JP2003128866A - 水系分散組成物およびその製造方法 - Google Patents

水系分散組成物およびその製造方法

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JP2003128866A
JP2003128866A JP2001320132A JP2001320132A JP2003128866A JP 2003128866 A JP2003128866 A JP 2003128866A JP 2001320132 A JP2001320132 A JP 2001320132A JP 2001320132 A JP2001320132 A JP 2001320132A JP 2003128866 A JP2003128866 A JP 2003128866A
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aqueous dispersion
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copolymer
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Masato Onoe
真人 尾上
Teruaki Ashihara
照明 芦原
Kazuyuki Hata
和行 畑
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Mitsubishi Chemical Corp
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 樹脂成型品等に対して付着性に優れ、保存安
定性に優れた水系分散組成物を提供する。 【解決手段】 芳香族ビニル化合物の重合ブロックおよ
び共役ジエン化合物の重合ブロックを含むブロック共重
合体の水素添加物である主鎖と、カルボン酸基、その塩
もしくはその無水物またはカルボン酸エステル基を含む
側鎖とを有する変性共重合体を、塩基性化合物を含有す
る水系溶媒に分散してなる水系分散組成物である。好ま
しくは、前記カルボン酸基、その塩もしくはその無水物
またはカルボン酸エステル基は、前記ブロック共重合体
の水素添加物に、重合性化合物をグラフト共重合させる
ことによって導入されたことを特徴とする前記水系分散
組成物である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は樹脂成型品あるいは
樹脂フィルム品に対する塗装用、接着用、インキバイン
ダー用もしくはコーティング用の水系分散組成物および
その製造方法に関し、特にポリオレフィン系樹脂成型品
に使用するプライマーや塗料用に適した水系分散組成物
およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリプロピレン等のポリオレフィ
ンの成型品については、その表面に塗装を施したり、他
の樹脂層を形成したりして、その付加価値を高めること
がしばしば行われている。しかし一般にポリオレフィン
は、極性に乏しく、一般の塗料や他の樹脂との付着性が
悪い。そのため、従来は、予め成型品の表面をプライマ
ーで処理して、塗料の付着性および密着性を改善してか
ら、塗装を行うことが一般的であった。プライマー処理
に用いる樹脂として、不活性溶媒中でスチレン・ブタジ
エンブロック共重合体の水素添加物の存在下にモノオレ
フィンジカルボン酸およびその無水物を重合して得られ
る塗料用樹脂組成物が提案されている(特開昭61−1
92743号公報)。しかしながら、この樹脂は有機溶
媒を含有または有機溶媒に溶解して使用するものである
ため、製造および使用時の作業環境を悪化させる原因と
なるなどの問題がある。
【0003】それに対し水性媒体における樹脂の安定し
たエマルジョンまたは懸濁液は、上記の溶剤系組成物に
比べ、環境上または安全上有利である。このような理由
を背景に、芳香族ビニルモノマー・共役ジエンブロック
共重合体類の水系分散組成物の検討が種々なされてい
る。特開昭54−146889号公報、特開昭56−1
15345号公報および特開昭59−102967号公
報には、変性および未変性スチレン・ブタジエンブロッ
ク共重合体の水分散組成物についての記載がなされてい
るが、これらの組成物は構造上基本的に耐熱性および耐
候性が悪いという欠点がある。また特許第295033
6号公報、特許第2984331号公報には、スチレン
・ブタジエンブロック共重合体およびその水添体の変性
体を含有する水分散組成物について記載されているが、
これらの変性体は末端に水酸基を持った変性体であり、
水分散物の安定性および保存性などに劣り、ひいては樹
脂成形品に対する密着性および塗膜の平滑性に劣る。特
許第2988694号公報には、スチレン・ブタジエン
ブロック共重合体およびその水添体を塩素化した変性体
を含有する水分散組成物について記載されているが、こ
れらの変性体は塩素を含有しているため耐候性に劣るこ
とに加え、環境への影響が懸念される。
【0004】ところで、樹脂成形品のプライマー処理等
に用いられるエマルジョン組成物等は、塗膜を形成した
際に平滑性等が要求されるので、分散粒子の粒径はより
小さいほど好ましい。分散粒子を小粒径化する試みとし
て、特定の界面活性剤およびブロックコポリマーの軟化
点以上の高温において剪断およびキャビテーションを行
う方法によって2μm以下の分散粒子を含む分散体を製
造する試みがなされている(特開平4−283238号
公報)。しかしながら、この方法では、分散体の安定性
が悪く、分散体を保存しておくと、1週間程度で水と粒
子とに分離してしまうという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記諸問題に
鑑みなされたものであって、樹脂成型品、例えばポリプ
ロピレン等のポリオレフィン類の各種樹脂からなる成型
品に対して付着性に優れ、これらの成型品の表面に塗布
して十分な剥離強度および密着性を有する塗膜を得るこ
とができるとともに、耐熱性および耐候性にも優れ、し
かも保存安定性にも優れた水系分散組成物およびその製
造方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明の水系分散組成物は、芳香族ビニル化合物の
重合ブロックおよび共役ジエン化合物の重合ブロックを
含むブロック共重合体の水素添加物である主鎖と、カル
ボン酸基、その塩もしくはその無水物またはカルボン酸
エステル基を含む側鎖とを有する変性共重合体を、塩基
性化合物を含有する水系溶媒に分散してなることを特徴
とする。
【0007】本発明の一態様として、前記カルボン酸
基、その塩もしくはその無水物またはカルボン酸エステ
ル基は、前記ブロック共重合体の水素添加物に、重合性
化合物をグラフト共重合させることによって導入された
ことを特徴とする上記水系分散組成物;前記変性共重合
体は、前記水素添加物に対して、前記重合性化合物から
なる単位を0.01〜25重量%含有することを特徴と
する前記水系分散組成物;前記重合性化合物が、モノオ
レフィンジカルボン酸類およびその無水物ならびにモノ
オレフィンジカルボン酸類のモノアルキルエステル類か
ら選ばれる少なくとも1種、好ましくは無水マレイン酸
であることを特徴とする前記水系分散組成物;が挙げら
れる。
【0008】本発明の一態様として、前記変性共重合体
に対して、塩基性化合物を0.01〜50重量%含有す
ることを特徴とする上記いずれかの水系分散組成物;前
記塩基性化合物がアミン化合物であることを特徴とする
上記いずれかの水系分散組成物;前記変性共重合体を5
〜70重量%含有することを特徴とする上記いずれかの
水系分散組成物;が提供される。
【0009】本発明の好ましい態様として、前記変性共
重合体に対して、界面活性剤(ノニオン系界面活性剤、
アニオン系界面活性剤および両性界面活性剤の中から少
なくとも1種類)を0.05〜50重量%含有すること
を特徴とする上記いずれかの水系分散組成物;前記界面
活性剤がノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤
および両性界面活性剤の中から選ばれる少なくとも1種
であることを特徴とする前記水系分散組成物が挙げられ
る。
【0010】また、本発明の好ましい態様として、前記
ブロック共重合体が、スチレンの重合ブロックとブタジ
エンの重合ブロックとを含むことを特徴とする上記いず
れかの水系分散組成物が提供される。
【0011】また、本発明の水系分散組成物において、
前記変性共重合体の分散粒子は前記平均粒径1μm以下
であるのが好ましい。
【0012】また、前記課題を解決するため、本発明の
水系分散組成物の製造方法は、芳香族ビニル化合物の重
合ブロックおよび共役ジエン化合物の重合ブロックを含
むブロック共重合体の水素添加物である主鎖と、カルボ
ン酸基、その塩もしくはその無水物またはカルボン酸エ
ステル基を含む側鎖とを有する変性共重合体を、塩基性
化合物を含有する水に分散させる分散工程を含み、前記
分散工程において、前記変性共重合体の溶液に剪断力を
作用させることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の水系分散組成物におい
て、分散粒子の主成分である変性共重合体は、芳香族ビ
ニル化合物の重合ブロックと共役ジエン化合物の重合ブ
ロックとを含むブロック共重合体(以下、「芳香族ビニ
ルモノマー・共役ジエンブロック共重合体」および単に
「ブロック共重合体」という場合がある)の水素添加物
である主鎖と、カルボン酸基またはその誘導体の基を含
む側鎖とを有する変性共重合体である。
【0014】この変性共重合体の主鎖は、芳香族ビニル
化合物の重合ブロックと、共役ジエン化合物の重合ブロ
ックとを含むブロック共重合体に水素添加処理を施すこ
とにより製造できる。本発明に利用可能な芳香族ビニル
モノマー・共役ジエンブロック共重合体としては、下記
一般式(1)で表されるブロック共重合体が好ましい。 一般式(1) A−(B−A)n 前記一般式(1)中、Aは芳香族ビニル化合物の単位を
含むブロック(好ましくは、モノビニル置換芳香族炭化
水素の重合体ブロック)、Bは共役ジエン化合物の単位
を含むブロック(好ましくは、共役ジエンのエラストマ
ー性重合体ブロック)であり、nは1〜5のいずれかの
整数を表す。
【0015】前記芳香族ビニル化合物としては、スチレ
ンが好ましい。一方、共役ジエン化合物としては、ブタ
ジエン−1・3およびイソプレンが好ましい。これらの
化合物の重合ブロックを含むブロック共重合体は市販品
として種々販売されていて、本発明においても市販品を
用いることができる。例えば、スチレン−ブタジエン−
スチレンブロックコポリマーは、商標“クレイトン11
01”や“クレイトン1102”として市販されてお
り、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマ
ーは、商標“クレイトン1107や“クレイトン111
1”として市販されている。これらはすべてShell
Chemical Companyから販売されてい
る。
【0016】前記芳香族ビニルモノマー・共役ジエンブ
ロック共重合体の製造法は、当業者によく知られてお
り、その典型的な方法が米国特許第3,265,765
号明細書に開示されている。これらの方法は、一般的に
は、モノビニル芳香族炭化水素モノマーを含む混合物
を、式R(Li)xで表される触媒の存在下で溶液重合
する工程を含む製造方法である。ここでXは1〜4のい
ずれかの整数を表し、Rは脂肪族、脂環族および芳香族
残基よりなる群から選ばれる炭化水素残基を表す。
【0017】本発明では、前記芳香族ビニルモノマー・
共役ジエンブロック共重合体の分子内二重結合を水素添
加することにより、熱安定性の向上したエラストマーを
得、変性共重合体の主鎖とする。前記ブロック共重合体
の水素添加物の製造方法については、例えば、特公昭4
3−6636号公報、特公昭45−20504号公報、
特公昭48−3555号公報等に記載されている。本発
明において、前記ブロック共重合体の水素添加量は、脂
肪族不飽和結合(共役ジエンブロック内の不飽和二重結
合)の少なくとも90%が還元され、一方、芳香族不飽
和結合(芳香族ビニル化合物モノマーブロック内の二重
結合)は極少量しか還元されないように行うことが望ま
しい。前記ブロック共重合体の水素添加物は、Shel
l Chemical Companyより、「クレイ
トンG−」のグレード名(例えば「クレイトン G−1
652」)を付した製品として販売されている。水素添
加された芳香族ビニルモノマー・共役ジエンブロック共
重合体は、水素添加していない該ブロック共重合体に比
べ、耐熱性および耐候性に優れている。
【0018】本発明に用いる前記芳香族ビニルモノマー
・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物は、テトラ
ヒドロフランを溶媒として、40℃でゲルパーミエーシ
ョン・クロマトグラフィーによって測定される数平均分
子量が、1x104〜4x105であるものが好ましく、
特に1.5x104〜1.2x105であるものが好まし
い。数平均分子量が1x104未満であると、プライマ
ーや塗料用の組成物等として用いた場合べたつきを生じ
る場合があり、一方、4x105を超えると、水系分散
組成物を調製する際に用いる前記変性共重合体の溶液の
粘度が高くなり過ぎ、製造上の問題が生じる。また、前
記前記芳香族ビニルモノマー・共役ジエンブロック共重
合体(およびその水素添加物)における芳香族ビニルモ
ノマーの含有量は、本発明の水系分散組成物の塗膜の付
着性、剥離強度、低温特性、べたつき性等の点から、1
0〜60重量%であることが好ましく、特に12〜55
重量%であることが好ましい。
【0019】本発明では、前記ブロック共重合体の水素
添加物に、カルボン酸基またはカルボン酸誘導体基を挿
入し、カルボン酸基またはカルボン酸誘導体基を側鎖に
含む変性共重合体を用いる。前記カルボン酸誘導体基と
しては、カルボン酸の塩もしくはその無水物またはカル
ボン酸エステル基が挙げられる。
【0020】前記変性共重合体は、前記芳香族ビニルモ
ノマー・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物に、
カルボン酸基またはカルボン酸誘導体基を有する重合性
化合物をグラフト共重合させることによって製造するこ
とができる。前記重合性化合物として、カルボン酸基ま
たはカルボン酸誘導体基(カルボン酸の塩およびその無
水物ならびにそのエステル基を含む)を導入可能な重合
性化合物としては、(メタ)アクリル酸またはそのエス
テル類およびモノオレフィンジカルボン酸およびその無
水物ならびにモノオレフィンジカルボン酸のモノアルキ
ルエステル等が挙げられる。より具体的には、(メタ)
アクリル酸;炭素数1〜12のアルキル基を有する(メ
タ)アクリル酸エステル系モノマー、例えば(メタ)ア
クリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)
アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロ
ピル(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル
酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メ
タ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシ
ル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アク
リル酸オクチル、ヘキシル(メタ)アクリル酸2−エチ
ルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アク
リル酸デシル(メタ)アクリル酸ドデシル等、;炭素数
6〜12のアリール基またはアリールアルキル基を有す
る(メタ)アクリル酸エステルのモノマー、例えば(メ
タ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイ
ル、(メタ)アクリル酸ベンジル等、;ヘテロ原子を含
有する炭素数1〜20のアルキル基を有する(メタ)ア
クリル酸エステルのモノマー、例えば(メタ)アクリル
酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチル
アミノエチル、(メタ)アクリル酸−2−アミノエチ
ル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メ
タ)アクリル酸−3−メトキシプロピル、(メタ)アク
リル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸エチレンオキサ
イドの付加物等、;フッ素原子を含有する炭素数1〜2
0のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの
モノマー、例えば(メタ)アクリル酸トリフルオロメチ
ルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチル
エチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエ
チル等、;(メタ)アクリルアミド系モノマー、例えば
(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルジメチルア
ミド;等が挙げられる。モノオレフィンジカルボン酸お
よびその無水物ならびにモノオレフィンジカルボン酸の
モノアルキルエステルとしては、例えば、マレイン酸、
クロロマレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタ
コン酸、3−メチル−2−ペンテン・二酸、2−メチル
−2−ペンテン・二酸、2−ヘキセン・二酸等が挙げら
れる。これらの中で反応性を有しさらなる変性へ展開で
き、かつ安価であるといった観点から無水マレイン酸が
好ましい。
【0021】またこれらのモノオレフィンジカルボン酸
の無水物およびそのカルボキシル基の1つがアルキルア
ルコールによりエステル化されたもの、すなわちモノオ
レフィンジカルボン酸のモノアルキルエステルも同様に
挙げられる。モノオレフィンジカルボン酸のモノアルキ
ルエステルのエステル化率(完全ジエステル化率を20
0%とする)は、45〜100%であるのが好ましく、
80〜100%であるのがより好ましい。エステル化率
が前記範囲の重合性化合物により製造された前記変性共
重合体を用いると、水系分散組成物が充分な保存安定性
を有し、且つ該水系分散組成物により良好な耐水性を有
する塗膜が得られるので好ましい。また、モノアルキル
エステルのアルキル基としては、炭素数1〜8のアルキ
ル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プ
ロピル基、n−ブチル基、イソプロピル基等が挙げられ
る。
【0022】モノオレフィンジカルボン酸モノアルキル
エステルを、官能基として有する変性共重合体は、モノ
オレフィンジカルボン酸モノアルキルエステルを前記ブ
ロック共重合体の水素添加物にグラフト共重合させる方
法:およびモノオレフィンジカルボン酸もしくはその無
水物を、前記ブロック共重合体の水素添加物にグラフト
共重合させた後に、アルキルアルコールによりカルボン
酸基の1つをエステル化する方法によって製造すること
ができる。
【0023】前記変性共重合体中における、グラフト共
重合によって導入された前記官能基を含む単位の含有量
は、プライマーとして成型品に塗布して塗料の付着性が
高い塗膜が得られ、また該塗膜と成型品との付着性も良
好で、しかも外観が良好となる点で、前記水素添加物に
対して0.01〜25重量%であるのが好ましく、0.
1〜15重量%であるのがより好ましい。
【0024】前記芳香族ビニルモノマー・共役ジエンブ
ロック共重合体の水素添加物に前記重合性化合物(特
に、モノオレフィンジカルボン酸、その無水物およびモ
ノオレフィンジカルボン酸モノアルキルエステル等)を
グラフト共重合させる方法としては、種々の公知の方法
が挙げられる。例えば、芳香族ビニルモノマー・共役ジ
エンブロック共重合体の水素添加物を有機溶媒に溶解
し、前記重合性化合物およびラジカル重合開始剤を添加
して加熱攪拌することによりグラフト共重合反応を行う
方法;芳香族ビニルモノマー・共役ジエンブロック共重
合体の水素添加物を加熱して溶解し、該溶融物にグラフ
ト共重合単位およびラジカル重合開始剤を添加し攪拌す
ることによりグラフト共重合する方法;あるいは各成分
を押出機に供給して加熱混練しながらグラフト共重合す
る方法;芳香族ビニルモノマー・共役ジエンブロック共
重合体の水素添加物のパウダーに、前記重合性化合物お
よびラジカル重合開始剤を有機溶媒に溶解した溶液を含
浸させた後、パウダーが溶解しない温度まで加熱し、グ
ラフト共重合する方法などが挙げられる。
【0025】グラフト共重合において使用されるラジカ
ル重合開始剤と重合性化合物とのモル比(ラジカル重合
開始剤/重合性化合物)は、通常、1/100〜3/5
であるのが好ましく、1/20〜1/2であるのがより
好ましい。
【0026】グラフト共重合における反応温度について
は、特に制限はないが、通常50℃以上であるのが好ま
しく、80〜200℃であるのがより好ましい。また、
反応時間は、通常2〜10時間程度である。
【0027】上記グラフト共重合に用いられるラジカル
重合開始剤としては、通常のラジカル開始剤のいずれで
もよく、有機過酸化物、アゾニトリル等を挙げることが
できる。有機過酸化物としては、ジイソプロピルパーオ
キシド、ジ(t−ブチル)パーオキシド、t−ブチルヒ
ドロパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ジクミル
パーオキシド、クミルヒドロパーオキシド、ジラウロイ
ルパーオキシド、ジベンゾイルパーオキシド、メチルエ
チルケトンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシ
ド、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオ
キシカルボナート、ジシクロヘキシルパーオキシカルボ
ナート等が挙げられる。アゾニトリルとしてはアゾビス
ブチロニトリル、アゾビスイソプロピルニトリル等が挙
げられる。これらの中でも、ベンゾイルパーオキシド、
ジクミルパーオキシドが好ましい。
【0028】グラフト共重合を液相で行う場合に用いら
れる有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン
等の芳香族系炭化水素;ヘキサン、ヘプタン、オクタ
ン、デカン等の脂肪族系炭化水素;トリクロロエチレ
ン、パークロルエチレン、クロルベンゼン、o−ジクロ
ロベンゼン等のハロゲン化炭化水素などが挙げられ、こ
れらの中でも、芳香族炭化水素もしくはハロゲン化炭化
水素が好ましく、特にトルエン、キシレン、クロルベン
ゼンが好ましい。
【0029】本発明の水系分散組成物は、前記変性共重
合体を、塩基性化合物を含有する水系溶媒に分散させる
ことによって調製できる。分散方法については、特に制
限はなく、例えば、前記変性共重合体を、水および界面
活性剤とともに水中に投入して分散させる粉砕法;有機
溶媒に溶解した変性共重合体を、界面活性剤および水と
混合した後、有機溶媒を除去する方法;ホモミキサーを
用いて分散を行うホモミキサー法;外部剪断力により乳
化を行うミキサーを用いる方法;転相法;等いずれを利
用してもよく、分散する変性共重合体の物性等に応じて
適宜選択される。特に、内部剪断力により乳化を行うミ
キサーを用いる方法が、前記変性重合体をより微細分散
させることができ、分散安定性を改良できるという面で
好ましく用いられる。ここで「内部剪断力」とは、流体
自身の分子間引力によるもの、すなわち乱気流におけ
る、速度の不規則な変動のために生ずるレイノルズ応力
といわれる内部剪断(液−液剪断)による力をいう。
【0030】微細分散を達成することにより水分散剤の
安定性を改良できるということは、次のことから説明で
きる。即ち、粒子は重力により沈下するが、粒子が微細
分散した状態では、ここに媒質の抵抗が働き、等速で沈
下するようになる(沈降という)。この等速沈降の速度
uはストークスの式から導き出される以下の式により算
出できる。 u={2a2(ρ−ρ0)g}/9η 式中、uは粒子の速度、aは粒子半径、ρは粒子の密
度、ρ0は媒質の密度、gは重力加速度およびηは媒質
の粘度である。沈降速度uは、粒子半径aに大きく依存
し、粒子半径aが小さいほど沈降速度uは小さくなり、
即ち分散粒子は沈降し難くなり、水系分散組成物として
の安定性が増すことがわかる。この観点から、水系分散
組成物の安定性を高くするためには、前記変性共重合体
の分散粒子の半径は5μm以下が好ましく、1μm以下
がより好ましい。なお、この粒子径は、レーザ回折法に
より測定することができる。
【0031】本発明においては、前記変性共重合体を分
散させる水系溶媒中に、塩基性化合物を含有させること
を特徴とする。本発明では、水系溶媒中に塩基性化合物
を含有させることにより、前記変性共重合体の分散安定
性を向上させている。なお、本発明において、「水系溶
媒」には、水以外にも、水を主成分として、その他、親
水性有機溶媒を微量含む混合溶媒も含まれる。親水性有
機溶媒を含有させると、例えば、プライマーや塗料の用
途に使用した場合に、表面の蒸発速度を上げ、仕上がり
がより良好となるので好ましい。前記親水性有機溶媒と
しては、メタノール、エタノール等のアルコール類;ア
セトン、メチルエチルケトン等のケトン類;エチレング
リコール、プロピレングリコール等のグリコール類およ
びそのエーテル類;等が挙げられる。
【0032】前記塩基性化合物としては、水可溶性の化
合物が好ましい。無機塩基性類、アンモニアおよびアミ
ン類が好ましく、中でもアミン類が特に好ましい。無機
塩基類としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭
酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸カリウムが挙げ
られる。アンモニアおよびアミン類としてはアンモニ
ア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブ
チルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、エタノ
ールアミン、プロパノールアミン、ジエタノールアミ
ン、N−メチルジエタノールアミン、ジメチルアミン、
ジエチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチル
エタノールアミン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−
1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロ
パノール、モルホリン等が挙げられる。
【0033】前記塩基性化合物の好ましい添加量は、前
記変性共重合の主鎖を構成している前記ブロック共重合
体の種類によって異なるが、一般的には、前記変性共重
合体に対して0.01〜50重量%が好ましい。前記塩
基性化合物の添加量が0.01重量%未満では保存安定
性の改良効果が不充分になる場合がある。一方、50重
量%程度の添加で保存安定性の効果はほぼ飽和に達する
ので、それを超えて添加しても保存安定性の向上はな
い。塩基性化合物の含有量は、より好ましくは、前記変
性共重合体に対して0.5〜10重量%である。
【0034】分散媒である水系溶媒中には界面活性剤を
添加するのが好ましい。界面活性剤は、非イオン系界面
活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤
および両性界面活性剤のいずれであってもよい。水系分
散組成物によって形成される皮膜の樹脂製品表面に対す
る密着性および耐水性等の観点から、非イオン系および
アニオン系界面活性剤を用いるのが好ましい。非イオン
系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンア
ルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニル
エーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオ
キシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエ
チレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレ
ンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ソルビタン
脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテ
ル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンア
ルキルアミン、アルキルアルカノールアミド等が挙げら
れる。アニオン系界面活性剤としては、例えば、脂肪酸
塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアル
キルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホ
ン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリ
ウム、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルジフェニル
エーテルジスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ナフタリ
ンスルホン酸ホルマリン縮合物等が挙げられ、そのうち
アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい。
【0035】界面活性剤は1種を単独で用いてもよい
し、2種以上を併用してもよい。例えば、ノニオン界面
活性剤の1種類と、アニオン界面活性剤の1種類とを混
合使用したり、または、例えば、ノニオン界面活性剤の
2種類もしくは3種類を混合使用したりすると、各界面
活性剤の特性がそれぞれ発現され、結果として良好な塗
膜物性が得られる場合が多い。界面活性剤の使用量は、
前記変性共重合体の分散状態が良好で、かつ得られる水
系分散組成物からなる皮膜と成型品との密着性が良好と
なる点で、通常、変性共重合体に対して0.05〜50
重量%程度が好ましく、特に1〜40重量%が好まし
い。
【0036】本発明の水系分散組成物中において、前記
変性共重合体は5重量%〜70重量%含有されるのが好
ましい。本発明の水系分散組成物を、樹脂製品の表面に
噴霧塗布する場合(例えばプライマーとして使用した場
合)には、特に、塗布面の塗りむら、塗膜の付着性のば
らつき、および塗膜が厚くなるのを防止する必要があ
り、塗装後の平滑性が良好となる点で、前記変性共重合
体は3〜45重量%含有されるのが好ましい。
【0037】また本発明の水系分散組成物には、必要に
応じて、増粘剤、塩基性物質、消泡剤等を添加すること
ができる。さらに塗布される素材との濡れ性を改善する
ために、必要に応じて少量の有機溶媒を添加してもよ
い。
【0038】増粘剤としては、例えばアルギン酸アンモ
ニウム、アルギン酸ナトリウム、ベントナイトクレー等
の鉱物性増粘剤;ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアク
リル酸アンモニウム、アクリルエマルジョンコポリマ
ー、架橋アクリルエマルジョンコポリマー等のアクリル
酸系増粘剤;カルボキシルメチルセルロース、メチルセ
ルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒド
ロキシエチルセルロース等の繊維誘導体;等を挙げるこ
とができ、特にカルボキシメチルセルロースが好まし
い。
【0039】消泡剤としては、例えばヒマシ油、大豆
油、アマニ油等の植物油;スピンドル油、流動パラフィ
ン等の鉱物油;ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸;
オレイルアルコール、ポリオキシアルキレングリコー
ル、オクチルアルコール等のアルコール類;エチレング
リコールジステアレート、ポリオキシエチレンソルビタ
ンモノラウレート等の脂肪酸エステル;トリブチルホス
フェート、ナトリウムオクチルホスフェート等のリン酸
エステル;ポリオキシアルキレンアミド類のアミド類;
ステアリン酸アルミニウム、オレイン酸カリウム、ステ
アリン酸カルシウム等の金属石鹸;ジメチルシリコン、
ポリエーテル変性シリコン等のシリコン類;ジメチルア
ミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン等のアミン
類;等が挙げられる。
【0040】さらに、本発明の水系分散組成物は、上記
以外に必要に応じて酸化防止剤、耐候安定剤、耐熱防止
剤等の各種安定剤;酸化チタン、有機顔料等の着色剤;
カーボンブラック、フェライト等の導電性付与剤等を含
有していてもよい。
【0041】本発明の水系分散組成物において、分散粒
子の平均粒径は1μm以下であると、層分離を起こし難
く、貯蔵安定性がより改善されるので好ましい。平均粒
径の下限値については特に制限はないが、一般的には
0.05μm以上である。
【0042】本発明の水系分散組成物は、主たる成分と
してα−オレフィン共重合体やその他の重合体からなる
成型品の表面に塗布し、その表面への塗料の付着性や耐
水性および耐ガソリン性といった塗膜性能を改善するた
めのプライマー等として用いることができる。特に、本
発明の水系分散組成物は、例えば高圧法ポリエチレン、
中低圧法ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−4−メ
チル−1−ペンテン、ポリ−1−ブテン、ポリスチレン
等のα−オレフィン重合体;エチレン・プロピレン共重
合体、エチレン・ブテン共重合体、プロピレン・ブテン
共重合体等のα−オレフィン共重合体等からなる成型品
に好適に用いることができる。さらに本発明の水系分散
組成物は、上記のα−オレフィン共重合体やその共重合
体以外にも、ポリプロピレンと合成ゴムとからなる成型
品、ポリアミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリブ
チレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂等か
らなる成型品、例えば自動車用バンパー等の成型品、さ
らには鋼板や電着処理用鋼板等の表面処理にも用いるこ
とができる。
【0043】またポリウレタン樹脂、脂肪酸変性ポリエ
ステル樹脂、オイルフリーポリエステル樹脂、メラミン
樹脂、エポキシ樹脂等を主成分とする塗料、プライマ
ー、接着剤等を塗布した表面に下塗りし、その表面への
塗料等の付着性を改善すると共に、鮮映性、低温衝撃性
等にも優れる塗膜を形成するためにも用いられる。
【0044】また本発明の水系分散組成物が適用される
成型品は、上記の各種重合体あるいは樹脂が、射出成
形、圧縮成型、中空成形、押出成形、回転成形等の公知
の成形法のいずれの方法によって成型されたものであっ
てもよい。
【0045】本発明の水系分散組成物は、これを適用す
る成形品がタルク、亜鉛華、ガラス繊維、チタン白、硫
酸マグネシウム等の無機充填剤、顔料等が配合されてい
る場合にも、特に塗膜の付着性の良い塗膜を形成するこ
とができる。
【0046】また、本発明の水系分散組成物を塗布する
成形品は、上記以外に、種々の安定剤、紫外線吸収剤、
塩酸吸収剤等を含有していてもよい。好ましく用いられ
る安定剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−
4−メチルフェノール、テトラキス[メチレン(3,5
−ジ−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタン、
メタオクタデシル−3−(4‘−ヒドロキシ−3,5−
ジ−t−ブチル−フェニル)プロピオネート、2,2’
−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチル−フェノ
ール)、4,4‘−ブチリデンビス(3−メチル−6−
2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノ
ール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)
ベンゼン、1,3,5−トリス(2−メチル−4−ヒド
ロキシ−5−t−ブチルフェノール)ブタン等のフェノ
ール系安定剤;ジラウリルチオジプロポネート、ジステ
アリルチオジプロピオネート等のイオウ系安定剤;トリ
デシルホスファイト、トリノニルフェニルホスファイト
等のリン系安定剤などを挙げることができる。また、用
いられる紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキ
シ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−エチルヘキシ
ル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、パ
ラオクチルフェニルサリチレート等を挙げることができ
る。塩酸吸収剤としては、例えば、ステアリン酸カルシ
ウム等が挙げられる。
【0047】本発明の水系分散組成物を成形品の表面に
適用する方法としては、噴霧塗布が好適であり、例えば
スプレーガンにて成形品の表面に吹き付けられる。成形
品への塗布は常温で行えばよく、塗布した後、自然乾燥
や加熱強制乾燥等、適宜の方法によって乾燥され塗膜を
形成することができる。
【0048】以上のように、成形品の表面に本発明の水
系分散組成物を塗布し、乾燥させた後、該成形品の表面
には、静電塗装、吹き付け塗装、刷毛塗り等の方法によ
って、塗料を塗布することができる。
【0049】塗料の塗布は、下塗りした後、上塗りする
方法で行ってもよい。塗料を塗布した後、電熱線、赤外
線、高周波等によって加熱する通常の方法に従って塗膜
を硬化させて、所望の塗膜を表面に有する成形品を得る
ことができる。塗膜を硬化させる方法は、成形品の材
質、形状、使用する塗料の性状等によって適宜選ばれ
る。
【0050】また、本発明の水系分散組成物は、付着
性、剥離強度および耐水性に優れる特徴を生かして、上
記の成形品のプライマーとしての用途以外にも、広範囲
の用途に適用可能なものであり、例えば、接着剤や塗料
のための添加剤等の用途にも適用可能であることはもち
ろんである。
【0051】
【実施例】下記の実施例および比較例は、本発明をより
具体的に示すものである。したがって、本発明は下記に
限定されるものではない。 <試験片1の作製>シェルケミカル社製水添スチレン・
ブタジエン・スチレンブロック共重合体“クレイトン
G−1652”の25重量部、ムーニー粘度が32のエ
チレン(74重量%)・プロピレン共重合体ゴムの25
重量部およびプロピレン・エチレン(7重量%)ブロッ
ク共重合体(MFR45g/10分)の50重量部を配
合し、川田製作所製スーパーミキサーにより2分間混合
し、池貝鉄工社製PCM二軸混練機を用いて220℃で
混練造粒して組成物ペレットとした。各組成物をスクリ
ューインライン射出成形機により、240℃で、肉厚2
mm、150mmx70mmに成形し、試験片1を作製
した。 <試験片2の作製>日本ポリケム社製ポリプロピレン
MA3Uをスクリューインライン射出成形機により、2
40℃で肉厚2mm、150mmx70mmに成形し、
試験片2を作製した。
【0052】<実施例1>温度計および攪拌機のついた
ステンレス耐圧反応容器中に、キシレン1L、シェルケ
ミカル社の水添スチレン・ブタジエン・スチレンブロッ
ク共重合体“クレイトン G−1652”を100g仕
込み、系内を窒素ガスで置換し、125℃に昇温した
後、ポンプを用いて無水マレイン酸のキシレン溶液およ
びジクミルペルオキシドのキシレン溶液(無水マレイン
酸:1g/10mL、ジクミルペルオキシド0.15g
/10mL)を別々の導管から6時間供給し、最終的に
無水マレイン酸の6.0g、およびジクミルペルオキシ
ドの0.9gを系内に供給した。反応終了後、系を室温
付近まで冷却し、アセトンを加えて無水マレイン酸グラ
フトブロック共重合体を濾取後、さらにアセトンで沈殿
を繰り返し洗浄した。洗浄後の沈殿を、昇温しつつ減圧
乾燥したところ、白色粉末状の変性樹脂が得られた。こ
の変性樹脂の赤外線吸収スペクトル測定および中和滴定
等を行った結果、無水マレイン酸基の含量は、3.4重
量%であった。
【0053】さらに温度計、攪拌機のついたガラス反応
容器中に、この無水マレイン酸グラフトブロック共重合
体60gとトルエン240gとを加え、100℃に昇温
し、1時間かけて溶解した。系を室温付近まで冷却した
後、#400のSUS金網でろ過し、無水マレイン酸グ
ラフトブロック共重合体20重量%溶液を調製した。
【0054】1Lビーカーに189gの純水を入れ、ノ
イゲンEA−190D(第一工業製薬株式会社製ノニオ
ン界面活性剤)を13.5gおよびエマルゲン920
(花王株式会社製ノニオン界面活性剤)を4.5gそれ
ぞれ加え完全に溶解させた。その溶液へ、得られたブロ
ック共重合体20重量%溶液の300gを加えた。内部
剪断型の乳化機(クレアミックスCLM−0.8S、エ
ム・テクニック(株)社製)を用い、15000rpm
で3分間乳化を行った。その後、塩基性物質2−アミノ
−2−メチル−1−プロパノールを純水で10重量%に
希釈した溶液を4g加えた。この粗乳化物をエバポレー
ターで50℃、13.3kPaでトルエンを完全に減圧
留去し、水系分散組成物を得た。得られた水系分散組成
物の分散粒子の粒径をレーザ回折式粒径分布計(マイク
ロトラックUPA 日機装(株)社製)で測定したとこ
ろ、直後の平均粒径は0.65μmであった。
【0055】<実施例2>実施例1において、分散系に
界面活性剤として添加したノイゲンEA−190Dとエ
マルゲン920を、ノイゲンEA−190Dの13.5
gのみとした以外は、実施例1と全く同様の操作により
水系分散組成物を調製した。同様に分散粒子の粒径を測
定したところ、製造直後の平均粒径は0.7μmであっ
た。
【0056】<実施例3>実施例1において界面活性剤
をラベリンFP(第一工業製薬株式会社製アニオン界面
活性剤)を13.5gのみとした点を除いては、実施例
1と全く同様の操作により水系分散組成物を調製した。
同様に分散粒子の粒径を測定したところ、製造直後の平
均粒径は0.5μmであった。
【0057】<実施例4>乳化機(クレアミックスCL
M−0.8S、エム・テクニック(株)社製)のかわり
に、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)を用いて、
実施例1と同様の操作により水系分散組成物を調製し
た。同様に分散粒子の粒径を測定したところ、製造直後
の平均粒径は4.2μmであった。
【0058】<比較例1>塩基性物質を入れなかった以
外は、実施例1と同様の操作により水系分散組成物を調
製した。同様に分散粒子の粒径を測定したところ、製造
直後の平均粒径は1.0μmであった。
【0059】<比較例2>実施例1で製造した無水マレ
イン酸グラフトスチレン・ブタジエン・スチレンブロッ
ク共重合体のかわりに、ハードレンMTPP(東洋化成
工業株式会社製無水マレイン酸グラフトポリプロピレ
ン)を用いた以外は、実施例1と同様の操作により水系
分散組成物を調製した。製造直後の平均粒径は5μmで
あった。
【0060】<保存安定性>調製した水系分散組成物の
各々を20℃の恒温器中で3ヶ月貯蔵し、その分散状態
を目視にて判定した。保存安定性についての試験結果を
下記表1に示す。
【0061】<塗装>調製した水系分散組成物の各々
を、イソプロパノールで表面を洗浄した角板(試験片1
および試験片2の各々)に塗布量が、3〜5g/m2
なるように噴霧塗布した。次に、この角板を室温(25
℃)にて1時間静置したのち、セーフベンドライヤー中
において100℃で30分間乾燥させ、得られた乾燥品
を、下記に示す種々の試験に用いた。試験片1について
の各々の試験結果を下記表2に、試験片2についての各
々の試験結果を表3に示す。
【0062】<層間密着性試験>上記乾燥品の各々を室
温(25℃)にて1時間静置した後、その塗膜の上から
ベースコートとしてレタンPG80III(関西ペイント
株式会社製アクリルポリオールウレタン塗料)を所定量
の硬化剤を配合して、フォードカップ4番にて12〜1
3秒となるように専用シンナーで粘度調整を行った。そ
して、乾燥塗布量が50〜60gになるように噴霧塗装
し、セーフベンドライヤー中にて100℃、30分間焼
き付けた。さらに、室温(25℃)にて10日静置し
た。JIS K5400に記載されている碁盤目試験の
方法に準じて、碁盤目を付けた試験片を作製し、セロテ
ープ(ニチバン(株)製、商品名)を試験片の碁盤目上
に張り付けた後、これを速やかに90°の方向に引っ張
って剥離させ、碁盤目100のうちで剥離されなかった
碁盤目の数を数え、付着性の指標とした(剥離されなか
った碁盤目の数/100)。
【0063】<耐水性>上記乾燥品の各々の塗膜(水系
分散組成物を塗布形成した塗膜)の上からベースコート
を塗装して焼き付け、室温にて養生した塗装物を、40
℃に保った温水中に10日間浸漬した。その後、上記碁
盤目試験と同様にして、JIS K5400に記載され
ている碁盤目試験の方法に準じて、耐水性試験を行っ
た。
【0064】<耐ガソリン性>上記乾燥品の各々の塗膜
(水系分散組成物を塗布形成した塗膜)の上からベース
コートを塗装して焼き付け、室温にて養生した塗装物
を、20℃に保ったレギュラーガソリンとエタノールと
の混合溶液(レギュラーガソリン:エタノール=9:
1)中に浸漬してその塗膜に顕著な剥離が生じるまでの
時間を測定した。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
【表3】
【0068】実施例の水系分散組成物は、樹脂成型品と
の付着性に優れ、さらに、樹脂製品等の表面に塗布する
ことにより優れた層間密着性、耐水性および耐ガソリン
性を同時に発揮する塗膜を得ることができた。さらに保
存安定性に優れていた。実施例の水系分散組成物は分散
粒子の粒子径が小さいため、層分離を起こし難く、貯蔵
安定性に優れた水系分散組成物であった。
【0069】
【発明の効果】本発明によれば、樹脂成型品、例えばポ
リプロピレン等のポリオレフィン類の各種樹脂からなる
成型品に対して付着性に優れ、これらの成型品の表面に
塗布して十分な剥離強度および密着性を有する塗膜を得
ることができるとともに、耐熱性および耐候性にも優
れ、しかも保存安定性にも優れた水系分散組成物および
その製造方法を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 畑 和行 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社内 Fターム(参考) 4J002 BN211 DE027 DE106 DE216 DE226 DF006 EN026 GH00 GJ00 HA07 4J026 AC16 BA25 BA26 BA27 BA32 BA34 BA35 DB02 DB11 DB12 DB13

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ビニル化合物の重合ブロックおよ
    び共役ジエン化合物の重合ブロックを含むブロック共重
    合体の水素添加物である主鎖と、カルボン酸基、その塩
    もしくはその無水物またはカルボン酸エステル基を含む
    側鎖とを有する変性共重合体を、塩基性化合物を含有す
    る水系溶媒に分散してなる水系分散組成物。
  2. 【請求項2】 前記カルボン酸基、その塩もしくはその
    無水物またはカルボン酸エステル基は、前記水素添加物
    に、重合性化合物をグラフト共重合させることによって
    導入されたことを特徴とする請求項1に記載の水系分散
    組成物。
  3. 【請求項3】 前記変性共重合体は、前記水素添加物に
    対して、前記重合性化合物からなる単位を0.01〜2
    5重量%含有することを特徴とする請求項2に記載の水
    系分散組成物。
  4. 【請求項4】 前記重合性化合物は、モノオレフィンジ
    カルボン酸類およびその無水物ならびにモノオレフィン
    ジカルボン酸類のモノアルキルエステル類から選ばれる
    少なくとも1種であることを特徴とする請求項2または
    3に記載の水系分散組成物。
  5. 【請求項5】 前記重合性化合物の少なくとも1種が無
    水マレイン酸であることを特徴とする請求項3または4
    に記載の水系分散組成物。
  6. 【請求項6】 前記変性共重合体に対して、前記塩基性
    化合物を0.01〜50重量%含有することを特徴とす
    る請求項1〜5のいずれか1項に記載の水系分散組成
    物。
  7. 【請求項7】 前記塩基性化合物がアミン化合物である
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の
    水系分散組成物。
  8. 【請求項8】 前記変性共重合体を5〜70重量%含有
    することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記
    載の水系分散組成物。
  9. 【請求項9】 前記変性共重合体に対して、界面活性剤
    を0.05〜50重量%含有することを特徴とする請求
    項1〜8のいずれか1項に記載の水系分散組成物。
  10. 【請求項10】 前記界面活性剤が、ノニオン系界面活
    性剤、アニオン系界面活性剤および両性界面活性剤の中
    から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請
    求項9に記載の水系分散組成物。
  11. 【請求項11】 前記ブロック共重合体が、スチレンの
    重合ブロックとブタジエンの重合ブロックとを含むこと
    を特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の水
    系分散組成物。
  12. 【請求項12】 前記変性共重合体が平均粒径1μm以
    下の粒子として分散されていることを特徴とする請求項
    1〜11のいずれか1項に記載の水系分散組成物。
  13. 【請求項13】 芳香族ビニル化合物の重合ブロックお
    よび共役ジエン化合物の重合ブロックを含むブロック共
    重合体の水素添加物である主鎖と、カルボン酸基、その
    塩もしくはその無水物またはカルボン酸エステル基を含
    む側鎖とを有する変性共重合体を、塩基性化合物を含有
    する水系溶媒に分散させる分散工程を含み、前記分散工
    程において、前記変性共重合体の溶液に剪断力を作用さ
    せることを特徴とする水系分散組成物の製造方法。
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