により除去するためには、コバルトを
除去した後、還元してクロムを再度3価イオンに戻し、
その後再び中和することが必要となるため、工程の増加
が避けられない。
【0010】一方、近年においては、溶媒抽出法を用い
て各種金属イオンを分離除去することが行われており、
亜鉛やクロムイオンの除去にも適用されている。例え
ば、亜鉛については、リン酸系の酸性抽出剤を用いて分
離した報告例があるが、塩化ニッケル溶液中でCr2O
7 2−の陰イオンになっているクロムは抽出できないた
め、亜鉛だけの除去に留まる。
て各種金属イオンを分離除去することが行われており、
亜鉛やクロムイオンの除去にも適用されている。例え
ば、亜鉛については、リン酸系の酸性抽出剤を用いて分
離した報告例があるが、塩化ニッケル溶液中でCr2O
7 2−の陰イオンになっているクロムは抽出できないた
め、亜鉛だけの除去に留まる。
【0011】また、アミン系抽出剤では、塩化ニッケル
溶液中において亜鉛やクロムがZnCl4 2−やCr2
O7 2−となっているため、両イオンを一度に抽出で
き、ニッケルと選択的に分離することができる。しかし
ながら、アミン系抽出剤に抽出されたこれらの元素は、
強力に抽出されているため通常の方法では逆抽出するこ
とができない。
溶液中において亜鉛やクロムがZnCl4 2−やCr2
O7 2−となっているため、両イオンを一度に抽出で
き、ニッケルと選択的に分離することができる。しかし
ながら、アミン系抽出剤に抽出されたこれらの元素は、
強力に抽出されているため通常の方法では逆抽出するこ
とができない。
【0012】本発明は、このような従来の事情に鑑み、
亜鉛やクロム等の不純物を含む塩化ニッケル溶液から、
亜鉛及びクロムを完全に分離除去することができる塩化
ニッケル溶液の精製方法を提供するものである。
亜鉛やクロム等の不純物を含む塩化ニッケル溶液から、
亜鉛及びクロムを完全に分離除去することができる塩化
ニッケル溶液の精製方法を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明が提供する第1の塩化ニッケル溶液の精製方
法は、不純物を含む塩化ニッケル溶液を陰イオン交換樹
脂に接触させて不純物を吸着させ、次に0.5N以上の
塩酸溶液にて樹脂に付着している塩化ニッケル溶液を分
離回収した後、水と接触させて樹脂から不純物を溶離・
除去することを特徴とするものである。
め、本発明が提供する第1の塩化ニッケル溶液の精製方
法は、不純物を含む塩化ニッケル溶液を陰イオン交換樹
脂に接触させて不純物を吸着させ、次に0.5N以上の
塩酸溶液にて樹脂に付着している塩化ニッケル溶液を分
離回収した後、水と接触させて樹脂から不純物を溶離・
除去することを特徴とするものである。
【0014】また、上記本発明が提供する第2の塩化ニ
ッケル溶液の精製方法は、前記第1の方法での水に代え
て、酸化還元電位がAg/AgCl電極に対し600m
V以下となるように調整した溶液と接触させて樹脂から
不純物を溶離・除去することを特徴とするものである。
ッケル溶液の精製方法は、前記第1の方法での水に代え
て、酸化還元電位がAg/AgCl電極に対し600m
V以下となるように調整した溶液と接触させて樹脂から
不純物を溶離・除去することを特徴とするものである。
【0015】更に、上記本発明が提供する第3の塩化ニ
ッケル溶液の精製方法は、前記第1の方法により水と接
触させて不純物を溶離・除去した後、更に第2の方法に
より酸化還元電位がAg/AgCl電極に対し600m
V以下となるように調整した溶液と接触させて樹脂から
不純物を溶離・除去することを特徴とする。
ッケル溶液の精製方法は、前記第1の方法により水と接
触させて不純物を溶離・除去した後、更に第2の方法に
より酸化還元電位がAg/AgCl電極に対し600m
V以下となるように調整した溶液と接触させて樹脂から
不純物を溶離・除去することを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明者は、亜鉛及びクロムイオ
ンがZnCl4 2−やCr2O7 2−となっていると
き、陰イオン交換樹脂との親和力が大きく、従って容易
に吸着できること、更に吸着された亜鉛及びクロムを樹
脂から完全に溶離でき、特にクロムは3価に還元するこ
とで溶離できることを見出し、本発明に至ったものであ
る。
ンがZnCl4 2−やCr2O7 2−となっていると
き、陰イオン交換樹脂との親和力が大きく、従って容易
に吸着できること、更に吸着された亜鉛及びクロムを樹
脂から完全に溶離でき、特にクロムは3価に還元するこ
とで溶離できることを見出し、本発明に至ったものであ
る。
【0017】即ち、既に述べたように、塩化ニッケル溶
液には多量のコバルトイオンが存在し、これを酸化中和
法によりCo(OH)3として除去すると、溶液中の亜鉛
及びクロムイオンはそれぞれZnCl4 2−やCr2O
7 2−となる。これらのイオンは陰イオン交換樹脂と下
記化学式1のように反応して吸着される。
液には多量のコバルトイオンが存在し、これを酸化中和
法によりCo(OH)3として除去すると、溶液中の亜鉛
及びクロムイオンはそれぞれZnCl4 2−やCr2O
7 2−となる。これらのイオンは陰イオン交換樹脂と下
記化学式1のように反応して吸着される。
【0018】
【化1】ZnCl4 2−+2R4NCl=(R4N+)2
-ZnCl4 2−+2Cl− Cr2O7 2−+2R4NCl=(R4N+)2-Cr2
O7 2−+2Cl−
-ZnCl4 2−+2Cl− Cr2O7 2−+2R4NCl=(R4N+)2-Cr2
O7 2−+2Cl−
【0019】この吸着反応には水素イオンの関与がない
ため、pHの影響を受けない。従って、ニッケルイオン
が水酸化物を形成しないpH6以下であれば、吸着時の
溶液のpHは特に規定されない。吸着操作は単吸着ある
いはカラム吸着のどちらでも同様の効果が得られるが、
操作の連続性や低濃度まで確実に除去することを考慮す
れば、カラム吸着が有利である。即ち、カラムに陰イオ
ン交換樹脂を充填し、亜鉛やクロムを含有する塩化ニッ
ケル溶液を通液することにより、これらのイオンを効率
良く除去することができる。また、陰イオン交換樹脂は
特に限定されるものではないが、4級アンモニウムを官
能基とする強塩基型陰イオン交換樹脂が好適に使用でき
る。
ため、pHの影響を受けない。従って、ニッケルイオン
が水酸化物を形成しないpH6以下であれば、吸着時の
溶液のpHは特に規定されない。吸着操作は単吸着ある
いはカラム吸着のどちらでも同様の効果が得られるが、
操作の連続性や低濃度まで確実に除去することを考慮す
れば、カラム吸着が有利である。即ち、カラムに陰イオ
ン交換樹脂を充填し、亜鉛やクロムを含有する塩化ニッ
ケル溶液を通液することにより、これらのイオンを効率
良く除去することができる。また、陰イオン交換樹脂は
特に限定されるものではないが、4級アンモニウムを官
能基とする強塩基型陰イオン交換樹脂が好適に使用でき
る。
【0020】亜鉛及びクロムイオンの陰イオン交換樹脂
への吸着量は、塩化ニッケル溶液中におけるこれらのイ
オンの濃度及び所望の除去率により変化する。例えば、
20mg/lの亜鉛及びクロムイオンを含む溶液を用い
て、亜鉛を99%以上及びクロムを70%以上除去した
い場合には、通液量(BV)として300まで塩化ニッ
ケル溶液を通液することができる。通液速度(SV)も
特に限定されるものではなく、設備の容量や能力及び処
理すべき塩化ニッケル溶液量から判断すればよい。例え
ばSV10にしても、吸着後液中の不純物濃度、吸着量
に変化はなく、低濃度まで亜鉛及びクロムを吸着するこ
とができる。
への吸着量は、塩化ニッケル溶液中におけるこれらのイ
オンの濃度及び所望の除去率により変化する。例えば、
20mg/lの亜鉛及びクロムイオンを含む溶液を用い
て、亜鉛を99%以上及びクロムを70%以上除去した
い場合には、通液量(BV)として300まで塩化ニッ
ケル溶液を通液することができる。通液速度(SV)も
特に限定されるものではなく、設備の容量や能力及び処
理すべき塩化ニッケル溶液量から判断すればよい。例え
ばSV10にしても、吸着後液中の不純物濃度、吸着量
に変化はなく、低濃度まで亜鉛及びクロムを吸着するこ
とができる。
【0021】続いて、塩酸溶液を用いて、カラム内に残
留している塩化ニッケル溶液を回収する。塩酸溶液の濃
度が濃いほど、亜鉛の塩素錯イオン安定性が高くなるた
め、亜鉛やクロムを溶離することなく、塩化ニッケル溶
液のみを回収することができる。このため、塩酸溶液の
塩酸濃度としては0.5N以上、好ましくは1N以上と
するが、高濃度の塩酸溶液を使用すると吸着したクロム
が還元されて溶離してくるので、0.5〜3Nの塩酸濃
度が望ましい。
留している塩化ニッケル溶液を回収する。塩酸溶液の濃
度が濃いほど、亜鉛の塩素錯イオン安定性が高くなるた
め、亜鉛やクロムを溶離することなく、塩化ニッケル溶
液のみを回収することができる。このため、塩酸溶液の
塩酸濃度としては0.5N以上、好ましくは1N以上と
するが、高濃度の塩酸溶液を使用すると吸着したクロム
が還元されて溶離してくるので、0.5〜3Nの塩酸濃
度が望ましい。
【0022】その後、吸着されている亜鉛とクロムの溶
離を行う。まず、第1の方法では、水と接触させること
で亜鉛を容易に溶離することができる。カラムを用いて
不純物を除去する場合、BV10以下で完全に亜鉛を溶
離できる。水の通液速度は特に限定されないが、遅い方
が少ない水量で溶離できる。
離を行う。まず、第1の方法では、水と接触させること
で亜鉛を容易に溶離することができる。カラムを用いて
不純物を除去する場合、BV10以下で完全に亜鉛を溶
離できる。水の通液速度は特に限定されないが、遅い方
が少ない水量で溶離できる。
【0023】亜鉛と共に吸着されているクロムは、樹脂
と強力に結合して吸着されているため、その多くは第1
の方法では溶離することができない。このクロムを溶離
するには、第2の方法に従って、酸化還元電位を調整し
た溶液と接触させる。酸化還元電位は、吸着されたクロ
ムイオンが3価イオンに還元されるのに必要な値、具体
的にはAg/AgCl電極に対し600mV以下、望ま
しくは500mV以下である。600mVを超える酸化
還元電位では、クロムイオンの還元が不十分なため完全
な溶離が困難である。尚、酸化還元電位の調整には、N
a2SO3や2価鉄イオン含む化合物等を溶解した溶液
を使用することができる。
と強力に結合して吸着されているため、その多くは第1
の方法では溶離することができない。このクロムを溶離
するには、第2の方法に従って、酸化還元電位を調整し
た溶液と接触させる。酸化還元電位は、吸着されたクロ
ムイオンが3価イオンに還元されるのに必要な値、具体
的にはAg/AgCl電極に対し600mV以下、望ま
しくは500mV以下である。600mVを超える酸化
還元電位では、クロムイオンの還元が不十分なため完全
な溶離が困難である。尚、酸化還元電位の調整には、N
a2SO3や2価鉄イオン含む化合物等を溶解した溶液
を使用することができる。
【0024】この第2の方法によれば、クロムと同時
に、亜鉛を完全に溶離することができる。また、第3の
方法として、前記第1の方法と第2の方法を組合わせる
ことにより、亜鉛とクロムを順番に溶離することも可能
である。即ち、最初に水と接触させて亜鉛を溶離した
後、更に酸化還元電位を上記のごとく調整した溶液と接
触させてクロムを溶離する。
に、亜鉛を完全に溶離することができる。また、第3の
方法として、前記第1の方法と第2の方法を組合わせる
ことにより、亜鉛とクロムを順番に溶離することも可能
である。即ち、最初に水と接触させて亜鉛を溶離した
後、更に酸化還元電位を上記のごとく調整した溶液と接
触させてクロムを溶離する。
【0025】このようにして亜鉛及びクロムが溶離され
た陰イオン交換樹脂は、再び塩化ニッケル溶液中の不純
物の吸着操作に使用することができる。
た陰イオン交換樹脂は、再び塩化ニッケル溶液中の不純
物の吸着操作に使用することができる。
【0026】
【実施例】[実施例1]ニッケルを118g/l、Zn
Cl4 2−として亜鉛を19mg/l、及びCr2O7
2−としてクロムを25mg/l含む塩化ニッケル溶液
を、200mlの陰イオン交換樹脂(アンバーライト
IRA400、オルガノ社製)を充填したカラムに、室
温にてSV10の通液速度で通液した。カラム通過液の
亜鉛濃度は1mg/l以下、クロム濃度は2〜6mg/
lとなり、BV300まで通液しても吸着挙動に変化は
なかった。下記表1に、カラム通過液の亜鉛及びクロム
イオン濃度の変化を示す。
Cl4 2−として亜鉛を19mg/l、及びCr2O7
2−としてクロムを25mg/l含む塩化ニッケル溶液
を、200mlの陰イオン交換樹脂(アンバーライト
IRA400、オルガノ社製)を充填したカラムに、室
温にてSV10の通液速度で通液した。カラム通過液の
亜鉛濃度は1mg/l以下、クロム濃度は2〜6mg/
lとなり、BV300まで通液しても吸着挙動に変化は
なかった。下記表1に、カラム通過液の亜鉛及びクロム
イオン濃度の変化を示す。
【0027】
【表1】
【0028】[実施例2]ニッケルを118g/l、Z
nCl4 2−として亜鉛を19mg/l、及びCr2O
7 2−としてクロムを25mg/l含む塩化ニッケル溶
液のBV250相当量を、200mlの陰イオン交換樹
脂(ダイヤイオン PA−318、三菱化学社製)を充
填したカラムに、室温にてSV10の通液速度で通液し
た。
nCl4 2−として亜鉛を19mg/l、及びCr2O
7 2−としてクロムを25mg/l含む塩化ニッケル溶
液のBV250相当量を、200mlの陰イオン交換樹
脂(ダイヤイオン PA−318、三菱化学社製)を充
填したカラムに、室温にてSV10の通液速度で通液し
た。
【0029】その後、濃度の異なる塩酸溶液をカラムに
通液し、カラム内に残留している塩化ニッケル溶液を回
収した。カラムを通過した塩酸溶液中の亜鉛濃度は、高
濃度の塩酸溶液を使用するほど低くなり、0.5N以上
の塩酸を使用すれば亜鉛を溶離することなく塩化ニッケ
ル溶液を回収できた。下記表2に、吸着後のカラムに通
液して回収された塩酸溶液中の亜鉛濃度を示す。
通液し、カラム内に残留している塩化ニッケル溶液を回
収した。カラムを通過した塩酸溶液中の亜鉛濃度は、高
濃度の塩酸溶液を使用するほど低くなり、0.5N以上
の塩酸を使用すれば亜鉛を溶離することなく塩化ニッケ
ル溶液を回収できた。下記表2に、吸着後のカラムに通
液して回収された塩酸溶液中の亜鉛濃度を示す。
【0030】
【表2】
【0031】[実施例3]ニッケルを118g/l、Z
nCl4 2−として亜鉛を19mg/l、及びCr2O
7 2−としてクロムを25mg/l含む塩化ニッケル溶
液のBV250相当量を、200mlの陰イオン交換樹
脂(ダイヤイオン PA−318、三菱化学社製)を充
填したカラムに、室温にてSV10の通液速度で通液し
た。
nCl4 2−として亜鉛を19mg/l、及びCr2O
7 2−としてクロムを25mg/l含む塩化ニッケル溶
液のBV250相当量を、200mlの陰イオン交換樹
脂(ダイヤイオン PA−318、三菱化学社製)を充
填したカラムに、室温にてSV10の通液速度で通液し
た。
【0032】次に、3N塩酸溶液をカラムに通液し、カ
ラム内に残留している塩化ニッケル溶液を回収した。そ
の後、SV2の通液速度で水により亜鉛を溶離した。B
V10以上の溶離液中の亜鉛濃度は1mg/lであり、
BV10までで亜鉛の溶離率は100%となった。
ラム内に残留している塩化ニッケル溶液を回収した。そ
の後、SV2の通液速度で水により亜鉛を溶離した。B
V10以上の溶離液中の亜鉛濃度は1mg/lであり、
BV10までで亜鉛の溶離率は100%となった。
【0033】一方、このときの全溶離液のクロム濃度は
44mg/lであり、クロムの溶離率は4.7%であっ
た。下記表3に、塩酸溶液で塩化ニッケル溶液を回収し
た後、通液して回収した水中の亜鉛濃度を示す。
44mg/lであり、クロムの溶離率は4.7%であっ
た。下記表3に、塩酸溶液で塩化ニッケル溶液を回収し
た後、通液して回収した水中の亜鉛濃度を示す。
【0034】
【表3】
【0035】[実施例4]ニッケルを118g/l、Z
nCl4 2−として亜鉛を19mg/l、及びCr2O
7 2−としてクロムを25mg/l含む塩化ニッケル溶
液のBV250相当量を、200mlの陰イオン交換樹
脂(アンバーライト IRA400、オルガノ社製)を
充填したカラムに、室温にてSV10の通液速度で通液
した。
nCl4 2−として亜鉛を19mg/l、及びCr2O
7 2−としてクロムを25mg/l含む塩化ニッケル溶
液のBV250相当量を、200mlの陰イオン交換樹
脂(アンバーライト IRA400、オルガノ社製)を
充填したカラムに、室温にてSV10の通液速度で通液
した。
【0036】続いて、1N塩酸溶液をカラムに通液し、
カラム内に残留している塩化ニッケル溶液を回収した。
その後、酸化還元電位をNa2SO3で調整した水によ
り、クロムを溶離した。このときのクロム溶離率は、A
g/AgCl電極に対する酸化還元電位が低いほど高く
なり、600mV以下で100%となった。
カラム内に残留している塩化ニッケル溶液を回収した。
その後、酸化還元電位をNa2SO3で調整した水によ
り、クロムを溶離した。このときのクロム溶離率は、A
g/AgCl電極に対する酸化還元電位が低いほど高く
なり、600mV以下で100%となった。
【0037】尚、このときの全溶離液の亜鉛は、いずれ
の条件でも100%溶離することができた。下記表4
に、酸化還元電位を調整した溶液でのクロム溶離率を示
す。
の条件でも100%溶離することができた。下記表4
に、酸化還元電位を調整した溶液でのクロム溶離率を示
す。
【0038】
【表4】
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、塩化ニッケル溶液中の
亜鉛及びクロムイオンを陰イオン交換樹脂に吸着させて
完全に除去し、効率良く塩化ニッケル溶液を精製するこ
とができる。しかも、樹脂に付着している塩化ニッケル
溶液を塩酸溶液で回収することができ、また、吸着して
いる亜鉛及びクロムを溶離して除去し、陰イオン交換樹
脂を再生することができる。
亜鉛及びクロムイオンを陰イオン交換樹脂に吸着させて
完全に除去し、効率良く塩化ニッケル溶液を精製するこ
とができる。しかも、樹脂に付着している塩化ニッケル
溶液を塩酸溶液で回収することができ、また、吸着して
いる亜鉛及びクロムを溶離して除去し、陰イオン交換樹
脂を再生することができる。
Claims (4)
- 【請求項1】 不純物を含む塩化ニッケル溶液を陰イオ
ン交換樹脂に接触させて不純物を吸着させ、次に0.5
N以上の塩酸溶液にて樹脂に付着している塩化ニッケル
溶液を分離回収した後、水と接触させて樹脂から不純物
を溶離・除去することを特徴とする塩化ニッケル溶液の
精製方法。 - 【請求項2】 前記水に代えて、酸化還元電位がAg/
AgCl電極に対し600mV以下となるように調整し
た溶液と接触させて樹脂から不純物を溶離・除去するこ
とを特徴とする、請求項1に記載の塩化ニッケル溶液の
精製方法。 - 【請求項3】 前記水と接触させて不純物を溶離・除去
した後、更に酸化還元電位がAg/AgCl電極に対し
600mV以下となるように調整した溶液と接触させて
樹脂から不純物を溶離・除去することを特徴とする、請
求項1に記載の塩化ニッケル溶液の精製方法。 - 【請求項4】 前記塩化ニッケル溶液中の不純物が、少
なくとも亜鉛及びクロムのいずれかであることを特徴と
する、請求項1〜3のいずれかに記載の塩化ニッケル溶
液の精製方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001345810A JP2003147452A (ja) | 2001-11-12 | 2001-11-12 | 塩化ニッケル溶液の精製方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001345810A JP2003147452A (ja) | 2001-11-12 | 2001-11-12 | 塩化ニッケル溶液の精製方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003147452A true JP2003147452A (ja) | 2003-05-21 |
Family
ID=19159090
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001345810A Pending JP2003147452A (ja) | 2001-11-12 | 2001-11-12 | 塩化ニッケル溶液の精製方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003147452A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006283102A (ja) * | 2005-03-31 | 2006-10-19 | Tsurumi Soda Co Ltd | 塩化銅エッチング廃液の精製方法及び精製塩化銅溶液 |
-
2001
- 2001-11-12 JP JP2001345810A patent/JP2003147452A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006283102A (ja) * | 2005-03-31 | 2006-10-19 | Tsurumi Soda Co Ltd | 塩化銅エッチング廃液の精製方法及び精製塩化銅溶液 |
JP4664719B2 (ja) * | 2005-03-31 | 2011-04-06 | 鶴見曹達株式会社 | 塩化銅エッチング廃液の精製方法及び精製塩化銅溶液 |
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