JP2003142722A - 光電気変換素子 - Google Patents

光電気変換素子

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JP2003142722A
JP2003142722A JP2001336003A JP2001336003A JP2003142722A JP 2003142722 A JP2003142722 A JP 2003142722A JP 2001336003 A JP2001336003 A JP 2001336003A JP 2001336003 A JP2001336003 A JP 2001336003A JP 2003142722 A JP2003142722 A JP 2003142722A
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absorption layer
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JP2001336003A
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Koichi Narahara
浩一 楢原
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Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 トランジスタ構造を持つことが可能な高速光
電気変換素子の提供。 【解決手段】 バリア層1とチャネル層2とのヘテロ接
合層下にp型光吸収層3を設け、p型光吸収層3の価電
子帯−伝導帯間バンドギャップを入力光のエネルギより
も小さく、バリア層1およびチャネル層2の価電子帯−
伝導帯間バンドギャップをともに入力光のエネルギより
も大きくする。これにより、入力光に対して、p型光吸
収層3のみで光キャリアが生成し、そのうち、光生成ホ
ールは速やかに緩和するので、光電気変換には実効的に
光生成電子のみが媒介する。内部電界でチャネル層2に
ドリフトした電子を引き出し、高速な電気信号を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光電気変換技術、例
えば、高ビットレートの光信号を電気信号に変換した
り、波長が異なる2つの連続光をその差周波数に相当す
る高周波電気信号に変換する技術等に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、マイクロ波帯やミリ波帯の工学的
利用が盛んに議論されるところとなっている。こうした
周波数領域における連続光源を与えるにあたって、いわ
ゆるフォトミキシングという手法が採られることがあ
る。これは、波長を異にする2つの赤外連続光を結合さ
せてその差周波数を包絡関数とする形とし、これを広帯
域の光電気変換素子に入力することにより、連続した高
周波電気信号を得るものである。すなわち、差周波数を
マイクロ波帯あるいはミリ波帯とすることによって、当
該周波数領域における連続信号源とするものである。
【0003】その際、光信号のミキシング機能などを取
り込んだ高機能光電気変換素子が望まれる場合があり、
そうした際の候補として光トランジスタがある。
【0004】従来の光トランジスタは主として波長1.
55μm帯の長波長光に感度を持つ化合物半導体により
構成され、光生成キャリアの輸送を例えばゲートもしく
はベースに印加される電気信号をして制御する形を採る
ことが多い。
【0005】しかるに、一般に光生成ホールの寿命は大
きく、高速応答を期待することはなかなか困難な状況に
ある。
【0006】図7に、例えばInAlAs/InGaAsヘテロ接合
を基調とする高電子移動度トランジスタに半値全幅800f
s程度の長波長帯光パルスを印加した際の、ドレイン電
極から得られる出力の時間経過を示す。一見して知れる
ように、光パルス応答18には顕著なテール(光生成ホ
ールによる裾引き)19が認められ、高速動作の困難な
ことが知られる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、トランジスタ構造を持たせることが可能な
形の高速な光電気変換機構を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記した課題は、ヘテロ
接合層下に光吸収層を設け、この光吸収層をp型に構成
することによって光生成ホールを速やかに緩和させ、実
効的に電子のみが媒介する光電気変換を実現することに
より、解決することができる。
【0009】第1発明は、ヘテロ接合を構成するバリア
層およびチャネル層と、該チャネル層下に配置したp型
光吸収層(p型ドープされた光吸収層)とを備え、前記
p型光吸収層の価電子帯−伝導帯間バンドギャップが入
力光のエネルギよりも小さく、前記バリア層およびチャ
ネル層の価電子帯−伝導帯間バンドギャップがともに入
力光のエネルギよりも大きいことを特徴とする光電気変
換素子である。
【0010】このような構成により、バリア層、チャネ
ル層、p型光吸収層および入力光の間で上述したエネル
ギ関係が成立する範囲では、入力光に対してp型光吸収
層のみにおいてバンド間遷移が生じ、当該p型光吸収層
において生成されたホールは多数キャリアによって速や
かに誘電緩和され、同p型光吸収層において生成された
電子は内部電界によってチャネル層にドリフトする。従
って、光電気変換には実効的に電子のみが媒介するの
で、チャネル層に至った電子を外部に引き抜くことによ
って高速な電気信号を得ることができる。
【0011】また、バリア層とチャネル層がヘテロ接合
を構成する点で高電子移動度トランジスタ(以下、HE
MT)の基礎構造と共通であるから、適宜な電極を配し
てトランジスタ構造とすることが可能であり、この場
合、入力光に対するミキシングやゲーティング等の諸機
能を高速に実現することができる。
【0012】第2発明の光電気変換素子は、第1発明に
おいて、前記入力光が波長1.55μm帯の長波長赤外
光であることを特徴とする。
【0013】第3発明の光電気変換素子は、第1発明に
おいて、前記バリア層に配したゲートコンタクトと、前
記チャネル層に配したソースコンタクトおよびドレイン
コンタクトとを備え、HEMTを構成したことを特徴と
する。
【0014】第4発明の光電気変換素子は、第3発明に
おいて、前記ソースコンタクトおよび前記ドレインコン
タクトが前記チャネル層に対して両側に配されること、
および、前記p型光吸収層に対して両側に配置したホー
ル引き抜き用オーミック接合部を備えることを特徴とす
る。
【0015】第5発明の光電気変換素子は、第4発明に
おいて、前記ソースコンタクトと前記ドレインコンタク
トが対向する方向の前記p型光吸収層の幅が、同方向の
前記チャネル層の幅よりも小さいことを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、図1〜図6を参照して、本
発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の光電気
変換素子を概念的に表すエピ構造を示す。図1におい
て、1はバリア層、2はチャネル層、3はp型光吸収
層、4は基板層を表す。バリア層1とチャネル層2の間
はヘテロ接合され、エネルギー障壁が形成される。バリ
ア層1とチャネル層2がヘテロ接合を構成する点は、H
EMT(高電子移動度トランジスタ)と類似の構造であ
る。
【0017】ここで、HEMTは、チャネル層に生成さ
れるポテンシャル井戸の深さをバリア層上に備えたゲー
ト金属に与えるポテンシャル値によって変調させること
によって、ドレイン−ソース間をこのチャネル層中の2
次元電子系をドリフトさせて得られる電流を変調させる
ことを基調とする素子であった。
【0018】これに対し本発明では、チャネル層2下
に、p型光吸収層(p型ドープされた光吸収層)3を設
ける。また、バリア層1とチャネル層2はともにバンド
ギャップE1、E2を大とし、p型光吸収層3はバンド
ギャップE3を小として構成される。言い換えれば、バ
リア層1とチャネル層2はともに価電子帯−伝導帯間バ
ンドギャップE1、E2を大とする材料をして構成され
る。チャネル層2下には、価電子帯−伝導帯間バンドギ
ャプE3が小なるp型ドープされた材料をして構成した
p型光吸収層3が配される。
【0019】そして、入力される光として、そのエネル
ギがバリア層1のバンドギャップE1およびチャネル層
2のバンドギャップエネルギE2より小さく、p型光吸
収層3のバンドギャップエネルギE3よりは大きいもの
を用いる。すなわち、バリア層1、チャネル層2、p型
光吸収層3間のエネルギギャップE1、E2、E3の関
係は、プランク定数hを用いれば、入力光の周波数(振
動数)νに対して、E3<hν<min(E1,E2)
で規定される。記号min()は、()内に列挙した値
E1,E2のうち最も小さいものを表す。この関係式を
ディラック定数(プランク定数hの2π分の1)を用い
て書き換えれば、入力光の角周波数ωに対して、下記数
1に示す式(1)となる。
【0020】
【数1】
【0021】このような構成および条件下で光電気変換
素子に連続光や光パルス等の光信号を入力すると、入力
光に対してp型光吸収層3のみにおいてバンド間遷移が
生じ、これにより光キャリアが生成されるが、バリア層
1およびチャネル層2においては光キャリアは発生しな
い。p型光吸収層3において生成されるホールは多数キ
ャリアによって速やかに誘電緩和され、一方、p型光吸
収層3において生成される電子は内部電界によってチャ
ネル層2にドリフトする。従って、チャネル層2に至っ
た電子を外部に引き抜くことによって、高速な電気信号
を得ることができる。
【0022】また、バリア層1とチャネル層2がヘテロ
接合を構成する点でHEMTの基礎構造と共通であるか
ら、適宜な電極を配してトランジスタ構造とすることが
可能であり、入力光に対するミキシングやゲーティング
等の諸機能を高速に実現することができる。
【0023】例えば、バリア層1上にゲート金属を設
け、チャネル層2に対してソース金属及びドレイン金属
を配することによって、入力光に対するミキシングやゲ
ーティングといった諸機能を高速に実現するHEMTを
構成することができる。
【0024】以下に、本発明の光電気変換素子の動作を
説明する。ここでは、一般に1.55μm帯の長波長赤
外光が広く用いられていることから、バリア層1、チャ
ネル層2およびp型光吸収層3を例えば化合物半導体で
構成して、前記式(1)が1.55μm帯の長波長赤外
光に対して成立しているものとする。
【0025】長波長赤外光を光電気変換素子に照射する
ならば、p型光吸収層3中のみにおいてバンド間遷移が
生ずることになる。従って、チャネル層2もしくはバリ
ア層1にあっては入力光に対して光キャリアは発生しな
い。こうしてp型光吸収層3にのみ生成した光キャリア
(光生成ホール5および光生成電子6)は、価電子帯と
伝導帯とがそれぞれ異なるポテンシャル構造をなしてい
るために、光生成ホール5と光生成電子6とで異なった
振る舞いを見せることになる。
【0026】まず、光生成ホール5であるが、もともと
p型光吸収層3がp型にドープされていてホールが多数
キャリアとなっているために、速やかに誘電緩和されて
消失する。即ち、光生成ホール5は後の輸送に関わるこ
とはなく、応答たる電気信号に影響することは殆ど無視
し得る。一方、光生成電子6はヘテロ接合部に向かって
存在する内部電界7によって、チャネル層2に矢印8の
如くドリフトされ、2次元電子気体をなす。
【0027】従って、光電気変換には実効的に光生成電
子6のみが媒介するので、チャネル層2に至った電子
(2次元電子気体)を取り出すことによって、高速電気
信号を得ることができる。
【0028】図3に、信号取り出しのための工夫の一例
を示す。図3の例では、チャネル層2に対して両側に、
該チャネル層2から光生成電子6を引き出すためのオー
ミック接合部9、10を設ける。これにより、上述した
光電気変換素子がトランジスタ動作と融和したHEMT
が実現する。一方のオーミック接合部9がソースコンタ
クト、他方のオーミック接合部10がドレインコンタク
トとされる。
【0029】図3中、バリア層1、チャネル層2、ソー
スコンタクト9およびドレインコンタクト10からなる
構造は、良く知られるHEMTの基礎構造と共通であっ
て、バリア層1自体、あるいは、バリア層1に設けたオ
ーミック接合部(ゲートコンタクト)11に電気信号を
印加するならば、この印加信号による変調を有為とする
ことが可能となるという副次的効果がもたらされる。
【0030】つまり、ミキシングやゲーティング等の諸
機能を高速に実現するHEMTが構成される。
【0031】一方、p型光吸収層3に対しても両側に、
オーミック接合部12、13を設ける。これは、オーミ
ック接合部12、13により光生成ホール5をp型光吸
収層3から引き抜くための所作である。例えば、オーミ
ック接合部12、13間に適宜なバイアス電位を与える
ことにより、光生成ホール5を効果的に引き抜くことが
できる。このように2つのオーミック接合部12、13
を用いてバイアスを与える場合は、バイアス回路を電気
信号取出用回路に対し独立してもうけることができると
いう利点がある。電気信号取出用回路の一部をバイアス
回路に共用して光生成ホール5を引き抜くことができる
ことはいうまでもない。この場合、ホール引き抜き用オ
ーミック接合部は1つでもよい。
【0032】図3の例ではソースコンタクト9とドレイ
ンコンタクト10が対向する方向(第1方向)14がホ
ール引き抜き用オーミック接合部12、13どうしが対
向する方向(第2方向)15と平行であるが、第1方向
14と第2方向15とを直交させることも考えられる。
【0033】p型光吸収層3とソースコンタクト9また
はドレインコンタクト10との接触が気になる場合に
は、例えば図4に示すように、第1方向14と第2方向
15を直交させ、第1方向14に沿うp型光吸収層3の
幅W3-14が同第1方向14に沿うチャネル層2の幅W2-
14より小さくすることが考えられる。
【0034】図4に示したように、p型光吸収層3の幅
をチャネル層2よりも小さく構成する(W3-14<W2-14
とする)ことにより、ソースコンタクト9とドレインコ
ンタクト10の一方または両方をp型光吸収層3に対し
て空間的次元を異にして設けることができ、両者の接触
を回避することができる。
【0035】更に、図4に示すように、第2方向15に
沿うp型光吸収層3の幅W3-15を同第2方向15に沿う
チャネル層2の幅W2-15より大きくして、ホール引き抜
き用オーミック接合部12、13の一方または両方をチ
ャネル層2に対して空間的次元を異にして設け、両者の
接触を回避することが考えられる。
【0036】ショートチャネルの場合、図3や図 4の例
でチャネル層2の幅W2-14がp型光吸収層3の幅W3-14
よりも短い場合(W2-14<W3-14)には作製上の困難が
伴うが、プラズマ励起を議論する際にはチャネル層2の
幅は系のデバイ長程度以上を必要とし、その意味では問
題とならない。
【0037】図3や図4に示したトランジスタ構造の光
電気変換素子を使用する場合、チャネル層2に存在する
2次元電子多体系に対して電子のみを注入する電子注入
機構をもたらすことによって、2次元電子系にプラズマ
振動を誘起せしめることが可能であり、この場合は、テ
ラヘルツ帯に至る連続光(電気信号)の生成に寄与す
る。
【0038】入力光をどこに照射するかは、p型光吸収
層3に光を入力できる範囲であれば光電気変換素子中で
特に限定されるものではない。一例を挙げれば、図4や
図3に例示するp型光吸収層3中の広い表面や裏面の全
体または一部を光照射部位16としたり、あるいは、図
3に例示する面積が狭い側面の全体または一部を光照射
部位16とすることができる。
【0039】本発明の光電気変換素子は、以上の方策を
随意に採ることによって与えられるHEMTと類似の構
造を伴ったものであり、以下、その作用効果について議
論する。
【0040】本発明の光電気変換素子では、バリア層1
とチャネル層2でヘテロ接合が構成され、チャネル層2
下にp型光吸収層3が配され、かつ、エネルギギャップ
の関係が前記式(1)を満たすため、入力光に対してバ
リア層1およびチャネル層2においては光キャリアは発
生せず、p型光吸収層3のみにおいてバンド間遷移が生
じる。その際、光生成ホール5はp型光吸収層3におい
て多数キャリアによって速やかに誘電緩和される。
【0041】従って、従来構造において高速応答の弊害
となっていた光生成ホールの寄与を応答から排除するこ
とに成功する。結果として、図5に示すが如く、光パル
ス応答(光パルスに対する電気応答)17は従来のHE
MTにおける光パルス応答18に比べ、顕著な高速性を
獲得する。
【0042】このような高速応答によって、光信号の効
率的なゲーティングもしくはミキシング等、高速な光電
気変換を行うことができる。これの例を図6に示す。
【0043】図6(a)はHEMT型光トランジスタ構
造の例を模式的に示し、9はソースコンタクト、10は
ドレインコンタクト、11はゲートコンタクト、16は
光照射部位を表す。
【0044】図6(a)に示す例では、信号印加形態を
陽としており、通常の電気信号をHMETと同じくゲー
トコンタクト11に印加するとともに、光信号を新たに
光照射部位16に与える形をとる。電気信号出力は、例
えばドレインコンタクト10より得る構成である。
【0045】ドレインコンタクト10から得る電気信号
が図5に示した光パルス応答17ように高速応答である
ことに起因して、図6(b)に示すような光データのゲ
ート信号によるゲーティング処理が高速に実現される。
【0046】図6(b)において、入力光パルス列20
が光照射部位16に与えられ、ゲートパルス21がゲー
トコンタクト11に入力されると、ゲートパルス21と
同じ時点の光パルスが抽出され、出力電気パルス22に
変換されてドレインコンタクト10より得られる。
【0047】また、ヘテロダイン検波によるならば、図
6(c)に示すように、包絡関数として与えられる2波
長光の差周波数成分fdiffがゲート信号に与えられる電
気振動成分fgとのミキシングを経て、fdiff−fgにま
でダウンコンバートされる。光電気変換素子の高速応答
は、かかる成分fdiff−fgが高効率で得られることを
意味する。
【0048】例えば、図6(c)において波長fの入力
連続光23と波長f1(=f−fdif f)またはf2(=f
+fdiff)の入力連続光24が光照射部位16に与えら
れると、光信号どうしのミキシング(ヘテロダイン検
波)により、差周波数fdiffを包絡関数とする光信号が
生成される。ゲート信号に電気振動成分がなければ、周
波数fdiffなる電気信号がドレインコンタクト10より
出力される。ゲートコンタクト11に電気振動成分fg
のゲート信号25が入力されると、fdiffとfgのミキ
シングが行われ、fdiff−fgなる周波数にまでダウン
コンバートされた出力電気信号26がドレインコンタク
ト10より得られる。fdiff+fgなる周波数にダウン
コンバートされた電気信号を出力することもできる。
【0049】以上は主として波長1.55μm帯の長波
長赤外光を入力光とする場合の説明であるが、前記式
(1)が規定するエネルギギャップE1、E2、E3の
関係を満たす材料でバリア層1、チャネル層2およびp
型光吸収層3を構成することにより、長波長赤外光以外
でも、同式(1)を満たす範囲で、任意波長の光を入力
光とすることができる。
【0050】また、上記の説明ではトランジスタ構造の
下でホール引き抜き用オーミック接合部12、13を設
けているが、トランジスタ構造を持たない状態の光電気
変換素子において、p型光吸収層3に対してオーミック
接合部12、13を設けても、オーミック接合部12、
13間に適宜なバイアスを与えることで光生成ホール5
を効果的に引き抜くことができる。
【0051】
【発明の効果】第1発明の光電気変換素子によれば、入
力光に対して、p型光吸収層のみにおいてバンド間遷移
が生じて光キャリアが生成され、生成されたホールは多
数キャリアによって速やかに誘電緩和され、生成された
電子は内部電界によってチャネル層にドリフトする。従
って、チャネル層に至った電子を外部に引き抜くことに
よって高速な電気信号を得ることができる。
【0052】また、入力光のエネルギがp型光吸収層の
価電子帯−伝導帯間バンドギャップより大きく、バリア
層およびチャネル層の価電子帯−伝導帯間バンドギャッ
プより小さい範囲であれば、任意波長の入力光に対して
高速な光電気変換を行うことができる。
【0053】更に、バリア層とチャネル層がヘテロ接合
を構成する点でHEMTの基礎構造と共通であるから、
適宜な電極を配すれば、トランジスタ構造とすることが
でき、入力光に対するミキシングやゲーティング等の諸
機能を高速に実現することができる。
【0054】第2発明の光電気変換素子は、広く利用さ
れている長波長赤外光を対象にして高速な光電気変換を
行うことができる。
【0055】第3発明の光電気変換素子は、HEMT構
造をとるから、光信号のミキシングやゲーティングとい
った諸機能を高速に実現することができる。
【0056】第4発明の光電気変換素子は、p型光吸収
層の両側にオーミック接合部を備えるから、適宜なバイ
アスを与えてp型光吸収層から光生成ホールを効率的に
引き出すことができ、更なる高速応答が実現する。ま
た、バイアス回路を電気信号取出用回路から独立させる
ことができる。
【0057】第5発明の光電気変換素子は、p型光吸収
層の幅がチャネル層の幅より小さいから、チャネル層の
ソースコンタクトやドレインコンタクトがp型光吸収層
に接触することを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光電気変換素子の基本的な構造を概念
的に示す図。
【図2】図1に示す光電気変換素子の動作原理を示す概
念図。
【図3】図1に示す光電気変換素子をトランジスタ動作
と融和させるための方策の例を示す図。
【図4】図1に示す光電気変換素子をトランジスタ動作
と融和させるための方策の他の例を示す図。
【図5】本発明の光電気変換素子の効果を示す図。
【図6】図3または図4に示した光電気変換素子を用い
た信号処理の例を示す図。
【図7】従来技術として、InAlAs/InGaAs高電子移動度
トランジスタにおける光パルス応答の実例を示す図。
【符号の説明】
1 バリア層 2 チャネル層 3 p型光吸収層 4 基板層 5 p型光吸収層において生成されるホール 6 p型光吸収層において生成される電子 7 内部電界 8 電子ドリフト方向 9 ソースコンタクト(電子引き抜き用オーミック接合
部) 10 ドレインコンタクト(電子引き抜き用オーミック
接合部) 11 ゲートコンタクト 12 ホール引き抜き用オーミック接合部 13 ホール引き抜き用オーミック接合部 14 第1方向(ソースコンタクトとドレインコンタク
トの対向方向) 15 第2方向(ホール引き抜き用オーミック接合部ど
うしの対向方向) 16 光照射部位 17 本発明を適用したHEMTの光パルス応答 18 従来の光パルス応答 19 従来の光パルス応答の裾引き 20 入力光パルス列 21 ゲート信号 22 出力電気パルス 23 波長fの入力連続光 24 波長f1(=f−fdiff)またはf2(=f+f
diff)の入力連続光 25 ゲート信号 26 出力電気信号 fdiff 2波長光の差周波数 fg ゲート信号の電気振動成分 fdiff−fg 出力電気信号の電気振動成分 W2-14 第1方向のチャネル層の幅 W3-14 第1方向のp型光吸収層の幅 W2-15 第2方向のチャネル層の幅 W3-15 第2方向のp型光吸収層の幅

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヘテロ接合を構成するバリア層およびチ
    ャネル層と、該チャネル層下に配置したp型ドープされ
    た光吸収層(以下、p型光吸収層)とを備え、前記p型
    光吸収層の価電子帯−伝導帯間バンドギャップが入力光
    のエネルギよりも小さく、前記バリア層およびチャネル
    層の価電子帯−伝導帯間バンドギャップがともに入力光
    のエネルギよりも大きいことを特徴とする光電気変換素
    子。
  2. 【請求項2】 請求項1において、入力光が波長1.5
    5μm帯の長波長赤外光であることを特徴とする光電気
    変換素子。
  3. 【請求項3】 請求項1において、前記バリア層に配し
    たゲートコンタクトと、前記チャネル層に配したソース
    コンタクトおよびドレインコンタクトとを備え、高電子
    移動度トランジスタを構成したことを特徴とする光電気
    変換素子。
  4. 【請求項4】 請求項3において、前記ソースコンタク
    トおよび前記ドレインコンタクトが前記チャネル層に対
    して両側に配されること、および、前記p型光吸収層に
    対して両側に配したホール引き抜き用オーミック接合部
    を備えることを特徴とする光電気変換素子。
  5. 【請求項5】 請求項4において、前記ソースコンタク
    トと前記ドレインコンタクトが対向する方向の前記p型
    光吸収層の幅が、同方向の前記チャネル層の幅よりも小
    さいことことを特徴とする光電気変換素子。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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GB2437768A (en) * 2006-05-03 2007-11-07 Seiko Epson Corp Photosensing TFT
WO2009069940A1 (en) * 2007-11-27 2009-06-04 Optomecha Co., Ltd. Device and method for fabricating lens
KR101406911B1 (ko) * 2008-01-04 2014-06-16 한국과학기술원 광 검출 소자 및 그 제조방법

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