JP2003120924A - 溶融炉の出湯装置 - Google Patents

溶融炉の出湯装置

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JP2003120924A
JP2003120924A JP2001314039A JP2001314039A JP2003120924A JP 2003120924 A JP2003120924 A JP 2003120924A JP 2001314039 A JP2001314039 A JP 2001314039A JP 2001314039 A JP2001314039 A JP 2001314039A JP 2003120924 A JP2003120924 A JP 2003120924A
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molten metal
layer
heating
melting furnace
heat insulating
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JP2001314039A
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English (en)
Inventor
Takeo Ishijima
武雄 石島
Keishin Machida
敬信 町田
Shigeaki Yamashita
繁昭 山下
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JFE Steel Corp
Nissei Ltd
Original Assignee
Nissei Ltd
Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 出湯口から溶湯の漏れを確実に防止する他、
溶融炉周囲の作業環境に高度の安全性を確保できる信頼
性の高い出湯装置を提供する。 【解決手段】 炉体2の出湯口100を、溶湯の流路1
11を有し、間接誘導加熱方式により加熱する加熱層1
10と、加熱層110の周囲を覆い、加熱層110の熱
を遮断可能な断熱層120と、断熱層120の周囲を覆
い、溶湯6の漏れを遮断可能な耐火層130とにより構
成し、耐火層130に冷却手段17を併設する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、焼却灰(主焼却
灰、飛灰)、廃棄物、雑固体などの溶融に使用する溶融
炉に備え、炉体内部の溶湯を出湯する溶融炉の出湯装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】近時、都市ごみや産業廃棄物などの焼却
により発生する焼却灰をさらに減容化、無害化するため
に、焼却灰を溶融処理する灰溶融炉が注目されている。
その一つに電気を熱源とする灰溶融炉がある。この電気
溶融方式には、アーク方式、プラズマ方式等があり、各
方式とも熱源加熱の方式が異なるが、炉底のメタルによ
るフライパン効果を期待した加熱溶融が行われる。これ
らの灰溶融炉によれば、炉内で加熱された焼却灰は一定
時間経過すると溶け出し、焼却灰に混入している重い金
属類(鉄、銅など)は下層に沈殿し、溶融された軽い灰
はスラグとなって上層に浮遊する。すなわち溶湯は下に
溶融メタルの層、上に溶融スラグの層になって分離され
る。そこに新たに焼却灰が供給されると、同様に加熱さ
れ、これが溶融メタル、溶融スラグに分離される。この
ようにして徐々に溶湯の湯面が上昇されていき、湯面が
出滓口まで上がってくると、溶湯上層の溶融スラグが炉
外に排出される。排出された溶融スラグは水冷又は空冷
の方法により固化される。このようにして焼却灰は溶融
により、スラグとなって、2分の1から3分の1程度に
減容される。なお、溶融スラグは重金属の溶出が防止さ
れるため、建設資材などに再利用することができる。
【0003】さて、このような灰溶融炉では、溶融メタ
ルはプラズマアークを安定させるのに必要不可欠である
ものの、溶融メタルが溜まり過ぎ、溶融スラグの量が過
少になると、焼却灰の溶融に支障をきたすため、溶湯か
ら溶融メタルを必要量だけ抜き出す必要がある。
【0004】一般に、定置式の灰溶融炉の場合、炉体に
溶融メタルの出湯口が設けられている。従来、出湯口は
砂を充填されて閉止されていて、出湯口から溶融メタル
を出湯する場合、出湯口の砂を突き棒で衝打して除去す
ることにより出湯口を開放し、溶融メタルを抜き出すよ
うにしている。
【0005】また近年は、出湯口を加熱する手段を備え
た新たな方式がある。この出湯口で溶融メタルを出湯す
る場合、溶融メタルを加熱して誘導するので、出湯口の
途中で溶融メタルが固化することなしに、溶融メタルを
有効に出湯することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この種の溶融炉では傾
動式に対して定置式が優れていると言われているが、炉
体が固定されているために、溶湯、特に溶融メタルの出
湯方法に苦慮しているところである。このような背景の
下で、出湯口を加熱することにより出湯口内の溶湯を加
熱しながら出湯する方式は有用な出湯方法であるが、出
湯口は溶融メタルの温度と略同じ温度に加熱されるた
め、溶融炉周囲の作業環境を保全する必要があり、また
出湯口は繰り返し高熱に晒されるため、出湯口の劣化を
止めることはできないが、万が一クラックが発生した場
合でも、溶湯の漏れを防止して、出湯を安全かつ確実に
行えるなど、高度の信頼性が要求される。本発明は、こ
のような従来の問題を解決し、出湯口内の溶湯を加熱す
る方式の溶融炉の出湯装置において、出湯口の高熱を遮
断して、溶融炉周囲の作業環境に高度の安全性を確保す
るとともに、出湯口の劣化等により万が一出湯口にクラ
ックが入って、このクラックから溶湯が漏れ出すような
場合でも、この溶湯の漏出を未然に防止して、出湯に支
障をきたすことなしに出湯を確実かつ安全に行うことを
目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の溶融炉は、被溶融物を加熱溶融する炉体に
貫装され、炉体内部の溶湯を出湯する出湯口と、出湯口
内の溶湯を加熱する加熱手段とを備え、炉体内部の溶湯
を誘導し、出湯する溶融炉の出湯装置において、出湯口
は、溶湯の流路を有し、溶湯を加熱する加熱層と、加熱
層の周囲に被覆され、加熱層の熱を遮断可能な断熱層
と、断熱層の周囲に被覆され、溶湯を遮断可能な耐火層
とを備えたものである。この構成により、炉体内部の溶
湯を出湯する場合、加熱層で炉体内部の溶湯を加熱しな
がら誘導し、溶湯を出湯口の途中で固化することなし
に、確実に出湯することができる。この場合、加熱層の
高熱は断熱層で遮断されるので、出湯口表面の耐火層に
高熱が伝導されることはなく、溶融炉周囲の作業環境に
高度の安全性を確保することができる。また、加熱層が
繰り返し溶湯の高熱に晒されるため、その劣化により、
又は加熱手段で溶融メタルの溶融、固化が繰り返され、
この溶融メタルと加熱層との熱膨張係数の違いにより、
加熱層にクラックが入り、このクラックを通じて溶湯が
漏れ出すような場合でも、これをまず断熱層で阻止し、
この断熱層で溶湯の漏出を止めることができないときで
もこれを耐火層で確実に遮断することができ、溶湯を出
湯口の外部に漏れ出すことがなく、したがって出湯に支
障をきたすことなしに出湯を確実かつ安全に行うことが
できる。
【0008】本発明はまた、次のように具体化される。
第1に、加熱手段に、間接誘導加熱方式が採用される。
この構成により、加熱層を間接誘導加熱により加熱し
て、この加熱層で炉体内部の溶湯を加熱しながら誘導
し、溶湯を出湯口の途中で固化することなしに、確実に
出湯することができる。第2に、加熱手段に、加熱層の
周囲に断熱層の上から巻装される誘導加熱コイルと、誘
導加熱コイルに通電する高周波電源とを備える。この構
成により、加熱層を誘導加熱コイルにより加熱して、こ
の加熱層で炉体内部の溶湯を加熱しながら誘導し、溶湯
を出湯口の途中で固化することなしに、確実に出湯する
ことができる。第3に、誘導加熱コイルは、水冷管によ
り形成される。第4に、誘導加熱コイルは、耐火層の中
に埋設される。これらの構成により、誘導加熱コイルを
水冷管により冷却し、これを耐火層の中に埋設している
ので、出湯装置周囲の作業環境に高度の安全性を確保す
ることができる。第5に、加熱層は、導電性材料を添加
された耐火物により形成される。この構成により、加熱
層を誘導加熱して、この加熱層で炉体内部の溶湯を加熱
しながら誘導し、溶湯を出湯口の途中で固化することな
しに、確実に出湯することができる。第6に、加熱層
は、黒鉛を添加された耐火物により形成される。この構
成により、加熱層を誘導加熱して、この加熱層で炉体内
部の溶湯を加熱しながら誘導し、溶湯を出湯口の途中で
固化することなしに、確実に出湯することができる。第
7に、断熱層は、加熱層の周囲を覆う軟質の耐火断熱材
と、この軟質の耐火断熱材を覆う硬質の断熱材とにより
形成される。この構成により、軟質の耐火断熱材で加熱
層の加熱・冷却による膨張、収縮を吸収することがで
き、また加熱層の劣化等により溶湯が漏れ出した場合で
も、硬質の断熱材で溶湯の漏出を阻止することができ
る。第8に、軟質の耐火断熱材に、セラミックファイバ
が用いられる。この構成により、セラミックファイバで
加熱層の加熱・冷却による膨張、収縮を吸収することが
できる。第9に、硬質の断熱材に、セラミックチューブ
が用いられる。この構成により、加熱層の劣化等により
溶湯が漏れ出した場合でも、セラミックチューブで溶湯
の漏出を阻止することができる。第10に、耐火層は、
熱伝導度の高い耐火物により形成される。この構成によ
り、加熱層の劣化等により溶湯が漏れ出して、これを断
熱層で阻止できないときでも、この溶湯の漏出を耐火層
で確実に遮断することができ、溶湯を出湯口の外部に漏
れ出すことがなく、出湯に支障をきたすことなしに出湯
を確実かつ安全に行うことができる。第11に、耐火層
に、冷却手段が併設される。この構成により、加熱層の
劣化等により溶湯が漏れ出した場合でも、これを耐火層
で確実に遮断するとともに、冷却手段で冷却された耐火
層で溶湯を凝固させることができる。第12に、冷却手
段は、水冷管により形成されて耐火層の中に埋設され
る。この構成により、加熱層の劣化等により溶湯が漏れ
出した場合でも、これを耐火層で確実に遮断するととも
に、水冷管で冷却された耐火層により溶湯を凝固させる
ことができる。第13に、水冷管に、水冷管が破損した
場合にその周囲の高熱により発生する蒸気の圧力よりも
低い水圧で水が通される。この構成により、加熱層の劣
化等により溶湯が漏れ出し、さらに水冷管が破損して水
漏れを起こした場合でも、この水を加熱層周囲の高熱に
より高圧の蒸気にして、この圧力で水冷管から漏水を防
止することができる。第14に、水冷管と加熱手段の誘
導加熱コイルが兼用される。この構成により、同一の水
冷管で、加熱層を誘導加熱することができるとともに、
耐火層を冷却することができる。第15に、加熱層と耐
火層との間に、この両層間に蒸気が発生した場合にこの
蒸気を出湯口外部に排出する排蒸手段を備える。この構
成により、加熱層と耐火層との間に蒸気が発生した場合
に、排蒸手段で蒸気を排出して、出湯口内部の圧力を減
圧調整することができる。第16に、排蒸手段からの蒸
気の排出を検知して、出湯動作を停止する緊急停止手段
を備える。この構成により、出湯口内部で蒸気が発生し
た場合に、出湯動作を停止して、安全性を充分に確保す
ることができる。第17に、加熱層の出湯端側の一定の
範囲は、加熱層の入湯端側の内径よりも小さく形成され
る。この構成により、出湯口の出湯端を溶湯処理設備に
適合させることができる。第18に、加熱層と炉体内部
との中間連結部は、加熱層の内径より大きく形成され
る。この構成により、加熱層と炉体内部との中間連結部
の溶湯に加熱層側、炉体側の熱の伝導効率を高めて、溶
湯の流動化を促進することができる。第19に、加熱層
と炉体内部との中間連結部の周囲に、この中間連結部の
溶湯を冷却する要因を遮断する断熱手段を備える。この
構成により、加熱層と炉体内部との中間連結部の溶湯の
冷却を防止して、溶湯の流動化を促進することができ
る。第20に、断熱手段は、断熱層を延長して形成され
る。この構成により、加熱層と炉体内部との中間連結部
の溶湯の冷却を断熱層で防止して、溶湯の流動化を促進
することができる。第21に、炉体に複数の出湯口を備
える。この構成により、複数の出湯口を同時使用するこ
とにより、出湯量を調整することができ、必要な量の溶
湯をさらに効率良く出湯することができる。また出湯速
度が上がるので、全量の出湯をさらに迅速に行うことが
できる。また、複数の出湯口を同時使用するのではな
く、そのうち1つの出湯口を常時使用として、他の出湯
口を、常時使用の出湯口が劣化した場合など必要に応じ
て予備的に使用することもできる。第22に、複数の出
湯口の全部又は一部に、溶湯の出湯量の異なる又は同じ
出湯口が用いられる。この構成により、全部又は一部の
出湯口を選択的に使用することにより、溶湯の出湯量を
種々に変更することができ、必要な量の溶湯をさらに効
率的に出湯することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図を用いて説明する。 (実施の形態1)図1及び図2は本発明の第1の実施の
形態を示し、図1は灰溶融炉及びその出湯装置全体の断
面図であり、図2は出湯装置の拡大断面図である。図1
において、灰溶融炉1はプラズマ方式の電気炉として構
成され、電極(負極側)3を設置された炉体2と、電極
(正極側)4を垂下された天壁5とを備える。炉体2に
は、その周壁20に炉底21から所定の高さに溶湯の出
滓口22が形成されている。灰溶融炉1の運転により、
焼却灰が加熱溶融されるとともに、その溶湯の湯面が上
昇され、この出滓口22からオーバーフローすることに
より、溶湯6上層の溶融スラグ61が連続滴下により取
り出される。
【0010】炉体2の周壁20にはまた、出滓口22と
は別に、出湯装置10が設けられている。この出湯装置
10は多層構造の出湯口100と間接誘導加熱方式の加
熱装置19とを備えている。また、この出湯装置10の
場合、出湯口100は炉体2内部の溶融メタル62を連
続的に排出するための第1の出湯口101と、炉体2内
部の全量の溶湯6を抜き出すための第2の出湯口102
とを一体に備えた構造になっている。
【0011】図2に示すように、出湯口100は、溶湯
の流路111を有する加熱層110と、断熱層120
と、耐火層130とを備え、炉体2に貫挿して接合され
ている。
【0012】加熱層110は第1、第2、第3の管1
1、12、13により組み立てられている。これらの管
11、12、13は黒鉛等の導電性材料を添加された耐
火物により略中空円筒状に形成され、加熱装置19の間
接誘導加熱により発熱可能に構成されている。なお、こ
れらの管11、12、13は、Al2、О3、Cその他
の成分を含み、発熱体としての機能とともに溶湯の高熱
(1350℃〜1600℃)に対して長期間の使用に耐
え得る処理が施されている。第1の管11の内径は、第
2、第3の管12、13の内径よりも大きく設定され、
第2、第3の管12、13の内径は略同径になってい
る。第1の管11に、第2、第3の管12、13は分岐
して連接されている。すなわち、軸心を水平方向に向け
られた第1の管11の一端に第2の管12がその軸心を
上方向斜めに向けて一体的に連接され、さらに第1の管
11の同端延長上に第3の管13がその軸心を水平方向
に向けて一体的に連接されている。このようにして第1
の管11の一端所定の高さに、第2の管12の上部開口
12Aが位置設定され、第1の管11の一端延長上に、
第3の管13の先端開口13Aが位置設定される。な
お、第1の管11と第3の管13とを一体の管により形
成してもよい。この場合、一体の管の中間に第2の管1
2が略直交方向に向けて連結される。このようにして加
熱層110には溶湯の流路111が2経路に分岐して形
成されている。なお、この加熱層110は間接誘導加熱
により概ね1500℃程度に加熱される。
【0013】断熱層120は、加熱層110の周囲に被
覆され、加熱層110の熱を遮断可能に形成されてい
る。この断熱層120は、加熱層110の周囲を覆う軟
質の耐火断熱材121と、この軟質の耐火断熱材121
を覆う硬質の断熱材122とにより構成されている。こ
の実施の形態では、軟質の耐火断熱材121に断熱性、
耐火性、さらに弾力性に優れたセラミックファイバが採
用され、このセラミックファイバが加熱層110の第1
の管11(但し、炉体2との連結端11Aを除く。)、
第2の管12、第3の管13の周面に被せられる。この
場合、セラミックファイバは厚さ12mm程のものが概
ね3〜6mm程度に圧縮して固められる。また、硬質の
断熱材122に耐火性、断熱性に優れたセラミック多孔
質チューブが採用され、このセラミック多孔質チューブ
が加熱層110の第1の管11(但し、炉体2との連結
端11Aを除く。)、第2の管12、第3の管13にセ
ラミックファイバの上から被せ付けられる。なお、これ
ら断熱材121、122で加熱層110の概ね1500
℃の高熱が100℃以下に断熱される。
【0014】耐火層130は、断熱層120の周囲に被
覆され、加熱層110から漏れて断熱層120からしみ
出された溶湯を遮断可能に形成されている。この耐火層
130は、耐火度、熱伝導度の高い耐火物により形成さ
れ、断熱層120の周囲さらにその両端に全体が直方体
状又は立方体状のブロックに形成して被せ付けられる。
この場合、耐火層130の上面に出湯口100の突出方
向に下方傾斜の樋131が形成され、その上部に加熱層
110の第2の管12の開口12Aが表出されるととも
に、耐火層130の先端面に第3の管13の開口13A
が表出され、また耐火層130の後端面(炉体2に対す
る接合面)から第1の管11の(炉体2との)連結端1
1Aが突出される。なお、この出湯口100の場合、樋
131の下端が耐火層130の先端面から突出形成され
ていて、下部の開口13Aに段差を付けて突出されてい
る。また耐火層130には冷却手段17が併設され、耐
火層130に水冷管が埋設されている。この水冷管に加
熱装置19の誘導加熱コイル190が利用され、水温が
常時監視されている。この点については後述する。この
耐火層130は冷却手段17により概ね30℃〜50℃
に冷却される。
【0015】また、この出湯口100においては、加熱
層110と耐火層130との間、すなわち断熱層120
の軟質の耐火断熱材121の層が、加熱層110と耐火
層130との間に蒸気が発生した場合にこの蒸気を排出
するための排蒸路103になっていて、耐火層130中
にこの排蒸路103と出湯口100外部とを連通する排
蒸路104が形成され、その外部排蒸口105が耐火層
130表面の上部に設けられている。なお、この排蒸路
103、104及び外部排蒸口105は必要に応じて単
数又は複数設けられる。また、ここでは特に図示してい
ないが、この排蒸手段で蒸気を検知した場合に出湯装置
10の出湯動作を停止する緊急停止装置が併せて設置さ
れる。また、加熱層110と炉体2内部との中間連結部
23の周囲に、この中間連結部23の溶湯を冷却する要
因を遮断するため、断熱手段が併せて設けられている。
ここで断熱手段に、断熱層120の硬質の断熱材122
が利用され、セラミックチューブの(出湯口100の接
合側に対応する)一端が外側方向に向けて垂直に延長さ
れて、溶湯を冷却する要因である耐火層130内に埋設
された冷却手段(水冷管)17と中間連結部23との間
に断熱隔壁123が形成されている。なお、この断熱隔
壁123は断熱層120とは別体に設けてもよい。
【0016】一方、加熱装置19は、既述のとおり、溶
湯を直接加熱するのではなく、加熱層110の第1、第
2、第3の管11、12、13自体を発熱させる間接誘
導加熱方式が採用されていて、加熱層110の第1の管
11(但し、炉体2との連結端11Aを除く。)、第2
の管12、第3の管13の周囲に断熱層120の上から
誘導加熱コイル190が巻装され、これらの誘導加熱コ
イル190が図示されない高周波電源に接続される。こ
れらの誘導加熱コイル190の通電により、第1、第
2、第3の管11、12、13が1350℃〜1600
℃に加熱される。また、この誘導加熱コイル190を構
成する導体には水冷銅管191が使用されている。この
水冷銅管191は、既述のとおり、耐火層130の冷却
手段17として埋設される水冷管として兼用される。こ
の水冷銅管191に図示されない水供給源が接続され
て、この水冷銅管191が破損した場合にその周囲の高
熱により発生する蒸気の圧力よりも低い圧力、ここでは
1kg/cm2の水圧で水が通されるようになっている。この
水冷銅管191にはまた、図示されない水温監視装置が
接続されて、この水冷銅管191内の水の温度が常時監
視されていて、予め設定した温度に達すると、水温の上
昇を知らせる警報を発するようになっている。
【0017】また、ここでは特に図示していないが、出
湯口100の樋131上にバーナ、ヒータ等の加熱装置
が併せて設置される。
【0018】なお、図1に示すように、灰溶融炉1に近
接して、灰溶融炉1全体を制御する制御盤14が設置さ
れていて、この制御盤14に加熱装置19を制御して第
1の出湯口101及び第2の出湯口102を加熱状態と
非加熱状態に選択的に切り換える操作部141が併せて
設けられている。この操作部141により、加熱装置1
9の動作モードが選択設定される。この動作モードには
第1の出湯口101、すなわち第1、第2の管11、1
2上に巻かれた各誘導加熱コイル190を連続的に加熱
する連続運転モード、間欠的に加熱する間欠運転モー
ド、加熱を停止する停止モード、また第2の出湯口10
2、すなわち第1、第3の管11、13上に巻かれた各
誘導加熱コイル190を連続的に加熱する連続運転モー
ド、間欠的に加熱する間欠運転モード、加熱を停止する
停止モードなどがある。
【0019】このようにして出湯口100は、図2に示
すように、第1の管11の連結端11Aが炉体2の周壁
20下部から貫装され、炉体2内部の炉底21に連通す
る中間連結部23に連結されて、炉体2側に接合されて
いる。この出湯口100の第1、第2の管11、12の
略L字形をなす部分に、第1の出湯口101の溶湯の流
路111が構成される。すなわち、この溶湯の流路11
1は、炉体2に連結され、略水平方向に配置された第1
の管11と、第1の管11に略垂直方向に向けて連接さ
れた第2の管12とにより、略L字形に形成され、炉体
2に連結された一端(連結端11A)に対して他端が上
方に配置されて、その所定の高さに開口12Aが設けら
れている。ここでいう所定の高さは、炉体2側の上層の
溶湯取出レベル(出滓口22レベル)に対して若干下が
った位置に設定されていて、図1に示すように、この所
定の高さをh3、炉体2内部の上層の溶湯6(溶融スラ
グ61)の比重をγ1、その層の厚さをh1、下層の溶
湯6(溶融メタル62)の比重をγ2、その層の厚さを
h2とした場合、次式から算出される。(γ1×h1)
+(γ2×h2)=γ2×h3この開口12Aは出湯口
100(耐火層130)上部の樋131において上部位
置に開放される。このようにして、炉体2側の上下各層
の溶湯6の比重及び各層の厚さに応じて炉体2内部の溶
湯6から下層の溶融メタル62を炉体2外部の第1の出
湯口101へ誘導し、漸次増加する溶融メタル62を連
続的に排出可能にしている。
【0020】また、図2に示すように、この出湯口10
0の第1、第3の管11、13の略直線形をなす部分
に、第2の出湯口102の溶湯の流路111が構成され
る。すなわち、この溶湯の流路111は、炉体2に連結
され、略水平方向に配置された第1の管11と、第1の
管11に略水平方向に向けて連接された第3の管13と
により、略直線形に形成され、炉体2に連結された一端
(連結端11A)と同じ高さに他端が配置されて、その
他端に開口13Aが設けられている。この開口13Aは
出湯口100(耐火層130)先端面において略中心部
又はその近傍に開放される。このようにして炉体2内部
の溶湯6を炉体2外部の第2の出湯口102へ誘導し、
その全量を排出可能にしている。また、第1、第3の管
11、13の全長に所定の長さが設定され、第1、第3
の管11、13を加熱しない状態で、炉体2内部から第
1の管11へ誘導された溶湯が第3の管13の開口13
Aに達する前に固化可能になっている。なお、第1、第
3の管11、13の全長に所定の長さを設定するのに代
えて、第3の管13の内径に第1の管11の内径と異な
る小さい寸法を設定することにより、同じ機能を持たせ
てもよい。また、第2の出湯口102は炉体2内部の溶
湯を全量出湯する場合に使用されるため、通常、開口1
3Aにモルタルが詰められて閉止される。
【0021】また、この出湯装置10には、安全性の向
上を図るため、図3に示すように、蓋部材15とその駆
動機構、さらに補助装置として開口装置18が併設され
ている。蓋部材15は第2の出湯口102の開口13A
に詰めるモルタルに代えて使用されるもので、耐火物に
より形成され、第2の出湯口102の開口13Aを開閉
可能な栓構造になっている。その駆動機構は、ここでは
特に図示していないが、蓋部材15を保持して進退駆動
する手段と蓋部材15を旋回駆動する手段とを具備し、
蓋部材15が第2の出湯口102の開口13Aに抜き差
し可能に、さらに第2の出湯口102の開口13Aに対
向する位置と第2の出湯口102から離れた位置(溶湯
の排出に邪魔にならない位置)との間を移動可能に構成
されている。また、開口装置18は、第3の管13内に
挿通可能な突き棒181とこれを進退駆動する駆動機構
(例えばシリンダ)182とを具備し、第2の出湯口1
02の開口13Aに詰められたモルタル又は開口13A
付近に生じたメタルの固化層などを突き破り、除去可能
になっている。
【0022】なお、図1において、7は焼却灰供給装置
であり、灰溶融炉1の近傍に設置され、その供給口71
が炉体2の天壁5又は周壁20に連結されている。この
焼却灰供給装置7により一定量の焼却灰が炉体2内に連
続投入可能である。また、特に図示していないが、炉体
2の周囲で、出湯装置10の開口12A、13Aの下方
に溶湯排出設備が設置されていて、第1の出湯口10
1、第2の出湯口102から排出された溶湯6が処理さ
れるようになっている。この場合、加熱層110の第3
の管13(出湯端側の一定の範囲)の内径は、加熱層1
10の第1の管11(入湯端側)の内径よりも小さく設
定されていることにより、第2の出湯口102が溶湯処
理設備に有効に適合される。
【0023】次に、この灰溶融炉1の出湯方式について
図1を用いて、また必要に応じて図2、図3を参照しな
がら説明する。なお、この灰溶融炉1の場合、3日に1
度の割合で、溶融メタル62を出湯する。これは、加熱
装置19を連続運転にすると、出湯口100の加熱層1
10が常時加熱されて脱炭が促進され、また電力消費量
が増大するので、出湯の都度加熱することが望ましく、
加熱装置19に間欠運転モードを設定したものである。
【0024】図1において、制御盤14の制御に基い
て、灰溶融炉1が運転される。焼却灰供給装置7から焼
却灰が連続的に炉体2内部に投入されると、焼却灰は徐
々に加熱溶融されて、その溶湯6が上層の溶融スラグ6
1と下層の溶融メタル62とに分離されながら炉体2内
部に貯えられ、湯面を徐々に上昇していく。溶湯6の湯
面が出滓口22まで上がり、オーバーフローすると、上
層の溶湯6、すなわち溶融スラグ61が出滓口22から
連続滴下により取り出されていく。一方、この焼却灰の
連続溶融とともに、溶融メタル62が出湯装置10の第
1の出湯口101(第1の管11、第2の管12)へ誘
導されていく。
【0025】加熱装置19に間欠運転モードが設定され
ている場合、炉体2内部に溶融メタル62が十分に溜ま
り、例えば図1中、h2付近まで上昇しても、第1、第
2、第3の管11、12、13上の各誘導加熱コイル1
90は通電されず、第1、第2、第3の管11、12、
13は加熱されない。炉体2内部の溶融メタル62は第
1の管11へ流入するが、第1、第2、第3の管11、
12、13が冷却されているので、溶融メタル62は第
1の管11の中で固化し、第1の出湯口101の上部開
口12Aまで達しない。このため、炉体2内部の溶融メ
タル62の層の高さは図1中、h2を超え、さらに累積
的に増加していく。この灰溶融炉1の場合、例えば溶融
メタル62の層が予め設定された厚さ(溶融メタル62
の湯面制限レベル)h4に達し、溶融スラグ61の層が
予め設定された所定の厚さ(溶融スラグ61の最小限必
要な厚さ)まで減少した時点で、第1、第2の管11、
12上の各誘導加熱コイル190が通電される。ここ
で、樋131上の加熱装置もまたオンされる。第1、第
2の管11、12が加熱されると、第1の出湯口101
内に固化された溶融メタル62が流動化されるととも
に、炉体2内部最下部から溶融メタル62が第1の出湯
口101へ誘導される。この場合、加熱層110と炉体
2内部との中間連結部23は加熱層110の内径より大
きく形成されているので、この中間連結部23の溶湯に
対する加熱層110側及び炉体2側の熱の伝導効率が高
められ、この中間連結部23で溶湯の流動化が促進され
る。また、この中間連結部23の周囲には、断熱層12
0を延長して、この中間連結部23の溶湯を冷却する要
因をなす冷却手段17を遮断する断熱隔壁123が設け
られていて、冷却手段17による中間連結部23の溶湯
の冷却が防止され、この溶湯の流動化が確実に促進され
る。溶融メタル62は第1、第2の管11、12内に固
化することなしに、第1の出湯口101の上部開口12
Aまで導かれ、オーバーフローにより連続して排出され
るとともに、樋131上を加熱装置により加熱されなが
ら流されて、その下方の溶湯排出設備に入れられる。こ
のとき、炉体2内部の溶融メタル62は一度に、図1
中、h4−h6の範囲が排出されて、炉体2内部の溶融
メタル62の層が減量調整され、溶融スラグ61の層の
厚さh5が維持されながら、溶湯6全体の湯面が出滓口
22の下方に下げられる。なお、この場合、溶湯排出設
備に導かれる溶融メタル62には灰溶融炉1の運転開始
時のみ、一時的に溶融スラグ61が混入されるが、炉体
2内部の上層の溶融スラグ61が第1の出湯口101
(の連結端11A)の上まで上がれば、それ以降、第1
の出湯口101の上部開口12Aから溶融スラグ61の
混入のない溶融メタル62のみが連続して排出され、溶
湯排出設備には溶融メタル62のみが入れられていく。
この溶融メタル62の排出時点で第1、第2の管11、
12上の各誘導加熱コイル190の通電が止められ、炉
体2内部の溶融メタル62の流出が停止される。なお、
ここで樋131上の加熱装置もまたオフされる。このよ
うな工程が繰り返され、一回の工程ごとに炉体2内部に
累積的に増加された溶融メタル62が一度にまとめて排
出され、溶融メタル62及び溶融スラグ61の各層が被
溶融物の溶融に適した量と割合に調整される。なお、こ
の間欠運転の間、図2に示すように、加熱層110の高
熱は断熱層120で遮断されていて、出湯口100表面
の耐火層130に高熱が伝導されることがなく、また、
加熱層110の周囲に巻装される誘導加熱コイル190
が水冷銅管191により形成され、耐火層130の中に
埋設されて、耐火層130が冷却されているので、出湯
装置10周囲の作業環境に高度の安全性が確保される。
また、加熱層110の加熱、冷却の繰り返しにより加熱
層110の膨張、収縮が繰り返されるが、この膨張、収
縮は、断熱層120の軟質の耐火断熱材(セラミックフ
ァイバ)121で吸収される。
【0026】また、第1の出湯口101から溶融メタル
62を排出する間、第3の管13上の誘導加熱コイル1
90は通電せず、冷却された状態になっている。このた
め、溶融メタル62は第3の管13へ流入するが、第3
の管13の中で急激な温度低下が発生し、冷却固結され
る。
【0027】また、灰溶融炉1に投入した焼却灰に金属
類を多く含む場合、加熱装置19を連続運転モードに切
り換えて、第1の出湯口101を連続的に加熱すること
により、溶融メタル62を増加するごとに排出すること
ができる。この連続運転モードの場合、灰溶融炉1の運
転開始前又は運転開始と同時に、第1、第2の管11、
12上に巻かれた各誘導加熱コイル190に加熱電流が
流されて、第1の出湯口101の加熱層110は溶湯6
の高熱と略同じ温度(1350℃〜1600℃)に加熱
維持される。併せて樋131上の加熱装置が加熱され
る。なお、この連続運転の間でも、図2に示すように、
加熱層110の高熱は断熱層120で遮断されていて、
出湯口100表面の耐火層130に高熱が伝導されるこ
とがなく、また、加熱層110の周囲に巻装される誘導
加熱コイル190が水冷銅管191により形成され、耐
火層130の中に埋設されて、耐火層130が冷却され
ているので、出湯装置10周囲の作業環境に高度の安全
性が確保される。
【0028】図2において、第1の出湯口101の加熱
層110の加熱により、第1、第2の管11、12内の
溶湯の有無に拘わらず、炉体2内部から溶融メタル62
が第1の出湯口101へ誘導される。この場合、加熱層
110と炉体2内部との中間連結部23は加熱層110
の内径より大きく形成されているので、この中間連結部
23の溶湯に対する加熱層110側及び炉体2側の熱の
伝導効率が高められ、この中間連結部23で溶湯の流動
化が促進される。また、この中間連結部23の周囲に
は、断熱層120を延長して、この中間連結部23の溶
湯を冷却する要因をなす冷却手段17を遮断する断熱隔
壁123が設けられていて、冷却手段17による中間連
結部23の溶湯の冷却が防止され、この溶湯の流動化が
確実に促進される。このようにして溶融メタル62は第
1、第2の管11、12内に固化することなしに、確実
に進入していく。
【0029】図1において、炉体2内部で溶融メタル6
2層が漸次増加し、そのレベルが上昇していくととも
に、炉体2内部から下層の溶融メタル62が第1の出湯
口101の第1の管11へ漸次流入し、第2の管12を
上昇していく。炉体2内部で溶湯6の湯面が出滓口22
レベルに上がり、第2の管12の溶融メタル62が開口
12Aレベルに達して、両者が均衡する。引き続き炉体
2内部で溶融メタル62が増加されると、これに応じて
第1の出湯口101の第2の管12(開口12A)から
溶融メタル62が排出され、樋131上を加熱装置に加
熱されながら流されるとともに樋131の下端から連続
的に滴下され、その下方の溶湯排出設備に入れられる。
これにより炉体2内部の溶融メタル62の層が減量調整
される。この場合、溶湯排出設備に導かれる溶融メタル
62には灰溶融炉1の運転開始時のみ、一時的に溶融ス
ラグ61が混入されるが、炉体2内部の上層の溶融スラ
グ61が第1の出湯口101(の連結端11A)の上ま
で上がれば、それ以降、第1の出湯口101の上部開口
12Aから溶融スラグ61の混入のない溶融メタル62
のみが連続して排出され、溶湯排出設備には溶融メタル
62のみが入れられていく。
【0030】なお、この加熱装置19の連続運転の場合
でも、炉体2内部に溶湯が十分に溜まるまで、加熱装置
19に通電せず(つまり第1の出湯口101を加熱せ
ず)、溶融メタル62が第1の出湯口101の上部開口
12Aよりも少し低い位置、例えば図1中、h2付近ま
で上昇したところで、加熱装置19を通電してもよい。
このようにして第1、第2の管11、12が加熱される
と、溶融メタル62が炉体2内部の最下部より第1の出
湯口101の上部開口12Aまで導かれ、炉体2内部の
溶融メタル62の溶融増加とともに、上部開口12Aか
ら排出され、樋131上を流れて、その下端から連続的
に滴下される。
【0031】また、第1の出湯口101から溶融メタル
62を排出する間、第3の管13上の誘導加熱コイル1
90は通電せず、冷却された状態になっている。このた
め、溶融メタル62は第3の管13へ流入するが、第3
の管13の中で急激な温度低下が発生し、冷却固結され
る。
【0032】この灰溶融炉1では、概ね6箇月に1度の
割合で、炉底21に用いている耐火物の点検や補修を行
うなど灰溶融炉1のメンテナンスを実施するため、炉体
2から全量の溶湯6が排出される。この場合、まず第
1、第2、第3の管11、12、13上の誘導加熱コイ
ル190が通電され、第1、第2、第3の管11、1
2、13が加熱されて、これらの管11、12、13の
中の溶融メタル62が流動化される。次いで、図3にお
いて開口装置18が作動され、第2の出湯口102先端
の開口13Aに突き棒181がその駆動機構182によ
り第3の管13内へ挿入され、開口13Aに詰められた
モルタル、さらに開口13A付近に固化したメタルがあ
ればこのメタルも併せて突き破られる。突き棒181が
抜き外されると、第2の出湯口102が開口され、この
第2の出湯口102を通じ、第1、第2、第3の管1
1、12、13内の溶湯に続いて、炉体2内部の全量の
溶湯6が固化することなしに、円滑に排出される。
【0033】なお、第2の出湯口102先端の開口13
Aに蓋部材15が差し込まれている場合は、蓋部材15
がその駆動機構により抜き取られ、その開口13Aが開
かれる。この場合、第2の出湯口102に差し込まれた
蓋部材15により開口13A付近に固化したメタルが溶
融しない場合、蓋部材15が抜き取られた後、開口装置
18により固化したメタルが突き破られて開通され、溶
湯6が排出される。
【0034】図2において、この出湯装置10では、上
記出湯方式から、出湯口100の加熱層110が繰り返
し溶湯6の高熱に晒されるため、加熱層110の劣化に
より、又は加熱装置19の間欠運転で、溶融メタルの溶
融、固化が繰り返され、この溶融メタルと加熱層110
との熱膨張係数の違いにより、加熱層110にクラック
が入って、このクラックを通じて溶湯が漏れ出すような
場合でも、出湯口100の多層構造によりその機能を維
持され、出湯に差し支えることがない。すなわち、加熱
層110から溶湯が漏れ出しても、この溶湯はまず断熱
層120で阻止され、この断熱層120で溶湯の漏出を
止めることができないときは、溶湯は耐火層130で確
実に遮断され、溶湯が出湯口100の外部に漏れ出すこ
とがない。この場合、加熱層110から漏れ出した溶湯
は、断熱層120の軟質の耐火断熱材(セラミックファ
イバ)121からしみ出され、これが硬質の断熱材(セ
ラミック多孔質チューブ)122で阻止される。また、
耐火層130は熱伝導度が高く、この耐火層130に埋
設された加熱装置19の誘導加熱コイル(水冷銅管)1
90により冷却されていて、加熱層110から漏れ出し
た溶湯が断熱層120で阻止できないときでも、この溶
湯は耐火層130で確実に遮断され、さらに冷却により
凝固される。このようにして加熱層110内の溶湯の流
路111は断熱層120、耐火層130により保護さ
れ、引き続き上記出湯方式により溶湯が出湯される。
【0035】また、出湯口100には、この耐火層13
0の冷却手段17、すなわち誘導加熱コイル190に、
この水冷銅管191が破損した場合にその周囲の高熱に
より発生する蒸気の圧力よりも低い水圧で水が通されて
いて、加熱層110から溶湯が漏れ出し、さらに水冷銅
管191が破損して水漏れを起こした場合でも、この水
は加熱層110周囲の高熱により高圧の蒸気になり、こ
の圧力で水冷銅管191から水の漏出が防止される。
【0036】また、加熱層110と耐火層130との間
に蒸気が発生した場合、この蒸気は、断熱層120の軟
質の耐火断熱材121に形成された排蒸路103、耐火
層130の排蒸路104、外部排蒸口105を通じて出
湯口100の外部に排出され、出湯口100内部が減圧
調整される。さらに、この排蒸手段で蒸気の排出が検知
されると緊急停止装置により出湯動作が停止される。
【0037】このように上記第1の実施の形態によれ
ば、炉体2の出滓口22と別に、炉体2外部に略L字形
に形成して、炉体2側の上下各層の溶湯6の比重及び各
層の厚さに応じて炉体2内部の溶湯6から下層の溶湯6
を炉体2外部に誘導し、排出する第1の出湯口101を
設けるとともに、この出湯口101を加熱する加熱装置
19を設け、灰溶融炉1の運転中、溶融スラグ61を出
滓口22から取り出す間、炉体2内部で漸次増加する溶
融メタル62を加熱装置19の間欠運転又は連続運転に
より加熱して、溶融メタルを累積的に増加させるごとに
又は溶融メタル62が増加するごとに排出するようにし
ているので、炉体2内部の溶融メタル62の量を調整し
て、溶融メタル62上層に一定量の溶融スラグ61を保
持することができる。
【0038】また、この灰溶融炉1に投入した焼却灰に
金属類の含有量が少ない場合は、加熱装置19の間欠運
転により、第1の出湯口101を間欠的に加熱すること
により、溶融メタル62を累積的に増加させて排出する
ことができ、溶融メタル62を確実かつ円滑に、さらに
効率的に排出することができる。しかも、この間欠運転
の場合、加熱装置19が間欠的に通電されるので、連続
運転に比べて消費電力が大幅に少なく、さらに第1、第
2の管11、12が高熱に長時間に亘って晒されること
がないので、第1、第2の管11、12の脱炭を抑えて
その寿命を伸長することができ、全体としてコストの低
減を図ることができる。反対に、焼却灰に金属類を多く
含む場合は、加熱装置19の連続運転により、第1の出
湯口101を連続的に加熱することにより、溶融メタル
62を増加するごとに連続的に排出して、溶融メタル6
2を確実かつ円滑に、さらに効率的に排出することがで
きる。また、加熱装置19の間欠運転でも連続運転で
も、第1の出湯口101を加熱して溶湯6を加熱するの
で、第1の出湯口101の溶湯6を有効に流動化するこ
とができ、漸次増加する下層の溶融メタル62を確実か
つ円滑に、さらに効率的に排出することができる。
【0039】また、炉体2外部に略直線形に形成して、
炉体2側の溶湯6を誘導、排出する第2の出湯口102
を設けるとともに、この出湯口102を加熱する加熱装
置19を設け、第2の出湯口102を加熱することによ
り、第2の出湯口102内の溶湯6を流動化するように
しているので、第2の出湯口102を自動開通して炉体
2内部の全量の溶湯6を確実かつ円滑に、さらに効率的
に排出することができる。この第2の出湯口102によ
れば、炉底21の点検、補修など灰溶融炉1のメンテナ
ンスを行う場合に、炉体2内部の全量の溶湯6を短時間
に排出することができる。さらに、この第2の出湯口1
02を非加熱にすることにより冷却して、第2の出湯口
102内の溶湯6を積極的に固化させるようにしている
ので、第2の出湯口102を溶湯6の固結物で閉止する
ことができる。したがって、耐火物の特別な閉止部材を
不要とすることができ、コストの低減を図ることができ
る。またさらに、この第2の出湯口102の自動開閉に
より、溶湯6の出湯途中に出湯を中断することができ、
溶融メタル62を必要な量だけ取り出すこともできる。
【0040】また、出湯装置10に突き棒181とその
駆動機構182とを併設しているので、第2の出湯口1
02を開放する場合に、この出湯口102内部にメタル
の固化層など溶湯の固結物があっても、これを突き棒1
81で突き破り、第2の出湯口102を有効に穿通する
ことができ、全量の溶湯6を確実に排出することができ
る。また、この第2の出湯口102の場合、先端の開口
13Aを蓋部材15で開閉可能に閉塞することにより、
安全性の向上を図ることができる。
【0041】また、第1の出湯口101と第2の出湯口
102とを一体的に構成しているので、部品点数を減少
してコストの低減を図ることができるとともに、出湯に
際し、炉体2内部から第2の出湯口102を通じて抜き
出された溶湯6を炉体2外部において第1の出湯口10
1と共通の位置で排出処理することができ、溶湯6を効
率的に排出することができる。
【0042】また、上記第1の実施の形態においては、
出湯口100を、溶湯の流路111を有し、溶湯を加熱
する加熱層110と、加熱層110の周囲を被覆して、
加熱層110の熱を遮断可能な断熱層120と、断熱層
120の周囲を被覆して、溶湯を遮断可能な耐火層13
0とを備え、炉体2内部の溶湯を出湯する場合、加熱層
110で炉体2内部の溶湯を加熱しながら誘導するの
で、溶湯を出湯口100の途中で固化することなしに、
確実に出湯することができ、この場合、加熱層110の
熱を断熱層120で遮断するので、出湯口100表面の
耐火層130に加熱層110の高熱を伝導することがな
く、灰溶融炉1周囲の作業環境に高度の安全性を確保す
ることができる。また、加熱層110は繰り返し溶湯の
高熱に晒されるため、加熱層110の劣化により、又は
加熱装置19の間欠運転で、溶融メタルの溶融、固化が
繰り返され、この溶融メタルと加熱層110との熱膨張
係数の違いにより、加熱層110にクラックが入り、こ
のクラックを通じて溶湯の漏出が発生した場合でも、溶
湯をまず断熱層120の硬質の断熱材(セラミック多孔
質チューブ)122で阻止し、この断熱層120で溶湯
の漏出を止めることができないときでも溶湯を耐火層1
30で確実に遮断することができ、溶湯を出湯口100
の外部に漏れ出すことがない。したがって、出湯に支障
をきたすことなしに、出湯を確実かつ安全に行うことが
できる。
【0043】また、加熱装置19に、間接誘導加熱方式
を採用し、加熱層110を、黒鉛などの導電性材料を添
加された耐火物により形成するとともに、この加熱層1
10の周囲に誘導加熱コイル190を巻装し、誘導加熱
コイル190を高周波電源により通電して、加熱層11
0を加熱し、この加熱層110で炉体2内部の溶湯を加
熱しながら誘導するので、溶湯を出湯口100の途中で
固化することなしに、確実に出湯することができる。ま
た、この加熱装置19では、誘導加熱コイル190を、
水冷銅管191により形成し、耐火層130の中に埋設
しているので、出湯装置10周囲の作業環境に高度の安
全性を確保することができる。
【0044】また、断熱層120を、加熱層110の周
囲を覆う軟質の耐火断熱材(セラミックファイバ)12
1と、この軟質の耐火断熱材121を覆う硬質の断熱材
(セラミック多孔質チューブ)122とにより形成して
いるので、軟質の耐火断熱材121で加熱層110の加
熱・冷却による膨張、収縮を吸収することができ、また
この加熱層110の膨張、収縮により加熱層110にク
ラックが入り、溶湯が漏れ出すような場合でも、硬質の
断熱材122で溶湯の漏出を阻止することができる。
【0045】また、耐火層130を、熱伝導度の高い耐
火物により形成しているので、加熱層110の劣化等に
より溶湯が漏れ出した場合に、これを断熱層120で阻
止できないときでもこの溶湯の漏出を耐火層130で確
実に遮断することができ、溶湯を出湯口110の外部に
漏れ出すのを確実に防止することができる。さらに、耐
火層130に、冷却手段17を埋設しているので、この
冷却手段17により冷却された耐火層130で溶湯を冷
却、凝固させることができる。この場合、冷却手段17
に加熱装置19の誘導加熱コイル(水冷銅管)190を
利用して、同一の水冷銅管191で、加熱層110の加
熱と耐火層130の冷却とを併せて行うので、装置構成
を簡素化してコストの低減を図ることができる。また、
誘導加熱コイル190の水冷銅管191には、水温監視
装置が接続されて、常時水温が監視されていて、予め設
定した温度に達すると、水温の上昇を知らせる警報を発
するようになっているが、この水冷銅管191が破損し
た場合にその周囲の高熱により発生する蒸気の圧力より
も低い圧力で水を通すようにしているので、加熱層11
0の劣化等により溶湯が漏れ出し、さらに水冷銅管19
1が破損して水漏れを起こした場合でも、この水を加熱
層110周囲の高熱により高圧の蒸気にして、この圧力
で水冷銅管191から漏水を防止することができる。
【0046】また、加熱層110と耐火層130との間
に排蒸路103、104、外部排蒸口105を備え、こ
の両層間に蒸気が発生した場合にこの蒸気を出湯口10
0外部に排出するようにしているので、加熱層110と
耐火層130との間に蒸気が発生した場合に、出湯口1
00内部を減圧調整することができる。またさらに、こ
の排蒸手段からの蒸気の排出を検知して、出湯動作を停
止する緊急停止装置を併設しているので、出湯口100
内部に蒸気が発生した場合に、出湯動作を停止すること
ができ、安全性を充分に確保することができる。
【0047】また、加熱層110の出湯端側の一定の範
囲を、加熱層110の入湯端側の内径よりも小さく形成
しているので、出湯口100の出湯端を溶湯処理設備に
適合させることができる。また、加熱層110と炉体2
内部との中間連結部23を加熱層110の内径より大き
く形成しているので、この中間連結部23の溶湯に加熱
層110側及び炉体2側の熱の伝導効率を高めて、溶湯
の流動化を促進することができる。さらに、この中間連
結部23の周囲に、断熱層120を延長して、この中間
連結部23の溶湯を冷却する要因を遮断する断熱隔壁1
23を設けているので、中間連結部23の溶湯の冷却を
防止して、溶湯の流動化を確実に促進することができ
る。
【0048】なお、第1の実施の形態では、出湯口10
0上部に樋131と加熱装置を設け、第1の出湯口10
1から出湯された溶湯を加熱しながら流し出すようにし
ているが、この樋131に代えて、この部分に第1の出
湯口101を延長し、誘導加熱コイル190で加熱する
ようにしてもよく、このようにしても同様の作用効果を
奏することができる。
【0049】(実施の形態2)図4は本発明の第2の実
施の形態における灰溶融炉に備えた出湯装置の要部拡大
断面図である。第1の実施の形態では、第1の出湯口1
01と第2の出湯口102とを一体化しているが、第2
の実施の形態においては、第1の出湯口101と第2の
出湯口102とをそれぞれ、別体の加熱層110、断熱
層120により形成して、これら出湯口101、102
を共通の耐火層130で保護している。すなわち、第
1、第2の出湯口101、102は、溶湯の流路111
を有し、溶湯を加熱する加熱層110と、加熱層110
の周囲に被覆され、加熱層110の熱を遮断可能な断熱
層120とにより2層構造の筒状に形成され、その断熱
層120の周囲に誘導加熱コイル190が巻装されてい
る。このようにして第1、第2の出湯口110、120
は各々異なる向きに傾斜した状態で、さらにその周囲及
び両端に耐火層130がブロック状に形成して被せ付け
られる。この場合、第1の出湯口101は水平方向に対
してその出湯端を上方に向けて所定の角度に傾斜され、
第2の出湯口102は水平方向に対してその出湯端を下
方に向けて所定の角度に傾斜され、各出湯口101、1
02の連結端11Aが耐火層130の炉体2に対する接
合面から突出される。なお、第1の出湯口101の所定
の角度の傾斜により、出湯端の高さは、炉体2側の上層
の溶湯取出レベル(出滓口22レベル)に対して若干下
がった位置に設定され、第1の実施の形態と同様に、こ
の高さをh3、炉体2内部の上層の溶湯6(溶融スラグ
61)の比重をγ1、その層の厚さをh1、下層の溶湯
6(溶融メタル62)の比重をγ2、その層の厚さをh
2とした場合、次式から算出される。 (γ1×h1)+(γ2×h2)=γ2×h3 また、第2の出湯口102の所定の角度の傾斜により、
その出湯端の高さは、第2の出湯口102から炉体2内
部の溶湯が全量出湯可能に、炉底21から適宜下がった
所定の位置に設定される。
【0050】このように、第2の実施の形態では、第
1、第2の出湯口101、102の溶湯の流路111を
分けている点が異なるだけで、基本的な構成は第1の実
施の形態と同様である。このようにしても、第1の実施
の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0051】また、第1、第2の出湯口101、102
を完全に分割して、それぞれを加熱層110、断熱層1
20、耐火層130の3層構造にして形成してもよく、
このように変更しても第1の実施の形態と同様の作用効
果を奏することができる。
【0052】なお、第1、第2の実施の形態において
は、炉体2(1基)に第1、第2の出湯口101、10
2を有する出湯口100を1つ設けているが、炉体2
(1基)に出湯口100又は加熱装置19を含む出湯装
置10を2つ以上備えてもよい。この場合、出湯口10
0は、第1、第2の出湯口101、102が一体に形成
されていても別体に形成されていてもいずれでもよく、
さらに第1、第2の出湯口101、102のいずれか一
方のみでもよい。このようにして2つ以上の出湯口10
0を同時使用することにより、出湯量を調整することが
でき、必要な量の溶湯をさらに効率良く出湯することが
できる。また出湯速度が上がるので、全量の出湯をさら
に迅速に行うことができる。また、2つ以上の出湯口1
00を同時使用するのではなく、そのうち1つの出湯口
100を常時使用として、他の出湯口100を、常時使
用の出湯口100が劣化した場合など必要に応じて予備
的に使用することができる。
【0053】また、複数の出湯口100を備える場合、
全部又は一部の出湯口を、(出湯端の)開口に異なる径
を設定したり、全体の大きさを種々に変えたりして溶湯
の出湯量が異なるように形成してもよい。このようにし
て、通常は出湯量の多い又は少ない出湯口を使用し、必
要に応じて出湯量の少ない又は多い出湯口に替えて、あ
るいはこれらの出湯口を併せて使用することにより、出
湯量を種々に調整することができ、必要な量の溶湯をさ
らに効率的に出湯することができる。なお、複数の出湯
口の全部又は一部に、溶湯の出湯量の同じ出湯口を用い
てもよく、この場合でも、各出湯口を選択的に組み合わ
せて使用することにより、溶湯の出湯量を種々に変更す
ることができ、必要な量の溶湯を効率的に出湯すること
ができる。
【0054】また、定置式あるいは傾動式の灰溶融炉に
備える既存の出湯方式に加えて、第1の出湯口101又
は第2の出湯口102を選択的に設けることができ、第
1の出湯口101又は第2の出湯口102と同様の作用
効果を得ることができる。また、第1の出湯口101又
は第2の出湯口102又はこれらを一体化した出湯装置
10(以下、出湯装置10等と省略する。)と炉体2と
の連結位置を、炉体2の周壁20下部又は底壁から任意
に選定することができ、出湯装置10等を灰溶融炉の周
辺機器に干渉することなしに備えることができる。出湯
装置10等を炉体2の底壁に設ける場合は、略L字形又
は略直線形をなす管体の一部が適宜変形される。
【0055】
【発明の効果】本発明は、上記各実施の形態から明らか
なように、出湯口が、溶湯の流路を有し、溶湯を加熱す
る加熱層と、加熱層の周囲に被覆され、加熱層の熱を遮
断可能な断熱層と、断熱層の周囲に被覆され、溶湯を遮
断可能な耐火層とにより形成されているので、炉体内部
の溶湯を出湯する場合、加熱層で炉体内部の溶湯を加熱
しながら誘導し、溶湯を出湯口の途中で固化することな
しに、確実に出湯することができ、この場合、加熱層の
高熱が断熱層で遮断されることにより、出湯口表面の耐
火層に高熱が伝導されることがなく、溶融炉周囲の作業
環境に高度の安全性を確保することができる。また、加
熱層は繰り返し溶湯の高熱に晒されるため、その劣化に
より、又は加熱手段で溶融メタルの溶融、固化が繰り返
され、この溶融メタルと加熱層との熱膨張係数の違いに
より、加熱層にクラックが入り、このクラックを通じて
溶湯が漏れ出すような場合でも、これをまず断熱層で阻
止し、この断熱層で溶湯の漏出を止めることができない
ときでもこれを耐火層で確実に遮断することができる。
したがって、溶湯を出湯口の外部に漏れ出すのを確実に
防止することができ、出湯に支障をきたすことなしに出
湯を確実かつ安全に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における溶融炉及び
その出湯装置の断面図
【図2】同出湯装置の拡大断面図
【図3】同出湯装置に備えた蓋部材及び開口装置の側面
【図4】本発明の第2の実施の形態における溶融炉の出
湯装置の拡大断面図
【符号の説明】
1 灰溶融炉 2 炉体 20 周壁 21 炉底 22 出滓口 23 中間連結部 3 電極(負極側) 4 電極(正極側) 5 天壁 6 溶湯 61 溶融スラグ 62 溶融メタル 7 焼却灰供給装置 71 供給口 10 出湯装置 100 出湯口 101 第1の出湯口 102 第2の出湯口 103 排蒸路 104 排蒸路 105 外部排蒸口 110 加熱層 111 溶湯の流路 120 断熱層 121 軟質の耐火断熱材(セラミックファイバー) 122 硬質の断熱材(セラミック多孔質チューブ) 123 断熱隔壁 130 耐火層 131 樋 11 第1の管 11A 連結端 12 第2の管 12A 開口 13 第3の管 13A 開口 14 制御盤 141 操作部 15 蓋部材 17 冷却手段(水冷管) 18 開口装置 181 突き棒 182 駆動機構 19 加熱装置 190 誘導加熱コイル 191 水冷銅管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 町田 敬信 東京都港区西新橋1丁目18番17号 日精株 式会社内 (72)発明者 山下 繁昭 東京都千代田区内幸町2丁目2番3号 川 崎製鉄株式会社内 Fターム(参考) 3K059 AA08 AA10 AB07 AB09 3K061 NB02 NB07 NB27 NB28 4K045 AA04 BA07 GA12 GD04 4K055 AA03 JA09 JA17

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被溶融物を加熱溶融する炉体に貫装さ
    れ、炉体内部の溶湯を出湯する出湯口と、出湯口内の溶
    湯を加熱する加熱手段とを備え、炉体内部の溶湯を誘導
    し、出湯する溶融炉の出湯装置において、 出湯口は、 溶湯の流路を有し、溶湯を加熱する加熱層と、 加熱層の周囲に被覆され、加熱層の熱を遮断可能な断熱
    層と、 断熱層の周囲に被覆され、溶湯を遮断可能な耐火層とを
    備えたことを特徴とする溶融炉の出湯装置。
  2. 【請求項2】 加熱手段に、間接誘導加熱方式が採用さ
    れる請求項1に記載の溶融炉の出湯装置。
  3. 【請求項3】 加熱手段に、加熱層の周囲に断熱層の上
    から巻装される誘導加熱コイルと、誘導加熱コイルに通
    電する高周波電源とを備える請求項2に記載の溶融炉の
    出湯装置。
  4. 【請求項4】 誘導加熱コイルは、水冷管により形成さ
    れる請求項3に記載の溶融炉の出湯装置。
  5. 【請求項5】 誘導加熱コイルは、耐火層の中に埋設さ
    れる請求項3又は4に記載の溶融炉の出湯装置。
  6. 【請求項6】 加熱層は、導電性材料を添加された耐火
    物により形成される請求項2乃至5のいずれかに記載の
    溶融炉の出湯装置。
  7. 【請求項7】 加熱層は、黒鉛を添加された耐火物によ
    り形成される請求項2乃至5のいずれかに記載の溶融炉
    の出湯装置。
  8. 【請求項8】 断熱層は、加熱層の周囲を覆う軟質の耐
    火断熱材と、この軟質の耐火断熱材を覆う硬質の断熱材
    とにより形成される請求項2乃至7のいずれかに記載の
    溶融炉の出湯装置。
  9. 【請求項9】 軟質の耐火断熱材に、セラミックファイ
    バが用いられる請求項8に記載の溶融炉の出湯装置。
  10. 【請求項10】 硬質の断熱材に、セラミックチューブ
    が用いられる請求項8又は9に記載の溶融炉の出湯装
    置。
  11. 【請求項11】 耐火層は、熱伝導度の高い耐火物によ
    り形成される請求項2乃至10のいずれかに記載の溶融
    炉の出湯装置。
  12. 【請求項12】 耐火層に、冷却手段が併設される請求
    項11に記載の溶融炉の出湯装置。
  13. 【請求項13】 冷却手段は、水冷管により形成されて
    耐火層の中に埋設される請求項12に記載の溶融炉の出
    湯装置。
  14. 【請求項14】 水冷管に、水冷管が破損した場合にそ
    の周囲の高熱により発生する蒸気の圧力よりも低い水圧
    で水が通される請求項13に記載の溶融炉の出湯装置。
  15. 【請求項15】 水冷管と加熱手段の誘導加熱コイルが
    兼用される請求項13又は14に記載の溶融炉の出湯装
    置。
  16. 【請求項16】 加熱層と耐火層との間に、この両層間
    に蒸気が発生した場合にこの蒸気を出湯口外部に排出す
    る排蒸手段を備える請求項1乃至15のいずれかに記載
    の溶融炉の出湯装置。
  17. 【請求項17】 排蒸手段からの蒸気の排出を検知し
    て、出湯動作を停止する緊急停止手段を備える請求項1
    6に記載の溶融炉の出湯装置。
  18. 【請求項18】 加熱層の出湯端側の一定の範囲は、加
    熱層の入湯端側の内径よりも小さく形成される請求項1
    乃至17のいずれかに記載の溶融炉の出湯装置。
  19. 【請求項19】 加熱層と炉体内部との中間連結部は、
    加熱層の内径より大きく形成される請求項1乃至18の
    いずれかに記載の溶融炉の出湯装置。
  20. 【請求項20】 加熱層と炉体内部との中間連結部の周
    囲に、この中間連結部の溶湯を冷却する要因を遮断する
    断熱手段を備える請求項1乃至19のいずれかに記載の
    溶融炉の出湯装置。
  21. 【請求項21】 断熱手段は、断熱層を延長して形成さ
    れる請求項20に記載の溶融炉の出湯装置。
  22. 【請求項22】 炉体に複数の出湯口を備える請求項1
    乃至21のいずれかに記載の溶融炉の出湯装置。
  23. 【請求項23】 複数の出湯口の全部又は一部に、溶湯
    の出湯量の異なる又は同じ出湯口が用いられる請求項2
    2に記載の溶融炉の出湯装置。
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