JP2003133760A - アースを有するシャーシ部品 - Google Patents

アースを有するシャーシ部品

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JP2003133760A
JP2003133760A JP2001331860A JP2001331860A JP2003133760A JP 2003133760 A JP2003133760 A JP 2003133760A JP 2001331860 A JP2001331860 A JP 2001331860A JP 2001331860 A JP2001331860 A JP 2001331860A JP 2003133760 A JP2003133760 A JP 2003133760A
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chassis component
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laser
resin
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Masaaki Kondo
正昭 近藤
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Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 リサイクル目的で製品を回収した後、解体・
分別工程において、易解体性、及びマテリアルリサイク
ル性に優れる、アースを有するシャーシ部品を提供す
る。 【解決手段】 熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂組成物
製のシャーシ部品上に、レーザー照射によって炭化物層
を形成させてなることを特徴とする熱可塑性樹脂または
熱硬化性樹脂組成物製のシャーシ部品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光照射により、元々
絶縁体であった成形品表面上の所望の位置に、炭化物層
(チャー)を形成させ、該部分の一部、または全部をア
ースとして利用する事を特徴とする、熱可塑性樹脂また
は熱硬化性樹脂組成物製のシャーシ部品に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】一般に、絶縁体である成形品の任意の位
置に導電部であるアースを形成しようと考えた場合に
は、樹脂部品に対し金属製の導電部品を組み合わせる
か、または成形品表面に導電インクにて導電部を形成す
る、または無電解メッキを所望の形状に実施する等の手
法がとられていた。金属製の導電部品とは、板金を打ち
抜き切削加工した部品や、電線を指す。
【0003】また成形品全体がアースとして機能するこ
とを求められている場合には、導電性の添加剤を添加さ
せた樹脂が使用されている。導電性を発現させる添加剤
としては、金属粉末、金属繊維、カーボンブラック、カ
ーボンファイバー等があげられる。しかしながら、近
年、環境問題に対する意識の向上、及び各種環境関連法
令の相次ぐ制定・施行により、リサイクル性を配慮した
設計が主流となりつつあるものの、前出の従来のアース
形成技術では技術的に対応できなくなり、問題となって
いる。
【0004】例えば金属製のアース部品を組み合わせる
場合には、製品回収後の分解・分別作業に手間がかか
り、易解体性と言う点で問題となる。また導電インク又
は無電解メッキを使用した場合は、導電インクやメッキ
と樹脂部分との分別が難しい。もし分別せずに、粉砕し
再生樹脂として使用しようとすると、インクまたはメッ
キが再生樹脂中に混入することになり、物性に大きく悪
影響を及ぼす。また一般的に、導電インクや無電解メッ
キを使用してアースラインを形成する方法は複雑な工程
と高価な材料を必要とし、コスト的上でも不利である。
一方、導電性の添加剤を使用した場合は、元々導電性を
発現させる為、かなり無理をして多量のそれらを配合さ
せており、その影響の為、一般的に再生性が劣る。更に
導電性添加剤を配合させた樹脂は、一般的にかなり高価
であり、コスト的にも問題のある場合が多い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、リサ
イクル性の優れた、アースラインを有する熱可塑性樹脂
または熱硬化性樹脂組成物製のシャーシ部品を、比較的
安価に提供することにある。即ち金属製のアースライン
を組み合わせた部品の様な、解体・分別性の問題を有す
ること無く、かつ導電インクや無電解メッキ、または導
電性の添加剤を使用した場合の様に、リサイクル目的で
製品回収した後で粉砕・再生した際に、大きな物性低下
を引き起こすことのない、アースラインを有するシャー
シ部品を安価に提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、鋭意研究
を重ねた結果、以下の方法を用いることで上記課題を解
決するに至った。即ち、本発明は、熱可塑性樹脂または
熱硬化性樹脂組成物製のシャーシ部品上に、レーザー照
射によって炭化物層を形成させてなることを特徴とす
る、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂組成物製のシャー
シ部品、である。
【0007】その導電層の形成は、レーザー照射部の樹
脂組成物中の樹脂成分が変性し、炭化物層(チャー)が
形成されることによるものと推定される。炭化物層形成
の方法としては、成形品が吸収できる電磁波を照射して
該部を発熱させる方法、炎を近づけて焼く方法、高温物
やプラズマを近づける、又は接触させる方法、該部を他
の物体と摩擦させて発熱させる方法が考えられる。しか
し所望の形状の導電部を形成させると言う点に於いて、
レーザーを利用する手法が最も好適である。またレーザ
ー機器は、レーザーマーキングやレーザー溶着として既
に各種機器が既に市販されており、これらを利用できる
と言う点でも好適である。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明で言う炭化物層(チャー)
は、その構造について文献で様々な形態が示唆されてい
るが、本発明に於いて炭化物層の存在は下記の方法にて
確認するものとする。即ち、導電層を表面上に持つ熱可
塑性樹脂または熱硬化性樹脂組成物において、導電層で
ない部分を所定の重量(A)だけ測り取り、その後、良
溶媒にて溶解させ、不溶分を取り出してその重量(B)
を測定する。そしてその割合(C)、即ちC=B/Aを
計算する。一方、導電層でも同様の手法にて、不溶分の
割合(D)を求める。この時、D>Cならば炭化物層が
生成していると本発明ではする。そしてD−Cに相当す
る増量分が、炭化物層であるとする。
【0009】例えば熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂組
成物が変性PPE樹脂、即ちマレイン化変性されたPP
E樹脂とポリスチレンのポリマーアロイであり、レーザ
ーを照射して導電層を作成したケースでは、良溶媒とし
てトルエン、またはクロロホルムを使用し、前出の方法
で、レーザー照射部と非照射部のそれぞれの不溶分の割
合の差(D−C)を求める事で、炭化物層の存在の確認
ができる。良溶媒に対する不溶分の増量分は、本来、良
溶媒に溶解するべき物質、即ちマトリックスである樹脂
といくつかの添加剤が、電磁波照射により変性して不溶
となったものである。従って、正確には“良溶媒に対す
る不溶分で構成された層”と言うべきであるが、発熱に
より不溶になった、また色も黒系の色である事から、炭
化物層(チャー)が形成されたと推定され、本発明では
炭化物層と呼ぶ。
【0010】カバー材を使用する場合、カバー材の材質
として、前出のメカニズムから、まず使用するレーザー
光を吸収しない、または吸収しにくい物質で構成された
物体である事、また発熱した界面で成形品側の樹脂と相
溶化しない物質で構成された物体である事がその特性と
して必要である。また溶融点が、少なくとも成形品を構
成する樹脂よりも高いほど、好適である。
【0011】例えば、変性PPE製の成形品の表面にレ
ーザー光として遠赤外線のNd:YAGレーザーを用い
て導電部を形成する場合は、遠赤外線を効率よく透過
し、かつ変性PPEと相溶化することもなく、かつ溶融
点が変性PPEよりも高い材質の一例としてとしてガラ
スが使用できる。即ちこの場合は、導電部の形状に合わ
せた形状のガラス板を、変性PPE成形品上にある一定
の圧力下にて密着させ、ガラス側からレーザーを当て、
ガラスと成形品との界面、即ち接触部を発熱・炭化(チ
ャー化)させ、その際、生成した炭化物を周囲の溶融し
ている変性PPEに包含させる事で、部分的に炭化物層
が形成される。カーボンブラックやカーボンファイバ
ー、グラファイト等の炭化物が導電性を有する事は古く
から知られており、本発明に於いても導電性が発現する
のは、それらと同様、導電性を有する炭化物が発熱によ
り生成している為と推定される。更に、炭化物が変性P
PEに包含させられる為、カバー材を用いない方法より
はるかに強固な導電層が表面に形成できたものと推定し
ている。
【0012】一方、レーザー光としては、対象となる成
形品を構成する熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂組成物
が吸収できる波長のもので、かつ炭化物層が形成できる
だけのエネルギーをもち、かつカバー材が吸収しにくい
波長のものであれば、特に制限は無い。例えば波長10
64nmのNd:YAGレーザーや、SHG及びTHG
を利用したNd:YAGレーザーの2倍波(532n
m)及び3倍波(355nm)の各可視光レーザー、波
長824nmのAlGaAsレーザー等の半導体レーザ
ー、また波長308nmのXeClエキシマーレーザー
等の各種エキシマーレーザー、またさらには波長を任意
に変えた色素レーザー、赤外線レーザーである炭酸ガス
レーザー等があげられる。中でも波長1064nmのN
d:YAGレーザーは広く市販されており、またQスイ
ッチ、ランプ電流、照射画像のドット間隔または線間
隔、スキャン速度を変えることで、単位面積当たりの照
射総エネルギー量を思い通りにコントロールすることで
き、特に好適である。更にNd:YAGレーザーの場
合、定格出力が、連続モードで1〜10Wの範囲にある
のが好ましい。
【0013】尚、被照射物である成形品へのレーザー光
の照射振方式は、ポリゴンミラーを介したスキャン式で
も、マスクを用いて一気に照射するマスク式でも構わな
い。また照射部である導電部の形態は、一筆書き方式の
連続画像でもドット式の画像でも構わない。レーザー光
のエネルギー密度は1〜1,000,000(kW/cm
2)の範囲で行うことが好ましい。特にエネルギー密度
が10,000〜80,000(kW/cm2)の範囲に
あることが、良好な導電部を得る上で好ましいので、瞬
間的に高いエネルギー密度を作り出すQスイッチ法を用
いたレーザー照射方法が好適である。 Qスイッチ法に
よるレーザー光のジャイアントパルス幅は3〜100
(ns)が好適である。特に6〜50(ns)が良好な
導電部を得る上で好ましい。
【0014】ポリゴンミラーを介したスキャン式のN
d:YAGレーザーを照射して導電部を形成する方法は
非常に簡便な方法であり、導電部のデザインを比較的自
由に変更できる点が有利である。また既に多く市販され
ている、Nd:YAGレーザーを使用したレーザーマー
キング装置を転用できる点からも、好適である。しかし
生産数が多い場合、マスク式で行うか、またはダイオー
ドレーザーを複数用いた方が生産効率の面で有利な場合
もある。
【0015】尚、市販されているレーザーマーキング装
置の多くが、赤外線から可視光線の波長領域のものであ
るため、それに合わせるとカバー材の材質としては、透
明でかつ溶融点が高いガラスが最も好適であり、レーザ
ーの種類や成形品の材質によっては、スーパーエンジニ
アリングプラスチックが使用できる。マトリックスであ
る樹脂そのものが、使用するレーザーの波長に於いて、
吸収帯を持たない場合、成形品は、電磁波を吸収する添
加剤を配合されたものでなくてはならない。または添加
剤と言う形で配合されたものでなくても、マトリックス
である樹脂中に存在する不純物や重合未反応物が、レー
ザー光を吸収する系であっても良い。
【0016】例えば用いられるレーザーが、波長106
4nmのNd:YAGレーザーの場合、その波長付近で
は一般的にポリマーは吸収帯を持たないので、成形品
は、1064nmの光を吸収する添加剤を配合させる
か、またはその波長の光を吸収する不純物や重合未反応
物をもったものである必要がある。1064nmの光を
吸収する添加剤として具体的には、カーボンブラック、
遷移金属酸化物、または金属粉末、金属ファイバーであ
る。遷移金属酸化物としては、ルチル型二酸化チタン、
アナターゼ型二酸化チタン、酸化鉄(弁柄)、三酸化ア
ンチモン、チタン酸カリウム、コバルト酸化物等の遷移
金属化合物が好適である。金属粉末としては、アルミニ
ウム、鉄、ニッケル、銅、または真鍮等の合金の粉末が
あげられる。再生性、コストを考慮すると、カーボンブ
ラックが最も好適である。
【0017】尚、これらカーボンブラックと各種金属酸
化物は、複数の種類の組み合わせで用いても良い。尚、
レーザー光を吸収する目的で添加された添加剤の配合量
は、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂組成物100重量
部に対し0.001〜5重量部である事が望ましい。レ
ーザー光を吸収し、導電層を形成する為には、0.00
1重量部の配合量は必要であり、また5重量部を超える
と再生時に熱分解を生じやすくなり、再生性に問題を生
じるからである。またコストや樹脂製造の方法から考え
ても、5重量部を越える配合は好適ではない。
【0018】尚、カーボンブラックの配合量は、共存す
る樹脂や充填材の種類によってはカーボンブラックの効
力だけで導電性を発現するケースがある。導電層である
炭化物層を形成する前に導電性を発現していては、本発
明の意図する成形品、即ち絶縁部と任意の位置に導電部
を持つ成形品とならないので、カーボンブラックの添加
量は導電性を発現しないレベルに留める必要がある。効
率的な導電性を確保し、コスト及び確実な絶縁部を形成
すると言う意味で、カーボンブラックの添加量は0.0
1〜1重量部の範囲にあることが更に好適である。尚、
同様の意味で、導電性を有するカーボンファイバー等の
充填材の充填量についても、導電性を発現しないレベル
に留める必要がある。
【0019】尚、カーボンブラックの種類としては特に
制限は無い。SAF、ISAF、HAF、FEF、GP
F、SRF、FT、アセチレンブラック等、いずれのカ
ーボンブラックでも良い。即ち、ファーネスブラック、
チャンネルブラック、サーマルブラックといずれの製法
のものでも良く、またガスブラック、オイルブラック、
アセチレンブラック等、いずれの原料のものでも使用で
きる。
【0020】一方、本発明で使用される熱可塑性樹脂ま
たは熱硬化性樹脂組成物は、炭化物層の形成がし易いと
言う点で、ベンゼン環を有するポリマーが好適である。
具体的にはポリスチレン(PS)、シンジオタクチック
ポリスチレン、AS、ABS、ポリカーボネート(P
C)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブ
チレンテレフタレート(PBT)、芳香族ポリアミド、
ポリフェニレンエーテル(PPE)、PPS、液晶ポリ
エステル(LCP)、ポリアリレート、ポリアミドイミ
ド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテ
ルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテル
イミド、ポリオキシベンゾイルエステル、PPE/P
S、PPE/HIPS、PPE/PA6、PPE/PA
66、PPE/PP、PC/ABS、PC/PBT、フ
ェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタ
レート樹脂、ポリイミド等があげられる。
【0021】PPEは分子鎖の一部を、マレイン化変性
させたものであってもよい。また本発明で言うベンゼン
環を有するポリマーは、ベンゼン環を有する少なくとも
1種類のモノマーを使用したブロックコポリマーや、ラ
ンダムコポリマーやグラフト共重合体であっても良い。
また本発明で言うベンゼン環を有し、かつその分子中に
酸素原子及び/または硫黄原子を有するポリマーは、ベ
ンゼン環と、酸素原子及びまたは硫黄原子を有する少な
くとも1種類のモノマーを使用したブロックコポリマー
や、ランダムコポリマーやグラフト共重合体であっても
良い。
【0022】また本発明で使用する熱可塑性樹脂または
熱硬化性樹脂組成物は、ベンゼン環を有するポリマーを
少なくとも1種類配合させたポリマーアロイであっても
良い。また本発明で言うベンゼン環を有するポリマーと
は、ベンゼン環上の重合に、寄与しない部位が置換され
たものであってもよい。またナフタレン環、アントラセ
ン環のような多環構造を有するポリマーも、本発明で言
うベンゼン環を有するポリマーの範疇に含む。
【0023】中でも炭化物層の形成のし易さと、材料の
入手のし易さから判断すると、市販の変性PPE樹脂
(m−PPE)、即ちPPE系のポリマーアロイであ
る、PPE/PS、PPE/HIPS、PPE/PA
6、PPE/PA66や、PC、PC/ABS、PC/
PBTと言ったPC系樹脂が更に好適である。このPP
E系のポリマーアロイに於けるPPEの配合量は、通常
10〜90重量%が好適であり、15〜80重量%が更
に好適である。
【0024】これは炭化物層形成にPPEが特に大きな
効果を示す為であり、PPEの配合量が10%未満であ
ると本発明の目的とする導電部が形成しにくくなるから
である。またPPEの配合量が90%を超えると、成形
等の加工がしずらくなると言う問題を生じるからであ
る。ただブレンド樹脂及び添加剤として、PPEの低流
動性を改善する特性をもつものを配合させている場合、
例えば液晶ポリマーや可塑剤等を配合させている場合で
あれば、この限りではない。またPPE分子自体が、一
般的に市販されているものより低分子量タイプであった
り、分子量分布が広く、高流動性を示すものであって
も、この限りではない。
【0025】また更に、炭化物層の形成がし易いと言う
点で、チャー形成を助長する難燃剤を配合することは好
適である。その様な難燃剤として、具体的にはリン系難
燃剤や、シリコーン系難燃剤があげられる。難燃剤の配
合割合は、樹脂組成物に対し、0.1〜50重量%が好
ましく、更に好ましくは3〜20重量%の範囲にあるこ
とが、成形性、及び効果的な炭化物層形成の上で好適で
ある。
【0026】リン系難燃剤としては、トリフェニルフォ
スフェート(TPP)、トリクレジルフォスフェート
(TCP)、トリ(2,6−ジメチルフェニル)フォス
フェート、トリエチルフォスフェート、クレジルジフェ
ニルフォスフェート、キシレニルジフェニルフォスフェ
ート、クレジルビス(2,6−キシレニル)フォスフェ
ート、2−エチルヘキシルジフェニルフォスフェート、
ジメチルメチルフォスフェート、レゾルシノールビス
(ジフェニル)ホスフェート、トリビフェニルホスフェ
ート、レゾルシノールビス(ジフェニル)フォスフェー
ト、ビスフェノールAビス(ジフェニル)フォスフェー
ト、ビスフェノールAビス(ジクレジル)フォスフェー
ト、レゾルシノールビス(ジ−2,6−キシレニル)フ
ォスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェート、
トリス(クロロプロピル)ホスフェート、トリス(ジク
ロロプロピル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオ
ペンチル)フォスフェート、ジエチル−N,N−ビス
(2−ヒドロキシエチル)アミノメチルホスフォネー
ト、トリス−β−クロロプロピルフォスフェート、ポリ
リン酸アンモニウム・アミド、赤リン、ポリリン酸アン
モン、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェート等が
広く知られており、本発明で使用される難燃剤として使
用できる。
【0027】また特開平7−258539号公報では、
ビスフェノール類による結合構造とアルキル置換単官能
フェノールによる末端構造を同時に有するリン酸エステ
ル高分子化合物が難燃剤として紹介されているが、これ
らも本発明で使用される難燃剤として使用できる。特に
本発明でPPE、またはPPE系のポリマーアロイを用
いる場合は、リン系難燃剤が好適である。またPCやP
C系のポリマーアロイにも好適である。
【0028】一方、シリコーン系難燃剤としては、シリ
カとシリコーンからなるシリコーンパウダー、シリコー
ン樹脂、シリコーン、ポリカーボネート−ポリオルガノ
シロキサン共重合体等が挙げられる。これらは相乗効果
を狙い、カルボン酸のアルカリ土類金属塩と併用しても
良い。特に本発明でPCやPC系のポリマーアロイに対
し、好適である。尚、本発明の成形加工法としては特に
制限は無い。シャーシ部品の成形に通常利用される、射
出成形、中空射出成形、射出圧縮成形、サンドイッチ成
形の何れの成形法でもよい。
【0029】更に、本発明で使用される充填剤や添加剤
は、本発明の効果を損なわない範囲に於いて、通常使用
する添加剤、充填材、着色剤等を加えたものでもよい。
即ちレーザーを照射しなくても著しく導電性を発現して
しまうもの、または著しく物性や成形性を低下させるも
ので無い限り、使用できる。
【0030】具体的に、添加剤としては、例えば、酸化
防止剤、難燃化剤、離型剤、着色剤、滑剤、耐熱安定
剤、耐候性安定剤、防錆剤、抗菌剤等を添加することが
できる。充填材としては例えば、ガラスファイバー、炭
素繊維、金属繊維、アラミド繊維、チタン酸カリウム、
アスベスト、炭化ケイ素、セラミック、窒化ケイ素、硫
酸バリウム、硫酸カルシウム、カオリン、クレー、パイ
ロフィライト、ベントナイト、セリサイト、ゼオライ
ト、マイカ、雲母、ネフェリンシナイト、タルク、アタ
ルパジャイト、ウオラストナイト、フェライト、ケイ酸
カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロ
マイト、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸
化鉄、二硫化モリブデン、グラファイト、石膏、ガラス
ビーズ、ガラスバルーン、ガラスフレーク、石英、石英
ガラス、アパタイト等の充填材があげることができ、こ
れらは中空であっても良い。またこれらは2種類以上を
併用することが可能である。必要によりシラン系等のカ
ップリング剤で予備処理して使用することができる。シ
ャーシ部品の材料としては、剛性と低反り性が要求され
るので、ガラスファイバー、ガラスビーズ、ガラスフレ
ーク、チタン酸カリウム、カオリン、マイカ、タルク、
ウオラストナイト、アパタイトの内の少なくとも1種類
を充填材として配合し、樹脂組成物と充填材の合計重量
に対し5〜60重量%の割合で充填材が配合されている
熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂組成物が好適である。
【0031】本発明によるシャーシ部品は、アース機構
が樹脂成形品中に組み込まれているので、リサイクルの
際、解体・分別の必要がない。故に、金属製のアース部
品を組み込んだ成形品よりも、易解体性という点で有利
である。そして、アースは炭化物層であるため、通常の
成形品と同様のリサイクル方法で再生する事が可能であ
る。即ち、粉砕・溶融後、ペレット化するマテリアルリ
サイクルや、焼却して熱回収すること、また溶鉱炉での
コークス代替材として使用すること等が、可能である。
特にマテリアルリサイクルの場合、導電塗料の塗布やメ
ッキによる導電部を形成した成形品では、その塗料やメ
ッキ金属が再生樹脂の物性に悪影響を及ぼすのに対し、
本発明は影響の少ない炭化物層である為、非常に好適で
ある。
【0032】従って、本発明のシャーシ部品は、従来、
金属製アースを組み込み込んでいたシャーシ部品や、市
販の導電性樹脂製のシャーシ部品の代替として使用する
ことが可能であり、易解体性と言う観点から考えると、
環境配慮が重要視されるこれからの製品にとって非常に
有用な部品である。本発明は、家電製品・OA機器のシ
ャーシ部品に利用できる。具体的には、テレビ、ビデ
オ、DVD・CD等の光ディスク機器、パソコン、複写
機、プリンター、ファクシミリ、又はパソコン・プリン
ター・ファクシミリの複合機、電話機等に用いられるシ
ャーシ部品である。
【0033】尚、本発明で言うシャーシ部品とは、一般
的に製品の基底部や内部に存在し、その上に電気部品、
機構部品等の他部品が組み込まれる部品である。一般的
には平面に複数のリブや穴を有する、複雑な形状を有す
る部品である。具体的には、プリンターやVTR等のO
A・家電製品の底部に位置するベースシャーシ、DVD
・CD等の光ディスク機器のピックアップシャーシ、ス
レッドシャーシ、サブシャーシ、トレー、またレーザー
ビームプリンターの光学箱シャーシ、インクジェットプ
リンターのインクタンクを保持するキャリッジ部品等
が、本発明のシャーシ部品の範疇に含まれる。
【0034】また本発明のシャーシ部品は、レーザー照
射によって生成された炭化物層の一部、または全部をア
ースラインとして利用することを特徴とするが、このア
ースラインは電磁波シールドとして利用されるものであ
ってもよい。以下に、実施例及び比較例を挙げ、本発明
を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるもので
はない。
【0035】
【実施例1】(サンプルの作成)市販の変性PPE樹脂
であるザイロンX303Z(旭化成(株)社製)を、一
般の射出成形機を用い、シャーシ部品を射出成形した。
次に、市販のNd:YAGレーザー機器(近赤外線)を
使用し、シャーシ部品上に、図1に示す形状にマーキン
グを実施した。尚、使用したレーザー機器は、スキャン
式である[型式:RSM103D、供給者:ロフィン丸
紅レーザー(株)]。このレーザーは定格出力が連続モ
ードで3W、レーザー照射のスポットの直径が40μm
である機器である。 (導電部の確認)導電性の確認は、市販のテスター(日
置電機(株)製 形式3218)を使用して確認した。
具体的には、2本のテスターの測定部を間隔をあけて、
マーキング部にそれぞれ接触させ、導電性があるか否か
を確認した。結果、導電性がマーキング部に発現されて
いることがわかり、この部分をアースラインの一部とし
て用いることが可能であることが確認された。
【0036】
【実施例2】カバー材を用いること以外は、実施例1と
同様に、シャーシ部品の成形、マーキング、及び導電性
の確認を行った。カバー材は、市販の顕微鏡用スライド
ガラス(MATSUNAMI GLASS IND.,
LTD製 MICRO SLIDE GLASS S−
1112、サイズは76mm×26mm×1.0〜1.
2mm)を、リブ等に当たらないように切削加工したも
のを用いた。そして成形されたシャーシ部品上に、上記
カバー材を置き、セロハンテープで固定して押さえ付
け、シャーシ部品にカバー材を密着させた。尚、セロハ
ンテープは、レーザー照射予定位置を遮らない様に貼っ
た。そして、カバー材上から実施例1と同様、Nd:Y
AGレーザーを照射し、その後、マーキング部の導電性
をテスターを用いて確認した。結果、導電性が確認さ
れ、この部分をアースラインの一部として用いることが
可能であることが判明した。
【0037】
【発明の効果】本発明の方法により得られる、熱可塑性
樹脂または熱硬化性樹脂組成物からなるアースを有する
シャーシ部品は、単一の樹脂からなる成形品であるた
め、リサイクル時に導電部と非導電部との分別が必要で
ない。また該成形品は、粉砕し再使用する事に関して
も、従来の導電インクや無電解メッキ、または導電性の
添加剤を使用している成形品に比べて、大きな物性低下
が引き起こされる危険性が少ない。従って近年の厳しい
樹脂リサイクル性の要求性能に対して応え得るものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例で用いた、シャーシ部品に導電部を形
成させたものを表す図。
【符号の説明】
(1) シャーシ部品 (2) レーザー光照射が照射され導電部となり、結果
アースとして用いることが可能になった部分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 71:12 C08L 71:12

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂組成物
    製のシャーシ部品上に、レーザー照射によって炭化物層
    を形成させてなることを特徴とする、熱可塑性樹脂また
    は熱硬化性樹脂組成物製のシャーシ部品。
  2. 【請求項2】 熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂組成物
    製のシャーシ部品の一部、又は全部の表面に、カバー材
    をシャーシ部品上に接触させ、そのカバー材を通過させ
    てレーザーを照射し、該カバー材とシャーシ部品との界
    面にて発熱を生じさせる事により、シャーシ部品側の該
    発熱部の樹脂を変性させ、更にその後、該カバー材を取
    り外す事で、その変性部が炭化物層とされたシャーシ部
    品であって、該カバー材が、使用されるレーザー光を吸
    収しない、またはレーザー光を吸収しにくい物質で構成
    される物体であることを特徴とする、請求項1のシャー
    シ部品。
  3. 【請求項3】 使用されるカバー材の材質が、ガラスで
    ある事を特徴とする請求項1または2に記載のシャーシ
    部品。
  4. 【請求項4】 熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂組成物
    が、使用するレーザー光を吸収して発熱する添加物を含
    有させた樹脂である事を特徴とする請求項1〜3のいず
    れかに記載のシャーシ部品。
  5. 【請求項5】 使用するレーザー光を吸収して発熱する
    添加物が、カーボンブラックである事を特徴とする請求
    4に記載のシャーシ部品。
  6. 【請求項6】 熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂組成物
    が、ポリフェニレンエーテル、またはポリフェニレンエ
    ーテルをベースにしたポリマーアロイである事を特徴と
    する請求項1〜5のいずれかに記載のシャーシ部品。
  7. 【請求項7】 熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂組成物
    が、ポリカーボネート樹脂、またはポリカーボネート樹
    脂をベースにしたポリマーアロイである事を特徴とする
    請求項1〜5のいずれかに記載のシャーシ部品。
  8. 【請求項8】 難燃剤として、リン系難燃剤が少なくと
    も1種類配合されている事を特徴とする、請求項1〜7
    のいずれかに記載のシャーシ部品。
  9. 【請求項9】 熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂組成物
    が、ガラスファイバー、ガラスビーズ、ガラスフレー
    ク、チタン酸カリウム、カオリン、マイカ、タルク、ウ
    オラストナイト、アパタイトの内の少なくとも1種類を
    充填材として、樹脂組成物と充填材の合計重量に対し5
    〜60重量%の割合で配合されている事を特徴とする、
    請求項1〜8のいずれかに記載のシャーシ部品。
  10. 【請求項10】 使用するレーザー光が、Nd:YAG
    レーザーである事を特徴とする、請求項1〜9のいずれ
    かに記載のシャーシ部品。
  11. 【請求項11】 レーザー照射によって形成された炭化
    物層の一部または全部をアースラインとして利用するこ
    とを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載のシ
    ャーシ部品。
  12. 【請求項12】 シャーシ部品が、複写機、プリンタ
    ー、ファクシミリ、またそれらの複合機、光ディスク機
    器、光磁気ディスク機器、およびVTRのいずれかのシ
    ャーシ部品であることを特徴とする、請求項項1〜11
    のいずれかに記載のシャーシ部品。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7575446B2 (en) 2005-04-01 2009-08-18 Samsung Sdi Co., Ltd. Chassis assembly and plasma display apparatus including the same
JP2014196448A (ja) * 2013-03-29 2014-10-16 ポリプラスチックス株式会社 電界シールド結晶性熱可塑性樹脂成形品及びその製造方法、並びに電界シールド結晶性熱可塑性樹脂成形品を有する輸送機用電子機器の筐体

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US7575446B2 (en) 2005-04-01 2009-08-18 Samsung Sdi Co., Ltd. Chassis assembly and plasma display apparatus including the same
JP2014196448A (ja) * 2013-03-29 2014-10-16 ポリプラスチックス株式会社 電界シールド結晶性熱可塑性樹脂成形品及びその製造方法、並びに電界シールド結晶性熱可塑性樹脂成形品を有する輸送機用電子機器の筐体

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