JP2003142300A - 周期磁場発生装置 - Google Patents
周期磁場発生装置Info
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Abstract
軸上の磁場分布を正弦波にし、小型、軽量で、かつ製造
コスト安の周期磁場発生装置を提供する。 【解決手段】 互いに異なる磁化方向を有する永久磁石
を複数組み合わせてリング状に構成した外側リング磁気
回路および前記外側リング磁気回路の内側に備えられた
互いに異なる磁化方向を有する永久磁石を複数組み合わ
せてリング状に構成した内側リング磁気回路を中心軸方
向に複数重ねることで周期磁場を発生し、さらに中心軸
上の磁場分布を正弦波にするため1周期あたり4極以上
の磁極を配置した周期磁場発生装置である。
Description
蓄積リングからの電子ビームを利用する高強度挿入光源
装置(アンジュレータ)に関し、さらに詳しくは永久磁
石を複数個配列し直線上に周期的な磁場を発生させる周
期磁場発生装置に関するものである。
構成されており、アンジュレータ中に電子を入射して蛇
行運動を行わせ、各蛇行毎に放射される放射光を干渉さ
せることにより、高輝度な放射光を発生させることが出
来る。しかし、電子の蛇行軌道に少しでも歪みがある場
合は、各蛇行毎に放射される放射光の干渉が不充分とな
り、放射光の輝度は極端に低下する。このためアンジュ
エレータの周期磁場は高い精度が要求される。従来のア
ンジュレータは、図13に示すように矩形の永久磁石を
90度づつ磁化方向を変えて4個で1周期の組み合わせ
となし、これを規則的に複数個配列し架台に固定した磁
石列A、Bを形成し、この磁石列A、Bをギャップgを
介して対向配置させたものである。ギャップ内には真空
の導波管が挿入され内部を電子蓄積リングからの電子ビ
ームが通過する。このような磁気回路により直線上に周
期的な磁場を発生させ、ギャップ間の導波管に、ほぼ光
速に加速された電子ビームを通過させることにより、電
子ビームと磁場との共鳴的な相互作用によってコヒーレ
ントな電磁波を発生することができる。このときアンジ
ュレータのギャップ長を変え、その磁場強度を変化させ
ることにより、発生する電磁波の波長を変えることがで
きる。その波長は、磁場調整範囲から0.1μmから5
0μmのオーダで変化できる。しかしながら、ギャップ
長を変動させることで磁場精度が悪化し、各波長での出
力が十分確保できなくなるため、1台の装置あたりに発
生する波長の範囲が狭く、複数台のアンジュレータが必
要となっていた。
または光は、アンジュレータを挟む一対のミラーにより
共振し、レーザー発振する。このとき、アンジュレータ
内に集郡化した電子は、上記の矩形の永久磁石を配列し
た磁気回路のものにおいては、電子ビームの進行方向と
垂直で、永久磁石表面と平行な方向に磁場勾配をもって
いるため、その磁場勾配方向に徐々に中心からずれてし
まい、異なった波長の光を発生する。そのため、異なる
波長の光どうしで減衰するため、レーザー発振の出力を
低下させてしまう。より高強度の電磁波を発振するため
の手段としては、中心磁場の分布を正弦波にすることが
良いことが知られている。従来の矩形の永久磁石を使用
し磁気回路を構成する場合、水平方向に配置する永久磁
石間に高飽和磁化の軟磁性材料を挟んだハイブリッド型
構成や水平型ハルバッハ磁気回路構成にて正弦波に近い
分布にすることが提案されている(特開平9−9249
8号公報、特開平10−289800号公報)。しか
し、この場合、中心磁場強度を高くするためには、アン
ジュレータのギャップ長を小さく、永久磁石の厚みを厚
く、周期長を長くする必要があり、そのためアンジュレ
ータ装置は大きくなってしまう。
には、前述のようにアンジュレータのギャップ長を変化
させるのであるが、高強度の電磁波を発生するために磁
場の均一度を通常1%以下の高精度に調整し保つ必要が
ある。しかしギャップ長を一旦変化させてしまうと磁場
の均一度は悪化し、発生する電磁波の強度も低下してし
まう。そのため、最低限の電磁波の強度を維持しようと
すると、ギャップの可変範囲は機械的な調整範囲より小
さくなってしまうといった問題がある。もっとも、ギャ
ップ内には導波管が挿入されるので、導波管の外径(20
mm程度)によって最小幅は制限される。
永久磁石を用いた円形型ハルバッハ磁気回路を構成した
ものがある。「IEEE TRANSACTIONS O
NMAGNETICS.VOL.35.NO.5.SE
PTEMBER 1988」あるいは特開平6−224
027号公報などにその一例が記載されており、この円
形型ハルバッハ磁気回路の一例として、図14に示すよ
うに磁化方向が2種類以上異なる複数の永久磁石を組み
合わせたものがある。図14のハルバッハ磁気回路構成
では外側リング磁気回路と内側リング磁気回路から構成
されており、内側リング磁気回路と外側リング磁気回路
が互いに回動可能な構造となっている。内側リングと外
側リングの磁気回路を図14(a)に示すように回転さ
せた状態では、各磁石の磁化方向の角度から内側リング
磁気回路の磁場方向と外側リング磁気回路の磁場方向と
が一致するため、内側リング磁気回路の中央空洞部では
内側リング磁気回路が発生する磁場と外側リング磁気回
路が発生する磁場を合わせた強度の磁場が発生する。一
方、図14(b)に示すように(a)から180度回転
させた状態では、内側リング磁気回路と外側リング磁気
回路が個々に発生する磁場強度が同じとき、中央空洞部
では逆に磁場が略0になる。よって、両リングの回転角
度により磁場が0〜MAXまで調整できるものである。
以上により、このハルバッハ磁気回路では、内側リング
磁気回路単体の場合に形成される複数の永久磁石による
磁気回路に対して、外側リング磁気回路に設けられた複
数の永久磁石の磁化方向を前記内側リング磁気回路の磁
気回路を妨げる方向に配置しているものであり、外側リ
ング磁気回路が発生する磁場強度が磁場調整範囲となっ
て作用する。
てきたが、結局上述した矩形の永久磁石を配列した周期
磁場発生装置においては、装置が大型化すると共に、4
極以上のものでギャップ調整機構を含めて製作すること
は構造的に困難があり、結局、磁場分布は正弦波分布か
らずれてしまうため電子ビームの拡散も抑えることがで
きず、出力低下を招くと言う問題があった。例えば、図
13に示すように矩形の永久磁石を向かい合わせて配置
し、水平方向に周期的な磁場を発生させているが、この
装置に電子ビームを入射すると、電子ビーム方向の進行
方向に対し水平方向で、かつ永久磁石のギャップ面に水
平な方向に電子ビームは拡散する。そのため、1周期内
に永久磁石を水平に配列したものと垂直に配列したもの
を交互に配置するいわゆる4極のヘリカルな磁場を発生
することにより、水平方向への拡散を防止することが行
えるが、この場合においても磁場分布は磁場強度の低い
45°方向に電子ビームは拡散してしまう。これは、軸
方向と垂直な磁気回路の面内(1極の磁気回路)方向の
磁場均一性が悪いために起きている現象と考えられる。
であり、従来にない磁場精度を有し、軽量小型で、設備
コストが安価である周期磁場発生装置を、なお且つ磁場
調整範囲が広くとれて中心磁場分布が正弦波分布とな
り、発生電磁波の波長のチューニング範囲が広い周期磁
場発生装置を提供することを目的とする。
磁石を用いた周期磁場発生装置を製造するに際し、下記
のような最適な構造を考察し、本発明に至った。即ち、
4極のヘリカルな磁場を発生する磁気回路の磁場分布に
おいて、磁場強度の低い45°方向に電子ビームが拡散
してしまうと言う問題に対し、電子ビームが通過する中
心軸方向に対して垂直な方向の磁場勾配が小さく、半径
方向に均一な磁場を発生するリング状の磁気回路を重ね
た構成とすることにより解決した。即ち、互いに異なる
磁化方向を有する2種類以上の永久磁石を複数組み合わ
せてリング状に構成した磁気回路をその軸方向に複数個
重ねることにより中心軸上に正弦波状周期磁場を発生す
ることを特徴とする周期磁場発生装置である。ここで、
中心軸方向に正弦波状の磁場分布を発生させるため、1
周期あたりの磁極数を4極以上で構成するように前記リ
ング状磁気回路を軸方向に重ねていく周期磁場発生装置
とした。
磁化方向をもつ2種類以上の永久磁石を左右上下対称に
配置し、磁化方向を連続的に変化させ、リング状磁気回
路の内径側(中央空洞部)に特定な直径方向に磁束の向
きが発生するようにリング状磁気回路内の永久磁石の磁
化方向を配置するようにし、結果的に中心軸に精度の高
い正弦波周期磁場を発生させるようにした。すなわち、
互いに異なる磁化方向を有する2種類以上の永久磁石を
複数組み合わせてリング状に構成した磁気回路をその軸
方向に複数個重ねることにより中心軸上に正弦波状周期
磁場を発生するように、1周期内に磁極を4個以上有
し、その中心軸上にておのおのが発生する磁場の主方向
が、軸方向断面において互いに180°以下の角度でず
れている周期磁場発生装置である。
有する2種類以上の永久磁石を複数組み合わせてリング
状に構成した磁気回路をその軸方向に複数個重ね、中心
軸上に正弦波状周期磁場を発生するように、1周期内に
磁極を4個以上有し、その中心軸上にておのおのが発生
する磁場の主方向が、軸方向断面において互いに180
°以下の角度でずれており、その磁極の軸方向長さが、
周期長を磁極数で割った値の50〜100%である周期
磁場発生装置である。
磁場発生装置の構成を持ったリング状の磁気回路を内側
リング磁気回路となし、当該内側リング磁気回路の外周
側にこの内側リング磁気回路と同様のリング状の磁気回
路を外側リング磁気回路として配置した2重リング磁気
回路構造の周期磁場発生装置である。ここで、この2重
リング磁気回路構造の周期磁場発生装置は、内側リング
磁気回路及び外側リング磁気回路を軸方向に複数個重ね
ると共に、内側もしくは外側に配置した複数のリング状
磁気回路を一体で構成し、その一体となった磁気回路に
回転機構を設け、中心磁場のピーク値を0〜2.0Tま
で調整できるようにしたものである。このとき外側リン
グ磁気回路を回転させて磁場を調整することが望まし
い。さらに、上記した周期磁場発生装置において、内側
リング磁気回路を真空チャンバー内に設置し、その真空
チャンバーの外側に外側リング磁気回路を設け、この外
側リング磁気回路を回転させる回転機構を具備させるこ
とが望ましい。また、上記した本発明の周期磁場発生装
置においては、残留磁束密度は1.2T以上を有し、か
つ保磁力が1114kA/m以上を有する永久磁石とするこ
とで、中心磁場のピーク値を0〜2.0Tまで調整でき
るものである。
作用と共に説明する。まず、従来の矩形の永久磁石を使
用する場合は、向かい合わせた永久磁石のギャップ長を
変化させて磁場調整を行うが、この場合ギャップ長を変
化させると、磁場分布は正弦波状の分布からずれてしま
う。このものでは軸方向の磁石の厚みとギャップ長から
正弦波に近くなるよう磁石形状を設定及び高精度な調整
を行っているため、初期調整時のギャップ長に対しては
正弦波に近い分布となっているが、その後ギャップ調整
をすれば磁場分布が次第に正弦波分布からずれていく。
それゆえ、ギャップ長の変化に伴って電磁波の発生出力
も低下し、高出力を保ちながら発生できる波長の範囲は
小さくなってしまう。この点本発明では、ギャップ長を
変化させるメカニズムではなく、先ず、互いに異なる磁
化方向を有する2種類以上の永久磁石を複数組み合わせ
た磁気回路をリング状に構成することとし、このリング
状磁気回路をその軸方向に複数個重ねて配置することに
より中心軸上に正弦波状周期磁場を発生するように構成
した。そして磁気回路を回転させることで磁場を調整可
能としたことにより、幾何学的な磁気回路の変動をなく
す機構となったものである。即ち、磁場調整時にギャッ
プ変動しないため、中心軸からの距離が相対的に変動し
ないことにより磁気的エネルギーの移動がなくなり高精
度な調整を行った状態を維持できるため、磁場調整を行
った後も精度の高い正弦波分布が実現できる。
回路の更に外周側に内側リング磁気回路と同じ磁化方向
を持ち、内側リング磁気回路より大きい外側リング磁気
回路を配置し、この外側リング磁気回路を内側リング磁
気回路と相対的に回転させることにより、中心軸上の磁
場精度を保ちながら磁場調整を可能とした。これにより
中心軸上の磁場は0〜2.0Tまで調整できることが解
った。前記外側リング磁気回路と内側リング磁気回路は
相対的に回転可能であり、かつ中央空洞部に発生する磁
場の方向は、相対的に方向が変わらないことが好まし
い。周期磁場発生装置では発生する電磁波の波長を変え
るため磁場を変化させる。その際の磁場の変化を詳細に
測定した結果、内側リング内の中央空洞部の磁場方向は
内側リング磁気回路に同期し、中心軸上の磁場が変化す
ることが解った。図10は内側リング磁気回路を固定し
た上で外側リング磁気回路を回転させたときの内側と外
側の磁気回路の合成磁場を表しており、縦軸が合成磁場
の磁束密度を、横軸は外側リングの回転角度である。こ
のように外側リング磁気回路の回転角調整によって正弦
波周期磁場が得られることが確認された。従って、これ
とは逆に例えば、磁場を最大にした状態から前記外側リ
ング磁気回路を固定しながら前記内側リング磁気回路を
回転させて中央空洞部の磁場を変化させようとすると、
中心軸上に発生する磁場方向は前記内側リング磁気回路
が発生する磁場方向と同期して回転しながら磁場強度が
低下する。このような周期磁場発生装置に電子ビームを
入射すると、第1番目の前記内側リング磁気回路の磁場
強度に応じ電子ビームが曲げられるため、電子ビームを
磁気回路の中心軸上を通過させるためには、前記内側リ
ング磁気回路の発生磁場方向に対して常に一定の角度を
保ちながら電子ビームを入射する必要があり、そのた
め、前記第1番目の内側リング磁気回路の磁場発生方向
に同期し、電子入射角度も変化させる必要がある。した
がって、電子ビーム入射系装置を簡素化するため、内側
リング磁気回路は回転させず、外側リング磁気回路を回
転させて磁場調整を行うことが好ましい。
向に重ねる構造の一例が、「J.Appl.Phys.
Vol.64.NO.10,15 November 1
988」に記載されている。しかしながら、これは1周
期を2分割し、2つの磁極により構成する2極の周期磁
場発生装置でありヘリカル磁場を得るものではない。す
なわち、この構成では中心軸上の磁場分布は正弦波分布
から著しくずれているため、当然電磁波の出力は低下し
てしまう。これを改善するため1周期を4分割以上、す
なわち磁極数を4極以上とすることで、中心軸上の磁場
分布を正弦波との誤差が最大20%以下に近づけること
ができ、特に磁極数が12極以上において、ほぼ正弦波
と一致することがわかった。また、ハルバッハ磁気回路
を用いることにより軸方向と垂直な磁気回路の面内方向
の磁場分布均一性が改善され、さらにギャップ変動しな
いことにより磁気エネルギーを変化させないで磁場調整
が可能である。よって、電子ビームの拡散を抑えて高強
度で高範囲の波長の光を発生させることができる。
矩形型永久磁石を上下に分けて磁気回路を構成していた
ものに比べ、一体の磁気回路と同じことになり、磁気抵
抗が少なり、磁石パーミアンスが上がるため外形を小さ
くできる。また、小さくできることから本装置全体を真
空チャンバー内に納めることも容易である。例えば、内
側リング磁気回路のみを真空チャンバー内に封入し、外
側リング磁気回路は真空チャンバー外に設置し、外側リ
ング磁気回路の回転機構も真空チャンバー外に設置する
ことができる。この場合、真空チャンバーの容積を小さ
くし、装置の立ち上げ時間を短くすることができると共
に、真空引きに要する電力を低減することができる。内
側リング磁気回路、外側リング磁気回路に用いる永久磁
石の組成は、Baフェライト系、Srフェライト系、L
aおよびCo添加のフェライト系、希土類系のSm−C
o系、Sm−Fe−N系等公知のものが全て適用できる
が、磁気特性に優れたNd−Fe−B系であることが好
ましい。Nd−Fe−B系磁石は温度特性に問題が有
り、従来構造では真空装置内に設置するためにはギャッ
プ調整機構も含むため装置が複雑なものになっていた
が、上記したようなチャンバーの外に外側リング磁気回
路及び回転機構を配置する構成とすることで真空装置の
構造を簡素化できると共にNd−Fe−B系磁石の使用
が容易となる。以上よりリングの中央空洞部に必要とす
る磁場強度、熱影響等により適宜選択可能であり、焼結
体だけでなく樹脂等と混合させたボンド磁石としてもよ
い。また、真空装置内に設置される永久磁石は脱ガス処
理を行うため、200℃以上の高温にさらされる。その
ため、永久磁石は、その固有保磁力Hcjは1500kA/m
以上が必要である。よって内側リング磁気回路のみSm
−Co系希土類磁石を使用してもよい。
て説明する。 (実施例1)図1は本発明の周期磁場発生装置における
リング状磁気回路の一例を示す斜視図である。図では周
期磁場発生装置の磁気回路部の1周期分を示しており、
図中1はリング磁気回路を示し、各セグメントはNd−
Fe−B系の永久磁石4(図2の斜線部)で構成してい
る。この永久磁石4の磁気特性を測定したところ、残留
磁束密度=1.37T、保磁力=1130kA/mであっ
た。図2は、周期磁場発生装置の磁気回路として組み立
てた断面構成図(一部省略)であり、各リング磁気回路
1は、保持部材11に接着等により固着されている。保
持部材11はSUS304からなり、他にアルミニウ
ム、エポキシ樹脂などの非磁性材料から形成することが
できる。さらにリング状磁気回路1が固着された保持部
材11は管状の固定部材12に固定ピン13により機械
的に固定して組み立てている。固定部材12や固定ピン
13は、保持部材11と同様に非磁性材料から形成す
る。またこの図に示した構造にこだわるものではない
が、例えば固定ピンはボルトねじ、平行ピン、テーパー
ピンなどを用いてもよく、これにより中心軸方向のリン
グ磁気回路の固定ピッチを精度よく行うことができる。
するセグメント状の永久磁石4を円周方向に8等分割し
てリング磁気回路1をそれぞれ構成している。1周期あ
たり8極の磁極で構成した8極用リング磁気回路1の1
周期の構成例である。各々の磁石4の磁化方向は図1に
示すように中央空洞部5内に一方向の磁場6が発生する
ように左右上下に対象性を持たせており、これによって
隣接する8極用リング磁気回路1が中央空洞部5の中心
軸上に発生する磁場の方向は、全て一様に45°づつず
れている。よって、本例はそれぞれのリング磁気回路を
45°づつずらして8極を重ねて1周期を構成したもの
である。具体的にはリング磁気回路1の内径D0は20
mmで半径方向の幅は8mm(外径D1=36mm)と
した。また、1周期110mmを8極の磁極にて構成し
ており、リング磁気回路1の1極あたりの取り付けピッ
チpは13.75mmである。ここで、リング磁気回路
1の軸方向の厚さtを10.75mmとした。よって本
例の磁極の軸方向長さと、周期長を磁極数で割った値の
比は78%である。この値はより大きい方が好ましく、
50%を下回ると磁場強度が実用レベルに達しないため
不都合である。リング磁気回路1の取り付けピッチpと
リング磁気回路の軸方向の厚みtは、等しい方がより強
い中心磁場が得られるため、リング磁気回路1の外周側
に十分な空間が有る場合は、図3に示すように保持部材
11’を、図2のように各リング磁気回路1の間に設置
する構造ではなく、リング磁気回路1’の外周側に同じ
幅で設置する構造としてもよい。また、リング磁気回路
1の内径側空洞部には電子ビームを通過させるための導
波管を設置する。
グメント状の永久磁石4を円周方向に8等分割し、1周
期あたり12極の磁極で構成した12極用リング磁気回
路2の1/2周期の構成例である。したがって隣接する
12極用リング磁気回路2が中央空洞部5に発生する磁
場6の方向は、全て一様に30°づつずれている。各永
久磁石の磁気特性及び固定方法等は実施例1と同様であ
る。また各々の磁石の磁化方向は図4に示す通りであ
り、12極用リング磁気回路2の内径D0及び外径D1
も実施例1と同じであるが、リング磁気回路1の1極あ
たりの取り付けピッチpは9.16mmで、リング磁気
回路の軸方向の厚さtを9.16mmとし、磁極の軸方
向長さと、周期長を磁極数で割った値の比は100%と
なした。すなわち図3の構造とした。また実施例1と同
様にリング磁気回路3の内径側空洞部には電子ビームを
通過させるための導波管を設置している。
内部の磁場を測定したところ、半径方向に対し中心軸か
ら5mm(φ10)の範囲内において±1%以下の均一磁
場強度が得られていることを確認した。また、実施例1
について軸方向の磁場分布を1/4周期について測定し
た結果を図8に、同様に実施例2の12極の場合の測定
結果の図9に示す。図に示すように8極と12極ともに
点線で示した正弦波分布に近い波形が得られているが、
12極にすることでより正弦波分布とほぼ一致すること
が確認できた。
気回路1の外周側に外側リング磁気回路3を配置した周
期磁場発生装置30の例である。外側リング磁気回路3
は、内側リング磁気回路1と同様に永久磁石を円周方向
に8等分割して内側リング磁気回路1、外側リング磁気
回路3をそれぞれ構成したものである。外側リング磁気
回路3の磁化方向は図1に示す通りであり、リング磁気
回路1の内径D0は20mmで半径方向の幅は8mm
(外径D1=36mm)とし、外側リング磁気回路3の
外径D3は120mmで半径方向の幅は40mm(内径
D 2=40mm)とした。さらに内側リング磁気回路1
の軸方向の厚さt1は8極の極数から1周期110mm
を8等分した厚み13.75に対し、保持部材11の厚
み3mmを配置するため、10.75mmとした。一
方、外側リング磁気回路3の厚みt2は、リング磁気回
路1と同じでもよいが、外側リング磁気回路の外側に外
側リング磁気回路保持部材14を設置する構造であれ
ば、本図のように外側リング磁気回路の軸方向の厚みt
2はリング磁気回路の取り付けピッチp2と同じにする
ことができる。内側または外側リング磁気回路の中心軸
上の磁場強度をあげるためには、外径を大きくするか、
または軸方向の厚みを大きくすることが有効である。ま
た、内側磁石の軸方向厚みより外側磁石の厚みを大きく
することにより、磁場調整範囲を大きくすることができ
る。よって、外側リング磁気回路の発生する磁場強度は
リング磁気回路の取り付けピッチp2と外側リング磁気
回路の軸方向の厚みを同じにすることにより、中心磁場
を高めることができ、前述のように外径を大きくしたこ
とと同じ効果が得られる。そのため外側リング磁気回路
はなるべくリング磁気回路の取り付けピッチp2と等し
くし、装置の小型化を図ることが好ましい。また、図示
はしていないが外側リング磁気回路を駆動させるための
駆動手段として、外側リング磁気回路の外周側のケース
11の外側にギアを構成し、モータにより内側リング磁
気回路に対して回転可能にしている。また実施例1と同
様にリング磁気回路3の中央空洞部には電子ビームを通
過させるための導波管を設置する。
気回路を真空チャンバ17内に設置し、真空チャンバの
外側に実施例3の外側リング磁気回路3を設置した例で
ある。外側リング磁気回路の磁石を回転する機構は、実
施例3と同様である。本実施例では、真空チャンバ17
内に設置したリング磁気回路の形状等は、実施例1と同
様であるが、真空チャンバ17内にリング磁気回路を封
入することで、内側リング磁気回路1の内径をφ20m
mよりさらに小さくすることが可能であり、中央空洞部
6の中心軸上の磁場強度をさらに強くすることができ
る。これにより発生する電磁波の波長をさらに短くで
き、発生波長範囲も広くすることができる。
リング磁気回路1、2及び外側リング磁気回路3に使用
したセグメント磁石2は、磁化方向が3種類のものを適
宜組み合わせたが、本発明では図11に示すように磁化
方向が2種類の永久磁石を用いて磁気回路を構成するこ
とも出来る。また、上記した例では同心円状の略扇形状
としたが、永久磁石の製造を容易にするために、略台形
の形状にしてもよい。また、セグメント磁石2を略扇形
状とした場合のリング磁気回路に使用する構成例を図7
に示す。セグメント磁石4の形状が大きくなると、一体
で構成することは永久磁石の製造上困難である。そこで
図に示すように磁石を分割することにより形状的には2
種類の第1の小磁石41、第2の小磁石42に分割した
ものを組み合わせて構成することができる。また、本実
施例では分割数は1つの磁石は偶数分割されているが、
組立しやすいように両側に置いた磁石の間にもう1つの
磁石を挿入するような奇数分割を行ってもよい。本図の
矢印は各小磁石の磁化方向を示す。また、実施例1から
実施例4におけるリング磁気回路1、2及び外側リング
磁気回路3では、円周方向に8分割に等分し同形状のセ
グメント磁石4により構成しているが円周方向の分割数
は8分割以上であればよく、分割数を8分割から12分
割にすることで図12示すように5%程度中心磁場が増
加することもわかった。
を用いて平面型ハルバッハ磁気回路を使用し構成した例
の断面を示す。周期長は38mm、ギャップ長は20m
m、極数は2極である。この周期磁場発生装置の発生磁
場強度は、0.4Tである。永久磁石の形状は、幅14
0mm、高さ70mm、磁化方向の厚さ9.5である。
したがって1極あたりに使用する永久磁石の重量は、約
1.4kgであるのに対し、本発明の実施例1にて発生
する磁場強度は0.5Tであり、また1極あたりに使用
する永久磁石の重量は0.1kg以下であり、10分の
1以下の体積で同等の特性を得ることが可能であること
がわかった。このことから装置として従来に比べかなり
の軽量化できることがわかった。
ったまま磁場調整が可能となることから、磁場調整範囲
を広くすることができ、広範囲の波長を高出力で発生す
ることが可能な周期磁場発生装置を提供できる。また、
電子ビームの拡散を防ぐために中心軸上の磁場分布を正
弦波状にすることも1周期あたりの極数を任意にするこ
とができるため、4極以上の極数にすることで容易に可
能となる。さらに、従来の矩形型永久磁石を用いた平面
型の周期磁場発生装置では4極以上の多極で磁場調整可
能な構造にすることは困難であったのに対し、本発明で
はその各々の極数の磁気回路は磁場調整が可能であり、
同じ磁場強度を得るための永久磁石の体積も小さくでき
ることから、小型、軽量、安価な周期磁場発生装置を提
供することができる。また、特に内側のリング磁気回路
を真空チャンバ内に設置することでさらに広範囲な波長
で高出力の電磁波を発生することも可能となる。
気回路の一例を示す分解斜視図である。
気回路の支持構造を示す要部断面図である。
図である。
磁気回路の一例を示す分解斜視図である。
生装置の一例である要部断面図である。
置の一部を真空チャンバー内に設置した場合の一例であ
る要部断面図である。
石の構成例である。
の磁場強度の1/4周期の測定結果である。
上の磁場強度を1/4周期の測定結果である。
気回路を回転して磁場調整した場合の磁束密度の変化を
示す図である。
例を示す図である。
中心磁場の影響を示す図である。
周期磁場発生装置用磁気回路の斜視図である。
磁場発生装置用磁気回路の説明図である。
路、3:外側リング磁気回路、4:分割した永久磁石、
5:中央空洞部、6:磁場方向、11,11’:保持部
材、12,12’:支持部材、13,13’:固定ピン、
14:外側リング磁気回路保持部材、15:外側リング
磁気回路支持部材、16:外側リング磁気回路用固定ピ
ン、17:真空チャンバ、40:セグメント磁石、4
1:第1の小磁石、42:第2の小磁石
Claims (8)
- 【請求項1】 互いに異なる磁化方向を有する2種類以
上の永久磁石を複数組み合わせてリング状に構成した磁
気回路をその軸方向に複数個重ねることにより中心軸上
に正弦波状周期磁場を発生することを特徴とする周期磁
場発生装置。 - 【請求項2】 互いに異なる磁化方向を有する2種類以
上の永久磁石を複数組み合わせてリング状に構成した磁
気回路をその軸方向に複数個重ねることにより中心軸上
に正弦波状周期磁場を発生するように、磁極を1周期に
4個以上もつことを特徴とする周期磁場発生装置。 - 【請求項3】 互いに異なる磁化方向を有する2種類以
上の永久磁石を複数組み合わせてリング状に構成した磁
気回路をその軸方向に複数個重ねることにより中心軸上
に正弦波状周期磁場を発生するように、1周期内に磁極
を4個以上有し、その中心軸上にておのおのが発生する
磁場の主方向が、軸方向断面において互いに180°以
下の角度でずれていることを特徴とする周期磁場発生装
置。 - 【請求項4】 互いに異なる磁化方向を有する2種類以
上の永久磁石を複数組み合わせてリング状に構成した磁
気回路をその軸方向に複数個重ね、中心軸上に正弦波状
周期磁場を発生するように、1周期内に磁極を4個以上
有し、その中心軸上にておのおのが発生する磁場の主方
向が、軸方向断面において互いに180°以下の角度で
ずれており、その磁極の軸方向長さが、周期長を磁極数
で割った値の50〜100%であることを特徴とする周
期磁場発生装置。 - 【請求項5】 請求項1乃至4の何れかに記載したリン
グ状の磁気回路を内側リング磁気回路となし、当該内側
リング磁気回路の外周側に前記内側リング磁気回路と同
様のリング状の磁気回路を外側リング磁気回路として配
置したことを特徴とする周期磁場発生装置。 - 【請求項6】 請求項5に記載した周期磁場発生装置に
おいて、内側リング磁気回路及び外側リング磁気回路を
軸方向に複数個重ねると共に、内側もしくは外側に配置
した複数のリング状磁気回路を一体で構成し、その一体
となった磁気回路に回転機構を設け、中心磁場のピーク
値を0〜2.0Tまで調整できるようにしたことを特徴
とする周期磁場発生装置。 - 【請求項7】 請求項1乃至6の何れかに記載した周期
磁場発生装置において、残留磁束密度は1.2T以上を
有し、かつ保磁力が1114kA/m以上を有する永久磁石
とすることを特徴とする周期磁場発生装置。 - 【請求項8】 請求項1乃至7の何れかに記載した周期
磁場発生装置において、内側リング状磁気回路を真空チ
ャンバー内に設置し、その真空チャンバーの外側に外側
リング磁気回路及び外側リング磁気回路を回転させる回
転機構を具備することを特徴とする周期磁場発生装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001339523A JP4000555B2 (ja) | 2001-11-05 | 2001-11-05 | 周期磁場発生装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003142300A true JP2003142300A (ja) | 2003-05-16 |
JP4000555B2 JP4000555B2 (ja) | 2007-10-31 |
Family
ID=19153860
Family Applications (1)
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JP2001339523A Expired - Lifetime JP4000555B2 (ja) | 2001-11-05 | 2001-11-05 | 周期磁場発生装置 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP4000555B2 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2001
- 2001-11-05 JP JP2001339523A patent/JP4000555B2/ja not_active Expired - Lifetime
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