JP2003136736A - 液滴吐出ヘッドの製造方法 - Google Patents

液滴吐出ヘッドの製造方法

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JP2003136736A
JP2003136736A JP2001336779A JP2001336779A JP2003136736A JP 2003136736 A JP2003136736 A JP 2003136736A JP 2001336779 A JP2001336779 A JP 2001336779A JP 2001336779 A JP2001336779 A JP 2001336779A JP 2003136736 A JP2003136736 A JP 2003136736A
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piezoelectric element
liquid
thermal expansion
coefficient
diaphragm
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Takashi Ota
孝 太田
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Fuji Xerox Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 圧電素子と振動板との間の熱膨張率の差に起
因して生じる圧電素子の応力を低減し、信頼性を向上さ
せる。 【解決手段】 圧電素子が接合され撓み変形動作する振
動板で一部が構成され液体が充填された圧力室と、前記
振動板の体積変位により前記液体に圧力変化を生じさ
せ、前記圧力室に連通した開口部から前記液体を液滴と
して吐出させる液滴吐出ヘッドの製造方法であって、前
記圧電素子は分極されていない状態で前記振動板と加熱
固着する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液滴吐出ヘッドの
製造方法に関し、特に圧電素子が接合され撓み変形動作
する振動板で液体を加圧し、その液体を液滴として吐出
する液滴吐出ヘッドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、液体を加圧し、その液体を液滴と
して吐出する液滴吐出ヘッドの実用例としてインクジェ
ット記録ヘッドが知られている。インクジェット記録ヘ
ッドは、インクを加圧し、そのインクをインク滴として
ノズルから吐出し、そのインク滴を印刷用紙などの記録
媒体上に着弾させてインクのドットを形成するものであ
る。
【0003】インクジェット記録ヘッドは、インクを加
圧する方式により、サーマル方式と圧電方式に大別され
る。サーマル方式は、発熱抵抗体に通電することにより
発熱抵抗体を加熱し、発熱抵抗体に接するインクを瞬時
に沸騰させることによりバブルを発生させインクを加圧
する方式である。サーマル方式は、発熱抵抗体を半導体
技術を用いて製作することができるため、高密度化が可
能であるが、インクを瞬時に沸騰させる必要があるた
め、インク選択の自由度が狭い。
【0004】一方、圧電方式は、圧電素子の変形動作に
より体積変位を発生させてインクを加圧する方式であ
る。圧電方式はインクを加熱する必要がないためインク
選択の自由度が高く、例えば油性のインクを用いること
ができる。そのため、圧電方式は、インクジェット記録
ヘッドのみならず、液体を加圧しその液体を液滴として
吐出する液滴吐出ヘッドに適用が可能である。
【0005】このような圧電方式においてインクを加圧
する構造として、圧電素子が振動板に接合されその撓み
変形動作を利用する構造が従来から知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】圧電素子は振動板と接
着層を用いて接合され、接着層を硬化させるためには加
熱を必要とする。しかしながら圧電素子と振動板とは熱
膨張率が大きく異なるため、加熱固着後に常温に戻る
と、両者には応力が生じ信頼性の低下につながる。特に
圧電素子は圧電セラミックスでできており、機械的強度
が低く、この応力により信頼性が低下する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の液滴吐出ヘッド
の製造方法は、圧電素子が接合され撓み変形動作する振
動板で一部が構成され液体が充填された圧力室と、前記
振動板の体積変位により前記液体に圧力変化を生じさ
せ、前記圧力室に連通した開口部から前記液体を液滴と
して吐出させる液滴吐出ヘッドの製造方法であって、前
記圧電素子は分極されていない状態で前記振動板と加熱
固着し、前記圧電素子の熱膨張率をαp、前記振動板の
熱膨張率をαv、前記圧電素子と前記振動板の固着時の
常温からの温度上昇分をΔT、前記圧電素子の分極によ
り生じる残留歪をSrとした場合、Sr/((αv−α
p)*ΔT)≦1なる条件で前記圧電素子と前記振動板
とを固着することを特徴とする。
【0008】また、圧電素子が接合され撓み変形動作す
る振動板で一部が構成され液体が充填された圧力室と、
前記振動板の体積変位により前記液体に圧力変化を生じ
させ、前記圧力室に連通した開口部から前記液体を液滴
として吐出させる液滴吐出ヘッドの製造方法であって、
前記圧電素子はそのキュリー温度以上で前記振動板と固
着し、前記圧電素子の熱膨張率をαp、前記振動板の熱
膨張率をαv、前記圧電素子と前記振動板の固着時の常
温からの温度上昇分をΔT、前記圧電素子の分極により
生じる残留歪をSrとした場合、Sr/((αv−α
p)*ΔT)≦1なる条件で前記圧電素子と前記振動板
とを固着することを特徴とする。
【0009】また、圧電素子が接合され撓み変形動作す
る振動板で一部が構成され液体が充填された圧力室と、
前記振動板の体積変位により前記液体に圧力変化を生じ
させ、前記圧力室に連通した開口部から前記液体を液滴
として吐出させる液滴吐出ヘッドの製造方法であって、
前記圧電素子は分極されていない状態で前記振動板と加
熱固着し、前記圧電素子の熱膨張率をαp、前記振動板
の熱膨張率をαv、前記圧電素子と前記振動板の固着時
の常温からの温度上昇分をΔT、前記圧電素子の分極に
より生じる残留歪をSrとした場合、Sr/((αv−
αp)*ΔT)≧0.2なる条件で前記圧電素子と前記
振動板とを固着することを特徴とする。
【0010】また、圧電素子が接合され撓み変形動作す
る振動板で一部が構成され液体が充填された圧力室と、
前記振動板の体積変位により前記液体に圧力変化を生じ
させ、前記圧力室に連通した開口部から前記液体を液滴
として吐出させる液滴吐出ヘッドの製造方法であって、
前記圧電素子はそのキュリー温度以上で前記振動板と固
着し、前記圧電素子の熱膨張率をαp、前記振動板の熱
膨張率をαv、前記圧電素子と前記振動板の固着時の常
温からの温度上昇分をΔT、前記圧電素子の分極により
生じる残留歪をSrとした場合、Sr/((αv−α
p)*ΔT)≧0.2なる条件で前記圧電素子と前記振
動板とを固着することを特徴とする。
【0011】また、圧電素子が接合され撓み変形動作す
る振動板で一部が構成され液体が充填された圧力室と、
前記振動板の体積変位により前記液体に圧力変化を生じ
させ、前記圧力室に連通した開口部から前記液体を液滴
として吐出させる液滴吐出ヘッドの製造方法であって、
前記圧電素子は分極されていない状態で前記振動板と加
熱固着し、前記圧電素子の熱膨張率をαp、前記振動板
の熱膨張率をαv、前記圧電素子と前記振動板の固着時
の常温からの温度上昇分をΔT、前記圧電素子の分極に
より生じる残留歪をSrとした場合、0.2≦Sr/
((αv−αp)*ΔT)≦1なる条件で前記圧電素子
と前記振動板とを固着することを特徴とする。
【0012】また、圧電素子が接合され撓み変形動作す
る振動板で一部が構成され液体が充填された圧力室と、
前記振動板の体積変位により前記液体に圧力変化を生じ
させ、前記圧力室に連通した開口部から前記液体を液滴
として吐出させる液滴吐出ヘッドの製造方法であって、
前記圧電素子はそのキュリー温度以上で前記振動板と固
着し、前記圧電素子の熱膨張率をαp、前記振動板の熱
膨張率をαv、前記圧電素子と前記振動板の固着時の常
温からの温度上昇分をΔT、前記圧電素子の分極により
生じる残留歪をSrとした場合、0.2≦Sr/((α
v−αp)*ΔT)≦1なる条件で前記圧電素子と前記
振動板とを固着することを特徴とする。
【0013】また、圧電素子が接合され撓み変形動作す
る振動板で一部が構成され液体が充填された圧力室と、
前記振動板の体積変位により前記液体に圧力変化を生じ
させ、前記圧力室に連通した開口部から前記液体を液滴
として吐出させる液滴吐出ヘッドの製造方法であって、
前記圧電素子をキュリー温度以上に加熱して分極を消去
する分極消去工程と、前記圧電素子と前記振動板とを接
着剤を用いて加熱固着させる加熱固着工程とを有し、前
記加熱固着の条件を、前記圧電素子の熱膨張率をαp、
前記振動板の熱膨張率をαv、前記圧電素子と前記振動
板の固着時の常温からの温度上昇分をΔT、前記圧電素
子の分極により生じる残留歪をSrとした場合、Sr/
((αv−αp)*ΔT)≦1とすることを特徴とす
る。
【0014】また、圧電素子が接合され撓み変形動作す
る振動板で一部が構成され液体が充填された圧力室と、
前記振動板の体積変位により前記液体に圧力変化を生じ
させ、前記圧力室に連通した開口部から前記液体を液滴
として吐出させる液滴吐出ヘッドの製造方法であって、
前記圧電素子のキュリー温度以上に加熱して前記圧電素
子と前記振動板とを固着させるキュリー温度加熱固着工
程を有し、前記加熱固着の条件を、前記圧電素子の熱膨
張率をαp、前記振動板の熱膨張率をαv、前記圧電素
子と前記振動板の固着時の常温からの温度上昇分をΔ
T、前記圧電素子の分極により生じる残留歪をSrとし
た場合、Sr/((αv−αp)*ΔT)≦1とするこ
とを特徴とする。
【0015】また、圧電素子が接合され撓み変形動作す
る振動板で一部が構成され液体が充填された圧力室と、
前記振動板の体積変位により前記液体に圧力変化を生じ
させ、前記圧力室に連通した開口部から前記液体を液滴
として吐出させる液滴吐出ヘッドの製造方法であって、
前記圧電素子をキュリー温度以上に加熱して分極を消去
する分極消去工程と、前記圧電素子と前記振動板とを接
着剤を用いて加熱固着させる加熱固着工程とを有し、前
記加熱固着の条件を、前記圧電素子の熱膨張率をαp、
前記振動板の熱膨張率をαv、前記圧電素子と前記振動
板の固着時の常温からの温度上昇分をΔT、前記圧電素
子の分極により生じる残留歪をSrとした場合、Sr/
((αv−αp)*ΔT)≧0.2とすることを特徴と
する。
【0016】また、圧電素子が接合され撓み変形動作す
る振動板で一部が構成され液体が充填された圧力室と、
前記振動板の体積変位により前記液体に圧力変化を生じ
させ、前記圧力室に連通した開口部から前記液体を液滴
として吐出させる液滴吐出ヘッドの製造方法であって、
前記圧電素子のキュリー温度以上に加熱して前記圧電素
子と前記振動板とを固着させるキュリー温度加熱固着工
程を有し、前記加熱固着の条件を、前記圧電素子の熱膨
張率をαp、前記振動板の熱膨張率をαv、前記圧電素
子と前記振動板の固着時の常温からの温度上昇分をΔ
T、前記圧電素子の分極により生じる残留歪をSrとし
た場合、Sr/((αv−αp)*ΔT)≧0.2とす
ることを特徴とする。
【0017】また、圧電素子が接合され撓み変形動作す
る振動板で一部が構成され液体が充填された圧力室と、
前記振動板の体積変位により前記液体に圧力変化を生じ
させ、前記圧力室に連通した開口部から前記液体を液滴
として吐出させる液滴吐出ヘッドの製造方法であって、
前記圧電素子をキュリー温度以上に加熱して分極を消去
する分極消去工程と、前記圧電素子と前記振動板とを接
着剤を用いて加熱固着させる加熱固着工程とを有し、前
記加熱固着の条件を、前記圧電素子の熱膨張率をαp、
前記振動板の熱膨張率をαv、前記圧電素子と前記振動
板の固着時の常温からの温度上昇分をΔT、前記圧電素
子の分極により生じる残留歪をSrとした場合、0.2
≦Sr/((αv−αp)*ΔT)≦1とすることを特
徴とする。
【0018】また、圧電素子が接合され撓み変形動作す
る振動板で一部が構成され液体が充填された圧力室と、
前記振動板の体積変位により前記液体に圧力変化を生じ
させ、前記圧力室に連通した開口部から前記液体を液滴
として吐出させる液滴吐出ヘッドの製造方法であって、
前記圧電素子のキュリー温度以上に加熱して前記圧電素
子と前記振動板とを固着させるキュリー温度加熱固着工
程を有し、前記加熱固着の条件を、前記圧電素子の熱膨
張率をαp、前記振動板の熱膨張率をαv、前記圧電素
子と前記振動板の固着時の常温からの温度上昇分をΔ
T、前記圧電素子の分極により生じる残留歪をSrとし
た場合、0.2≦Sr/((αv−αp)*ΔT)≦1
とすることを特徴とする。
【0019】〈作用〉このような構成にすると、圧電素
子に生じる応力が低減されて信頼性が大幅に向上する。
【0020】
【発明の実施の形態】〈第1の実施形態〉次に、本発明
の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0021】図1は、本発明の第1の実施形態であるイ
ンクジェット記録ヘッドの基本構成を示す断面図であ
る。図1を参照すると、本発明の第1の実施形態は、イ
ンクを吐出するノズル1と、そのノズル1と連通しイン
クを加圧する圧力室2と、その圧力室2に連通しインク
を供給するインク供給口3を有し、ノズル1と圧力室2
とインク供給口3は図1の紙面垂直方向に複数配列して
おり、それらは一つのインクプール4にインク供給口3
によって連通されている。圧力室2の上面は圧電素子5
が接合された振動板6で構成されている。圧電素子5の
上面及び下面には電極(図示せず)が薄く形成され、圧
電素子5は厚さ方向(図1の上下方向)に分極されてい
る。インク(図示せず)は、ノズル1、圧力室2、イン
ク供給口3及びインクプール4に充填されている。
【0022】インク吐出時(駆動時)は、圧電素子5の
上面及び下面に形成された電極(図示せず)間に分極と
同じ向きに電圧を印加すると、図2に示すように、圧電
素子5は矢印aの向きに収縮動作を行い、圧電素子5の
軸心は振動板6の軸心に対して平行に偏倚しているた
め、圧電素子5と振動板6には曲げモーメントが生じ、
圧電素子5と振動板6は撓み変形動作を行う。この振動
板6の撓み変形による体積変位でもって圧力室2の中の
インクが圧縮され、圧力室2に連通したノズル1からイ
ンク滴7を吐出することができる。圧電素子5への印加
電圧を元に戻すと、圧電素子5及び振動板6は元の状態
(図1)に戻り、インクがインク供給口3を通してイン
クプール4から補給される。
【0023】本発明の第1の実施形態の製造工程を図3
に示す。流路アセンブリ工程12では、ノズル1となる
部分が穿孔加工されたノズルプレート8と、インクプー
ル4となる部分が穿孔加工されたインクプールプレート
9と、インク供給口3となる部分が穿孔加工されたイン
ク供給口プレート10と、圧力室2となる部分が穿孔加
工された圧力室プレート11とを接着剤により積層接合
し、流路アセンブリを作製した。ノズル1はプレス加工
にて形成し、インクプール4となる部分、インク供給口
3となる部分、圧力室2となる部分はエッチングにより
形成した。また材料はステンレスを用いた。
【0024】アクチュエータアセンブリ工程13では、
圧電素子5の上下面に電極を形成する電極形成工程14
と、その圧電素子5をそのキュリー温度以上に加熱し圧
電素子5の分極を消去する分極消去工程15と、そして
その圧電素子5と振動板6とを接着剤を用いて加熱固着
させる加熱固着工程16により、アクチュエータアセン
ブリを作製する。振動板6はステンレスを用いている。
【0025】ヘッドアセンブリ工程17では、流路アセ
ンブリ工程12を経た流路アセンブリとアクチュエータ
アセンブリ工程13を経たアクチュエータアセンブリと
を接合しヘッドを作製した。分極工程18では、圧電素
子5に所定の電圧を印加して分極処理を行う。
【0026】インクジェット記録ヘッドにおいては、圧
電素子5と振動板6との接合は高い強度が要求されてお
り、両者の接合はエポキシ系接着剤やポリイミド系接着
剤などの熱硬化型接着剤が用いられる。圧電素子5と振
動板6の固着が、常温よりも温度が高い状態で行われる
と、圧電素子5と振動板6では熱膨張率が異なるため、
常温に戻った状態では、圧電素子5と振動板6には曲げ
モーメントが生じ、両者は撓んだ状態になり、応力が生
じる。
【0027】本発明は、このような圧電素子5と振動板
6との間の熱膨張率の差に起因して生じる圧電素子5の
応力を、圧電素子5の分極により発生する残留歪を利用
して低減し、信頼性を向上させるものである。
【0028】ここで圧電素子の特性について説明する。
図4に示すような上下面に電極19が形成された板状の
未分極状態の圧電素子20に、電極19を通じて電界を
印加した場合の圧電素子20の長さ方向Lの歪を図5に
示す。初期状態(未分極状態)を原点Oとして、電界を
上昇させていくと、圧電素子20の長さLは縮んでいき
その歪は点Aで飽和する。そこから電界を元に戻してい
くと歪は減少していくが、電界を0にしても残留歪Sr
が残る(点B)。この状態が分極された状態である。そ
して、点Bから再び電界を上昇させると点Cに向かって
歪が増加していき、電界を戻すと点Bに向かっていく。
分極後は、点Bと点Cの間を往復することになる。ま
た、圧電素子はそのキュリー温度以上に加熱すると分極
は消去され、点Oの状態に戻る。
【0029】振動板6が金属材料、樹脂材料、シリコン
などの場合、振動板6の方が圧電素子5よりも熱膨張率
が大きいため、加熱固着後に常温に戻ると、振動板6の
方が圧電素子5よりもより縮もうとして、両者には曲げ
モーメントが生じ、両者は圧力室2とは反対側(圧電素
子5側)に撓んだ状態(凸状)になる。しかしながら、
分極工程18にて圧電素子5を分極処理することにより
圧電素子5は縮む向きの残留歪が生じるため、熱膨張率
の差に起因する撓みは低減される。その結果、圧電素子
5に生じる応力が緩和され信頼性が向上する。
【0030】従来の場合、圧電素子に分極が存在する状
態で圧電素子と振動板を加熱固着させていたため、本発
明のような圧電素子の分極処理に基づく残留歪による応
力緩和効果は無い。
【0031】〈第2の実施形態〉本発明の第2の実施形
態の製造工程を図6に示す。図3の第1の実施形態の製
造工程との違いは、分極消去工程15と加熱固着工程1
6の替わりに、圧電素子5のキュリー温度以上に加熱し
て圧電素子5と振動板6を固着させるキュリー温度加熱
固着工程21を適用した点である。圧電素子5と振動板
6の固着温度を圧電素子5のキュリー温度以上に設定す
ることにより、固着工程で同時に分極消去が行え工程を
短縮できる利点がある。
【0032】ここで、圧電素子5は圧電セラミックスで
できており、特に引張応力に弱いので、圧電素子5に引
張応力が生じないようにするために、圧電素子5の熱膨
張率をαp、振動板6の熱膨張率をαv、圧電素子5と
振動板6の固着時の常温からの温度上昇分をΔT、圧電
素子5の分極により生じる残留歪をSrとした場合、S
r/((αv−αp)*ΔT)≦1なる条件で圧電素子
5と振動板6を固着することが望ましい。
【0033】また、Sr/((αv−αp)*ΔT)で
求まる値は、圧電素子5の残留歪による応力低減への貢
献度を示すパラメータであり、1以下の範囲ではこれが
大きいほど応力低減効果が大きい。図7に、パラメータ
を変えて寿命を評価した結果を示す。残留歪による寿命
の優位性が確認できたものに○印を付けてある。△印は
ばらつきなどの影響により優位性が確認できなかったも
のである。Sr/((αv−αp)*ΔT)≧0.2な
る条件においては、寿命の優位性が確認でき、その効果
が大きいことがわかった。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
圧電素子に生じる応力が低減されて信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るインクジェット
記録ヘッドの基本構成を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るインクジェット
記録ヘッドのインク滴の吐出動作を示す断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るインクジェット
記録ヘッドの製造工程を示す図である。
【図4】圧電素子を示す図である。
【図5】圧電素子の特性を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るインクジェット
記録ヘッドの製造工程を示す図である。
【図7】本発明の実験結果を示す図である。
【符号の説明】
1 ノズル 2 圧力室 3 インク供給口 4 インクプール 5 圧電素子 6 振動板 7 インク滴 8 ノズルプレート 9 インクプールプレート 10 インク供給口プレート 11 圧力室プレート 12 流路アセンブリ工程 13 アクチュエータアセンブリ工程 14 電極形成工程 15 分極消去工程 16 加熱固着工程 17 ヘッドアセンブリ工程 18 分極工程 19 電極 20 圧電素子 21 キュリー温度加熱固着工程

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧電素子が接合され撓み変形動作する振
    動板で一部が構成され液体が充填された圧力室と、前記
    振動板の体積変位により前記液体に圧力変化を生じさ
    せ、前記圧力室に連通した開口部から前記液体を液滴と
    して吐出させる液滴吐出ヘッドの製造方法であって、前
    記圧電素子は分極されていない状態で前記振動板と加熱
    固着し、前記圧電素子の熱膨張率をαp、前記振動板の
    熱膨張率をαv、前記圧電素子と前記振動板の固着時の
    常温からの温度上昇分をΔT、前記圧電素子の分極によ
    り生じる残留歪をSrとした場合、Sr/((αv−α
    p)*ΔT)≦1なる条件で前記圧電素子と前記振動板
    とを固着することを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 圧電素子が接合され撓み変形動作する振
    動板で一部が構成され液体が充填された圧力室と、前記
    振動板の体積変位により前記液体に圧力変化を生じさ
    せ、前記圧力室に連通した開口部から前記液体を液滴と
    して吐出させる液滴吐出ヘッドの製造方法であって、前
    記圧電素子はそのキュリー温度以上で前記振動板と固着
    し、前記圧電素子の熱膨張率をαp、前記振動板の熱膨
    張率をαv、前記圧電素子と前記振動板の固着時の常温
    からの温度上昇分をΔT、前記圧電素子の分極により生
    じる残留歪をSrとした場合、Sr/((αv−αp)
    *ΔT)≦1なる条件で前記圧電素子と前記振動板とを
    固着することを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
  3. 【請求項3】 圧電素子が接合され撓み変形動作する振
    動板で一部が構成され液体が充填された圧力室と、前記
    振動板の体積変位により前記液体に圧力変化を生じさ
    せ、前記圧力室に連通した開口部から前記液体を液滴と
    して吐出させる液滴吐出ヘッドの製造方法であって、前
    記圧電素子は分極されていない状態で前記振動板と加熱
    固着し、前記圧電素子の熱膨張率をαp、前記振動板の
    熱膨張率をαv、前記圧電素子と前記振動板の固着時の
    常温からの温度上昇分をΔT、前記圧電素子の分極によ
    り生じる残留歪をSrとした場合、Sr/((αv−α
    p)*ΔT)≧0.2なる条件で前記圧電素子と前記振
    動板とを固着することを特徴とする液滴吐出ヘッドの製
    造方法。
  4. 【請求項4】 圧電素子が接合され撓み変形動作する振
    動板で一部が構成され液体が充填された圧力室と、前記
    振動板の体積変位により前記液体に圧力変化を生じさ
    せ、前記圧力室に連通した開口部から前記液体を液滴と
    して吐出させる液滴吐出ヘッドの製造方法であって、前
    記圧電素子はそのキュリー温度以上で前記振動板と固着
    し、前記圧電素子の熱膨張率をαp、前記振動板の熱膨
    張率をαv、前記圧電素子と前記振動板の固着時の常温
    からの温度上昇分をΔT、前記圧電素子の分極により生
    じる残留歪をSrとした場合、Sr/((αv−αp)
    *ΔT)≧0.2なる条件で前記圧電素子と前記振動板
    とを固着することを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方
    法。
  5. 【請求項5】 圧電素子が接合され撓み変形動作する振
    動板で一部が構成され液体が充填された圧力室と、前記
    振動板の体積変位により前記液体に圧力変化を生じさ
    せ、前記圧力室に連通した開口部から前記液体を液滴と
    して吐出させる液滴吐出ヘッドの製造方法であって、前
    記圧電素子は分極されていない状態で前記振動板と加熱
    固着し、前記圧電素子の熱膨張率をαp、前記振動板の
    熱膨張率をαv、前記圧電素子と前記振動板の固着時の
    常温からの温度上昇分をΔT、前記圧電素子の分極によ
    り生じる残留歪をSrとした場合、0.2≦Sr/
    ((αv−αp)*ΔT)≦1なる条件で前記圧電素子
    と前記振動板とを固着することを特徴とする液滴吐出ヘ
    ッドの製造方法。
  6. 【請求項6】 圧電素子が接合され撓み変形動作する振
    動板で一部が構成され液体が充填された圧力室と、前記
    振動板の体積変位により前記液体に圧力変化を生じさ
    せ、前記圧力室に連通した開口部から前記液体を液滴と
    して吐出させる液滴吐出ヘッドの製造方法であって、前
    記圧電素子はそのキュリー温度以上で前記振動板と固着
    し、前記圧電素子の熱膨張率をαp、前記振動板の熱膨
    張率をαv、前記圧電素子と前記振動板の固着時の常温
    からの温度上昇分をΔT、前記圧電素子の分極により生
    じる残留歪をSrとした場合、0.2≦Sr/((αv
    −αp)*ΔT)≦1なる条件で前記圧電素子と前記振
    動板とを固着することを特徴とする液滴吐出ヘッドの製
    造方法。
  7. 【請求項7】 圧電素子が接合され撓み変形動作する振
    動板で一部が構成され液体が充填された圧力室と、前記
    振動板の体積変位により前記液体に圧力変化を生じさ
    せ、前記圧力室に連通した開口部から前記液体を液滴と
    して吐出させる液滴吐出ヘッドの製造方法であって、前
    記圧電素子をキュリー温度以上に加熱して分極を消去す
    る分極消去工程と、前記圧電素子と前記振動板とを接着
    剤を用いて加熱固着させる加熱固着工程とを有し、前記
    加熱固着の条件を、前記圧電素子の熱膨張率をαp、前
    記振動板の熱膨張率をαv、前記圧電素子と前記振動板
    の固着時の常温からの温度上昇分をΔT、前記圧電素子
    の分極により生じる残留歪をSrとした場合、Sr/
    ((αv−αp)*ΔT)≦1とすることを特徴とする
    液滴吐出ヘッドの製造方法。
  8. 【請求項8】 圧電素子が接合され撓み変形動作する振
    動板で一部が構成され液体が充填された圧力室と、前記
    振動板の体積変位により前記液体に圧力変化を生じさ
    せ、前記圧力室に連通した開口部から前記液体を液滴と
    して吐出させる液滴吐出ヘッドの製造方法であって、前
    記圧電素子のキュリー温度以上に加熱して前記圧電素子
    と前記振動板とを固着させるキュリー温度加熱固着工程
    を有し、前記加熱固着の条件を、前記圧電素子の熱膨張
    率をαp、前記振動板の熱膨張率をαv、前記圧電素子
    と前記振動板の固着時の常温からの温度上昇分をΔT、
    前記圧電素子の分極により生じる残留歪をSrとした場
    合、Sr/((αv−αp)*ΔT)≦1とすることを
    特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
  9. 【請求項9】 圧電素子が接合され撓み変形動作する振
    動板で一部が構成され液体が充填された圧力室と、前記
    振動板の体積変位により前記液体に圧力変化を生じさ
    せ、前記圧力室に連通した開口部から前記液体を液滴と
    して吐出させる液滴吐出ヘッドの製造方法であって、前
    記圧電素子をキュリー温度以上に加熱して分極を消去す
    る分極消去工程と、前記圧電素子と前記振動板とを接着
    剤を用いて加熱固着させる加熱固着工程とを有し、前記
    加熱固着の条件を、前記圧電素子の熱膨張率をαp、前
    記振動板の熱膨張率をαv、前記圧電素子と前記振動板
    の固着時の常温からの温度上昇分をΔT、前記圧電素子
    の分極により生じる残留歪をSrとした場合、Sr/
    ((αv−αp)*ΔT)≧0.2とすることを特徴と
    する液滴吐出ヘッドの製造方法。
  10. 【請求項10】 圧電素子が接合され撓み変形動作する
    振動板で一部が構成され液体が充填された圧力室と、前
    記振動板の体積変位により前記液体に圧力変化を生じさ
    せ、前記圧力室に連通した開口部から前記液体を液滴と
    して吐出させる液滴吐出ヘッドの製造方法であって、前
    記圧電素子のキュリー温度以上に加熱して前記圧電素子
    と前記振動板とを固着させるキュリー温度加熱固着工程
    を有し、前記加熱固着の条件を、前記圧電素子の熱膨張
    率をαp、前記振動板の熱膨張率をαv、前記圧電素子
    と前記振動板の固着時の常温からの温度上昇分をΔT、
    前記圧電素子の分極により生じる残留歪をSrとした場
    合、Sr/((αv−αp)*ΔT)≧0.2とするこ
    とを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
  11. 【請求項11】 圧電素子が接合され撓み変形動作する
    振動板で一部が構成され液体が充填された圧力室と、前
    記振動板の体積変位により前記液体に圧力変化を生じさ
    せ、前記圧力室に連通した開口部から前記液体を液滴と
    して吐出させる液滴吐出ヘッドの製造方法であって、前
    記圧電素子をキュリー温度以上に加熱して分極を消去す
    る分極消去工程と、前記圧電素子と前記振動板とを接着
    剤を用いて加熱固着させる加熱固着工程とを有し、前記
    加熱固着の条件を、前記圧電素子の熱膨張率をαp、前
    記振動板の熱膨張率をαv、前記圧電素子と前記振動板
    の固着時の常温からの温度上昇分をΔT、前記圧電素子
    の分極により生じる残留歪をSrとした場合、0.2≦
    Sr/((αv−αp)*ΔT)≦1とすることを特徴
    とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
  12. 【請求項12】 圧電素子が接合され撓み変形動作する
    振動板で一部が構成され液体が充填された圧力室と、前
    記振動板の体積変位により前記液体に圧力変化を生じさ
    せ、前記圧力室に連通した開口部から前記液体を液滴と
    して吐出させる液滴吐出ヘッドの製造方法であって、前
    記圧電素子のキュリー温度以上に加熱して前記圧電素子
    と前記振動板とを固着させるキュリー温度加熱固着工程
    を有し、前記加熱固着の条件を、前記圧電素子の熱膨張
    率をαp、前記振動板の熱膨張率をαv、前記圧電素子
    と前記振動板の固着時の常温からの温度上昇分をΔT、
    前記圧電素子の分極により生じる残留歪をSrとした場
    合、0.2≦Sr/((αv−αp)*ΔT)≦1とす
    ることを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
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