JP2003125798A - 試料遺伝子中の塩基配列の確認方法 - Google Patents

試料遺伝子中の塩基配列の確認方法

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JP2003125798A JP2001258254A JP2001258254A JP2003125798A JP 2003125798 A JP2003125798 A JP 2003125798A JP 2001258254 A JP2001258254 A JP 2001258254A JP 2001258254 A JP2001258254 A JP 2001258254A JP 2003125798 A JP2003125798 A JP 2003125798A
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Yoshihiko Makino
快彦 牧野
Yoshihiko Abe
義彦 阿部
Yoshihide Iwaki
義英 岩木
Osamu Seshimoto
修 瀬志本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 正常遺伝子の所定の塩基配列に対して特定部
位の塩基が置換された一塩基多型を簡易かつ高精度で検
出する方法を提供する。 【解決手段】 正常遺伝子中の所定の塩基配列部分に相
補的な相補性塩基配列部分を有する一群のオリゴヌクレ
オチドからなる相補性プローブ、および該相補性塩基配
列部分のうちの一つの塩基が、当該塩基以外の基に置換
されている部分相補性塩基配列部分を有する一群のオリ
ゴヌクレオチドからなる部分相補性プローブが、固相担
体表面の互いに異なる領域に固定されたDNA断片検出
具の当該担体表面に、試料遺伝子から取り出した試料D
NA断片を含む水溶液を接触させ、次いで試料DNA断
片と相補性プローブ及び部分相補性プローブとのハイブ
リダイゼーションを介しての結合状態を検知し、それぞ
れの結合状態を比較することによって、正常遺伝子中の
所定の塩基配列部分と試料遺伝子中の対応塩基配列部分
との異同を確認する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、遺伝子診断の手段
の一つとして重要な、正常遺伝子中の所定の塩基配列部
分と試料遺伝子中の対応塩基配列部分との異同を確認す
る方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般的に病気は、遺伝性素因に環境因子
が作用して発症すると考えられているが、遺伝子解析技
術の進展に伴って、多くの疾患が遺伝性あるいは外因性
の遺伝子異常を伴うことが解明されている。遺伝子診断
とは、これらの遺伝子内に生じた異常(塩基置換、塩基
欠損、塩基挿入、塩基点変異、塩基転位等)を診断する
ことであり、その対象には、生殖細胞の遺伝子に異常が
ある遺伝性疾患のみではなく、外界からの作用によって
体細胞の遺伝子内に生じた異常により引き起こされる疾
患も含まれる。
【0003】遺伝子診断の分野の研究の方向として、一
つには、未知の異常遺伝子の探究・同定がある。ポジシ
ョナルクローニング(患者の家族のDNAを抽出して異
常の程度を連鎖解析によって調べることで変異遺伝子の
染色体上の座位を決定する方法)が確立されたため、現
在では、病因遺伝子の確実な同定が可能となり、家族歴
の明らかな遺伝性疾患のみでなく、これまで遺伝よりも
環境因子の作用する割合が多いと思われていた疾患(糖
尿病、高血圧症等)の遺伝子診断が可能となっている。
【0004】もう一つは、既知の異常遺伝子について、
多数の患者を対象とした迅速かつ正確な診断法の開発で
ある。遺伝病としては、現在2000種類以上が知られ
ているが、その中でも、小児高尿酸血症、鎌状赤血球貧
血症、フェニルケトン尿症等は代表的な疾患である。こ
の種の疾患に対して、新生児や胎児を対象とするマスス
クリーニング法が確立され、早期発見の実が上がってい
るが、将来的な遺伝子治療に向かって有効な診断法の開
発は重要である。
【0005】前者の未知の異常遺伝子の探究・同定にお
いて、特に複数の遺伝子が関与する多遺伝子性疾患の疾
患感受性遺伝子を同定するのに有効な手段として、一塩
基多型(SNPs、single nucleotide polymorphism
s)による解析が注目されている。一塩基多型は、個体
間におけるゲノムの一塩基の違いを意味し、塩基配列に
おいて一つの塩基が置換、欠損、挿入等により変異した
ものをいう。ゲノムの多様性もしくは個体差を表現する
ための遺伝子多型マーカーの一つであり、全ゲノムにわ
たって数百乃至千塩基に一つ存在すると言われている。
例えば、糖尿病、高血圧症等では、複数の疾患感受性遺
伝子の異常と複数の環境因子との相互作用によって発症
に至るが、その遺伝子異常の頻度が高いほど発症に関わ
る度合いは大きいと考えられる。疾患感受性遺伝子は、
その遺伝子が存在する領域をある程度まで絞り込んだ
後、その領域内で一塩基多型を検出し、その頻度を患者
と健常者とで比較分析することにより、同定することが
できる。また、一塩基多型は、薬剤との応答性(薬剤が
有効であるか無効であるか)を判断する上でも有用であ
ると考えられている。
【0006】従って、一塩基多型の検出、すなわち核酸
の塩基配列において特定部位の塩基が正常な配列と比べ
て相違があるか否かの検出、特に別の塩基に置き換わっ
ているか否かの検出は、ゲノムの多様性を解析する上で
意義があり、その多型が疾患または発症のリスクに関与
している場合にはとりわけ重要である。
【0007】一塩基多型を検出するには、正常な配列の
核酸断片に対して、正常な遺伝子が「フルマッチ構造」
(完全な二本鎖を形成している構造)をとるのに対し
て、一塩基多型は「ミスマッチ構造」(正常配列の核酸
断片と異常遺伝子断片とが二本鎖を形成してはいるが、
その二本鎖が非塩基対形成部分を一つ有している構造)
をとるので、そのミスマッチ構造を検出できればよい。
【0008】例えば、本出願人による特願2000−1
66384号の明細書には、導電性基板表面にフルマッ
チ構造(正常配列)に対応したDNA断片またはPNA
断片を固定した分析素子を用いて、それに試料核酸断片
をハイブリダイズさせたものと、固定DNAまたはPN
A断片に相補的な核酸断片をハイブリダイズさせたもの
(フルマッチ構造を形成する)とで、そのハイブリダイ
ゼーションシグナルを比較することにより、試料核酸断
片にミスマッチ部位があるか否かを検出する方法が記載
されている。ハイブリダイゼーションシグナルの測定
は、電気化学活性縫い込み型インターカレータの存在下
で分析素子に電位を印加して、インターカレータと分析
素子との間を流れる電流の値を測定することにより行わ
れる。
【0009】しかしながら、上記の検出方法を実際に検
体の診断に使用しようとすると、固定核酸断片一種類に
対して試料核酸断片二種類(正常配列の試料と検体)の
組合せを用いて、検体にミスマッチ部位があるか否かの
点を判断するのは非常に困難である。なぜならば、正常
配列の核酸断片を含む濃度調整した標準試料液を用意し
たとしても、検体側の試料核酸の濃度は個々で異なり、
濃度が一致しない限りシグナルの強度を比較することが
できないからである。また、ミスマッチ部位の異なる様
々な試料を検出するには、それぞれに対応して濃度調整
した正常配列の標準試料液を用意しなければならない。
【0010】従って、実践的にミスマッチ部位の有無を
検出するには、DNAチップ(DNA断片検出具)に固
定されるプローブDNAにおいて、正常遺伝子に対応し
た標準配列のものと、標準配列に対して特定部位の塩基
のみを変えた比較配列のものを用意し、それに対して検
体の試料核酸断片(試料DNA断片)をハイブリダイズ
させて、そのハイブリダイゼーションシグナルを比較す
るのが妥当である。
【0011】例えば、一塩基多型解析用のDNAチップ
として、一つのミスマッチ部位を検出するのに、DNA
断片の特定の部位だけが4種類の塩基(A、C、G、
T)のいずれかで置換され、その部位を除いては試料の
塩基配列と完全に相補的な4種類のプローブDNAが固
定されたチップが、Affymetrix社により製品化されてい
るしている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、特定部位の
塩基が置換されている一塩基多型を簡易にかつ高精度で
検出するのに適したDNA断片検出具を提供することに
ある。また本発明は、上記のDNA断片検出具を用いて
一塩基多型を効率よく検出する方法を提供することにも
ある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者は、塩基配列上
変異(置換)部位が特定されている一塩基多型を、基本
的に二種類のオリゴヌクレオチドもしくはペプチド核酸
(PNA)が固定されたDNA断片検出具を用いて簡便
にかつ効率良く検出できることを見い出した。すなわ
ち、本発明の方法は、試料DNA断片とのハイブリダイ
ゼーションを介しての結合により生成した二種類のハイ
ブリッドDNAからのシグナルの強度を比較し、そのシ
グナル強度に差があるかまたは同等であるかによってミ
スマッチ構造の有無を判断して、目的の一塩基多型を検
出するものである。従来の方法とは異なって、シグナル
強度の最も強いものを判断するのではなく、二つのシグ
ナル強度の大小を判断する点で、本発明は独自性のある
方法である。
【0014】従って、本発明は、正常遺伝子中の所定の
塩基配列部分に相補的な相補性塩基配列部分を有する一
群のオリゴヌクレオチドもしくはペプチド核酸からなる
相補性プローブ、および該相補性塩基配列部分のうちの
一つの塩基が、当該塩基以外の基に置換されている部分
相補性塩基配列部分を有する一群のオリゴヌクレオチド
もしくはペプチド核酸からなる部分相補性プローブが、
固相担体表面のそれぞれ異なる領域にハイブリダイゼー
ションが可能なように固定されてなるDNA断片検出具
の当該担体表面に、試料遺伝子から得られた試料DNA
断片もしくはその均等物を含む水溶液を接触させ、次い
で該試料DNA断片もしくはその均等物と相補性プロー
ブ及び部分相補性プローブとのハイブリダイゼーション
を介しての結合状態を検知し、それぞれの結合状態を比
較する操作を含む、正常遺伝子中の所定の塩基配列部分
と試料遺伝子中の対応塩基配列部分との異同を確認する
方法にある。
【0015】なお、本発明の方法における塩基配列の異
同の確認のために用いる試料は、試料遺伝子から得られ
た試料DNA断片もしくはその均等物である。ここで
「均等物」とは、上記試料DNA断片の塩基配列をPC
Rなどの方法で複写、増幅して得られた核酸断片を代表
例とする、試料DNA断片と同一の塩基配列部分を有す
る分子を意味する。本明細書では、以後、この均等物を
含めて、「試料DNA断片」を言うことがある。
【0016】本発明で用いるDNA断片検出具の例とし
て、部分相補性プローブ中の相補性塩基配列部分のうち
の一つの塩基が、当該塩基以外の核酸構成塩基により置
換されている検出具がある。ここで、核酸構成塩基と
は、アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン
(G)、およびチミン(T)の四種類のうちから選択さ
れた塩基を意味する。
【0017】また、本発明で用いるDNA断片検出具の
別の例として、部分相補性プローブ中の相補性塩基配列
部分のうちの一つの塩基が、核酸構成塩基のいずれに対
しても非特異的に結合する基(特に塩基)により置換さ
れている検出具がある。
【0018】また、本発明で用いるDNA断片検出具の
さらに別の例として、部分相補性プローブ中の相補性塩
基配列部分のうちの一つの塩基が、核酸構成塩基のいず
れに対しても結合しない基(特に塩基)により置換され
ている検出具がある。
【0019】本発明の正常遺伝子中の所定の塩基配列部
分と試料遺伝子中の対応塩基配列部分との異同の確認方
法において、該試料DNA断片が、蛍光標識もしくは放
射性標識によって標識されていて、該試料DNA断片と
相補性プローブ及び部分相補性プローブとのハイブリダ
イゼーションを介しての結合状態の検知を、固相担体表
面上の該標識の存在領域を検知することによって実施す
ることが好ましい。
【0020】或は、本発明の正常遺伝子中の所定の塩基
配列部分と試料遺伝子中の対応塩基配列部分との異同の
確認方法において、該試料DNA断片と相補性プローブ
及び部分相補性プローブとのハイブリダイゼーションを
介しての結合状態の検知を、電気化学的インターカレー
タの存在下にて電気化学的に行なうこともできる。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明のDNA断片検出具は、固
相担体の表面に二種類以上のオリゴヌクレオチドもしく
はペプチド核酸(PNA)からなる少なくともプローブ
が固定されていることを特徴とする。従って、DNA断
片検出具のその他の構成、材料、製造法などは、ハイブ
リダイゼーションシグナルの検出方法(標識法、電気化
学的方法等)などその使用方法に応じて、公知の構成、
材料、方法の中から任意に選択することができる。
【0022】以下に、本発明のDNA断片検出具につい
て、まず、蛍光またはRI標識法に適したDNA断片検
出具の場合を例にとって説明する。
【0023】[固相担体]固相担体としては、疎水性、
あるいは親水性に乏しい担体であることが好ましく、そ
の表面は凹凸を有する平面性の低いものであってもよ
い。固相担体の材質としては、ガラス、セメント、陶磁
器等のセラミックスもしくはニューセラミックス;ポリ
エチレンテレフタレート、酢酸セルロース、ビスフェノ
ールAのポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチル
メタクリレート等のポリマー;シリコーン、活性炭、多
孔質ガラス、多孔質セラミックス、多孔質シリコーン、
多孔質活性炭、織編物、不織布、濾紙、短繊維、メンブ
レンフィルター等の多孔質物質を挙げることができる。
多孔質物質の細孔の大きさは、一般に2〜1000nm
の範囲にあり、好ましくは2〜500nmの範囲にあ
る。表面処理の容易さや蛍光又はRIスキャニング装置
による測定の容易さから、固相担体の材質は、ガラスも
しくはシリコーンであることが特に好ましい。固相担体
の厚さは、一般に100〜2000μmの範囲にある。
【0024】DNA断片を共有結合により固定する場合
には、上記の活性基が導入された固相担体表面に、更に
1,2−ビス(ビニルスルホニルアセトアミド)エタン
などのジスルホン化合物を接触させることにより、ビニ
ルスルホン基が導入された固相担体であることが特に好
ましい。このような固相担体およびDNA断片の固定方
法については、本出願人による特願平11−34615
7号明細書を参照することができる。
【0025】[プローブ分子−オリゴヌクレオチド/ペ
プチド核酸]本発明において、一つの一塩基多型を検出
するのに用いられるプローブ分子はオリゴヌクレオチド
あるいはペプチド核酸であり、それらは基本的には、互
いに塩基配列が一部のみにおいて異なる二種類もしくは
それ以上のプローブ分子からなる。
【0026】次に、プローブ分子として、塩基配列が一
部のみにおいて異なる二種類のオリゴヌクレオチドを用
いる例について詳しく説明する。その一方は、正常遺伝
子の所定の塩基配列部分に相補的な相補性塩基配列部分
(標準配列)を有するオリゴヌクレオチドである。標準
配列を有するオリゴヌクレオチドとしては、生物等の検
体から抽出した遺伝子の切断により得られる塩基変異の
認められないDNA断片、あるいは遺伝子操作等によっ
て作製した塩基変異の伴わないDNAを制限酵素で切断
し、次いで電気泳動による分離操作等で精製したDNA
断片を用いることが好ましい。これらのDNA断片は、
熱処理、アルカリ処理等によって、上記分離操作の前も
しくは後に一本鎖のオリゴヌクレオチドに解離させる。
また、生物等の検体から抽出した塩基変異の認められな
いDNAから得られる一本鎖のDNA断片と同一の塩基
配列を有する一本鎖のオリゴヌクレオチドを化学合成
し、これを用いることもできる。
【0027】オリゴヌクレオチドの塩基配列は、一般的
な塩基配列決定法によって予めその配列が決定されてい
ることが好ましく、その塩基種と配列が既知であること
が好ましい。オリゴヌクレオチドは、3〜50個の塩基
を含むものであることが好ましく、特に10〜25個の
塩基を含むものであることが好ましい。
【0028】他の一方のオリゴヌクレオチドとしては、
検出対象の一塩基多型の変異した部位(特定部位)に対
応する位置の塩基が別の塩基あるいは基で置換された、
部分相補性の塩基配列(比較配列)を有するオリゴヌク
レオチドが用いられる。置換塩基の代表的な例として
は、下記の三種類の塩基を挙げることができる。 1)標準配列における特定部位の塩基(正常塩基:Sで
表す)以外の他の三種類のうちのいずれかの塩基(Zで
表す)。通常は、目的の一塩基多型の変異した塩基種と
塩基対(水素結合)を形成しうる塩基である。 2)四種類の塩基(A、C、G、T)の全てに対して非
特異的に塩基対を形成しうる塩基(Wで表す)。 3)四種類の塩基(A、C、G、T)のいずれの塩基に
対しても塩基対を形成しない塩基(Xで表す)。 従って、1)は一塩基多型の変異した塩基種が既知であ
る場合に適している。反対に、2)と3)は、変異した
塩基種が未知である場合に適している。
【0029】上記2)の置換塩基Wとしては、塩基とし
てヒポキサンチンを有するデオキシリボヌクレオチド
(デオキシイノシン、Iで表す)、および塩基として5
−ニトロインドールまたは3−ニトロピロールを有する
ヌクレオチド(「ユニバーサル塩基」という)を挙げる
ことができる。デオキシイノシンを部分的に導入したオ
リゴヌクレオチドが受託により合成市販されている。ユ
ニバーサル塩基については、例えばNucleic Acids Rese
arch, vol.22, No.20, p.4039-4043(1994) および同vo
l.23, No.13, p.2361-2366(1995)に記載されている。
【0030】上記3)の置換塩基Xとしては、A、C、
G、Tの四種類のいずれに対して塩基対を形成しない
(水素結合しない)ものであると同時に、隣接する塩基
に対してその塩基対の形成に影響を及ぼさないものでな
ければならない。従って、この条件を満たす限り、任意
の構造のヌクレオチドを用いることが可能であるが、好
ましくは上記四種類の塩基にできるだけ構造が類似して
いてかつ水素結合しないものである。Xとしては例え
ば、アデニンのアミノ基がジメチルアミノ基で置換され
た下記化合物を塩基として有するヌクレオチドを挙げる
ことができる。
【0031】
【化1】
【0032】本発明においてプローブ分子として用いる
オリゴヌクレオチドは、標準配列のオリゴヌクレオチド
と上記三種類の置換塩基のいずれかを含む比較配列のオ
リゴヌクレオチドとからなる二種類の組合せのほかに、
標準配列のオリゴヌクレオチドと上記比較配列のオリゴ
ヌクレオチド二種とからなる三種類の組合せであっても
よい。オリゴヌクレオチドの組合せの例をのちに表1に
示す。
【0033】なお、実際にDNA断片検出具を製造する
際には、多数の検体からの試料に対応できるように、こ
の二乃至三種類のオリゴヌクレオチドからなるプローブ
分子を多数、あるいは多種類用意する。また、オリゴヌ
クレオチドは、DNAのホスホジエステル結合をペプチ
ド結合に変換した人工核酸、すなわちペプチド核酸(P
NA)であってもよい。
【0034】プローブ分子の固定方法としては、公知の
方法を用いることができる。オリゴヌクレオチドの固相
担体表面への固定方法は、オリゴヌクレオチドの種類お
よび固相担体の種類に応じて適当な方法を選択すること
ができる(蛋白質・核酸・酵素, Vol.43, No.13, p.200
4-2011(1998))。合成オリゴヌクレオチドを使用する場
合には、固相担体上で直接合成する方法、あるいは予め
末端に共有結合のための反応性基を導入したオリゴマー
を合成し、表面処理した固相担体に共有結合させる方法
を用いることができる。
【0035】固相担体表面にオリゴヌクレオチドを固定
する場合、オリゴヌクレオチドの一方の末端には一般
に、アミノ基、イミノ基、ヒドラジノ基、カルバモイル
基、ヒドラジノカルボニル基、もしくはカルボキシイミ
ド基等の官能基を導入することが好ましい。好ましくは
アミノ基を導入する。共有結合によりオリゴヌクレオチ
ドを固定する場合には、オリゴヌクレオチドの官能基と
リン酸エステル基との間にクロスリンカーを存在させる
ことが好ましく、クロスリンカーはアルキレン基または
N−アルキルアミノ−アルキレン基であることが好まし
く、より好ましくはヘキシレン基またはN−メチルアミ
ノ−ヘキシレン基であり、特に好ましくはヘキシレン基
である。
【0036】上記のオリゴヌクレオチドを蒸留水、SS
C(標準食塩−クエン酸緩衝液)などの水性媒体に溶解
もしくは分散して、オリゴヌクレオチドを含む水性液を
調製する。オリゴヌクレオチドを含む水性液中には、そ
の水性液の粘性を高める添加剤を含有させてもよい。こ
のような添加剤としては、ショ糖、ポリエチレングリコ
ール、グリセロール等を挙げることができる。このオリ
ゴヌクレオチドの水性液を、96穴もしくは384穴プ
ラスチックプレートに分注し、分注した水性液をスポッ
ト装置等を用いて固相担体上に滴下して、オリゴヌクレ
オチドの点着を行う。
【0037】点着するオリゴヌクレオチドの量は、1〜
10-15モルの範囲にあり、重量としては数ng以下で
あることが好ましい。この点着によって、オリゴヌクレ
オチドは、固相担体表面にスポットとして固定される。
スポットの形状や大きさに変動がないことは、遺伝子発
現の定量的解析や一塩基変異を解析するために重要であ
る。スポット当たりの点着量は、一般に100pL〜1
μLの範囲にあり、好ましくは1〜100nLの範囲に
ある。スポットの大きさは、一般には直径が50〜30
0μmの範囲にある。そして、スポット間の距離は、一
般に0〜1.5mmの範囲にあり、好ましくは100〜
300μmの範囲にある。
【0038】オリゴヌクレオチドの点着後、固相担体上
のオリゴヌクレオチドの乾燥を防ぐために、固相担体を
70%以上の湿度および25℃〜50℃の温度範囲の環
境下に置いてもよい。また、オリゴヌクレオチドと固相
担体との結合をより安定にするために、加熱、紫外線、
水素化ホウ素ナトリウムまたはシッフ試薬による後処理
を施してもよい。これらの後処理は、複数の種類を組み
合わせて行ってもよく、加熱処理と紫外線処理を組み合
わせて行うことが好ましい。あるいは、インキュベーシ
ョンを行ってもよい。これらの後処理により、オリゴヌ
クレオチドの末端に導入した官能基と固相担体との間に
架橋が形成される。このようにして製造されたDNA断
片検出具は数週間以上保存することができる。
【0039】次に、本発明の試料遺伝子中の対応塩基配
列部分との異同を電気化学的方法を利用して確認する方
法に用いられる電極型センサ法について説明する。
【0040】電気化学的方法、特に電極型センサ法に適
したDNA断片検出具を製造する場合には、固相担体と
して導電性基板が用いられる。導電性基板は、疎水性
(あるいは低親水性)の導電性基板、または疎水性(あ
るいは低親水性)の電気絶縁性の担体上に複数の疎水性
(あるいは低親水性)の導電性基板が設けられてなる基
板であることが好ましい。導電性の疎水性基板および電
気絶縁性の疎水性担体の材質としては、前述した固相担
体の材質の中から任意に選択して用いることができる。
表面処理の容易さや電気化学的方法による解析の容易さ
の点から、好ましくは、各種ポリマー、ガラスもしくは
シリコーンである。電気絶縁性の担体の厚さは、特に限
定されないが、板状である場合には100〜10000
μmの範囲にあることが好ましい。
【0041】疎水性の導電性基板としては、電極、光フ
ァイバ、フォトダイオード、サーミスタ、ピエゾ素子、
表面弾性波素子なども好ましく用いることができるが、
電極を用いることが特に好ましい。電極の材料として
は、グラファイト、グラシーカーボン等の炭素電極;白
金、金、パラジウム、ロジウム等の貴金属電極;酸化チ
タン、酸化スズ、酸化マンガン、酸化鉛等の酸化物電
極;Si、Ge、ZnO、CdS等の半導体電極;チタ
ンなどの電子伝導体を挙げることができるが、金もしく
はグラシーカーボンを用いることが特に好ましい。これ
らの電子伝導体は、導電性高分子によって被覆されてい
ても、単分子膜によって被覆されていてもよい。
【0042】導電性基板としては、疎水性の電気絶縁性
の担体上に、複数の疎水性の導電性基板が設けられてな
る基板を用いることが特に好ましい。このとき、導電性
基板は、互いに接しないように、かつ規則的に電気絶縁
性の担体上に配置されていることが好ましい。電気絶縁
性の担体上に導電性基板を設ける前に、電気絶縁性の担
体上に、電荷を有する親水性の高分子物質からなる層や
架橋剤からなる層を設けてもよい。このような層を設け
ることによって該担体の凹凸を軽減することができる。
また、担体の種類によっては担体中に電荷を有する親水
性の高分子物質を含ませることも可能であり、このよう
な処理を施した担体も好ましく用いることができる。
【0043】電気絶縁性の担体上に複数の電極が配置さ
れた構成を有するものとしては、文献 (Sosnowski, R.
G. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 94, 1119-11
23(1997))に記載の、核酸が未固定のシリコンチップも
好ましく用いることができる。また、プリント配線導電
性基板のように、電極が導電性基板上に印刷されたもの
であってもよい。
【0044】このような導電性基板へのオリゴヌクレオ
チドの固定は、例えばその表面が金で蒸着処理されてい
る場合には、オリゴヌクレオチドの5’もしくは3’末
端にメルカプト基を導入し、金とイオウとの配位結合を
介して、オリゴヌクレオチドを導電性基板に固定する。
オリゴヌクレオチドにメルカプト基を導入する場合に
は、文献 (Maeda, M. et al., Chem. Lett., 1805-1808
(1994)およびConnolly,B.A., Nucleic Acids Res., 13,
4484(1985))に記載されている方法が利用できる。導電
性基板の表面がグラシーカーボンで塗布処理されている
場合には、そのグラシーカーボンを過マンガン酸カリウ
ムで酸化することによって、導電性基板の表面にカルボ
ン酸基を導入し、オリゴヌクレオチドをアミド結合によ
り導電性基板表面に固定することができる。実際の固定
化方法については、文献 (Millan, K.M. et al., Analy
tical Chemistry, 65, 2317-2323(1993))に詳細が記載
されている。オリゴヌクレオチドは、予め調製されたハ
イブリッドDNAであってもよい。ハイブリッドDNA
を金で蒸着処理された導電性基板に固定する場合には、
ハイブリッドDNAの片方の鎖の5’もしくは3’末端
(好ましくは、5’末端)にメルカプト基を導入してお
き、そしてハイブリッドDNA固定後に二本鎖を解離さ
せて一本鎖とする。
【0045】電気絶縁性の担体上に一定の間隔で配置さ
れた複数の導電性基板のそれぞれの上に、前記と同様に
してオリゴヌクレオチドの水性液を点着する。点着によ
って固定されたオリゴヌクレオチドの量は、導電性基板
表面1mm2当たり10-20乃至10-12モルの量の範囲
にあることが好ましい。点着後、所定の温度でそのまま
数時間放置するとオリゴヌクレオチドが複数の導電性基
板上に固定される。点着後に、インキュベーションを行
ってもよい。インキュベート後、未点着のオリゴヌクレ
オチドを洗浄して除去することが好ましい。また、バッ
クグラウンド電流値を低くするために、導電性基板にマ
スク処理を施してもよい。このマスク処理は、例えばメ
ルカプトメタノール、2−メルカプトエタノール等のマ
スク処理化合物を、オリゴヌクレオチドの固定された担
体表面に点着することにより実施することができる。導
電性基板にマスク処理がなされたDNA断片検出具は、
数日間保存することが可能で、また数回繰り返し使用す
ることもできる。
【0046】次に、上記のDNA断片検出具を用いた本
発明の一塩基多型の検出方法について説明する。 [試料DNA断片(試料核酸断片)]試料DNA断片
は、DNA断片検出具に固定された標準配列のオリゴヌ
クレオチドに相補的な核酸断片(正常遺伝子断片)、も
しくは正常遺伝子断片の特定部位の一塩基が別の塩基で
置き換えられた核酸断片(異常遺伝子断片)である。本
発明において、異常遺伝子断片の置換された塩基の種類
は、既知であっても未知であってもよいが、既知である
ことが好ましい。これらの遺伝子断片は、たとえば、検
体である生物の組織や細胞からから抽出したDNA、遺
伝子操作等によって調製したDNAを制限酵素で切断
し、次いで電気泳動による分離操作等で精製することに
より調製することができる。これらのDNA断片は、熱
処理、アルカリ処理等によって、上記分離操作の前もし
くは後に一本鎖のDNA断片に解離させる。あるいは、
前述のように、DNA断片の均等物であってもよい。
【0047】異常遺伝子、すなわち一塩基多型は、例え
ば遺伝性疾患、外因性の遺伝子異常による疾患あるいは
遺伝性素因に環境因子が作用した疾患に由来するもので
あってもよい。特に、遺伝性疾患よりも環境因子の作用
する割合が多いと思われている疾患(糖尿病、高血圧症
等)や、既知の遺伝病(小児高尿酸血症、鎌状赤血球貧
血症、フェニルケトン尿症等)に関与する遺伝子である
場合に有益である。
【0048】[標識]標識法による場合には、予め試料
のDNA断片を標識物質により標識しておく必要があ
る。標識方法としては、RI法と非RI法(蛍光法、ビ
オチン法、化学発光法等)がある。例えば蛍光法では、
標識物質として核酸の塩基部分と結合できる蛍光物質が
用いられ、その例としては、シアニン色素(例えば、C
y DyeTMシリーズのCy3、Cy5等)、ローダミ
ン6G試薬、N−アセトキシ−N 2−アセチルアミノフ
ルオレン(AAF)、およびAAIF(AAFのヨウ素
誘導体)を挙げることができる。RI法では、標識物質
として32Pや33P等が用いられる。
【0049】[ハイブリダイゼーション]上記の試料D
NA断片をSSCなどの水性媒体に溶解あるいは分散し
て、試料DNA断片を含む水性液を調製する。そして、
この水性液に、本発明のDNA断片検出具を浸漬し、イ
ンキュベートして、ハイブリダイゼーションを行う方法
が一般的に利用される。インキュベーションは、室温〜
70℃の温度範囲で0.5〜20時間の範囲で実施する
ことが好ましい。
【0050】なお、本発明の一塩基多型の検出には、ハ
イブリダイゼーションを短時間で行なうことが好まし
い。これにより、DNA断片検出具上のオリゴヌクレオ
チドと試料DNA断片とが、その相補性の程度に応じて
ハイブリダイズして、ハイブリッドDNA(二本鎖)を
形成する。
【0051】ハイブリダイゼーション終了後、界面活性
剤の溶液と緩衝液との混合溶液を用いて洗浄を行い、未
反応の試料DNA断片を除去することが好ましい。界面
活性剤としては、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を
用いることが好ましい。緩衝液としては、クエン酸緩衝
液、リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、トリス緩衝液、グッ
ド緩衝液等を用いることができるが、特にクエン酸緩衝
液を用いることが好ましい。
【0052】電気化学的方法による場合には、ハイブリ
ダイゼーションは、電気化学活性縫い込み型インターカ
レータの存在下にて、DNA断片検出具に試料DNA断
片を接触させることによって実施する。DNA断片検出
具への試料DNA断片の接触は、DNA断片検出具上に
試料DNA断片を含む水性液を滴下する方法、あるいは
試料DNA断片を含む水性液中にオリゴヌクレオチド検
出具を浸漬する方法のいずれであってもよい。試料DN
A断片の接触量については、一般に導電性基板1mm2
当たり10-18〜10-10モルの量の範囲にあり、好まし
くは10-18〜10-12モルの量の範囲にある。このと
き、試料DNA断片を含む水性液中にインターカレータ
を含めてもよい。または、ハイブリダイゼーション後に
形成されたハイブリッドDNAにインターカレータを接
触させてもよい。この場合には、未反応の試料DNA断
片を除去しておくことが好ましい。一本鎖の試料DNA
断片あるいは試料中に含まれる二本鎖の試料核酸断片
に、インターカレータが非特異的に結合するのを避ける
ため、ハイブリダイゼーション終了後に未反応の試料D
NA断片を除去してから、インターカレータを接触させ
ることが望ましい。インターカレータは、10nM〜1
0mMの濃度範囲にて用いることが好ましい。ハイブリ
ッドDNAに結合するインターカレータの量は、DNA
構造に依存して異なる。この結合量は、二本鎖形成にお
いて非塩基対形成部分が増加するに伴い減少する。
【0053】[電気化学活性縫い込み型インターカレー
タ]電気化学活性縫い込み型インターカレータとして
は、ハイブリッドDNAにインターカレートし、かつ電
気化学活性を有する分子を使用することができる。導電
性基で標識された縫い込み型インターカレータは、酸化
還元活性を有する物質であることが好ましい。酸化還元
活性部分は、一般にはフェロセン化合物、カテコールア
ミン化合物、金属ビピリジン錯体、金属フェナントロリ
ン錯体、ビオローゲン化合物等であり、フェロセン化合
物であることが特に好ましい。インターカレータ部分
は、一般にはナフタレンジイミド、アントラセン、アン
トラキノン等であり、ナフタレンジイミドであることが
特に好ましい。よって、インターカレータの具体例とし
ては、フェロセンカルボン酸N−ヒドロキシスクシンイ
ミドエステルと対応するアミン体との反応により合成さ
れた下記の式で表されるフェロセン化ナフタレンジイミ
ド誘導体(Takenaka S. et al., J. Chem. Soc. Commu
n., 1111(1998))を、好ましく挙げることができる。
【0054】
【化2】
【0055】縫い込み型インターカレータとして上記式
のナフタレンジイミド誘導体を用いた場合、ナフタレン
ジイミド誘導体は、ハイブリッドDNAに高い特異性で
結合し、二塩基おきに配列してハイブリッドDNAに飽
和している。このことは、ナフタレンジイミド誘導体の
二つのフェロセン分子が、それぞれハイブリッドDNA
の主溝と副溝とに密に並んだ状態を意味している。この
ため、ナフタレンジイミド誘導体は、ハイブリッドDN
Aからの解離速度が極めて遅くなり、ハイブリッドDN
Aとナフタレンジイミド誘導体との安定な複合体を形成
することができる。また、ナフタレンジイミド誘導体の
ハイブリッドDNAへの結合がインターカレーションモ
ードであることは、一般的にハイブリッドDNAにイン
ターカレータを接触させたときに、粘度の変化が認めら
れることにより確認される。例えば、ウイルスSV40
に代表される閉環状プラスミドは、インターカレーショ
ンが起こると、超らせんの変化に伴って、粘度も変化す
ることが知られている。一方、インターカレータは、一
本鎖オリゴヌクレオチドに対しては結合しないか、ある
いは一旦結合してもすぐに解離して遊離のインターカレ
ータとなる。なお、電気化学活性縫い込み型インターカ
レータおよびこれを用いたハイブリダイゼーションにつ
いては、前記特願2000−166384号明細書を参
照することができる。
【0056】[シグナルの検出]DNA断片検出具上の
ハイブリッドDNAからのシグナル、すなわちハイブリ
ダイゼーションシグナルを検出器により検出する。試料
DNA断片が標識されている場合には、検出器として
は、RIまたは蛍光スキャニング装置などが用いられ
る。例えば蛍光スキャニング装置は、蛍光レーザー顕微
鏡、冷却CCDカメラおよびコンピュータを連結した装
置であり、DNA断片検出具上の蛍光強度を自動的に測
定することができる。CCDカメラの代わりに共焦点型
または非焦点型のレーザーを用いてもよい。これによ
り、DNA断片検出具上の各スポットに対応したデジタ
ルデータが得られる。
【0057】電気化学活性縫い込み型インターカレータ
を使用した場合には、ハイブリッドDNAが固定された
導電性基板とインターカレータの導電性基との間を流れ
る電流量を測定する。電流量の測定には、サイクリック
ボルタモグラフィ(CV)、デファレンシャルパルスボ
ルタモグラフィ(DPV)、リニアスィープボルタモグ
ラフィ、ポテンショスタット等を用いること好ましく、
デファレンシャルパルスボルタモグラフィを用いること
が特に好ましい。カウンタ電極とハイブリッドDNAが
固定された導電性基板とを電解質溶液に浸漬し、一対の
電解系を形成させて、デファレンシャルパルスボルタモ
グラフィを測定することが好ましい。なお、この検出方
法において、電流値の変化の割合がハイブリッドDNA
に結合した電気化学活性縫い込み型インターカレータの
量のみに依存し、導電性基板上のハイブリッドDNAの
形成量に依存するものではないことは実施により明らか
にされている。なお、電流量の測定を電極上で行う代わ
りに、走査型電気化学顕微鏡(SECM)を用いて測定
することも可能である。
【0058】[試料の同定]DNA断片検出具上のハイ
ブリッドDNAは、プローブDNAと試料の核酸断片と
の組合せによって、フルマッチ構造を形成しているか、
あるいはミスマッチ構造を形成しているかのいずれかで
ある。そして、上記のいずれのシグナル検出方法であっ
ても、ハイブリッドDNAがフルマッチ構造であればシ
グナル強度(蛍光強度、電流値の絶対値等)は強くな
り、ミスマッチ構造であればシグナル強度は相対的に弱
くなる。
【0059】下記の表1に、DNA断片検出具上のプロ
ーブ分子(オリゴヌクレオチド)と試料の核酸断片(D
NA断片)とによって形成されるハイブリッドDNA
と、そのシグナル強度との関係を示す。表1において、
記号および文字はそれぞれ下記のことを意味する。 ―S―:特定部位の塩基が正常塩基配列の塩基に対して
特異的に結合する塩基S(A、C、G又はT)であり、
それ以外の部分の配列は相補性オリゴヌクレオチドと同
一である標準配列のオリゴヌクレオチド。 ―Z―:特定部位の塩基が、正常塩基灰鉄の塩基に対し
て特異的に結合する塩基(S)以外の他の三種類のうち
のいずれかの塩基である比較配列のオリゴヌクレオチ
ド。ここでは、検出対象の一塩基多型(既知)の変異し
た塩基種と塩基対を形成する塩基とする。 ―W―:特定部位の塩基が、四種類の塩基いずれとも非
特定的に塩基対を形成する塩基Wである比較配列のオリ
ゴヌクレオチド。 ―X―:特定部位の塩基が、四種類の塩基いずれとも塩
基対を形成しない塩基Xである比較配列のオリゴヌクレ
オチド。 〇:シグナル強度が強い。 △:シグナル強度が相対的に弱い。
【0060】
【表1】 表1 ──────────────────────────────────── プローブの組合せ 試料 正常遺伝子断片 異常遺伝子断片 既知塩基 未知塩基 ──────────────────────────────────── [1] ―S―(標準配列) 〇 △ △ ―Z―(比較配列) △ 〇 △,〇 ──────────────────────────────────── [2] ―S―(標準配列) 〇 △ △ ―W―(比較配列) 〇 〇 〇 ──────────────────────────────────── [3] ―S―(標準配列) 〇 △ △ ―X―(比較配列) △ △ △ ──────────────────────────────────── [4] ―S―(標準配列) 〇 △ △ ―Z―(比較配列(1)) △ 〇 △,〇 ―W―(比較配列(2)) 〇 〇 〇 ──────────────────────────────────── [5] ―S―(標準配列) 〇 △ △ ―X―(比較配列(1)) △ △ △ ―W―(比較配列(2)) 〇 〇 〇 ────────────────────────────────────
【0061】表1に示したように、試料DNA断片が正
常遺伝子断片であるとき、標準配列のオリゴヌクレオチ
ド(―S―)及び比較配列のオリゴヌクレオチド(―W
―)とはフルマッチ構造を形成して、強いシグナル強度
が検出される。一方、比較配列のオリゴヌクレオチド
(―Z―及び―X―)とはミスマッチ構造を形成して、
弱いシグナル強度が検出される。
【0062】試料DNA断片が異常遺伝子断片(一塩基
多型)であって、その置換部位の塩基が分っている(Z
と塩基対を形成する)とき、比較配列のオリゴヌクレオ
チド(―Z―および―W―)とはフルマッチ構造を形成
して、強いシグナル強度が検出される。一方、標準配列
のオリゴヌクレオチド(―S―)および比較配列のオリ
ゴヌクレオチド(―X―)とはミスマッチ構造を形成し
て、弱いシグナル強度が検出される。
【0063】試料DNA断片が異常遺伝子断片であっ
て、その置換部位の塩基の種類が不明な場合、比較配列
のオリゴヌクレオチド(―W―)とはフルマッチ構造を
形成して、強いシグナル強度が検出される。一方、標準
配列のオリゴヌクレオチド(―S―)および比較配列の
オリゴヌクレオチド(―X―)とはミスマッチ構造を形
成して、弱いシグナル強度が検出される。また、比較配
列のオリゴヌクレオチド(―Z―)とは、置換部位の未
知の塩基がZと塩基対を形成するものであればフルマッ
チ構造を形成して強いシグナル強度を示し、それ以外で
あればミスマッチ構造を形成して弱いシグナル強度を示
す。
【0064】従って、プローブDNAが上記の[1]の
組合せにおいて、ハイブリッドDNAのシグナル強度
が、プローブのオリゴヌクレオチドに関して、標準配列
>比較配列であるとき、試料は正常遺伝子断片であり;
標準配列<比較配列であるとき、試料は異常遺伝子断片
(一塩基多型)であって、置換塩基はZと塩基対を形成
する塩基であり;標準配列≒比較配列である(かつ、シ
グナル強度は弱い)とき、試料は異常遺伝子断片であっ
て、置換塩基はSおよびZと塩基対を形成する塩基以外
の塩基である;と決定することができる。
【0065】同様に、プローブDNAが[2]の組合せ
において、シグナル強度が、標準配列≒比較配列である
(かつ、シグナル強度は強い)とき、試料は正常遺伝子
断片であり;標準配列<比較配列であるとき、試料は異
常遺伝子断片である;と決定することができる。
【0066】プローブDNAが[3]の組合せにおい
て、シグナル強度が、標準配列>比較配列であるとき、
試料は正常遺伝子断片であり;標準配列≒比較配列であ
る(かつ、シグナル強度は弱い)とき、試料は異常遺伝
子断片である;と決定することができる。
【0067】プローブDNAが[4]の組合せにおい
て、シグナル強度が、標準配列>比較配列(1)及び/又
は標準配列≒比較配列(2)であるとき、試料は正常遺伝
子断片であり;標準配列<比較配列(1)及び比較配列
(1)<比較配列(2)であるとき、試料は異常遺伝子断片
であって、置換塩基はZと塩基対を形成する塩基であ
り;標準配列≒比較配列(1)及び比較配列(1)<比較配
列(2)であるとき、試料は異常遺伝子断片であって、置
換塩基はSおよびZと塩基対を形成する塩基以外の塩基
である;と決定することができる。
【0068】プローブDNAが[5]の組合せにおい
て、シグナル強度が、標準配列>比較配列(1)及び/又
は標準配列≒比較配列(2)であるとき、試料は正常遺伝
子断片であり;標準配列≒比較配列(1)及び/又は比較
配列(1)<比較配列(2)であるとき、試料は異常遺伝子
断片である;と決定することができる。
【0069】本発明の方法において、プローブ分子の基
本的な組合せは、上記表1に記載の[1]〜[3]のオ
リゴヌクレオチド二種からなる組合せであり、上述した
ようにこれら二種の組合せで充分に異常遺伝子断片を検
出することができる。一方、[4]、[5]のオリゴヌ
クレオチド三種からなる組合せの場合には、比較配列
(2)(―W―)がミスマッチ構造の有無を問わず強いシ
グナル強度を示すので、この比較配列(2)を基準として
比較判断することが可能となり、比較判断が一層容易と
なる利点がある。
【0070】従って、本発明の方法は、塩基の置換部位
が判明している一塩基多型の検出に有効に用いることが
できる。特に、置換塩基種が既知である一塩基多型の検
出に有利に用いることができる。一方、置換塩基種の既
知、未知を問わず、特定部位の塩基が置換された一塩基
多型の有無を判断するのに用いることができる。よっ
て、置換部位を変えた多数のプローブ分子の組を用意す
ることにより、一塩基多型の生じる部位を簡易に検出す
ることが可能となる。また、本発明の方法は、上述した
ような特定の部位の塩基が置換されている場合だけでは
なく、塩基が欠損したり挿入されたりしている一塩基多
型の場合にも適用することが可能である。
【0071】一塩基多型の検出は、遺伝的リスク診断の
可能性を示す。例えば、原発性IV型高脂血症(高グリ
セリド血症)の異常遺伝子を保有する患者の染色体DN
Aを試料DNA断片として用いれば、その多型から、発
病の有無を診断することも可能である。
【0072】
【実施例】[実施例1]電気化学的シグナルの検出 (1)DNA断片検出具の作製 電極基板表面に配列した面積が2.25mm2の2つの
金電極A、Bに、5’末端にメルカプトヘキシル基を有
する下記配列の2種類のオリゴヌクレオチドの水溶液
(100ピコモル/μL)2μLをそれぞれ点着した
後、室温で1時間放置して、DNA断片検出具を作製し
た。 電極A(標準):5’−GATCAGACATTCA
AGGTCTAGG−3’ 電極B(比較):5’−GATCAGACATTCA
AGGTCTAGG−3’ 上記二種類のオリゴヌクレオチドは、下線の一塩基が異
なる以外は同一であって、電極Aには標準配列、電極B
には比較配列のオリゴヌクレオチドがそれぞれ固定され
た。
【0073】(2)試料DNA断片の調製 試料DNA断片として、下記配列(電極Aに固定したオ
リゴヌクレオチドと完全に相補的な配列であり、正常配
列とする)のDNA断片(a)を調製した。試料(a)
5’−CTAGTCTGTAAGTTCCAGATC
C−3’
【0074】(3)バックグラウンド電流値の測定 下記式で表されるフェロセン修飾電気化学活性縫い込み
型インターカレータ(50μM)を含む電解質溶液
(0.1M塩化カリウム水溶液−0.1M酢酸緩衝液
(pH5.60)の混合溶液)中に、上記のDNA断片
検出具の電極A、Bを共に浸漬し、38℃で印加電圧1
00−700mVの範囲でディファレンシャル・パルス
・ボルタンメトリー(DPV)を行い、印加電圧260
mVでの電流値を応答電流としてバックグラウンド値を
測定したところ、電極A:−2.4(μA)、電極B:
−2.4(μA)であった。なお、測定はパルス振50
mV、パルス幅50mS、スキャン速度100mV/秒
にて行った。
【0075】
【化3】
【0076】(4)ハイブリダイゼーション 上記DNA断片検出具の電極A、Bそれぞれに、(2)
の試料DNA断片(a)(70ピコモル)を含む10m
Mトリス緩衝液(pH7.5)2μLを滴下し、25℃
で30分間インキュベートした。インキュベート後、チ
ップ表面を0.1Mリン酸二水素ナトリウム−リン酸水
素二ナトリウム水溶液(pH7.0)で洗浄して、未反
応の試料DNA断片(a)を除去した。
【0077】(5)電流値の測定 (3)と同様にして、DNA断片検出具の電極A、Bの
応答電流値をそれぞれ測定した。また、バックグラウン
ド値に対するこの測定値の変化の割合(%)をそれぞれ
求めた。
【0078】[実施例2]電気化学的シグナルの検出 実施例1の(2)において、試料DNA断片として、下
記配列(電極Bに固定したオリゴヌクレオチドと完全に
相補的な配列であり、異常配列とする)のDNA断片
(b)を調製したこと以外は、実施例1と同様にしてハ
イブリダイゼーションおよび電流値の測定を行った。 試料(b):5’−CTAGTCTGTAAGTTC
CAGATCC−3’ バックグラウンド値、電極A:−2.4(μA)、電極
B:−2.4(μA)得られた結果をまとめて表2に示
す。
【0079】
【表2】 表2 ──────────────────────────────────── 試料DNA断片 応答電流値(μA) 変化割合(%) ──────────────────────────────────── 実施例1 (a) 電極A(標準) −3.3 37.5 電極B(比較) −2.8 16.7 ──────────────────────────────────── 実施例2 (b) 電極A(標準) −2.7 12.5 電極B(比較) −3.4 41.7 ────────────────────────────────────
【0080】表2に示したように、実施例1では、応答
電流値(絶対値)およびバックグラウンド値からの変化
割合の両方が共に、電極A(標準)>電極B(比較)で
あるので、試料DNA断片(a)は正常配列のDNA断
片であると決定することができる。一方、実施例2で
は、応答電流値(絶対値)および変化割合が共に、電極
A(標準)<電極B(比較)であるので、試料DNA断
片(b)は異常配列(置換塩基はT)のDNA断片であ
ると決定することができる。従って、電極A、Bの応答
電流値(絶対値)もしくは変化割合の大小を比較するこ
とにより、試料の塩基配列の目的部位に変異が生じてい
るか否か、すなわち試料が正常DNA断片であるか、あ
るいは目的部位の塩基が変異した一塩基多型(置換塩基
既知)であるかを判定することができる。
【0081】[実施例3]電気化学的シグナルの検出 (1)DNA断片検出具の作製 実施例1の(1)と同様にして、電極基板表面上の面積
が2.25mm2の二つの金電極A、Cに、下記配列の
二種類のオリゴヌクレオチドを固定してDNA断片検出
具を作製した。 電極A(標準):5’−GATCAGACATTCA
AGGTCTAGG−3’ 電極C(比較):5’−GATCAGACATTCA
AGGTCTAGG−3’ 上記二種類のオリゴヌクレオチドは、下線の一塩基が異
なる以外は同一であって、電極Aには標準配列、電極B
には比較配列のオリゴヌクレオチドがそれぞれ固定され
た。Iはデオキシイノシンを示す。実施例1の(2)〜
(4)において、上記のDNA断片検出具を用いたこと
以外は、実施例1と同様にしてハイブリダイゼーション
および電流値の測定を行った。バックグラウンド値、電
極A:−2.4(μA)、電極C:−2.5(μA)
【0082】[実施例4]電気化学的シグナルの検出 実施例3において、試料DNA断片として実施例2のD
NA断片(b)を用いたこと以外は、実施例3と同様に
してハイブリダイゼーションおよび電流値の測定を行っ
た。バックグラウンド値、電極A:−2.4(μA)、
電極C:−2.5(μA)
【0083】[実施例5]電気化学的シグナルの検出 実施例3において、試料DNA断片として、下記配列
(正常配列に対して一塩基のみが変異した配列であり、
異常配列とする)のDNA断片(c)を用いたこと以外
は、実施例3と同様にしてハイブリダイゼーションおよ
び電流値の測定を行った。 試料(c):5’−CTAGTCTGTAAGTTC
CAGATCC−3’ バックグラウンド値、電極A:−2.4(μA)、電極
C:−2.5(μA)得られた結果をまとめて表3に示
す。
【0084】
【表3】 表3 ──────────────────────────────────── 試料DNA断片 応答電流値(μA) 変化割合(%) ──────────────────────────────────── 実施例3 (a) 電極A(標準) −3.3 37.5 電極C(比較) −3.4 36.0 ──────────────────────────────────── 実施例4 (b) 電極A(標準) −2.7 12.5 電極C(比較) −3.4 36.0 ──────────────────────────────────── 実施例5 (c) 電極A(標準) −2.7 12.5 電極C(比較) −3.3 32.0 ────────────────────────────────────
【0085】表3に示したように、実施例3では、応答
電流値(絶対値)およびバックグラウンド値からの変化
割合の両方が共に、電極A(標準)≒電極C(比較)で
あるので、試料DNA断片(a)は正常配列のDNA断
片であると決定することができる。一方、実施例4で
は、応答電流値(絶対値)および変化割合が共に、電極
A(標準)<電極C(比較)であるので、試料DNA断
片(b)は異常配列(置換塩基は不特定)のDNA断片
であると決定することができる。また、実施例5でも、
応答電流値(絶対値)および変化割合が共に、電極A
(標準)<電極C(比較)であるので、試料DNA断片
(c)は異常配列(置換塩基は不特定)のDNA断片で
あると決定することができる。従って、電極A、Cの応
答電流値(絶対値)もしくは変化割合の大小を比較する
ことにより、試料の塩基配列の目的部位に変異が生じて
いるか否か、すなわち試料が正常DNA断片であるかあ
るいは一塩基多型であるかを判定することができる。
【0086】[実施例6]蛍光シグナルの検出 (1)DNA断片検出具の作製 スライドガラス表面にシランカップリング剤を介してビ
ニルスルホニル基を導入した固相担体に、5’末端にア
ミノヘキシル基を有する下記配列の二種類のオリゴヌク
レオチドを0.1M炭酸緩衝液(pH9.3)にそれぞ
れ分散した水性液(1×10-6M)1μLを点着した
後、湿度75%で18時間放置して、DNA断片検出具
を作製した。 スポットA(標準):5’−GATCAGACATT
CAAGGTCTAGG−3’ スポットB(比較1):5’−GATCAGACA
TCAAGGTCTAGG−3’ スポットC(比較2):5’−GATCAGACA
TCAAGGTCTAGG−3’ 上記2種類のオリゴヌクレオチドは、下線の一塩基が異
なる以外は同一であって、スポットAには標準配列、ス
ポットBには比較配列1、スポットCには比較配列2の
オリゴヌクレオチドがそれぞれ固定された。Iはデオキ
シイノシンを示す。
【0087】(2)試料DNA断片の調製 試料DNA断片として、5’末端を蛍光標識試薬(Fluo
roLink Cy5−dCTP、アマシャム・ファルマシア
・バイオテク社製)で標識した下記配列(標準配列のオ
リゴヌクレオチドと完全に相補的な配列であり、正常配
列とする)のDNA断片(Cy5−a)を調製した。 試料(Cy5−a):5’−CTAGTCTGTAA
GTTCCAGATCC−3’
【0088】(3)ハイブリダイゼーション DNA断片検出具に、(2)の試料DNA断片(Cy5
−a)(1×10-6M)をハイブリダイゼーション用溶
液(4×SSCと10重量%のSDS水溶液との混合溶
液)20μLに分散した分散液を点着した。表面を顕微
鏡用カバーガラスで保護した後、モイスチャーチャンバ
ー内にて60℃で20時間インキュベートした。次い
で、カバーガラスを外し、DNA断片検出具を、室温の
2×SSCと0.1重量%SDS水溶液との混合溶液で
10分の洗浄を2回、室温の0.2×SSCと0.1重
量%SDS水溶液との混合溶液で10分の洗浄を1回、
50℃の0.2×SSCと0.1重量%SDS水溶液と
の混合溶液で10分の洗浄を2回、室温の0.2×SS
Cと0.1重量%SDS水溶液との混合溶液で10分の
洗浄を1回、そして室温の2×SSCで2回リンスし
た。次に、DNA断片検出具を600rpmで20秒間
遠心し、室温で乾燥した。
【0089】(4)蛍光強度の測定 得られたDNA断片検出具のスポット部分の蛍光強度
(相対値)を、蛍光スキャニング装置で測定した。
【0090】[実施例7]蛍光シグナルの検出 実施例6の(2)において、試料DNA断片として、
5’末端を蛍光標識試薬で標識した下記配列(比較配列
1のオリゴヌクレオチドと完全に相補的な配列であり、
異常配列とする)のDNA断片(Cy5−b)を調製し
たこと以外は、実施例6と同様にしてハイブリダイゼー
ションおよび蛍光強度の測定を行った。 試料(Cy5−b):5’−CTAGTCTGTAA
GTTCCAGATCC−3’
【0091】[実施例8]蛍光シグナルの検出 実施例6の(2)において、試料DNA断片として、
5’末端を蛍光標識試薬で標識した下記配列(正常配列
に対して一塩基のみが変異した配列であり、異常配列と
する)のDNA断片(Cy5−c)を調製したこと以外
は、実施例6と同様にしてハイブリダイゼーションおよ
び蛍光強度の測定を行った。 試料(Cy5−c):5’−CTAGTCTGTAA
GTTCCAGATCC−3’ 得られた結果をまとめて表4に示す。
【0092】
【表4】 表4 ──────────────────────────────────── 試料DNA断片 蛍光強度 ──────────────────────────────────── 実施例6 (Cy5−a) スポットA(標準) 3200 スポットB(比較1) 760 スポットC(比較2) 3050 ──────────────────────────────────── 実施例7 (Cy5−b) スポットA(標準) 780 スポットB(比較1) 3500 スポットC(比較2) 3300 ──────────────────────────────────── 実施例8 (Cy5−c) スポットA(標準) 800 スポットB(比較1) 790 スポットC(比較2) 3100 ────────────────────────────────────
【0093】表4に示したように、実施例6では、蛍光
強度が、スポットA(標準)>スポットB(比較1)、
スポットA(標準)≒スポットC(比較2)であるの
で、試料DNA断片(Cy5−a)は正常配列のDNA
断片であると決定することができる。一方、実施例7で
は蛍光強度が、スポットA(標準)<スポットB(比較
1)≒スポットC(比較2)であるので、試料DNA断
片(Cy5−b)は異常配列(置換塩基はT)のDNA
断片であると決定することができる。また、実施例8で
も蛍光強度が、スポットA(標準)≒スポットB(比較
1)<スポットC(比較2)であるので、試料DNA断
片(Cy5−c)は異常配列(置換塩基は不特定)のD
NA断片であると決定することができる。従って、スポ
ットA、B、Cの蛍光強度の大小を比較することによ
り、試料の塩基配列の目的部位に変異が生じているか否
か、すなわち試料が正常DNA断片であるかあるいは一
塩基多型であるかを判定することができる。
【0094】
【発明の効果】本発明のDNA断片検出具を利用するこ
とにより、二種類のプローブ分子を用いるだけで、特定
部位の塩基が置換された一塩基多型を容易かつ高精度に
て検出することができる。これにより、一塩基多型検出
のためのDNA断片検出具を簡易にかつより安価に製造
することが可能となる。また、本発明の方法によれば、
一塩基多型を簡便にかつ効率よく検出することができ
る。従って、本発明は、医学、生物学等での遺伝子変異
の解析に有力な手法を提供できるものであり、遺伝病の
リスク診断にその利用が期待される。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/483 G01N 37/00 102 33/53 C12N 15/00 F 33/58 G01N 27/46 336M 37/00 102 336B 27/30 351 (72)発明者 岩木 義英 埼玉県朝霞市泉水3−11−46 富士写真フ イルム株式会社内 (72)発明者 瀬志本 修 埼玉県朝霞市泉水3−11−46 富士写真フ イルム株式会社内 Fターム(参考) 2G045 AA25 AA35 DA12 DA13 DA14 DA77 FB02 FB05 FB07 FB12 GC15 GC20 4B024 AA11 AA19 CA01 CA09 HA12 HA19 4B029 AA07 AA23 BB20 CC03 FA15 4B063 QA19 QQ43 QR08 QR42 QR56 QS25 QS34 QS39 QX02

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正常遺伝子中の所定の塩基配列部分に相
    補的な相補性塩基配列部分を有する一群のオリゴヌクレ
    オチドもしくはペプチド核酸からなる相補性プローブ、
    および該相補性塩基配列部分のうちの一つの塩基が、当
    該塩基以外の基に置換されている部分相補性塩基配列部
    分を有する一群のオリゴヌクレオチドもしくはペプチド
    核酸からなる部分相補性プローブが、固相担体表面のそ
    れぞれ異なる領域にハイブリダイゼーションが可能なよ
    うに固定されてなるDNA断片検出具の当該担体表面
    に、試料遺伝子から得られた試料DNA断片またはその
    均等物を含む水溶液を接触させ、次いで該試料DNA断
    片またその均等物と相補性プローブ及び部分相補性プロ
    ーブとのハイブリダイゼーションを介しての結合状態を
    検知し、それぞれの結合状態を比較する操作を含む、正
    常遺伝子中の所定の塩基配列部分と試料遺伝子中の対応
    塩基配列部分との異同を確認する方法。
  2. 【請求項2】 部分相補性プローブ中の相補性塩基配列
    部分のうちの一つの塩基が、当該塩基以外の核酸構成塩
    基により置換されていることを特徴とする請求項1に記
    載の確認方法。
  3. 【請求項3】 部分相補性プローブ中の相補性塩基配列
    部分のうちの一つの塩基が、核酸構成塩基のいずれに対
    しても非特異的に結合する基により置換されていること
    を特徴とする請求項1に記載の確認方法。
  4. 【請求項4】 部分相補性プローブ中の相補性塩基配列
    部分のうちの一つの塩基が、核酸構成塩基のいずれに対
    しても結合しない基により置換されていることを特徴と
    する請求項1に記載の確認方法。
  5. 【請求項5】 該試料DNA断片またはその均等物が、
    蛍光標識もしくは放射性標識によって標識されていて、
    該試料DNA断片またはその均等物と相補性プローブ及
    び部分相補性プローブとのハイブリダイゼーションを介
    しての結合状態の検知を、固相担体表面上の該標識の存
    在領域を検知することによって実施することを特徴とす
    る請求項1乃至4うちのいずれかの項に記載の確認方
    法。
  6. 【請求項6】 該試料DNA断片またはその均等物と相
    補性プローブ及び部分相補性プローブとのハイブリダイ
    ゼーションを介しての結合状態の検知を、電気化学的イ
    ンターカレータの存在下にて電気化学的に行なうことを
    特徴とする請求項1乃至4のうちのいずれかの項に記載
    の確認方法。
  7. 【請求項7】 正常遺伝子中の所定の塩基配列部分に相
    補的な相補性塩基配列部分を有する一群のオリゴヌクレ
    オチドもしくはペプチド核酸からなる相補性プローブ、
    および該相補性塩基配列部分のうちの一つの塩基が、当
    該塩基以外の基に置換されている部分相補性塩基配列部
    分を有する一群のオリゴヌクレオチドもしくはペプチド
    核酸からなる部分相補性プローブが、固相担体表面のそ
    れぞれ異なる領域に固定されてなるDNA断片検出具。
  8. 【請求項8】 部分相補性プローブ中の相補性塩基配列
    部分のうちの一つの塩基が、当該塩基以外の核酸構成塩
    基により置換されていることを特徴とする請求項7に記
    載のDNA断片検出具。
  9. 【請求項9】 部分相補性プローブ中の相補性塩基配列
    部分のうちの一つの塩基が、核酸構成塩基のいずれに対
    しても非特異的に結合する基により置換されていること
    を特徴とする請求項7に記載のDNA断片検出具。
  10. 【請求項10】 部分相補性プローブ中の相補性塩基配
    列部分のうちの一つの塩基が、核酸構成塩基のいずれに
    対しても結合しない基により置換されていることを特徴
    とする請求項7に記載のDNA断片検出具。
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