JP2003120552A - スクロール式流体機械 - Google Patents

スクロール式流体機械

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JP2003120552A
JP2003120552A JP2002298373A JP2002298373A JP2003120552A JP 2003120552 A JP2003120552 A JP 2003120552A JP 2002298373 A JP2002298373 A JP 2002298373A JP 2002298373 A JP2002298373 A JP 2002298373A JP 2003120552 A JP2003120552 A JP 2003120552A
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orbiting
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Masafumi Kaai
雅史 河相
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Tokico Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 旋回スクロールに作用するスラスト荷重や捩
りモーメント等を低減させて、旋回スクロールの挙動を
安定させる。 【解決手段】 第1,第2の固定スクロール2,3間に
旋回スクロール21を旋回可能に設け、固定スクロール
2,3の支持部9,10には、旋回スクロール21の自
転を防止する補助クランク11と駆動軸13とをそれぞ
れ軸受14,14、15,16等を介して回転可能に設
けると共に、駆動軸13により旋回スクロール21を固
定スクロール2,3に対し寸法eなる旋回半径をもって
旋回運動させる。そして、この旋回運動によってラップ
部7,23間の各圧縮室30とラップ部8,24間の各
圧縮室31ともそれぞれ連続的に縮小させ、吸込ポート
32,33からそれぞれ吸込んだ空気を各圧縮室30,
31内で順次圧縮しつつ、この圧縮空気を吐出ポート3
4,35から外部のエアタンク等に向けて吐出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば空気圧縮機
や真空ポンプ等に用いて好適なスクロール式流体機械に
関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、ケーシングと、該ケーシングの
一部を構成し、鏡板に渦巻き状のラップ部が形成された
固定スクロールと、基端側が前記ケーシングに回転可能
に支持され、先端側が前記ケーシング内に延びるクラン
ク軸となった駆動軸と、該駆動軸のクランク軸に回転可
能に取付けられ、前記固定スクロールのラップ部との間
で複数の圧縮室を画成するように、鏡板に渦巻き状のラ
ップ部が形成された旋回スクロールと、該旋回スクロー
ルとケーシング(固定スクロール)との間に設けられ、
該旋回スクロールが自転するのを防止する自転防止機構
と、前記各圧縮室のうち、最外周側の圧縮室と連通する
ように前記ケーシング(固定スクロール)に形成された
吸込ポートと、前記各圧縮室のうち、最内周側の圧縮室
と連通するように前記固定スクロールに形成された吐出
ポートとからなるスクロール式流体機械は知られてい
る。
【0003】この種の従来技術によるスクロール式流体
機械では、例えば空気圧縮機として用いる場合に、駆動
軸の基端側をケーシングの外部からモータ等の駆動源に
よって回転駆動し、この駆動軸の回転をクランク軸を介
して旋回スクロールに伝えると共に、自転防止機構で旋
回スクロールの自転を防止することにより、該旋回スク
ロールを固定スクロールに対し一定の旋回半径をもって
旋回運動させる。そして、前記固定スクロールのラップ
部と前記旋回スクロールのラップ部との間に形成される
複数の圧縮室は、旋回スクロールの旋回運動により漸次
縮小する間に、吸込ポートから最外周側の圧縮室に吸込
んだ空気を順次圧縮しつつ、この圧縮空気を最内周側の
圧縮室から吐出ポートを介して外部のエアタンク等に向
けて吐出する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来技術では、ケーシング内に延びる駆動軸のクランク軸
に旋回スクロールを回転可能に片持ち支持状態で取付
け、自転防止機構で旋回スクロールの自転を防止しつ
つ、該旋回スクロールを固定スクロールに対し一定の旋
回半径をもって旋回運動させる構成であるから、大型の
スクロール式流体機械等では片持ち支持状態の旋回スク
ロールに大きな負荷が作用し、該旋回スクロールおよび
駆動軸の軸受が早期に摩耗、損傷され易く、寿命を向上
できないという問題がある。
【0005】また、固定スクロールと旋回スクロールと
のラップ部間に形成した各圧縮室を旋回スクロールの旋
回運動で漸次縮小させることによって、各圧縮室内で空
気等の流体を圧縮する構成であるから、このときに旋回
スクロールは大きな反力を受ける。即ち、旋回スクロー
ルには固定スクロールから離脱する方向に所謂スラスト
荷重と捩りモーメント(所謂転覆モーメント)とが作用
するために、これらを支承するスラスト軸受を旋回スク
ロールとケーシングとの間等に設ける必要があり、スラ
スト軸受の加工等に非常な手間がかかって製造時の作業
性を向上できないという問題がある。
【0006】一方、上記問題を解決するため、本出願人
は先に、実願昭63−109450号(以下、他の従来
技術という)において、ケーシング内に2つの旋回スク
ロールを対向させて設け、該各旋回スクロールに相対的
な旋回運動を行わせることにより、該各旋回スクロール
のラップ部間に形成した各圧縮室を漸次縮小させて、空
気等の流体を圧縮するようにしたスクロール式流体機械
を提案した。そして、この場合には、軸受等にそれほど
大きな負荷が作用することもなく、大型機種への対応が
可能となる上に、各旋回スクロール間でスラスト方向の
荷重を相殺することができ、スラスト軸受等への負荷を
軽減できるという利点がある。
【0007】しかし、この他の従来技術では、各旋回ス
クロールを同期させて駆動する必要があり、起動時の挙
動が不安定となる上に、各旋回スクロールのラップ部間
に比較的大きいスラスト方向のギャップを形成して、各
ラップ部の熱膨張分を吸収できるようにする必要がある
ため、このギャップを介して内部の圧縮流体が漏れ易く
なり、圧縮運転時等の安定性や信頼性を必ずしも向上さ
せることができないという問題がある。
【0008】本発明は上述した従来技術の問題に鑑みな
されたもので、本発明は旋回スクロールに作用するスラ
スト荷重や捩りモーメント等を効果的に低減でき、軸受
等の負荷を大幅に軽減できる上に、旋回スクロールの挙
動を安定させることができ、信頼性を向上できるように
したスクロール式流体機械を提供することを目的として
いる。
【0009】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために本発明は、軸方向に離間して対向配設され、それ
ぞれの鏡板に渦巻き状のラップ部が形成された第1,第
2の固定スクロールと、該各固定スクロール間に旋回可
能に設けられ、該各固定スクロールのラップ部との間で
それぞれ複数の圧縮室を画成するように、鏡板の軸方向
両側面にそれぞれ渦巻き状のラップ部が形成された旋回
スクロールと、該旋回スクロールと固定スクロールとの
間に設けられ、該旋回スクロールが自転するのを防止す
る自転防止機構と、前記各圧縮室のうち、最外周側の圧
縮室と連通するように前記第1,第2の固定スクロール
に形成された第1,第2の吸込ポートと、前記各圧縮室
のうち、最内周側の圧縮室と連通するように前記第1,
第2の固定スクロールに形成された第1,第2の吐出ポ
ートとからなる構成を採用している。
【0010】上記構成により、第1,第2の固定スクロ
ール間で旋回スクロールを旋回運動させると、該旋回ス
クロールは鏡板の軸方向両側面にそれぞれ形成したラッ
プ部が各固定スクロールのラップ部との間でそれぞれの
圧縮室を漸次縮小させつつ、第1,第2の吸込ポートか
らそれぞれ最外周側の圧縮室に吸込んだ流体を順次圧縮
し、圧縮流体をそれぞれ最内周側の圧縮室から第1,第
2の吐出ポートを介して外部に吐出させるようになる。
そして、旋回スクロールの鏡板および各ラップ部は軸方
向両側の各圧縮室から互いに対向する方向のスラスト荷
重と捩りモーメントとを受承するようになるから、これ
らのスラスト荷重と捩りモーメントとを相殺させること
が可能となり、旋回スクロールの旋回運動を安定させる
ことができる。
【0011】また、前記旋回スクロールの各ラップ部は
旋回半径、歯厚および歯高を同一とし、一方のラップ部
は巻始め端から巻終り端までの渦巻き角が、他方のラッ
プ部の渦巻き角よりも微少量だけ小さくなるように形成
するのが好ましい。
【0012】また、前記旋回スクロールの各ラップ部の
うち、一方のラップ部を他方のラップ部よりも渦巻き角
が微少量だけ小さくなるように形成すれば、旋回スクロ
ールの鏡板に軸方向両側の各圧縮室から作用するスラス
ト荷重を完全に相殺させることなく、旋回スクロールを
第1,第2の固定スクロールのうち、いずれかの固定ス
クロールに向けて小さな押圧力で押し続けることがで
き、スラスト方向のギャップが変化するのを抑えること
ができると共に、旋回スクロールの挙動を安定させるこ
とができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態による
スクロール式流体機械を図1ないし図5に基づきスクロ
ール式の空気圧縮機として用いた場合を例に挙げて説明
する。
【0014】図において、1は空気圧縮機のケーシン
グ、2,3は該ケーシング1をスペーサ4と共に構成す
る第1,第2の固定スクロールを示し、該固定スクロー
ル2,3は図2に示すようにスペーサ4を介して軸方向
に対向配設され、中心が互いに一致するようになった円
板状の鏡板5,6と、該鏡板5,6の互いに対向する表
面にそれぞれ立設され、インボリュートまたはインボリ
ュートに近い曲線をもって渦巻き状に形成されたラップ
部7,8と、前記鏡板5,6の外周側に位置し、該ラッ
プ部7,8を径方向外側から取囲むように形成された支
持部9,10とから構成され、該支持部9,10は図1
に示すように略三角形の枠組み構造をなしている。
【0015】ここで、該固定スクロール2,3の支持部
9,10には、例えば120度程度の角度間隔をもって
離間し、後述する旋回スクロール21用の自転防止機構
となる補助クランク11,12と駆動軸13とがそれぞ
れ軸受14,14、15,16等を介して回転可能に設
けられ、駆動軸13はモータ等の駆動源(図示せず)に
よりケーシング1の外部から回転駆動される。そして、
該駆動軸13のクランク軸13Aおよび補助クランク1
1,12のクランク軸11A等は図2に示すように寸法
eだけ偏心して形成され、旋回スクロール21を寸法e
なる旋回半径をもって旋回運動させる。
【0016】また、固定スクロール2,3の鏡板5,6
にはラップ部7,8とは反対側の表面からケーシング1
外に突出するように多数の冷却フィン17,17,…、
18,18,…が一体形成され、該各冷却フィン17,
18の突出側端面はそれぞれの冷却フィン17,18間
に冷却風通路を形成する平板状のカバー19,20によ
って覆われている。なお、前記スペーサ4にも複数の冷
却風通路(図示せず)が形成され、後述する旋回スクロ
ール21の各冷却フィン22C間に冷却風を流通させる
ようになっている。
【0017】21は固定スクロール2,3間に旋回可能
に配設された旋回スクロールを示し、該旋回スクロール
21は図2ないし図5に示すように、軸方向両側部が円
板状に形成された鏡板部22A,22Bとなり、該鏡板
部22A,22B間に多数の冷却フィン22C,22
C,…が列設された鏡板22と、該鏡板22の鏡板部2
2A,22B表面から固定スクロール2,3の鏡板5,
6に向けて立設され、固定スクロール2,3のラップ部
7,8に対応してインボリュートまたはインボリュート
に近い曲線をもって渦巻き状に形成されたラップ部2
3,24と、鏡板22の外周側から径方向外向きに突出
した3個の張出し部25,26,27から構成されてい
る。
【0018】ここで、該旋回スクロール21の張出し部
25,26,27は図4、図5に示すように、例えば1
20度程度の角度間隔をもって鏡板22の外周側に配設
されている。そして、旋回スクロール21は張出し部2
5,26,27が前記補助クランク11のクランク軸1
1A,補助クランク12のクランク軸(図示せず),駆
動軸13のクランク軸13Aにそれぞれ旋回軸受28,
29等を介して回転可能に支持され、駆動軸13が回転
駆動されるときに、補助クランク11,12で自転が防
止され、前記寸法eの旋回半径をもった旋回運動が与え
られる。なお、図3中では、鏡板22の鏡板部22A,
22B、各冷却フィン22Cおよびラップ部23,24
を明示するために張出し部25,26,27を省略して
いる。
【0019】また、旋回スクロール21のラップ部2
3,24は固定スクロール2,3のラップ部7,8に対
し、周方向に所定角度だけずらして重ね合わせるように
配設され、旋回スクロール21は固定スクロール2,3
に対して寸法eだけ偏心した状態となっている。これに
より、旋回スクロール21を固定スクロール2,3に対
して旋回させたときには互いに対向するラップ部7,2
3間とラップ部8,24間とに連続的に容積が縮小され
る第1の圧縮室30,30,…と第2の圧縮室31,3
1,…とが画成される。
【0020】さらに、旋回スクロール21のラップ部2
3,24は図3ないし図5に示すように旋回半径、歯厚
および歯高等が同一に形成されているものの、ラップ部
23,24の渦巻き方向が逆向きとなっている。そし
て、圧縮室30側に位置するラップ部23は後述する理
由により巻始め端から巻終り端までの渦巻き角が、圧縮
室31側に位置するラップ部24の渦巻き角よりも微少
量として、例えば3〜10度程度の微少角度cだけ小さ
くなるように形成されている。
【0021】32,33は固定スクロール2,3に設け
られた第1,第2の吸込ポート、34,35は第1,第
2の吐出ポートを示し、該吸込ポート32,33は最外
周側の圧縮室30,31と連通するように鏡板5,6の
外周側に配設され、吐出ポート34,35は最内周側の
圧縮室30,31と連通するように鏡板5,6の中心部
に配設されている。ここで、最内周側の圧縮室31に連
通する吐出ポート35の口径は、最内周側の圧縮室30
に連通する吐出ポート34の口径よりも大径に形成さ
れ、旋回スクロール21の挙動を安定させるようになっ
ている。そして、吐出ポート34,35はエア配管を介
して外部のエアタンク(図示せず)等に接続され、該吐
出ポート34,35はエア配管等を介して互いに連通し
ている。
【0022】さらに、36,36,…,37は補助クラ
ンク11,12および駆動軸13の軸方向両端側に設け
られたバランスウエイトを示し、該各バランスウエイト
36,37は旋回スクロール21の旋回運動をバランス
させるように形成され、駆動軸13のバランスウエイト
37は駆動軸13の回転を安定させるためにフライホイ
ールの機能も兼ねている。
【0023】本実施の形態によるスクロール式の空気圧
縮機は上述の如き構成を有するもので、次にその作動に
ついて述べる。
【0024】まず、ケーシング1の外部からモータ等の
駆動源(図示せず)によって駆動軸13を回転駆動する
と、この回転は該駆動軸13のクランク軸13Aから旋
回軸受29等を介して旋回スクロール21に伝えられ、
該旋回スクロール21は補助クランク11,12によっ
て自転が防止されつつ、駆動軸13のクランク軸13A
により寸法eの旋回半径をもった旋回運動を行うように
なる。
【0025】そして、この旋回運動によってラップ部
7,23間の各圧縮室30とラップ部8,24間の各圧
縮室31がそれぞれ連続的に縮小され、吸込ポート3
2,33からそれぞれ吸込んだ空気を各圧縮室30,3
1内で順次圧縮しつつ、この圧縮空気を吐出ポート3
4,35から外部のエアタンク等に向けて吐出する。こ
のとき、吐出ポート34,35はエア配管等を介して連
通し、互いに等しい圧力状態となっている。
【0026】ここで、旋回スクロール21には固定スク
ロール2,3から離脱する方向に所謂スラスト荷重とし
てのスラスト力f1 ,f2 と、捩りモーメント(所謂転
覆モーメント)としての捩り力f3 ,f4 とが作用す
る。
【0027】そして、第1の各圧縮室30から旋回スク
ロール21の鏡板部22Aに作用する圧力をP1 とし、
これらの圧力P1 を受圧する鏡板部22Aのそれぞれの
受圧面積をS1 とすると、鏡板部22Aに作用するスラ
スト力f1 は、
【0028】
【数1】f1 =ΣP1 ×S1 として求められる。
【0029】また、第2の各圧縮室31から旋回スクロ
ール21の鏡板部22Bに作用する圧力をP2 とし、こ
れらの圧力P2 を受圧する鏡板部22Bのそれぞれの受
圧面積をS2 とすると、鏡板部22Bに作用するスラス
ト力f2 は、
【0030】
【数2】f2 =ΣP2 ×S2 として求められる。
【0031】そして、これらのスラスト力f1 ,f2 は
互いに対向する方向で旋回スクロール21に作用し、該
旋回スクロール21のラップ部23,24は渦巻きの方
向が逆向きであるものの、実質的に同一のラップ形状に
形成されているから、スラスト力f1 ,f2 を相殺させ
ることが可能となる。
【0032】次に、旋回スクロール21のラップ部2
3,24に作用する捩りモーメントとしての捩り力f3
,f4 について検討する。
【0033】まず、第1の各圧縮室30から旋回スクロ
ール21のラップ部23に作用する圧力をP3 とし、こ
れらの圧力P3 を受圧するラップ部23のそれぞれの受
圧面積をS3 とし、さらに鏡板部22Aの外径をDと
し、旋回スクロール21の重心Gからラップ部23の重
心までの距離をLとすると、ラップ部23に作用する捩
り力f3 は、
【0034】
【数3】f3 =L×(ΣP3 ×S3 )÷(D/2) として求められる。
【0035】また、第2の各圧縮室31から旋回スクロ
ール21のラップ部24に作用する圧力をP4 とし、こ
れらの圧力P4 を受圧するラップ部24のそれぞれの受
圧面積をS4 とし、さらに鏡板部22Bの外径をDと
し、旋回スクロール21の重心Gからラップ部24の重
心までの距離をLとすると、ラップ部24に作用する捩
り力f4 は、
【0036】
【数4】f4 =L×(ΣP4 ×S4 )÷(D/2) として求められる。
【0037】そして、これらの捩り力f3 ,f4 は互い
に逆向きの力として旋回スクロール21に作用し、該旋
回スクロール21のラップ部23,24は渦巻きの方向
が逆向きであるものの、実質的に同一のラップ形状に形
成されているから、捩り力f3 ,f4 を相殺させること
が可能となる。
【0038】しかし、当該空気圧縮機を実際に製造する
上では、固定スクロール2,3のラップ部7,8および
旋回スクロール21のラップ部23,24等にある程度
の寸法公差を持たせる必要があるから、前記スラスト力
f1 ,f2 および捩り力f3,f4 を完全に相殺させる
ことは実際上では非常に難しくなる。
【0039】そこで、本実施の形態では、旋回スクロー
ル21のラップ部23,24を図3ないし図5に示す如
く旋回半径、歯厚および歯高等が同一となるように形成
し、圧縮室30側に位置するラップ部23は巻始め端か
ら巻終り端までの渦巻き角が、圧縮室31側に位置する
ラップ部24の渦巻き角よりも微少量として、例えば3
〜10度程度の微少角度cだけ小さくなるように形成し
ている。
【0040】これにより、旋回スクロール21は圧縮室
30側からのスラスト力f1 が圧縮室31側のスラスト
力f2 よりも僅かに小さくなり、ラップ部23側に作用
する捩り力f3 はラップ部24側の捩り力f4 よりも僅
かに小さくなる。この場合、前記吐出ポート34,35
の位置を微少角度c分だけ互いにずらすようにしてもよ
く、また、吐出ポート34,35の口径を変えることに
よっても、前記と同様の作用効果を得ることができる。
【0041】従って、本実施の形態によれば、当該空気
圧縮機の圧縮運転時に旋回スクロール21のラップ部2
3を常に固定スクロール2の鏡板5側に向けて押圧し続
けることができ、ラップ部23の先端(歯先)と鏡板5
の表面(歯底)との間でスラスト方向のギャップが変化
するのを効果的に抑えることができると共に、旋回スク
ロール21の旋回運動がスラスト力f1 ,f2 および捩
り力f3 ,f4 (捩りモーメント)等の影響で不安定に
なるのを確実に防止でき、旋回スクロール21の挙動を
大幅に安定させることができる。
【0042】また、旋回スクロール21の旋回運転時に
発生するスラスト力f1 ,f2 を実質的に相殺できると
共に、捩り力f3 ,f4 についても実質的に相殺させる
ことができるから、旋回スクロール21に作用するスラ
スト荷重や捩りモーメント等を効果的に低減でき、各軸
受14,15,16および旋回軸受28,29等の負荷
を大幅に軽減できる。そして、これらの軸受荷重を無理
なく軽減でき、耐久性や信頼性を効果的に向上させるこ
とができる。
【0043】さらに、各圧縮室30,31間の圧力バラ
ンスを無理なく安定させることが可能となり、大型の空
気圧縮機に適用した場合でも、圧縮機としての運転性能
を確実に安定させることができ、信頼性を向上させるこ
とができる等、種々の効果を奏する。
【0044】なお、前記実施の形態では、スクロール式
流体機械としてスクロール式の空気圧縮機を例に挙げて
説明したが、本発明はこれに限らず、例えばスクロール
式の真空ポンプまたは冷媒用の圧縮機等にも広く適用す
ることができる。
【0045】
【発明の効果】以上詳述した通り本発明によれば、第
1,第2の固定スクロール間に旋回スクロールを旋回可
能に設け、該旋回スクロールには、各固定スクロールの
ラップ部との間でそれぞれ複数の圧縮室を画成するよう
に、鏡板の軸方向両側面にそれぞれ渦巻き状のラップ部
を形成する構成としたから、旋回スクロールの鏡板およ
び各ラップ部は軸方向両側の各圧縮室から互いに対向す
る方向のスラスト荷重と捩りモーメントとを受承するよ
うになり、これらのスラスト荷重と捩りモーメントとを
相殺させることが可能となり、旋回スクロールの旋回運
動を安定させることができる。従って、軸受等の負荷を
大幅に軽減させることができ、旋回スクロールの挙動を
安定させて運転性能や信頼性を大幅に向上できる。
【0046】また、前記旋回スクロールの各ラップ部の
うち、一方のラップ部が他方のラップ部よりも巻始め端
から巻終り端までの渦巻き角が微少量だけ小さくなるよ
うに形成すれば、前記旋回スクロールを第1,第2の固
定スクロールのうち、いずれかの固定スクロールに向け
て小さな押圧力で押し続けることができ、スラスト方向
のギャップが変化するのを抑えて、旋回スクロールの挙
動を安定させることができ、これによってスクロール式
流体機械としての信頼性や耐久性を大幅に向上させるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態によるスクロール式の空気
圧縮機を示す外観図である。
【図2】図1中の矢示II−II方向拡大断面図である。
【図3】図2中に示す旋回スクロールの要部拡大斜視図
である。
【図4】図2中に示す旋回スクロールの正面図である。
【図5】図4に示す旋回スクロールの背面図である。
【符号の説明】
1 ケーシング 2,3 固定スクロール 4 スペーサ 5,6,22 鏡板 7,8,23,24 ラップ部 11,12 補助クランク(自転防止機構) 11A,13A クランク軸 13 駆動軸 14,15,16 軸受 21 旋回スクロール 22A,22B 鏡板部 30,31 圧縮室 32,33 吸込ポート 34,35 吐出ポート c 微少角度(微少量) e 寸法(旋回半径)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸方向に離間して対向配設され、それぞ
    れの鏡板に渦巻き状のラップ部が形成された第1,第2
    の固定スクロールと、該各固定スクロール間に旋回可能
    に設けられ、該各固定スクロールのラップ部との間でそ
    れぞれ複数の圧縮室を画成するように、鏡板の軸方向両
    側面にそれぞれ渦巻き状のラップ部が形成された旋回ス
    クロールと、該旋回スクロールと固定スクロールとの間
    に設けられ、該旋回スクロールが自転するのを防止する
    自転防止機構と、前記各圧縮室のうち、最外周側の圧縮
    室と連通するように前記第1,第2の固定スクロールに
    形成された第1,第2の吸込ポートと、前記各圧縮室の
    うち、最内周側の圧縮室と連通するように前記第1,第
    2の固定スクロールに形成された第1,第2の吐出ポー
    トとから構成してなるスクロール式流体機械。
  2. 【請求項2】 前記旋回スクロールの各ラップ部は旋回
    半径、歯厚および歯高を同一とし、一方のラップ部は巻
    始め端から巻終り端までの渦巻き角が、他方のラップ部
    の渦巻き角よりも微少量だけ小さくなるように形成して
    なる請求項1に記載のスクロール式流体機械。
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