JP2003136495A - 半導体マイクロアクチュエータ及びこれを用いたマイクロバルブ、マイクロリレー - Google Patents

半導体マイクロアクチュエータ及びこれを用いたマイクロバルブ、マイクロリレー

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JP2003136495A
JP2003136495A JP2001335824A JP2001335824A JP2003136495A JP 2003136495 A JP2003136495 A JP 2003136495A JP 2001335824 A JP2001335824 A JP 2001335824A JP 2001335824 A JP2001335824 A JP 2001335824A JP 2003136495 A JP2003136495 A JP 2003136495A
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semiconductor
frame
semiconductor microactuator
valve
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JP2001335824A
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Hiroshi Kawada
裕志 河田
Shigeaki Tomonari
恵昭 友成
Hitoshi Yoshida
仁 吉田
Masaari Kamakura
將有 鎌倉
Kazuji Yoshida
和司 吉田
Kimiaki Saito
公昭 齊藤
Keiko Kawahito
圭子 川人
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Panasonic Electric Works Co Ltd
Original Assignee
Matsushita Electric Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 周囲温度に対する可動子の位置変化を低減し
て制御性能を向上させた半導体マイクロアクチュエータ
を提供すること。 【解決手段】 半導体基板により形成した枠状のフレー
ム1と、フレーム1より内方に突設して温度変化により
可撓する可撓部2と、可撓部2の一端に連設してフレー
ムの開口面と直交する方向に相対的に変位する可動子3
とを備えた半導体マイクロアクチュエータ。周囲温度に
よる可動子3の変位量を相殺する位置補正手段4を備え
ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、温度変化による可
撓部の撓みを利用して可動子の変位を得る半導体マイク
ロアクチュエータ及びこれを用いたマイクロバルブ、マ
イクロリレーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種の半導体マイクロアクチュエータ
として、バイメタルを利用して可動子の変位を行うもの
が存在する。このバイメタルは、熱膨張係数の異なる少
なくとも2つの材料を貼り合わせて、熱膨張係数の大き
い材料の伸長率と熱膨張係数の小さい材料の伸長率が異
なることを利用して、結果的に、熱膨張係数の大きい材
料が伸びて熱膨張係数の小さい材料が縮むように湾曲す
る駆動力を得るものである。
【0003】その具体的なものとしては、図9に示す、
特願2001−013656に提案されている構造のも
のが知られている。このものは、シリコン半導体基板よ
り形成された略四角形のフレーム100に、熱絶縁部1
03aを介してフレーム100から突設したバイメタル
構造をなす可撓部101と、可撓部101から熱絶縁部
103bを介してシリコン半導体基板により形成された
塊状の可動子102が連設されている。また、この可撓
部101は、加熱手段101aを有してシリコンよりな
る薄肉状の梁101bと、梁101b上に設けたシリコ
ンより熱膨張係数の大きい薄膜101cにより構成され
ている。さらに、加熱手段101aは、フレーム100
上に設けられた電極104及び配線105と接続されて
いる。
【0004】上記構成の半導体マイクロアクチュエータ
によれば、電極104を通して加熱手段101aに電力
を供給すると、加熱手段101aが発熱して可撓部10
1の温度が上昇する。このとき、薄膜101cは梁10
1bより熱膨張係数が大きいため、相対的に梁101b
より大きく伸長する。したがって、可撓部101は下方
向(図9の下側)に撓み、可動子102を下方向に変位
させることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このような
半導体マイクロアクチュエータにおいては、加熱手段1
01aを発熱させていない状態にも関わらず、周囲温度
が変化するとその温度差分だけ可撓部101が撓んでし
まい、結果的に、可動子102の初期位置(電力を供給
していない時における可動子102の位置)が変化して
しまう。例えば、可撓部101を構成する梁101bが
ケイ素(Si)で薄膜101cがニッケル(Ni)の場
合、その熱膨張係数は、ケイ素が2.6×10−6/
K、ニッケルが13.4×10−6/Kであるため、梁
101bと薄膜101cとの間には約5倍の膨張係数差
が生じる。このとき、例えば、可撓部101の長さを
2.5mmとすると、周囲温度が1K変化した場合、可
動子102は約1μm下方向に変位してしまう。このよ
うに、可動子102の初期位置が変化すると、所定の作
用点に加わる力が変動することになり、例えば、これを
応用した半導体マイクロバルブにおいては、流体の制御
にばらつきが生じたり、最悪の場合は可撓部101が破
損したりする。
【0006】本発明は、上記の点に鑑みてなしたもので
あり、その目的とするところは、周囲温度の変化に対す
る可動子の位置変化を低減して制御性能を向上させた半
導体マイクロアクチュエータを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係る発明の半導体マイクロアクチュエー
タは、半導体基板により形成した枠状のフレームと、フ
レームより内方に突設して温度変化により撓む可撓部
と、可撓部の一端に連設してフレームの開口面と直交す
る方向に相対的に変位する可動子と、を備えた半導体マ
イクロアクチュエータであって、周囲温度の変化による
可動子の変位量を相殺する位置補正手段を備えたことを
特徴としている。
【0008】請求項2に係る発明の半導体マイクロアク
チュエータは、請求項1記載の構成において、前記位置
補正手段を、前記フレームの設置面との相対角度を変化
させる手段としている。
【0009】請求項3に係る発明の半導体マイクロアク
チュエータは、請求項1記載の構成において、前記位置
補正手段を、前記フレームの設置面との相対距離を変化
させる手段としている。
【0010】請求項4に係る発明の半導体マイクロアク
チュエータは、請求項1乃至3のいずれかに記載の構成
において、前記位置補正手段をバイメタルよりなるもの
としている。
【0011】請求項5に係る発明の半導体マイクロアク
チュエータは、請求項1乃至3のいずれかに記載の構成
において、前記位置補正手段を熱可塑性材料よりなるも
のとしている。
【0012】請求項6に係る発明の半導体マイクロアク
チュエータは、請求項1乃至3記載の構成において、前
記位置補正手段は、形状記憶材料及び弾性体よりなるも
のとしている。
【0013】請求項7に係る発明は、請求項1乃至6の
いずれかに記載の構成の半導体マイクロアクチュエータ
と、流体の流入口となる弁口を有して前記可動子の変位
方向に設けた弁座と、を備えた半導体マイクロバルブで
ある。
【0014】請求項8に係る発明は、請求項7記載の構
成において、前記弁口を開閉する弁蓋を有して前記弁座
上に固着した中間弁体を少なくとも1つ以上設けたもの
である。
【0015】請求項9に係る発明は、可動接点を前記可
動子に設けた請求項1乃至6のいずれかに記載の半導体
マイクロアクチュエータと、可動接点と相対する位置に
固定電極を有して前記可動子の変位方向に設けた基体
と、を備えた半導体マイクロリレーである。
【0016】請求項10に係る発明は、請求項1乃至6
のいずれかに記載の半導体マイクロアクチュエータと、
可動接点を設けた弁蓋を有して前記可動子の変位方向に
設けた中間弁体と、可動接点と相対する位置に固定電極
を有して中間弁体に固着した基体と、を備えた半導体マ
イクロリレーである。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づき説明する。
【0018】[第1の実施形態]図1は、本実施形態に
係る半導体マイクロアクチュエータを中央で切断した断
面斜視図であり、図2は、その動作図である。
【0019】この半導体マイクロアクチュエータは、フ
レーム1と、可撓部2と、可動子3と、位置補正手段4
とを主要構成要素としている。
【0020】フレーム1は、例えば、シリコン等よりな
る半導体基板により形成しており、その形状は平面視に
おいて略四角形をなす枠体を構成している。また、その
断面形状は、枠の内壁が2つの面にて構成された略五角
形をなしている。また、フレーム1上には、例えば、ア
ルミニウム(Al)よりなる電極12と配線13が設け
られており、後述する加熱手段24と電気的に接続して
いる。
【0021】可撓部2は、例えば、シリコン等よりなる
薄肉状の梁21と、梁21に載設して梁21より熱膨張
係数の大きい、例えば、ニッケル等よりなる薄膜22に
より構成されている。そして、高剛性かつ低熱伝導な材
料、例えば、ポリイミド等よりなる熱絶縁部23aを介
してフレーム1の一方の短辺11aの中央付近から他方
の短辺11bに向かって突設し、短辺11aに片持ち支
持されている。また、その他端には、同じくポリイミド
等よりなる熱絶縁部23bを連設している。また、梁2
1の上面(図1の上方向)には、半導体加工技術等を利
用して形成した拡散抵抗による加熱手段24を埋設して
いる。
【0022】可動子3は、例えば、シリコン等よりなる
半導体基板により形成しており、その形状は断面視にお
いて逆台形をなす塊状体である。そして、熱絶縁部23
bを介して可撓部2と連設し、フレーム1と同一平面の
中央付近に位置している。
【0023】位置補正手段4は、例えば、シリコン薄片
4aとニッケル薄片4b等のようなそれぞれの熱膨張係
数が異なる部材を合わせて構成されたバイメタルにより
形成しており、その形状は略四角形の平板状をなしてい
る。また、その大きさは、幅(図1の奥行き方向)にお
いては短辺11aと同程度であり、高さ(図1の上下方
向)と厚さ(図1の左右方向)においては、バイメタル
特性(撓み特性)と可動子3の変位量との関係から設定
されている。そして、シリコン薄片4aとニッケル薄片
4bは、筐体(図示せず)に対して垂直に位置するよう
に、例えば、エポキシ樹脂の接着剤等により筐体に固着
されている。一方、筐体に固着した側とは反対側の熱膨
張係数の大きい部材側(本実施形態においてはニッケル
薄片4b側)周縁部における所定の位置には、短辺11
aの外縁側部を、例えば、シリコーン樹脂の接着剤等に
より固着しており、フレーム1を筐体に対して平行にな
るように支持している。
【0024】さらに、図2を用いて位置補正手段4の詳
細を説明する。まず、基準温度における可動子3と作用
点Aとの距離をHとする(図2(a))。周囲温度が基
準温度から上昇すると、可撓部2を構成する部材の熱膨
張係数の差により、その上昇温度に応じて薄膜22は梁
21より伸長して可撓部2は筐体方向(図2の下方向)
に撓む。そして、結果的に、可動子3と作用点Aとの距
離は縮まり、その距離はh(h<H)になる(図2
(b))。しかし、フレーム1は、可動子3が周囲温度
の変化により筐体方向に変位するのと同時に、位置補正
手段4のバイメタル特性により位置補正手段4と筐体
(図示せず)との固着部Fを支点として揺動的に変位す
る。その結果、短辺11bが短辺11aより上方に変位
し、その変位と連動して可動子3は筐体方向とは反対方
向に変位することにより、周囲温度が基準温度より上昇
したことによって変位した可動子3の変位量を相殺する
(図2(c))。
【0025】この位置補正手段4は、バイメタルを構成
する部材の材質や大きさ等を変化させることによりバイ
メタル特性による補正量を調整することができる。した
がって、温度変化による可動子3の変位量を予め計測し
ておき、その変位量と補正量が一致するように位置補正
手段4を設計することにより、可動子3と作用点Aとの
距離を常に一定にすることが可能となるのである。
【0026】次に、その製造方法について説明する。
【0027】まず、後に可撓部2を構成する薄肉状の梁
21となる部位の、半導体基板上面にホウ素(B+)を
注入して不純物拡散抵抗からなる加熱手段24を形成す
る。次いで、半導体基板下面の中央付近(後に可動子3
となる部位)及びフレーム1を除いた略四角環状の部位
にダイヤフラム部(後に梁21となる部位のみを残して
消滅する)を形成する。次いで、半導体基板上面の、後
に梁21となる部位とフレーム1との間及び梁21と、
後に可動子3となる部位との間に異方性エッチングを施
して溝を形成する。次いで、フレーム1の半導体基板上
面にアルミニウム(Al)を堆積して電極12と、電極
12から溝を横断して加熱手段24に至るまでの間に配
線13を形成する。次いで、溝にポリイミドを堆積して
熱絶縁部23a、23bを形成した後、後に梁21とな
る部位にニッケル(Ni)よりなる薄膜22を堆積して
可撓部2を形成する。次いで、梁21を除く残りのダイ
ヤフラム部をエッチングし、可動子3が可撓部2により
撓むようにフレーム1から分離させる。次いで、電解メ
ッキによりシリコン薄片4aの片面にニッケル薄片4b
を設けてバイメタルよりなる位置補正手段4を形成し、
ニッケル薄片4b周縁部の所定の位置とフレーム1の短
辺11aの外縁側部とをシリコーン樹脂の接着剤により
固着して半導体マイクロアクチュエータを完成する。
【0028】そして、フレーム1が筐体に対して平行に
なるように位置補正手段4をエポキシ樹脂の接着剤によ
り筐体に固着してバルブやリレー等に応用する。
【0029】次に、その動作について説明する。
【0030】周囲温度が基準温度から上昇すると、可撓
部2を構成する部材の熱膨張係数の差により、その上昇
温度に応じて薄膜22は梁21より伸長して可撓部2は
筐体方向に撓み、結果的に、可動子3と作用点Aとの距
離は縮まる。しかし、フレーム1は、可動子3が周囲温
度の変化により筐体方向に変位するのと同時に、位置補
正手段4のバイメタル特性により位置補正手段4と筐体
(図示せず)との固着部Fを支点として揺動的に変位す
る。したがって、短辺11bが短辺11aより上方に変
位し、その変位と連動して可動子3は筐体方向とは反対
方向に変位することにより周囲温度の変化による可動子
3の変位量を相殺する。そして、加熱手段24にて可撓
部2の温度を変化させることにより、周囲温度に依存せ
ず常に一定の距離だけ可動子3を変位させることができ
る。
【0031】以上説明した半導体マイクロアクチュエー
タによると、フレーム1を位置補正手段4で支持するこ
とにより、周囲温度の変動に左右されることなく可動子
3の初期位置と作用点Aとの間の距離は一定に保持され
るので、周囲温度に対する可動子3の位置変化を低減し
て制御性能を向上することができる。また、位置補正手
段4をバイメタルとすることにより、位置補正手段4を
構成材料の材質や厚さ及び長さを変化させることにより
容易に設計することができるので、可動子3の位置変化
を高精度に補正することができる。
【0032】なお、可撓部2を構成する薄膜22は、ニ
ッケル以外に、例えば、アルミニウム等を使用しても同
様の効果が得られることは言うまでもなく、すなわち、
梁21を構成する部材より熱膨張係数が大きい部材であ
ればよい。
【0033】また、熱絶縁部23a、23bは、ポリイ
ミドに限定されるものではなく、例えば、フッ素化樹脂
等の熱伝導率の小さいものであればよい。
【0034】また、位置補正手段4を形成するバイメタ
ルは、シリコンとニッケルに限定されるものではなく、
例えば、シリコンとアルミニウム等、互いに熱膨張係数
の違う部材で構成されていれば同様の効果が得られる。
また、その大きさも最低限フレーム1を支持できる大き
さであればよく、その際の固着位置は、可動子3の機能
を妨げない範囲であれば限定されるものではない。
【0035】[第2の実施形態]図3は、本実施形態に
係る半導体マイクロアクチュエータを中央で切断した断
面斜視図である。
【0036】この半導体マイクロアクチュエータは、位
置補正手段の構成とフレームを支持する支持体を追加し
たことが第1の実施形態と異なるもので、他の構成要素
は、第1の実施形態のものと実質的に同一であるので説
明を省略する。また、同一部材においては、第1の実施
形態と同一の番号を付す。
【0037】位置補正手段41は、例えば、フッ素樹脂
等の材料により形成しており、その形状は、断面が略四
角形の棒体をなしている。また、その大きさは、幅(図
3の奥行き方向)においてはフレーム1の短辺11bと
同程度であり、高さ(図3の上下方向)においては、位
置補正手段41の熱膨張係数と可動子3の変位量との関
係から設定されている。厚さ(図2の左右方向)は短辺
11bと同程度である。そして、短辺11bの下側に、
例えば、シリコーン樹脂の接着剤等により固着されてお
り、その他端は、例えば、エポキシ樹脂の接着剤等によ
り筐体(図示せず)と固着されている。
【0038】この位置補正手段41は、基本的に以下の
2点について異なる部分がある。その1点目は、フレー
ム1の揺動的な変位の支点となる部分が、第1の実施形
態では位置補正手段4と筐体との固着部であったが、本
実施形態ではフレーム1と支持体5との固着部が支点で
あること、2点目は、揺動的な変位を与える外力が、第
1の実施形態では位置補正手段4のバイメタル特性であ
ったが、本実施形態では位置補正手段41の熱膨張特性
であるということである。その他の構成は、基本的に第
1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0039】支持体5は、例えば、ガラス等の、位置補
正手段41より熱膨張係数の小さい材料により形成され
ており、その形状は、断面が略四角形の棒体をなしてい
る。また、その大きさは、幅はフレーム1の短辺11a
と同程度であり、高さは、基準温度下で位置補正手段4
1と同程度であり、厚さは短辺11aと同程度としてい
る。そして、位置補正手段41と同様、短辺11aの下
側に、例えば、シリコーン樹脂の接着剤等により固着さ
れており、その他端は、例えば、エポキシ樹脂の接着剤
等により筐体と固着されている。
【0040】次に、その動作について説明する。
【0041】周囲温度が基準温度から上昇すると、可撓
部2を構成する部材の熱膨張係数の差により、その上昇
温度に応じて薄膜22は梁21より伸長して可撓部2は
筐体方向に撓み、結果的に、可動子3と作用点との距離
は縮まる。フレーム1は、可動子3が周囲温度の変化に
より筐体方向に変位するのと同時に、位置補正手段41
の熱膨張により位置補正手段41と筐体(図示せず)と
の固着部Fを支点として揺動的に変位する。したがっ
て、短辺11bが短辺11aより上方に変位し、その変
位と連動して可動子3は筐体方向とは反対方向に変位す
ることにより周囲温度の変化による可動子3の変位量を
相殺する。そして、加熱手段24にて可撓部2の温度を
変化させることにより、周囲温度に依存せず常に一定の
距離だけ可動子3を変位させることができる。
【0042】以上説明した半導体マイクロアクチュエー
タによると、フレーム1を位置補正手段41で支持する
ことにより、周囲温度の変動に左右されることなく可動
子3の初期位置と作用点との間の距離は一定に保持され
るので、周囲温度に対する可動子3の位置変化を低減し
て制御性能を向上することができる。また、位置補正手
段41を熱可塑性材料よりなるものとすることにより、
位置補正手段41の変形量と温度変化とは線形的な関係
になるので、位置補正手段41を構成材料の材質や長さ
を変化させることにより高精度に設計することが可能と
なり、可動子の位置変化を高精度に補正することができ
る。
【0043】なお、位置補正手段41を構成する熱可塑
性材料は、フッ素樹脂に限定されるものではなく、例え
ば、ポリアミド等、熱膨張係数が大きくて使用温度範囲
で耐熱性のある部材で構成されていればよい。また、そ
の大きさも最低限フレーム1を支持できる大きさであれ
ばよく、その際の固着位置は、可動子3の機能を妨げな
い範囲であれば限定されるものではない。
【0044】[第3の実施形態]図4は、本実施形態に
係る半導体マイクロアクチュエータを中央で切断した断
面斜視図である。
【0045】この実施形態の半導体マイクロアクチュエ
ータは、可動子を少なくとも2個の相対する可撓部によ
り両持ち支持していることと、支持体の代わりに位置補
正手段を用いてフレームを支持していることが第2の実
施形態と異なるもので、他の構成要素は、第2の実施形
態のものと実質的に同一であるので説明を省略する。ま
た、同一部材においては、第2の実施形態と同一の番号
を付す。
【0046】可撓部2、2は第2の実施形態同様、シリ
コン等よりなる薄肉状の梁21、21と、ニッケル等よ
りなる薄膜22、22により構成しており、高剛性かつ
低熱伝導な材料、例えば、ポリイミド等よりなる熱絶縁
部23a、23aを介してフレーム1の短辺11a、1
1bからそれぞれ突設して片持ち支持されている。ま
た、可撓部2、2は、熱絶縁部23b、23bを介して
フレーム1の中央に配設した可動子3を両持ち支持して
いる。また、梁21、21の上面(図4の上方向)に
は、拡散抵抗による加熱手段24、24を埋設してい
る。また、位置補正手段41、41は、フッ素樹脂等よ
りなる熱可塑性材料で形成されており、短辺11a、1
1bにシリコーン樹脂の接着剤等で固着されており、そ
の他端はエポキシ樹脂の接着剤等で筐体(図示せず)に
固着されている。
【0047】この実施形態の場合、位置補正の動作にお
いて第2の実施形態とは若干の違いが生じる。第2の実
施形態の場合には、周囲温度の変化による位置補正を行
うと、可動子3と作用点との作用角が変化してしまい、
例えば、半導体マイクロバルブや半導体マイクロリレー
等に応用すると、その作用角の変化のために高精度な制
御ができなくなるという恐れがある。しかし、本実施形
態の場合には、周囲温度が変化した際、フレーム1はそ
の変化に対して揺動的な変位をせずに、筐体に対して平
行を保ちながらその直交方向に変位する。これにより、
可動子3は作用点に対して常に同じ角度で作用すること
になる。
【0048】したがって、本実施形態の半導体マイクロ
アクチュエータによると、位置補正に伴う可動子3と作
用点との作用角の変化は、第2の実施形態の作用角の変
化と比較して低減することができるので、第2の実施形
態の効果に加えてより高精度の制御を実現することがで
きる。
【0049】[第4の実施形態]図5は、本実施形態に
係る半導体マイクロアクチュエータを中央で切断した断
面斜視図である。
【0050】この半導体マイクロアクチュエータは、位
置補正手段が第2の実施形態と異なるもので、他の構成
要素は、第2の実施形態のものと実質的に同一であるの
で説明を省略する。また、同一部材においては、第2の
実施形態と同一の番号を付す。
【0051】位置補正手段42は、例えば、チタン(T
i)とニッケルとを合成して構成した形状記憶材料42
aと、例えば、鋼板により形成した弾性体42bとを接
合して形成されており、その形状は、形状記憶材料42
aが外周を構成する半円弧状のU字型をした板バネ形状
である。また、その大きさは、幅(図5の奥行き方向)
はフレーム1の短辺11bと同程度であり、高さ(図5
の上下方向)においては位置補正手段42の形状記憶と
可動子3の変位量との関係から設定されている。また、
厚さ(図5の左右方向)は短辺11bと同程度である。
そして、短辺11bの下側に、例えば、シリコーン樹脂
の接着剤等を用いて固着されており、その他端は、例え
ば、エポキシ樹脂の接着剤等により筐体(図示せず)と
固着されている。また、形状記憶材料42aの記憶形状
は、変態温度にて弾性体42bの曲率より大きくなるよ
うに設定している。
【0052】この位置補正手段42の機能は、基準温度
が変態温度近傍にあり、且つ、変態温度より低い温度に
あるとしたとき、周囲温度が基準温度より上昇すると、
可動子3は可撓部2のバイメタル特性により変位して作
用点との距離を縮める。しかし、周囲温度は変態温度に
近づくため、形状記憶材料42aは記憶した形状に変態
しようとし、位置補正手段42の曲率を大きくする方向
に変位する。その結果、短辺11bが短辺11aより上
方に変位し、可動子3と作用点との距離を基準温度にお
ける距離に復元することができる。逆に、周囲温度が変
態温度から降下するときは、形状記憶材料42aの変態
する力が弱まるのと同時に弾性体42bの復元力が勝る
ようになり、位置補正手段42の曲率を小さくする方向
に変位して可動子3と作用点との距離を一定に保つ。
【0053】次に、その動作について説明する。
【0054】基準温度が変態温度近傍にあり、且つ変態
温度より低い温度にあるとする。周囲温度が基準温度か
ら上昇すると、可動子3は可撓部2のバイメタル特性に
より変位して作用点との距離を縮める。しかし、周囲温
度は変態温度に近づくため、形状記憶材料42aは記憶
した形状に変態しようとする。その結果、短辺11bが
短辺11aより上方に変位し、その変位と連動して可動
子3は筐体方向とは反対方向に変位することにより周囲
温度の変化による可動子3の変位量を相殺する。
【0055】以上説明した半導体マイクロアクチュエー
タによると、フレーム1を位置補正手段42で支持する
ことにより、周囲温度の変動に左右されることなく可動
子3の初期位置と作用点との間の距離は一定に保持され
るので、周囲温度に対する可動子3の位置変化を低減し
て制御性能を向上することができる。また、位置補正手
段42を形状記憶材料及び弾性体よりなるものとするこ
とにより、形状の記憶方法に応じて自由度の高い変形形
状を得ることが可能となり、バイメタルや熱可塑性材料
と比較して温度変化に対する変形量を大きくすることが
できる。
【0056】ところで、本実施形態の位置補正手段42
は、周囲温度が変態温度以下である場合に適用されるも
のである。逆に、周囲温度が変態温度以上である場合に
は、形状記憶材料42aが内周を構成する半円弧状をし
たU字型の板バネ形状にし、その記憶形状を、変態温度
にて弾性体42bの曲率より小さくなるように設定すれ
ばよい。
【0057】なお、形状記憶材料42aは、チタンとニ
ッケルで構成したものに限定されるものではなく、例え
ば、銅(Cu)と亜鉛(Zn)とアルミニウムで構成さ
れたものでもよい。また、形状においてもU字型の板バ
ネ状以外に、例えば、皿バネ状等にしても同様の効果が
得られる。さらに、その大きさも最低限フレーム1を支
持できる大きさであればよく、その際の固着位置におい
ても、可動子3としての機能を妨げない範囲であれば限
定されるものではない。
【0058】また、弾性体42bは、鋼板に限定される
ものではなく、半導体マイクロアクチュエータの使用温
度範囲内で塑性変形しない材料であればよい。
【0059】[第5の実施形態]図6は、本実施形態に
係る半導体マイクロアクチュエータを中央で切断した断
面斜視図である。
【0060】この半導体マイクロアクチュエータは、位
置補正手段が第3の実施形態と異なるもので、他の構成
要素は、第3の実施形態のものと実質的に同一であるの
で説明を省略する。また、同一部材においては、第3の
実施形態と同一の番号を付す。
【0061】位置補正手段42、42は、第4の実施形
態同様、チタンとニッケルを合成して構成した形状記憶
材料42aと、鋼板により形成した弾性体42bとを接
合して形成した半円弧状なすU字型の板バネ形状であ
り、フレーム1の短辺11a、11bにシリコーン樹脂
の接着剤等でそれぞれ固着されている。また、その他端
はエポキシ樹脂の接着剤等で筐体(図示せず)に固着さ
れている。
【0062】本実施形態の動作は、第3の実施形態と同
様であり、周囲温度が変化した際、フレーム1はその変
化に対して揺動的な変位をせずに、筐体に対して平行を
保ちながらその直交方向に変位する。こうすることによ
り、可動子3と作用点は常に同じ角度で接触する。
【0063】したがって、本実施形態で説明した半導体
マイクロアクチュエータによれば、位置補正に伴う可動
子と作用点との作用角の変化を、第4の実施形態と比較
して低減することができ、より高精度の制御を実現する
ことができる。
【0064】[第6の実施形態]図7は、本実施形態に
係る半導体マイクロバルブを中央で切断した断面斜視図
である。
【0065】この半導体マイクロバルブは、第1の実施
形態の半導体マイクロアクチュエータ(以下、実施の形
態の説明中においてはアクチュエータと称する)と、中
間弁体7と、弁座6とを主要構成要素としている。ここ
で、アクチュエータについては前述の通りであるので説
明を省略する。また、同一部材においては第1の実施形
態と同一の番号を付す。
【0066】弁座6は、例えば、シリコン等よりなる半
導体基板にて形成しており、略四角形の平板状をなして
いる。その大きさは、アクチュエータと同等若しくはよ
り小さく、位置補正手段4の動作を阻害しない範囲でア
クチュエータ下の筐体(図示せず)に載設されている。
また、後述する弁蓋71と相対する位置には、半導体基
板を貫通し下面(図7の下方向)に向かって拡開する弁
口61を形成している。その開口形状は、半導体基板の
上下面において略四角形状である。さらに、半導体基板
上面(図7の上側)の弁口61の周囲には、断面形状が
台形をなした略四角平板状の弁シート62を設けてい
る。
【0067】中間弁体7は、例えば、シリコン等よりな
る半導体基板にて形成しており、弁座6と平面視におい
て同様の大きさで略四角形の平板状をなし、弁座6に載
設している。また、可動子3と相対する位置には、可動
子3により中間弁体7が押圧されたときに、弁シート6
2に密接して弁口61を閉塞する断面形状が台形をなし
た弁蓋71が、枠部72からそれぞれ内方に突設した複
数の薄肉状の連結片73により支持されている。これに
より、枠部72と連結片73との間には開口部74が形
成される。また、弁蓋71と弁シート62との間には弁
蓋71が中間弁体7の厚み方向に変位するための隙間7
5が形成されている。
【0068】次に、弁座6及び中間弁体7の製造方法に
ついて説明する。
【0069】まず、半導体基板上面の中央付近(後に弁
口61となる部位)及び周縁部を除いた略四角環状の部
位に異方性エッチングを施して弁シート62を形成す
る。次いで、半導体基板下面の中央付近に異方性エッチ
ングを施して半導体基板の厚み方向に貫通した弁口61
を形成し、弁座6を完成する。
【0070】次いで、半導体基板下面の中央付近(後に
弁蓋71となる部位)及び枠部72を除いた略四角環状
の部位に異方性エッチングを施すことによりダイヤフラ
ム(後に消滅)と弁蓋71を形成する。そして、後に連
結片73となる位置のダイヤフラムを除いた部位にさら
に異方性エッチングを施して連結片73を形成し、中間
弁体7を完成する。
【0071】この半導体マイクロバルブによると、制御
する流体は、弁口61から流入して隙間75を経由して
開口部74を通過し、最終的にアクチュエータから排出
される。したがって、アクチュエータの加熱手段24に
より温度を上昇させて可撓部2を撓ませ、それに応じて
可動子3を弁座6方向に変位させて弁蓋71を押圧する
ことにより、弁蓋71と弁シート62との隙間75を変
化させることが可能となり流量の制御を行うことが可能
になる。
【0072】ところで、実際には制御する流体の温度や
周囲温度の変化によって可動子3の初期位置が変動す
る。これにより可動子3と弁蓋71との距離が変化して
弁蓋71の押圧力が変動し、流量の制御性能が低下する
場合が考えられる。しかし、この変動を先に説明した位
置補正手段4により補正することで常に可動子3と弁蓋
71との距離を一定に保って押圧力を均一にすることが
でき、また、弁蓋71は弁シート62に対して垂直に変
位するので接触角(作用角)は常に一定となり、流体の
温度や周囲温度の変化によらず高精度な流量制御を行う
ことができる。
【0073】なお、本実施形態では、アクチュエータ、
中間弁体7、弁座6の3層構造のものについて説明した
が、例えば、中間弁体7を取り除き、アクチュエータと
弁座6だけの2層構造のものについても応用可能である
ことは言うまでもない。この2層構造の半導体マイクロ
バルブにおいては、可動子3と弁シート62との距離
(隙間75)を一定に保つことができるので、周囲温度
の変化等によらず精度のよい流量制御を行うことができ
る。
【0074】また、アクチュエータは、第1の実施形態
に示したものに限定されるものではなく、例えば、第2
乃至5の実施形態に示したアクチュエータを使用できる
ことは言うまでもない。
【0075】[第7の実施形態]図8は、本実施形態に
係る半導体マイクロリレーを中央で切断した断面斜視図
である。
【0076】この半導体マイクロリレーは、アクチュエ
ータと、中間弁体と、基体とを主要構成要素としてい
る。ここで、アクチュエータ及び中間弁体の弁蓋以外の
部位については実質的に第6の実施形態と同様であるの
で説明を省略する。また、同一部材においては第6の実
施形態と同一の番号を付す。
【0077】弁蓋71は、基本的に第6の実施形態と同
様であるが、その下部(図8の下方向)に可動電極76
が形成されているところが相違している。この可動電極
76は、例えば、金(Au)等をメッキすることにより
形成されている。
【0078】基体8は、例えば、ガラス基板により形成
しており、略四角形の平板状をなしている。その大きさ
は、アクチュエータと同等若しくはより小さく、位置補
正手段4の動作を阻害しない範囲でアクチュエータ下の
筐体(図示せず)に載設されている。また、その上面
(図8の上方向)の可動電極76と相対する位置には、
ニッケルと銀(Ag)を蒸着することにより形成し、さ
らに表面を金によりメッキすることにより形成した固定
電極81a、81bが基体8の外縁方向に向かって併設
されている。この固定電極81a、81bは、電極パッ
ド83を通じて外部と接続されている。
【0079】この半導体マイクロリレーによると、制御
する電流は、可動電極76が可動子3の変位により固定
電極81a、81bに当接したとき、一方の電極パッド
83から入力して固定電極81aを流れ、可動電極76
を経由し、他方の固定電極81bに出力される。したが
って、加熱手段24により温度を上昇して可撓部2を撓
ませ、それに応じて可動子3を基体8方向に変位させて
弁蓋71を押圧することにより、可動電極76を固定電
極81a、81bに当接させて電路の開閉を行うことが
できる。
【0080】ところで、実際には周囲温度の変化によっ
て、可動子3の初期位置が変動する。これにより可動電
極76と固定電極81a、81bとの距離が変化して弁
蓋71の押圧力が変動し、接点圧が低下する場合が考え
られる。しかし、この変動を先に説明した位置補正手段
4により補正することで常に可動子3と弁蓋71との距
離を一定に保って押圧力を均一にすることができ、ま
た、可動電極76は固定電極81a、81bに対して垂
直に変位するので接触角は常に一定となり、周囲温度の
変化によらない開閉特性の優れたリレーが実現できる。
【0081】なお、本実施形態では、アクチュエータ、
中間弁体7、基体8の3層構造のものについて説明した
が、例えば、中間弁体7を取り除き、可動子3の下面に
可動電極76を設けたアクチュエータと基体8だけの2
層構造のものについても応用可能であることは言うまで
もない。
【0082】また、アクチュエータは、第1の実施形態
に示したものに限定されるものではなく、例えば、第2
乃至5の実施形態に示したアクチュエータを使用できる
ことは言うまでもない。
【0083】以上、本発明の複数の実施形態について説
明してきたが、位置補正手段の変位手段として、外部手
段(例えば、温度センサ等)により温度変化を検知し、
位置補正手段に新たに設けた加熱手段をその検知信号に
応じて加熱し、意図的に位置補正手段を変位させてもよ
い。
【0084】また、位置補正手段とフレームを固着する
接着剤は、シリコーン樹脂の接着剤に限定されるもので
はない。さらに、位置補正手段と筐体を固着する接着剤
においても、エポキシ樹脂の接着剤に限定されるもので
もない。
【0085】
【発明の効果】請求項1に係る発明の半導体マイクロア
クチュエータは、周囲温度の変化による可動子の変位量
を相殺する位置補正手段を備えることにより、温度変化
による可撓部の撓みと連動した可動子の変位量を相殺で
きるので、可動子の位置と作用点との間の距離を周囲温
度に関係なく一定に保持でき、周囲温度に対する可動子
の位置変化を低減して制御性能を向上させることができ
る。
【0086】請求項2に係る発明の半導体マイクロアク
チュエータは、請求項1の効果に加えて、前記位置補正
手段を、前記フレームの設置面との相対角度を変化させ
る手段とすることにより、フレームを揺動的に変位させ
て温度変化による可撓部の撓みと連動した可動子の変位
量を相殺できるので、容易に制御性能を向上させること
ができる。
【0087】請求項3に係る発明の半導体マイクロアク
チュエータは、請求項1の効果に加えて、前記位置補正
手段を、前記フレームの設置面との相対距離を変化させ
る手段とすることにより、フレームを作用点に対して直
交するように変位させ、温度変化による可撓部の撓みと
連動した可動子の変位量を相殺できるので、可動子が作
用点と当接する角度を一定に保持することが可能とな
り、可動子の動作方向や動作角度が重要となる半導体マ
イクロアクチュエータを応用した装置においては、より
高精度な動作を実現することができる。
【0088】請求項4に係る発明の半導体マイクロアク
チュエータは、請求項1乃至3記載のいずれかの効果に
加えて、前記位置補正手段をバイメタルよりなるものと
することにより、周囲温度の変化に対する位置補正手段
の変形量を構成材料の材質や厚さ及び長さから容易に設
計することができるので、可動子の位置変化を高精度に
補正して制御性能をさらに向上させることができる。
【0089】請求項5に係る発明の半導体マイクロアク
チュエータは、請求項1乃至3記載のいずれかの効果に
加えて、前記位置補正手段を熱可塑性材料よりなるもの
とすることにより、位置補正手段の変形量と温度変化と
は線形的な関係にあるので、位置補正手段を構成材料の
材質や長さを変化させることにより高精度に設計するこ
とが可能となり、可動子の位置変化や制御性能をさらに
向上させることができる。
【0090】請求項6に係る発明の半導体マイクロアク
チュエータは、請求項1乃至3記載のいずれかの効果に
加えて、前記位置補正手段は、形状記憶材料及び弾性体
よりなるものとすることにより、位置補正手段をバイメ
タルや熱可塑性材料としたものと比較して温度変化に対
する変形量を大きく取ることができ、また、形状の記憶
方法に応じて自由度の高い変形形状を得ることができる
ので、半導体マイクロアクチュエータを応用した装置の
小型化を実現することができる。
【0091】請求項7に係る発明の半導体マイクロバル
ブは、請求項1乃至6のいずれかに記載の構成の半導体
マイクロアクチュエータと、流体の流入口となる弁口を
有して前記可動子の変位方向に設けた弁座とを備えるこ
とにより、周囲温度の変化に対して可動子と弁口との距
離が変動しなくなり、温度変化による流体の流量特性の
変化が少なく、閉塞性能に優れた半導体マイクロバルブ
を実現することができる。
【0092】請求項8に係る発明の半導体マイクロバル
ブは、請求項7の効果に加えて、前記弁口を開閉する弁
蓋を有して前記弁座上に固着した中間弁体を少なくとも
1つ以上設けることにより、周囲温度の変化に対して可
動子と弁蓋との距離が変動しなくなり、また、弁蓋は弁
口の開口面に対して直交するように変位するので、温度
変化による流体の流量特性の変化が少なく、閉塞性能の
さらに優れた半導体マイクロバルブを実現することがで
きる。
【0093】請求項9に係る発明の半導体マイクロリレ
ーは、可動接点を前記可動子に設けた請求項1乃至6の
いずれかに記載の半導体マイクロアクチュエータと、可
動接点と相対する位置に固定電極を有して前記可動子の
変位方向に設けた基体とを備えることにより、周囲温度
の変化に対して可動接点と固定接点との距離が変動しな
くなり、温度変化による開閉特性のばらつきが少ない半
導体マイクロリレーを実現することができる。
【0094】請求項10に係る発明の半導体マイクロリ
レーは、請求項9の効果に加えて、請求項1乃至6のい
ずれかに記載の半導体マイクロアクチュエータと、可動
接点を設けた弁蓋を有して前記可動子の変位方向に設け
た中間弁体と、可動接点と相対する位置に固定電極を有
して中間弁体に固着した基体とを備えることにより、可
動子と弁蓋との距離が変動しなくなるので、温度変化に
よる開閉特性のばらつきが少なくなり、また、可動接点
は固定電極の形成面に対して直交するように変位するの
で、接点部分の接触面積が大きくなり、接触抵抗の小さ
い半導体マイクロリレーを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態に係る半導体マイク
ロアクチュエータを中央で切断したときの断面斜視図で
ある。
【図2】 同上の半導体マイクロアクチュエータの動作
図である。
【図3】 本発明の第2の実施形態に係る半導体マイク
ロアクチュエータを中央で切断したときの断面斜視図で
ある。
【図4】 本発明の第3の実施形態に係る半導体マイク
ロアクチュエータを中央で切断したときの断面斜視図で
ある。
【図5】 本発明の第4の実施形態に係る半導体マイク
ロアクチュエータを中央で切断したときの断面斜視図で
ある。
【図6】 本発明の第5の実施形態に係る半導体マイク
ロアクチュエータを中央で切断したときの断面斜視図で
ある。
【図7】 本発明の第6の実施形態に係る半導体マイク
ロバルブを中央で切断したときの断面斜視図である。
【図8】 本発明の第7の実施形態に係る半導体マイク
ロリレーを中央で切断したときの断面斜視図である。
【図9】 従来の半導体マイクロアクチュエータを中央
で切断したときの断面斜視図である。
【符号の説明】
1 フレーム 2 可撓部 3 可動子 4 位置補正手段 4a シリコン薄片 4b ニッケル薄片 41 位置補正手段 42 位置補正手段 42a 形状記憶材料 42b 弾性体 6 弁座 61 弁口 7 中間弁体 71 弁蓋 76 可動電極 8 基体 81a 固定電極 81b 固定電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16K 31/70 F16K 31/70 A (72)発明者 吉田 仁 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 鎌倉 將有 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 吉田 和司 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 齊藤 公昭 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 川人 圭子 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 Fターム(参考) 3H057 AA05 BB06 BB09 DD12 FA17 FA26 FB15 FC02 FC08 3H062 AA04 AA14 BB08 BB14 BB30 BB31 CC04 FF21 FF39 GG04 HH01

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体基板により形成した枠状のフレー
    ムと、フレームより内方に突設して温度変化により撓む
    可撓部と、可撓部の一端に連設してフレームの開口面と
    直交する方向に相対的に変位する可動子と、を備えた半
    導体マイクロアクチュエータにおいて、 周囲温度の変化による可動子の変位量を相殺する位置補
    正手段を備えたことを特徴とする半導体マイクロアクチ
    ュエータ。
  2. 【請求項2】 前記位置補正手段は、前記フレームの設
    置面との相対角度を変化させる手段である請求項1記載
    の半導体マイクロアクチュエータ。
  3. 【請求項3】 前記位置補正手段は、前記フレームの設
    置面との相対距離を変化させる手段である請求項1記載
    の半導体マイクロアクチュエータ。
  4. 【請求項4】 前記位置補正手段は、バイメタルよりな
    る請求項1乃至3のいずれかに記載の半導体マイクロア
    クチュエータ。
  5. 【請求項5】 前記位置補正手段は、熱可塑性材料より
    なる請求項1乃至3のいずれかに記載の半導体マイクロ
    アクチュエータ。
  6. 【請求項6】 前記位置補正手段は、形状記憶材料及び
    弾性体よりなる請求項1乃至3のいずれかに記載の半導
    体マイクロアクチュエータ。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6のいずれかに記載の半導
    体マイクロアクチュエータと、流体の流入口となる弁口
    を有して前記可動子の変位方向に設けた弁座と、を備え
    た半導体マイクロバルブ。
  8. 【請求項8】 前記弁口を開閉する弁蓋を有して前記弁
    座上に固着した中間弁体を少なくとも1つ以上設けた請
    求項7記載の半導体マイクロバルブ。
  9. 【請求項9】 可動接点を前記可動子に設けた請求項1
    乃至6のいずれかに記載の半導体マイクロアクチュエー
    タと、可動接点と相対する位置に固定電極を有して前記
    可動子の変位方向に設けた基体と、を備えた半導体マイ
    クロリレー。
  10. 【請求項10】 請求項1乃至6のいずれかに記載の半
    導体マイクロアクチュエータと、可動接点を設けた弁蓋
    を有して前記可動子の変位方向に設けた中間弁体と、可
    動接点と相対する位置に固定電極を有して中間弁体に固
    着した基体と、を備えた半導体マイクロリレー。
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