JP2003147091A - 芳香族ポリサルホン樹脂フィルム及びその製造方法 - Google Patents

芳香族ポリサルホン樹脂フィルム及びその製造方法

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JP2003147091A
JP2003147091A JP2001344483A JP2001344483A JP2003147091A JP 2003147091 A JP2003147091 A JP 2003147091A JP 2001344483 A JP2001344483 A JP 2001344483A JP 2001344483 A JP2001344483 A JP 2001344483A JP 2003147091 A JP2003147091 A JP 2003147091A
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aromatic polysulfone
film
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solvent
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Inventor
Yoshiki Matsuoka
祥樹 松岡
Kunihisa Sato
邦久 佐藤
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】優れた耐熱性と透明性を維持しながら、フィル
ム中に気泡などの欠陥が少ない芳香族ポリサルホン樹脂
フィルム、及びその製造方法を提供する。 【解決手段】還元粘度が40〜100cm3/gで、下
記式(I)で表される繰り返し構造単位を含む芳香族ポ
リサルホン樹脂(A)を含有してなる溶液組成物を流延
してなることを特徴とする芳香族ポリサルホン樹脂フィ
ルムを提供するものである。 ・・・(I) (式(I)中、R1は炭素数1〜6のアルキル基、炭素
数2〜10のアルケニル基、フェニル基またはハロゲン
原子を表し、pは0〜4の整数を表す。同一または異な
る核上の各R1は互いに異なっていてもよい。各pは互
いに異なっていてもよい。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、芳香族ポリサルホ
ン樹脂フィルム、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリサルホン樹脂フィルムは、機
械強度、電気的性質、透明性、耐薬品性、難燃性などの
諸特性に優れたフィルムである。しかしながら、該樹脂
のガラス転移温度(Tg)は240℃未満であるため、
半田のリフロー時に透明性の低下やフィルムの変形が起
こるなど耐熱性に問題があり、液晶表示装置の高分子電
極基板や位相差フィルムなどに用途が限定されていた。
このため、240℃以上のTgと透明性とを兼ね備えた
芳香族ポリサルホン樹脂フィルムが望まれていた。この
ような要求を満足するフィルムとして、特開昭49−1
34800公報には、ビフェニルスルホニルユニットを
主鎖に含み、透明性と耐熱性に優れた(Tg=260
℃)、圧縮成形法で製造された芳香族ポリサルホン樹脂
フィルムが開示されている。しかしながら、フィルムを
圧縮成形法で製造すると、フィルム中に気泡などの欠陥
が残存するという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、優れ
た耐熱性と透明性を維持しながら、フィルム中に気泡な
どの欠陥が少ない芳香族ポリサルホン樹脂フィルム、及
びその製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記した
ような問題がない芳香族ポリサルホン樹脂フィルムを見
出すべく鋭意検討を重ねた結果、還元粘度が40〜10
0cm3/gで、ビフェニルスルホニルユニットを含有
する芳香族ポリサルホン樹脂溶液を流延して得た芳香族
ポリサルホン樹脂フィルムが、優れた耐熱性と透明性を
維持しており、かつフィルム中に気泡などの欠陥が少な
いことを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0005】即ち、本発明は、還元粘度が40〜100
cm3/gで、下記式(I)で表される繰り返し構造単
位を含む芳香族ポリサルホン樹脂(A)を含有してなる
溶液組成物を流延してなることを特徴とする芳香族ポリ
サルホン樹脂フィルムを提供するものである。 (式(I)中、R1は炭素数1〜6のアルキル基、炭素
数2〜10のアルケニル基、フェニル基またはハロゲン
原子を表し、pは0〜4の整数を表す。同一または異な
る核上の各R1は互いに異なっていてもよい。各pは互
いに異なっていてもよい。)
【0006】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。本発明の芳香族ポリサルホン樹脂フィルムは、上記
の芳香族ポリサルホン樹脂(A)を含有してなる溶液組
成物を流延することにより得ることができる。該溶液組
成物は、芳香族ポリサルホン樹脂(A)を10〜50重
量%含有してなることが好ましい。芳香族ポリサルホン
樹脂(A)の含有量が、10重量%未満では、実効濃度
が低く不経済であり、また該溶液組成物の粘度が低いた
め、製膜中にオレンジピールやワキなどの欠陥がフィル
ムに生じる傾向がある。また、芳香族ポリサルホン樹脂
(A)の含有量が、50重量%を超えると、該溶液組成
物の粘度が高くなり、ろ過性が低下し、フィルム中にブ
ツが発生する傾向がある。
【0007】芳香族ポリサルホン樹脂(A)の還元粘度
は、40〜100cm3/gであることが必要であり、
好ましくは40〜90cm3/g、より好ましくは40
〜80cm3/gである。還元粘度が40cm3/g未満
の該樹脂を用いると、流延に適した安定な芳香族ポリサ
ルホン樹脂溶液組成物を得ることが難しく、流延フィル
ムのTgが240℃未満となる。また、100cm3
gを越えると均一な溶液を調製することが困難である上
に、ろ過や脱泡が困難となり、フィルムの外観に問題が
生じる。ここで、還元粘度は、100cm3のN,N−
ジメチルホルムアミド中に芳香族ポリサルホンを1g溶
解させた後、この溶液の粘度をオストワルド粘度管を使
用して25℃で測定した。
【0008】芳香族ポリサルホン樹脂(A)は、下記一
般式(I)で表される繰り返し構造単位を含有してなる
ことが必要であり、下記一般式(I)で表される繰り返
し構造単位を10モル%以上含有してなることが好まし
い。一般式(I)で表される繰り返し構造単位を含有し
ない芳香族ポリサルホン樹脂(A)を用いると、得られ
るフィルムのTgが240℃未満となる。
【0009】 [式(I)中、R1は炭素数1〜6のアルキル基、炭素
数2〜10のアルケニル基、フェニル基またはハロゲン
原子を表し、pは0〜4の整数を表す。同一または異な
る核上の各R1は互いに異なっていてもよい。各pは互
いに異なっていてもよい。]
【0010】また、該芳香族ポリサルホン樹脂は、下記
一般式(II)から(V)で表される構造のうち少なくと
も1種を含むものでもよく、上記式(II)から(V)で
示される繰返し構造単位のうち少なくとも1種を含むラ
ンダム共重合体、交互共重合体またはブロック共重合体
でもよい。
【0011】 [式中、R1、pは前記と同じ意味を表す。m、nは平
均繰り返し構造単位数を表し、m、nは0.1から10
0までの正数である。]
【0012】 [式中、R1、p、m、nは前記と同じ意味を表す。X
は炭素数1〜20の2価の有機基、カルボニル基、硫黄
原子または酸素原子を表す。]
【0013】 [式中、R1、p、m、nは前記と同じ意味を表し、q
は1〜5の整数を表す。各qは互いに異なっていてもよ
い。]
【0014】 [式中、R1、p、qは前記と同じ意味を表す。k、
l、m、nは平均繰り返し構造単位数を表し、k、l、
m、nは0.1から100までの正数を表す。]
【0015】ここで、炭素数1〜6のアルキル基として
は、例えば、メチル基、エチル基、t−ブチル基、シク
ロヘキシル基などがあげられる。炭素数2〜10のアル
ケニル基としては、例えば、エチニル基、iso−プロ
ペニル基などが挙げられる。ハロゲン原子としては、例
えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が
挙げられる。炭素数1〜20の2価の有機基としては、
例えば、イソプロピリデン基、エチリデン基、メチレン
基などのアルキレン基、エチニレン基などのアルキニリ
デン基、フェニルメチレン基などのアリールアルキレン
基、キシリレン基などが挙げられる。
【0016】本発明で用いられる芳香族ポリサルホン樹
脂が、(II)から(IV)で表される構造を含む場合は、
(m/m+n)は0.1以上であることが好ましく、
0.3以上であることがより好ましい。また、(IV)の
構造中のqは1または2であることが好ましく、2であ
ることがより好ましい。さらに、本発明で用いられる芳
香族ポリサルホン樹脂が(V)で表される構造を含む場
合は、(k/k+l+m+n)は0.1以上であること
が好ましく、0.2以上であることがより好ましい。ま
た、(IV)の構造中のqは1または2であることが好ま
しく、2であることがより好ましい。
【0017】本発明においては、(II)で表される構造
を含む樹脂が好ましく使用される。中でも、全てのpが
0であるもの、即ち、下式で示される繰り返し構造単位
からなる構造を含む樹脂がより好ましく、(m/m+
n)が0.1以上である樹脂が特に好ましく使用され
る。
【0018】本発明において用いられる芳香族ポリサル
ホン樹脂の還元粘度は、40〜100cm3/gである
ことが必要であり、好ましくは50〜80cm3/gで
ある。
【0019】本発明で用いる芳香族ポリサルホン樹脂を
製造する方法としては、公知の方法を採用することがで
きる。また、その末端構造は製法に従って決まるもので
あり、特に限定されないが、例えば、−F、−Cl、−
OH、−OR(Rはアルキル基)などが挙げられる。
【0020】次に本発明で使用する芳香族ポリサルホン
樹脂の溶液組成物について説明する。本発明の溶液組成
物は、環状エステル系溶媒、アミド系溶媒、非環状スル
ホキシド系溶媒から選ばれる少なくとも1種の溶媒
(B)を含有することが好ましい。具体的には、γ−ブ
チロラクトンなどの環状エステル類;N,N−ジメチル
ホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メ
チル−2−ピロリドンなどのアミド系溶媒;ジメチルス
ルホキシドなどの非環状スルホキシド系溶媒などが挙げ
られる。
【0021】本発明の溶液組成物は、溶媒(B)に加え
て、さらに炭化水素類(C)を含有することが好まし
い。炭化水素類(C)としては、例えば、ヘキサン、2
−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−
ジブチルブタン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化
水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼ
ン、クメンなどの芳香族炭化水素、シクロヘキサン、メ
チルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、シクロヘ
キセンなどの脂環式炭化水素などが挙げられるが、トル
エンが好ましく使用される。
【0022】芳香族ポリサルホン樹脂(A)の溶液に使
用する溶媒(B)と炭化水素類(C)との重量比は、使
用するポリサルホン樹脂(A)の種類、組み合わせる溶
媒の種類、溶液濃度などよって異なるが、0.7<
(B)/(C)<10であることが好ましく、より好ま
しくは0.7<(B)/(C)<5、さらに好ましくは
0.7<(B)/(C)<2である。(B)/(C)が
0.7以下では、芳香族ポリサルホン樹脂(A)の安定
した均一透明な溶液を得ることが困難な傾向があり、
(B)/(C)が10以上では溶媒の揮発速度が低下す
る傾向がある。
【0023】溶液組成物中の芳香族ポリスルホン樹脂の
濃度は、10重量%〜50重量%であることが好まし
く、より好ましくは20重量%〜50重量%である。1
0重量%未満の濃度では、実効濃度が低く、特に厚膜に
おいて、乾燥の初期段階でフィルムに対流が原因となる
オレンジピールが発生して表面平滑性が低下する傾向が
ある。また、50重量%を超える濃度では、溶液が高粘
度であるため、濾過性や脱泡性に劣る傾向がある。
【0024】尚、溶液組成物の調製方法には特に制限は
なく、樹脂に溶媒を添加しても、溶媒に樹脂を添加して
もかまわない。溶解速度を上げるため、樹脂の形態とし
て粉末を用いたり、加熱することが好ましいが、特に限
定されるものではない。
【0025】また、該溶液組成物には、必要に応じて、
レベリング剤、可塑剤、離型剤などの各種添加剤を配合
してもよい。レベリング剤としては、例えば、アクリル
系、シリコーン系、フッ素系のものが挙げられる。可塑
剤としては、芳香族ポリサルホン樹脂との相溶性が良
く、相分離やブリードアウトを生じないもので、かつ着
色の生じないものが好ましく、例えば、フタル酸系、リ
ン酸系、アジピン酸系、クエン酸系、グリコール酸系な
どの可塑剤が挙げられ、フタル酸ブチルベンジル、リン
酸トリクレジル、メチルフタリルエチルグリコレートな
どが好ましく用いられる。離型剤としては、フッ素系や
シリコーン系など市販のものが使用できるが、可塑剤と
同様、芳香族ポリサルホン樹脂との相溶性が良く、相分
離やブリードアウトを生じないもので、かつ着色の生じ
ないものが好ましい。
【0026】最後に本発明の芳香族ポリサルホン樹脂フ
ィルムの製造方法について説明する。該フィルムは、芳
香族ポリサルホン樹脂を含有する溶液組成物を支持体上
に流延して溶媒を含む流延フィルムを形成させ(以下、
流延工程ということがある)、次いで該流延フィルムか
ら溶媒を蒸発させて乾燥せしめる(以下、乾燥工程とい
うことがある)ことにより製造することができる。
【0027】流延工程は、溶媒を含む流延フィルムを支
持体上に形成させる工程である。この工程では、溶液組
成物をコンマコーター、リップコーター、ドクターブレ
ードコーター、バーコーター、ロールコーター等を用い
て、エンドレスバンドまたはドラムなどの支持体上に流
延するのが一般的である。尚、支持体には鏡面処理を施
したステンレスなどの金属、ポリエチレンテレフタレー
トなどの樹脂フィルム、ガラスなどを用いることが好ま
しいが、これらに限定されるものではない。
【0028】乾燥工程は、該流延フィルムより溶媒を蒸
発させて乾燥せしめてフィルムを形成させる工程であ
る。溶媒の蒸発は、蒸発の効率を向上させるため、加熱
により行うことが好ましい。加熱は一定温度で行っても
よいが、加熱温度を数段以上にわたって変化させること
が経済性やフィルムの表面の平滑性の観点から好まし
い。残存溶媒量をさらに減らすために、減圧下で加熱す
ることが好ましい。
【0029】乾燥後のフィルム中の残存溶媒量は、好ま
しくは5重量%以下、より好ましくは1重量%以下、さ
らに好ましくは0.5重量%以下である。残存溶媒量が
5重量%を超えると、芳香族ポリサルホン樹脂フィルム
のガラス転移温度が低下し、後加工で熱が加わった場合
に寸法変化やカールを引き起こしたり、吸湿を引き起こ
す傾向がある。さらに、残留溶媒が実用段階でのフィル
ムの周辺部品に悪影響を与える傾向もある。
【0030】また、原料の芳香族ポリサルホン樹脂のガ
ラス転移温度と実質的に同等のガラス転移温度を有する
芳香族ポリサルホン樹脂フィルムを効率よく製造するた
めには、乾燥工程の後に、芳香族ポリサルホン樹脂のガ
ラス転移温度以上の温度で加熱、延伸、圧延などの後加
工を行うことが好ましい。特に熱処理を施す場合は、2
80℃以上500℃以下の温度で加熱することが好まし
い。貼合は、複数枚のフィルムを接着すればよく、接着
方法としては、該フィルムの良溶媒を用いて接着する方
法、粘着剤もしくは接着剤を用いて接着する方法などが
挙げられるが、透明性や光学的な等方性が確保されてお
り、接着されていれば特に限定されるものではない。
【0031】形成された芳香族ポリサルホン樹脂フィル
ムは、通常、支持体から剥離して使用される。剥離の方
法には特に制限はないが、膜状物を支持体から連続的に
剥離することにより長尺の芳香族ポリサルホン樹脂フィ
ルムを得ることができる。また、シート状の支持体を用
いてバッチ法で短尺の芳香族ポリサルホン樹脂フィルム
を得ることもできる。
【0032】このようにして製造された芳香族ポリサル
ホン樹脂フィルムは、例えば、電気絶縁分野では、H種
クラスの電気機器、モータや発電機のスロットライナ、
相間絶縁などの絶縁材料、接着剤や粘着剤を塗工しテー
プ状に加工した変圧器や電線向けのラッピング材、コン
デンサーなどの誘電体用フィルム、チューブ状絶縁材料
などに、エレクトロニクス関連分野では、フレキシブル
プリント回路基板やその補強板、耐熱スペーサー、PC
Bラミネートなどに、音響関連分野では、スピーカーの
振動板や振動補強板などに、情報関連分野では、寸法安
定性が要求される記録用テープ、ディスク、液晶ディス
プレイやELディスプレイなど表示装置用パネルのガラ
ス基板代替フィルム、延伸加工を施すことで位相差フィ
ルム、光ファイバーの接続部などに、食品・医療分野で
は、医療用殺菌機器、電子レンジ・オーブンレンジ用の
加熱パックなどに利用することができる。
【0033】
【実施例】本発明を実施例に基づいて説明するが、本発
明が実施例により限定されるものではないことは言うま
でもない。なお、実施例で用いた芳香族ポリサルホン樹
脂は、実質的に以下の繰り返し構造単位からなるもので
ある。 〔芳香族ポリサルホン樹脂のガラス転移温度の測定〕セ
イコー電子工業製熱分析システムSSC/5200を用
いて、芳香族ポリサルホン樹脂を100℃/分で25℃
から330℃まで昇温して同温度で30分間放置した。
室温まで冷却した後、10℃/分で25℃から350℃
まで昇温することにより測定した。 〔フイルムのガラス転移温度の測定〕セイコー電子工業
製熱分析システムSSC/5200を用いて、フィルム
を10℃/分で25℃から350℃まで昇温することに
より測定した。
【0034】合成例1 87.29gの4,4’−ビス(4−クロロフェニルス
ルホニル)ビフェニルと42.55gのビスフェノール
Sを248gのジフェニルスルホンとともに、窒素入
口、パドル型ステンレス攪拌翼及びコンデンサーを装着
した500mlのSUS316L製重合槽に仕込んだ
後、乾燥窒素にて30分パージした。この混合物を油浴
中で180℃にて溶融した後、24.44gの炭酸カリ
ウムを添加した。続いて、この混合物を窒素でパージし
ながら180℃で1時間反応させた後、約4時間かけて2
96℃まで昇温し、そのまま5時間ホールドし、粘調な
重合混合物を得た。この後、重合混合物を金属トレイに
注ぎ、室温で冷却、固化させた。この重合混合物を粉砕
して1.4mmの篩に通した後、熱脱イオン水、アセト
ン、メタノールを用いて洗浄した。洗浄後、得られた芳
香族ポリサルホン樹脂組成物を150℃にて一晩乾燥し
た。得られたポリマーの還元粘度は、52cm 3/gで
あり、ガラス転移温度は275℃であった。
【0035】合成例2 88.15gの4,4’−ビス(4−クロロフェニルス
ルホニル)ビフェニルと42.55gのビスフェノール
Sを248gのジフェニルスルホンとともに、窒素入
口、パドル型ステンレス攪拌翼及びコンデンサーを装着
した500mlのSUS316L製重合槽に仕込んだ
後、乾燥窒素にて30分パージした。この混合物を油浴
中で180℃にて溶融した後、24.44gの炭酸カリ
ウムを添加した。続いて、この混合物を窒素でパージし
ながら180℃で1時間反応させた後、約4時間かけて2
96℃まで昇温し、そのまま5時間ホールドし、粘調な
重合混合物を得た。この後、重合混合物を金属トレイに
注ぎ、室温で冷却、固化させた。この重合混合物を粉砕
して1.4mmの篩に通した後、熱脱イオン水、アセト
ン、メタノールを用いて洗浄した。洗浄後、得られた芳
香族ポリサルホン樹脂組成物を150℃にて一晩乾燥し
た。得られたポリマーの還元粘度は、47cm 3/gで
あり、ガラス転移温度は275℃であった。
【0036】合成例3 89.00gの4,4’−ビス(4−クロロフェニルス
ルホニル)ビフェニルと42.55gのビスフェノール
Sを248grのジフェニルスルホンとともに、窒素入
口、パドル型ステンレス攪拌翼及びコンデンサーを装着
した500mlのSUS316L製重合槽に仕込んだ後、乾燥
窒素にて30分パージした。この混合物を油浴中で18
0℃にて溶融した後、24.44grの炭酸カリウムを
添加した。続いて、この混合物を窒素でパージしながら
180℃で1時間反応させた後、約4時間かけて、296
℃まで昇温し、そのまま5時間ホールドし、粘調な重合
混合物を得た。この後、重合混合物を金属トレイに注
ぎ、室温で冷却、固化させた。この重合混合物を粉砕し
て1.4mmの篩に通した後、熱脱イオン水、アセト
ン、メタノールを用いて洗浄した。洗浄後、得られた芳
香族ポリサルホン樹脂組成物を150℃にて一晩乾燥し
た。得られたポリマーの還元粘度は、35cm 3/gであ
り、ガラス転移温度は261℃であった。
【0037】実施例1 合成例1で作製した還元粘度が52cm3/gの芳香族
ポリサルホン樹脂を0.5g秤取り、4.5gの種々の
良溶媒に溶解させて10重量%溶液を調整した。ここで
検討した良溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミド、N,
N−ジメチルホルムアミドとトルエンの1:1混合物
(重量比)、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル
−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロ
ラクトンの6種類である。これらの溶液を室温で一晩放
置した後、目視で白濁やゲル化の有無を評価した。その
結果、該芳香族ポリサルホン樹脂のこれらの溶媒への溶
解性は良好であり、該溶液には白濁やゲル化は観察され
なかった。
【0038】実施例2 合成例2で作製した還元粘度が47cm3/gの芳香族
ポリサルホン樹脂を0.5g秤取り、4.5gのN,N
−ジメチルホルムアミドとトルエンの1:1混合物(重
量比)に溶解して10重量%溶液を調整した。この溶液
を室温で一晩放置した後、目視で白濁やゲル化の有無を
評価した。その結果、該芳香族ポリサルホン樹脂のこれ
らの溶媒への溶解性は良好であり、該溶液には白濁やゲ
ル化は観察されなかった。
【0039】実施例3 合成例2で作製した還元粘度が47cm3/gの芳香族
ポリサルホン樹脂を3g秤取り、7gのN,N−ジメチ
ルホルムアミドとトルエンの1:1混合物(重量比)に
溶解して30重量%溶液を調整した。この溶液を200
μmのクリアランスのアプリケータを用いてガラス板上
に塗工した。このガラス板を100℃のホットプレート
上で30分間乾燥した後、130℃のホットプレート上
に移し変え30分間乾燥した。その後、ガラス板から該
芳香族ポリサルホン樹脂フィルムを剥がし取り、フィル
ムを熱風オーブン中に吊るし、150℃と190℃で各
90分間、230℃と270℃で各120分間乾燥させ
た。得られたフィルムの膜厚は34μm、ガスクロマト
グラフィーにて定量した残存溶媒量は0.1重量%以
下、ガラス転移温度は246℃であった。また、該フィ
ルムの表面には気泡やオレンジピールなどの欠陥は全く
観察されなかった。
【0040】実施例4 実施例3で作製したフィルムを示差走査熱量測定で使用
するアルミ製パンの中に入れ、100℃/分で室温から
300℃まで昇温し、この温度で15分間放置すること
でフィルムを熱処理した。熱処理後、フィルムを室温に
戻し、該フィルムのガラス転移温度を測定したところ、
269℃であった。
【0041】比較例1 合成例2で作製した還元粘度が47cm3/gの芳香族ポ
リサルホン樹脂を0.40g秤取り、270℃に加熱し
たフローテスター(島津製作所(株)製、CFT50
0)のシリンダーに仕込み、ダイスを介して100kg
f/cm2の圧力を30分加えて圧縮成形した。除圧後、
100℃程度まで冷却した後、シリンダー内からサンプ
ルを取り出し、表面性状を評価した。その結果、中心部
の膜厚が287μmの樹脂板が得られたものの、全体的
に微小な気泡が多数観察されるとともに、直径が0.5
mm程度の気泡が3個、1mm程度の気泡が2個確認さ
れた。
【0042】比較例2 合成例3で作製した還元粘度が35cm3/gの芳香族
ポリサルホン樹脂を3g秤取り、7gのN,N−ジメチ
ルホルムアミドとトルエンの1:1混合物(重量比)に
溶解して30重量%溶液を調整した。この溶液を200
μmのクリアランスのアプリケータを用いてガラス板上
に塗工した。このガラス板を100℃のホットプレート
上で30分乾燥した後、130℃のホットプレート上に
移し変え30分乾燥した。その後、ガラス板から該芳香
族ポリサルホン樹脂フィルムを剥がし取り、フィルムを
熱風オーブン中に吊るし、150℃と190℃で各90
分間、230℃と270℃で各120分間乾燥させた。
得られたフィルムのTgは238℃であり、240℃に
及ばなかった。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、優れた耐熱性と透明性
を維持しながら、フィルム中に気泡などの欠陥が少ない
芳香族ポリサルホン樹脂フィルム、及びその製造方法を
提供することが可能となる。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】還元粘度が40〜100cm3/gで、下
    記式(I)で表される繰り返し構造単位を含む芳香族ポ
    リサルホン樹脂(A)を含有してなる溶液組成物を流延
    してなることを特徴とする芳香族ポリサルホン樹脂フィ
    ルム。 ・・・(I) (式(I)中、R1は炭素数1〜6のアルキル基、炭素
    数2〜10のアルケニル基、フェニル基またはハロゲン
    原子を表し、pは0〜4の整数を表す。同一または異な
    る核上の各R1は互いに異なっていてもよい。各pは互
    いに異なっていてもよい。)
  2. 【請求項2】芳香族ポリサルホン樹脂が、下記式(I)
    で表される繰り返し構造単位を10モル%以上含む請求
    項1記載のフィルム。
  3. 【請求項3】溶液組成物が、芳香族ポリサルホン樹脂
    (A)を10〜50重量%含有してなる請求項1又は2
    記載のフィルム。
  4. 【請求項4】溶液組成物が、環状エステル系溶媒、アミ
    ド系溶媒、非環状スルホキシド系溶媒から選ばれる少な
    くとも1種の溶媒(B)を含有する請求項1〜3のいず
    れかに記載のフィルム。
  5. 【請求項5】溶液組成物が、さらに炭化水素類(C)を
    含有してなり、(B)と(C)との重量比[(B)/
    (C)]が、0.7<[(B)/(C)]<9である請
    求項4記載のフィルム。
  6. 【請求項6】ガラス転移温度が240℃以上である請求
    項1〜5のいずれかに記載のフィルム。
  7. 【請求項7】請求項1〜5のいずれかに記載の溶液組成
    物を支持体上に流延し、乾燥せしめることを特徴とする
    芳香族ポリサルホン樹脂フィルムの製造方法。
  8. 【請求項8】さらに後加工を行う請求項7記載の製造方
    法。
  9. 【請求項9】後加工が加熱処理である請求項8記載の製
    造方法。
  10. 【請求項10】280℃以上500℃以下の温度で熱処
    理する請求項9記載の製造方法。
  11. 【請求項11】後加工が延伸である請求項8記載の製造
    方法。
  12. 【請求項12】後加工が圧延である請求項8記載の製造
    方法。
  13. 【請求項13】後加工が貼合である請求項8記載の製造
    方法
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