JP2003131342A - 熱現像感光材料及びその処理方法 - Google Patents

熱現像感光材料及びその処理方法

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JP2003131342A
JP2003131342A JP2001324950A JP2001324950A JP2003131342A JP 2003131342 A JP2003131342 A JP 2003131342A JP 2001324950 A JP2001324950 A JP 2001324950A JP 2001324950 A JP2001324950 A JP 2001324950A JP 2003131342 A JP2003131342 A JP 2003131342A
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Rikio Inoue
力夫 井上
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱現像において、鮮鋭性を向上させるための
染料が迅速に消色する熱現像感光材料、および、赤外レ
ーザー露光をする熱現像感光材料であって、鮮鋭性を向
上させるための非消色の染料が、熱現像後の画像におい
て可視域の色味が少ない、高い画像品質を有した熱現像
感光材料、並びにその処理方法を提供すること。 【解決手段】 支持体上の一方の面側に、非感光性銀
源、感光性ハロゲン化銀、及び還元剤を含有し、さら
に、前記支持体上の他方の面側に少なくとも一層の非感
光性層を有する熱現像感光材料であって、前記非感光性
層は、少なくとも一種類の固体微粒子状の染料を含有
し、かつ、投影面積の円相当径が1μm以上の前記染料
の固体微粒子数が、0.1mm平方の単位面積当り10
0個以下であることを特徴とする熱現像感光材料、また
は、前記染料の粒子サイズの体積加重平均が1.0μm
以下であることを特徴とする熱現像感光材料である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱現像感光材料に関
し、特に、医療診断用、工業診断用、工業写真用、印刷
用、COM用として好適な熱現像感光材料及びその処理
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、医療診断用フィルム分野や写真製
版フィルム分野において環境保全、省スペースの観点か
ら処理廃液の減量が強く望まれている。そこで、レーザ
ー・イメージセッター又はレーザー・イメージャーによ
って効率的に露光させることができ、高解像度及び鮮鋭
さを有する鮮明な黒色画像を形成することができる医療
診断用フィルム並びに写真製版用フィルムとして、熱現
像感光材料に関する技術が必要とされている。これら熱
現像感光材料によれば、溶液系の処理化学薬品を必要と
せず、より簡単で環境を損なわない熱現像処理システム
を顧客に対して供給することができる。
【0003】一般の画像形成材料の分野でも同様の要求
はあるが、特に医療診断用画像は微細な描写が要求され
るため鮮鋭性、粒状性に優れる高画質な画像が要求され
る。写真感光材料には、鮮鋭性を向上させるために、フ
ィルター、ハレーション防止や、イラジエーション防止
の目的で、染料を添加することが一般的である。上記染
料は、画像露光時において機能するものであり、通常、
現像処理時に除去して、画像形成後における染料の可視
域の吸収による画像の着色を防止している。
【0004】しかし、従来の湿式現像処理では、処理液
中に染料を感光材料から溶出除去することが比較的容易
であったが、熱現像のような乾式現像処理では、それは
困難である。そこで、熱現像処理の熱によって染料を消
色させる方法がすでに提案されている。例えば、特開平
11−352626号公報などにおいては、塩基プレカ
ーサーの融点を制御し、熱現像時に発生する塩基によっ
て染料を消色する技術を開示している。しかしながら、
この技術は、感光材料をさらに迅速に熱現像処理したい
というユーザーの要求に応えると、染料の消色が不十分
となり、処理後の熱現像感光材料に染料の残色が発生す
るという欠点を有していた。
【0005】一方、赤外レーザー光など露光光源が可視
光でない場合は、フィルター、ハレーション防止や、イ
ラジエーション防止を目的として、露光波長に光吸収極
大を有する染料であればよいため、可視域の吸収が少な
ければ染料自身を消色させる必要がなくなる。赤外線を
吸収できる染料の代表例は有機染料であり、これまで感
光材料中に用いる染料には多くの化合物が提案されてき
た。その中でも特に多く用いられてきているのはシアニ
ン染料、オキソノール染料であるが、いずれも可視域の
吸収が大きく、現像処理後にその色味があると画像品質
を損なうという欠点を有していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来に
おける問題を解決し、以下の目的を達成することを課題
とする。即ち、本発明の第一の目的は、熱現像におい
て、鮮鋭性を向上させるための染料が迅速に消色する熱
現像感光材料及びその処理方法を提供することにある。
また、本発明の第二の目的は、赤外レーザー露光をする
熱現像感光材料であって、鮮鋭性を向上させるための非
消色の染料が、熱現像後の画像において可視域の色味が
少ない、高い画像品質を有した熱現像感光材料及びその
処理方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の手段は、以下の通りである。即ち、 <1> 支持体上の一方の面側に、非感光性銀源、感光
性ハロゲン化銀、及び還元剤を含有し、さらに、前記支
持体上の他方の面側に少なくとも一層の非感光性層を有
する熱現像感光材料であって、前記非感光性層は、少な
くとも一種類の固体微粒子状の染料を含有し、かつ、投
影面積の円相当径が1μm以上の前記染料の固体微粒子
数が、0.1mm平方の単位面積当り100個以下であ
ることを特徴とする熱現像感光材料である。
【0008】<2> 支持体上の一方の面側に、非感光
性銀源、感光性ハロゲン化銀、及び還元剤を含有し、さ
らに、前記支持体上の他方の面側に少なくとも一層の非
感光性層を有する熱現像感光材料であって、前記非感光
性層は、少なくとも一種類の固体微粒子状の染料を含有
し、かつ、前記染料の粒子サイズの体積加重平均が1.
0μm以下であることを特徴とする熱現像感光材料であ
る。
【0009】<3> 前記非感光性層は、塩基プレカー
サーを含有することを特徴とする上記<1>または<2
>の熱現像感光材料である。
【0010】<4> 前記非感光性層は、ゼラチンを含
有することを特徴とする上記<1>〜<3>の熱現像感
光材料である。
【0011】<5> 前記染料の少なくとも1種類は、
熱現像処理に対して非消色性であることを特徴とする上
記<1>〜<4>の熱現像感光材料である。
【0012】<6> 上記<1>〜<5>の熱現像感光
材料を、100℃以上150℃以下の温度で、5秒以上
15秒以下の熱現像処理を行なう熱現像感光材料の処理
方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。
【0014】第一の本発明は、支持体上の一方の面側
に、非感光性銀源、感光性ハロゲン化銀、及び還元剤を
含有し、さらに、前記支持体上の他方の面側に少なくと
も一層の非感光性層を有する熱現像感光材料であって、
前記非感光性層は、少なくとも一種類の固体微粒子状の
染料を含有し、かつ、投影面積の円相当径が1μm以上
の前記染料の固体微粒子数が、0.1mm平方の単位面
積当り100個以下であることを特徴とする熱現像感光
材料である。本発明において、該染料の固体微粒子数と
しては、熱現像感光材料の感光層側を脱膜した上で、光
学顕微鏡によって任意の0.1mm平方の単位面積につ
いて、透過像又は反射像を写真撮影し、投影面積の円相
当径が1μm以上の個数を計測する。このとき、投影面
積の円相当径が1μm以上の個数は、100個以下であ
り、好ましくは50個以下、さらに好ましくは25個以
下である。また、同じ0.1mm平方の単位面積につい
て、投影面積の円相当径が3μm以上の個数について
は、20個以下が好ましく、さらに10個以下がより好
ましい。
【0015】第二の本発明は、支持体上の一方の面側
に、非感光性銀源、感光性ハロゲン化銀、及び還元剤を
含有し、さらに、前記支持体上の他方の面側に少なくと
も一層の非感光性層を有する熱現像感光材料であって、
前記非感光性層は、少なくとも一種類の固体微粒子状の
染料を含有し、かつ、前記染料の粒子サイズの体積加重
平均が1.0μm以下であることを特徴とする熱現像感
光材料である。本発明において、上記染料の固体微粒子
の粒子サイズの体積加重平均は、該染料分散物を試料と
して、メッシュ上に乾固させ、カーボン蒸着を施した上
で、適当な斜度をかけ、電子顕微鏡写真を撮影し、染料
粒子個々の球相当径と粒子体積とを求めて算出する。こ
のとき、粒子が重なり合った可能性のあるものについて
は、1個として計測する。母集団の粒子個数は500〜
1000個程度がよい。上記の方法によって算出される
固体微粒子状の染料の、粒子サイズの体積加重平均は
1.0μm以下であり、好ましくは0.6μm以下であ
り、さらに好ましくは0.3μm以下である。
【0016】本発明において、固体微粒子状の染料を含
有する非感光性層のバインダーについては、人工的に合
成されたポリマー、ポリマーラテックス又は天然のポリ
マーのいずれでも良く、また疎水的、又は親水的のいず
れのバインダー種でも良い。特に親水的バインダーか、
疎水的又は親水的なポリマーラテックスを用いることが
好ましく、例えばポリビニルアルコール、ゼラチン、デ
キストラン、ポリアクリルアミド、スチレン/ブタジエ
ンコポリマーなどが挙げられる。特に、水系塗布液とし
て取り扱いが容易であり、高速塗布が可能であり、さら
にバインダーの硬膜が容易であるという点において、ゼ
ラチンが最も好ましいバインダーとして用いられる。
【0017】本発明において、固体微粒子状の染料を含
有する非感光性層のバインダー量としては、1平米当り
の塗布量が0.1g以上2.0g以下が好ましく、さら
に0.1g以上1.0g以下がより好ましい。
【0018】本発明において、固体微粒子状の染料と
は、露光波長に吸収を有するアンチハレーション染料を
指し、熱現像処理に対して非消色の染料、及び/又は、
熱現像処理に対して消色性の染料のいずれでも良く、あ
るいは両方の併用でも良い。
【0019】熱現像処理に対して非消色性又は消色性の
染料の添加量は、染料の用途により決定する。一般に
は、目的とする波長で測定したときの光学濃度(吸光
度)が0.1を越える量で使用する。該光学濃度は、
0.15〜2であることが好ましく0.2〜1であるこ
とがより好ましい。このような光学濃度を得るための染
料の使用量は、一般に0.001〜1g/m2程度であ
る。
【0020】本発明における固体微粒子状の染料として
は、露光波長が赤外域にある場合には赤外線吸収染料を
用いればよく、その場合には可視域に吸収を有しない熱
現像処理に対して非消色性の染料が好ましい。以下では
まず、熱現像処理に対して非消色性の染料について説明
する。
【0021】本発明において好ましい熱現像処理に対し
て非消色性の染料としては、公知の化合物を用いること
ができる。とりわけ、スクアリリウム染料は、可視域の
吸収が少ないことが好ましく、例えば、特開平10−2
4654号公報に記載された(S−1)〜(S−9)、
特開平10−36695号公報に記載された化合物1〜
9のジヒドロペリミジンスクアリリウム染料、特開平1
0−104779号公報に記載された化合物1〜20の
スクアリリウム染料、特開平10−158253号公報
に記載された化合物1〜13のナフトオキサジニンスク
アリリウム染料が好ましい。
【0022】上記の他に、本発明において好ましい熱現
像処理に対して非消色性の染料としては、チオピリリウ
ム核を有するスクアリリウム染料(以下「チオピリリウ
ムスクアリリウム染料」と称する場合がある。)及びピ
リリウム核を有するスクアリリウム染料(以下「ピリリ
ウムスクアリリウム染料」と称する場合がある。)、又
スクアリリウム染料に類似したチオピリリウムクロコニ
ウム染料、又はピリリウムクロコニウム染料が挙げられ
る。
【0023】尚、スクアリリウム核を有する化合物と
は、分子構造中に1−シクロブテン−2−ヒドロキシ−
4−オンを有する化合物であり、クロコニウム核を有す
る化合物とは分子構造中に1−シクロペンテン−2−ヒ
ドロキシ−4,5−ジオンを有する化合物である。ここ
で、ヒドロキシ基は解離していてもよい。以下、これら
の染料を便宜的に一括して「スクアリリウム染料」と称
する。
【0024】本発明において好ましく用いられる熱現像
処理に対して非消色性の染料は、以下の一般式(1)で
表される化合物であることが特に好ましい。
【0025】
【化1】
【0026】一般式(1)において、R1、R2は各々1
価の置換基を表す。該1価の置換基としては特に制限は
ないが、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソ
プロピル基、ターシャリーブチル基、メトキシエチル
基、メトキシエトキシエチル基、2−エチルヘキシル
基、2−ヘキシルデシル基、ベンジル基等)、アリール
基(例えばフェニル基、4−クロロフェニル基、2、6
−ジメチルフェニル基等)であることが好ましく、アル
キル基であることがより好ましく、ターシャリーブチル
基であることが特に好ましい。R1、R2は共同して環を
形成してもよい。m、nは各々0から4の整数を表し、
2以下であることが好ましい。
【0027】以下に一般式(1)において好ましい染料
(1−1〜1−13)を例示する。しかしながら本発明
はこれらの染料に限定されない。
【0028】
【化2】
【0029】
【化3】
【0030】
【化4】
【0031】本発明においては、熱現像処理に対して消
色性の染料も好ましく用いることができる。以下では、
消色される染料について説明する。本発明における固体
微粒子状の染料は、可視域に吸収を有する染料を用いて
ハレーション防止を行う場合には、画像形成後には染料
の色が実質的に残らないようにすることが好ましく、熱
現像の熱により消色する手段を用いることが好ましい。
特に非感光性層に塩基プレカーサーを添加し、熱現像処
理に対して消色性の染料を用いることが好ましい。尚、
塩基プレカーサーについては後述する。
【0032】本発明において熱現像処理に対して消色性
の染料としては、特に塩基により漂白可能な染料又はそ
の塩(以下、「消色染料」という場合がある。)が好ま
しく用いられる。好ましくは下記一般式(2)で表され
るシアニン染料又はその塩である。
【0033】
【化5】
【0034】一般式(2)中、R1は電子吸引性基を表
し、R2は水素原子、脂肪族基又は芳香族基を表し、R3
及びR4は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、
脂肪族基、芳香族基、−NR67、−OR6又はSR7
表し、R6及びR7は、それぞれ独立に水素原子、脂肪族
基又は芳香族基を表し、R5は脂肪族基を表し、L1、L
2及びL3は、それぞれ独立に、置換されていてもよいメ
チンであって、メチンの置換基が結合して不飽和脂肪族
環又は不飽和複素環を形成してもよい。Z1及びZ2は、
それぞれ独立に5員又は6員の含窒素複素環を形成する
原子団であって、含窒素複素環には芳香族環が縮合して
いてもよく、含窒素複素環及びその縮合環は置換基を有
していてもよい。mは、0、1、2又は3を表す。
【0035】一般式(2)で表される化合物について詳
細に説明する。一般式(2)中、R 1は電子吸引性基を
表し、その程度としてはハメットの置換基定数σm(例
えばChem.Rev.,91,165(1991).
に記載されている)が0.3以上1.5以下のものが好
ましく、−C(=O)R11、−SOpR12で表される置
換基、シアノ基が挙げられ、−C(=O)R11が好まし
い。R11は水素原子、脂肪族基、芳香族基、−OR13
−SR13又はNR1314を表し、R12は脂肪族基、芳香
族基、−OR13、又はNR1314を表し、pは1又は2
を表す。ここで、R13、R14はそれぞれ独立に水素原
子、脂肪族基、又は芳香族基であるか、あるいはR13
14とが結合して含窒素複素環を形成する。R1として
更に好ましくは−C(=O)R11であり、そのうちR11
が−OR13又はNR1314のものがより好ましく、感光
材料の保存性の点で−NR1314が最も好ましい。
【0036】上記「脂肪族基」とは、アルキル基、置換
アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキ
ニル基、置換アルキニル基、アラルキル基又は置換アラ
ルキル基を意味する。本発明ではアルキル基、置換アル
キル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アラルキル
基及び置換アラルキル基が好ましく、アルキル基、置換
アルキル基、アラルキル基及び置換アラルキル基が更に
好ましい。また、環状脂肪族基よりも鎖状脂肪族基が好
ましい。鎖状脂肪族基は分岐を有していてもよい。アル
キル基の炭素原子数は、1〜30であることが好まし
く、1〜20であることがより好ましく、1〜15であ
ることが更に好ましい。置換アルキル基のアルキル部分
は、アルキル基と同様である。
【0037】アルケニル基及びアルキニル基の炭素原子
数は、2〜30であることが好ましく、2〜20である
ことがより好ましく、2〜15であることが更に好まし
い。置換アルケニル基のアルケニル部分及び置換アルキ
ニル基のアルキニル部分は、それぞれアルケニル基及び
アルキニル基と同様である。
【0038】アラルキル基の炭素原子数は、2〜30で
あることが好ましく、2〜20であることがより好まし
く、2〜15であることが更に好ましい。置換アラルキ
ル基のアラルキル部分は、それぞれアラルキル基と同様
である。
【0039】上記「芳香族基」とは、アリール基又は置
換アリール基を意味する。アリール基の炭素原子数は、
6〜30であることが好ましく、6〜20であることが
より好ましく、6〜15であることが更に好ましい。置
換アリール基のアリール部分は、アリール基と同様であ
る。
【0040】上述した各基が有してもよい置換基には特
に制限はない。例えばカルボキシル基(塩になっていて
もよい)、スルホ基(塩になっていてもよい)、炭素数
1〜20のスルホンアミド基(例えばメタンスルホンア
ミド、ベンゼンスルホンアミド、ブタンスルホンアミ
ド、n−オクタンスルホンアミド)、炭素数0〜20の
スルファモイル基(例えば無置換のスルファモイル、メ
チルスルファモイル、フェニルスルファモイル、ブチル
スルファモイル)、炭素数2〜20のスルホニルカルバ
モイル基(例えばメタンスルホニルカルバモイル、プロ
パンスルホニルカルバモイル、ベンゼンスルホニルカル
バモイル)、炭素数1〜20のアシルスルファモイル基
(例えばアセチルスルファモイル、プロピオニルスルフ
ァモイル、ベンゾイルスルファモイル)、炭素数1〜2
0の鎖状又は環状のアルキル基(例えばメチル、エチ
ル、シクロヘキシル、トリフルオロメチル、2−ヒドロ
キシエチル、4−カルボキシブチル、2−メトキシエチ
ル、2−エトキシエチル、ベンジル、4−カルボキシベ
ンジル、2−ジエチルアミノエチル)、炭素数2〜20
のアルケニル基(例えばビニル、アリル)、炭素数1〜
20のアルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、ブト
キシ)、ハロゲン原子(例えばF、Cl、Br)、炭素
数0〜20のアミノ基(例えば無置換のアミノ基、ジメ
チルアミノ、ジエチルアミノ、カルボキシエチルアミ
ノ)、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基(例え
ばメトキシカルボニル)、炭素数1〜20のアミド基
(例えばアセトアミド、ベンズアミド、4−クロロベン
ズアミド)、炭素数1〜20のカルバモイル基(例えば
無置換のカルバモイル、メチルカルバモイル、フェニル
カルバモイル、ベンゾイミダゾール−2−オンカルバモ
イル)、炭素数6〜20のアリール基(例えばフェニ
ル、ナフチル、4−カルボキシフェニル、4−メタンス
ルホンアミドフェニル、3−ベンゾイルアミノフェニ
ル)、炭素数6〜20のアリールオキシ基(例えばフェ
ノキシ、3−メチルフェノキシ、ナフトキシ)、炭素数
1〜20のアルキルチオ基(例えばメチルチオ、オクチ
ルチオ)、炭素数6〜20のアリールチオ基(例えばフ
ェニルチオ、ナフチルチオ)、炭素数1〜20のアシル
基(例えばアセチル、ベンゾイル、4−クロロベンゾイ
ル)、炭素数1〜20のスルホニル基(例えばメタンス
ルホニル、ベンゼンスルホニル)、炭素数1〜20のウ
レイド基(例えばメチルウレイド、フェニルウレイ
ド)、炭素数2〜20のアルコキシカルボニルアミノ基
(例えばメトキシカルボニルアミノ、ヘキシルオキシカ
ルボニルアミノ)、シアノ基、水酸基、ニトロ基、複素
環基(複素環として例えば5−エトキシカルボニルベン
ゾオキサゾール環、ピリジン環、スルホラン環、フラン
環、ピロール環、ピロリジン環、モルホリン環、ピペラ
ジン環、ピリミジン環、フタルイミド環、テトラクロロ
フタルイミド環、ベンゾイソキノリンジオン環)などを
挙げることができる。
【0041】一般式(2)において、R2は水素原子、
脂肪族基又は芳香族基である。脂肪族基と芳香族基の定
義は前述した通りである。R2は水素原子又は脂肪族基
であることが好ましく、水素原子又はアルキル基である
ことがより好ましく、水素原子又は炭素数が1〜15の
アルキル基であることが更に好ましく、水素原子である
ことが最も好ましい。
【0042】一般式(2)において、R3及びR4は、そ
れぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香
族基、−NR67、−OR6又はSR7である。R6及び
7はそれぞれ独立に水素原子、脂肪族基又は芳香族基
である。脂肪族基と芳香族基の定義は前述した通りであ
る。R3及びR4は、水素原子又は脂肪族基であることが
好ましく、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、ア
ラルキル基又は置換アラルキル基であることがより好ま
しく、水素原子、アルキル基又はアラルキル基であるこ
とがさらに好ましく、水素原子であることが最も好まし
い。
【0043】一般式(2)において、R5は脂肪族基で
ある。脂肪族基の定義は前述した通りである。R5は、
置換アルキル基であることが好ましい。合成が容易との
観点では、R5は、−CHR12と同じ定義を有する置
換アルキル基であることが特に好ましい。
【0044】一般式(2)において、L1、L2及びL3
は、それぞれ独立に、置換されていてもよいメチンであ
る。メチンの置換基の例には、ハロゲン原子、脂肪族基
及び芳香族基が含まれる。脂肪族基と芳香族基の定義は
前述した通りである。メチンの置換基が結合して不飽和
脂肪族環又は不飽和複素環を形成してもよい。不飽和複
素環よりも、不飽和脂肪族環の方が好ましい。形成する
環は、6員環又は7員環であることが好ましく、シクロ
ヘプテン環又はシクロヘキセン環であることがさらに好
ましい。メチンは、無置換であるか、あるいはシクロヘ
プテン環又はシクロヘキセン環を形成することが特に好
ましい。
【0045】一般式(2)において、Z1及びZ2は、そ
れぞれ独立に5員又は6員の含窒素複素環を形成する原
子団である。含窒素複素環の例には、オキサゾール環、
チアゾール環、セレナゾール環、ピロリン環、イミダゾ
ール環及びピリジン環などが含まれる。6員環よりも5
員環の方が好ましい。含窒素複素環には、芳香族環(ベ
ンゼン環、ナフタレン環)が縮合していてもよい。含窒
素複素環及びその縮合環は置換基を有していてもよい。
置換基は前で定義した通りである。一般式(2)におい
て、mは、0、1、2又は3である。
【0046】一般式(2)で表されるシアニン染料は、
アニオンと塩を形成して用いることが好ましい。一般式
(2)で表されるシアニン染料が置換基として、カルボ
キシルやスルホのようなアニオン性基を有する場合は、
染料が分子内塩を形成することができる。それ以外の場
合は、シアニン染料は、分子外のアニオンと塩を形成す
ることが好ましい。アニオンは一価又は二価であること
が好ましく、一価であることがさらに好ましい。アニオ
ンの例には、ハロゲンイオン(Cl-、Br-、I-)、
p−トルエンスルホン酸イオン、エチル硫酸イオン、
1,5−ジスルホナフタレンジアニオン、PF6 -、BF
4 -及びClO4 -が含まれる。特に好ましいシアニン染料
は、下記一般式(2a)で表される。
【0047】
【化6】
【0048】一般式(2a)において、R21、R22、R
23、R24、R25、L21、L22、L23及びm1は、それぞ
れ一般式(2a)におけるR1、R2、R3、R4、R5
1、L2、L3及びmと同義である。
【0049】また一般式(2a)において、Y21及びY
22は,それぞれ独立に、−CR26 27、−NR26−、−
O−、−S−又は−Se−である。R26及びR27は、そ
れぞれ独立に水素原子又は脂肪族基であり、互いに結合
して環を形成していてもよい。脂肪族基はアルキル基又
は置換アルキル基であることが特に好ましい。
【0050】一般式(2a)において、ベンゼン環Z21
及びZ22には、他のベンゼン環が縮合していてもよい。
ベンゼン環Z21、Z22及びそれらの縮合環は置換基を有
していてもよい。置換基は前で定義した通りである。
【0051】一般式(2a)において、m1は、0、
1、2又は3である。一般式(2a)で表されるシアニ
ン染料は、アニオンと塩を形成して用いることが好まし
い。塩の形成については、一般式(2)で説明した通り
である。
【0052】以下に、塩基により漂白可能な染料又はそ
の塩の具体例((1)〜(43))を示すが、これらに
限定されるものではない。
【0053】
【化7】
【0054】
【化8】
【0055】
【化9】
【0056】
【化10】
【0057】
【化11】
【0058】
【化12】
【0059】
【化13】
【0060】
【化14】
【0061】
【化15】
【0062】
【化16】
【0063】本発明においては、非感光性層が塩基プレ
カーサーを含有することが好ましい。ここでは該塩基プ
レカーサーについて説明する。本発明において使用する
ことのできる塩基プレカーサーには様々な種類がある
が、消色反応は加熱条件下で実施するため、加熱により
塩基を生成(又は放出)する種類のプレカーサーを用い
るのが好ましい。加熱により塩基を生成する塩基プレカ
ーサーとしては、カルボン酸と塩基との塩からなる熱分
解型(脱炭酸型)塩基プレカーサーが代表的である。脱
炭酸型塩基プレカーサーを加熱すると、カルボン酸のカ
ルボキシル基が脱炭酸反応し、有機塩基が放出される。
カルボン酸としては、脱炭酸しやすいスルホニル酢酸や
プロピオール酸を用いる。スルホニル酢酸及びプロピオ
ール酸は、脱炭酸を促進する芳香族性を有する基(アリ
ール基や不飽和複素環基)を置換基として有することが
好ましい。スルホニル酢酸塩の塩基プレカーサーについ
ては特開昭59−168441号公報に、プロピオール
酸塩の塩基プレカーサーについては特開昭59−180
537号公報にそれぞれ記載がある。
【0064】脱炭酸型塩基プレカーサーの塩基側成分と
しては、有機塩基が好ましく、アミジン、グアニジン又
はそれらの誘導体であることがさらに好ましい。有機塩
基は、二酸塩基、三酸塩基又は四酸塩基であることが好
ましく、二酸塩基であることがさらに好ましく、アミジ
ン誘導体又はグアニジン誘導体の二酸塩基であることが
最も好ましい。
【0065】アミジン誘導体の二酸塩基、三酸塩基又は
四酸塩基のプレカーサーについては、特公平7−595
45号公報に記載がある。グアニジン誘導体の二酸塩
基、三酸塩基又は四酸塩基のプレカーサーについては、
特公平8−10321号公報に記載がある。
【0066】アミジン誘導体又はグアニジン誘導体の二
酸塩基は、(A)二つのアミジン部分又はグアニジン部
分、(B)アミジン部分又はグアニジン部分の置換基及
び(C)二つのアミジン部分又はグアニジン部分を結合
する二価の連結基からなる。(B)の置換基の例には、
アルキル基(シクロアルキル基を含む)、アルケニル
基、アルキニル基、アラルキル基及び複素環残基が含ま
れる。二個以上の置換基が結合して含窒素複素環を形成
してもよい。(C)の連結基は、アルキレン基又はフェ
ニレン基であることが好ましい。
【0067】以下に、アミジン誘導体又はグアニジン誘
導体の二酸塩基プレカーサーの例(BP−1〜BP3
8)を示す。
【0068】
【化17】
【0069】
【化18】
【0070】
【化19】
【0071】
【化20】
【0072】
【化21】
【0073】
【化22】
【0074】本発明においては、塩基プレカーサーと混
合すると3℃以上30℃以下の範囲で該塩基プレカーサ
の融点を降下させる物質(以下、「融点降下剤」と呼
ぶ)を用いることが好ましい。これは、塩基プレカーサ
ーと融点降下剤との混合物の融点が、塩基プレカーサー
単独の融点よりも3℃以上30℃以下の範囲で低くなる
ものであり、3〜20℃低くなるものがより好ましく、
5〜15℃低くなるものが更に好ましい。塩基プレカー
サーと融点降下剤との粉末を混合するか、又は分散物を
混合室温乾燥させ、そのサンプルについて示差走査熱量
測定(DSC)などを行えば、融点の変化を観察でき
る。融点降下剤は2種類以上を同時に併用してもよい。
【0075】また、融点降下剤は、1種類の化合物で融
点を3℃(deg)以上30℃以下の範囲で降下させる
物質でもよく、2種類以上の化合物を用いることではじ
めて融点を3℃以上30℃以下の範囲で降下させること
になる場合でもよい。
【0076】その添加方法は、塩基プレカーサーとの混
合物の共分散物として添加することが好ましく、特に固
体微粒子分散物として添加することが好ましい。この場
合の微粒子の平均一次粒径は0.03〜0.3μmであ
ることが好ましい。
【0077】本発明においては、塩基により漂白可能な
染料又はその塩、及び塩基プレカーサーを含有する非感
光性層を設け、該層に隣接する非感光性層に融点降下剤
を含有させることが、感光材料の残色が少ないという点
で好ましい。また、本発明においては、塩基により漂白
可能な染料又はその塩、塩基プレカーサー、及び第一の
融点降下剤を含有する非感光性層を設け、該層に隣接す
る非感光性層に第二の融点降下剤を含有させることが、
感光材料の残色が少ないという点で好ましい。
【0078】本発明において、好ましい融点降下剤につ
いて、詳述する。好ましい融点降下剤としては下記一般
式(M1)〜(M3)で表される化合物が挙げられる。
【0079】
【化23】
【0080】一般式(M1)中、R11及びR12は、それ
ぞれ独立に脂肪族基、芳香族基又は複素環基を表す。た
だし、R12が脂肪族基の場合、R11は、芳香族基又は複
素環基を表す。
【0081】一般式(M1)で表される化合物について
詳細に説明する。上記「脂肪族基」とは、アルキル基、
置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、ア
ルキニル基、置換アルキニル基、アラルキル基又は置換
アラルキル基を意味する。本発明ではアルキル基、置換
アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アラル
キル基及び置換アラルキル基が好ましく、アルキル基、
置換アルキル基、アラルキル基及び置換アラルキル基が
更に好ましい。鎖状脂肪族基は分岐を有していてもよ
い。
【0082】アルキル基の炭素原子数は、1〜30であ
ることが好ましく、1〜20であることがより好まし
く、1〜15であることが更に好ましい。置換アルキル
基のアルキル部分は、アルキル基と同様である。
【0083】アルケニル基及びアルキニル基の炭素原子
数は、2〜30であることが好ましく、2〜20である
ことがより好ましく、2〜15であることが更に好まし
い。置換アルケニル基のアルケニル部分及び置換アルキ
ニル基のアルキニル部分は、それぞれアルケニル基及び
アルキニル基と同様である。
【0084】アラルキル基の炭素原子数は、2〜30で
あることが好ましく、2〜20であることがより好まし
く、2〜15であることが更に好ましい。置換アラルキ
ル基のアラルキル部分は、それぞれアラルキル基と同様
である。
【0085】上記「芳香族基」とは、単環もしくは縮合
環のアリール基で、置換基を有していてもよい。アリー
ル基の炭素原子数は、6〜30であることが好ましく、
6〜20であることがより好ましく、6〜15であるこ
とが更に好ましい。置換アリール基のアリール部分は、
アリール基と同様である。例えばベンゼン環、ナフタレ
ン環が挙げられる。
【0086】上記「複素環基」とは、5員又は6員の、
複素環又は置換複素環基を意味する。置換複素環基の複
素環部分は、複素環基と同様である。
【0087】複素環基の例としては、複素環としてピロ
ール、インドール、フラン、チオフェン、イミダゾー
ル、ピラゾール、インドリジン、キノリン、カルバゾー
ル、フェノチアジン、インドリン、チアゾール、ピリジ
ン、ピリダジン、チアジアジン、ピラン、チオピラン、
オキサジアゾール、ベンゾキノリン、チアジアゾール、
ピロロチアゾール、ピロロピリダジン、テトラゾール、
オキサゾール、クマリン、及びクロマンなどを挙げるこ
とができる。これらはそれぞれ置換基を有していてもよ
い。
【0088】上述した各基が有してもよい置換基は、カ
ルボキシル基及びカルボキシル基の塩以外であれば特に
制限はない。置換基としては例えば、炭素数1〜20の
スルホンアミド基(例えばメタンスルホンアミド、ベン
ゼンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド、n−オク
タンスルホンアミド)、炭素数0〜20のスルファモイ
ル基(例えば無置換のスルファモイル、メチルスルファ
モイル、フェニルスルファモイル、ブチルスルファモイ
ル)、炭素数2〜20のスルホニルカルバモイル基(例
えばメタンスルホニルカルバモイル、プロパンスルホニ
ルカルバモイル、ベンゼンスルホニルカルバモイル)、
炭素数1〜20のアシルスルファモイル基(例えばアセ
チルスルファモイル、プロピオニルスルファモイル、ベ
ンゾイルスルファモイル)、炭素数1〜20の鎖状又は
環状のアルキル基(例えばメチル、エチル、シクロヘキ
シル、2−ヒドロキシエチル、4−カルボキシブチル、
2−メトキシエチル、ベンジル、4−カルボキシベンジ
ル、2−ジエチルアミノエチル)、炭素数2〜20のア
ルケニル基(例えばビニル、アリル)、炭素数1〜20
のアルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、ブトキ
シ)、ハロゲン原子(例えばF、Cl、Br)、炭素数
0〜20のアミノ基(例えば無置換のアミノ基、ジメチ
ルアミノ、ジエチルアミノ、カルボキシエチルアミ
ノ)、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基(例え
ばメトキシカルボニル)、炭素数1〜20のアミド基
(例えばアセトアミド、ベンズアミド)、炭素数1〜2
0のカルバモイル基(例えば無置換のカルバモイル、メ
チルカルバモイル、フェニルカルバモイル)、炭素数6
〜20のアリール基(例えばフェニル、ナフチル、4−
カルボキシフェニル、4−メタンスルホンアミドフェニ
ル、3−ベンゾイルアミノフェニル)、炭素数6〜20
のアリールオキシ基(例えばフェノキシ、3−メチルフ
ェノキシ、ナフトキシ)、炭素数1〜20のアルキルチ
オ基(例えばメチルチオ、オクチルチオ)、炭素数6〜
20のアリールチオ基(例えばフェニルチオ、ナフチル
チオ)、炭素数1〜20のアシル基(例えばアセチル、
ベンゾイル、4−クロロベンゾイル)、炭素数1〜20
のスルホニル基(例えばメタンスルホニル、ベンゼンス
ルホニル)、炭素数1〜20のウレイド基(例えばメチ
ルウレイド、フェニルウレイド)、炭素数2〜20のア
ルコキシカルボニルアミノ基(例えばメトキシカルボニ
ルアミノ、ヘキシルオキシカルボニルアミノ)、シアノ
基、水酸基、ニトロ基、複素環基(例えば5−エトキシ
カルボニルベンゾオキサゾール環、ピリジン環、スルホ
ラン環、フラン環、ピロール環、ピロリジン環、モルホ
リン環、ピペラジン環、ピリミジン環)などを挙げるこ
とができる。
【0089】R11としては芳香族基が好ましく、置換ア
リール基の置換基としてより好ましいものとしては、置
換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の
アリール基、置換もしくは無置換のアラルキル基、アシ
ル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、アルコ
キシ基、置換もしくは無置換のカルバモイル基、ハロゲ
ン原子が挙げられる。置換もしくは無置換のアルキル
基、置換もしくは無置換のアリール基、スルホニル基、
アルコキシ基、ハロゲン原子が更に好ましく、置換もし
くは無置換のアルキル基、スルホニル基、ハロゲン原子
が最も好ましい。
【0090】R12としては芳香族基及び複素環基が好ま
しく、R12が芳香族基である場合には、置換アリール基
の置換基としてより好ましいものとしては、置換もしく
は無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール
基、置換もしくは無置換のアラルキル基、アシル基、ス
ルホニル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、
置換もしくは無置換のカルバモイル基、ハロゲン原子が
挙げられる。置換もしくは無置換のアルキル基、置換も
しくは無置換のアリール基、スルホニル基、アルコキシ
基、ハロゲン原子が更に好ましく、置換もしくは無置換
のアルキル基、スルホニル基、ハロゲン原子が最も好ま
しい。R11又はR12が脂肪族基の場合、アラルキル基が
好ましい。
【0091】以下に一般式(M1)で表される化合物の
具体例(M1−1〜M1−17)を示すが、これらに限
定されるものではない。
【0092】
【化24】
【0093】
【化25】
【0094】好ましい融点降下剤として本発明に用いる
ことができる一般式(M2)で表される化合物について
説明する。
【0095】
【化26】
【0096】一般式(M2)中、R21及びR22は、それ
ぞれ独立に芳香族基又は複素環基を表し、Xは、スルホ
ニル基及びカルボキシ基以外の連結基を表す。
【0097】「芳香族基」とは、前述した一般式(M
1)の「芳香族基」と同義である。また、「複素環基」
も、前述した一般式(M1)の「複素環基」と同義であ
る。
【0098】上述した各基が有してもよい置換基につい
ては、前述した一般式(M1)の「各基が有してもよい
置換基」と同義である。一般式(M2)は、一般式(M
1)を含まない。Xで表される連結基としては、2価の
連結基が好ましく用いられるが、3価以上の連結基の場
合にはR21及びR22とは独立に水素原子、脂肪族基、芳
香族基又は複素環基から選ばれる置換基を有することが
できる。具体的な連結基の例としては、−C(=O)
−、−OC(=O)O−、−SO−、炭素数1から3の
置換又は無置換のメチレン鎖、−C(=O)−C(=
O)−、−C(OH)−C(=O)−、−S−、−O−
及び以下に示すものなどを挙げることができる。
【0099】
【化27】
【0100】R21としては芳香族基が好ましく、置換ア
リール基の置換基としてより好ましいものとしては、置
換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の
アリール基、置換もしくは無置換のアラルキル基、アシ
ル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、アルコ
キシ基、置換もしくは無置換のカルバモイル基、ハロゲ
ン原子が挙げられる。置換もしくは無置換のアルキル
基、置換もしくは無置換のアリール基、スルホニル基、
アルコキシ基、ハロゲン原子が更に好ましく、置換もし
くは無置換のアルキル基、スルホニル基、ハロゲン原子
が最も好ましい。
【0101】R22としては芳香族基が好ましい。R22
芳香族基である場合には、置換アリール基の置換基とし
てより好ましいものとしては、置換もしくは無置換のア
ルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もし
くは無置換のアラルキル基、アシル基、スルホニル基、
アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、置換もしくは
無置換のカルバモイル基、ハロゲン原子が挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換
のアリール基、スルホニル基、アルコキシ基、ハロゲン
原子が更に好ましく、置換もしくは無置換のアルキル
基、スルホニル基、ハロゲン原子が最も好ましい。また
21及びR22が脂肪族基である場合、アラルキル基が好
ましい。また、R21及びR22の置換基は互いに結合して
Xとともに環を形成してもよい。
【0102】以下に一般式(M2)で表される化合物の
具体例(M2−1〜M2−16)を示すが、これらに限
定されるものではない。
【0103】
【化28】
【0104】
【化29】
【0105】好ましい融点降下剤として本発明に用いる
ことができる一般式(M3)で表される化合物について
説明する。
【0106】
【化30】
【0107】一般式(M3)中、R31及びR32は、それ
ぞれ独立に芳香族基又は複素環基を表す。但し、一般式
(M3)で表される化合物は、カルボキシル基又はカル
ボキシル基の塩を置換基として有しない。
【0108】「芳香族基」とは、前述した一般式(M
1)の「芳香族基」と同義である。また、「複素環基」
も、前述した一般式(M1)の「複素環基」と同義であ
る。
【0109】上述した各基が有してもよい置換基につい
ては、前述した一般式(M1)の「各基が有してもよい
置換基」と同義である。
【0110】R31としては芳香族基が好ましく、置換ア
リール基の置換基としてより好ましいものとしては、置
換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の
アリール基、置換もしくは無置換のアラルキル基、アシ
ル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、アルコ
キシ基、置換もしくは無置換のカルバモイル基、ハロゲ
ン原子が挙げられる。置換もしくは無置換のアルキル
基、置換もしくは無置換のアリール基、スルホニル基、
アルコキシ基、ハロゲン原子が更に好ましく、置換もし
くは無置換のアルキル基、スルホニル基、ハロゲン原子
が最も好ましい。
【0111】R32としては芳香族基が好ましい。R32
芳香族基である場合には、置換アリール基の置換基とし
てより好ましいものとしては、置換もしくは無置換のア
ルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もし
くは無置換のアラルキル基、アシル基、スルホニル基、
アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、置換もしくは
無置換のカルバモイル基、ハロゲン原子が挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換
のアリール基、スルホニル基、アルコキシ基、ハロゲン
原子が更に好ましく、置換もしくは無置換のアルキル
基、スルホニル基、ハロゲン原子が最も好ましい。一般
式(M3)で表される化合物の好ましい具体例(M3−
1〜M3−14)を示すがこれに限定されるものではな
い。
【0112】
【化31】
【0113】
【化32】
【0114】一般式(M1)〜(M3)で表される化合
物の融点は、塩基プレカーサーと同じか又はそれよりも
高いものが好ましく、70℃〜400℃の融点を有する
ものがより好ましく、100℃〜300℃の融点を有す
るものが更に好ましい。本発明において、一般式(M
1)〜(M3)で表される化合物の総使用量は、塩基プ
レカーサー100質量部に対して、20質量部以上20
0質量部以下であることが好ましい。また、一般式(M
1)〜(M3)で表される化合物は、染料消色後の画像
のバックグラウンドに残留するので400nmから70
0nmに吸収極大を有したり、熱現像感光材料中で実質
的に問題となる吸収を与えたりしないものが好ましい。
また、400nm以下の吸収も熱現像感光材料中で実質
的に問題となる吸収を与えたりしないものが好ましい。
【0115】本発明の熱現像感光材料においては、アン
チハレーション層を感光性層に対して光源から遠い側に
設けることができる。
【0116】熱現像感光材料は一般に、感光性層に加え
て非感光性層を有する。非感光性層は、その配置から
(1)感光性層の上(支持体よりも遠い側)に設けられ
る保護層、(2)複数の感光性層の間や感光性層と保護
層の間に設けられる中間層、(3)感光性層と支持体と
の間に設けられる下塗り層、(4)感光性層の反対側に
設けられるバック層に分類できる。フィルター層は、
(1)または(2)の層として熱現像感光材料に設けら
れる。アンチハレーション層は、(3)または(4)の
層として熱現像感光材料に設けられる。
【0117】アンチハレーション層については特開平1
1−65021号公報段落番号[0123]〜[012
4]、特開平11−223898号公報、同9−230
531号公報、同10−36695号公報、同10−1
04779号公報、同11−231457号公報、同1
1−352625号公報、同11−352626号公報
等に記載されている。アンチハレーション層には、露光
波長に吸収を有するアンチハレーション染料を含有す
る。露光波長が赤外域にある場合には赤外線吸収染料を
用いればよく、その場合には可視域に吸収を有しない染
料が好ましい。可視域に吸収を有する染料を用いてハレ
ーション防止を行う場合には、画像形成後には染料の色
が実質的に残らないようにすることが好ましく、熱現像
の熱により消色する手段を用いることが好ましく、特に
非感光性層に熱消色染料と塩基プレカーサーとを添加し
てアンチハレーション層として機能させることが好まし
い。これらの技術については特開平11−231457
号公報等に記載されている。
【0118】消色染料の添加量は、染料の用途により決
定する。一般には、目的とする波長で測定したときの光
学濃度(吸光度)が0.1を越える量で使用する。光学
濃度は、0.15〜2であることが好ましく0.2〜1
であることがより好ましい。このような光学濃度を得る
ための染料の使用量は、一般に0.001〜1g/m 2
程度である。
【0119】なお、このように染料を消色すると、熱現
像後の光学濃度を0.1以下に低下させることができ
る。二種類以上の消色染料を、熱消色型記録材料や熱現
像感光材料において併用してもよい。同様に、二種類以
上の塩基プレカーサーを併用してもよい。このような消
色染料と塩基プレカーサーとを用いる熱消色において
は、特開平11−352626号公報に記載のような塩
基プレカーサーと混合すると融点を3℃(deg)以上
降下させる物質(例えば、ジフェニルスルホン、4−ク
ロロフェニル(フェニル)スルホン)、2−ナフチルベ
ンゾエート等を併用することが熱消色性等の点で好まし
い。
【0120】本発明においては、銀色調、画像の経時変
化を改良する目的で300〜450nmに吸収極大を有
する着色剤を添加することができる。このような着色剤
は、特開昭62−210458号公報、同63−104
046号公報、同63−103235号公報、同63−
208846号公報、同63−306436号公報、同
63−314535号公報、特開平01−61745号
公報、特開平2001−100363号公報などに記載
されている。このような着色剤は、通常、0.1mg/
2〜1g/m2の範囲で添加され、添加する層としては
感光性層の反対側に設けられるバック層が好ましい。
【0121】本発明における熱現像感光材料は、支持体
の一方の側に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤を含む
感光性層を有し、他方の側にバック層を有する、いわゆ
る片面感光材料であることが好ましい。
【0122】本発明において、搬送性改良のためにマッ
ト剤を添加することが好ましく、マット剤については、
特開平11−65021号公報段落番号[0126]〜
[0127]に記載されている。マット剤は感光材料1
2当たりの塗布量で示した場合、好ましくは1〜40
0mg/m2、より好ましくは5〜300mg/m2であ
る。本発明においてマット剤の形状は定型、不定形のい
ずれでもよいが好ましくは定型で、球形が好ましく用い
られる。平均粒径は0.5〜10μmであることが好ま
しく、より好ましくは1.0〜8.0μm、さらに好ま
しくは2.0〜6.0μmの範囲である。また、サイズ
分布の変動係数としては50%以下であることが好まし
く、より好ましくは40%以下、さらに好ましくは、3
0%以下である。ここで変動係数とは(粒径の標準偏
差)/(粒径の平均値)×100で表される値である。
また、変動係数が小さいマット剤で平均粒径の比が3よ
り大きいものを2種併用することも好ましい。また、乳
剤面のマット度は星屑故障が生じなければいかようでも
良いが、ベック平滑度が30秒以上2000秒以下が好
ましく、特に40秒以上1500秒以下が好ましい。ベ
ック平滑度は、日本工業規格(JIS)P8119「紙
および板紙のベック試験器による平滑度試験方法」およ
びTAPPI標準法T479により容易に求めることが
できる。
【0123】本発明においてバック層のマット度として
はベック平滑度が1200秒以下10秒以上が好まし
く、800秒以下20秒以上が好ましく、さらに好まし
くは500秒以下40秒以上である。
【0124】本発明において、マット剤は感光材料の最
外表面層もしくは最外表面層として機能する層、あるい
は外表面に近い層に含有されるのが好ましく、またいわ
ゆる保護層として作用する層に含有されることが好まし
い。
【0125】本発明に適用することのできるバック層に
ついては特開平11−65021号公報段落番号[01
28]〜[0130]に記載されている。塩基プレカー
サーの使用量(モル)は、消色染料の使用量(モル)の
1〜100倍であることが好ましく、3〜30倍である
ことがさらに好ましい。消色染料は、以上述べたような
消色反応を利用して、様々な用途に用いることができ
る。例えば、消色染料と塩基プレカーサーとの溶液を、
熱消色性インクとして用いることができる。また、消色
染料と塩基プレカーサーの溶液を、透明支持体に塗布し
たものを熱消色型シート(フィルター)として用いるこ
ともできる。
【0126】さらに、消色染料と塩基プレカーサーとを
熱消色型記録材料に応用することもできる。熱消色型記
録材料は、支持体(好ましくは透明支持体)上に記録層
を有する。消色染料は、分子状又は固体微粒子状で記録
層中に分散する。分子状に分散する場合は、消色染料の
溶液を記録層の塗布液に添加する。固体微粒子状に分散
する場合は、消色染料の固体微粒子の分散液を記録層の
塗布液に添加する。塩基プレカーサーは、固体微粒子状
で記録層中に分散することが好ましい。記録層は、さら
にバインダーを含むことが好ましい。バインダーとして
は、親水性ポリマー(例、ポリビニルアルコール、ゼラ
チン、デキストラン、ポリアクリルアミド)が好ましく
用いられる。
【0127】消色染料を含む層におけるバインダーの使
用量は、消色染料がバインダーの0.1〜60質量%の
塗布量となるように調整することが好ましい。消色染料
は、バインダーの0.2〜30質量%であることが好ま
しく、0.5〜10質量%であることが最も好ましい。
【0128】本発明では熱現像感光材料の非感光性層に
消色染料と塩基プレカーサーとを添加して、非感光性層
をフィルター層又はアンチハレーション層として機能さ
せる。熱現像感光材料は一般に、感光性層に加えて非感
光性層を有する。非感光性層は、その配置から(1)感
光性層の上(支持体よりも遠い側)に設けられる保護
層、(2)複数の感光性層の間や感光性層と保護層との
間に設けられる中間層、(3)感光性層と支持体との間
に設けられる下塗り層、(4)感光性層の反対側に設け
られるバック層に分類できる。フィルター層は、(1)
又は(2)の層として感光材料に設けられる。アンチハ
レーション層は、(3)又は(4)の層として感光材料
に設けられる。本発明では特に(4)の態様が好まし
い。
【0129】消色染料と塩基プレカーサーとは、同一の
非感光性層に添加することが好ましい。ただし、隣接す
る二つの非感光性層に別々に添加してもよい。また、二
つの非感光性層の間にバリアー層を設けてもよい。本明
細書において「層が消色染料と塩基プレカーサー(及び
融点降下剤)とを含む」とは、「層」が複数である場
合、すなわち複数の層が消色染料と塩基プレカーサーと
を別々に含む隣接層の場合も含まれる。また、本発明で
はバリアー層を介する場合も隣接層とする。
【0130】消色染料を非感光性層に添加する方法とし
ては、溶液、乳化物、固体微粒子分散物あるいはポリマ
ー含浸物を非感光性層の塗布液に添加する方法が採用で
きる。また、ポリマー媒染剤を用いて非感光性層に消色
染料を添加してもよい。これらの添加方法は、通常の熱
現像感光材料に染料を添加する方法と同様である。ポリ
マー含浸物に用いるラテックスについては、米国特許4
199363号明細書、西独特許公開25141274
号公報、同2541230号公報、欧州特許公開029
104号公報及び特公昭53−41091号公報に記載
がある。また、ポリマーを溶解した溶液中に消色染料を
添加する乳化方法については、国際公開番号88/00
723号公報に記載がある。
【0131】消色染料の添加量は、染料の用途により決
定する。一般には、目的とする波長で測定したときの光
学濃度(吸光度)が0.1を超える量で使用する。光学
濃度は、0.2〜2であることが好ましい。このような
光学濃度を得るための染料の使用量は、感材1m2当た
りの塗布量で、一般に0.001〜1g/m2程度であ
る。好ましくは、0.005〜0.8g/m2程度であ
り、特に好ましくは、0.01〜0.2g/m2程度で
ある。
【0132】なお、本発明に従い染料を消色すると、光
学濃度を0.1以下に低下させることができる。二種類
以上の消色染料を、熱消色型記録材料や熱現像感光材料
において併用してもよい。同様に、二種類以上の塩基プ
レカーサーを併用してもよい。
【0133】本発明の熱現像感光材料は、支持体上に層
形成液を塗布し、乾燥した後に、65〜85℃の範囲で
加熱処理されることが、熱現像感光材料の残色が少ない
という点で好ましい。更に好ましい加熱処理温度は、7
5〜85℃である。
【0134】以下、熱現像感光材料について、さらに説
明する。熱現像感光材料は、モノシート型(受像材料の
ような他のシートを使用せずに、熱現像感光材料上に画
像を形成できる型)であることが好ましい。本発明は、
近赤外又は赤外露光用熱現像感光材料において特に有効
である。
【0135】本発明の熱現像感光材料は、非感光性銀
源、感光性ハロゲン化銀(触媒活性量の光触媒)及び還
元剤を含有し、また、これらを少なくとも一層の感光性
層に含有することが好ましい。該感光性層は、さらにバ
インダー(一般に合成ポリマー)を含有する。更にヒド
ラジン化合物(超硬調化剤)や色調調整剤(銀の色調を
制御する)を含むことが好ましい。複数の感光性層を設
けてもよい。例えば、階調の調節を目的として、高感度
感光性層と低感度感光性層とを熱現像感光材料に設ける
ことができる。高感度感光性層と低感度感光性層との配
列の順序は、低感度感光性層を下(支持体側)に配置し
ても、高感度感光性層を下に配置してもよい。
【0136】非感光性層は、前述した染料を含む層、す
なわちフィルター層やハレーション防止層に加えて、表
面保護層のような別の機能層として設けてもよい。
【0137】本発明に用いることのできる有機銀塩(非
感光性銀源)は、光に対して比較的安定であるが、露光
された光触媒(感光性ハロゲン化銀の潜像など)及び還
元剤の存在下で、80℃或いはそれ以上に加熱された場
合に銀画像を形成する銀塩である。有機銀塩は還元しう
る銀イオン源を含む任意の有機物質であってよい。この
ような非感光性の有機銀塩については、特開平10−6
2899号公報の段落番号[0048]〜[004
9]、欧州特許公開第0803764A1号公報の第1
8ページ第24行〜第19ページ第37行、欧州特許公
開第0962812A1号公報、特開平11−3495
91号公報、特開2000−7683号公報、同200
0−72711号公報等に記載されている。有機酸の銀
塩、特に(炭素数が10〜30、好ましくは15〜28
の)長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩が好ましい。脂肪酸銀
塩の好ましい例としては、リグノセリン酸、ベヘン酸
銀、アラキジン酸銀、ステアリン酸銀、オレイン酸銀、
ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミ
チン酸銀、エルカ酸およびこれらの混合物などを含む。
本発明においては、これら脂肪酸銀の中でも、ベヘン酸
銀含有率が好ましくは50モル%以上、より好ましくは
80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上の脂
肪酸銀を用いることが好ましい。
【0138】本発明に用いることができる有機銀塩の形
状としては特に制限はなく、針状、棒状、平板状、りん
片状いずれでもよい。本発明においてはりん片状の有機
銀塩が好ましい。また、長軸と単軸との長さの比が5以
下の短針状、直方体、立方体またはジャガイモ状の不定
形粒子も好ましく用いられる。これらの有機銀粒子は長
軸と単軸との長さの比が5以上の長針状粒子に比べて熱
現像時のカブリが少ないという特徴を有している。本明
細書において、「りん片状の有機銀塩」とは、次のよう
にして定義する。有機酸銀塩を電子顕微鏡で観察し、有
機酸銀塩粒子の形状を直方体と近似し、この直方体の辺
を一番短かい方からa、b、cとした(cはbと同じで
あってもよい。)とき、短い方の数値a、bで計算し、
次のようにしてxを求める。 x=b/a
【0139】このようにして200個程度の粒子につい
てxを求め、その平均値x(平均)としたとき、x(平
均)≧1.5の関係を満たすものをりん片状とする。好
ましくは30≧x(平均)≧1.5、より好ましくは2
0≧x(平均)≧2.0である。因みに針状とは1≦x
(平均)<1.5である。
【0140】りん片状粒子において、aはbとcとを辺
とする面を主平面とした平板状粒子の厚さとみることが
できる。aの平均は0.01μm以上0.23μm以下
が好ましく0.1μm以上0.20μm以下がより好ま
しい。c/bの平均は好ましくは1以上6以下、より好
ましくは1.05以上4以下、さらに好ましくは1.1
以上3以下、特に好ましくは1.1以上2以下である。
【0141】有機銀塩の粒子サイズ分布は単分散である
ことが好ましい。単分散とは短軸、長軸それぞれの長さ
の標準偏差を短軸、長軸それぞれで割った値の100分
率が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以
下、更に好ましくは50%以下である。有機銀塩の形状
の測定方法としては有機銀塩分散物の透過型電子顕微鏡
像より求めることができる。単分散性を測定する別の方
法として、有機銀塩の体積加重平均直径の標準偏差を求
める方法があり、体積加重平均直径で割った値の百分率
(変動係数)が好ましくは100%以下、より好ましく
は80%以下、更に好ましくは50%以下である。測定
方法としては例えば液中に分散した有機銀塩にレーザー
光を照射し、その散乱光のゆらぎの時間変化に対する自
己相関関数を求めることにより得られた粒子サイズ(体
積加重平均直径)から求めることができる。
【0142】本発明に用いられる有機酸銀の製造及びそ
の分散法は、公知の方法等を適用することができる。例
えば上記の特開平10−62899号公報、欧州特許公
開第0803763A1号公報、欧州特許公開第096
2812A1号公報、特開平11−349591号公
報、特開2000−7683号公報、同2000−72
711号公報、特願平11−348228〜30号明細
書、同11−203413号明細書、特願2000−9
0093号明細書、同2000−195621号明細
書、同2000−191226号明細書、同2000−
213813号明細書、同2000−214155号明
細書、同2000−191226号明細書等を参考にす
ることができる。
【0143】なお、有機銀塩の分散時に、感光性銀塩を
共存させると、カブリが上昇し、感度が著しく低下する
ため、分散時には感光性銀塩を実質的に含まないことが
より好ましい。本発明では、分散される水分散液中での
感光性銀塩量は、その液中の有機酸銀塩1molに対し
1mol%以下であることが好ましく、より好ましくは
0.1mol%以下であり、さらに好ましいのは積極的
な感光性銀塩の添加を行わないものである。
【0144】本発明において有機銀塩水分散液と感光性
銀塩水分散液とを混合して感光材料を製造することが可
能であるが、有機銀塩と感光性銀塩との混合比率は目的
に応じて選べるが、有機銀塩に対する感光性銀塩の割合
は1〜30モル%の範囲が好ましく、更に2〜20モル
%、特に3〜15モル%の範囲が好ましい。混合する際
に2種以上の有機銀塩水分散液と2種以上の感光性銀塩
水分散液を混合することは、写真特性の調節のために好
ましく用いられる方法である。
【0145】本発明の有機銀塩は所望の量で使用できる
が、銀量として0.1〜5g/m2が好ましく、より好
ましくは0.3〜3g/m2、さらに好ましくは0.5
〜2g/m2である。
【0146】本発明の熱現像感光材料には有機銀塩のた
めの還元剤である熱現像剤を含む。有機銀塩のための還
元剤は、銀イオンを金属銀に還元する任意の物質(好ま
しくは有機物質)であってよい。このような還元剤の例
は、特開平11−65021号公報の段落番号[004
3]〜[0045]や、欧州特許公開第0803764
A1号公報の第7ページ第34行〜第18ページ第12
行に記載されている。本発明において、還元剤としては
フェノール性水酸基のオルト位に置換基を有するいわゆ
るヒンダードフェノール系還元剤あるいはビスフェノー
ル系還元剤が好ましく、下記一般式(R)で表される化
合物がより好ましい。
【0147】
【化33】 (一般式(R)において、R11およびR11’は各々独立
に炭素数1〜20のアルキル基を表す。R12およびR
12'は各々独立に水素原子またはベンゼン環に置換可能
な置換基を表す。Lは−S−基または−CHR13−基を
表す。R13は水素原子または炭素数1〜20のアルキル
基を表す。X1およびX1’は各々独立に水素原子または
ベンゼン環に置換可能な基を表す。)
【0148】一般式(R)について詳細に説明する。R
11およびR11’は各々独立に置換または無置換の炭素数
1〜20のアルキル基であり、アルキル基の置換基は特
に限定されることはないが、好ましくは、アリール基、
ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アル
キルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホ
ンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、アシル基、
カルバモイル基、エステル基、ウレイド基、ウレタン
基、ハロゲン原子等があげられる。
【0149】R12およびR12’は各々独立に水素原子ま
たはベンゼン環に置換可能な置換基であり、X1および
1’も各々独立に水素原子またはベンゼン環に置換可
能な基を表す。それぞれベンゼン環に置換可能な基とし
ては、好ましくはアルキル基、アリール基、ハロゲン原
子、アルコキシ基、アシルアミノ基があげられる。
【0150】Lは−S−基または−CHR13−基を表
す。R13は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基
を表し、アルキル基は置換基を有していてもよい。R13
の無置換のアルキル基の具体例はメチル基、エチル基、
プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ウンデシル基、イ
ソプロピル基、1−エチルペンチル基、2,4,4−ト
リメチルペンチル基などがあげられる。アルキル基の置
換基の例はR11の置換基と同様の基があげられる。
【0151】R11およびR11’として好ましくは炭素数
3〜15の2級または3級のアルキル基であり、具体的
にはイソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、t
−アミル基、t−オクチル基、シクロヘキシル基、シク
ロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−メチ
ルシクロプロピル基などがあげられる。R11および
11’としてより好ましくは炭素数4〜12の3級アル
キル基で、その中でもt−ブチル基、t−アミル基、1
−メチルシクロヘキシル基が更に好ましく、t−ブチル
基が最も好ましい。
【0152】R12およびR12’として好ましくは炭素数
1〜20のアルキル基であり、具体的にはメチル基、エ
チル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、t−
ブチル基、t−アミル基、シクロヘキシル基、1−メチ
ルシクロヘキシル基、ベンジル基、メトキシメチル基、
メトキシエチル基などがあげられる。より好ましくはメ
チル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−
ブチル基である。X1およびX1’は、好ましくは水素原
子、ハロゲン原子、アルキル基で、より好ましくは水素
原子である。
【0153】Lは好ましくは−CHR13−基である。R
13として好ましくは水素原子または炭素数1〜15のア
ルキル基であり、アルキル基としてはメチル基、エチル
基、プロピル基、イソプロピル基、2,4,4−トリメ
チルペンチル基が好ましい。R13として特に好ましいの
は水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基またはイ
ソプロピル基である。
【0154】R13が水素原子である場合、R12およびR
12’は好ましくは炭素数2〜5のアルキル基であり、エ
チル基、プロピル基がより好ましく、エチル基が最も好
ましい。R13が炭素数1〜8の1級または2級のアルキ
ル基である場合、R12およびR12’はメチル基が好まし
い。R13の炭素数1〜8の1級または2級のアルキル基
としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピ
ル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基
が更に好ましい。R11、R11’、R12およびR12’がい
ずれもメチル基である場合には、R13は2級のアルキル
基であることが好ましい。この場合R13の2級アルキル
基としてはイソプロピル基、イソブチル基、1−エチル
ペンチル基が好ましく、イソプロピル基がより好まし
い。上記還元剤はR11、R11’、R12、R12’およびR
13の組み合わせにより、熱現像性、現像銀色調などが異
なる。2種以上の還元剤を組み合わせることでこれらを
調整することができるため、目的によっては2種以上を
組み合わせて使用することが好ましい。
【0155】以下に本発明の一般式(R)で表される化
合物をはじめとする本発明の還元剤の具体例(R−1〜
R−34)を示すが、本発明はこれらに限定されるもの
ではない。
【0156】
【化34】
【0157】
【化35】
【0158】
【化36】
【0159】
【化37】
【0160】本発明において還元剤の添加量は0.1〜
3.0g/m2であることが好ましく、より好ましくは
0.2〜1.5g/m2で、さらに好ましくは0.3〜
1.0g/m2である。画像形成層を有する面の銀1モ
ルに対しては5〜50%モル含まれることが好ましく、
より好ましくは8〜30モル%であり、10〜20モル
%で含まれることがさらに好ましい。還元剤は画像形成
層に含有させることが好ましい。
【0161】還元剤は溶液形態、乳化分散形態、固体微
粒子分散物形態など、いかなる方法で塗布液に含有せし
め、感光材料に含有させてもよい。よく知られている乳
化分散法としては、ジブチルフタレート、トリクレジル
フォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジ
エチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘ
キサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化
分散物を作製する方法が挙げられる。
【0162】また、固体微粒子分散法としては、還元剤
の粉末を水等の適当な溶媒中にボールミル、コロイドミ
ル、振動ボールミル、サンドミル、ジェットミル、ロー
ラーミルあるいは超音波によって分散し、固体分散物を
作成する方法が挙げられる。尚、その際に保護コロイド
(例えば、ポリビニルアルコール)、界面活性剤(例え
ばトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム
(3つのイソプロピル基の置換位置が異なるものの混合
物)などのアニオン性界面活性剤)を用いてもよい。上
記ミル類では分散媒体としてジルコニア等のビーズが使
われるのが普通であり、これらのビーズから溶出するZ
r等が分散物中に混入することがある。分散条件にもよ
るが通常は1ppm〜1000ppmの範囲である。感
材中のZrの含有量が銀1g当たり0.5mg以下であ
れば実用上差し支えない。水分散物には防腐剤(例えば
ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩)を含有させるこ
とが好ましい。
【0163】本発明の熱現像感光材料では、現像促進剤
として特開2000−267222号公報や特開200
0−330234号公報等に記載の一般式(A)で表さ
れるスルホンアミドフェノール系の化合物、特開平20
01−92075号公報に記載の一般式(II)で表され
るヒンダードフェノール系の化合物、特開平10−62
895号公報や特開平11−15116号公報等に記載
の一般式(I)、特願2001−074278号明細書
に記載の一般式(1)で表されるヒドラジン系の化合
物、特願平2000−76240号明細書に記載されて
いる一般式(2)で表されるフェノール系またはナフト
ール系の化合物が好ましく用いられる。これらの現像促
進剤は還元剤に対して0.1〜20モル%の範囲で使用
され、好ましくは0.5〜10モル%の範囲で、より好
ましくは1〜5モル%の範囲である。感材への導入方法
は還元剤同様の方法があげられるが、特に固体分散物ま
たは乳化分散物として添加することが好ましい。乳化分
散物として添加する場合、常温で固体である高沸点溶剤
と低沸点の補助溶剤とを使用して分散した乳化分散物と
して添加するか、もしくは高沸点溶剤を使用しない所謂
オイルレス乳化分散物として添加することが好ましい。
現像促進剤として好ましい具体例A−1〜A−10を示
す。
【0164】
【化38】
【0165】
【化39】
【0166】本発明における還元剤が芳香族性の水酸基
(−OH)を有する場合、特に前述のビスフェノール類
の場合には、これらの基と水素結合とを形成することが
可能な基を有する非還元性の化合物を併用することが好
ましい。本発明の水素結合性化合物は詳しくは欧州特許
1096310号明細書に記載されたものである。本発
明で、特に好ましい水素結合性の化合物は下記一般式
(D)で表される化合物である。
【0167】
【化40】
【0168】一般式(D)においてR21ないしR23は各
々独立にアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリ
ールオキシ基、アミノ基またはヘテロ環基を表し、これ
らの基は無置換であっても置換基を有していてもよい。
【0169】以下に本発明における一般式(D)の化合
物をはじめとする水素結合性化合物の具体例(D−1〜
D−21)を示すが、本発明はこれらに限定されるもの
ではない。
【0170】
【化41】
【0171】
【化42】
【0172】
【化43】
【0173】水素結合性化合物の具体例は上述の他に欧
州特許1096310号明細書、特願2000−270
498号明細書、同2001−124796号明細書に
記載のものがあげられる。本発明の一般式(D)の化合
物は、還元剤と同様に溶液形態、乳化分散形態、固体分
散微粒子分散物形態で塗布液に含有せしめ、熱現像感光
材料中で使用することができる。本発明の一般式(D)
の化合物は還元剤に対して、1〜200モル%の範囲で
使用することが好ましく、より好ましくは10〜150
モル%の範囲で、さらに好ましくは20〜100モル%
の範囲である。
【0174】本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀
は、ハロゲン組成として特に制限はなく、塩化銀、塩臭
化銀、臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩臭化銀、ヨウ化銀を
用いることができる。その中でも臭化銀およびヨウ臭化
銀が好ましい。粒子内におけるハロゲン組成の分布は均
一であってもよく、ハロゲン組成がステップ状に変化し
たものでもよく、或いは連続的に変化したものでもよ
い。また、コア/シェル構造を有するハロゲン化銀粒子
を好ましく用いることができる。構造として好ましいも
のは2〜5重構造であり、より好ましくは2〜4重構造
のコア/シェル粒子を用いることができる。また塩化
銀、臭化銀または塩臭化銀粒子の表面に臭化銀やヨウ化
銀を局在させる技術も好ましく用いることができる。
【0175】感光性ハロゲン化銀の形成方法は当業界で
はよく知られており、例えば、リサーチディスクロージ
ャー1978年6月の第17029号、および米国特許
第3,700,458号明細書に記載されている方法を
用いることができるが、具体的にはゼラチンあるいは他
のポリマー溶液中に銀供給化合物及びハロゲン供給化合
物を添加することにより感光性ハロゲン化銀を調製し、
その後で有機銀塩と混合する方法を用いる。また、特開
平11−119374号公報の段落番号[0217]〜
[0224]に記載されている方法、特願平11−98
708号明細書、特開2000−347335号公報に
記載の方法も好ましい。
【0176】感光性ハロゲン化銀の粒子サイズは、画像
形成後の白濁を低く抑える目的のために小さいことが好
ましく具体的には0.20μm以下、より好ましくは
0.01μm以上0.15μm以下、更に好ましくは
0.02μm以上0.12μm以下がよい。ここでいう
粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒子の投影面積(平板粒
子の場合は主平面の投影面積)と同面積の円像に換算し
たときの直径をいう。
【0177】ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、
八面体、平板状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイモ
状粒子等を挙げることができるが、本発明においては特
に立方体状粒子が好ましい。ハロゲン化銀粒子のコーナ
ーが丸まった粒子も好ましく用いることができる。
【0178】本発明においては、六シアノ金属錯体を粒
子最表面に存在させたハロゲン化銀粒子が好ましい。六
シアノ金属錯体としては、[Fe(CN)64-、[F
e(CN)63-、[Ru(CN)64-、[Os(C
N)64-、[Co(CN)6 3-、[Rh(CN)6
3-、[Ir(CN)63-、[Cr(CN)63-、[R
e(CN)63-などが挙げられる。本発明においては
六シアノFe錯体が好ましい。
【0179】六シアノ金属錯体の添加量は、銀1モル当
たり1×10-5モル以上1×10-2モル以下が好まし
く、より好ましくは1×10-4モル以上1×10-3モル
以下である。
【0180】本発明の感光性ハロゲン化銀粒子は、周期
律表(第1〜18族までを示す)の第8族〜第10族の
金属または金属錯体を含有することができる。周期律表
の第8族〜第10族の金属または金属錯体の中心金属と
して好ましくは、ロジウム、ルテニウム、イリジウムで
ある。これら金属錯体は1種類でもよいし、同種金属及
び異種金属の錯体を2種以上併用してもよい。好ましい
含有率は銀1モルに対し1×10-9モルから1×10-3
モルの範囲が好ましい。これらの重金属や金属錯体及び
それらの添加法については特開平7−225449号公
報、特開平11−65021号公報段落番号[001
8]〜[0024]、特開平11−119374号公報
段落番号[0227]〜[0240]に記載されてい
る。
【0181】さらに本発明に用いられるハロゲン化銀粒
子に含有することのできる金属原子(例えば[Fe(C
N)64-)、ハロゲン化銀乳剤の脱塩法や化学増感法
については特開平11−84574号公報段落番号[0
046]〜[0050]、特開平11−65021号公
報段落番号[0025]〜[0031]、特開平11−
119374号公報段落番号[0242]〜[025
0]に記載されている。
【0182】本発明に用いる感光性ハロゲン化銀乳剤に
含有されるゼラチンとしては、種々のゼラチンが使用す
ることができる。感光性ハロゲン化銀乳剤の有機銀塩含
有塗布液中での分散状態を良好に維持するために、分子
量は、500〜60,000の低分子量ゼラチンを使用
することが好ましい。これらの低分子量ゼラチンは粒子
形成時あるいは脱塩処理後の分散時に使用してもよい
が、脱塩処理後の分散時に使用することが好ましい。
【0183】本発明に適用できる増感色素としてはハロ
ゲン化銀粒子に吸着した際、所望の波長領域でハロゲン
化銀粒子を分光増感できるもので、露光光源の分光特性
に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択するこ
とができる。増感色素及び添加法については、特開平1
1−65021号公報の段落番号[0103]〜[01
09]、特開平10−186572号公報の一般式(I
I)で表される化合物、特開平11−119374号公
報の一般式(I)で表される色素及び段落番号[010
6]、米国特許第5,510,236号、同第3,87
1,887号実施例5に記載の色素、特開平2−961
31号公報、特開昭59−48753号公報に開示され
ている色素、欧州特許公開第0803764A1号公報
の第19ページ第38行〜第20ページ第35行、特願
2000−86865号明細書、特願2000−102
560号明細書、特願2000−205399号明細書
等に記載されている。また、特開2001−83655
号公報に記載された一般式(2a)〜(2d)で表され
る分光増感色素を用いることができる。これらの増感色
素は単独で用いてもよく、2種以上組合せて用いてもよ
い。本発明における増感色素の添加量は、感度やカブリ
の性能に合わせて所望の量にすることができるが、感光
性層のハロゲン化銀1モル当たり10-6〜1モルが好ま
しく、さらに好ましくは10-4〜10-1モルである。
【0184】本発明は分光増感効率を向上させるため、
強色増感剤を用いることができる。本発明に用いる強色
増感剤としては、欧州特許公開第587,338号公
報、米国特許第3,877,943号明細書、同第4,
873,184号明細書、特開平5−341432号公
報、同11−109547号公報、同10−11154
3号公報等に記載の化合物が挙げられる。
【0185】本発明における感光性ハロゲン化銀粒子
は、硫黄増感法、セレン増感法もしくはテルル増感法に
て化学増感されていることが好ましい。硫黄増感法、セ
レン増感法、テルル増感法に好ましく用いられる化合物
としては公知の化合物、例えば、特開平7−12876
8号公報等に記載の化合物等を使用することができる。
特に本発明においてはテルル増感が好ましく、特開平1
1−65021号公報段落番号[0030]に記載の文
献に記載の化合物、特開平5−313284号公報中の
一般式(II),(III),(IV)で示される化合
物がより好ましい。
【0186】本発明においては、化学増感は粒子形成後
で塗布前であればいかなる時期でも可能であり、脱塩
後、(1)分光増感前、(2)分光増感と同時、(3)
分光増感後、(4)塗布直前等があり得る。特に分光増
感後に行われることが好ましい。本発明で用いられる硫
黄、セレンおよびテルル増感剤の使用量は、使用するハ
ロゲン化銀粒子、化学熟成条件等によって変わるが、ハ
ロゲン化銀1モル当たり10-8〜10-2モル、好ましく
は10-7〜10-3モル程度を用いる。本発明における化
学増感の条件としては特に制限はないが、pHとしては
5〜8、pAgとしては6〜11、温度としては40〜
95℃程度である。本発明で用いるハロゲン化銀乳剤に
は、欧州特許公開第293,917号公報に示される方
法により、チオスルホン酸化合物を添加してもよい。
【0187】本発明に用いられる熱現像感光材料中の感
光性ハロゲン化銀乳剤は、一種だけでもよいし、二種以
上(例えば、平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組
成の異なるもの、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の
異なるもの)併用してもよい。感度の異なる感光性ハロ
ゲン化銀を複数種用いることで階調を調節することがで
きる。これらに関する技術としては特開昭57−119
341号公報、同53−106125号公報、同47−
3929号公報、同48−55730号公報、同46−
5187号公報、同50−73627号公報、同57−
150841号公報などが挙げられる。感度差としては
それぞれの乳剤で0.2logE以上の差を持たせるこ
とが好ましい。
【0188】感光性ハロゲン化銀の添加量は、感材1m
2当たりの塗布銀量で示して、0.03〜0.6g/m2
であることが好ましく、0.07〜0.4g/m2であ
ることがさらに好ましく、0.05〜0.3g/m2
あることが最も好ましく、有機銀塩1モルに対しては、
感光性ハロゲン化銀は0.01モル以上0.5モル以下
が好ましく、より好ましくは0.02モル以上0.3モ
ル以下、さらに好ましくは0.03モル以上0.2モル
以下である。
【0189】別々に調製した感光性ハロゲン化銀と有機
銀塩との混合方法及び混合条件については、それぞれ調
製終了したハロゲン化銀粒子と有機銀塩とを高速撹拌機
やボールミル、サンドミル、コロイドミル、振動ミル、
ホモジナイザー等で混合する方法や、あるいは有機銀塩
の調製中のいずれかのタイミングで調製終了した感光性
ハロゲン化銀を混合して有機銀塩を調製する方法等があ
るが、本発明の効果が十分に現れる限りにおいては特に
制限はない。また、混合する際に2種以上の有機銀塩水
分散液と2種以上の感光性銀塩水分散液を混合すること
は、写真特性の調節のために好ましい方法である。
【0190】本発明におけるハロゲン化銀の画像形成層
塗布液中への好ましい添加時期は、塗布する180分前
から直前、好ましくは60分前から10秒前であるが、
混合方法及び混合条件については本発明の効果が十分に
現れる限りにおいては特に制限はない。具体的な混合方
法としては添加流量とコーターへの送液量から計算した
平均滞留時間を所望の時間となるようにしたタンクでの
混合する方法やN.Harnby、M.F.Edwar
ds、A.W.Nienow著、高橋幸司訳“液体混合
技術”(日刊工業新聞社刊、1989年)の第8章等に
記載されているスタチックミキサーなどを使用する方法
がある。
【0191】本発明の有機銀塩含有層のバインダーはい
かなるポリマーを使用してもよく、好適なバインダーは
透明又は半透明で、一般に無色であり、天然樹脂やポリ
マー及びコポリマー、合成樹脂やポリマー及びコポリマ
ー、その他フィルムを形成する媒体、例えば、ゼラチン
類、ゴム類、ポリ(ビニルアルコール)類、ヒドロキシ
エチルセルロース類、セルロースアセテート類、セルロ
ースアセテートブチレート類、ポリ(ビニルピロリド
ン)類、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)類、
ポリ(メチルメタクリル酸)類、ポリ(塩化ビニル)
類、ポリ(メタクリル酸)類、スチレン−無水マレイン
酸共重合体類、スチレン−アクリロニトリル共重合体
類、スチレン−ブタジエン共重合体類、ポリ(ビニルア
セタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及び
ポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポ
リ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリ
デン)類、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネー
ト)類、ポリ(酢酸ビニル)類、ポリ(オレフィン)
類、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類がある。
バインダーは水又は有機溶媒またはエマルションから被
覆形成してもよい。
【0192】本発明では、有機銀塩を含有する層に併用
できるバインダーのガラス転移温度は10℃以上80℃
以下である(以下、高Tgバインダーということあり)
ことが好ましく、15℃以上70℃以下であることがよ
り好ましく、20℃以上65℃以下であることが更に好
ましい。
【0193】本発明においては水系溶媒に分散可能なポ
リマーが特に好ましい。分散状態の例としては、水不溶
な疎水性ポリマーの微粒子が分散しているラテックスや
ポリマー分子が分子状態またはミセルを形成して分散し
ているものなどいずれでもよいが、ラッテクス分散した
粒子がより好ましい。分散粒子の平均粒径は1〜500
00nm、好ましくは5〜1000nmの範囲で、より
好ましくは10〜500nmの範囲、さらに好ましくは
50〜200nmの範囲である。分散粒子の粒径分布に
関しては特に制限は無く、広い粒径分布を持つものでも
単分散の粒径分布を持つものでもよい。単分散の粒径分
布を持つものを2種以上混合して使用することも塗布液
の物性を制御する上で好ましい使用法である。
【0194】本発明において水系溶媒に分散可能なポリ
マーの好ましい態様としては、アクリル系ポリマー、ポ
リ(エステル)類、ゴム類(例えばSBR樹脂)、ポリ
(ウレタン)類、ポリ(塩化ビニル)類、ポリ(酢酸ビ
ニル)類、ポリ(塩化ビニリデン)類、ポリ(オレフィ
ン)類等の疎水性ポリマーを好ましく用いることができ
る。これらポリマーとしては直鎖のポリマーでも枝分か
れしたポリマーでもまた架橋されたポリマーでもよい
し、単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーで
もよいし、2種類以上のモノマーが重合したコポリマー
でもよい。コポリマーの場合はランダムコポリマーで
も、ブロックコポリマーでもよい。これらポリマーの分
子量は数平均分子量で5000〜1000000、好ま
しくは10000〜200000がよい。分子量が小さ
すぎるものは乳剤層の力学強度が不十分であり、大きす
ぎるものは成膜性が悪く好ましくない。また、架橋性の
ポリマーラッテクスは特に好ましく使用される。
【0195】好ましいポリマーラテックスの具体例とし
ては以下のものを挙げることができる。以下では原料モ
ノマーを用いて表し、括弧内の数値は質量%、分子量は
数平均分子量である。多官能モノマーを使用した場合は
架橋構造を作るため分子量の概念が適用できないので架
橋性と記載し、分子量の記載を省略した。Tgはガラス
転移温度を表す。
【0196】P−1;−MMA(70)−EA(27)
−MAA(3)−のラテックス(分子量37000、T
g61℃) P−2;−MMA(70)−2EHA(20)−St
(5)−AA(5)−のラテックス(分子量4000
0、Tg59℃) P−3;−St(50)−Bu(47)−MAA(3)
−のラテックス(架橋性、Tg−17℃) P−4;−St(68)−Bu(29)−AA(3)−
のラテックス(架橋性、Tg17℃) P−5;−St(71)−Bu(26)−AA(3)−
のラテックス(架橋性,Tg24℃) P−6;−St(70)−Bu(27)−IA(3)−
のラテックス(架橋性) P−7;−St(75)−Bu(24)−AA(1)−
のラテックス(架橋性、Tg29℃) P−8;−St(60)−Bu(35)−DVB(3)
−MAA(2)−のラテックス(架橋性) P−9;−St(70)−Bu(25)−DVB(2)
−AA(3)−のラテックス(架橋性) P−10;−VC(50)−MMA(20)−EA(2
0)−AN(5)−AA(5)−のラテックス(分子量
80000) P−11;−VDC(85)−MMA(5)−EA
(5)−MAA(5)−のラテックス(分子量6700
0) P−12;−Et(90)−MAA(10)−のラテッ
クス(分子量12000) P−13;−St(70)−2EHA(27)−AA
(3)のラテックス(分子量130000、Tg43
℃) P−14;−MMA(63)−EA(35)−AA
(2)のラテックス(分子量33000、Tg47℃) P−15;−St(70.5)−Bu(26.5)−A
A(3)−のラテックス(架橋性,Tg23℃) P−16;−St(69.5)−Bu(27.5)−A
A(3)−のラテックス(架橋性,Tg20.5℃)
【0197】上記構造の略号は以下のモノマーを表す。
MMA;メチルメタクリレート,EA;エチルアクリレ
ート、MAA;メタクリル酸,2EHA;2−エチルヘ
キシルアクリレート,St;スチレン,Bu;ブタジエ
ン,AA;アクリル酸,DVB;ジビニルベンゼン,V
C;塩化ビニル,AN;アクリロニトリル,VDC;塩
化ビニリデン,Et;エチレン,IA;イタコン酸。
【0198】以上に記載したポリマーラテックスは市販
もされていて、以下のようなポリマーが利用できる。ア
クリル系ポリマーの例としては、セビアンA−463
5,4718,4601(以上、ダイセル化学工業
(株)製)、Nipol Lx811、814、82
1、820、857(以上日本ゼオン(株)製)など、
ポリ(エステル)類の例としては、FINETEX E
S650、611、675、850(以上、大日本イン
キ化学(株)製)、WD−size、WMS(以上、イ
ーストマンケミカル製)など、ポリ(ウレタン)類の例
としては、HYDRANAP10、20、30、40
(以上、大日本インキ化学(株)製)など、ゴム類の例
としては、LACSTAR 7310K、3307B、
4700H、7132C(以上、大日本インキ化学
(株)製)、Nipol Lx416、410、438
C、2507(以上、日本ゼオン(株)製)など、ポリ
(塩化ビニル)類の例としては、G351、G576
(以上日本ゼオン(株)製)など、ポリ(塩化ビニリデ
ン)類の例としては、L502、L513(以上、旭化
成工業(株)製)など、ポリ(オレフィン)類の例とし
ては、ケミパールS120、SA100(以上、三井石
油化学(株)製)などを挙げることができる。
【0199】これらのポリマーラテックスは単独で用い
てもよいし、必要に応じて2種以上ブレンドしてもよ
い。
【0200】本発明に用いられるポリマーラテックスと
しては、特に、スチレン−ブタジエン共重合体のラテッ
クスが好ましい。スチレン−ブタジエン共重合体におけ
るスチレンのモノマー単位とブタジエンのモノマー単位
との質量比は40:60〜95:5であることが好まし
い。また、スチレンのモノマー単位とブタジエンのモノ
マー単位との共重合体に占める割合は60〜99質量%
であることが好ましい。また、本発明のポリマーラッテ
クスはアクリル酸またはメタクリル酸をスチレンとブタ
ジエンとの和に対して1〜6質量%含有することが好ま
しく、より好ましくは2〜5質量%含有する。本発明の
ポリマーラテックスはアクリル酸を含有することが好ま
しい。
【0201】本発明に用いることが好ましいスチレン−
ブタジエン酸共重合体のラテックスとしては、前記のP
−3〜P−8,15、市販品であるLACSTAR−3
307B、7132C、Nipol Lx416等が挙
げられる。
【0202】本発明の熱現像感光材料の有機銀塩含有層
には必要に応じてゼラチン、ポリビニルアルコール、メ
チルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カル
ボキシメチルセルロースなどの親水性ポリマーを添加し
てもよい。これらの親水性ポリマーの添加量は有機銀塩
含有層の全バインダーの30質量%以下、より好ましく
は20質量%以下が好ましい。
【0203】本発明の有機銀塩含有層(即ち、画像形成
層)は、ポリマーラテックスを用いて形成されたものが
好ましい。有機銀塩含有層のバインダーの量は、全バイ
ンダー/有機銀塩の質量比が1/10〜10/1、より
好ましくは1/3〜5/1の範囲、さらに好ましくは1
/1〜3/1の範囲である。
【0204】また、このような有機銀塩含有層は、通
常、感光性銀塩である感光性ハロゲン化銀が含有された
感光性層(乳剤層)でもあり、このような場合の、全バ
インダー/ハロゲン化銀の重量比は400〜5、より好
ましくは200〜10の範囲である。
【0205】本発明の画像形成層の全バインダー量は好
ましくは0.2〜30g/m2、より好ましくは1〜1
5g/m2、さらに好ましくは2〜10g/m2の範囲で
ある。本発明の画像形成層には架橋のための架橋剤、塗
布性改良のための界面活性剤などを添加してもよい。
【0206】本発明において熱現像感光材料の有機銀塩
含有層塗布液の溶媒(ここでは簡単のため、溶媒と分散
媒をあわせて溶媒と表す。)は、水を30質量%以上含
む水系溶媒が好ましい。水以外の成分としてはメチルア
ルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコー
ル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジメチルホ
ルムアミド、酢酸エチルなど任意の水混和性有機溶媒を
用いてよい。塗布液の溶媒の水含有率は50質量%以
上、より好ましくは70質量%以上が好ましい。好まし
い溶媒組成の例を挙げると、水の他、水/メチルアルコ
ール=90/10、水/メチルアルコール=70/3
0、水/メチルアルコール/ジメチルホルムアミド=8
0/15/5、水/メチルアルコール/エチルセロソル
ブ=85/10/5、水/メチルアルコール/イソプロ
ピルアルコール=85/10/5などがある(数値は質
量%)。
【0207】(かぶり防止剤)本発明に用いることので
きるカブリ防止剤、安定剤および安定剤前駆体は特開平
10−62899号公報の段落番号[0070]、欧州
特許公開第0803764A1号公報の第20頁第57
行〜第21頁第7行に記載の特許のもの、特開平9−2
81637号公報、同9−329864号公報に記載の
化合物、米国特許6,083,681号明細書、同6,
083,681号明細書、欧州特許1048975号明
細書に記載の化合物が挙げられる。また、本発明に好ま
しく用いられるカブリ防止剤は有機ハロゲン化物であ
り、これらについては、特開平11−65021号公報
の段落番号[0111]〜[0112]に記載の特許に
開示されているものが挙げられる。特に特開2000−
284399号公報の式(P)で表される有機ハロゲン
化合物、特開平10−339934号公報の一般式(I
I)で表される有機ポリハロゲン化合物、特開2001
−31644号公報および特開2001−33911号
公報に記載の有機ポリハロゲン化合物が好ましい。
【0208】(ポリハロゲン化合物)以下、本発明で好
ましい有機ポリハロゲン化合物について具体的に説明す
る。本発明の好ましいポリハロゲン化合物は下記一般式
(H)で表される化合物である。 一般式(H) Q−(Y)n−C(Z1)(Z2)X 一般式(H)において、Qはアルキル基、アリール基ま
たはヘテロ環基を表し、Yは2価の連結基を表し、nは
0または1を表し、Z1およびZ2はハロゲン原子を表
し、Xは水素原子または電子吸引性基を表す。一般式
(H)において、Qは好ましくはハメットの置換基定数
σpが正の値をとる電子吸引性基で置換されたフェニル
基を表す。ハメットの置換基定数に関しては、Jour
nal of Medicinal Chemistr
y,1973,Vol.16,No.11,1207−
1216 等を参考にすることができる。Xは、好まし
くは電子吸引性基であり、より好ましくはハロゲン原
子、脂肪族・アリールもしくは複素環スルホニル基、脂
肪族・アリールもしくは複素環アシル基、脂肪族・アリ
ールもしくは複素環オキシカルボニル基、カルバモイル
基、スルファモイル基であり、特に好ましくはハロゲン
原子である。ハロゲン原子の中でも、好ましくは塩素原
子、臭素原子、ヨウ素原子であり、更に好ましくは塩素
原子、臭素原子であり、特に好ましくは臭素原子であ
る。Yは好ましくは−C(=O)−、−SO−または−
SO2−を表し、より好ましくは−C(=O)−、−S
2−であり、特に好ましくは−SO2−である。nは、
0または1を表し、好ましくは1である。
【0209】以下に本発明の一般式(H)の化合物の具
体例を示す。
【0210】
【化44】
【0211】
【化45】
【0212】本発明の一般式(H)で表される化合物は
画像形成層の非感光性銀塩1モルあたり、10-4〜1モ
ルの範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1
-3〜0.5モルの範囲で、さらに好ましくは1×10
-2〜0.2モルの範囲で使用することが好ましい。本発
明において、カブリ防止剤を感光材料に含有せしめる方
法としては、前記還元剤の含有方法に記載の方法が挙げ
られ、有機ポリハロゲン化合物についても固体微粒子分
散物で添加することが好ましい。
【0213】(その他のかぶり防止剤)その他のカブリ
防止剤としては特開平11−65021号公報段落番号
[0113]の水銀(II)塩、同号公報段落番号[0
114]の安息香酸類、特開2000−206642号
公報のサリチル酸誘導体、特開2000−221634
号公報の式(S)で表されるホルマリンスカベンジャー
化合物、特開平11−352624号公報の請求項9に
係るトリアジン化合物、特開平6−11791号公報の
一般式(III)で表される化合物、4−ヒドロキシ−
6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン等が
挙げられる。
【0214】本発明における熱現像感光材料はカブリ防
止を目的としてアゾリウム塩を含有しても良い。アゾリ
ウム塩としては、特開昭59−193447号公報記載
の一般式(XI)で表される化合物、特公昭55−12
581号公報の記載の化合物、特開昭60−15303
9号公報記載の一般式(II)で表される化合物が挙げ
られる。
【0215】本発明には現像を抑制あるいは促進させ現
像を制御するため、分光増感効率を向上させるため、現
像前後の保存性を向上させるためなどにメルカプト化合
物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させるこ
とができ、特開平10−62899号公報の段落番号
[0067]〜[0069]、特開平10−18657
2号公報の一般式(I)で表される化合物及びその具体
例として段落番号[0033]〜[0052]、欧州特
許公開第0803764A1号公報の第20ページ第3
6〜56行に記載されている。その中でも特開平9−2
97367号公報、特開平9−304875号公報、特
開2001−100358号公報等に記載されているメ
ルカプト置換複素芳香族化合物が好ましい。
【0216】(色調剤の説明)本発明の熱現像感光材料
では色調剤の添加が好ましく、色調剤については、特開
平10−62899号公報の段落番号[0054]〜
[0055]、欧州特許公開第0803764A1号公
報の第21ページ第23〜48行、特開2000−35
6317号公報や特願2000−187298号明細書
に記載されており、特に、フタラジノン類、フタラジノ
ン類とフタル酸類との組合せ、フタラジン類、フタラジ
ン類とフタル酸類との組合せが好ましく、特にフタラジ
ン類とフタル酸類の組合せが好ましい。そのなかでも特
に好ましい組み合わせは6−イソプロピルフタラジンと
フタル酸または4メチルフタル酸との組み合わせであ
る。
【0217】(その他の添加剤)本発明の感光性層に用
いることのできる可塑剤および潤滑剤については特開平
11−65021号公報の段落番号[0117]、超硬
調画像形成のための超硬調化剤やその添加方法や量につ
いては、同号公報段落番号[0118]、特開平11−
223898号公報段落番号[0136]〜[019
3]、特開平2000−284399号公報の式
(H)、式(1)〜(3)、式(A)、(B)の化合
物、特願平11−91652号明細書に記載の一般式
(III)〜(V)の化合物(具体的化合物:化21〜
化24)、硬調化促進剤については特開平11−650
21号公報段落番号[0102]、特開平11−223
898号公報段落番号[0194]〜[0195]に記
載されている。
【0218】蟻酸や蟻酸塩を強いかぶらせ物質として用
いるには、感光性ハロゲン化銀を含有する画像形成層を
有する側に銀1モル当たり5ミリモル以下、さらには1
ミリモル以下で含有することが好ましい。
【0219】本発明の熱現像感光材料で超硬調化剤を用
いる場合には五酸化二リンが水和してできる酸またはそ
の塩を併用して用いることが好ましい。五酸化二リンが
水和してできる酸またはその塩としては、メタリン酸
(塩)、ピロリン酸(塩)、オルトリン酸(塩)、三リ
ン酸(塩)、四リン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)
などを挙げることができる。特に好ましく用いられる五
酸化二リンが水和してできる酸またはその塩としては、
オルトリン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)を挙げる
ことができる。具体的な塩としてはオルトリン酸ナトリ
ウム、オルトリン酸二水素ナトリウム、ヘキサメタリン
酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸アンモニウムなどがあ
る。五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩の使
用量(感光材料1m2あたりの塗布量)は感度やカブリ
などの性能に合わせて所望の量でよいが、0.1〜50
0mg/m2が好ましく、0.5〜100mg/m2がよ
り好ましい。
【0220】(層構成)本発明における熱現像感光材料
は画像形成層の付着防止などの目的で表面保護層を設け
ることができる。表面保護層は単層でもよいし、複数層
であってもよい。表面保護層については、特開平11−
65021号公報段落番号[0119]〜[012
0]、特願2000−171936号明細書に記載され
ている。本発明の表面保護層のバインダーとしてはゼラ
チンが好ましいがポリビニルアルコール(PVA)を用
いる若しくは併用することも好ましい。ゼラチンとして
はイナートゼラチン(例えば新田ゼラチン750)、フ
タル化ゼラチン(例えば新田ゼラチン801)など使用
することができる。PVAとしては、特開2000−1
71936号公報の段落番号[0009]〜[002
0]に記載のものがあげられ、完全けん化物のPVA−
105、部分けん化物のPVA−205,PVA−33
5、変性ポリビニルアルコールのMP−203(以上、
クラレ(株)製の商品名)などが好ましく挙げられる。
保護層(1層当たり)のポリビニルアルコール塗布量
(支持体1m2当たり)としては0.3〜4.0g/m2
が好ましく、0.3〜2.0g/m2がより好ましい。
【0221】特に寸法変化が問題となる印刷用途に本発
明の熱現像感光材料を用いる場合には、表面保護層やバ
ック層にポリマーラテックスを用いることが好ましい。
このようなポリマーラテックスについては「合成樹脂エ
マルジョン(奥田平、稲垣寛編集、高分子刊行会発行
(1978))」、「合成ラテックスの応用(杉村孝
明、片岡靖男、鈴木聡一、笠原啓司編集、高分子刊行会
発行(1993))」、「合成ラテックスの化学(室井
宗一著、高分子刊行会発行(1970))」などにも記
載され、具体的にはメチルメタクリレート(33.5質
量%)/エチルアクリレート(50質量%)/メタクリ
ル酸(16.5質量%)コポリマーのラテックス、メチ
ルメタクリレート(47.5質量%)/ブタジエン(4
7.5質量%)/イタコン酸(5質量%)コポリマーの
ラテックス、エチルアクリレート/メタクリル酸のコポ
リマーのラテックス、メチルメタクリレート(58.9
質量%)/2−エチルヘキシルアクリレート(25.4
質量%)/スチレン(8.6質量%)/2−ヒドロキシ
エチルメタクリレート(5.1質量%)/アクリル酸
(2.0質量%)コポリマーのラテックス、メチルメタ
クリレート(64.0質量%)/スチレン(9.0質量
%)/ブチルアクリレート(20.0質量%)/2−ヒ
ドロキシエチルメタクリレート(5.0質量%)/アク
リル酸(2.0質量%)コポリマーのラテックスなどが
挙げられる。さらに、表面保護層用のバインダーとし
て、特願平11−6872号明細書のポリマーラテック
スの組み合わせ、特願平11−143058号明細書の
段落番号[0021]〜[0025]に記載の技術、特
願平11−6872号明細書の段落番号[0027]〜
[0028]に記載の技術、特願平10−199626
号明細書の段落番号[0023]〜[0041]に記載
の技術を適用してもよい。表面保護層のポリマーラテッ
クスの比率は全バインダーの10質量%以上90質量%
以下が好ましく、特に20質量%以上80質量%以下が
好ましい。表面保護層(1層当たり)の全バインダー
(水溶性ポリマー及びラテックスポリマーを含む)塗布
量(支持体1m2当たり)としては0.3〜5.0g/
2が好ましく、0.3〜2.0g/m2がより好まし
い。
【0222】本発明における画像形成層塗布液の調製温
度は30℃以上65℃以下がよく、さらに好ましい温度
は35℃以上60℃未満、より好ましい温度は35℃以
上55℃以下である。また、ポリマーラテックス添加直
後の画像形成層塗布液の温度が30℃以上65℃以下で
維持されることが好ましい。
【0223】本発明における画像形成層は、支持体上に
一またはそれ以上の層で構成される。一層で構成する場
合は有機銀塩、感光性ハロゲン化銀、還元剤およびバイ
ンダーよりなり、必要により色調剤、被覆助剤および他
の補助剤などの所望による追加の材料を含む。二層以上
で構成する場合は、第1画像形成層(通常は支持体に隣
接した層)中に有機銀塩および感光性ハロゲン化銀を含
み、第2画像形成層または両層中にいくつかの他の成分
を含まなければならない。多色感光性熱現像写真材料の
構成は、各色についてこれらの二層の組合せを含んでよ
く、また、米国特許第4,708,928号明細書に記
載されているように単一層内に全ての成分を含んでいて
もよい。多染料多色感光性熱現像写真材料の場合、各乳
剤層は、一般に、米国特許第4,460,681号明細
書に記載されているように、各感光性層の間に官能性も
しくは非官能性のバリアー層を使用することにより、互
いに区別されて保持される。
【0224】本発明の感光性層には色調改良、レーザー
露光時の干渉縞発生防止、イラジエーション防止の観点
から各種染料や顔料(例えばC.I.Pigment
Blue 60、C.I.Pigment Blue
64、C.I.Pigment Blue 15:6)
を用いることができる。これらについては国際公開WO
98/36322号公開、特開平10−268465号
公報、同11−338098号公報等に詳細に記載され
ている。
【0225】本発明の熱現像感光材料は、熱現像処理前
の膜面pHが7.0以下であることが好ましく、さらに
好ましくは6.6以下である。その下限には特に制限は
ないが、3程度である。最も好ましいpH範囲は4〜
6.2の範囲である。膜面pHの調節はフタル酸誘導体
などの有機酸や硫酸などの不揮発性の酸、アンモニアな
どの揮発性の塩基を用いることが、膜面pHを低減させ
るという観点から好ましい。特にアンモニアは揮発しや
すく、塗布する工程や熱現像される前に除去できること
から低膜面pHを達成する上で好ましい。また、水酸化
ナトリウムや水酸化カリウム、水酸化リチウム等の不揮
発性の塩基とアンモニアとを併用することも好ましく用
いられる。なお、膜面pHの測定方法は、特願平11−
87297号明細書の段落番号[0123]に記載され
ている。
【0226】本発明の感光性層、保護層、バック層など
各層には硬膜剤を用いても良い。硬膜剤の例としては
T.H.James著“THE THEORY OF
THEPHOTOGRAPHIC PROCESS F
OURTH EDITION”(Macmillan
Publishing Co., Inc.刊、197
7年刊)77頁から87頁に記載の各方法があり、クロ
ムみょうばん、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s
−トリアジンナトリウム塩、N,N−エチレンビス(ビ
ニルスルホンアセトアミド)、N,N−プロピレンビス
(ビニルスルホンアセトアミド)の他、同書78頁など
記載の多価金属イオン、米国特許4,281,060号
明細書、特開平6−208193号公報などのポリイソ
シアネート類、米国特許4,791,042号明細書な
どのエポキシ化合物類、特開昭62−89048号公報
などのビニルスルホン系化合物類が好ましく用いられ
る。
【0227】硬膜剤は溶液として添加され、この溶液の
保護層塗布液中への添加時期は、塗布する180分前か
ら直前、好ましくは60分前から10秒前であるが、混
合方法及び混合条件については本発明の効果が十分に現
れる限りにおいては特に制限はない。具体的な混合方法
としては添加流量とコーターへの送液量から計算した平
均滞留時間を所望の時間となるようにしたタンクでの混
合する方法やN.Harnby、M.F.Edward
s、A.W.Nienow著、高橋幸司訳“液体混合技
術”(日刊工業新聞社刊、1989年)の第8章等に記
載されているスタチックミキサーなどを使用する方法が
ある。
【0228】本発明に適用できる界面活性剤については
特開平11−65021号公報段落番号[0132]、
溶剤については同号公報段落番号[0133]、支持体
については同号公報段落番号[0134]、帯電防止又
は導電層については同号公報段落番号[0135]、カ
ラー画像を得る方法については同号公報段落番号[01
36]に、滑り剤については特開平11−84573号
公報段落番号[0061]〜[0064]や特願平11
−106881号明細書段落番号[0049]〜[00
62]に記載されている。
【0229】本発明においては金属酸化物を含む導電層
を有することが好ましい。導電層の導電性材料は金属酸
化物中に酸素欠陥、異種金属原子を導入して導電性を高
めた金属酸化物が好ましく用いられる。金属酸化物の例
としてはZnO、TiO2、SnO2が好ましく、ZnO
2に対してはAl、Inの添加、SnO2に対してはS
b、Nb、P、ハロゲン元素等の添加、TiO2に対し
てはNb、Ta等の添加が好ましい。特にSbを添加し
たSnO2が好ましい。異種原子の添加量は0.01〜
30mol%の範囲が好ましく、0.1から10mol
%の範囲がより好ましい。金属酸化物の形状は球状、針
状、板状いずれでもよいが、導電性付与の効果の点で長
軸/単軸比が2.0以上、好ましくは3.0〜50の針
状粒子がよい。金属酸化物の使用量は好ましくは1mg
/m〜1000mg/m2の範囲で、より好ましくは1
0mg/m〜500mg/m2の範囲、さらに好ましく
は20mg/m〜200mg/m2の範囲である。本発
明の導電層は乳剤面側、バック面側のいずれに設置して
もよいが、支持体とバック層との間に設置することが好
ましい。本発明の導電層の具体例は特開平7−2951
46号公報、特開平11−223901号公報に記載さ
れている。本発明においてはフッ素系の界面活性剤を使
用することが好ましい。フッ素系界面活性剤の具体例は
特開平10−197985号公報、特開2000−19
680号公報、特開2000−214554号公報等に
記載された化合物があげられる。また、特開平9−28
1636号公報に記載の高分子フッ素系界面活性剤も好
ましく用いられる。本発明においては特願2000−2
06560号明細書に記載のフッ素系界面活性剤の使用
が特に好ましい。
【0230】本発明において透明支持体は二軸延伸時に
フィルム中に残存する内部歪みを緩和させ、熱現像処理
中に発生する熱収縮歪みをなくすために、130〜18
5℃の温度範囲で熱処理を施したポリエステル、特にポ
リエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。医療
用の熱現像感光材料の場合、透明支持体は青色染料(例
えば、特開平8−240877号公報の実施例記載の染
料−1)で着色されていてもよいし、無着色でもよい。
支持体には、特開平11−84574号公報の水溶性ポ
リエステル、同10−186565号公報のスチレンブ
タジエン共重合体、特開2000−39684号公報や
特願平11−106881号明細書段落番号[006
3]〜[0080]の塩化ビニリデン共重合体などの下
塗り技術を適用することが好ましい。また、帯電防止層
若しくは下塗りについて特開昭56−143430号公
報、同56−143431号公報、同58−62646
号公報、同56−120519号公報、特開平11−8
4573号公報の段落番号[0040]〜[005
1]、米国特許第5,575,957号明細書、特開平
11−223898号公報の段落番号[0078]〜
[0084]に記載の技術を適用することができる。
【0231】熱現像感光材料は、モノシート型(受像材
料のような他のシートを使用せずに、熱現像感光材料上
に画像を形成できる型)であることが好ましい。
【0232】熱現像感光材料には、さらに、酸化防止
剤、安定化剤、可塑剤、紫外線吸収剤あるいは被覆助剤
を添加してもよい。各種の添加剤は、感光性層あるいは
非感光性層のいずれかに添加する。それらについて国際
公開WO98/36322号公報、欧州特許公開EP8
03764A1号公報、特開平10−186567号公
報、同10−18568号公報等を参考にすることがで
きる。
【0233】本発明における熱現像感光材料はいかなる
方法で塗布されても良い。具体的には、エクストルージ
ョンコーティング、スライドコーティング、カーテンコ
ーティング、浸漬コーティング、ナイフコーティング、
フローコーティング、または米国特許第2,681,2
94号明細書に記載の種類のホッパーを用いる押出コー
ティングを含む種々のコーティング操作が用いられ、S
tephen F.Kistler、Petert
M.Schweizer著“LIQUID FILM
COATING”(CHAPMAN&HALL社刊、1
997年)399頁から536頁記載のエクストルージ
ョンコーティング、またはスライドコーティング好まし
く用いられ、特に好ましくはスライドコーティングが用
いられる。スライドコーティングに使用されるスライド
コーターの形状の例は同書427頁のFigure 1
1b.1にある。また、所望により同書399頁から5
36頁記載の方法、米国特許第2,761,791号明
細書および英国特許第837,095号明細書に記載の
方法により2層またはそれ以上の層を同時に被覆するこ
とができる。
【0234】本発明における有機銀塩含有層塗布液は、
いわゆるチキソトロピー流体であることが好ましい。こ
の技術については特開平11−52509号公報を参考
にすることができる。本発明における有機銀塩含有層塗
布液は剪断速度0.1S-1における粘度は400mPa
・s以上100,000mPa・s以下が好ましく、さ
らに好ましくは500mPa・s以上20,000mP
a・s以下である。また、剪断速度1000S-1におい
ては1mPa・s以上200mPa・s以下が好まし
く、さらに好ましくは5mPa・s以上80mPa・s
以下である。
【0235】本発明の熱現像感光材料に用いることので
きる技術としては、欧州特許公開EP803764A1
号公報、欧州特許公開EP883022A1号公報、国
際公開WO98/36322号公報、特開昭56−62
648号公報、同58−62644号公報、特開平9−
43766号公報、同9−281637号公報、同9−
297367号公報、同9−304869号公報、同9
−311405号公報、同9−329865号公報、同
10−10669号公報、同10−62899号公報、
同10−69023号公報、同10−186568号公
報、同10−90823号公報、同10−171063
号公報、同10−186565号公報、同10−186
567号公報、同10−186569号〜同10−18
6572号公報、同10−197974号公報、同10
−197982号公報、同10−197983号公報、
同10−197985号〜同10−197987号公
報、同10−207001号公報、同10−20700
4号公報、同10−221807号公報、同10−28
2601号公報、同10−288823号公報、同10
−288824号公報、同10−307365号公報、
同10−312038号公報、同10−339934号
公報、同11−7100号公報、同11−15105号
公報、同11−24200号公報、同11−24201
号公報、同11−30832号公報、同11−8457
4号公報、同11−65021号公報、同11−109
547号公報、同11−125880号公報、同11−
129629号公報、同11−133536号〜同11
−133539号公報、同11−133542号公報、
同11−133543号公報、同11−223898号
公報、同11−352627号公報、同11−3053
77号公報、同11−305378号公報、同11−3
05384号公報、同11−305380号公報、同1
1−316435号公報、同11−327076号公
報、同11−338096号公報、同11−33809
8号公報、同11−338099号公報、同11−34
3420号公報、特願2000−187298号明細
書、同2000−10229号明細書、同2000−4
7345号明細書、同2000−206642号明細
書、同2000−98530号明細書、同2000−9
8531号明細書、同2000−112059号明細
書、同2000−112060号明細書、同2000−
112104号明細書、同2000−112064号明
細書、同2000−171936号明細書も挙げられ
る。
【0236】(包装材料)本発明の感光材料は生保存時
の写真性能の変動を押さえるため、もしくはカール、巻
癖などを改良するために、酸素透過率および/または水
分透過率の低い包装材料で包装することが好ましい。酸
素透過率は25℃で50ml/atm・m 2・day以
下であることが好ましく、より好ましくは10ml/a
tm・m2・day以下、さらに好ましくは1.0ml
/atm・m2・day以下である。水分透過率は10
g/atm・m2・day以下であることが好ましく、
より好ましくは5g/atm・m2・day以下、さら
に好ましくは1g/atm・m2・day以下である。
該酸素透過率および/または水分透過率の低い包装材料
の具体例としては、たとえば特開平8−254793号
公報、特開2000−206653号公報に記載されて
いる包装材料である。
【0237】(熱現像)本発明の熱現像感光材料はいか
なる方法で現像されても良いが、通常イメージワイズに
露光した熱現像感光材料を昇温して現像される。好まし
い現像温度としては80〜250℃であり、好ましくは
100〜150℃である。現像時間としては1〜60秒
が好ましく、より好ましくは3〜25秒、さらに好まし
くは5〜15秒が特に好ましい。
【0238】熱現像の方式としてはドラム型ヒーター、
プレート型ヒーターのいずれを使用してもよいが、プレ
ートヒーター方式がより好ましい。プレートヒーター方
式による熱現像方式とは特開平11−133572号公
報に記載の方法が好ましく、潜像を形成した熱現像感光
材料を熱現像部にて加熱手段に接触させることにより可
視像を得る熱現像装置であって、前記加熱手段がプレー
トヒータからなり、かつ前記プレートヒータの一方の面
に沿って複数個の押えローラが対向配設され、前記押え
ローラと前記プレートヒータとの間に前記熱現像感光材
料を通過させて熱現像を行うことを特徴とする熱現像装
置である。プレートヒータを2〜6段に分けて先端部に
ついては1〜10℃程度温度を下げることが好ましい。
例えば、独立に温度制御できる4組のプレートヒータを
使用し、それぞれ112℃、119℃、121℃、12
0℃になるように制御する例が挙げられる。このような
方法は特開昭54−30032号公報にも記載されてお
り、熱現像感光材料に含有している水分や有機溶媒を系
外に除外させることができ、また、急激に熱現像感光材
料が加熱されることでの熱現像感光材料の支持体形状の
変化を抑えることもできる。
【0239】本発明の熱現像感光材料はいかなる方法で
露光されても良いが、露光光源としてレーザー光が好ま
しい。本発明によるレーザー光としては、ガスレーザー
(Ar+、He−Ne)、YAGレーザー、色素レーザ
ー、半導体レーザーなどが好ましい。また、半導体レー
ザーと第2高調波発生素子などを用いることもできる。
好ましくは赤〜赤外発光のガス若しくは半導体レーザー
である。
【0240】露光部及び熱現像部を備えた医療用のレー
ザーイメージャーとしては富士メディカルドライレーザ
ーイメージャーFM−DP Lを挙げることができる。
FM−DP Lに関しては、Fuji Medical
Review No.8,page39〜55に記載
されており、それらの技術は本発明の熱現像感光材料の
レーザーイメージャーとして適用することは言うまでも
ない。また、DICOM規格に適応したネットワークシ
ステムとして富士メディカルシステムが提案した「AD
network」の中でのレーザーイメージャー用の
熱現像感光材料としても適用することができる。
【0241】本発明の熱現像感光材料は、銀画像による
黒白画像を形成し、医療診断用の熱現像感光材料、工業
写真用熱現像感光材料、印刷用熱現像感光材料、COM
用の熱現像感光材料として使用されることが好ましい。
【0242】
【実施例】[実施例1] 《PET支持体の作製》テレフタル酸とエチレングリコ
−ルとを用い、常法に従い固有粘度IV=0.66(フ
ェノ−ル/テトラクロルエタン=6/4(質量比)中2
5℃で測定)のPETを得た。これをペレット化した後
130℃で4時間乾燥し、300℃で溶融後T型ダイか
ら押し出して急冷し、熱固定後の膜厚が175μmにな
るような厚みの未延伸フィルムを作製した。
【0243】これを、周速の異なるロールを用い3.3
倍に縦延伸、ついでテンターで4.5倍に横延伸を実施
した。この時の温度はそれぞれ、110℃、130℃で
あった。この後、240℃で20秒間熱固定後、これと
同じ温度で横方向に4%緩和した。この後テンターのチ
ャック部をスリットした後、両端にナール加工を行い、
4×104Pa(4kg/cm2)で巻き取り、厚み17
5μmのロールを得た。
【0244】(表面コロナ処理)ピラー社製ソリッドス
テートコロナ処理機6KVAモデルを用い、支持体の両
面を室温下において20m/分で処理した。この時の電
流、電圧の読み取り値から、支持体には0.375kV
・A・分/m2の処理がなされていることがわかった。
この時の処理周波数は9.6kHz、電極と誘電体ロー
ルとのギャップクリアランスは1.6mmであった。
【0245】 《下塗り支持体の作製》 処方1(感光層側下塗り層用) ・高松油脂(株)製ペスレジンA−520(30質量%溶液) 59g ・ポリエチレングリコールモノノニルフェニルエーテル (平均エチレンオキシド数=8.5) 10質量%溶液 5.4g ・綜研化学(株)製 MP−1000 0.91g (ポリマー微粒子、平均粒径0.4μm) ・蒸留水 935ml
【0246】 処方2(バック面第1層用) ・スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス 158g (固形分40質量%、スチレン/ブタジエン重量比=68/32) ・2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S− トリアジンナトリウム塩 8質量%水溶液 20g ・ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1質量%水溶液 10ml ・蒸留水 854ml
【0247】 処方3(バック面側第2層用) ・SnO2/SbO 84g (9/1質量比、平均粒径0.038μm、17質量%分散物) ・ゼラチン(10質量%水溶液) 89.2g ・信越化学(株)製 メトローズTC−5(2質量%水溶液) 8.6g ・綜研化学(株)製 MP−1000 0.01g ・ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1質量%水溶液 10ml ・NaOH(1質量%) 6ml ・プロキセル(ICI社製) 1ml ・蒸留水 805ml
【0248】《下塗り支持体の作製》上記厚さ175μ
mの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート支持体の両面
それぞれに、上記コロナ放電処理を施した後、片面(感
光性層面)に上記下塗り塗布液処方1をワイヤーバーで
ウエット塗布量が6.6ml/m2(片面当たり)にな
るように塗布して180℃で5分間乾燥し、ついでこの
裏面(バック面)に上記下塗り塗布液処方2をワイヤー
バーでウエット塗布量が5.7ml/m2になるように
塗布して180℃で5分間乾燥し、更に裏面(バック
面)に上記下塗り塗布液処方3をワイヤーバーでウエッ
ト塗布量が7.7ml/m2になるように塗布して18
0℃で6分間乾燥して下塗り支持体を作製した。
【0249】《バック面塗布液の調製》 〈塩基プレカーサーの固体微粒子分散液(a)の調製〉
塩基プレカーサー化合物1を1.5kg、および界面活
性剤(商品名:デモールN、花王(株)製)225g、
ジフェニルスルホン937.5g、パラヒドロキシ安息
香酸ブチルエステル(商品名メッキンス:上野製薬製)
15gおよび蒸留水を加えて総量を5.0kgに合わせ
て混合し、混合液を横型サンドミル(UVM−2:アイ
メックス(株)製)を用いてビーズ分散した。分散方法
は、混合液をを平均直径0.5mmのジルコニアビーズ
を充填したUVM−2にダイアフラムポンプで送液し、
内圧50hPa以上の状態で、所望の平均粒径が得られ
るまで分散した。分散物は、分光吸収測定を行って該分
散物の分光吸収における450nmにおける吸光度と6
50nmにおける吸光度との比(D450/D650)
が2.2以上であるところまで分散した。得られた分散
物は、塩基プレカーサーの濃度で20質量%となるよう
に蒸留水で希釈し、ごみ取りのためにろ過(平均細孔
径:3μmのポリプロピレン製フィルター)を行って実
用に供した。
【0250】〈染料固体微粒子分散液の調製〉 ・公知の分散液(1P−1) −公知の染料固体微粒子分散液の調製(特開平11−3
52626の実施例2に記載の方法)− シアニン染料化合物−1(特開平11−352626に
記載のシアニン染料化合物(16)と同じ)9.6gお
よび(p)−アルキルベンゼンスルフォン酸ナトリウム
5.8gを蒸留水305mlと混合し、混合液をサンド
ミル(1/4Gallonサンドグラインダーミル、ア
イメックス(株)製)を用いてビーズ分散して平均粒子
径0.2μmの染料固体微粒子分散液を得た。
【0251】・分散液(1P−2) シアニン染料化合物−1を6.0kgおよびp−ドデシ
ルベンゼンスルホン酸ナトリウム3.0kg、花王
(株)製界面活性剤デモールSNB0.6kg、および
消泡剤(商品名:サーフィノール104E、日信化学
(株)製)0.15kgを蒸留水と混合して、総液量を
60kgとした。混合液を横型サンドミル(UVM−
2:アイメックス(株)製)を用いて、0.5mmのジ
ルコニアビーズで分散した。分散物は、分光吸収測定を
行って該分散物の分光吸収における650nmにおける
吸光度と750nmにおける吸光度の比(D650/D
750)が5.0であるところまで分散した。得られた
分散物は、シアニン染料の濃度で6質量%となるように
蒸留水で希釈した。
【0252】・分散液(1P−3) D650/D750が10.0であるところまで分散し
た以外は、1P−2と全く同様な方法にて分散を実施し
た。得られた分散物は、シアニン染料の濃度で6質量%
となるように蒸留水で希釈した。
【0253】・分散液(1P−4) D650/D750が40.0であるところまで分散し
た以外は、1P−2と全く同様な方法にて分散を実施し
た。得られた分散物は、シアニン染料の濃度で6質量%
となるように蒸留水で希釈した。
【0254】《アンチハレーション層塗布液の調製》ゼ
ラチン30g、ポリアクリルアミド24.5g、1mo
l/lの苛性2.2g、単分散ポリメチルメタクリレー
ト微粒子(平均粒子サイズ8μm、粒径標準偏差0.
4)2.4g、ベンゾイソチアゾリノン0.08g、上
記染料固体微粒子分散液35.9g、上記塩基プレカー
サーの固体微粒子分散液(a)を74.2g、ポリエチ
レンスルホン酸ナトリウム0.6g、青色染料化合物−
1を0.21g、黄色染料化合物−1を0.15g、ア
クリル酸/エチルアクリレート共重合ラテックス(共重
合比5/95)8.3gを混合し、水にて全体を818
3mlとし、ハレーション防止層塗布液を調製した。
【0255】《バック面保護層塗布液の調製》容器を4
0℃に保温し、ゼラチン40g、流動パラフィン乳化物
を流動パラフィンとして1.5g、ベンゾイソチアゾリ
ノン35mg、1mol/lの苛性6.8g、t−オク
チルフェノキシエトキシエタンスルホン酸ナトリウム
0.5g、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム0.27
g、フッ素系界面活性剤(F−1:N−パーフルオロオ
クチルスルフォニル−N−プロピルアラニンカリウム
塩)37mg、フッ素系界面活性剤(F−2:ポリエチ
レングリコールモノ(N−パーフルオロオクチルスルホ
ニル−N−プロピル−2−アミノエチル)エーテル[エ
チレンオキサイド平均重合度15])150mg、フッ
素系界面活性剤(F−3)64mg、フッ素系界面活性
剤(F−4)32mg、アクリル酸/エチルアクリレー
ト共重合体(共重合重量比5/95)6.0g、N,N
−エチレンビス(ビニルスルホンアセトアミド)2.0
gを混合し、水で10リットルとしてバック面保護層塗
布液とした。
【0256】《ハロゲン化銀乳剤1の調製》蒸留水14
21mlに1質量%臭化カリウム溶液3.1mlを加
え、さらに0.5mol/L濃度の硫酸を3.5ml、
フタル化ゼラチン31.7gを添加した液をステンレス
製反応壺中で攪拌しながら、30℃に液温を保ち、硝酸
銀22.22gに蒸留水を加え95.4mlに希釈した
溶液Aと、臭化カリウム15.3gとヨウ化カリウム
0.8gとを蒸留水にて容量97.4mlに希釈した溶
液Bと、を一定流量で45秒間かけて全量添加した。そ
の後、3.5質量%の過酸化水素水溶液を10ml添加
し、さらにベンゾイミダゾールの10質量%水溶液を1
0.8ml添加した。さらに、硝酸銀51.86gに蒸
留水を加えて317.5mlに希釈した溶液Cと、臭化
カリウム44.2gとヨウ化カリウム2.2gとを蒸留
水にて容量400mlに希釈した溶液Dとを、溶液Cは
一定流量で20分間かけて全量添加し、溶液DはpAg
を8.1に維持しながらコントロールドダブルジェット
法で添加した。銀1モル当たり1×10-4モルになるよ
う六塩化イリジウム(III)酸カリウム塩を溶液C及び
溶液Dを添加しはじめてから10分後に全量添加した。
また、溶液Cの添加終了の5秒後に六シアン化鉄(II)
カリウム水溶液を銀1モル当たり3×10-4モル全量添
加した。0.5mol/L濃度の硫酸を用いてpHを
3.8に調整し、攪拌を止め、沈降/脱塩/水洗工程を
おこなった。1mol/L濃度の水酸化ナトリウムを用
いてpH5.9に調整し、pAg8.0のハロゲン化銀
分散物を調製した。
【0257】上記ハロゲン化銀分散物を攪拌しながら3
8℃に維持して、0.34質量%の1,2−ベンゾイソ
チアゾリン−3−オンのメタノール溶液を5ml加え、
40分後に分光増感色素Aと分光増感色素Bとのモル比
で1:1のメタノール溶液を銀1モル当たり分光増感色
素AとBとの合計として1.2×10-3モル加え、1分
後に47℃に昇温した。昇温の20分後にベンゼンチオ
スルフォン酸ナトリウムをメタノール溶液で銀1モルに
対して7.6×10-5モル加え、さらに5分後にテルル
増感剤Cをメタノール溶液で銀1モル当たり2.9×1
-4モル加えて91分間熟成した。N,N’−ジヒドロ
キシ−N’’−ジエチルメラミンの0.8質量%メタノ
ール溶液1.3mlを加え、さらに4分後に、5−メチ
ル−2−メルカプトベンゾイミダゾールをメタノール溶
液で銀1モル当たり4.8×10 -3モル及び1−フェニ
ル−2−ヘプチル−5−メルカプト−1,3,4−トリ
アゾールをメタノール溶液で銀1モルに対して5.4×
10-3モル添加して、ハロゲン化銀乳剤1を調製した。
【0258】調製できたハロゲン化銀乳剤中の粒子は、
平均球相当径0.042μm、球相当径の変動係数20
%のヨウドを均一に3.5モル%含むヨウ臭化銀粒子で
あった。粒子サイズ等は、電子顕微鏡を用い1000個
の粒子の平均から求めた。この粒子の{100}面比率
は、クベルカムンク法を用いて80%と求められた。
【0259】《ハロゲン化銀乳剤2の調製》ハロゲン化
銀乳剤1の調製において、粒子形成時の液温30℃を4
7℃に変更し、溶液Bは臭化カリウム15.9gを蒸留
水にて容量97.4mlに希釈することに変更し、溶液
Dは臭化カリウム45.8gを蒸留水にて容量400m
lに希釈することに変更し、溶液Cの添加時間を30分
にして、六シアノ鉄(II)カリウムを除去した以外は同
様にして、ハロゲン化銀乳剤2の調製を行った。ハロゲ
ン化銀乳剤1と同様に沈殿/脱塩/水洗/分散を行っ
た。更に分光増感色素Aと分光増感色素Bのモル比で
1:1のメタノール溶液の添加量を銀1モル当たり分光
増感色素Aと分光増感色素Bとの合計として7.5×1
-4モル、テルル増感剤Cの添加量を銀1モル当たり
1.1×10-4モル、1−フェニル−2−ヘプチル−5
−メルカプト−1,3,4−トリアゾールを銀1モルに
対して3.3×10-3モルに変えた以外は乳剤1と同様
にして分光増感、化学増感及び5−メチル−2−メルカ
プトベンゾイミダゾール、1−フェニル−2−ヘプチル
−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾールの添加を
行い、ハロゲン化銀乳剤2を得た。ハロゲン化銀乳剤2
の乳剤粒子は、平均球相当径0.080μm、球相当径
の変動係数20%の純臭化銀立方体粒子であった。
【0260】《ハロゲン化銀乳剤3の調製》ハロゲン化
銀乳剤1の調製において、粒子形成時の液温30℃を2
7℃に変更する以外は同様にして、ハロゲン化銀乳剤3
の調製を行った。又はロゲン化銀乳剤1と同様に沈殿/
脱塩/水洗/分散を行った。分光増感色素Aと分光増感
色素Bのモル比で1:1を固体分散物(ゼラチン水溶
液)として添加量を銀1モル当たり分光増感色素Aと分
光増感色素Bとの合計として6×10-3モル、テルル増
感剤Cの添加量を銀1モル当たり5.2×10-4モルに
変え、テルル増感剤Cの添加3分後に臭化金酸を銀1モ
ル当たり5×10-4モルとチオシアン酸カリウムを銀1
モルあたり2×10-3モルを添加したこと以外はハロゲ
ン化銀乳剤1と同様にして、ハロゲン化銀乳剤3を得
た。ハロゲン化銀乳剤3の乳剤粒子は、平均球相当径
0.034μm、球相当径の変動係数20%のヨウドを
均一に3.5モル%含むヨウ臭化銀粒子であった。
【0261】《塗布液用混合乳剤Aの調製》ハロゲン化
銀乳剤1を70質量%、ハロゲン化銀乳剤2を15質量
%、ハロゲン化銀乳剤3を15質量%溶解し、ベンゾチ
アゾリウムヨーダイドを1質量%水溶液にて銀1モル当
たり7×10-3モル添加した。さらに塗布液用混合乳剤
1kgあたりハロゲン化銀の含有量が銀として38.2
gとなるように加水した。
【0262】《非感光性ベヘン酸銀分散物の調製》ヘン
ケル社製ベヘン酸(製品名Edenor C22−85
R)87.6kg、蒸留水423L、5mol/L濃度
のNaOH水溶液49.2L、t−ブチルアルコール1
20Lを混合し、75℃にて1時間攪拌し反応させ、ベ
ヘン酸ナトリウム溶液を得た。別に、硝酸銀40.4k
gの水溶液206.2L(pH4.0)を用意し、10
℃にて保温した。635Lの蒸留水と30Lのt−ブチ
ルアルコールとを入れた反応容器を30℃に保温し、十
分に撹拌しながら先のベヘン酸ナトリウム溶液の全量と
硝酸銀水溶液の全量とを流量一定でそれぞれ93分15
秒および90分かけて添加した。このとき、硝酸銀水溶
液添加開始後11分間は硝酸銀水溶液のみが添加される
ようにし、そのあとベヘン酸ナトリウム溶液を添加開始
し、硝酸銀水溶液の添加終了後14分15秒間はベヘン
酸ナトリウム溶液のみが添加されるようにした。このと
き、反応容器内の温度は30℃とし、液温度が一定にな
るように外温コントロールした。また、ベヘン酸ナトリ
ウム溶液の添加系の配管は、2重管の外側に温水を循環
させる事により保温し、添加ノズル先端の出口の液温度
が75℃になるよう調製した。また、硝酸銀水溶液の添
加系の配管は、2重管の外側に冷水を循環させることに
より保温した。ベヘン酸ナトリウム溶液の添加位置と硝
酸銀水溶液の添加位置は撹拌軸を中心として対称的な配
置とし、また反応液に接触しないような高さに調製し
た。
【0263】ベヘン酸ナトリウム溶液を添加終了後、そ
のままの温度で20分間撹拌放置し、30分かけて35
℃に昇温し、その後210分熟成を行った。熟成終了後
直ちに、遠心濾過で固形分を濾別し、固形分を濾過水の
伝導度が30μS/cmになるまで水洗した。こうして
脂肪酸銀塩を得た。得られた固形分は、乾燥させないで
ウエットケーキとして保管した。
【0264】得られたベヘン酸銀粒子の形態を電子顕微
鏡撮影により評価したところ、平均値でa=0.14μ
m、b=0.4μm、c=0.6μm、平均アスペクト
比5.2、平均球相当径0.52μm、球相当径の変動
係数15%のりん片状の結晶であった。(a,b,cは
本文の規定)
【0265】乾燥固形分260kg相当のウエットケー
キに対し、ポリビニルアルコール(商品名:PVA−2
17)19.3kgおよび水を添加し、全体量を100
0kgとしてからディゾルバー羽根でスラリー化し、更
にパイプラインミキサー(みづほ工業製:PM−10
型)で予備分散した。
【0266】次に予備分散済みの原液を分散機(商品
名:マイクロフルイダイザーM−610、マイクロフル
イデックス・インターナショナル・コーポレーション
製、Z型インタラクションチャンバー使用)の圧力を1
260kg/cm2に調節して、三回処理し、ベヘン酸
銀分散物を得た。冷却操作は蛇管式熱交換器をインタラ
クションチャンバーの前後に各々装着し、冷媒の温度を
調節することで18℃の分散温度に設定した。
【0267】《還元剤錯体−1分散物の調製》還元剤錯
体―1(6,6'−ジ−t−ブチル−4,4'−ジメチル
−2,2'−ブチリデンジフェノール)とトリフェニル
ホスフィンオキシドの1:1錯体)10kg、トリフェ
ニルホスフィンオキシド0.12kgおよび変性ポリビ
ニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP20
3)の10質量%水溶液16kgに、水10kgを添加
して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダ
イアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジル
コニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:
アイメックス(株)製)にて4時間30分分散したの
ち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水
を加えて還元剤の濃度が22質量%になるように調製
し、還元剤錯体−1分散物を得た。こうして得た還元剤
錯体−1分散物に含まれる還元剤錯体粒子はメジアン径
0.45μm、最大粒子径1.4μm以下であった。得
られた還元剤錯体分散物は孔径3.0μmのポリプロピ
レン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去
して収納した。
【0268】《還元剤−2分散物の調製》還元剤―2
(6,6'−ジ−t−ブチル−4,4'−ジメチル−2,
2'−ブチリデンジフェノール)10kgと変性ポリビ
ニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP20
3)の10質量%水溶液16kgに、水10kgを添加
して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダ
イアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジル
コニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:
アイメックス(株)製)にて3時間30分分散したの
ち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水
とを加えて還元剤の濃度が25質量%になるように調製
し、還元剤−2分散物を得た。こうして得た還元剤−2
分散物に含まれる還元剤粒子はメジアン径0.40μ
m、最大粒子径1.5μm以下であった。得られた還元
剤−2分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィ
ルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納し
た。
【0269】《水素結合性化合物−1分散物の調製》水
素結合性化合物−1(トリ(4−t−ブチルフェニル)
ホスフィンオキシド)10kgと変性ポリビニルアルコ
ール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質
量%水溶液16kgに、水10kgを添加して、良く混
合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポ
ンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズ
を充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス
(株)製)にて3時間30分分散したのち、ベンゾイソ
チアゾリノンナトリウム塩0.2gと水とを加えて水素
結合剤の濃度が25質量%になるように調製し、水素結
合性化合物−1分散物を得た。こうして得た水素結合性
化合物−1分散物に含まれる水素結合剤粒子はメジアン
径0.35μm、最大粒子径1.5μm以下であった。
得られた水素結合性化合物−1分散物は孔径3.0μm
のポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等
の異物を除去して収納した。
【0270】《現像促進剤−1分散物の調製》現像促進
剤−1を10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ
(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液2
0kgとに、水10kgを添加して、良く混合してスラ
リーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液
し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した
横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)
にて3時間30分分散したのち、ベンゾイソチアゾリノ
ンナトリウム塩0.2gと水とを加えて現像促進剤の濃
度が20質量%になるように調製し、現像促進剤−1分
散物を得た。こうして得た現像促進剤−1分散物に含ま
れる現像促進剤粒子はメジアン径0.48μm、最大粒
子径1.4μm以下であった。得られた現像促進剤−1
分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルター
にてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0271】現像促進剤−2、現像促進剤−3および色
調調整剤−1の固体分散物についても現像促進剤−1と
同様の方法により分散し、20質量%の分散液を得た。
【0272】《有機ポリハロゲン化合物−1分散物の調
製》有機ポリハロゲン化合物−1(トリブロモメタンス
ルホニルベンゼン)10kgと変性ポリビニルアルコー
ル(クラレ(株)製ポバールMP203)との20質量
%水溶液10kgと、トリイソプロピルナフタレンスル
ホン酸ナトリウムの20質量%水溶液0.4kgと、水
14kgとを添加して、良く混合してスラリーとした。
このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径
0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミ
ル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時間分
散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.
2gと水とを加えて有機ポリハロゲン化合物−1の濃度
が26質量%になるように調製し、有機ポリハロゲン化
合物−1分散物を得た。こうして得た有機ポリハロゲン
化合物−1分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒
子はメジアン径0.41μm、最大粒子径2.0μm以
下であった。得られた有機ポリハロゲン化合物−1分散
物は孔径10.0μmのポリプロピレン製フィルターに
てろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0273】《有機ポリハロゲン化合物−2分散物の調
製》有機ポリハロゲン化合物−2(N−ブチル−3−ト
リブロモメタンスルホニルベンゾアミド)10kgと変
性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP
203)の10質量%水溶液20kgと、トリイソプロ
ピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶
液0.4kgとを添加して、良く混合してスラリーとし
た。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均
直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サン
ドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時
間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩
0.2gと水を加えて有機ポリハロゲン化合物−2の濃
度が30質量%になるように調製した。この分散液を4
0℃で5時間加温し、有機ポリハロゲン化合物−2分散
物を得た。こうして得た有機ポリハロゲン化合物−2分
散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン
径0.40μm、最大粒子径1.3μm以下であった。
得られた有機ポリハロゲン化合物−2分散物は孔径3.
0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、
ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0274】《フタラジン化合物−1溶液の調製》8k
gのクラレ(株)製変性ポリビニルアルコールMP20
3を水174.57kgに溶解し、次いでトリイソプロ
ピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶
液3.15kgとフタラジン化合物−1(6−イソプロ
ピルフタラジン)の70質量%水溶液14.28kgを
添加し、フタラジン化合物−1の5質量%溶液を調製し
た。
【0275】《メルカプト化合物−1水溶液の調製》メ
ルカプト化合物−1(1−(3−スルホフェニル)−5
−メルカプトテトラゾールナトリウム塩)7gを水99
3gに溶解し、0.7質量%の水溶液とした。
【0276】《メルカプト化合物−2水溶液の調製》メ
ルカプト化合物−2(1−(3−メチルウレイド)−5
−メルカプトテトラゾールナトリウム塩)20gを水9
80gに溶解し、2.0質量%の水溶液とした。
【0277】《顔料−1分散物の調製》C.I.Pig
ment Blue 60を64gと花王(株)製デモ
ールNを6.4gに水250gを添加し良く混合してス
ラリーとした。平均直径0.5mmのジルコニアビーズ
800gを用意してスラリーと一緒にベッセルに入れ、
分散機(1/4Gallonサンドグラインダーミル:
アイメックス(株)製)にて25時間分散し、顔料−1
分散物を得た。こうして得た顔料−1分散物に含まれる
顔料粒子は平均粒径0.21μmであった。
【0278】《SBRラテックス液の調製》Tg=22
℃のSBRラテックスは以下により調整した。重合開始
剤として過硫酸アンモニウム、乳化剤としてアニオン界
面活性剤を使用し、スチレン70.0質量部、ブタジエ
ン27.0質量部およびアクリル酸3.0質量部を乳化
重合させた後、80℃で8時間エージングを行った。そ
の後40℃まで冷却し、アンモニア水によりpH7.0
とし、さらに三洋化成(株)製サンデットBLを0.2
2%になるように添加した。次に5%水酸化ナトリウム
水溶液を添加しpH8.3とし、さらにアンモニア水に
よりpH8.4になるように調整した。このとき使用し
たNa+イオンとNH4 +イオンとのモル比は1:2.3
であった。さらに、この液1kg対してベンゾイソチア
ゾリンノンナトリウム塩7%水溶液を0.15ml添加
しSBRラテックス液を調製した。
【0279】(SBRラテックス:−St(70.0)
−Bu(27.0)−AA(3.0)−のラテックス)
Tg22℃ 平均粒径0.1μm 、濃度43質量%、25℃60%
RHにおける平衡含水率0.6質量%、イオン伝導度
4.2mS/cm(イオン伝導度の測定は東亜電波工業
(株)製伝導度計CM−30S使用し、ラテックス原液
(43質量%)を25℃にて測定)、pH8.4 Tgの異なるSBRラテックスはスチレン、ブタジエン
の比率を適宜変更し、同様の方法により調整できる。
【0280】《乳剤層(感光性層)塗布液−1の調製》
上記で得た脂肪酸銀分散物1000g、水276ml、
顔料−1分散物33.2g、有機ポリハロゲン化合物−
1分散物21g、有機ポリハロゲン化合物−2分散物5
8g、フタラジン化合物―1溶液173g、SBRラテ
ックス(Tg:22℃)液1082g、還元剤錯体−1
分散物299g、現像促進剤−1分散物6g、メルカプ
ト化合物−1水溶液9ml、メルカプト化合物−2水溶
液27mlを順次添加し、塗布直前にハロゲン化銀混合
乳剤A117gを添加して良く混合した乳剤層塗布液を
そのままコーティングダイへ送液し、塗布した。
【0281】上記乳剤層塗布液の粘度は東京計器のB型
粘度計で測定して、40℃(No.1ローター、60r
pm)で25[mPa・s]であった。レオメトリック
スファーイースト株式会社製RFSフルードスペクトロ
メーターを使用した25℃での塗布液の粘度は剪断速度
が0.1、1、10、100、1000[1/秒]にお
いてそれぞれ230、60、46、24、18[mPa
・s]であった。
【0282】塗布液中のジルコニウム量は銀1gあたり
0.38mgであった。
【0283】《乳剤層(感光性層)塗布液−2の調製》
上記で得た脂肪酸銀分散物1000g、水276ml、
顔料−1分散物32.8g、有機ポリハロゲン化合物−
1分散物21g、有機ポリハロゲン化合物−2分散物5
8g、フタラジン化合物―1溶液173g、SBRラテ
ックス(Tg:20℃)液1082g、還元剤−2分散
物155g、水素結合性化合物−1分散物55g、現像
促進剤−1分散物6g、現像促進剤−2分散物2g、現
像促進剤−3分散物3g、色調調整剤−1分散物2g、
メルカプト化合物−2水溶液6mlを順次添加し、塗布
直前にハロゲン化銀混合乳剤A117gを添加して良く
混合した乳剤層塗布液をそのままコーティングダイへ送
液し、塗布した。上記乳剤層塗布液の粘度は東京計器の
B型粘度計で測定して、40℃(No.1ローター、6
0rpm)で40[mPa・s]であった。レオメトリ
ックスファーイースト株式会社製RFSフルードスペク
トロメーターを使用した25℃での塗布液の粘度は剪断
速度が0.1、1、10、100、1000[1/秒]
においてそれぞれ530、144、96、51、28
[mPa・s]であった。
【0284】塗布液中のジルコニウム量は銀1gあたり
0.25mgであった。
【0285】《乳剤面中間層塗布液の調製》ポリビニル
アルコールPVA−205(クラレ(株)製)1000
g、顔料の5質量%分散物272g、メチルメタクリレ
ート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチ
ルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比
64/9/20/5/2)ラテックス19質量%液42
00mlにエアロゾールOT(アメリカンサイアナミド
社製)の5質量%水溶液を27ml、フタル酸二アンモ
ニウム塩の20質量%水溶液を135ml、総量100
00gになるように水を加え、pHが7.5になるよう
にNaOHで調整して中間層塗布液とし、9.1ml/
m2になるようにコーティングダイへ送液した。塗布液
の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター、60r
pm)で58[mPa・s]であった。
【0286】《乳剤面保護層第1層塗布液の調製》イナ
ートゼラチン64gを水に溶解し、メチルメタクリレー
ト/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチル
メタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比6
4/9/20/5/2)ラテックス27.5質量%液8
0g、フタル酸の10質量%メタノール溶液を23m
l、4−メチルフタル酸の10質量%水溶液23ml、
0.5mol/L濃度の硫酸を28ml、エアロゾール
OT(アメリカンサイアナミド社製)の5質量%水溶液
を5ml、フェノキシエタノール0.5g、ベンゾイソ
チアゾリノン0.1gを加え、総量750gになるよう
に水を加えて塗布液とし、4質量%のクロムみょうばん
26mlを塗布直前にスタチックミキサーで混合したも
のを18.6ml/m2になるようにコーティングダイ
へ送液した。塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.
1ローター、60rpm)で20[mPa・s]であっ
た。
【0287】《乳剤面保護層第2層塗布液の調製》イナ
ートゼラチン80gを水に溶解し、メチルメタクリレー
ト/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチル
メタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比6
4/9/20/5/2)ラテックス27.5質量%液1
02g、フッ素系界面活性剤(F−1:N−パーフルオ
ロオクチルスルフォニル−N−プロピルアラニンカリウ
ム塩)の5質量%溶液を3.2ml、フッ素系界面活性
剤(F−2:ポリエチレングリコールモノ(N−パーフ
ルオロオクチルスルホニル−N−プロピル−2−アミノ
エチル)エーテル[エチレンオキシド平均重合度=1
5])の2質量%水溶液を32ml、エアロゾールOT
(アメリカンサイアナミド社製)の5質量%溶液を23
ml、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径0.
7μm)4g、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均
粒径4.5μm)21g、4−メチルフタル酸1.6
g、フタル酸4.8g、0.5mol/L濃度の硫酸4
4ml、ベンゾイソチアゾリノン10mgに総量650
gとなるよう水を添加して、4質量%のクロムみょうば
んと0.67質量%のフタル酸を含有する水溶液445
mlを塗布直前にスタチックミキサーで混合したものを
表面保護層塗布液とし、8.3ml/m2になるように
コーティングダイへ送液した。塗布液の粘度はB型粘度
計40℃(No.1ローター,60rpm)で19[m
Pa・s]であった。
【0288】《熱現像感光材料の作成》上記下塗り支持
体のバック面側に、アンチハレーション層塗布液をゼラ
チン塗布量が0.44g/m2となるように、またバッ
ク面保護層塗布液をゼラチン塗布量が1.7g/m2
なるように同時重層塗布し、乾燥し、バック層を作成し
た。
【0289】バック面と反対の面に下塗り面から乳剤
層、中間層、保護層第1層、保護層第2層の順番でスラ
イドビード塗布方式にて同時重層塗布し、熱現像感光材
料の試料を作成した。このとき、乳剤層と中間層は31
℃に、保護層第一層は36℃に、保護層第一層は37℃
に温度調整した。乳剤層の各化合物の塗布量(g/
2)は以下の通りである。
【0290】 ベヘン酸銀 5.55 顔料(C.I.Pigment Blue 60) 0.036 ポリハロゲン化合物−1 0.12 ポリハロゲン化合物−2 0.37 フタラジン化合物−1 0.19 SBRラテックス 9.97 還元剤錯体−1 1.41 現像促進剤−1 0.024 メルカプト化合物−1 0.002 メルカプト化合物−2 0.012 ハロゲン化銀(Agとして) 0.091
【0291】塗布乾燥条件は以下のとおりである。塗布
はスピード160m/minで行い、コーティングダイ
先端と支持体との間隙を0.10〜0.30mmとし、
減圧室の圧力を大気圧に対して196〜882Pa低く
設定した。支持体は塗布前にイオン風にて除電した。引
き続くチリングゾーンにて、乾球温度10〜20℃の風
にて塗布液を冷却した後、無接触型搬送して、つるまき
式無接触型乾燥装置にて、乾球温度23〜45℃、湿球
温度15〜21℃の乾燥風で乾燥させた。乾燥後、25
℃で湿度40〜60%RHで調湿した後、膜面を70〜
90℃になるように加熱した。加熱後、膜面を25℃ま
で冷却した。
【0292】このとき、アンチハレーション層塗布液に
入る染料固体微粒子分散液を1P−1〜1P−4の種類
別に熱現像感光材料1−1〜1−4を作製した。各染料
分散物の粒子サイズの数平均値、体積加重平均値、感光
材料の0.1mm平方当りの1μm以上の染料粒子個数
を表1に記載した。
【0293】作製された熱現像感光材料のマット度はベ
ック平滑度で感光性層面側が550秒、バック面が13
0秒であった。また、感光層面側の膜面のpHを測定し
たところ6.0であった。
【0294】《性能の評価》得られた試料は半切サイズ
に切断し、25℃50%の環境下で以下の包装材料に包
装し、2週間常温下で保管した後、以下の評価を行っ
た。 〔包装材料〕 PET10μm/PE12μm/アルミ箔9μm/Ny
15μm/カーボン3%を含むポリエチレン50μm 酸素透過率:0.02ml/atm・m2・25℃・d
ay、水分透過率:0.10g/atm・m2・25℃
・day
【0295】(残色性の評価)富士メディカルドライレ
ーザーイメージャーFM−DP L(最大60mW(II
IB)出力の660nm半導体レーザー搭載)にて各感
光材料を露光・熱現像(112℃−119℃−121℃
−121℃に設定した4枚のパネルヒータで熱現像し
た。得られた画像において、Dmin部(最小濃度部)
の染料の残色性を官能評価した。合計の熱現像時間は1
4秒又は24秒(フィルム搬送速度を調整した)とし、
評価の基準は以下の通りであり、その評価結果を表1に
記載した。 〔基準〕 ◎:フィルム中央部、及びフィルム後端部に全く残色は
見られず、非常に好ましいレベル。 ○:フィルム中央部は全く残色が見られず、フィルム後
端部に若干の残色があるが、好ましいレベル。 △:フィルム後端部に残色があり、好ましくないレベ
ル。 ×:フィルム全体に残色があることがはっきりわかり、
問題があるレベル。
【0296】(鮮鋭性の評価)露光において、10ライ
ン/mmの矩形像を形成し、上記の熱現像機によって、
熱現像処理を行なった。ミクロデンシトメーターにて濃
度測定して得られたMTF値を相対値として評価した。
その結果を表1に記載した。
【0297】
【表1】
【0298】表1の結果から、本発明の熱現像感光材料
は、残色性と鮮鋭性とに優れていることがわかる。特に
残色性能については熱現像時間14秒においては、比較
例1−7、1−8に対する改良巾が、熱現像時間24秒
における比較例1−2、1−3に対する改良巾よりも著
しく大きかった。
【0299】[実施例2]アンチハレーション層に添加
する固体微粒子分散物の染料を表2に示す上記非消色性
の染料に変更し、実施例1のハロゲン化銀乳剤1,2,
3の分光増感色素A、Bを、特開2001−83655
号に記載された分光増感色素No41に変更した。それ
以外は、実施例1と同一の方法によって熱現像感光材料
を作製した。また、ここでアンチハレーション層に添加
した固体微粒子状の染料分散物も染料種を変更した以外
は、1P−2〜1P−4と同様な分散方法を実施した。
このとき、分散時間を変えて、各染料種につき分散度の
異なる2種の分散物を調製し、それを添加した熱現像感
光材料を作製した。各染料分散物の粒子サイズの数平均
値、体積加重平均値、感光材料の0.1mm平方当りの
1μm以上の染料粒子個数を表2に記載した。
【0300】熱現像感光材料を評価する際の熱現像時間
は全て14秒とし、それ以外の熱現像条件は実施例と同
一の方法であった。鮮鋭性の評価方法は露光するレーザ
ー光源を赤外レーザーに変更した以外は、実施例と同様
に行なった。
【0301】(熱現像後のヘイズの評価)その他の評価
として、ここでは熱現像処理後の熱現像感光材料のヘイ
ズについて官能評価した。評価基準は以下の通りであ
り、その結果を表2に記載した。 〔基準〕 ◎:ヘイズは見られず、非常に好ましいレベル。 ○:若干のヘイズがあるが、好ましいレベル。 △:ビジュアル濃度測定においてヘイズによるDmin
の上昇があり、好ましくないレベル。 ×:著しいヘイズがあり、診断上にも問題があるレベル
【0302】
【表2】
【0303】表2の結果から、本発明の熱現像感光材料
は、ヘイズが少なく、鮮鋭性にも優れていることがわか
る。
【0304】[実施例3] 《熱現像感光材料3−Xの作製》実施例1の熱現像感光
材料1−1〜1−10に対して、乳剤層塗布液−1を乳
剤層塗布液−2に変更し、さらにハレーション防止層か
ら黄色染料化合物1を除き、バック面保護層および乳剤
面保護層のフッ素系界面活性剤をF−1、F−2、F−
3およびF−4からそれぞれF−5、F−6、F−7お
よびF−8に変更した他は熱現像感光材料−1と同様に
して熱現像感光材料3−1〜3−10を作製した。この
ときの乳剤層の各化合物の塗布量(g/m2)は以下の
通りである。
【0305】 ベヘン酸銀 5.55 顔料(C.I.Pigment Blue 60) 0.036 ポリハロゲン化合物−1 0.12 ポリハロゲン化合物−2 0.37 フタラジン化合物−1 0.19 SBRラテックス 9.67 還元剤−2 0.81 水素結合性化合物−1 0.30 現像促進剤−1 0.024 現像促進剤−2 0.010 現像促進剤−3 0.015 色調調整剤−1 0.010 メルカプト化合物−2 0.002 ハロゲン化銀(Agとして) 0.091
【0306】以下に本発明の実施例で用いた化合物の化
学構造を示す。
【0307】
【化46】
【0308】
【化47】
【0309】
【化48】
【0310】
【化49】
【0311】
【化50】
【0312】熱現像感光材料3−1〜3−10を実施例
1と同様に評価を行なった結果、3−4、3−5、3−
9,3−10の残色が少なく、また鮮鋭性が良好な結果
が得られた。
【0313】
【発明の効果】本発明によれば、熱現像において、鮮鋭
性を向上させるための染料が迅速に消色する熱現像感光
材料及びその処理方法を提供することができる。また、
本発明によれば、赤外レーザー露光をする熱現像感光材
料であって、鮮鋭性を向上させるための非消色の染料
が、熱現像後の画像において可視域の色味が少ない、高
い画像品質を有した熱現像感光材料及びその処理方法を
提供することができる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上の一方の面側に、非感光性銀
    源、感光性ハロゲン化銀、及び還元剤を含有し、さら
    に、前記支持体上の他方の面側に少なくとも一層の非感
    光性層を有する熱現像感光材料であって、前記非感光性
    層は、少なくとも一種類の固体微粒子状の染料を含有
    し、かつ、投影面積の円相当径が1μm以上の前記染料
    の固体微粒子数が、0.1mm平方の単位面積当り10
    0個以下であることを特徴とする熱現像感光材料。
  2. 【請求項2】 支持体上の一方の面側に、非感光性銀
    源、感光性ハロゲン化銀、及び還元剤を含有し、さら
    に、前記支持体上の他方の面側に少なくとも一層の非感
    光性層を有する熱現像感光材料であって、前記非感光性
    層は、少なくとも一種類の固体微粒子状の染料を含有
    し、かつ、前記染料の粒子サイズの体積加重平均が1.
    0μm以下であることを特徴とする熱現像感光材料。
  3. 【請求項3】 前記非感光性層は、塩基プレカーサーを
    含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の熱現
    像感光材料。
  4. 【請求項4】 前記非感光性層は、ゼラチンを含有する
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱現
    像感光材料。
  5. 【請求項5】 前記染料の少なくとも1種類は、熱現像
    処理に対して非消色性であることを特徴とする請求項1
    〜4のいずれかに記載の熱現像感光材料。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の熱現像
    感光材料を、100℃以上150℃以下の温度で、5秒
    以上15秒以下の熱現像処理を行なう熱現像感光材料の
    処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2007010777A1 (ja) * 2005-07-20 2007-01-25 Konica Minolta Medical & Graphic, Inc. 画像形成方法

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