JP2003120520A

JP2003120520A - 斜板式圧縮機

Info

Publication number: JP2003120520A
Application number: JP2001309731A
Authority: JP
Inventors: Masayuki Kurihara; 政幸栗原
Original assignee: Sanden Corp
Current assignee: Sanden Corp
Priority date: 2001-10-05
Filing date: 2001-10-05
Publication date: 2003-04-23

Abstract

(57)【要約】【課題】斜板上の摺動面に設けられる表面層の平滑
性、耐剥離性を向上し、がじり等のおそれを解消し耐久
性に優れた斜板式圧縮機を提供する。【解決手段】斜板と該斜板の両側に摺接される一対の
シューとを有する斜板式圧縮機において、前記斜板の摺
動面に二硫化モリブデンを主成分とする固体潤滑材を焼
き付け塗布後、荷重が負荷された表面層が設けられてい
ることを特徴とする斜板式圧縮機。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、たとえば車両用空
調装置等に使用される斜板式圧縮機に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来から、斜板と斜板の両側に摺接され
た一対のシューを介してピストンが連結された斜板式圧
縮機はよく知られている。このような斜板式圧縮機にお
いては、斜板の回転に伴い該斜板上をシューが摺動し、
該シューに連結されたピストンがシリンダボア内を往復
動することにより、流体が圧縮されるようになってい
る。

【０００３】ところで、上記のような斜板式圧縮機にお
いては、斜板上をシューが摺動するが、これに伴い斜板
とシューとの間でがじりが生じたり、斜板の摺動面等が
摩耗したりするおそれがある。このため、通常、斜板の
摺動面に１種類または２種類以上の固体潤滑材の層を設
け上記がじりや摩耗の防止が図られている。一般的に
は、斜板の摺動面に酸等で前処理を行った後、固体潤滑
材をスプレー等を用いて塗布し、さらにこれを焼き付け
ることにより、斜板の摺動面に固体潤滑材の層が設けら
れるようになっている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような固体潤滑材の層は表面粗さが大きい。また、斜板
の摺動面からの耐剥離性も十分とは言い難い。このた
め、圧縮機の起動時等に摺動抵抗が増大した場合には、
固体潤滑材の層が簡単に剥離してしまうおそれがある。
なお、国際公開ＷＯ９８／３６１７３号においては摺動
面の表面粗さ（Ｒｚ）を８μｍ以下にすることにより固
体潤滑材の層の耐剥離性を向上する提案がなされている
が、これでは斜板の摺動面の平滑性を確保する必要があ
るため斜板の加工が難しく製造効率が著しく低下するお
それがある。また、上記提案においては、固体潤滑材の
層を軟質なものとすることにより、固体潤滑材の層が部
分的に剥離した場合には、摩擦熱により他の部分の固体
潤滑材を溶融させ上記剥離部を修復する内容の発明も開
示されている。しかしこれでは、固体潤滑材の層の厚さ
にむらが発生するおそれがある。また、上記他の部分の
固体潤滑材を摩擦熱で溶融するのでは溶融のコントロー
ルが難しく該他の部分に新たな剥離が生じるおそれもあ
る。

【０００５】本発明の課題は、斜板の摺動面上の固体潤
滑材の層の耐剥離性を向上し、起動時等斜板とシューと
の摺動抵抗が増大する場合であっても、固体潤滑材の層
の剥離を防止し、斜板とシューとの良好な摺動状態を長
期間維持できる耐久性に優れた斜板式圧縮機を提供す
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の斜板式圧縮機は、斜板と該斜板の両側に摺
接される一対のシューとを有する斜板式圧縮機におい
て、前記斜板の摺動面に二硫化モリブデンを主成分とす
る固体潤滑材を焼き付け塗布後、荷重が負荷された表面
層が設けられていることを特徴とするものからなる。

【０００７】上記荷重が負荷された表面層の膜厚（以
下、荷重負荷後の膜厚と言うこともある。）は、荷重が
負荷される前の表面層の膜厚、すなわち固体潤滑材を焼
き付け塗布後の表面層の膜厚（初期膜厚）の９５％以下
であることが好ましい。荷重負荷後の膜厚が初期膜厚の
９５％を越えている場合は、荷重負荷による表面層の圧
縮効果が十分とは言えず、耐がじり性、耐摩耗性を効果
的に向上できない場合もあり得るからである。

【０００８】上記固体潤滑材は二硫化モリブデンを主成
分（たとえば、含有量が５０ｗｔ％）とするものを使用
することができる。また、二硫化モリブデンの他には、
テフロン（登録商標）、グラファイト、二硫化タングス
テン等を含んでいてもよい。また、２種以上の固体潤滑
材を混合したものを使用してもよい。

【０００９】上記のような斜板式圧縮機においては、斜
板の摺動面に固体潤滑材を焼き付け塗布した後、さらに
その層に荷重が負荷されるので、形成される表面層の表
面粗さを小さくすることができる。つまり、斜板の摺動
面に極めて平滑な表面層が設けられるので、斜板に摺接
されるシューの摺動性を飛躍的に向上できる。また、表
面層は、斜板の母材（または、予めコーティングされた
母材）に強く押し付けられるので、上記表面粗さの減少
効果と相まって表面層の耐剥離性を大幅に向上できる。
したがって、圧縮機の起動時等においても摺動抵抗を低
減することができるので、がじりや表面層の剥離のおそ
れが少なく耐久性に優れた斜板式圧縮機を得ることがで
きる。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下に、本発明の斜板式圧縮機の
望ましい実施の形態を図面を参照して説明する。図１な
いし図３は、本発明の一実施態様に係る斜板式圧縮機を
示している。図１において、１は斜板式圧縮機を示して
いる。斜板式圧縮機１は、ハウジング２を有している。
ハウジング２の一端には、フロントハウジング３が接続
されている。また、ハウジング２の他端にはシリンダヘ
ッド４が接続されている。ハウジング２内には、斜板５
を収容する斜板室６と複数のシリンダボア７が形成され
ている。シリンダボア７は、断面円筒状に形成されるハ
ウジング２の周方向に配列されている。

【００１１】斜板５には、シャフト８が挿通されてい
る。シャフト８はベアリング９、１０により回転可能に
支持されている。また、斜板５の両側にはスラストベア
リング１１、１２が当接されている。また、斜板５の摺
動面１３には、半球状の一対のシュー１４が摺接されて
いる。シュー１４を介してピストン１５が連結されてい
る。ピストン１５はシリンダボア７内に延びている。

【００１２】ハウジング２の一端に接続されるフロント
ハウジング３内には壁１６が設けられており、該壁１６
により吸入室１７と吐出室１８とに区画されている。吸
入室１７は、吸入孔１９を介してシリンダボア７内に挿
通されている。一方、吐出室１８は、吐出孔２０を介し
てシリンダボア７内に挿通されている。

【００１３】ハウジング２の他端に接続されるシリンダ
ヘッド４内は、壁２１により吸入室２２と吐出室２３に
区画されている。吸入室２２は吸入孔２４を介してシリ
ンダボア７内に挿通されている。一方、吐出室２３は吐
出孔２５を介してシリンダボア７内に挿通されている。

【００１４】斜板５の摺動面１３には、図２に示すよう
に表面層２６が形成されている。表面層２６は二硫化モ
リブデンを主成分とする固体潤滑材をスプレー等で塗布
して焼き付けた後、さらに荷重を負荷することにより形
成されている。また、本実施態様においては、荷重が負
荷された表面層２６の膜厚ｄ₁は初期膜厚ｄ₂の９５％
以下になっている（ｄ₁／ｄ₂≦０．９５）。

【００１５】表面層２６に荷重を負荷する方法は、とく
に限定されるものではないがたとえば平板状部材（図示
略）を表面層２６に押圧すればよい。このように、表面
層２６に荷重を負荷することにより、たとえば表面層２
６の表面粗さ（Ｒａ）を０．５〜０．６μｍに設定でき
る（図３）、これは荷重を負荷しない場合、すなわち従
来の圧縮機の斜板の表面層の表面粗さ（Ｒａ）が１〜
１．５μｍである（図４）のに比べ極めて平滑になって
いる。

【００１６】本実施態様においては、シャフト８の駆動
に伴って斜板５が回転されると、シュー１４が摺動面１
３上を摺動する。そして、シュー１４を介して連続され
たピストン１５がシリンダボア７内を往復動することに
より、流体（たとえば、二酸化炭素等の冷媒）が圧縮さ
れ、吐出室１８、２３内へ吐出されるようになってい
る。

【００１７】また、本実施態様においては、斜板の摺動
面１３に設けられる表面層２６は極めて平滑になってい
るので、斜板５に摺接されるシュー１４の摺動性を飛躍
的に向上できる。また、表面層２６は斜板５の母材に対
して強く押し付けられているので、表面粗さの減少効果
と相まって表面層２６の耐剥離性を向上できる。従っ
て、圧縮機の起動時等においてもシュー１４の摺動抵抗
を大幅に低減することができるので、がじりや表面層２
６の剥離のおそれが少なく耐久性に優れた斜板式圧縮機
を得ることができる。

【００１８】

【発明の効果】以上説明したように、本発明斜板式圧縮
機によるときは、斜板の摺動面に二硫化モリブデンを主
成分とする固体潤滑材を焼き付け塗布後、荷重が負荷さ
れた表面層が設けられているので、表面層の平滑性、耐
剥離性が向上されシューの摺動抵抗を大幅に低減でき
る。したがって、圧縮機の起動時等においても、がじり
や表面層の剥離が防止され耐久性に優れた斜板式圧縮機
を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施態様に係る斜板式圧縮機の縦断
面図である。

【図２】図１の斜板式圧縮機の斜板の拡大断面図であ
る。

【図３】図１の斜板式圧縮機の斜板の表面粗さ（Ｒａ）
と斜板上の測定距離との関係を示す関係図である。

【図４】従来の斜板式圧縮機の斜板の表面粗さ（Ｒａ）
と斜板上の測定距離との関係を示す関係図である。

【符号の説明】

１斜板式圧縮機２ハウジング３フロントハウジング４シリンダヘッド５斜板６斜板室７シリンダボア８シャフト９、１０ベアリング１１、１２スラストベアリング１３摺動面１４シュー１５ピストン１６、２１壁１７、２２吸入室１８、２３吐出室１９、２４吸入孔２０、２５吐出孔２６表面層

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】斜板と該斜板の両側に摺接される一対の
シューとを有する斜板式圧縮機において、前記斜板の摺
動面に二硫化モリブデンを主成分とする固体潤滑材を焼
き付け塗布後、荷重が負荷された表面層が設けられてい
ることを特徴とする斜板式圧縮機。
【請求項２】前記荷重が負荷された表面層の膜厚が、
初期膜厚の９５％以下である、請求項１の斜板式圧縮
機。