JP2003143803A - モータおよびモータ組み込み装置 - Google Patents

モータおよびモータ組み込み装置

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JP2003143803A
JP2003143803A JP2001339116A JP2001339116A JP2003143803A JP 2003143803 A JP2003143803 A JP 2003143803A JP 2001339116 A JP2001339116 A JP 2001339116A JP 2001339116 A JP2001339116 A JP 2001339116A JP 2003143803 A JP2003143803 A JP 2003143803A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 動圧流体軸受を搭載し、動作時粘度が低く、
耐久寿命が長い潤滑油を用いて、高品質、高性能のモー
タおよびモータ組み込み装置を提供する。 【解決手段】 ロータ基板部2の主面とは反対側の面に
軸部となる円柱状の回転軸部12と環状に固着した回転
磁石5とでロータ11を形成し、ベース部3に固着され
て回転磁石5と対向する鉄心6に巻装したコイル7を有
するステータ8配置し、ベース部3に別に固着した円筒
状の軸受スリーブ9に回転軸部12を嵌合させ、軸受ス
リーブ9と回転軸部12からなる流体軸受部で軸受スリ
ーブ9に遊嵌した回転軸部12が非接触に軸支されてロ
ータ11が自在に回動するモータを構成する。流体軸受
部の潤滑油14には(化1)に化学式を示すポリオール
と直鎖飽和脂肪酸との単一エステルを基油として用い
る。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転時に軸の振動
や軸心振れが少なく高速駆動に適し、軸あるいは軸受面
に設けた動圧溝と動圧潤滑剤(潤滑油組成物、以下潤滑
油とよぶ)との作用により発生した動圧によって回転軸
を非接触支持する流体軸受を備えたモータおよびモータ
組み込み装置に関する。
【0002】
【従来の技術】情報機器に多く用いられるモータの1種
である小型スピンドルモ−タは、構成部品点数の削減に
よるさらなる小型化、低コスト化とともに回転性能の一
層の向上が要求されており、軸受面に動圧溝を有し、潤
滑油と軸の回転に伴う動圧作用によって非接触軸支が可
能で、高速回転時の軸の振動や軸心振れが少ない動圧流
体軸受を使用することが多くなっている。
【0003】スピンドルモータの一例を図12に示し、
これを参照して構造、動作を簡単に説明する。
【0004】図12に断面構成を示したスピンドルモー
タ110は、円筒状軸受スリーブ130を固定している
ベース部150と、回転軸120に固定されたロータ1
51と、円筒状軸受スリーブ130に圧入固着されたス
テータ152と、ステータ152に巻装されたコイル1
53と、ロータ151に固着され複数極に着磁された環
状の回転磁石154を備える。ロータ151の上面に磁
性膜や光磁気膜等を形成して情報記録媒体としたりポリ
ゴンミラーを載置してレーザビームスキャナとして情報
機器用に供されている。このスピンドルモータ110
は、円筒状軸受スリーブ130あるいはスラスト押さえ
板140と回転軸120との摺動面にラジアルあるいは
スラスト動圧発生溝(図示せず)が形成されており、回
転駆動時に潤滑油141と動圧発生溝の作用により発生
する動圧で回転軸120を非接触に軸支する動圧流体軸
受を構成している。この動圧流体軸受により、摩擦によ
るエネルギーロスを抑え、非接触軸支により振動、軸心
振れを低減して消費電力と駆動性能の両方を改善するこ
とが可能となる。
【0005】図12に例示したような動圧流体軸受を備
えたスピンドルモータは、静粛でかつ回転振れが小さ
く、玉軸受のような薄型化の制約もないため、多くの情
報機器、例えば、磁気ディスク装置、光ディスク装置、
光磁気ディスク装置等の情報記録再生装置の情報記録媒
体回転駆動用モータやLBP(Laser BeamP
rinter)のレーザビームスキャナのポリゴンミラ
ー回転駆動用モータとして搭載使用されつつある。
【0006】一方、上記スピンドルモータに使用される
動圧流体軸受においては、動圧発生溝の設計形状・加工
精度に加えて、潤滑油の特性が信頼性を含めた軸受の、
延いてはモータの動作性能に大きく影響することが明ら
かになってきている。例えば、動圧流体軸受の潤滑油の
特性としては、モータの起動直後や停止直前で動圧が十
分でないときには、動圧流体軸受部の金属接触を抑制す
るような境界潤滑特性が要求され、連続運転時には回転
に伴う発熱による潤滑油の酸化・分解等の劣化を抑え
た、あるいは蒸発の少ない安定した流体潤滑特性が要求
される。さらに、広い温度範囲にわたって低粘度で摩擦
係数が小さく、モータの駆動電力の低減に寄与すること
も要求される。
【0007】低粘度で潤滑性に優れ、使用温度範囲が広
く、低蒸発特性であって劣化が少なく、長寿命であると
いった特性を有する動圧流体軸受用の潤滑油には、従来
から、主にエステル系の基油が使用されている。例え
ば、高粘度で安定性に優れると言われているトリメチロ
ールプロパンと1価脂肪酸から得られるトリエステルに
ヒンダードフェノール系酸化防止剤を混合したもの
(例:特開平1−188592号公報)や、流動性に優
れると言われているセバシン酸ジオクチル(DOS)を
基油としてフタル酸モノエチルエステルを基油に対して
1〜3重量%混合したもの(例:特開平9−17776
6号公報)、また、低温始動性に優れ回転トルクが低減
すると言われているネオペンチルグリコール(NPG)
のカプリル酸とカプリン酸の混合エステルを基油として
基油単用あるいは基油に対してアゾ系化合物およびジア
ゾ系化合物を0.01〜1重量%添加したもの(例:特
開2000−336383号公報)等が提案されてい
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】図12に示したような
フランジ状の回転台となるロータを載置し、動圧流体軸
受を備えるモータおよびモータ組み込み装置では、フラ
ンジ状のロータの面振れおよび回転軸の回転中心に対す
る軸心振れが重畳された形で現れ、回転中のロータの動
的面振れおよび軸心振れを小さく抑えることは非常に難
しく、それぞれの面振れおよび軸心振れを抑制するため
に非常に高精度な加工が必要になり、さらに、回転軸に
ロータを固定するための特別の治具が必要となり工数が
上昇してコスト高にもなるという課題があった。
【0009】また、図12に示したような動圧流体軸受
を備えるモータおよびモータ組み込み装置では、動圧発
生および軸駆動部の潤滑のために動庄流体軸受用の潤滑
油を用いる。一般に、潤滑油の蒸発や酸化・分解等の劣
化に対する安定性を向上させるために、潤滑油の基油に
は分子量が大きく、分解しにくい高粘度の材料が適する
と言われているが、高粘度の基油を用いた潤滑油は、軸
受損失が大きくなって、モータの消費電力が大きくなる
だけでなく、軸受部自体での発熱も大きくなり、潤滑油
の劣化が進むことになる。また、粘度は、特に低温で著
しく増加するので、低温での軸受損失はさらに大きくな
り、極端な場合、モータを起動できないことも生じる。
【0010】そこで、上記のような従来から提案されて
いる潤滑油が動庄流体軸受用油として用いられる。これ
らの潤滑油は高温時のトルクの数値が低く、初期のなじ
みも良く、耐久性もまずまず良好ではある。しかしなが
ら、上記従来例で示した潤滑油のうちトリエステルやD
OSに代表されるジエステルである前2者は、40℃に
おける基油粘度の数値が10mPa・Sから30mPa
・Sであり、0℃では50mPa・Sから80mPa・
Sというようにともに大きいため回転トルクが高く、低
温時の始動性に課題がある。また、NPGのカプリル酸
とカプリン酸の混合エステルを基油とした後1者は潤滑
特性としては悪くはないが、混合エステル油であること
に起因して、基油が変質したり分解することがあるな
ど、安定性や寿命性能に課題が残されている。
【0011】また、モータ駆動時の温度上昇により潤滑
油の粘度が低下し過ぎ、軸受部から流失して回転軸が焼
き付きを起こしたり、流失飛散した潤滑油が周囲に付着
して汚染による動作不良を起こすという課題もあった。
【0012】本発明はこのような課題を解決するために
なされたもので、軸受面に動圧溝を有して非接触軸支が
可能な動圧流体軸受を搭載し、この動圧流体軸受部に動
作時の粘度が低く潤滑性に優れ、蒸発による損失が少な
く、長時間補充が不要な長寿命の潤滑油を用いて、高速
回転時の軸の振動や軸心振れが少なく、高品質、高性能
で高信頼に加え、耐久寿命が長く保守コストを低減でき
るモータおよびモータ組み込み装置を提供するものであ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明のモータは、ベー
ス部と、円柱形状の回転軸部と、回転軸部に中心軸を合
わせて固定されたロータ(回転子)と、ロータに環状に
固着配置され、複数極に着磁された回転磁石と、一端が
閉塞されて他端に円孔が開き、閉塞端部がベース部に固
着された円筒形状の軸受スリーブと、軸受スリーブ外周
面あるいはベース部に固着された鉄心および鉄心に巻装
されたコイルからなって、回転磁石に対向配置されたス
テータ(固定子)と、回転中心が軸受スリーブの円孔の
中心に同軸に遊嵌された回転軸部の外周面または回転軸
部の外周面と対向する軸受スリーブ内周面のうちの少な
くともいずれか一方に動圧発生溝が形成されたラジアル
軸受部と、円柱形状の回転軸部のスラスト面となる端面
または、スラスト面と対向する軸受スリーブ円孔の底面
となるスラスト支持面または、軸受スリーブの円環状開
口端面または、軸受スリーブの円環状開口端面に対向す
るロータ基板の主面とは反対側の面のうちの少なくとも
いずれか1つの面に動圧発生溝を有するスラスト軸受部
とを備え、ラジアル軸受部ならびにスラスト軸受部の隙
間に潤滑油組成物を封止し、ラジアル軸受部ならびにス
ラスト軸受部の動圧発生溝と潤滑油組成物との相互作用
で生ずる動圧により軸受スリーブに遊嵌した回転軸部が
非接触に軸支されてロータが自在に回動し、潤滑油組成
物の基油に、ポリオールと直鎖飽和脂肪酸との単一エス
テルを用いる構成かまたは、ベース部と、両端に円孔が
開くか、あるいは一端が閉塞されて他端に円孔が開いた
円筒形状の回転円筒部と、回転円筒部に中心軸を合わせ
て固定されたロータ(回転子)と、ロータに環状に固着
配置され、複数極に着磁された回転磁石と、ベース部に
固着された円柱形状の支軸部と、ベース部に固着された
鉄心および鉄心に巻装されたコイルからなって、回転磁
石に対向配置されたステータ(固定子)と、回転中心が
回転円筒部の円孔の中心に同軸に遊嵌された支軸部の外
周面または支軸部の外周面と対向する回転円筒部内周面
のうちの少なくともいずれか一方に動圧発生溝が形成さ
れたラジアル軸受部と、円柱状の支軸部のスラスト面と
なる端面または、スラスト面と対向する回転円筒部の円
孔内の閉塞端面あるいは前記ロータの前記回転円筒部を
固定した側の面からなるスラスト支持面または、回転円
筒部の円環状開口端面または、回転円筒部の円環状開口
端面に対向するベース部上の面のうちの少なくともいず
れか1つの面に動圧発生溝を有するスラスト軸受部とを
備え、ラジアル軸受部ならびにスラスト軸受部の隙間に
潤滑油組成物を封止し、ラジアル軸受部ならびにスラス
ト軸受部の動圧発生溝と潤滑油組成物との相互作用で生
ずる動圧により回転円筒部の円孔に遊嵌された円柱状の
支軸部が非接触に軸支されてロータが自在に回動し、潤
滑油組成物の基油に、ポリオールと直鎖飽和脂肪酸との
単一エステルを用いる構成とともに、潤滑油組成物の基
油に用いるポリオールと直鎖飽和脂肪酸との単一エステ
ルは(化3)に示す化学式を有し、(化3)に示す化学
式のRは炭素数が7から9のうちいずれか1つである直
鎖飽和アルキル基からなる構成をも有している。
【0014】
【化3】
【0015】また、本発明のモータは、モータが備える
動圧流体軸受部に封止される潤滑油が構造中に少なくと
も1つの(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロ
キシフェニル)を有するヒンダードフェノール系酸化防
止剤あるいはヒンダードアミン系酸化防止剤のうち、少
なくとも1種を添加し、添加する酸化防止剤の総量は、
少なくとも0.1重量%以上である構成を有する。
【0016】また、本発明のモータは、モータが備える
動圧流体軸受部に封止される潤滑油に(化4)の構造で
示されるトリグリセライドを油性剤として添加し、(化
4)のトリグリセライドはR3,R4,R5がそれぞれ
同一または異なったCxHyOzの化学式で示される不
飽和あるいは飽和の直鎖または分岐構造を有し、xが1
5〜21のいずれかであり、かつyが29〜43のいず
れかであり、かつzが0〜1のいずれかであって、添加
されるトリグリセライドの総量が、5重量%以下である
構成を有している。
【0017】
【化4】
【0018】また、本発明のモータは、モータが備える
動圧流体軸受部のラジアル軸受部ならびにスラスト軸受
部の表面にニッケルりんメッキ膜を施し、ニッケルりん
メッキ膜が、無電解メッキ膜で製膜された膜であって、
りん濃度が15重量%以下である構成を有している。
【0019】さらにまた、本発明のモータ組み込み装置
は、上記モータの構成で示した潤滑油を封止した動圧流
体軸受を備えるモータを搭載した構成を有している。
【0020】これらの構成により、軸受面に動圧溝を有
して非接触軸支が可能な動圧流体軸受を搭載し、この動
圧流体軸受部に動作時の粘度が低く潤滑性に優れ、蒸発
による損失が少なく、長時間補充が不要な長寿命の潤滑
油を用いて、高速回転時の軸の振動や軸心振れが少な
く、モータ回転時の騒音が低く静粛で、高品質、高性能
で高信頼に加え、耐久寿命が長く保守コストを低減でき
るとともに、消費電力を低減することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を用いて説明する。
【0022】(第1の実施の形態)図1は、本発明の第
1の実施の形態におけるモータをスピンドルモータとし
て組み込んだ情報機器の一例として示した情報記録再生
装置の主要部の構成概要図である。図1(a)は情報記
録再生装置を上方から見た概略平面図、図1(b)は図
1(a)におけるA−O−A線に沿った概略断面図であ
る。図1(a)および図1(b)において、情報記録再
生装置100の筐体ケース18には、モーター主要部を
格納する円形凹部を有したベース部3が嵌合され、情報
記録媒体となるロータ基板部2を回転させるスピンドル
モータと、ロータ基板部2の記録面上を可動に情報信号
を書込み読出しする磁気ヘッド15を取り付けた磁気ヘ
ッドアーム16を駆動する磁気ヘッドアクチュエータ1
7とが固定され、カバー19で情報記録再生装置100
の筐体内を密閉している。円環状あるいは円板状ロ−タ
基板部2の一方の表面には磁性体で記録層を積層して情
報記録媒体となし、ロ−タ基板部2の反対側の面には円
柱状の回転軸部(スピンドル)12からなる軸部とによ
りロータ(回転子)11を構成している。
【0023】一方、回転軸部(回転円柱部)12の外周
面と微小な隙間が形成される内周面を有し、リング形状
の軸受スリーブ9がスラスト支持部10によって一端が
閉塞された状態で形成され、円形凹部を有するベース部
3の閉塞された円形底部に中心軸1に合わせて固着され
ており、図2に部分拡大図で示すように、スラスト支持
部10を有する軸受スリーブ9の円孔状の凹部に、回転
円柱部12が挿入され、回転自在に支持されている。ま
た、回転円柱部12と軸受スリーブ9およびスラスト支
持部10の間の微小な隙間に、例えばエステル系合成油
のような潤滑油14が封入されている。
【0024】情報記録媒体を構成するために磁性体で情
報記録層が積層されたロータ基板部2の下面の中心側の
円周に沿って環状のロータヨーク4と複数極に着磁され
た環状回転磁石5が配置固定されてロータ11を形成し
ており、回転磁石5に対向してベース部3の円形凹部内
周に鉄心6にコイル7を巻装したステータ(固定子)8
が圧入あるいは接着等の方法により固着配置され、回転
磁石5の軸方向下端面に対向するようにスラスト吸引板
13がベース部3に固着されて、回転円柱部12と記録
部を積層したロータ基板部2からなるロータ11を回転
させるスピンドルモータを構成している。
【0025】ロータ11の回転円柱部12の外周面ある
いは、回転円柱部12に対向する軸受スリーブ9の内周
面には、動圧発生溝(図示せず)を有しラジアル軸受部
23を形成している。また、ロータ11の回転円柱部1
2のスラスト面となる端面あるいは、前記スラスト面と
対向する軸受スリーブ円孔の底面となるスラスト支持部
10のうちの少なくともいずれか一方の面に、一例を図
3(図1のロータ11を回転円柱部12の側から見た概
略平面図)に示すような動圧発生溝を有するスラスト軸
受部20を形成し、ラジアル軸受部23およびスラスト
軸受部20でもっていわゆる動圧流体軸受を構成してお
り、コイル7に電流を供給することによって、周知のよ
うに回転磁石5が回転すなわちロータ11が回転し、ロ
ータ11の回転円柱部12の回転によって、潤滑油14
に動圧が発生し、軸受スリーブ9および回転円柱部12
においてラジアル方向およびアキシャル方向に動圧を受
けて、ロータ11の回転円柱部12が中心軸1の周りに
滑らかに回転させられる。
【0026】ロータ基板部2と回転円柱部12からなる
ロータ11および軸受スリーブ9の形成には、例えばス
テンレス鋼、アルミニウム合金、銅合金等の金属材料や
ガラス、液晶ポリマーあるいはPPS(ポリフェニレン
サルファイド)等の熱可塑性材料を使用することができ
る。ロータ11および軸受スリーブ9の軸受部を構成す
る部分の材料としてアルミニウム合金や銅合金を使用す
る場合は、耐摩耗性を向上させるため、表面に例えばニ
ッケルりん(NiP)メッキを施すことにより表面を硬
化させてもよい。
【0027】回転磁石5の下端面に対向させてスラスト
吸引板13を設けること、および、軸受スリーブ9の凹
部とロータ11の回転円柱部12で形成される隙間に潤
滑油14を充填することによって、情報記録再生装置の
いかなる姿勢差に対しても、ロータ11の回転円柱部1
2は、回転磁石5とスラスト吸引板13の間の磁力、お
よび、ロータ基板部2の周囲の大気圧を受けて軸受スリ
ーブ9の凹部から抜けることはなく、また、潤滑油14
自身の粘性や表面張力で潤滑油14が流れ出て潤滑油1
4がなくなるようなことは少なく、ロータ11の回転中
においても、発生した潤滑油14の動圧とロータ11の
自重、回転磁石5とスラスト吸引板13の間の磁力およ
びその周りの大気圧と釣り合った状態で滑らかに回転す
るものである。
【0028】なお、動圧発生溝は、上述の第1の実施の
形態(図1,図2,図3)におけるロータ11の回転円
柱部12のスラスト面となる端面あるいは、前記スラス
ト面と対向する軸受スリーブ円孔の底面となるスラスト
支持部10のうちの少なくともいずれか一方の面に形成
するのではなく、ロータ11の下面に対向する軸受スリ
ーブ開放端側端面22、あるいは、図3(b)に示すよ
うに、軸受スリーブ開放端側端面22に対向するロータ
11の下面の部分にスラスト方向の動圧発生溝24を形
成しても同じ効果が得られることは言うまでもないこと
であり、その動圧発生溝は、ロータ11の回転軸部12
のスラスト面となる端面に形成された動圧発生溝とサイ
ズは異なるが、同様の形状で形成される。
【0029】また、上述の第1の実施の形態において
は、コイル7が巻かれた鉄心6の内側(回転中心軸1
側)に、ロータヨーク4に固着された回転磁石5が鉄心
6に対向するように構成されたいわゆるインナロータ型
の構成で説明しているが、図4に情報装置に用いるモー
タの一例として主要部の概略を断面図で示すように、コ
イル41が巻かれた鉄心42がロータヨーク43に固着
された回転磁石44の内側に対向するように構成された
いわゆるアウタロータ型の構成としても良いのは言うま
でもないことである。なお、図4において前述の図1に
示された参照符号が付加された項目と同様の項目につい
ては、図1と同じ参照符号を付加している。図4におい
て、コイル41が巻かれた鉄心42が、圧入あるいは接
着等の方法により、軸受スリーブ45に固着されてお
り、一方、ロータヨーク43に固定された回転磁石44
がロータ46に接着等の方法により固着され、鉄心42
と回転磁石44が対向するように配置されている。その
他の点は図1におけるインナロータ型と同様であり、重
複を避けるため、ここでは詳細な説明は省略する。な
お、鉄心42がベース部47に接着等の方法により固着
されていても良い。
【0030】また、上述の第1の実施の形態で説明して
きたのは、いわゆるラジアルギャップ(周対向)型ブラ
シレスモータの構成にて示しているが、図5に示すよう
に、いわゆるアキシャルギャップ(面対向)型ブラシレ
スモータの構成で形成しても良いのは言うまでもないこ
とである。ここで、図5は情報記録再生装置に用いるモ
ータの一例としてアキシャルギャップ型ブラシレスモー
タの主要部の概略構成を断面図で示している。前述の図
1に示された参照符号が付加された項目と同様の項目に
ついては、図1と同じ参照符号を付加している。図5に
おいて、円環状あるいは円板状のロータ基板部2の一方
の表面には磁性体で記録層を積層して情報記録媒体とな
し、ロータ基板部2の反対側の面の回転円柱部12から
なるロータ11を形成しており、一方、ロータ11の回
転円柱部12の外周面と微小な隙間が形成される内周面
を有する一端が封止された桶型のリング形状の軸受スリ
ーブ53がベース部54に固着されている。ロータ11
のスラスト面となる端面、前記スラスト面と対向する軸
受スリーブ円孔の底面となるスラスト支持部10、軸受
スリーブ開放端側端面53a、に対向する主面とは反対
側の面のいずれかにスラスト方向動圧発生溝24が、ま
た、軸受スリーブ53の内周面あるいはロータ11の回
転円柱部12の外周面のいずれかにラジアル方向の動圧
発生溝21が形成され、回転円柱部12と軸受スリーブ
53の間の微小な隙間に、潤滑油55が封入されている
構成は上述のラジアルギャップ型ブラシレスモータを有
する構成と同じである。異なっているのは、図5に示す
ように、ロータ11のロータ基板部2にの反対側すなわ
ち回転円柱部12側の面にロータヨーク56が接着等の
方法により固着され、ロータヨーク56には複数極に着
磁されたリング状の回転磁石57が同様に接着等の方法
により固着されており、また、例えば印刷配線基板58
上にそれぞれ略三角形状の複数個のコイル59が巻かれ
たステータ50が、ベース部54に固着され、回転磁石
57とコイル59が軸方向に隙間を有するように対向し
て配置されていることである。
【0031】また、上述の第1の実施の形態の各々(ラ
ジアルギャップ型におけるインナロータ型とアウタロー
タ型およびアキシャルギャップ型)において、組み立て
時、例えば真空槽等の真空中で軸受スリーブ53の凹部
に潤滑油を所定量滴下し、その後軸受スリーブ53の凹
部にロータの回転円柱部12を挿入することが好まし
い。真空中にて組み立てることにより、潤滑油に含まれ
る空気等の気泡が取り除かれる。さらに、潤滑油が空気
等の気泡を含まないことによって動作中の周囲の温度に
よる空気等の気泡の膨張がないため一層安定した軸受性
能を発揮させることができる。
【0032】情報記録再生装置のスピンドルモータに使
用するモータには、情報記録における高密度化、情報転
送レートの高速化等の高性能化にともなって高速回転が
求められることに加えて、さらに低消費電力化が求めら
れている。現在情報記録再生装置のスピンドルモータと
して使用されるモータは10000rpm程度の回転速
度のものまでが使われており、次の段階として1500
0rpmが目標になっている。このような高速回転動作
の条件では、モータはかなりの熱を持つことが予想さ
れ、実際にシュミレーションしてみると、モータの温度
は100℃を越えるという結果が得られている。潤滑油
にとってはこのような高温でも耐えることが要求される
し、さらに低消費電力化に対応する低トルク化が求めら
れている。低トルク化は潤滑油の低粘度化で実現される
が、低粘度化により耐熱性や蒸発特性が悪くなる課題を
解決しなければならない。既に述べたように、潤滑油の
基油として従来用いられてきたジエステルは低粘度化す
ると耐熱性や蒸発特性がかなり悪くなり、また別の潤滑
油の基油として従来用いられてきた混合エステルは、高
温、高速動作時に変質したり分解する課題も解決しなけ
ればならない。
【0033】そこで、上記の本発明の第1の実施の形態
で構造を説明してきた動圧流体軸受を備えたモータに適
したエステル系の基油を検討し、耐熱性や蒸発特性が良
く、変質したり分解することの少ない優れた潤滑油を見
いだすことができた。以下、本発明の第1の実施の形態
における動圧流体軸受を備えたモータに用いる潤滑油に
ついて検討した実施例と比較例をもとに詳しく説明す
る。
【0034】(実施例1)実施例1の潤滑油は以下のと
おり調整した。基油は(化5)で示される構造で、Rは
715の直鎖飽和アルキル基である。基油の酸化を防
止するための添加剤として、4つの(3,5−ジ−te
rt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)を有するヒン
ダードフェノール系酸化防止剤とヒンダードアミン系酸
化防止剤とをそれぞれ1重量%含む混合酸化防止剤を添
加した。
【0035】
【化5】
【0036】(実施例2)実施例2の潤滑油は以下のと
おり調整した。基油は(化5)で示される構造で、Rは
817の直鎖飽和アルキル基である。基油の酸化を防
止するための添加剤として、4つの(3,5−ジ−te
rt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)を有するヒン
ダードフェノール系酸化防止剤とヒンダードアミン系酸
化防止剤とをそれぞれ1重量%含む混合酸化防止剤を添
加した。
【0037】(実施例3)実施例3の潤滑油は以下のと
おり調整した。基油は(化5)で示される構造で、Rは
919の直鎖飽和アルキル基である。基油の酸化を防
止するための添加剤として、4つの(3,5−ジ−te
rt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)を有するヒン
ダードフェノール系酸化防止剤とヒンダードアミン系酸
化防止剤とをそれぞれ1重量%含む混合酸化防止剤を添
加した。
【0038】(実施例4)実施例4の潤滑油は以下のと
おり調整した。基油は(化5)で示される構造で、Rは
817の直鎖飽和アルキル基である。基油の酸化を防
止するための添加剤として、4つの(3,5−ジ−te
rt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)を有するヒン
ダードフェノール系酸化防止剤とヒンダードアミン系酸
化防止剤とをそれぞれ1重量%含む混合酸化防止剤を添
加した。さらに、(化6)で示されるトリグリセライド
を1重量%添加した。ただし、(化6)においてR1,
R2,およびR3は同一構造で、CxHyOzの構造を
有し、xの値が17、yの値が33、zの値が1であ
る。
【0039】
【化6】
【0040】(比較例1)従来一般に、動圧流体軸受に
用いられてきたジエステル系潤滑油であるDOS(セバ
シン酸ジ-2-エチルヘキシル)を、比較例1として用い
た。
【0041】(比較例2)ネオペンチルグリコールとカ
プリル酸とのエステルと、ネオペンチルグリコールとカ
プリン酸とのエステルの2種類を混合した混合エステル
を基油とした潤滑油を比較例2として用いた。
【0042】なお、実施例1から実施例4までの潤滑油
について、基油の主成分量を(表1)に示す。実施例の
潤滑油の基油の主成分量はそれぞれ85重量%以上とし
ている。
【0043】
【表1】
【0044】上記の4つの実施例および2つの比較例の
潤滑油について、粘度、粘度の安定性、蒸発量、耐酸化
性、高温安定性、および摩擦係数を測定した結果につい
て(表2)、図6に示し、以下に説明する。
【0045】
【表2】
【0046】まず、粘度について説明する。(表2)に
おいて、0℃と40℃での粘度は、実施例1から実施例
4の潤滑油は全て比較例1の潤滑油よりも低粘度であっ
た。また、実施例3の潤滑油を除けば、本実施例の潤滑
油は比較例2の潤滑油よりも低粘度であった。特に、従
来ハードディスク装置のスピンドルモータに使用されて
いる比較例1の潤滑油に比べると、実施例1の潤滑油で
は0℃で48%、40℃で38%、実施例2の潤滑油で
は0℃で31%、40℃で26%、実施例3の潤滑油で
は0℃で11%、40℃で8%、実施例4の潤滑油では
0℃で31%、40℃で25%程度小さな粘度であっ
た。また比較例2の潤滑油に比べると、実施例1の潤滑
油では0℃で26%、40℃で19%、実施例2の潤滑
油では0℃で3%、40℃で3%、実施例4の潤滑油で
は0℃で2%、40℃で3%程度、それぞれ小さな粘度
であった。
【0047】したがって、従来使用されてきた比較例1
の潤滑油に比べて、本実施例の潤滑油は低温および高温
状態ともに粘度が小さく、このため動圧流体軸受の軸受
損失を小さくできる。また、同じエステル系である比較
例2の潤滑油に比べても、本実施例1,2および4の潤
滑油は粘度が小さく、軸受損失を低減できることにな
る。
【0048】次に、粘度の安定性について説明する。ス
ピンドルモータの回転速度を高精度に保持するために
は、広い温度範囲で潤滑油の粘度変化が小さいことが重
要であり、この粘度変化を評価した。評価方法として
は、(表2)に示す粘度のデータを用いて、粘度Yと絶
対温度Tの逆数の関係を(式1)で示される指数関数で
近似し、定数Bの値により粘度変化を比較した。
【0049】
【数1】
【0050】数式1において、AおよびBは定数であ
る。定数Bは曲線の傾きを示し、温度に対する粘度の変
化率を表している。すなわち、定数Bの値が小さいほ
ど、温度に対する潤滑油の粘度変化が小さいことを表
す。この結果を(表2)にB値として示した。本実施例
の4つの潤滑油のB値は、比較例1と比較例2の潤滑油
のそれぞれのB値より小さく、温度変化によっても粘度
の変動が生じにくい結果が得られた。
【0051】粘度変化が大きいということは、粘度が高
くなる低温側では軸受損失が大きくなり、また粘度が低
くなる高温側では潤滑油膜が破断して金属接触により焼
き付きが生じやすくなることを意味する。このような潤
滑油を用いたモータを搭載した装置が冬季の屋外で使用
されたり、夏季の車内に放置後使用されるような温度変
化の大きな条件でも、本実施例の潤滑油では粘度変化が
比較例よりも小さいので、これらの実施例を用いた動圧
流体軸受ならびにその動圧流体軸受を用いたスピンドル
モータは、広い温度範囲で、かつ高速回転領域であって
も、安定した回転性能を得ることができることになる。
【0052】次に、4つの実施例および2つの比較例の
潤滑油の蒸発量(蒸発損失)について説明する。蒸発損
失については、実施例1から実施例4の潤滑油、および
比較例1,2の潤滑油をそれぞれ入れたガラスビーカー
を100℃の恒温槽中で、120時間放置後の重量減量
を蒸発損失として、重量%で求めた。この結果を(表
2)に蒸発量として示した。実施例2,3,4の潤滑油
の蒸発損失は比較例1,2の潤滑油の蒸発損失よりも格
段に低い結果が得られた。すなわち、実施例2,3,4
の潤滑油は蒸発損失が少ないので、長期間稼動させても
潤滑油が欠如することがなく、スピンドルモータの寿命
を向上できることになる。
【0053】次に、潤滑油が回転軸と軸受部材である金
属と高温状態で長時間接触するときの耐熱安定性を高温
加速試験により評価した。高温加速試験は、実際のスピ
ンドルモータの駆動時における潤滑油の状態を考慮し、
シェーカ付きの加熱式オイルバスを用いて以下の手順で
行った。まず実施例1から実施例4の潤滑油、および比
較例1,2の潤滑油をステンレス鋼製の試験管におのお
の注入した。潤滑油を注入した試験管のそれぞれに回転
軸および軸受部材と同一の金属材料を潤滑油中に浸し
た。この金属材料としては、軸受部材としてよく使用さ
れる銅合金からなる円柱棒の表面に、表面硬化のために
一般的に行われているニッケルりんメッキ膜を形成した
ものを用いた。これらの試験管を150℃に加熱したシ
ェーカ付きの加熱式オイルバスに浸し、振動させて高温
加速試験を行った。シェーカの振動により、ステンレス
製の試験管とニッケルりんメッキされた銅合金棒とが常
時接触するので、それぞれの金属表面には常に新生面が
形成されて境界潤滑条件を実現することができる。
【0054】評価方法としては、上記の高温加速試験の
一定時間経過毎におのおのの潤滑油を一定量採取して粘
度を測定し、その粘度変化による評価と、627時間経
過後の全酸価数を測定して評価した。耐熱性に劣る潤滑
油や、金属を触媒にして分解や劣化する潤滑油の場合に
は、高温状態や金属の添加による触媒作用によりその粘
度が変化するので、粘度変化を測定することで潤滑油の
耐熱性を評価することができる。また、全酸価数とは、
1gの被測定試料中に含まれる酸性成分を中和するため
に必要とされる水酸化カリウムの量をミリグラム単位で
示した量である。全酸価数の値が大きい場合は、高温状
態で潤滑油が酸化し、さらに分解等が進行して、その結
果酸性成分が生成されたことを意味する。したがって、
全酸価数の値が大きい潤滑油は酸化、分解等の劣化が生
じていること示しており、耐熱性を評価することができ
る。
【0055】高温加速試験での粘度変化を測定した結果
を図6に示す。横軸は高温状態に保持した時間を示し、
縦軸は一定時間経過毎の粘度を示す。なお、粘度の測定
は40℃で行った。比較例1の潤滑油の場合には、時間
経過とともにほぼ直線的に粘度が増加しており、軸受部
が高温になるような使用条件では軸受損失が大きくなる
ので使用は困難である。また、比較例2の潤滑油は約1
70時間経過後から粘度変化が生じており、比較例1に
比べると耐熱性が良好であるが、長期間の信頼性に問題
があるといえる。
【0056】一方、実施例1から実施例4の潤滑油は、
高温加速試験の時間経過による粘度変化がほとんど見ら
れず、耐熱性安定性が格段に良好であることが確認され
た。
【0057】これらの潤滑油について、627時間経過
後の全酸価数を測定した結果も(表2)に示した。
【0058】実施例1から実施例4の潤滑油ともに比較
例1,2の潤滑油よりも全酸価数の値が小さく、耐熱性
が良好であることが確認された。特に、実施例1,3の
潤滑油は全酸化数の値が0であり、高温状態でも分解が
生じず、非常に安定な潤滑油であることが見いだされ
た。一方、比較例1の潤滑油の場合には、全酸価数の値
が大きいので高温加速試験により分解が生じていること
がわかる。すなわち、比較例1の潤滑油は、耐熱安定性
が悪く、したがって粘度変化も大きいといえる。
【0059】また、比較例2の潤滑油の場合には、実施
例2の潤滑油の全酸価数の値に比べてやや大きい値であ
ったが、粘度変化は実施例2の潤滑油に比べて明らかに
大きかった。この結果から、比較例2の潤滑油は、組成
物である混合エステルが分解しているのではなく、化学
的に重合して粘度変化を生じていることが推察できる。
すなわち、混合エステルからなる基油を用いた比較例2
の潤滑油は高温状態で化学的な重合が生じるが、本発明
の(化5)で示す潤滑油のRがC715,C8 17,ある
いはC919のいずれか1種類のみからなるエステル系
の基油を用いた潤滑油は高温でも安定であることが明ら
かになった。
【0060】なお、ニッケルりんメッキを施した銅合金
材料で粘度変化が生じなかった実施例1から実施例4の
潤滑油について、直接銅合金材料を用いた高温加速試験
も行った。この結果を図7に示す。試験条件は上述の高
温加速試験と同様である。図7からわかるように、銅合
金材料を用いても粘度変化が生じないことが明らかとな
り、耐熱安定性が良好であることが見いだされた。
【0061】ただし、回転軸および軸受部に使用する金
属材料については、上述の銅合金あるいはニッケルりん
メッキした銅合金のみでなく、種々の材料が使用される
可能性があり、その場合には材料に応じて表面にメッキ
等によるコーティングや潤滑油中に金属の腐食を防止す
る防止剤や金属不活性剤を添加することが好ましい。
【0062】引き続き潤滑油への酸化防止剤の添加量の
影響を確認するために、以下の実施例に示す潤滑油を準
備した。
【0063】(実施例5)実施例5の潤滑油は以下のと
おり調整した。基油は(化5)で示される構造で、Rは
715の直鎖飽和アルキル基である。基油の酸化を防
止するための酸化防止剤を添加しなかった。
【0064】(実施例6)実施例6の潤滑油は以下のと
おり調整した。基油は(化5)で示される構造で、Rは
715の直鎖飽和アルキル基である。基油の酸化を防
止するための添加剤として、4つの(3,5−ジ−te
rt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)を有するヒン
ダードフェノール系酸化防止剤を2重量%と、ヒンダー
ドアミン系酸化防止剤を1重量%含む混合酸化防止剤を
添加した。
【0065】上記の実施例5および実施例6の潤滑油に
ついても、粘度、粘度の安定性、蒸発量、耐酸化性を測
定し、(表3)に示した結果を得た。実施例1の潤滑油
の測定結果を記載した(表2)、図6とともに(化5)
で示したエステル系基油に酸化防止剤を添加する効果に
ついて説明する。
【0066】
【表3】
【0067】ヒンダードフェノール系の酸化防止剤の添
加量が増加するにつれて、粘度は大きくなる。蒸発量は
添加量が0重量%ではやや大きいが、1重量%以上であ
ればほとんど差異がなくなる。一方、高温加速試験で
は、添加量が0重量%では非常に短時間に大きな粘度変
動が生じ、添加量を増加すると全酸価数が小さくなるこ
とから耐熱安定性が向上することが見いだされた。すな
わち、ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、添加量の
増加とともに耐熱安定性が向上するが、同時に粘度の増
加も比較的大きい。
【0068】ヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加
しない実施例5の潤滑油の場合全酸価数は測定できなか
ったが、耐熱安定性が向上できており、2wt%のヒン
ダードフェノール系酸化防止剤を添加した実施例2の潤
滑油に比べて、0℃での粘度は小さく、逆に40℃での
粘度はやや大きくなっているので、温度変動に対する粘
度の変化はむしろ小さい。したがって、低温でも低消費
電力を実現できるとともに、幅広い温度範囲にわたって
消費電力の変動も抑制できる。なおここでは、具体的に
は例示していないが耐熱安定性についての別の実験によ
り、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を0.1重量%
以上を添加することで大幅に改善され、それ以上では添
加量とともに徐々に改善されることも見いだされてい
る。
【0069】次に、トリグリセライドを添加した効果に
ついて説明する。(化5)で示したエステル系の基油の
RがC817の実施例2の潤滑油と、これに(化6)に
示したトリグリセラドを1重量%添加した実施例4の潤
滑油とを比べると、実施例4の潤滑油は粘度がやや増加
し、蒸発量が若干小さくなるのに対して、全酸価数の値
は実施例2の潤滑油に比べて実施例4の潤滑油の方が約
60%小さい結果が得られ、大きく改善されていること
から、トリグリセライドは基油の分解を抑制する効果の
あることが明らかとなった。
【0070】また、図8に示したのは、本発明の実施の
形態における動圧流体軸受を備えたモータの軸受部に摩
擦抑制等の効果を有する油性剤であるトリグリセラドを
含まない実施例2の潤滑油と(化6)に示したトリグリ
セラドを1重量%添加した実施例4の潤滑油とをそれぞ
れ用いてモータの回転起動/停止サイクル試験を実施し
たときの、起動/停止サイクル数に対するモータ電流の
変化の挙動である。この図8から、約60万サイクル後
は、トリグリセラドを含まない実施例2の潤滑油は明ら
かにモータ電流が増加する傾向を示し、潤滑油の粘度が
上昇して潤滑特性が劣化していことがわかる。
【0071】また、潤滑油にトリグリセライドを添加し
た効果を確認するために、流体軸受の潤滑部で金属接触
が生じたときの摺動特性を評価した結果について述べ
る。金属接触は動圧流体軸受が搭載されたモータの起動
直後や停止直前で油膜が破断するときに生じ、摩擦係数
が大きくなり、このため大きな摩耗が発生する。この評
価法としては、ピンオンディスク試験装置を用いて摩擦
係数を測定することで行った。ピンオンディスク試験に
は、一般的に回転軸に用いられているステンレス製のピ
ンと、軸受部で使用されることがあるニッケルりんメッ
キ膜を形成した銅合金製のディスクを使用した。試験条
件としては、ピンとディスクの相対速度を0.16m/
秒、ピンに付加する荷重を624mNに設定して行っ
た。試験結果を(表2)に示した。
【0072】その結果、トリグリセライドを添加した実
施例4の潤滑油の場合には添加していない実施例1から
実施例3および比較例1,2の潤滑油比べて小さな摩擦
係数が得られた。摩擦係数を小さくできるので携帯機器
に搭載したときに生じる駆動のオン・オフの繰り返しに
よっても焼き付き等を発生しないようにできる。さら
に、トリグリセライドの添加により、蒸発量および全酸
価数も改善されるので、潤滑油としての安定性がより向
上できる。トリグリセライドを1重量%添加しても、そ
れによる粘度の増加は小さく、蒸発量と全酸価数は改善
されていることからもわかるように、5重量%までは十
分許容できると考えられる。
【0073】本発明の第1の実施の形態における動圧流
体軸受を備えたモータの軸受部を構成する部分の材料と
してアルミニウム合金や銅合金を使用する場合は、表面
に例えばニッケルりん(NiP)メッキを施すことによ
り表面を硬化させて耐摩耗性を向上させる例を示し、エ
ステル系基油を用いた潤滑剤のテストにも用いてきた。
続いて、ニッケルりん(NiP)メッキと上記のエステ
ル系基油を用いた潤滑油の関係について説明する。
【0074】ニッケルりん(NiP)メッキは、本発明
の第1の実施の形態におけるモータのロータ基板部2と
回転軸部12からなるロータ11および軸受スリーブ9
の軸受部を構成する部分の材料としてアルミニウム合金
あるいは銅合金を使用する場合に無電解メッキにより形
成した。具体的には、アルミニウム合金あるいは銅合金
で動圧流体軸受部を形成した部品に無電解ニッケルりん
(NiP)系合金メッキ浴を施し、200℃から350
℃でエージング処理を行い、硬度5GPaから15GP
Aで厚さ10μmから20μm程度のニッケルりん(N
iP)膜を得た。銅合金の1種である真鍮による実験で
は、ニッケルりん(NiP)膜のりん(P)組成は1重
量%から15重量%で硬度が高い膜が形成されることが
明らかになった。りん(P)組成と硬度の関係を調べる
とりん(P)組成の増加とともに膜の硬度が増加し始
め、4重量%に硬度のピークがあることがわかった。5
重量%近くまでは硬度の最も高い状態が続き、5重量%
を超え15重量%近くまで高い硬度を示している。した
がって、りん(P)組成は5重量%以下が好ましく、硬
度値がピークを示す4重量%近傍が最も望ましいといえ
る。
【0075】図9に示したのは、本発明の第1の実施の
形態における動圧流体軸受を備えたモータの軸受部を材
質が銅合金の1種である真鍮で形成して作製したもの
と、この真鍮の表面に無電解メッキでニッケルりん(N
iP)膜を形成して動圧流体軸受部を構成して作製した
モータを準備し、それぞれの動圧流体軸受部に(化5)
に示したエステル系の基油からなる潤滑油を使用して、
モータの回転起動/停止サイクル試験を実施し、100
万サイクル終了後に潤滑油を採取し,飛行時間二次イオ
ン質量分析法(TOF−SIMS法)で潤滑油中の金属
成分を測定した結果である。ニッケルりん(NiP)メ
ッキした軸受部のテスト後潤滑油の方が明らかに金属成
分が少なく、摩耗していないことを示している。したが
って、本発明の第1の実施の形態における動圧流体軸受
を備えるモータで軸受部にアルミニウム合金や銅合金等
の材料を使用したモータに(化5)に示したエステル系
の基油からなる潤滑油を使用する場合、アルミニウム合
金や銅合金等の材料表面にニッケルりん(NiP)のメ
ッキを施すことは、耐摩耗性の面で大きな効果があるこ
とを示している。また、軸受部の材料が摩耗して、材料
に成分として含まれているCuやPbが潤滑油に含まれ
るとこれらの元素が触媒となって、潤滑油の劣化を早め
ることがわかっている。したがって、上記実施例で使用
した低粘度の潤滑油の場合は特に劣化しやすいので、ニ
ッケルりん(NiP)メッキは、摩耗して入る不純物の
触媒としての影響を排除し、潤滑油の劣化を抑制するう
えでも効果が大きいといえる。
【0076】なお、上記流体軸受にはアルミニウム合金
あるいは銅合金製の部品に無電解ニッケルりん(Ni
P)系合金メッキ浴を施し、200℃から350℃でエ
ージング処理を行い、ニッケルりん(NiP)膜を形成
した例を示したが、熱処理を実施しなくても十分な硬度
が得られることを述べておく。熱処理によりモータの寸
法精度に影響があることがあり、細心の注意が必要であ
るが、形成した膜の微結晶化が進んで硬度が上昇すると
推察され、効果は大きい。また、軸部材およびスリーブ
部材に使用する金属の種類によっては、潤滑油組成物と
反応して金属の表面が腐食する場合も起こり得る。この
ような場合には、金属表面をあらかじめ保護する役割を
果たす金属腐食防止剤や金属不活性剤を、本実施例の潤
滑油組成物に添加してもよい。
【0077】上記の結果にもとづき、実施例1から実施
例6の潤滑油について、比較例1、2の潤滑油との性能
を比較した結果をまとめると以下のようになる。
【0078】すなわち、(化5)で示したエステル系の
基油におけるRがC715からなる基油を用いた実施例
1の潤滑油は低粘度、耐熱性が良好であるが、蒸発量が
比較例2の混合エステルを基油とした潤滑油に比べてや
や大きい。しかし、図6および(表2)からもわかるよ
うに、高温加速試験によっても粘度の変動および全酸価
数が小さく安定であり、低粘度であるため潤滑油自体の
摩擦による発熱は小さく、このために比較例2に比べて
発熱が抑制されるので、蒸発量がやや大きくても全体と
しては比較例2より高温安定性を有する。したがって、
低トルクが実現でき、かつ軸部材やスリーブ部材による
潤滑油の劣化も生じないが、蒸発量が比較的に大きいた
め低速回転で、あまり高温環境で使用されない分野にお
ける使用が好ましい。
【0079】(化5)で示したエステル系の基油におけ
るRがC817からなる基油を用いた実施例2および実
施例4の潤滑油については、粘度および蒸発量ともに従
来の潤滑油である比較例1、2の潤滑油に比べて良好な
特性を有しており、また、耐熱性が大きく、軸受損失の
小さな潤滑油であることがわかる。さらに、図6に示し
たように、高温加速試験での粘度変動はほとんど見られ
ない。全酸価数は0.91であり、従来の潤滑油である
比較例2の潤滑油よりも若干良好である。全体の特性か
らみると、(化5)に示した構造では、RがC817
ある基油が最もバランスが取れており、全酸価数をさら
に抑制すればさらに良好な特性の潤滑油が得られること
になる。
【0080】一方、RがC919からなる基油を用いた
実施例3の潤滑油では、粘度は比較例2の混合エステル
からなる潤滑油によりも大きいが、比較例1の潤滑油に
比べて良好であり、高温加速試験では、粘度変動および
全酸価数ともに良好な特性を示している。また、蒸発量
が非常に小さく、しかも全酸価数の値が0であることか
ら耐熱性が良好であるといえる。この結果、粘度が大き
いため潤滑油自体の摩擦で発熱が生じても、酸化や分解
等が生じることがなく、高信頼性の動圧流体軸受が得ら
れる。
【0081】ところで、実施例1の潤滑油は最も粘度が
低く、耐熱性に優れているので、動圧流体軸受用の潤滑
油として用いれば、例えばカメラ一体型ビデオレコーダ
の回転ヘッドドラム駆動用モータやモバイル機器用のス
ピンドルモータとして好適である。また実施例2および
実施例4の潤滑油は、比較例に比べて全ての点で良好な
性能を有しており、バランスのとれた潤滑油であり、実
施例4の潤滑油はさらに摩擦係数が小さいので、頻繁に
起動、停止する機器に使用するモータ用途に好適であ
る。さらに、実施例3の潤滑油は、比較例2の潤滑油に
比べて粘度が大きいが、蒸発損失が小さく、耐酸化分解
性、耐熱性に優れているので、高い信頼性と長寿命が要
求される動圧流体軸受用の潤滑油として用いれば、ほと
んどの情報機器のスピンドルモータ用途のモータとして
好適である。
【0082】なお、上記実施例の潤滑油組成物の成分
は、上述したスピンドルモータや動圧流体軸受、さらに
ハードディスク装置によっても変更される。すなわちス
ピンドルモータの構成や使用環境に応じて、例えば油性
剤、金属腐食防止剤や金属不活性剤等の各種添加剤を使
用してもよい。
【0083】以上説明してきたように、本実施例の潤滑
油は従来の潤滑油である比較例に比べて、特に低温での
粘度が低く、しかも温度による粘度の変動も小さくて潤
滑性に優れるなど高温信頼性に優れ、蒸発による損失が
少ないため長時間補充が不要であって、耐熱安定性を改
善できて動圧流体軸受の特性を向上できる長寿命で、総
合的な特性が良好な潤滑油を実現することができた。ま
た、本実施例の潤滑油を用いるとともに、本発明の第1
の実施の形態における動圧流体軸受を備えたモータ構成
により、ロータ基板部を駆動用モータのロータの一部と
して兼ねた働きをさせて低コスト化と同時に薄型化を可
能にし、軸受スリーブや回転円筒部の開放端側端面ある
いはその開放端側端面に対向する回転ディスクの下面の
いずれかに動圧発生溝を形成してスラスト軸受部を構成
して従来のスラスト軸受部のスラスト押さえ板を省略で
き、従来のスラスト軸受部に対してスラスト軸受部を回
転中心に対して径方向に大きくなる位置で形成してスラ
スト軸受部の軸受剛性を高くできる。したがって、非常
に薄型で回転精度の高い高性能なモータを実現できるの
で、例えば約5mm以下の厚さを有するディスク装置等
の情報記録再生装置も実現できる。
【0084】ところで、本発明はハードディスク装置や
光を集光する対物レンズ等を備えた光ピックアップ等の
情報変換素子を用いて周知の方法にてディスク状の情報
記録媒体への記録再生を行う情報記録再生装置のディス
ク駆動用スピンドルモータとしてのモータに限定される
ものではなく、ポリゴンミラー回転用のモータ等の種々
のモータ、あるいはその他の回転部分に用いる動圧流体
軸受としての利用も可能であることはいうまでもない。
【0085】なお、本発明の第1の実施の形態の説明に
用いた図1,図2,図4,図5に示すモータでは、より
薄型化を実現するためにモータの回転部材とディスク状
のロータ基板部とを一体化したロータの構成の例である
が、この構成に限定されず、回転軸である軸部と円環
状、円板上やあるいは円筒状のロータはそれぞれ個別に
作製された部材を一体形成、接着剤による接着あるいは
熱融着等の方法により形成してモータを構成できること
は説明するまでもない。
【0086】(第2の実施の形態)図10は、本発明の
第2の実施の形態におけるモータの構造を示した断面図
である。筐体ケース、カバー、磁気ヘッドを備えたアー
ムを駆動する磁気ヘッドアクチュエータなどとともに図
10に構造を示したモータをスピンドルモータとして組
み込んで、図1に示したような情報記録再生装置等の情
報機器を構成できる。
【0087】図10において、前述の第1の実施の形態
におけるモータの構成要素と対応する要素には、図1と
同じ符号を付している。第2の実施の形態におけるモー
タも、一方の表面に磁性体で記録層を積層して情報記録
媒体とした円環状あるいは円板状ロ−タ基板部2の反対
側の面の円筒状回転軸部(スピンドル)81からなる軸
部とによりロータ(回転子)11を構成している点は第
1の実施の形態と同様である。第2の実施の形態が第1
の実施の形態と異なっているのは、回転軸部(スピンド
ル)が円柱状ではなく円筒状であること、円筒状の軸受
スリーブではなく円柱状の軸受支軸82の一端がモータ
ー主要部を格納する円形凹部を有したベース部3に固着
されていることである。
【0088】ロータ(回転子)11を構成する円環状あ
るいは円板状ロータ基板部2の磁性体で記録層が積送さ
れた面とは反対側にあって、回転円筒部81が形成され
ている側の面にロータヨーク4が回転円筒部81の外側
に位置するように固着され、ロータヨーク4のさらに外
側には複数極に着磁されたリング状の回転磁石5が接着
等の方法により固定されている。また、モーター主要部
を格納する円形凹部を有したベース部3の凹部底面に軸
受支軸82の一端が固着されており、さらにベース部3
の円形凹部外周部には、鉄心6にコイル7が巻装された
ステータ(固定子)8が圧入等の方法により固着されて
いる。ロータ11に形成された回転円筒部81の内周面
と、軸受支軸82の外周面との間で微小な隙間が形成さ
れるように、軸受支軸82を回転円筒部81の開口部に
挿入し、ステータ8の鉄心6に対向するように回転磁石
5を配置してスピンドルモータを構成している。また、
回転磁石5の軸方向下端面に対向するようにスラスト吸
引板13がベース部3の底面に固着されている。
【0089】また、軸受支軸82の上端面あるいは、図
11(a)(図10のロータ11を回転円筒部81の側
から見た概略平面図)に一例を示すように、軸受支軸8
2と対向する回転円筒部81内のロータ基板部2の反対
側の面のうちのいずれか一方には動圧発生溝を有し、ス
ラスト軸受部を形成している。さらに、軸受支軸82の
外周面に対向するロータ基板部2の反対側の面に形成さ
れた回転円筒部81の内周面には、動圧発生溝(図示せ
ず)を有し、ラジアル軸受部を形成している。
【0090】ロータ基板部2と回転円筒部81からなる
ロータ11および軸受支軸82の形成には、例えばステ
ンレス鋼、アルミニウム合金、銅合金等の金属材料やガ
ラス、液晶ポリマーあるいはPPS(ポリフェニレンサ
ルファイド)等の熱可塑性材料を使用することができ
る。ロータ11および軸受支軸82の軸受部を構成する
部分の材料としてアルミニウム合金や銅合金を使用する
場合は、耐摩耗性を向上させるため、表面に例えばニッ
ケルりん(NiP)メッキを施すことにより表面を硬化
させてもよい。
【0091】そして、ロータ基板部2の反対側の面に形
成された回転円筒部81の円孔形状の凹部に、軸受支軸
82が挿入され、回転円筒部81と軸受支軸82の間の
微小な隙間に、例えばエステル系合成油のような動圧潤
滑剤14が封入されている。
【0092】続いて、上記のように構成された本発明の
第2の実施の形態におけるモータの動作について説明す
る。コイル7に電流を供給して鉄心6を磁化することに
よって、コイル7と鉄心6からなるステータ8に対向す
る回転磁石5が回転を開始する。回転磁石5を固定した
ロータヨーク4はロータ基板部2に形成されており、回
転ロータ基板部2には回転円筒部81も形成されている
ので、回転磁石5の回転とともに、回転円筒部81が回
転することになる。回転円筒部81の回転によって、回
転円筒部81の内周面に対向する軸受支軸82の外周面
にあるラジアル動圧発生溝、および軸受支軸82の上端
面あるいは、軸受支軸82と対向する回転円筒部81内
のロータ基板部2の反対側の面にあるスラスト動圧発生
溝と封入されている動圧潤滑剤14との作用により動圧
が発生し、軸受支軸82においてラジアル方向およびス
ラスト方向に動圧を受けて、ロータ11が中心軸1の周
りに回転円筒部81の外周面と軸受支軸82の外周面が
無接触で滑らかに支持され自在に回動する。このとき、
回転磁石5の下端面に対向させてスラスト吸引板13を
設けること、および、ロータ11の回転円筒部81の凹
部と軸受支軸82で形成される隙間に動圧潤滑剤14を
充填することによって、情報記録再生装置に組み込まれ
たスピンドルモータのいかなる姿勢差に対しても、ロー
タ11の回転円筒部81の凹部は、回転磁石5とスラス
ト吸引板13の間の磁力、および、ロータ基板部2の周
囲の大気圧を受けて軸受支軸82から抜けることはな
く、また、動圧潤滑剤14自身の粘性や表面張力で動圧
潤滑剤14が流れ出て動圧潤滑剤14がなくなるような
ことはほとんどなく、ロータ11の回転中においても、
発生した動圧潤滑剤14の動圧とロータ11の自重、回
転磁石5とスラスト吸引板13の間の磁力およびその周
りの大気圧と釣り合った状態で滑らかに回転するもので
ある。
【0093】なお、動圧発生溝は、上述の第2の実施の
形態(図10)における、軸受支軸82のスラスト面と
なる上端面(スラスト上端面)83あるいは、軸受支軸
82と対向する回転円筒部81内のロータ基板部2の反
対側の面のうちの少なくともいずれか一方の面に形成す
るのではなく、回転円筒部81の開放側端面、あるいは
図11(b)(図10のベース部3の円形凹部をロータ
11を取り除いて上から見た概略平面図)に示すよう
に、回転円筒部81の開放側端面に対向するベース部3
の円形凹部底上面に動圧発生溝84を形成しても同じ効
果が得られることは言うまでもないことであり、その動
圧発生溝は、軸受支軸82のスラスト面となる端面に形
成された動圧発生溝とサイズは異なるが、同様の形状で
形成される。
【0094】また、上述の第2の実施の形態において
は、コイル7が巻かれた鉄心6の内側(回転中心軸1の
側)に、ロータヨーク4に固着された回転磁石5が鉄心
6に対向するように構成されたいわゆるインナロータ型
の構成で説明しているが、第1の実施の形態で説明した
のと同様に、コイルが巻かれた鉄心がロータヨークに固
着された回転磁石の内側に対向するように構成されたい
わゆるアウタロータ型の構成としても良いのは当然のこ
とである。アウタロータ型の構成の詳しい説明は重複を
避けるためここでは省略する。
【0095】また、上述の第2の実施の形態において
は、いわゆるラジアルギャップ(周対向)型ブラシレス
モータの構成にて示しているが、やはり第1の実施の形
態で説明したのと同様ないわゆるアキシャルギャップ
(面対向)型ブラシレスモータの構成で形成しても良い
のは言うまでもないことである。アキシャルギャップ型
ブラシレスモータの構成の詳しい説明も重複を避けるた
めここでは省略する。
【0096】また、第2の実施の形態における動圧流体
軸受を備えるモータも、その潤滑油として第1の実施の
形態における動圧流体軸受を備えるモータに適用したの
と同じ(化5)に示したエステル系の基油を用い、実施
例1から実施例4に示したような酸化防止剤や油性剤を
添加した潤滑油を適用することができる。重複を避ける
ため潤滑油に関する詳しい説明は省略するが、上記の第
2の実施の形態におけるモータの動圧流体軸受部に用い
た潤滑油組成物の成分は、上述したスピンドルモータや
動圧流体軸受、さらに情報記録再生装置等のモータ利用
装置によっても変更されることを言い添えておく。すな
わち、スピンドルモータの構成や使用環境に応じて、例
えば油性剤、金属腐食防止剤や金属不活性剤等の各種添
加剤を使用してもよいことは当然のことである。
【0097】以上説明してきたように、(化5)に示し
たエステル系の基油を用い、適当な酸化防止剤や油性剤
を添加した潤滑油を適用して第2の実施の形態における
動圧流体軸受を備えたモータ構成により、非常に薄型
で、回転精度の高いモータを実現できるので、例えば約
5mm以下の厚さを有するディスク装置等の情報記録再
生装置も実現できる。
【0098】ところで、本発明はハードディスク装置や
光を集光する対物レンズ等を備えた光ピックアップ等の
情報変換素子を用いて周知の方法にてディスク状の情報
記録媒体への記録再生を行う情報記録再生装置のディス
ク駆動用スピンドルモータとしてのモータに限定される
ものではなく、ポリゴンミラー回転用のモータ等の種々
のモータ、あるいはその他の回転部分に用いる動圧流体
軸受としての利用も可能であることは言を俟たない。
【0099】なお、本発明の第2の実施の形態の説明に
用いた図10に示すモータでは、モータの回転部材であ
る回転円筒部と円板状のロータとを接着あるいは融着で
一体化した構成の例であるが、この構成に限定されず、
回転軸である回転円筒部と円環状、円板状やあるいは円
筒状のロータが一体にまたはそれぞれ個別に作製された
部材を一体形成、接着剤による接着あるいは熱融着等の
方法により形成してモータを構成できることは説明する
までもない。
【0100】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の実施の形
態によれば、円盤状あるいは円環状のロータ基板部の主
面とは反対側の面に軸部となる回転円筒部あるいは円柱
状の回転軸部を形成することによって、ロータ基板部の
回転中心に対する直角度は、駆動用モータの回転台のフ
ランジ部にロータ基板部が結合される従来例と比較して
非常に高精度となり、その直角度不良による面振れを大
きく低減することができ、また、面外振動を抑制するこ
とができる。また、回転中心に対する径方向の振れも小
さく抑えることができ、ロータ基板部を駆動用モータの
ロータの一部として兼ねた働きをさせることによって、
駆動用モータの回転台のフランジ部にディスクをクラン
プする部材や回転台そのものも不要となり、低コスト化
を図ることができ、同時に薄型化も図ることができる。
さらに、軸受スリーブや回転円筒部の開放端側端面ある
いはその開放端側端面に対向する回転ディスクの下面の
いずれかに動圧発生溝を形成してスラスト軸受部を構成
すれば、従来例におけるスラスト軸受部のスラスト押さ
え板を省略することができ、コスト低減を実現すること
ができる。また、スラスト軸受部は、従来のスラスト軸
部に対して、回転中心に対して径方向に大きくなる位置
で形成されるため、スラスト軸受部の軸受剛性が高くな
り、非常に高精度なディスクの面振れを実現し、高性能
化の実現を図ることができる。
【0101】また、軸受面に動圧溝を有して非接触軸支
が可能な動圧流体軸受部に、特に低温での粘度が低く、
しかも温度による粘度の変動も小さくて潤滑性に優れ、
蒸発による損失が少ないため長時間補充が不要であっ
て、耐熱安定性を改善できるので動圧流体軸受の特性を
向上できる長寿命の潤滑油を用いて、高速回転時の軸の
振動や軸心振れが少なく、高品質、高性能に加え、特に
携帯機器等に搭載するモータの低消費電力化と信頼性が
向上した、耐久寿命が長く保守コストを低減できるモー
タおよびモータ組み込み装置を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明の第1の実施の形態におけるモー
タを組み込んだ装置の主要部の構成を示す平面図 (b)同断面図
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるモータ主要
部断面図
【図3】(a)本発明の第1の実施の形態におけるモー
タのロータ平面図 (b)本発明の第1の実施の形態における別のモータの
ロータ平面図
【図4】本発明の第1の実施の形態におけるアウタロー
タ型モータの構造を示す断面図
【図5】本発明の第1の実施の形態におけるアキシャル
ギャップ(面対向)型モータの構造を示す断面図
【図6】本発明の第1の実施の形態におけるモータに用
いた潤滑油の粘度の時間変化を示すグラフ
【図7】本発明の第1の実施の形態におけるモータに用
いた潤滑油の粘度の時間変化を示す別のグラフ
【図8】本発明の第1の実施の形態におけるモータに用
いた潤滑油に添加した油性剤の効果を示すグラフ
【図9】本発明の第1の実施の形態におけるモータが備
える動圧流体軸受部に施したNiPメッキと潤滑油の効
果を示すグラフ
【図10】本発明の第2の実施の形態におけるモータの
構成を示す断面図
【図11】(a)本発明の第2の実施の形態におけるモ
ータのロータ平面図 (b)本発明の第2の実施の形態における別のモータの
ベース部平面図
【図12】従来のモータの構造を示す断面図
【符号の説明】
1 中心軸 2 ロータ基板部 3,47,54,150 ベース部 4,43 ロータヨーク 5,57,154 回転磁石 6,42 鉄心 7,41,59,153 コイル 8,50,152 ステータ(固定子) 9,45,53,130 軸受スリーブ 10 スラスト支持部 11,46,56,151 ロータ(回転子) 12 回転軸部(スピンドル)、回転円柱部 13 スラスト吸引板 14,55,141 潤滑油(動圧潤滑剤) 15 磁気ヘッド 16 磁気ヘッドアーム 17 磁気ヘッドアクチュエータ 18 筐体ケース 19 カバー 20 スラスト軸受部 21 ラジアル方向動圧発生溝 24 スラスト方向動圧発生溝 23 ラジアル軸受部 22,53a 軸受スリーブ開放端側端面 58 印刷配線基板 81 円筒状回転軸部、回転円筒部 82 軸受支軸 83 スラスト上端面 84 動圧発生溝 100 情報記録再生装置 110 スピンドルモータ 120 回転軸 140 スラスト押さえ板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16C 17/10 F16C 17/10 A H02K 21/12 H02K 21/12 M // C10N 20:02 C10N 20:02 30:06 30:06 30:08 30:08 30:10 30:10 40:02 40:02 Fターム(参考) 3J011 AA06 BA02 BA08 CA02 KA02 KA03 RA01 4H104 BB05C BB34A BB34C BE07C EA02A LA01 LA04 LA05 PA01 5H607 BB01 BB09 BB14 BB25 CC09 DD03 GG01 GG02 GG12 KK00 5H621 BB07 GA04 JK19

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ベース部と、 円柱形状の回転軸部と、 前記回転軸部に中心軸を合わせて固定されたロータと、 前記ロータに環状に固着配置され、複数極に着磁された
    回転磁石と、 一端が閉塞されて他端に円孔が開き、閉塞端部が前記ベ
    ース部に固着された円筒形状の軸受スリーブと、 前記軸受スリーブ外周面あるいは前記ベース部に固着さ
    れた鉄心および前記鉄心に巻装されたコイルからなっ
    て、前記回転磁石に対向配置されたステータと、 回転中心が前記軸受スリーブの前記円孔の中心に同軸に
    遊嵌された前記回転軸部の外周面または前記回転軸部の
    外周面と対向する前記軸受スリーブ内周面のうちの少な
    くともいずれか一方に動圧発生溝が形成されたラジアル
    軸受部と、 円柱形状の前記回転軸部のスラスト面となる端面また
    は、前記スラスト面と対向する軸受スリーブ円孔の底面
    となるスラスト支持面または、前記軸受スリーブの円環
    状開口端面または、前記軸受スリーブの円環状開口端面
    に対向する前記ロータ基板の前記主面とは反対側の面の
    うちの少なくともいずれか1つの面に動圧発生溝を有す
    るスラスト軸受部とを備え、 前記ラジアル軸受部ならびに前記スラスト軸受部の隙間
    に潤滑油組成物を封止し、 前記ラジアル軸受部ならびに前記スラスト軸受部の前記
    動圧発生溝と前記潤滑油組成物との相互作用で生ずる動
    圧により前記軸受スリーブに遊嵌した前記回転軸部が非
    接触に軸支されて前記ロータが自在に回動し、 前記潤滑油組成物の基油に、ポリオールと直鎖飽和脂肪
    酸との単一エステルを用いることを特徴とするモータ。
  2. 【請求項2】 ベース部と、 両端に円孔が開くか、あるいは一端が閉塞されて他端に
    円孔が開いた円筒形状の回転円筒部と、 前記回転円筒部に中心軸を合わせて固定されたロータ
    と、 前記ロータに環状に固着配置され、複数極に着磁された
    回転磁石と、 前記ベース部に固着された円柱形状の支軸部と、 前記ベース部に固着された鉄心および前記鉄心に巻装さ
    れたコイルからなって、前記回転磁石に対向配置された
    ステータと、 回転中心が前記回転円筒部の前記円孔の中心に同軸に遊
    嵌された前記支軸部の外周面または前記支軸部の外周面
    と対向する前記回転円筒部内周面のうちの少なくともい
    ずれか一方に動圧発生溝が形成されたラジアル軸受部
    と、 円柱状の前記支軸部のスラスト面となる端面または、前
    記スラスト面と対向する前記回転円筒部の円孔内の閉塞
    端面あるいは前記ロータの前記回転円筒部を固定した側
    の面からなるスラスト支持面または、前記回転円筒部の
    円環状開口端面または、前記回転円筒部の前記円環状開
    口端面に対向する前記ベース部上の面のうちの少なくと
    もいずれか1つの面に動圧発生溝を有するスラスト軸受
    部とを備え、 前記ラジアル軸受部ならびに前記スラスト軸受部の隙間
    に潤滑油組成物を封止し、 前記ラジアル軸受部ならびに前記スラスト軸受部の前記
    動圧発生溝と前記潤滑油組成物との相互作用で生ずる動
    圧により前記回転円筒部の円孔に遊嵌された円柱状の支
    軸部が非接触に軸支されて前記ロータが自在に回動し、 前記潤滑油組成物の基油に、ポリオールと直鎖飽和脂肪
    酸との単一エステルを用いることを特徴とするモータ。
  3. 【請求項3】 前記潤滑油組成物の前記基油に用いる前
    記ポリオールと前記直鎖飽和脂肪酸との前記単一エステ
    ルは(化1)に示す化学式を有し、前記(化1)に示す
    前記化学式のRは炭素数が7から9のうちいずれか1つ
    である直鎖飽和アルキル基からなることを特徴とする請
    求項1または請求項2に記載のモータ。 【化1】
  4. 【請求項4】 前記潤滑油組成物の前記基油に用いる前
    記(化1)に示した化学式で示されるポリオールと直鎖
    飽和脂肪酸との単一エステルは、0℃における粘度が4
    8mPa・s以下で、かつ40℃における粘度が12m
    Pa・s以下の粘度を有することを特徴とする請求項1
    から請求項3のいずれかに記載のモータ。
  5. 【請求項5】 前記潤滑油組成物に、ヒンダードフェノ
    ール系酸化防止剤あるいはヒンダードアミン系酸化防止
    剤のうち、少なくとも1種を添加することを特徴とする
    請求項1から請求項4のいずれかに記載のモータ。
  6. 【請求項6】 前記ヒンダードフェノール系酸化防止剤
    が、その構造中に少なくとも1つの(3,5−ジ−te
    rt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)を有すること
    を特徴とする請求項5に記載のモータ。
  7. 【請求項7】 前記潤滑油組成物に添加する酸化防止剤
    の総量は、少なくとも0.1重量%以上であることを特
    徴とする請求項5に記載のモータ。
  8. 【請求項8】 前記潤滑油組成物に、(化2)の構造で
    示されるトリグリセライドを油性剤として添加すること
    を特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の
    モータ。 【化2】
  9. 【請求項9】 前記(化2)のトリグリセライドはR
    3,R4,R5がそれぞれ同一または異なったCxHy
    Ozの化学式で示される不飽和あるいは飽和の直鎖また
    は分岐構造を有し、xが15〜21のいずれかであり、
    かつyが29〜43のいずれかであり、かつzが0〜1
    のいずれかであることを特徴とする請求項8に記載のモ
    ータ。
  10. 【請求項10】 前記潤滑油組成物に添加される前記ト
    リグリセライドの総量が、5重量%以下であることを特
    徴とする請求項8または請求項9に記載のモータ。
  11. 【請求項11】 前記ラジアル軸受部ならびに前記スラ
    スト軸受部の表面にニッケルりんメッキ膜を施したした
    ことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれかに
    記載のモータ。
  12. 【請求項12】 前記ニッケルりんメッキ膜は、無電解
    メッキ膜で製膜された膜であって、りん濃度が15重量
    %以下であることを特徴とする請求項11に記載のモー
    タ。
  13. 【請求項13】 請求項1から請求項12のいずれかに
    記載のモータを搭載したモータ組み込み装置。
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