JP2003134855A - 振動波駆動装置及び振動波駆動装置を駆動源とする機器 - Google Patents

振動波駆動装置及び振動波駆動装置を駆動源とする機器

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JP2003134855A
JP2003134855A JP2001323974A JP2001323974A JP2003134855A JP 2003134855 A JP2003134855 A JP 2003134855A JP 2001323974 A JP2001323974 A JP 2001323974A JP 2001323974 A JP2001323974 A JP 2001323974A JP 2003134855 A JP2003134855 A JP 2003134855A
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vibration wave
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wave drive
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JP2001323974A
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Atsushi Tamai
淳 玉井
Akira Kitajima
暁 北島
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】振動波駆動装置の移動体を構成する本体に筒状
の摩擦部材を嵌合固定する際、簡単で信頼性の高い結合
により、高寿命、高効率及び低騒音の振動波駆動装置を
提供する。 【解決手段】移動体3は、移動体本体3aの端部に円筒
状の摩擦部材2を嵌合することで構成され、オーステナ
イト系ステンレス板を順送プレス加工で成形された高変
形能固形部材1を移動体本体3aに嵌合し、さらに摩擦
部材2を固形部材1に嵌合して構成されており、これは
変形能の小さい本体3aと摩擦部材2との圧入による結
合の信頼性を増すために、それらの間に介在した高変形
能固形部材1が変形することで、その反発力から生じる
密着力を結合力として利用するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電気-機械エネルギ
ー変換素子を駆動源として弾性体に駆動振動を形成する
振動体と、該振動を外部出力として取り出す移動体とを
有する振動波駆動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、振動波モータ等の振動波駆動装
置は、弾性体と電気−機械エネルギー変換素子としての
圧電素子とにより構成される振動体を有し、棒状の振動
体にあっては弾性体間に圧電素子を挟持し、前記圧電素
子に位相差を持つ2相の交番信号を印加することによっ
て、前記弾性体上に位置的位相の異なる曲げ振動を発生
させて駆動部に円又は楕円運動を形成し、これに接触体
(移動体)を圧接し、摩擦力により前記振動体に対して
前記接触体を相対移動させる。なお、前記弾性体と前記
接触体との接触部には、適切な摩擦力を得るための摩擦
部材が接着、塗布、または形成される。
【0003】ところで、振動波駆動装置において、前記
振動体または前記移動体の材料として必要な特性に対し
て、摩擦材料として要求される特性は全く異なる。
【0004】すなわち、摩擦材については耐摩耗性が高
く、高温度下や高湿度下で摩擦力に変化がなく、長時間
の摩擦の後でも摩擦力が安定しているなどのほか、摩擦
係数も高いことが望ましい。
【0005】そのため、一般には振動体ないしは移動体
とは別の材料を摩擦部材として供している。
【0006】このような例として、特開平08−103088号
公報に開示されている板金プレス加工の摩擦部材を振動
体ないし移動体に接着剤などで固定することが提案され
ている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、移動体本体に
摩擦部材を接着剤により接着する場合、高温や高湿下に
おいて接着力が低下することがあった。
【0008】また、繰り返しの振動付与により接着力が
低下し摩擦部材の剥離を生じることもあった。
【0009】そして、このような現象が生じると不要振
動が発生して、振動波駆動装置の性能低下や騒音の原因
になる。
【0010】したがって、摩擦部材と振動体あるいは摩
擦部材と移動体とは決められた領域で完全に結合されて
いることが必要なのである。
【0011】さらに、剥離が進行すると摩擦部材と振動
体あるいは摩擦部材と移動体が互いに滑ってしまい、ト
ルク伝達が不可能になってしまうこともある。
【0012】また、接着工程における問題もある。すな
わち、接着剤が液状のため、その取扱いが困難である。
【0013】さらに、まわりの温度や湿度により粘性が
変化するため、接着剤がその表面張力により流動できる
隙間の大きさも変化する。
【0014】そのため接着領域が一定せず、振動波駆動
装置の性能にバラツキを生じる。
【0015】一方、接着以外の結合方法として、摩擦部
材を直接、振動体または移動体に圧入する方法も考えら
れる。
【0016】しかし、この方法も次に述べるように問題
がある。
【0017】摩擦部材として用いられる材料はビッカー
ス硬さで600以上もあるステンレスなどが適当である。
高い耐摩耗性と日常の環境下における耐食性が要求され
るからである。ところが、このような材料は破断するま
での歪み量が小さい。
【0018】そのため、圧入部材同士の寸法差を極めて
厳密な範囲に抑えなければならない。例えば、振動体な
いし移動体を内側として、硬い摩擦部材を外側とした場
合を考える。前記した寸法差をいわゆるしまりばめに設
定しようとしても、その寸法管理が難しく、摩擦部材が
破断してしまうこともある。
【0019】反対に、隙間ばめになってしまうと、結合
という目的が達せられず、前記したように接着剤の剥離
によって生じる現象と同様の現象が発生する。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明の課題を解決する
手段として、第1に、移動体側摩擦部材と移動体との間
に、移動体側高変形能固形部材1を介在させ、あるい
は、振動体側摩擦部材と振動体との間に、振動体側高変
形能固形部材6を介在させた。第2に、移動体側摩擦部材
同士の間に移動体側高変形能固形部材を介在させ、ある
いは、振動体側摩擦部材同士の間に振動体側高変形能固
形部材を介在させた。そして第3に、移動体側摩擦部材
と箍(締め付けリング)との間に移動体側高変形能固形
部材を介在させ、あるいは、振動体側摩擦部材と箍の間
に振動体側高変形能固形部材を介在させた。以上のいず
れか少なくとも1つの手段により、前記振動体ないし前
記移動体に前記各々の摩擦部材を確実に圧入させ、その
結果振動体側摩擦部材と振動体または移動体側摩擦部材
と移動体とを間接的に密着させ、互いの結合の信頼性を
高めた。
【0021】本発明でいう高変形能固形部材とは、前記
圧入時に該高変形能固形部材が固形であり、次のうち少
なくとも1つの特性を有する部材である。
【0022】すなわち、 1:材料自身の弾性領域が広く、かつその特性を積極的
に利用したものであること。例えば、ゴムや弾性限界歪
み量の大きいバネ用金属材料がある。あるいは、金属の
双晶変形とマルテンサイト変態を利用した超弾性材料も
ある。 2:材料自身の塑性領域が広く、かつその特性を積極的
に利用したものであること。例えば、熱可塑性樹脂材料
や軟質金属などがある。 3:スリットを設けるなど、部材の形態を工夫すること
で、その変形範囲を積極的に拡大したものであることで
ある。
【0023】本発明は、変形能の小さい部材同士の圧入
による結合の信頼性を増すために、それらの間に介在し
た部材が変形することで、その反発力から生じる密着力
を結合力として利用するものである。
【0024】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)図1は本発明
による振動波駆動装置における第1の実施の形態を示す
全体の断面図である。
【0025】本実施の形態の振動波駆動装置は、振動体
の両端部に圧接された2つの移動体3を回転させる機構に
なっている。振動体は、内径部にネジ部が形成された一
対の弾性体8の間に圧電素子9、フレキシブル基板1
0、振動体を支持するための支持板11とを挟持し、外
周にネジ部が形成された中空ボルト12により両弾性体
8を固定して構成されている。13は中空ボルトの両端
部内に装着された軸受けで、内部に挿通される出力軸1
6を軸支する。この振動体内軸受けにより、出力軸と振
動体の半径方向の位置が決められる。また支持板11は
固定部材19に固定され、この固定部材19は基台20
に取り付けられている。
【0026】出力軸16は両端部をハウジング18の外
部軸受け17にそれぞれ軸支され、このハウジング18
は基板20に取り付けられている。
【0027】前記振動体の両側には移動体3が配置さ
れ、移動体3内には夫々軸方向外方からコイルバネ5が
装着され、コイルバネ5の外端部が回り止め14に押さ
れ、移動体3を振動体に加圧接触させている。この回り
止め14は移動体側に突出する凸部が移動体3に形成し
た凹部内に嵌合することで軸回り方向において一体化さ
れている。また、この回り止め14は止めネジ15によ
り出力軸16に固定され、移動体3の回転を出力軸16
に伝達し、移動体3および出力軸16と共に一体に回転
する。
【0028】そして、この2つの移動体3同士を中心部
の出力軸16で連結しているため、移動体が1つの場合に
比べて2倍のトルクを発生出来る。
【0029】次に、回転部の構成を説明する。
【0030】図2は本実施の形態の移動体側高変形能固
形部材1、移動体側摩擦部材2及び移動体3を分解した状
態、図3は前記回転部の断面図を示している。この移動
体3は、移動体本体3aに高変形能固形部材1を介して、
移動体側摩擦部材2を圧入することでこれらを一体結合
する。高変形能固形部材1の両端部にはスリットが設け
られており、この部材の半径方向の弾性的伸縮量を大き
くさせ、また伸縮時の応力の大きさを調整できるように
している。
【0031】高変形能固形部材1により、移動体側摩擦
部材2と移動体本体3aの結合を確実なものとしている。
高変形能固形部材1を容易に圧入出来るように、移動体
本体3aの端部付近にはテーパ3bを設けている。
【0032】ところで、本実施の形態では、前記高変形
能固形部材1はオーステナイト系ステンレス板を順送プ
レス加工で成形する。オーステナイト系ステンレスでも
JIS規格SUS301などは、圧延などの加工を与える
ことで、応力誘起マルテンサイト変態が生じ硬さが増
し、弾性限界が上昇する。さらに、350℃前後の熱処理
を行うことで、歪み時効が起こりさらに弾性限界歪みが
増加するため、ばね部材としては最適である。
【0033】また、高変形能固形部材1としてはりん青
銅でもかまわない。一般にばね材料として分類される材
料は適している。
【0034】一方、移動体側摩擦部材2はマルテンサイ
ト系ステンレスを焼入れ、焼戻しにより硬化処理した。
高い耐摩耗性の他、高弾性限界及び日常の耐食性を考慮
した上、板金プレス加工可能なものとして選定された材
料である。
【0035】また、移動体本体3aは炭素含有量の少な
い軟鉄を順送プレス加工で作製した。部分的に材料をつ
ぶす工程があるため、変形抵抗が小さく塑性流動しやす
い軟鉄を用いたのである。
【0036】さらに移動体の形状を検討すれば、一般構
造用圧延鋼や機械構造用炭素鋼でも成形可能と思われ
る。
【0037】ところで、移動体の材料としては純銅のよ
うに比重が大きく、延性に富むものでもよい。比重が大
きいことは移動体の材料としては有利である。限られた
体積において、ある程度の質量が必要である。なぜな
ら、移動体自身は振動体による数ミクロン程度の振動の
影響を受けて、無関係な振動を生じるようなことがな
く、単に回転運動のみを行うことが理想だからである。
その上、つぶし加工が容易であり、順送プレス加工工程
においても成形可能となる。板材が素材となる順送プレ
ス加工工程を利用できることは大きな意義がある。量産
性が極めて高い加工法だからである。
【0038】例えば、トランスファーによる鍛造加工と
比較しても、素材としては連続した板材が用いられるの
で加工時間が短い。加工圧力が小さいため、プレス機械
が小型ですむ。金型に加わる圧力も小さいためボンデ処
理などの特殊な潤滑も不要である。
【0039】さて、軟鉄で製作された移動体は、その表
面にニッケルメッキを施し耐食性を与えた。日常の環境
で発錆すると美観上問題になるばかりでなく、摩擦部材
とのかん合部における結合状態が変化し、振動波駆動装
置の性能にも悪影響を与えるからである。
【0040】本実施の形態で開示した高変形能固形部材
1の熱膨張係数は、前記の移動体や移動体側摩擦部材の
熱膨張係数と比較すると大きいが、そのことは特に問題
ではない。本実施の形態の発明の思想は、高変形能固形
部材1の弾力性により、信頼性の高い結合を達成するこ
とであり、温度変化による熱膨張のため生じる伸縮量
は、前記弾力性を生じる歪み範囲と比較すれば無視出来
る程小さいからである。そして、移動体側摩擦部材2を
摩擦面に圧接するために、コイルバネ5が移動体の内径
部に配置されている。
【0041】移動体3の回転は回り止め14に伝達され
る。回り止め14にはその外周付近に2つの凸部としての
爪が180度対向して形成され、該爪が移動体の凹部とし
ての溝部にはまり込んで移動体と同時に回転する。
【0042】前記コイルバネ5は両端に2つあるが、1つ
でも前記圧接力を付与出来る。但し、その場合は一方の
移動体は出力軸に対して揺動出来るようになっている必
要がある。摩擦面の面圧ムラを防ぐためである。
【0043】次に、出力軸16は外部軸受け17を介して、
基板20に取り付けられたハウジング18に支えられて、そ
の中心軸を決めている。その後、振動体支持板11を基板
に取り付けられた固定板19に固定している。振動体支持
板は移動体の回転によるねじれ反力を受け止めればよ
い。2つの振動体内軸受け13により振動体の半径方向の
位置は決定しているからである。よって、振動体支持板
は振動を阻害しない程度に薄い板でよい。なお軸方向の
位置は、外部軸受け17と回り止め14との間に不図示のワ
ッシャなどを挟んで決めてもよい。
【0044】図4には本実施の形態の変形例を示す。図
4に示す変形例では、高変形能固形部材1の先端部には
波状部があり、その内周方向ないし外周方向からの圧力
により、該部材1が軸方向に伸びるようになっている。
この場合、極めて薄い板を用いたため、放射方向のスリ
ットは設けていないが、もちろん設けても良い。
【0045】(第2の実施の形態)図5は第2の実施の形
態示す。
【0046】図5は本実施の形態の移動体の分解斜視図
を示し、高変形能固形部材1、摩擦部材2及び移動体3aを
分解した様子を示している。本実施の形態では、高変形
能固形部材1は波状加工した条材を丸めたもので、該条
材の長手方向に自由に伸縮するようになっている。な
お、高変形能固形部材1は予め塑性変形により丸めてお
かなくてもよく、また弾性変形を与えて、移動体本体3a
の外周に巻きつけてから移動体側摩擦部材2を圧入する
方法でもよい。反対に、高変形能固形部材1に弾性変形
を与えて、移動体側摩擦部材2の内周にはめ込んでから
圧入する方法でもよい。
【0047】(第3の実施の形態)図6、図7は第3の実施
の形態を示す。図6は圧入前の分解図であり、図7は圧入
後の断面図である。
【0048】高変形能固形部材1はポリイミド樹脂フィ
ルムをリング状にプレス打抜き加工したものである。そ
の外周部にはスリットが多数あり、それにより摩擦部材
と移動体との間に該高変形能固形部材が絞り込まれた
時、その外周部にしわが形成されてフィルムが重なり合
ってしまうことを防止する。この工程はプレス絞り加工
に似ている。底に相当する部分が無いのでバーリング加
工ともいえる。但し、バーリング加工も絞りの一種とし
てとらえている。ここでは、絞るとは平板を管状に変形
させることを意味しているからである。
【0049】本実施の形態は次の2点で優れている。
【0050】第1に、素材としてチューブを輪切りにし
たものでではなく、簡単な薄板打抜きリングを使用出来
る点である。余りコストがかからず量産に向いている。
【0051】第2に、圧入とともにチューブ状になるこ
とである。予めチューブ状になっている部材であると、
移動体などにはめ込むのは難しい。ところで、前記した
しわを発生させないようにした提案に対して、わずかな
しわを積極的に形成することで、弾力性を付与する方法
もある。
【0052】前者は、フィルム自身のつぶれを期待した
設計であり、後者は、決められた場所にしわが形成され
ることで等間隔に空隙が出来るため、それが弾力性を生
む。樹脂フィルムはポリイミド樹脂に限らず、フッ素樹
脂やポリエチレンといった柔軟性のあるものでもよい。
また、樹脂フィルムの代わりに銅、錫などのような軟質
金属薄板を用いてもよい。これらの材料の弾性限界は小
さいが、延性に富むので塑性変形しやすい。そして、加
工硬化係数が大きいので形状転写性が優れている。その
ため、材料自身の特性は弾力性があるとはいえないが、
狭い隙間などに密着して塑性流動するので、摩擦部材と
移動体の結合力が生じやすい。
【0053】さらに、ステンレスやりん青銅のようなバ
ネ特性の高い材料でも、薄板ワッシャ状リングにおい
て、予めスリットを深く設けておけば、絞りながら圧入
することも可能である。移動体側摩擦部材と移動体との
間に介在して、密着性を高めるために適した材料であ
る。
【0054】(第4の実施の形態)図8は第4の実施の形
態を示す。本実施の形態は第3の実施の形態と類似して
いるが、移動体側摩擦部材2の摩擦面とは反対の端面に
まで高変形能固形部材1が及んでいる点で相違してい
る。高変形能固形部材としてゴム、樹脂及び軟質金属の
ような振動減衰能の高い素材を選べば、よりいっそう不
要振動の減衰効果が得られる。
【0055】(第5の実施の形態)図9は第5の実施の形
態を示す。本実施の形態は、高変形能固形部材1として
市販のゴム製O−リングを用いている。この方法である
と極めて簡単に密着性を保証できる。移動体側摩擦部材
2はその摩擦面から軸方向に常に押されているので、移
動体側摩擦部材2の摩擦面とは反対の端部で移動体3と
突き当てれば、該移動体側摩擦部材2と移動体本体3a
の軸方向位置は変化しない。そのため、振動波駆動装置
の性能も安定している。さらに、ゴム製であり弾力性が
大きいため、少しくらいの嵌合誤差は該高変形能固形部
材1が吸収する。
【0056】また、移動体側摩擦部材2で発生した不要
振動も該高変形能固形部材1で減衰されるので、振動波
駆動装置の騒音、性能低下及び移動体側摩擦部材2の摩
耗が発生しにくいという効果がある。
【0057】(第6の実施の形態)図10は第6の実施の
形態を示す。本実施の形態は、上記した第5の実施の形
態の構成に、さらに、移動体本体3aと移動体側摩擦部材
2との突き当て面にもバックアップリング4としてゴム製
O−リングを配置したものである。これにより前記した
効果がさらに顕著になる。
【0058】(第7の実施の形態)図11は第7の実施の形
態を示す。本実施の形態は、2つの移動体側摩擦部材2
と、樹脂製の熱収縮チューブからなる3つの高変形能固
形部材1を交互に嵌合させたものである。そして、最外
周部には箍27がはめ込まれている。なお、前記熱収縮チ
ューブとは電気配線を束ねる時などに用いるものであ
る。例えば、数本のリード線をこのチューブ内に挿入し
て、該チューブに熱を付与させるとチューブが収縮し
て、リード線をしっかりと束ねられるようにしたもので
ある。
【0059】この高変形能固形部材1は、チューブの収
縮量が大きいため、該チューブを移動体などの外径部に
はめ込む時、十分な隙間を設けられ簡単に挿入出来る。
移動体側摩擦部材を複数設けた理由は、大トルク化に対
応したものである。前記コイルバネ5による加圧力を増
大させて、摩擦力を大きくすることが可能だからであ
る。その時、摩擦面積が増加し、摩擦面に加わる面圧を
増加させずにすむので、摩耗は増大しない。あるいは摩
耗低減の目的にも適う。
【0060】また、同等のトルクを発生するように設計
すれば、摩擦面に同じ加圧力を与えることになる。その
場合は、摩擦面の面圧が下がり摩耗を低減させ振動波駆
動装置の寿命を延ばすことも可能である。このように複
数の摩擦部材を設けることは、1つの摩擦部材の摩擦面
積を増大させることとは異なる。それぞれの摩擦部材2
が独立に変形可能なので、実際の摩擦接触面積が増大す
るのである。
【0061】単純に該移動体側摩擦部材の摩擦面幅を広
げると、振動波駆動装置の効率低下、寿命低下及び騒音
発生を引き起こす。摩擦面全体で均一な摩擦接触しなく
なるからである。
【0062】これに対し、本実施の形態では、2つの移
動体側摩擦部材がほぼ独立して微小変形可能であるた
め、このような問題は発生しにくい。また、移動体側ま
たは振動体側摩擦部材には図2に示したもののほか、図1
2(a)(b)(c)に示すような形状が考えられる。
どの形状も絞り加工する前にスリットないし孔を加工し
ておけば、板金プレス加工で成形可能である。このよう
にすれば、最外周の強固な箍により、すべての摩擦部材
と高変形固形部材を同時に移動体に固定出来る。
【0063】また、嵌合部を柔軟にすることで、さらに
高変形能固形部材との密着性が高められる。なお、この
ような柔軟性を有する摩擦部材は、本実施の形態に限ら
れず他の実施の形態においても応用可能である。
【0064】(第8の実施の形態)図13は第8の実施の形
態を示す。
【0065】この実施の形態では、移動体側摩擦部材2
の一端部が内径側に曲げられてフランジ部を形成してい
る。該フランジ部の端面にゴム製薄板リング状の高変形
能固形部材1を置いて、それらを移動体本体3aの内径部
に圧入している。
【0066】この構成の場合、移動体側摩擦部材2と移
動体本体3aは直接接触していないため、移動体側摩擦
部材2の不要振動が減衰しやすい。そのため、振動波駆
動装置の騒音が発生しにくい。
【0067】ところで、振動体側の摩擦部材7は炭化チ
タンと窒化チタンを重量で30%含有した黒色を呈するア
ルミナを接着している。この材料を振動波駆動装置の摩
擦材として使用すると、極めて摩耗しにくいことがわか
っている。炭化チタンなどを含有しないいわゆる白アル
ミナでは、じん性が低く破壊しやすい。反対に、炭化チ
タンや窒化チタンだけでは化学的摩耗が大きい。
【0068】本実施の形態では、摩擦面は凸部にして必
要な部分のみをラップ加工している。ラップ加工工程の
短縮のためである。反対の接着面は全面素焼き状態の粗
いままにして、接着力を保持している。
【0069】(第9の実施の形態)図14は第9の実施の形
態を示す。本実施の形態では、上記した各実施の形態と
は反対に振動体側に本発明を利用したものである。
【0070】ゴム製のO−リングを振動体側高変形能固
形部材6として用い、振動体の弾性体8の内径部に該O−
リングの振動体側高変形能固形部材6を配置し、次に、
振動体側摩擦部材7を該O−リングの振動体側高変形能
固形部材6の内径部に嵌め込んだ。摩擦部材7は板金プ
レス加工製である。
【0071】この摩擦部材7は、先端部に多数のスリッ
トが設けられており、外側に広げられている。振動体の
振動角度と該先端部の変形角度を合わせた設計だからで
ある。またこの実施の形態の場合、移動体側には特別に
摩擦部材は設けていない。移動体の材質がマルテンサイ
ト系ステンレスを調質してその硬さを650Hvに高めた
ものである。そのため、そのまま摩擦部材の機能を有し
ている。
【0072】(第10の実施の形態)図15は第10の実施の
形態を示す。
【0073】本実施の形態は、前記した第9の実施の形
態に類似しているが、移動体側摩擦部材2としてセラミ
ックリングを用いている点で相違する。通常、該セラミ
ックリングを移動体または振動体に接着するが、該方法
では次に述べるように接着剥離を生じやすかった。
【0074】その原因は、第1に移動体の熱膨張係数と
移動体側摩擦部材の熱膨張係数の差が大きいため、接着
面のせん断応力が大きくなることが一因である。また、
第2に接着力の不足も考えられた。摩擦面に要求される
ような平滑面を接着面にすると、理由はわからないが経
験的及び実験的に剥離を生じやすい。
【0075】ところで、接着力を生じるメカニズムは数
種の力が関与していると考えられている。そして、実際
に発生している接着力はこれらの数種の力が複合した結
果であり、その比率は被接着材料、その表面形状及び表
面性状によって異なると考えられる。そのため、平滑面
の場合は粗面に比較して接着力が小さいという結果は、
単に当該実施の形態特有の現象かもしれない。平滑面に
したことにより、同時に他の要素すなわち表面の汚れ、
酸化膜及び吸着水分の状態が変化したことも考えられ
る。あるいは、単純に実際の表面積が変化したことによ
る結果かもしれない。
【0076】しかし、本実施の形態の場合についていえ
ば、セラミック表面に要求される表面粗さ等は、その摩
擦、摩耗特性を考慮したものであり、その表面粗さ等が
そのまま接着面として適切とは限らない。だからといっ
て、摩擦面用の表面仕上げと接着面用の表面仕上げを分
けることにすれば、製造工数がかかりコスト増加にな
る。
【0077】そこで、本実施の形態は接着の代わりにセ
ラミックリング製の移動体側摩擦部材2を、移動体本体3
aにゴム製の高変形能固形部材1介して圧入した。そのた
め、セラミックリングの移動体側の面おける表面粗さや
表面の性状は問われない。この場合、セラミックの外径
を圧入しているので、該セラミックには予め圧縮応力が
働いており破壊しにくい。
【0078】(第11の実施の形態)図16は第11の実施の
形態を示す。図16は本発明の振動波駆動装置を用いた紙
送りローラユニットを示し、(a)は正面図、(b)は
側面図である。
【0079】本実施の形態の紙送りユニットは、プリン
ターや複写機などで用いられる用紙を搬送するための機
構装置である。振動波駆動装置が高トルクであることを
利用して、該装置の出力軸をローラに直接連結してい
る。通常の電磁モータのようにギヤで減速しないので、
ギヤのバックラッシによる停止位置精度のバラツキ、ギ
ヤの駆動音などが低減して、高精度で静粛性の高い紙送
り装置が出来る。また、例えば、プリンターでは印刷時
には用紙が停止して、紙を移動させてはまた停止させる
といった、起動・停止が頻繁に繰り返される。振動波駆
動装置は起動時間が極めて短いので、このような用途に
は最適である。
【0080】本実施の形態の紙送りユニットは、ローラ
の両端を2つのローラ用軸受け23、24で支持している。
一方、振動波駆動装置の一方の移動体とローラ21は、回
り止め14で連結している。振動波駆動装置の反対側は固
定していない。支持板11はねじれ反力を受ければよい。
【0081】図16(b)からわかるが、支持板11の先端
部は円弧状になっている。振動体を回転させながら、ロ
ーラ21との軸心が一致した位置で2本の固定ネジ22によ
り、固定出来るように工夫したものである。
【0082】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
摩擦部材を移動体ないし振動体に結合する場合、従来の
ように接着剤を用いる方法や直接圧入する方法に比較し
て信頼性の高い結合が可能になる。その結果、本発明を
利用した振動波駆動装置は効率向上と耐久性向上が達成
出来る。その上、騒音発生も抑えることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態を示す振動波駆動装置
【図2】第1の実施の形態における移動体構成部品の分
解斜視図
【図3】第1の実施の形態における移動体構成部品の部
分拡大断面図
【図4】第1の実施の形態の変形例示す部分拡大断面図
【図5】第2の実施の形態における移動体構成部品の分
解斜視図
【図6】第3の実施の形態における移動体構成部品の分
解斜視図
【図7】第3の実施の形態における移動体構成部品の部
分拡大断面図
【図8】第4の実施の形態における移動体構成部品の部
分拡大断面図
【図9】第5の実施の形態における移動体構成部品の部
分拡大断面図
【図10】第6の実施の形態における移動体構成部品の
部分拡大断面図
【図11】第7の実施の形態における移動体構成部品の
部分拡大断面図
【図12】(a)〜(c)は第7の実施の形態において使
用した摩擦部材の斜視図
【図13】第8の実施の形態における移動体構成部品お
よび振動体構成部品の部分拡大断面図
【図14】第9の実施の形態における移動体構成部品お
よび振動体構成部品の部分拡大断面図
【図15】第10の実施の形態における移動体構成部品
および振動体構成部品の部分拡大断面図
【図16】第11の実施の形態を示し、(a)は紙送り
ユニットの正面図、(b)はその平面図
【符号の説明】
1 移動体側高変形能固形部材 2 摩擦部材 3 移動体 4 移動体側バックアップリング 5 コイルバネ 6 振動体側高変形能固形部材 7 振動体側摩擦部材 8 弾性体 9 圧電素子 10 フレキシブルプリント基板 11 支持板 12 中空ボルト 13 振動体内軸受け 14 回り止め 15 止めネジ 16 出力軸 17 外部軸受け 18 ハウジング 19 固定部材 20 基板 21 ローラ 22 固定ネジ 23、24 ローラ用軸受け 25 かん合部材 26 ピンチローラ 27 箍
フロントページの続き Fターム(参考) 5H680 AA12 BB04 BB15 DD02 DD11 DD23 DD53 DD65 DD66 DD74 DD87 DD88 DD92 FF03 FF05 FF08 FF13 GG11 GG27 GG44

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気-機械エネルギー変換素子と摩擦部
    材を有する金属弾性体からなる振動体と、該振動体側の
    摩擦部材に接触して摩擦駆動する移動体側の摩擦部材を
    移動体本体に有する移動体とからなる振動波駆動装置に
    おいて、 前記摩擦部材に接して高変形能固形部材を配置して、前
    記摩擦部材を前記振動体あるいは移動体に固定したこと
    を特徴とする振動波駆動装置
  2. 【請求項2】 前記高変形能固形部材は薄板を環状に切
    り出したものであり、該高変形能固形部材を絞りながら
    圧入することを特徴とする請求項1に記載の振動波駆動
    装置。
  3. 【請求項3】 前記高変形能固形部材は、ゴム製のO―
    リングであることを特徴とする請求項1に記載の振動波
    駆動装置。
  4. 【請求項4】 請求項1から3のいずれかに記載の振動
    波駆動装置を有し、前記振動波駆動装置により被駆動体
    を駆動するようにしたことを特徴とする振動波駆動装置
    を駆動源とする機器。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2005124377A (ja) * 2003-09-26 2005-05-12 Kyocera Corp 駆動装置
JP2016182019A (ja) * 2015-03-25 2016-10-13 キヤノン株式会社 振動型駆動装置及び撮像装置

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