JP2003121896A - 波長変換素子および波長変換装置 - Google Patents

波長変換素子および波長変換装置

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JP2003121896A JP2001317895A JP2001317895A JP2003121896A JP 2003121896 A JP2003121896 A JP 2003121896A JP 2001317895 A JP2001317895 A JP 2001317895A JP 2001317895 A JP2001317895 A JP 2001317895A JP 2003121896 A JP2003121896 A JP 2003121896A
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太郎 安藤
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誠 細田
Kota Nishimura
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Tadahito Aida
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  • Optical Modulation, Optical Deflection, Nonlinear Optics, Optical Demodulation, Optical Logic Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 任意の波長を有する入射光をより短波長の光
に変換可能な波長変換素子及びそれを用いた波長変換装
置を提供する。 【解決手段】 波長変換素子は、単位素子32及び単位
素子33を含む。単位素子32,33は、バリア層4
1,43と井戸層42,44とを含む。バリア層41,
43はアルミニウムヒ素から成り、井戸層42,44は
ガリウムヒ素から成る。単位素子32の井戸層42でサ
ブ準位11に励起された電子51は、バリア層43のサ
ブ準位21を介して井戸層44のサブ準位15へ到達す
る。また、単位素子33の井戸層42で生成された正孔
52は、バリア層41を介して単位素子32の井戸層4
4に到達する。そして、サブ準位15の電子51は、サ
ブ準位17の正孔と再結合することにより、出射光が出
射される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、光の波長を変換
する波長変換素子に関し、特に、入射光を入射光の波長
よりも短い波長を有する光に変換する波長変換素子およ
びそれを用いた波長変換装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】Ag−O−Cs等から成る光電面を有す
るイメージコンバータは、入射した光を電気信号に変換
する。そして、入射する光の波長は赤外領域まで達して
おり、赤外領域の光を電気信号に変換できることが望ま
れる。
【0003】また、太陽電池においても、入射した光を
電気に変換することが行なわれているが、太陽電池は、
一般的にバンドギャップを有する半導体を用いて作製さ
れるため、紫外領域から可視領域までの波長を有する光
を電気に変換できるに過ぎない。
【0004】このように、光を電気に変換するデバイス
においては、光が有する波長範囲の一部しか有効に利用
できないのが現実である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、イメージコン
バータ及び太陽電池のように、光電変換を行なうデバイ
スにおいては、赤外領域の光を有効に利用し、さらにデ
バイス性能を向上させる必要がある。
【0006】このような場合、赤外領域の光を吸収する
ためにバンドギャップの狭い半導体を用いてイメージコ
ンバータまたは太陽電池を作製すれば良いが、紫外領域
の光により生成された電子及び正孔は、それぞれ、半導
体の伝導帯及び価電子帯の高い準位まで一旦励起され、
最終的に伝導帯の下端または価電子帯の上端までエネル
ギー準位が下がる。従って、最初に励起されたエネルギ
ー準位と、伝導帯の下端または価電子帯の上端のエネル
ギー準位とのエネルギー差を熱として放出することにな
る。その結果、デバイス全体として効率が低下する。
【0007】このような事情からも、赤外領域まで感度
のあるデバイスを作製する場合に、半導体のバンドギャ
ップを小さくするという方法は、得策ではなく、各デバ
イスのピーク感度を保持したままでは赤外領域の感度を
高くすることは非常に困難である。
【0008】そこで、長波長の光を短波長の光に変換す
ることにより、長波長の光を有効に利用することが想定
される。赤外領域の光を可視光に変換するものとしてI
R(Infrared Radiation)フォスフ
ァーが知られている。このIRフォスファーは、波長が
750〜1450nmの範囲の光を波長550〜780
nmの光に変換するものである。
【0009】しかし、IRフォスファーは、赤外領域の
光を可視光に変換するものであるため、光電変換装置に
おいて、感度が小さい領域が赤外領域以外の領域である
とき、このようなIRフォスファーを光電変換装置に適
用することはできない。
【0010】そこで、本発明は、かかる問題を解決する
ためになされたものであり、その目的は、任意の波長を
有する入射光をより短波長の光に変換可能な波長変換素
子及びそれを用いた波長変換装置を提供することであ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明によれば、波長
変換素子は、第1の波長を有する入射光を第1の波長よ
りも短い第2の波長を有する出射光に変換して出射する
波長変換素子であって、入射光を吸収して電子正孔対を
生成する第1および第2の光吸収部と、生成された電子
と正孔とを再結合させて出射光を出射する光出射部と、
所定強度の電界の印加下において、第1の光吸収部で生
成された電子を光出射部へ供給する第1の供給部と、電
界の印加下において、第2の光吸収部で生成された正孔
を光出射部へ供給する第2の供給部とを備える。
【0012】また、この発明によれば、波長変換素子
は、第1の波長を有する入射光を第1の波長よりも短い
第2の波長を有する出射光に変換して出射する波長変換
素子であって、入射光を吸収することにより生成された
電子と正孔とを再結合させて出射光を出射する光出射部
と、所定強度の電界の印加下において、入射光を吸収し
て電子正孔対を生成し、その生成した電子を光出射部へ
供給する第1の光吸収部と、電界の印加下において、入
射光を吸収して電子正孔対を生成し、その生成した正孔
を光出射部へ供給する第2の光吸収部とを備える。
【0013】好ましくは、第1の波長は、印加される電
界の強度に応じて変化する。より好ましくは、第1の光
吸収部は、第1の薄膜と、第1の薄膜に接して形成され
た第2の薄膜と、第2の薄膜に接して形成された第3の
薄膜とを含み、光出射部は、第3の薄膜に接して形成さ
れた第4の薄膜から成り、第2の光吸収部は、第4の薄
膜に接して形成された第5の薄膜と、第5の薄膜に接し
て形成された第6の薄膜と、第6の薄膜に接して形成さ
れた第7の薄膜とを含み、第1の光吸収部における正孔
は、入射光によって第2の薄膜中に生成され、第1の光
吸収部における電子は、入射光によって第3の薄膜中に
生成され、第2の光吸収部における正孔は、入射光によ
って第6の薄膜中に生成され、第2の光吸収部における
電子は、入射光によって第7の薄膜中に生成される。
【0014】より好ましくは、第1の光吸収部は、第1
の薄膜と、第1の薄膜に接して形成された第2の薄膜と
を含み、第1の供給部は、第2の薄膜に接して形成され
た第3の薄膜から成り、光出射部は、第3の薄膜に接し
て形成された第4の薄膜から成り、第2の供給部は、第
4の薄膜に接して形成された第5の薄膜から成り、第2
の光吸収部は、第5の薄膜に接して形成された第6の薄
膜と、第6の薄膜に接して形成された第7の薄膜とを含
む。
【0015】より好ましくは、第2の薄膜は、第1のサ
ブ準位が形成された伝導帯と第2のサブ準位が形成され
た価電子帯とを有する第1の半導体薄膜から成り、第3
の薄膜は、第3のサブ準位が形成された伝導帯を有する
第2の半導体薄膜と、第4の薄膜は、第4のサブ準位が
形成された伝導帯と第5のサブ準位が形成された価電子
帯とを有する第3の半導体薄膜から成り、第6の薄膜
は、第6のサブ準位が形成された伝導帯と第7のサブ準
位が形成された価電子帯とを有する第4の半導体薄膜か
ら成り、第3のサブ準位は、電界の印加下において、電
子が第1のサブ準位から移動可能なエネルギー準位であ
り、第4のサブ準位は、電界の印加下において、第3の
サブ準位よりもエネルギー準位が低く、第5のサブ準位
は、電界の印加下において、第7のサブ準位よりもエネ
ルギー準位が低く、第1のサブ準位と第2のサブ準位と
の第1のエネルギーギャップ、第3のサブ準位と第2の
サブ準位との第2のエネルギーギャップおよび第6のサ
ブ準位と第7のサブ準位との第3のエネルギーギャップ
は、入射光が有するエネルギー値に実質的に等しく、第
4のサブ準位と第5のサブ準位との第4のエネルギーギ
ャップは、第1、第2および第3のエネルギーギャップ
よりも大きく、かつ、出射光が有するエネルギー値に実
質的に等しい。
【0016】より好ましくは、第5の薄膜は、第6の薄
膜において生成された正孔をトンネリングにより第4の
薄膜へ供給する。
【0017】より好ましくは、第1の薄膜は、第1のエ
ネルギーギャップよりも大きいバンドギャップを有する
第5の半導体薄膜から成り、第3の半導体薄膜は、第1
のエネルギーギャップよりも大きいバンドギャップを有
し、第5の薄膜は、第4のエネルギーギャップよりも大
きいバンドギャップを有する第6の半導体薄膜から成
り、第7の薄膜は、第3のエネルギーギャップよりも大
きいバンドギャップを有する第7の半導体薄膜から成
る。
【0018】より好ましくは、第1、第3、および第4
の半導体薄膜は、同じバンドギャップを有する。
【0019】また、この発明によれば、波長変換装置
は、第1の波長を有する入射光を第1の波長よりも短い
第2の波長を有する出射光に変換して出射する波長変換
装置であって、入射光を吸収して出射光に変換して出射
する波長変換素子と、波長変換素子を挟持する第1及び
第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に所定の
電圧を印加する電源回路とを備える。
【0020】好ましくは、第1及び第2の電極は、それ
ぞれ、第1及び第2の透明導電膜であり、第1の透明導
電膜は、入射光を受け、第2の透明導電膜は、出射光を
出射し、波長変換素子は、第1の透明導電膜を透過した
第1の波長を有する第1の光を吸収して第2の波長を有
する第2の光に変換し、その変換した第2の光を出射光
として第2の透明導電膜に導く。
【0021】好ましくは、第1及び第2の電極は、それ
ぞれ、第1及び第2の櫛型電極であり、波長変換素子
は、第1の櫛型電極を介して受けた第1の波長を有する
第1の光を吸収して第2の波長を有する第2の光に変換
し、その変換した第2の光を出射光として第2の櫛型電
極を介して出射する。
【0022】より好ましくは、波長変換素子は、積層さ
れた複数の単位素子から成り、単位素子は、第1の薄膜
と、第1の薄膜に接して形成された第2の薄膜と、第2
の薄膜に接して形成された第3の薄膜と、第3の薄膜に
接して形成された第4の薄膜とを含み、第2の薄膜は、
第1の光を吸収して電子正孔対を生成し、第4の薄膜
は、生成された電子を正孔と再結合させて第2の光を生
成し、第3の薄膜は、第2の薄膜において生成された電
子を第4の薄膜に供給し、当該基本構造に隣接するもう
1つの基本構造に含まれる第2の薄膜は、第1の光を吸
収して電子正孔対を生成し、もう1つの基本構造に含ま
れる第1の薄膜は、生成された正孔を第4の薄膜に供給
する。
【0023】より好ましくは、波長変換素子は、積層さ
れた複数の単位素子から成り、単位素子は、第1の薄膜
と、第1の薄膜に接して形成された第2の薄膜と、第2
の薄膜に接して形成された第3の薄膜と、第3の薄膜に
接して形成された第4の薄膜とを含み、第2および第3
の薄膜は、第1の光を吸収して電子正孔対を生成し、そ
の生成した電子を第4の薄膜に供給し、第4の薄膜は、
生成された電子を正孔と再結合させて第2の光を生成
し、当該基本構造に隣接するもう1つの基本構造に含ま
れる第2および第3の薄膜は、第1の光を吸収して電子
正孔対を生成し、その生成した正孔を第4の薄膜に供給
する。
【0024】より好ましくは、第1の波長は、所定の電
圧の電圧レベルに応じて変化する。より好ましくは、第
2の薄膜は、第1のサブ準位が形成された伝導帯と第2
のサブ準位が形成された価電子帯とを有する第1の半導
体薄膜から成り、第3の薄膜は、第3のサブ準位が形成
された伝導帯を有する第2の半導体薄膜から成り、第4
の薄膜は、第4のサブ準位が形成された伝導帯と第5の
サブ準位が形成された価電子帯とを有する第3の半導体
薄膜から成り、第3のサブ準位は、所定の電圧の印加下
において、電子が第1のサブ準位から移動可能なエネル
ギー準位であり、第4のサブ準位は、所定の電圧の印加
下において、第3のサブ準位よりもエネルギー準位が低
く、第5のサブ準位は、所定の電圧の印加下において、
もう1つの基本構造に含まれる第2の薄膜の第2のサブ
準位よりもエネルギー準位が低く、第1のサブ準位と第
2のサブ準位との第1のエネルギーギャップまたは第3
のサブ準位と第2のサブ準位との第2のエネルギーギャ
ップは、第1の光が有するエネルギー値に実質的に等し
く、第4のサブ準位と第5のサブ準位との第3のエネル
ギーギャップは、第1および第2のエネルギーギャップ
よりも大きく、かつ、第2の光が有するエネルギー値に
実質的に等しい。
【0025】より好ましくは、第4の薄膜は、正孔をト
ンネリングにより受ける。より好ましくは、第2の半導
体薄膜は、第1のエネルギーギャップよりも大きいバン
ドギャップを有し、第1の薄膜は、第3のエネルギーギ
ャップよりも大きいバンドギャップを有する第4の半導
体薄膜から成る。
【0026】より好ましくは、第1、および第3の半導
体薄膜は、同じバンドギャップを有する。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について図面
を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または
相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0028】図1は、この発明による波長変換装置の斜
視図を示す。波長変換装置10は、透明導電膜1,2
と、n個の単位素子31〜3nと、電源回路4とを備え
る。n個の単位素子31〜3nは、透明導電膜1と透明
導電膜2との間に狭持される。透明導電膜1,2は、I
TOまたはSnO2から成る。ITO及びSnO2は、ス
パッタリング法により形成される。
【0029】電源回路4は、透明導電膜1と透明導電膜
2との間に単位素子の積層数に比例する直流電圧を印加
し、この実施の形態においては、20周期の単位素子を
形成したときに印加する0〜15Vの範囲の直流電圧を
印加する。
【0030】単位素子31〜3nの各々は、電源回路4
により所定の直流電圧が印加されると、後述する原理に
より、透明導電膜1から入射した波長λ1の入射光を、
波長λ1よりも短波長の波長λ2を有する出射光に変換
して透明導電膜2から出射する。
【0031】図2は、図1に示す単位素子31〜3nの
単一の断面構造図である。単位素子31〜3nは、バリ
ア層41,43と、井戸層42,44とを含む。井戸層
42は、バリア層41に接して形成され、バリア層43
は、井戸層42に接して形成され、井戸層44は、バリ
ア層43に接して形成される。
【0032】単位素子31のバリア層41は、透明導電
膜1に接し、単位素子3nの井戸層44は、透明導電膜
2に接する。また、単位素子31〜3n−1の井戸層4
4には、それぞれ、隣接する単位素子32〜3nのバリ
ア層41が接する。
【0033】バリア層41,43は、アルミニウムヒ素
(AlAs)から成り、井戸層42,44は、ガリウム
ヒ素(GaAs)から成る。そして、バリア層41の膜
厚は、4モノレイヤ、即ち、11.32Åであり、井戸
層42の膜厚は、15モノレイヤ、即ち、42.45Å
であり、バリア層43の膜厚は、18モノレイヤ、即
ち、50.94Åであり、井戸層44の膜厚は、11モ
ノレイヤ、即ち、31.13Åである。
【0034】バリア層41,43を構成するアルミニウ
ムヒ素及び井戸層42,44を構成するガリウムヒ素
は、MBE(Molecular Beam Epit
axy)を用いた結晶成長により形成される。従って、
アルミニウムヒ素およびガリウムヒ素は、モノレイヤづ
つ結晶成長され、その表面は平坦である。その結果、バ
リア層41と井戸層42との界面、井戸層42とバリア
層43との界面、及びバリア層43と井戸層44との界
面は、急峻に形成される。
【0035】なお、アルミニウムヒ素及びガリウムヒ素
は、MBE法に限らず、MOCVD(Metal Or
ganic Chemical Vapor Depo
sition)、及びALE(Atomic Laye
r Epitaxy)によって結晶成長されてもよい。
これらの方法により結晶成長した場合にも、バリア層4
1と井戸層42との界面、井戸層42とバリア層43と
の界面、及びバリア層43と井戸層44との界面は、急
峻に形成される。
【0036】図3は、図2に示す単位素子31〜3nの
うち、隣接する2つの単位素子におけるエネルギーバン
ド図を示す。なお、図3に示すエネルギーバンド図は、
電源回路4により所定の直流電圧が印加されていないと
きのエネルギーバンド図である。
【0037】バリア層41,43を構成するアルミニウ
ムヒ素のバンドギャップEg1は3.19eVであり、
井戸層42,44を構成するガリウムヒ素のバンドギャ
ップEg2は、1.512eVである。バリア層41,
43の伝導帯の下端Ec1と井戸層42,44の伝導帯
の下端Ec2とのエネルギー差は、1.108eVであ
り、バリア層41,43の価電子帯の上端Ev1と井戸
層42,44の価電子帯の上端Ev2とのエネルギー差
は、0.570eVである。
【0038】従って、井戸層42中の電子及び正孔は、
バリア層41,43によって閉じ込められる。その結
果、井戸層42を構成するガリウムヒ素の伝導帯中にサ
ブ準位11,12が形成され、価電子帯中にサブ準位1
3,14が形成される。
【0039】サブ準位11は、伝導帯の下端Ec2から
0.143eVの位置に形成され、サブ準位12は、伝
導帯の下端Ec2から0.430eVの位置に形成され
る。また、サブ準位13は、価電子帯の上端Ev2から
0.040eVの位置に形成され、サブ準位14は、価
電子帯の上端Ev2から0.158eVの位置に形成さ
れる。
【0040】また、井戸層44中の電子及び正孔は、バ
リア層43,41によって閉じ込められる。その結果、
井戸層44を構成するガリウムヒ素の伝導帯中にサブ準
位15,16が形成され、価電子帯中にサブ準位17,
18が形成される。
【0041】サブ準位15は、伝導帯の下端Ec2から
0.205eVの位置に形成され、サブ準位16は、伝
導帯の下端Ec2から0.610eVの位置に形成され
る。また、サブ準位17は、価電子帯の上端Ev2から
0.064eVの位置に形成され、サブ準位18は、価
電子帯の上端Ev2から0.253eVの位置に形成さ
れる。
【0042】上述したように、井戸層44を構成するガ
リウムヒ素の膜厚は、井戸層42を構成するガリウムヒ
素の膜厚よりも薄いので、サブ準位15,16は、それ
ぞれ、サブ準位11,12よりもエネルギー的に高い位
置に存在し、サブ準位17,18は、それぞれ、サブ準
位13,14よりもエネルギー的に高い位置に存在す
る。
【0043】図4は、ガリウムヒ素及びアルミニウムヒ
素の伝導帯と価電子帯とのエネルギー準位を波数に対し
て示した図である。縦軸がエネルギー準位であり、横軸
が波数である。また、実線がガリウムヒ素であり、点線
がアルミニウムヒ素である。図3に示すエネルギーバン
ド図(実線)は、図4のΓ位置におけるエネルギー準位
を用いて描いた図である。Γ位置においては、アルミニ
ウムヒ素の伝導帯の下端Ec1は、ガリウムヒ素の伝導
帯の下端Ec2よりもエネルギー的に高い準位に位置す
るが、X位置においては、アルミニウムヒ素の伝導帯の
下端Ec3は、ガリウムヒ素の伝導帯の下端Ec4より
もエネルギー的に低い準位に位置する。
【0044】従って、X位置におけるアルミニウムヒ素
及びガリウムヒ素のエネルギー準位を用いたエネルギー
バンド図は、図3の点線で示すエネルギーバンド図にな
る。この場合、X位置におけるアルミニウムヒ素の伝導
帯の下端Ec3は、X位置におけるガリウムヒ素の伝導
帯の下端Ec4よりもエネルギー的に低い位置に存在す
るので、アルミニウムヒ素は、井戸層を構成し、ガリウ
ムヒ素は、バリア層を構成する。
【0045】その結果、バリア層43には、サブ準位2
1〜26が形成され、バリア層41には、サブ準位2
7,28が形成される。サブ準位21は、伝導帯の下端
Ec2から0.178eVの位置に形成され、サブ準位
22は、伝導帯の下端Ec2から0.201eVの位置
に形成され、サブ準位23は、伝導帯の下端Ec2から
0.245eVの位置に形成され、サブ準位24〜26
は、伝導帯の下端Ec2から所定の位置に形成される。
【0046】また、サブ準位27は、伝導帯の下端Ec
2から0.249eVの位置に形成され、サブ準位28
は、伝導帯の下端Ec2から0.480eVの位置に形
成される。
【0047】このように、単位素子31〜3nは、量子
井戸構造から成る。図5は、電源回路4により透明導電
膜1と透明導電膜2との間に約5Vの直流電圧を印加し
た場合の隣接する2つの単位素子におけるエネルギーバ
ンド図を示す。この5Vの直流電圧は、20周期の単位
素子を形成したときに印加する電圧であり、単位素子3
1〜3nに160kV/cmの電界を印加する電圧に相
当する。
【0048】5Vの直流電圧が印加された状態で、単位
素子32,33に波長730nmを有する入射光が照射
されると、波長730nmの入射光は、単位素子32,
33の井戸層42に形成されたサブ準位11とサブ準位
13とのエネルギー差1.695eVに相当するエネル
ギーを有するので、波長730nmの入射光は井戸層4
2によって吸収される。その結果、電子51がサブ準位
11へ励起され、サブ準位13には正孔52が生成され
る。
【0049】生成された電子51及び正孔52は、外部
から印加された電界によって移動され、電子51はバリ
ア層43の方向へ移動し、正孔52はバリア層41の方
向へ移動する。約160kV/cmの電界が印加された
状態では、井戸層42のサブ準位11は、バリア層43
のサブ準位21および井戸層44のサブ準位15とエネ
ルギー的にほぼ同じであるので、バリア層43に到達し
た電子51は、サブ準位21を介してバリア層43中を
移動して井戸層44のサブ準位15に到達する。
【0050】単位素子32の井戸層42のサブ準位13
に生成された正孔52は、トンネリングによりバリア層
41を通過して隣接する単位素子の井戸層44へ移動す
る。また、単位素子33の井戸層42のサブ準位13に
生成された正孔52は、トンネリングによりバリア層4
1を通過して単位素子32の井戸層44のサブ準位17
へ移動する。そして、井戸層44において、サブ準位1
5に存在する電子51がサブ準位17に存在する正孔5
2と再結合することにより、サブ準位15とサブ準位1
7とのエネルギー差1.781eVに相当する波長69
6nmの出射光が出射される。
【0051】この場合、単位素子33の井戸層42から
バリア層41を介して単位素子32の井戸層44に到達
した正孔52は、バリア層43が正孔のトンネリングを
阻害するのに十分な厚さを有するため、バリア層43を
介して井戸層42へ移動することはなく、サブ準位17
に閉じ込められる。その結果、サブ準位15に存在する
電子51とサブ準位17に存在する正孔52との再結合
が促進される。
【0052】このように、この発明による波長変換装置
10においては、隣接する2つの単位素子において入射
光を吸収して電子正孔対が生成される。そして、一方の
単位素子32において生成された電子がバリア層43を
介して井戸層44のサブ準位15へ移動し、他方の単位
素子33において生成された正孔がバリア層41を介し
て一方の単位素子32の井戸層44へ移動して再結合す
ることにより、出射光を出射することを特徴とする。こ
の場合、入射光の吸収が生じた井戸層42におけるサブ
準位11とサブ準位13とのエネルギー差は、出射光を
出射する井戸層44におけるサブ準位15とサブ準位1
7とのエネルギー差よりも小さいので、出射光の波長
は、入射光の波長よりも短くなる。つまり、波長変換装
置10は、入射光を、より短波長の光に変換して出射す
る。
【0053】波長変換装置10は、n個の単位素子31
〜3nを積層して成るが、上述した波長変換の原理に基
づけば、単位素子32のバリア層41,43及び井戸層
42,44と、単位素子33のバリア層41,43及び
井戸層42とにより、入射光の波長をより短波長な光に
変換する波長変換素子を構成することができる。この場
合、波長変換素子は、単位素子32の井戸層42と単位
素子33の井戸層42とを入射光の吸収層として有す
る。つまり、波長変換素子は、2つの吸収層(井戸層4
2,42)により入射光を吸収して変換層(井戸層4
4)によって入射光をより短波長な光に変換して出射す
る。
【0054】図6は、波長730nmの光を波長変換装
置10へ入射させたときの波長変換装置10からの出射
光の逆バイアス電圧依存性性を示す図である。縦軸は波
長であり、横軸は波長変換装置10の透明導電膜1と透
明導電膜2との間に印加される逆バイアス電圧である。
【0055】波長692nm〜706nmの範囲におい
て発光が観測され、この発光は、井戸層44におけるサ
ブ準位15とサブ準位17とのエネルギー差に相当す
る。波長730nmの光は、井戸層42におけるサブ準
位11とサブ準位13とのエネルギー差に相当するエネ
ルギーを有するため、波長730nmの光を波長変換装
置10へ入射させたとき、波長730nmの光は井戸層
42により吸収される。そして、井戸層42により吸収
された光は、井戸層44によって波長692〜706n
mの光に変換されて波長変換装置10から出射される。
従って、図6に示す実験結果は、波長変換装置10によ
って波長730nmの光が波長692nm〜706nm
の光に変換されることを支持するものである。
【0056】また、波長変換装置10に印加する逆バイ
アス電圧が2〜10Vの範囲で変化しても、発光波長は
692nm〜706nmの範囲において変化しない。つ
まり、発光波長はバイアス依存性を有しない。従って、
波長変換装置10は、電源回路4により2〜10Vの範
囲の直流電圧を透明導電膜1と透明導電膜2との間に印
加すれば、波長730nmの光を波長692nm〜70
6nmの範囲の光に変換できる。
【0057】波長変換装置10において、単位素子31
〜3nの井戸層42の膜厚を15モノレイヤ(=42.
45Å)から16モノレイヤ(=45.28Å)に変
え、井戸層44の膜厚を11モノレイヤ(=31.13
Å)から10モノレイヤ(=28.30Å)に変えるこ
とにより、波長変換装置10は、波長735nmの入射
光を波長687nmの出射光に変換して出射できる。
【0058】また、波長変換装置10において、単位素
子31〜3nの井戸層42の膜厚を15モノレイヤ(=
42.45Å)から18モノレイヤ(=50.94Å)
に変え、井戸層44の膜厚を11モノレイヤ(=31.
13Å)から10モノレイヤ(=28.30Å)に変え
ることにより、波長変換装置10は、波長750nmの
入射光を波長687nmの出射光に変換して出射でき
る。
【0059】この発明による波長変換装置は、図7に示
す波長変換装置10Aであってもよい。波長変換装置1
0Aは、波長変換装置10の単位素子31〜3nを単位
素子61〜6nに代えたものであり、その他は波長変換
装置10と同じである。
【0060】図8は、図7に示す単位素子61〜6nの
単一の断面構造図である。単位素子61〜6nは、単位
素子31〜3nの井戸層42を井戸層45に代え、バリ
ア層43をバリア層46に代えたものであり、その他は
単位素子31〜3nと同じである。
【0061】井戸層45は、ガリウムヒ素から成り、膜
厚は70モノレイヤ(=198.1Å)である。また、
バリア層46は、アルミニウムヒ素から成り、膜厚は4
0モノレイヤ(=113.2Å)である。なお、井戸層
45を構成するガリウムヒ素及びバリア層46を構成す
るアルミニウムヒ素も、上述したMBE、MOCVD、
及びALEにより形成される。従って、バリア層41と
井戸層45との界面、井戸層45とバリア層46との界
面、及びバリア層46と井戸層44との界面は、急峻に
形成される。
【0062】図9は、所定の直流電圧が印加されたとき
の単位素子62,63のエネルギーバンド図である。実
線は、図4に示すΓ位置におけるエネルギーバンド図で
あり、点線は、X位置におけるエネルギーバンド図であ
る。
【0063】単位素子62,63に入射光が照射される
と、井戸層45のサブ準位71からバリア層46のサブ
準位72へ電子が励起され、電子正孔対が生成される。
サブ準位72に励起された電子は、約160kV/cm
の電界によりサブ準位72を井戸層44の方向へ移動
し、井戸層44のサブ準位15に到達する。また、井戸
層45のサブ準位71に生成された正孔は、電界により
バリア層41の方向へ移動し、トンネリングによりバリ
ア層41を介して隣接する単位素子の井戸層44へ移動
する。
【0064】単位素子63の井戸層45のサブ準位71
に生成された正孔は、電界によりバリア層41の方向へ
移動し、トンネリングによりバリア層41を介して単位
素子62の井戸層44のサブ準位17へ移動する。そし
て、サブ準位15の電子がサブ準位17の正孔と再結合
することにより出射光が出射される。
【0065】このように、波長変換装置10Aにおいて
は、単位素子61〜6nにおいて井戸層45及びバリア
層46によって電子正孔対が生成される点が波長変換装
置10の単位素子31〜3nにおける光吸収の機構と異
なる点であり、生成された電子及び正孔が井戸層44へ
移動し、再結合する機構は単位素子31〜3nの場合と
同じである。
【0066】図10は、波長変換装置10Aにおける波
長変換の実験結果を示す図である。縦軸は波長であり、
横軸は波長変換装置10Aの透明導電膜1と透明導電膜
2との間に印加される逆バイアス電圧である。
【0067】波長810nm〜860nm付近の発光
は、入射光を示し、波長680nm付近の発光は出射光
を示す。
【0068】波長680nm付近の発光は、その波長が
逆バイアス電圧によって殆ど変化しない。一方、810
nm〜860nm付近の発光は、その波長が逆バイアス
電圧に大きく依存し、逆バイアス電圧が高くなるに従っ
て波長は長くなる。
【0069】波長変換装置10Aにおいては、上述した
ように、単位素子61〜6nの井戸層45のサブ準位7
1とバリア層46のサブ準位72との間で入射光が吸収
され、単位素子61〜6nに印加される逆バイアス電圧
が高くなるに従ってサブ準位71とサブ準位72とのエ
ネルギー差は小さくなる。従って、図10に示すよう
に、単位素子61〜6nによる光吸収波長は、印加され
る直流電圧が高くなるに従って長波長側へシフトする。
その結果、図10に示す実験結果は、図9に示す波長変
換の機構を支持する。
【0070】この発明による波長変換装置は、図11に
示す波長変換装置10Bであってもよい。波長変換装置
10Bは、櫛型電極81と、p+型GaAs82と、p
型Al0.5(GaAs)0.583と、i型Al0.5(Ga
As)0.584と、単位素子31〜3nと、i型Al0.5
(GaAs)0.586と、n型Al0.5(GaAs)0.5
87と、n+型GaAs88と、n型GaAs基板89
と、電源回路4とを備える。
【0071】櫛型電極81は、例えば、アルミニウムか
ら成る。p+型GaAs82の膜厚は、1000Åであ
り、p型Al0.5(GaAs)0.583の膜厚は、200
0Åであり、i型Al0.5(GaAs)0.584,86の
膜厚は、500Åであり、n型Al0.5(GaAs)0.5
87の膜厚は、8000Åであり、n+型GaAs88
の膜厚は、1000Åである。単位素子31〜3nにつ
いては上述した通りである。
【0072】波長変換装置10Bにおいては、入射光λ
1は、櫛型電極81を介して単位素子31〜3nへ入射
する。また、波長変換装置10Bにおいては、電源回路
4は、櫛型電極81とn型GaAs基板89との間に所
定の電圧を印加する。
【0073】また、この発明による波長変換装置は、図
12に示す波長変換装置10Cであってもよい。波長変
換装置10Cは、波長変換装置10Bの櫛型電極81を
電極81Aに代えたものであり、その他は波長変換装置
10Bと同じである。電極81Aは、中央部に孔90を
設けた電極であり、例えば、アルミニウムから成る。入
射光λ1は孔90を介して単位素子31〜3nへ入射す
る。また、波長変換装置10Cにおいては、電源回路4
は、電極81Aとn型GaAs基板89との間に所定の
電圧を印加する。
【0074】なお、波長変換装置10B,10Cにおい
ては、単位素子31〜3nに代えて単位素子61〜6n
を用いることも可能である。
【0075】上記においては、井戸層42,44,45
にガリウムヒ素を用い、バリア層41,43,46にア
ルミニウムヒ素を用いた場合について説明したが、この
発明においては、これに限らず、井戸層42,44,4
5にガリウムナイトライド(GaN)、アルミニウムガ
リウムヒ素(AlGaAs)及びインジウムガリウムヒ
素(InGaAs)のいずれかを適用してもよく、バリ
ア層41,43,46にアルミニウムナイトライド(A
lN)を適用してもよい。これらの各材料は、上述した
MBE、MOCVD、及びALEにより結晶成長可能で
あるので、これらの材料を用いて単位素子31〜3n,
61〜6nを形成した場合、バリア層と井戸層との界面
は急峻である。
【0076】また、上記においては、波長変換装置1
0,10Aは、光を透明導電膜1から入射し、その入射
した光の波長を短波長の光に変換して透明導電膜2から
出射すると説明したが、この発明においては、入射光及
び出射光の方向は、波長変換装置10,10Aに対して
斜めであってもよく、その方向は特に特定されない。
【0077】さらに、単位素子31〜3n,61〜6n
の両側に第1及び第2の反射層を設けて波長変換装置を
構成してもよい。この場合、第1の反射層は、波長λ1
を有する入射光を透過し、波長λ1よりも短波長である
波長λ2を有する出射光を反射する。また、第2の反射
層は、波長λ1を有する入射光を反射し、波長λ2を有
する出射光を透過する。このような構成にすることによ
り単位素子31〜3n,61〜6nにおいて光を閉じ込
めることができ、光の利用効率と出力効率を高めること
ができる。
【0078】上述した波長変換装置10,10A,10
B,10Cを用いることにより、赤外領域の光を可視領
域の光に変換することができ、波長変換装置10,10
Aにより変換した光をフォトダイオード、及びCCD
(Charge Coupled Device)によ
って検出することにより、赤外領域の光を高感度に検出
可能である。
【0079】また、波長変換装置10,10A,10
B,10Cによって変換した光を太陽電池の入射光に用
いることによって、太陽電池の波長感度を赤外領域まで
広げることができる。
【0080】今回開示された実施の形態はすべての点で
例示であって制限的なものではないと考えられるべきで
ある。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明では
なくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲
と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる
ことが意図される。
【0081】
【発明の効果】この発明によれば、波長変換装置は、井
戸幅の異なる2つの量子井戸を備え、井戸幅の広い量子
井戸により光を吸収して生成した電子正孔対を井戸幅の
狭い量子井戸内で再結合させるので、吸収した光の波長
をより短波長の光に変換できる。
【0082】また、この発明によれば、波長変換装置
は、赤外線を用いた実験等の際、光学調整のために用い
られる赤外光検出カードの代用としても用いることがで
き、より高効率、かつ、簡便な素子としての意義も有す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明による波長変換装置の斜視図であ
る。
【図2】 図1に示す単位素子の断面構造図である。
【図3】 図1に示す複数の単位素子のうち、隣接する
2つの単位素子におけるエネルギーバンド図である。
【図4】 アルミニウムヒ素及びガリウムヒ素における
エネルギー準位と波数との関係を示す図である。
【図5】 図1に示す複数の単位素子にバイアス電圧を
印加したときの隣接する2つの単位素子におけるエネル
ギーバンド図である。
【図6】 図1に示す波長変換装置における波長変換の
実験結果を示す図である。
【図7】 この発明による波長変換装置の他の斜視図で
ある。
【図8】 図7に示す単位素子の断面構造図である。
【図9】 図7に示す複数の単位素子にバイアス電圧を
印加したときの隣接する2つの単位素子におけるエネル
ギーバンド図である。
【図10】 図7に示す波長変換装置における波長変換
の実験結果を示す図である。
【図11】 この発明による波長変換装置の更に他の斜
視図である。
【図12】 この発明による波長変換装置の更に他の斜
視図である。
【符号の説明】
1,2 透明導電膜、4 電源回路、10,10A 波
長変換装置、11〜18,21〜28,71,72 サ
ブ準位、31〜3n,61〜6n 単位素子、41,4
3,46 バリア層、42,44,45 井戸層、51
電子、52正孔、81 櫛型電極、81A 電極、8
2 p+型GaAs、83 p型Al0 .5(GaAs)
0.5、84,86 i型Al0.5(GaAs)0.5、87
n型Al0.5(GaAs)0.5、88 n+型GaA
s、89 n型GaAs基板。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西村 剛太 京都府相楽郡精華町光台二丁目2番地2 株式会社国際電気通信基礎技術研究所内 (72)発明者 會田 田人 京都府相楽郡精華町光台二丁目2番地2 株式会社国際電気通信基礎技術研究所内 Fターム(参考) 2K002 AA07 AB12 BA01 CA13 DA12 EB08 FA04

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の波長を有する入射光を前記第1の
    波長よりも短い第2の波長を有する出射光に変換して出
    射する波長変換素子であって、 前記入射光を吸収して電子正孔対を生成する第1および
    第2の光吸収部と、 前記生成された電子と正孔とを再結合させて前記出射光
    を出射する光出射部と、 所定強度の電界の印加下において、前記第1の光吸収部
    で生成された電子を前記光出射部へ供給する第1の供給
    部と、 前記電界の印加下において、前記第2の光吸収部で生成
    された正孔を前記光出射部へ供給する第2の供給部とを
    備える波長変換素子。
  2. 【請求項2】 第1の波長を有する入射光を前記第1の
    波長よりも短い第2の波長を有する出射光に変換して出
    射する波長変換素子であって、 前記入射光を吸収することにより生成された電子と正孔
    とを再結合させて前記出射光を出射する光出射部と、 所定強度の電界の印加下において、前記入射光を吸収し
    て電子正孔対を生成し、その生成した電子を前記光出射
    部へ供給する第1の光吸収部と、 前記電界の印加下において、前記入射光を吸収して電子
    正孔対を生成し、その生成した正孔を前記光出射部へ供
    給する第2の光吸収部とを備える波長変換素子。
  3. 【請求項3】 前記第1の波長は、前記印加される電界
    の強度に応じて変化する、請求項2に記載の波長変換素
    子。
  4. 【請求項4】 前記第1の光吸収部は、 第1の薄膜と、 前記第1の薄膜に接して形成された第2の薄膜と、 前記第2の薄膜に接して形成された第3の薄膜とを含
    み、 前記光出射部は、前記第3の薄膜に接して形成された第
    4の薄膜から成り、 前記第2の光吸収部は、 前記第4の薄膜に接して形成された第5の薄膜と、 前記第5の薄膜に接して形成された第6の薄膜と、 前記第6の薄膜に接して形成された第7の薄膜とを含
    み、 前記第1の光吸収部における正孔は、前記入射光によっ
    て前記第2の薄膜中に生成され、 前記第1の光吸収部における電子は、前記入射光によっ
    て前記第3の薄膜中に生成され、 前記第2の光吸収部における正孔は、前記入射光によっ
    て前記第6の薄膜中に生成され、 前記第2の光吸収部における電子は、前記入射光によっ
    て前記第7の薄膜中に生成される、請求項3に記載の波
    長変換素子。
  5. 【請求項5】 前記第1の光吸収部は、 第1の薄膜と、 前記第1の薄膜に接して形成された第2の薄膜とを含
    み、 前記第1の供給部は、前記第2の薄膜に接して形成され
    た第3の薄膜から成り、 前記光出射部は、前記第3の薄膜に接して形成された第
    4の薄膜から成り、 前記第2の供給部は、前記第4の薄膜に接して形成され
    た第5の薄膜から成り、 前記第2の光吸収部は、 前記第5の薄膜に接して形成された第6の薄膜と、 前記第6の薄膜に接して形成された第7の薄膜とを含
    む、請求項1に記載の波長変換素子。
  6. 【請求項6】 前記第2の薄膜は、第1のサブ準位が形
    成された伝導帯と第2のサブ準位が形成された価電子帯
    とを有する第1の半導体薄膜から成り、 前記第3の薄膜は、第3のサブ準位が形成された伝導帯
    を有する第2の半導体薄膜と、 前記第4の薄膜は、第4のサブ準位が形成された伝導帯
    と第5のサブ準位が形成された価電子帯とを有する第3
    の半導体薄膜から成り、 前記第6の薄膜は、第6のサブ準位が形成された伝導帯
    と第7のサブ準位が形成された価電子帯とを有する第4
    の半導体薄膜から成り、 前記第3のサブ準位は、前記電界の印加下において、前
    記電子が前記第1のサブ準位から移動可能なエネルギー
    準位であり、 前記第4のサブ準位は、前記電界の印加下において、前
    記第3のサブ準位よりもエネルギー準位が低く、 前記第5のサブ準位は、前記電界の印加下において、前
    記第7のサブ準位よりもエネルギー準位が低く、 前記第1のサブ準位と前記第2のサブ準位との第1のエ
    ネルギーギャップ、前記第3のサブ準位と前記第2のサ
    ブ準位との第2のエネルギーギャップおよび前記第6の
    サブ準位と前記第7のサブ準位との第3のエネルギーギ
    ャップは、前記入射光が有するエネルギー値に実質的に
    等しく、 前記第4のサブ準位と前記第5のサブ準位との第4のエ
    ネルギーギャップは、前記第1、第2および第3のエネ
    ルギーギャップよりも大きく、かつ、前記出射光が有す
    るエネルギー値に実質的に等しい、請求項4または請求
    項5に記載の波長変換素子。
  7. 【請求項7】 前記第5の薄膜は、前記第6の薄膜にお
    いて生成された正孔をトンネリングにより前記第4の薄
    膜へ供給する、請求項6に記載の波長変換素子。
  8. 【請求項8】 前記第1の薄膜は、前記第1のエネルギ
    ーギャップよりも大きいバンドギャップを有する第5の
    半導体薄膜から成り、 前記第3の半導体薄膜は、前記第1のエネルギーギャッ
    プよりも大きいバンドギャップを有し、 前記第5の薄膜は、前記第4のエネルギーギャップより
    も大きいバンドギャップを有する第6の半導体薄膜から
    成り、 前記第7の薄膜は、前記第3のエネルギーギャップより
    も大きいバンドギャップを有する第7の半導体薄膜から
    成る、請求項7に記載の波長変換素子。
  9. 【請求項9】 前記第1、第3、および第4の半導体薄
    膜は、同じバンドギャップを有する、請求項6から請求
    項8のいずれか1項に記載の波長変換素子。
  10. 【請求項10】 第1の波長を有する入射光を前記第1
    の波長よりも短い第2の波長を有する出射光に変換して
    出射する波長変換装置であって、 前記入射光を吸収して前記出射光に変換して出射する波
    長変換素子と、 前記波長変換素子を挟持する第1及び第2の電極と、 前記第1の電極と前記第2の電極との間に所定の電圧を
    印加する電源回路とを備える波長変換装置。
  11. 【請求項11】 前記第1及び第2の電極は、それぞ
    れ、第1及び第2の透明導電膜であり、 前記第1の透明導電膜は、前記入射光を受け、 前記第2の透明導電膜は、前記出射光を出射し、 前記波長変換素子は、前記第1の透明導電膜を透過した
    前記第1の波長を有する第1の光を吸収して前記第2の
    波長を有する第2の光に変換し、その変換した第2の光
    を前記出射光として前記第2の透明導電膜に導く、請求
    項10に記載の波長変換装置。
  12. 【請求項12】 前記第1及び第2の電極は、それぞ
    れ、第1及び第2の櫛型電極であり、 前記波長変換素子は、前記第1の櫛型電極を介して受け
    た前記第1の波長を有する第1の光を吸収して前記第2
    の波長を有する第2の光に変換し、その変換した第2の
    光を前記出射光として前記第2の櫛型電極を介して出射
    する、請求項10に記載の波長変換装置。
  13. 【請求項13】 前記波長変換素子は、積層された複数
    の単位素子から成り、 前記単位素子は、 第1の薄膜と、 前記第1の薄膜に接して形成された第2の薄膜と、 前記第2の薄膜に接して形成された第3の薄膜と、 前記第3の薄膜に接して形成された第4の薄膜とを含
    み、 前記第2の薄膜は、前記第1の光を吸収して電子正孔対
    を生成し、 前記第4の薄膜は、前記生成された電子を正孔と再結合
    させて前記第2の光を生成し、 前記第3の薄膜は、前記第2の薄膜において生成された
    電子を前記第4の薄膜に供給し、 当該基本構造に隣接するもう1つの基本構造に含まれる
    第2の薄膜は、前記第1の光を吸収して電子正孔対を生
    成し、 前記もう1つの基本構造に含まれる第1の薄膜は、前記
    生成された正孔を前記第4の薄膜に供給する、請求項1
    1又は請求項12に記載の波長変換装置。
  14. 【請求項14】 前記波長変換素子は、積層された複数
    の単位素子から成り、 前記単位素子は、 第1の薄膜と、 前記第1の薄膜に接して形成された第2の薄膜と、 前記第2の薄膜に接して形成された第3の薄膜と、 前記第3の薄膜に接して形成された第4の薄膜とを含
    み、 前記第2および第3の薄膜は、前記第1の光を吸収して
    電子正孔対を生成し、その生成した電子を前記第4の薄
    膜に供給し、 前記第4の薄膜は、前記生成された電子を正孔と再結合
    させて前記第2の光を生成し、 当該基本構造に隣接するもう1つの基本構造に含まれる
    第2および第3の薄膜は、前記第1の光を吸収して電子
    正孔対を生成し、その生成した正孔を前記第4の薄膜に
    供給する、請求項11又は請求項12に記載の波長変換
    装置。
  15. 【請求項15】 前記第1の波長は、前記所定の電圧の
    電圧レベルに応じて変化する、請求項14に記載の波長
    変換装置。
  16. 【請求項16】 前記第2の薄膜は、第1のサブ準位が
    形成された伝導帯と第2のサブ準位が形成された価電子
    帯とを有する第1の半導体薄膜から成り、 前記第3の薄膜は、第3のサブ準位が形成された伝導帯
    を有する第2の半導体薄膜から成り、 前記第4の薄膜は、第4のサブ準位が形成された伝導帯
    と第5のサブ準位が形成された価電子帯とを有する第3
    の半導体薄膜から成り、 前記第3のサブ準位は、前記所定の電圧の印加下におい
    て、前記電子が前記第1のサブ準位から移動可能なエネ
    ルギー準位であり、 前記第4のサブ準位は、前記所定の電圧の印加下におい
    て、前記第3のサブ準位よりもエネルギー準位が低く、 前記第5のサブ準位は、前記所定の電圧の印加下におい
    て、前記もう1つの基本構造に含まれる第2の薄膜の第
    2のサブ準位よりもエネルギー準位が低く、 前記第1のサブ準位と前記第2のサブ準位との第1のエ
    ネルギーギャップまたは前記第3のサブ準位と前記第2
    のサブ準位との第2のエネルギーギャップは、前記第1
    の光が有するエネルギー値に実質的に等しく、 前記第4のサブ準位と前記第5のサブ準位との第3のエ
    ネルギーギャップは、前記第1および第2のエネルギー
    ギャップよりも大きく、かつ、前記第2の光が有するエ
    ネルギー値に実質的に等しい、請求項13から請求項1
    5のいずれか1項に記載の波長変換装置。
  17. 【請求項17】 前記第4の薄膜は、前記正孔をトンネ
    リングにより受ける、請求項16に記載の波長変換装
    置。
  18. 【請求項18】 前記第2の半導体薄膜は、前記第1の
    エネルギーギャップよりも大きいバンドギャップを有
    し、 前記第1の薄膜は、前記第3のエネルギーギャップより
    も大きいバンドギャップを有する第4の半導体薄膜から
    成る、請求項17に記載の波長変換装置。
  19. 【請求項19】 前記第1、および第3の半導体薄膜
    は、同じバンドギャップを有する、請求項16から請求
    項18のいずれか1項に記載の波長変換装置。
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