JP2003119027A - リチウム遷移金属複合酸化物の製造方法 - Google Patents

リチウム遷移金属複合酸化物の製造方法

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JP2003119027A
JP2003119027A JP2001313523A JP2001313523A JP2003119027A JP 2003119027 A JP2003119027 A JP 2003119027A JP 2001313523 A JP2001313523 A JP 2001313523A JP 2001313523 A JP2001313523 A JP 2001313523A JP 2003119027 A JP2003119027 A JP 2003119027A
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lithium
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composite oxide
powder
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Kazuo Niwa
一夫 丹羽
Takeshi Kurihara
毅 栗原
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電池材料への鉄の混入を防止する方法が
求められていた。更には、電池材料へのSUS粉の混入
を防止する方法が求められていた。 【解決手段】 リチウム化合物、遷移金属化合物、及び
必要に応じて置換元素金属化合物を混合する工程1、該
混合物を乾式粉砕機にかけ混合物を粉砕する工程2、次
いで該混合物を焼成炉に充填し焼成し、リチウム遷移金
属複合酸化物を得る工程3、焼成後のリチウム遷移金属
複合酸化物を解砕する工程4、解砕されたリチウム遷移
金属複合酸化物を分級する工程5からなり、工程1の
前、工程2の前、工程2の後のいずれか1つ以上に、磁
力により鉄粉及び/又はSUS粉を除去する工程を設け
たことを特徴とするリチウム遷移金属複合酸化物の製造
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リチウム遷移金属
複合酸化物の製造方法に関し、より詳細にはリチウム遷
移金属複合酸化物の乾式製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、カメラ一体型VTR装置、オーデ
ィオ機器、携帯型コンピュータ、携帯電話等様々な機器
の小型化、軽量化が進んでおり、これら機器の電源とし
ての電池に対する高性能化の要請が高まっている。その
要求に答えるべく、種々の開発がなされ、例えば負極活
物質として金属リチウムに代わって、リチウムイオンの
吸蔵・放出が可能な炭素材料等を用いることにより、安
全性が大幅に向上し、リチウム二次電池が実用段階に入
った。
【0003】一方、リチウム二次電池の正極活物質とし
ては、LiCoO2やLiNiO2、LiMn24等のリ
チウム遷移金属複合酸化物が実用段階に入っている。電
池は一般に、上記のような電池材料を集電体に塗布して
極板を製造し、それらを組み立てて電池とする。しかし
ながら、電池材料の製造工程で原料由来の鉄や、製造工
程において鉄粉が混入する場合があり、電池材料に鉄が
混入している場合はこの鉄によりマイクロショートが発
生すると考えられ、電池が電池としての機能を失ってし
まう。また、場合によっては製造工程においてSUS粉
が混入する場合もあり、その際にも電池材料中のSUS
粉によりマイクロショートが発生すると考えられ、電池
が電池としての機能を失ってしまう。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、電池材料への
鉄の混入を防止する方法が求められていた。更には、電
池材料へのSUS粉の混入を防止する方法が求められて
いた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記課題を
解決すべく検討を重ねた結果、乾式法にて正極活物質を
製造する際に、磁力により鉄粉及び/又はSUS粉を除
去する工程を設けることにより異物としての金属のみを
除去できることを見出し、本発明を解決するに至った。
【0006】即ち、本発明の要旨は下記(1)〜(5)
に存する。 (1)リチウム化合物、遷移金属化合物、及び必要に応
じて置換元素金属化合物を混合する工程1、該混合物を
乾式粉砕機にかけ混合物を粉砕する工程2、次いで該混
合物を焼成炉に充填し焼成し、リチウム遷移金属複合酸
化物を得る工程3、焼成後のリチウム遷移金属複合酸化
物を解砕する工程4、解砕されたリチウム遷移金属複合
酸化物を分級する工程5からなり、工程1の前、工程2
の前、工程2の後のいずれか1つ以上に、磁力により鉄
粉及び/又はSUS粉を除去する工程を設けたことを特
徴とするリチウム遷移金属複合酸化物の製造方法。
【0007】(2)工程2の後に、磁力により鉄粉及び
/又はSUS粉を除去する工程を設けた上記(1)に記
載の製造方法。 (3)更に工程5の前又は後に、磁力により鉄粉及び/
又はSUS粉を除去する工程を設けた上記(1)又は
(2)に記載の製造方法。 (4)工程3の焼成が、仮焼、解砕及び本焼をこの順に
行われる上記(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方
法。
【0008】(5)解砕の後に、磁力により鉄粉及び/
又はSUS粉を除去する工程を設けた上記(4)に記載
の製造方法。
【0009】
【発明の実施の態様】本発明のリチウム遷移金属複合酸
化物の製造方法は、リチウム化合物、遷移金属化合物、
及び必要に応じて置換元素金属化合物を混合する工程
1、該混合物を乾式粉砕機にかけ混合物を粉砕する工程
2、次いで該混合物を焼成炉に充填し焼成し、リチウム
遷移金属複合酸化物を得る工程3、焼成後のリチウム遷
移金属複合酸化物を解砕する工程4、解砕されたリチウ
ム遷移金属複合酸化物を分級する工程5からなり、工程
1の前、工程2の前、工程2の後のいずれか1つ以上
に、磁力により鉄粉及び/又はSUS粉を除去する工程
を設けたことを特徴とする。
【0010】「磁力により鉄粉及び/又はSUS粉を除
去する工程」は、工程1の前、工程2の前、工程2の後
のいずれか1つ以上に設けられていればよく、鉄粉やS
US粉の混入がいずれの工程でも有り得ることを考慮す
ると、工程2の後に設けるのが効率的で好ましい。工程
3以降では、異物としての鉄粉やSUS粉がリチウム遷
移金属複合酸化物の粒子中に取り込まれて、異物として
の金属のみを除去するのが困難になるためである。な
お、ここでいう「焼成」とはリチウム化合物と遷移金属
化合物からリチウム遷移金属複合酸化物を合成する際の
焼成を意味する。
【0011】「磁力により鉄粉及び/又はSUS粉を除
去する工程」は、工程1の前、工程2の前、又は工程2
の後の場合は、リチウム化合物、遷移金属化合物、及び
必要に応じて混入される置換元素金属化合物に対して行
われる。「磁力により鉄粉及び/又はSUS粉を除去す
る工程」は、例えば、一定の磁束密度を有する磁石を用
いて鉄粉及び/又はSUS粉を除去する方法が挙げられ
る。また、一定の磁束密度の磁場を通過させることによ
って鉄粉及び/又はSUS粉を除去する方法が挙げられ
る。
【0012】磁力により鉄粉及び/又はSUS粉を除去
する為には、一定の磁束密度を与えるもの(例えば磁
石)に、リチウム化合物、遷移金属化合物、及び必要に
応じて混入される置換元素金属化合物が接触させればよ
い。また、一定の磁束密度の磁場を与えるように磁石を
配置し(即ち、上記エリアができるように、任意に磁石
の強さを選定し、磁石の配置を設計し)、その磁場内を
リチウム化合物、遷移金属化合物、及び必要に応じて混
入される置換元素金属化合物を通過させればよい。
【0013】上記において「磁場を通過させる」とは、
磁場を有する物に接触させることを含む。本発明におい
ては、磁場を有する物に接触させる方が異物としての金
属を除去しやすい。一定の磁束密度とは、具体的には1
00ガウス以上、リチウム化合物、遷移金属化合物、必
要に応じ混入する置換金属元素化合物のうちいずれか一
つのみが吸引される磁束密度未満である。磁束密度が低
すぎると異物としての金属が除去できず、磁束密度が高
すぎるとリチウム化合物、遷移金属化合物及び/又は必
要に応じ混入する置換金属元素化合物も除去されてしま
う。磁束密度は100ガウス以上であれば異物としての
鉄の除去には十分であるが、好ましくは200ガウス以
上、SUS粉も除去するという観点からはより好ましく
は400ガウス以上、更に好ましくは700ガウス以
上、最も好ましくは1000ガウス以上である。また、
磁束密度はリチウム化合物、遷移金属化合物、必要に応
じ混入する置換金属元素化合物のうちいずれか一つのみ
が吸引される磁束密度未満である必要があり、好ましく
はリチウム化合物、遷移金属化合物、必要に応じ混入す
る置換金属元素化合物のうちいずれか一つのみが吸引さ
れる磁束密度より100ガウス以上低い磁束密度以下で
ある。リチウム化合物、遷移金属化合物、必要に応じ混
入する置換金属元素化合物のうちいずれか一つのみが吸
引される磁束密度とは、即ち、リチウム化合物が吸引さ
れる磁束密度、と遷移金属化合物が吸引される磁束密度
と、必要に応じ混入する置換金属元素化合物が吸引され
る磁束密度とのうち、最も低い値の磁束密度である(置
換金属元素化合物を混入しない場合は、置換金属元素化
合物が吸引される磁束密度は考慮する必要はない)。そ
の磁束密度未満ということはリチウム化合物、遷移金属
化合物、必要に応じ混入する置換金属元素化合物のいず
れもが吸引されない磁束密度ということである(置換金
属元素化合物を混入しない場合は、置換金属元素化合物
は考慮する必要はない)。なお、複数種の遷移金属化合
物を用いる場合は、複数種の遷移金属化合物の中で最も
吸引される磁束密度が低い遷移金属化合物が吸引される
磁束密度を、遷移金属化合物の吸引される磁束密度とし
て取り扱う。
【0014】上記において、「化合物が吸引される磁束
密度」とは、「化合物が磁石に引き寄せられるのに必要
な最低限の磁力密度」ということである。なお、工程4
の解砕工程において新たに鉄粉やSUS粉が混入する場
合もあるので、更に工程4の後に、磁力により鉄粉及び
/又はSUS粉を除去する工程を設けたることが好まし
い。また、解砕されたリチウム遷移金属複合酸化物を分
級する工程5の分級工程においても新たにSUS粉が混
入する場合もあるので、工程5の後に、磁力により鉄粉
及び/又はSUS粉を除去する工程を設ける方がより好
ましい。
【0015】工程5の前及び工程5の後の「磁力により
鉄粉及び/又はSUS粉を除する工程」も前述の工程1
の前、工程2の前、又は工程2の後における「磁力によ
り鉄粉及び/又はSUS粉を除去する工程」と同様の工
程である。但し、この時の一定の磁束密度は前述と異な
る。具体的な磁束密度の上限は、リチウム遷移金属複合
酸化物が吸引される磁束密度未満となる。
【0016】なお、工程3の焼成が、仮焼、解砕及び本
焼をこの順に行われる場合は、該解砕工程において新た
に鉄粉やSUS粉が混入する場合もあるので、更に工程
3の該解砕の後に、磁力により鉄粉及び/又はSUS粉
を除去する工程を設けることが好ましい。工程3中の解
砕の後の「磁力により鉄粉及び/又はSUS粉を除する
工程」も前述の工程1の前、工程2の前、又は工程2の
後における「磁力により鉄粉及び/又はSUS粉を除去
する工程」と同様の工程である。但し、この時の一定の
磁束密度は前述と異なる。具体的な磁束密度の上限は、
リチウム遷移金属複合酸化物が吸引される磁束密度未満
となる(工程5の前及び工程5の後の「磁力により鉄粉
及び/又はSUS粉を除する工程」と同じ)。
【0017】次に工程1について説明する。工程1はリ
チウム化合物、遷移金属化合物、及び必要に応じて置換
元素金属化合物を混合する工程である。本発明において
出発原料として用いられるリチウム化合物としては、L
2CO3、LiNO3、LiOH、LiOH・H2O、L
iCl、LiI、CH3COOLi、Li2O、酢酸L
i、ジカルボン酸Li、クエン酸Li、脂肪酸Li、ア
ルキルリチウム、リチウムハロゲン化物等が挙げられ
る。これらリチウム化合物の中で好ましいのは、Li2
CO3、LiNO3、LiOH・H2O、酢酸Li等の水
溶性のリチウム化合物である。これらの水溶性化合物
は、例えば、分散媒として水を使用したスラリー中に溶
解させることによって容易に良好な特性を有するリチウ
ム遷移金属複合酸化物を得ることができる。また、焼成
処理の際にNOX及びSOX等の有害物質を発生させない
点で、窒素原子や硫黄原子を含有しないリチウム化合物
が好ましい。最も好ましいリチウム原料は、Li2CO3
である。無論、リチウム化合物として複数種のものを使
用してもよい。これらの化合物のうち、代表的なものに
ついて「化合物が吸引される磁束密度」を下記に例示す
る。
【0018】Li2CO3:6000ガウス以上(600
0ガウスで吸引されなかった) LiOH・H2O:6000ガウス以上(6000ガウ
スで吸引されなかった) 出発原料として用いられる遷移金属化合物としては、マ
ンガン化合物、ニッケル化合物、コバルト化合物等が挙
げられる。
【0019】具体的には、マンガン化合物としてはMn
23、MnO2、Mn34等のマンガン酸化物、MnC
3、Mn(NO32 、MnSO4、酢酸マンガン、ジ
カルボン酸マンガン、クエン酸マンガン、脂肪酸マンガ
ン等のマンガン塩、オキシ水酸化物、ハロゲン化物等が
挙げられる。これらマンガン化合物の中でも、Mn
23、Mn34は、最終目的物である複合酸化物のマン
ガン酸化数に近い価数を有しているため好ましい。さら
に工業原料として安価に入手できる観点、及び反応性が
高いという観点から、特に好ましいのはMn23であ
る。無論、マンガン化合物として複数種のものを使用し
てもよい。Mn23として、MnCO3やMnO2などの
化合物を熱処理して作製したものを用いてもよい。これ
らの化合物のうち、代表的なものについて「化合物が吸
引される磁束密度」を下記に例示する。
【0020】MnO2:3200ガウス Mn23:2500ガウス Mn34:2000ガウス ニッケル化合物としては、Ni(OH)2、NiO、N
iOOH、NiCO3・2Ni(OH)2・4H2O、N
iC24・2H2O、Ni(NO32・6H2O、NiS
4、NiSO4・6H2O、脂肪酸ニッケル、ニッケル
ハロゲン化物等が挙げられる。この中でも、焼成処理の
際にNOX及びSOX等の有害物質を発生させない点で、
窒素原子や硫黄原子を含有しない、Ni(OH)2、N
iO、NiOOH、NiCO3・2Ni(OH)2・4H
2O、NiC24・2H2Oのようなニッケル化合物が好
ましい。また、さらに工業原料として安価に入手できる
観点、及び反応性が高いという観点から、特に好ましい
のはNi(OH)2、NiO、NiOOHである。無
論、ニッケル化合物として複数種のものを使用してもよ
い。これらの化合物のうち、代表的なものについて「化
合物が吸引される磁束密度」を下記に例示する。
【0021】NiO:3500ガウス Ni(OH)2:2800ガウス コバルト化合物としては、Co(OH)2、CoO、C
23、Co34、Co(OAc)2・4H2O、CoC
2、Co(NO32・6H2O、Co(SO42・7H
2O等が挙げられる。中でも、焼成工程の際にNOX及び
SOX等の有害物質を発生させない点で、Co(O
H)2、CoO、Co23、Co34が好ましく、さら
に好ましくは、工業的に安価に入手できる点及び反応性
が高い点でCo(OH)2である。無論複数のコバルト
化合物を使用することもできる。これらの化合物のう
ち、代表的なものについて「化合物が吸引される磁束密
度」を下記に例示する。
【0022】Co34:4000ガウス Co(OH)2:2200ガウス 必要に応じ混合する置換元素金属化合物としては、B、
Al、Sn、Cu、Ti、Zn、Co、Ni、Mg、G
a、Ca、Si、V、Mn、Zr、Sb、Ru、Pb、
Hf、Ta等の金属の酸化物、水酸化物、硝酸塩、炭酸
塩、ジカルボン酸塩、脂肪酸塩、アンモニウム塩等が挙
げられる。こられのうち好ましくはAl、Co、Ni、
Mg、V、Mnであり、より好ましくはAl、Co、N
iである。
【0023】遷移金属化合物がマンガン化合物である場
合、リチウム化合物とマンガン化合物の混合比は、Li
原子とMn原子換算で通常Li/Mn=0.4〜0.
6、好ましくは0.45〜0.55、より好ましくは
0.5〜0.55となる量比である。Liが多すぎても
少なすぎても充分な容量を得ることができない。リチウ
ム遷移金属複合酸化物が他種元素置換型のリチウムマン
ガン複合酸化物である場合は、出発原料としてはリチウ
ム化合物とマンガン化合物の他に、リチウムとマンガン
以外の金属元素(置換元素)を含む置換元素金属化合物
を混合する。マンガン以外の金属元素を含む化合物の混
合比が、Mn原子とマンガン以外の金属原子換算で、マ
ンガン以外の金属元素がMnのの2.5モル%以上、好
ましくはMnの5モル%以上であり、通常Mnの30モ
ル%以下、好ましくはMnの20モル%以下である。マ
ンガン以外の金属元素が少なすぎるとその高温サイクル
の改善効果が充分ではない場合があり、多すぎると電池
にした場合の容量が低下してしまう場合がある。なおこ
の場合、上記の量比(Li/Mn)は、Li/(Mn+
マンガン以外の金属原子)の量比となる。(即ち、リチ
ウム化合物とマンガン化合物の混合比Li原子とMn原
子とマンガン以外の金属原子換算で通常Li/(Mn+
マンガン以外の金属原子)=0.4〜0.6、好ましく
は0.45〜0.55、より好ましくは0.5〜0.5
5となる量比) 遷移金属化合物がニッケル化合物である場合、リチウム
化合物とニッケル化合物の配合比は、リチウム原子とニ
ッケル原子に換算してモル比でLi:Ni=1:1〜
1.1:1となるように混合するのが好ましい。Niに
対するLiの配合比が小さすぎると、層状岩塩構造リチ
ウム遷移金属複合酸化物において、上述した岩塩ドメイ
ンが大きくなる。逆に、Niに対するLiの配合比が大
きすぎると、NiサイトにLiが置換されることとな
り、リチウム二次電池の容量低下を招くことになる。
【0024】リチウム遷移金属複合酸化物が他種元素置
換型のリチウムニッケル複合酸化物である場合は、出発
原料としてはリチウム化合物とニッケル化合物の他に、
リチウムとニッケル以外の金属元素(置換元素)を含む
置換元素金属化合物を混合する。遷移金属化合物がコバ
ルト化合物である場合、リチウム化合物とコバルト化合
物の配合比は、リチウム原子とコバルト原子に換算して
モル比でLi:Co=1:1〜1.1:1となるように
混合するのが好ましい。Coに対するLiの配合比が小
さすぎると、層状岩塩構造リチウム遷移金属複合酸化物
において、上述した岩塩ドメインが大きくなる。逆に、
Niに対するCoの配合比が大きすぎると、Coサイト
にLiが置換されることとなり、リチウム二次電池の容
量低下を招くことになる。
【0025】リチウム遷移金属複合酸化物が他種元素置
換型のリチウムコバルト複合酸化物である場合は、出発
原料としてはリチウム化合物とコバルト化合物の他に、
リチウムとコバルト以外の金属元素(置換元素)を含む
置換元素金属化合物を混合する。上記置換元素金属化合
物の添加量は、原子比で、コバルト原子と上記置換元素
金属化合物中の置換元素金属の原子との和に対して、置
換元素金属の原子の割合が0.25以下となる量とする
ことができる。
【0026】遷移金属化合物がニッケル化合物とマンガ
ン化合物である場合、リチウム化合物とニッケル化合物
とマンガン化合物の配合比は、それら原料化合物のリチ
ウム原子とニッケル原子とマンガン原子に換算したモル
比が、最終的に製造したいリチウム遷移金属複合酸化物
(リチウムニッケルマンガン複合酸化物)の組成のリチ
ウム原子とニッケル原子とマンガン原子に換算したモル
比と同様になるように混合すればよい。
【0027】リチウム遷移金属複合酸化物が他種元素置
換型のリチウムニッケルマンガン複合酸化物である場合
は、出発原料としてはリチウム化合物、ニッケル化合
物、マンガン化合物の他に、リチウム、ニッケル、マン
ガン以外の金属元素(置換元素)を含む置換元素金属化
合物を混合する。次に工程2について説明する。工程2
は、工程1で得られた混合物を乾式粉砕機にかけ混合物
を粉砕する工程である。
【0028】乾式粉砕機としては、ボールミル、ジェッ
トミル、ピンミル等が挙げられる。通常、リチウム遷移
金属複合酸化物の粉砕の程度としては、粒径が0.1〜
100μmとなる程度、より好ましくは1〜50μmと
なる程度である。次に工程3について説明する。工程3
は、工程2で得られた混合物を焼成炉に充填し焼成し、
リチウム遷移金属複合酸化物を得る工程である。
【0029】焼成の条件は、得られるリチウム遷移金属
複合酸化物の比表面積及び粉体充填密度を制御する上で
重要である。原料組成に依存するが、傾向として、焼成
温度が高すぎるとタップ密度が大きくなりすぎ、逆に低
すぎるとタップ密度が小さく、また比表面積が大きくな
りすぎる。原料の遷移金属化合物がマンガン化合物であ
る場合の、リチウムマンガン複合酸化物の焼成・冷却の
方法としては、例えば、仮焼後600〜900℃程度の
温度で酸素雰囲気下で本焼を行い、次いで500℃以下
程度まで10℃/min以下の速度で徐冷する方法や、
仮焼後600〜900℃程度の温度で空気又は酸素雰囲
気下で本焼し、次いで400℃程度の温度で酸素雰囲気
下アニールする方法を挙げることができる。焼成・冷却
の条件については、特開平9−306490号公報、特
開平9−306493号公報、特開平9−259880
号公報等に詳しく記載されている。
【0030】遷移金属化合物がマンガン化合物である場
合は、得られるリチウム遷移金属複合酸化物は、リチウ
ムマンガン複合酸化物となる。リチウムマンガン複合酸
化物としては、代表的にはLiMn24を基本組成とす
るスピネル構造のマンガン酸リチウムや、基本組成Li
MnO2を有する層状構造のマンガン酸リチウムを挙げ
ることができるが、製造のしやすさ及びサイクル特性の
点でスピネル型のマンガン酸リチウムが好ましい。
【0031】リチウムマンガン複合酸化物は、リチウ
ム、マンガン及び酸素以外に、さらに他の元素を含有し
ていてもよい。B、Al、Sn、Cu、Ti、Zn、C
o、Ni等の金属元素を挙げることができるが、好まし
くはAlである。即ち、好ましい態様において、リチウ
ムマンガン複合酸化物は、リチウムとマンガンとアルミ
ニウムとを含有する複合酸化物からなる。このような他
元素は、例えば、マンガンサイトの一部を上記他元素で
置換することによって、結晶構造を安定化させる機能を
有する。このようなマンガンサイトへの置換元素として
は、上記同様、B、Al、Sn、Cu、Ti、Zn、C
o、Ni等の金属元素を挙げることができる。無論複数
の元素で置換することもできる。好ましい置換元素はA
lである。また、酸素原子の一部をフッ素等のハロゲン
元素で置換することもできる。
【0032】このような他種元素置換型のリチウムマン
ガン複合酸化物は、例えばスピネル構造のリチウムマン
ガン複合酸化物の場合、通常
【0033】
【化1】LibMn2-a Mea4 (MeはB、Al、Sn、Cu、Ti、Zn、Co、N
iからなる群から選ばれる少なくとも一種を表し、0≦
b≦1.5、0<a≦1)の組成で表すことができる。
ここで、好ましい置換元素MeはAlである。ただし、
この結晶構造を安定化させることができれば、置換元素
の種類及び組成比は、これに限定されるものではない。
特に好ましいリチウムマンガン複合酸化物の組成は、
【0034】
【化2】LiYMn2-XAlX4 (0<X≦1.0、0.9≦Y≦1.1)で表される。
【0035】なお、上記いずれの組成式においても、酸
素の量は不定比性を有する場合を包含する。さらにま
た、上記いずれの場合においても、化学量論量以上のリ
チウムを原料として使用するなどによって、マンガン原
子のサイトの一部をリチウムで置換することも可能であ
る。リチウムマンガン複合酸化物のうち、代表的なもの
について「化合物が吸引される磁束密度」を下記に例示
する。
【0036】 Li1.04Mn1.84Al0.124:3000ガウス 原料の遷移金属化合物がニッケル化合物であうる場合
の、リチウムニッケル複合酸化物の焼成雰囲気並びに原
料の遷移金属化合物がコバルト化合物である場合の、リ
チウムコバルト複合酸化物の焼成雰囲気は、酸素気流
中、あるいは空気中等の酸化性雰囲気とすればよい。ま
た、焼成温度は、800〜1000℃とするのが望まし
い。焼成温度が低すぎると岩塩ドメインの割合が大きく
なり、高すぎると酸素欠陥を生じる可能性が高くなる。
さらに、焼成時間は、7時間以上15時間以下とするこ
とが望ましい。焼成時間が短すぎると岩塩ドメインの割
合が増加し、長すぎると酸素欠陥を生じ易くなる。
【0037】遷移金属化合物がニッケル化合物である場
合は、得られるリチウム遷移金属複合酸化物は、リチウ
ムニッケル複合酸化物となる。リチウムニッケル複合酸
化物としては、下記式にて表されるリチウムニッケル複
合酸化物が挙げられる。
【0038】
【化3】LiXNiY(1-Y)2 (式中、Xは0<X≦1.2の範囲の数を表す。Yは0
<(1−Y)≦0.5の範囲の数値を表す。QはCo、
Al、Mg、Ga、Ti及びCaからなる群から選ばれ
る少なくとも一種を表す。) 特に好ましいリチウムニッケル複合酸化物の組成は、
【0039】
【化4】LiXNiYCoZQ’(1-Y-Z)2 (式中、Xは0<X≦1.2の範囲の数を表す。Yは
0.5≦Y<1.0の範囲の数値を表す。Zは0<Z≦
0.5の範囲の数値を表す。Q’はAl、Mg、Ga、
Ti及びCaからなる群から選ばれる少なくとも一種を
表す。) リチウムニッケル複合酸化物のうち、代表的なものにつ
いて「化合物が吸引される磁束密度」を下記に例示す
る。
【0040】 Li1.04Ni0.8Co0.15Al0.052:4500ガウス また、遷移金属化合物がコバルト化合物である場合は、
得られるリチウム遷移金属複合酸化物は、リチウムコバ
ルト複合酸化物となる。リチウムコバルト複合酸化物と
しては、下記式にて表されるリチウムコバルト複合酸化
物が挙げられる。
【0041】
【化5】LiXCo1-YY2 (式中、Xは0<X≦1.2の範囲の数を表す。Yは0
≦Y≦0.25の範囲の数を表す。Aは、B、Mg、S
i、Cu、Ti、V、Mn、Ni、Sn、Zr、Sb、
Nb、Ru、Pb、Hf及びTaからなる群より選択さ
れる少なくとも1種の元素を表す。) リチウムコバルト複合酸化物のうち、代表的なものにつ
いて「化合物が吸引される磁束密度」を下記に例示す
る。
【0042】LiCoO2:6000ガウス以上(60
00ガウスで吸引されなかった) 原料の遷移金属化合物がニッケル化合物及びマンガン化
合物である場合の、リチウムニッケルマンガン複合酸化
物の焼成・冷却の方法としては、原料として使用される
リチウム化合物、ニッケル化合物、マンガン化合物の種
類によって異なるものの、通常700℃以上、好ましく
は725℃以上、さらに好ましくは750℃以上、さら
に好ましくは800℃以上であり、また通常1050℃
以下、好ましくは1000℃以下、さらに好ましくは9
50℃以下、最も好ましくは900℃以下である。
【0043】焼成時間は温度によっても異なるが、通常
前述の温度範囲であれば30分以上、50時間以下であ
る。焼成時間が短すぎると結晶性の良いリチウム遷移金
属複合酸化物が得られにくくなり、また長すぎるのはあ
まり実用的ではない。焼成時間が長すぎると、また、そ
の後解砕が必要になったり、解砕が困難になったりする
ので、好ましくは25時間以下、さらに好ましくは20
時間以下である。
【0044】結晶欠陥が少ないリチウム遷移金属複合酸
化物を得るためには、焼成反応後、ゆっくりと冷却する
ことが好ましく、例えば5℃/min.以下の冷却速度
で徐冷することが好ましい。焼成時の雰囲気は、製造す
る化合物の組成や構造に応じて、空気等の酸素含有ガス
雰囲気や、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気とする
ことができるが、リチウム遷移金属複合酸化物の場合、
好ましくは空気、酸素富化空気又は酸素である。
【0045】遷移金属化合物がニッケル化合物とマンガ
ン化合物である場合は、得られるリチウム遷移金属複合
酸化物は、リチウムニッケルマンガン複合酸化物とな
る。リチウムコバルトマンガン複合酸化物としては、下
記式にて表されるリチウムコバルト複合酸化物が好まし
く、特に下記式においてQがCoであるリチウムニッケ
ルマンガン複合酸化物が好ましい。
【0046】
【化6】LiXNiYMnZ(1-Y-Z)2 (式中、Xは0<X≦1.2の範囲の数を表す。Y及び
Zは、1≦Y/Z≦9、及び、0<(1−Y−Z)≦
0.5の関係を満たす数を表す。QはCo、Al、M
g、Ga、Ti及びCaからなる群から選ばれる少なく
とも一種を表す。) リチウムニッケルマンガン複合酸化物のうち、代表的な
ものについて「化合物が吸引される磁束密度」を下記に
例示する。
【0047】Li1.03Ni0.60Mn0.30Al0.102
4500ガウス 本発明において焼成に使用する加熱炉は、上記の温度、
雰囲気を達成できるものであれば特に制限はなく、例え
ば箱形炉、管状炉、トンネル炉、ロータリーキルン等を
使用することができる。工程3の焼成は、仮焼、解砕及
び本焼をこの順に行うことにより容量維持率をあげるこ
とができる。仮焼における焼成温度は500〜900
℃、焼成時間は5〜100時間である。焼成後のリチウ
ム遷移金属複合酸化物を解砕する工程である。また解砕
の程度は、仮焼したものの粒径が100μm以下となる
程度、より好ましくは50μm以下となる程度である。
解砕の手段としては、ボールミル、ジェットミル、ピン
ミル等が挙げられる。なお、本焼については上述したと
おりである。
【0048】次に工程4について説明する。工程4は、
焼成後のリチウム遷移金属複合酸化物を解砕する工程で
ある。リチウム遷移金属複合酸化物を解砕する手段とし
ては、ボールミル、ジェットミル、ピンミル等が挙げら
れる。リチウム遷移金属複合酸化物の解砕の程度として
は、粒径が100μm以下となる程度、より好ましくは
50μm以下となる程度である。
【0049】次に本発明における工程5について説明す
る。工程5は、解砕されたリチウム遷移金属複合酸化物
を分級する工程である。分級の手段としては、リチウム
遷移金属複合酸化物を粒子径の大きい物と小さい物とに
分離できるものであれば特に限定はなく、具体的には分
粒によるものが挙げられ、分粒としては乾式が好まし
く、乾式のものとしては篩や気流分級機が挙げられ、特
に気流分級機が好ましい。気流分級機としては重力分
級、慣性力分級、遠心力分級があり、好ましくは遠心力
分級である。
【0050】また、分級の範囲は、上限を粒径100μ
m以下、好ましくは50μm以下とすればよい。本発明
の製造方法で得られるリチウム遷移金属複合酸化物はリ
チウム二次電池の正極の活物質として用いることができ
る。正極は、通常上記正極材料と結着剤と導電剤とを含
有する活物質層を集電体上に形成してなる。本発明にお
いて正極活物質は、リチウム遷移金属複合酸化物であ
る。活物質層は、通常、上記構成成分を含有するスラリ
ーを調製し、これを集電体上に塗布・乾燥することで得
ることができる。
【0051】活物質層中の本発明の正極材料の割合は、
通常10重量%以上、好ましくは30重量%以上、さら
に好ましくは50重量%以上であり、通常99.9重量
%以下、好ましくは99重量%以下である。正極材料が
多すぎると正極の強度が不足する傾向にあり、少なすぎ
ると容量の面で不十分となることがある。正極に使用さ
れる導電剤としては、天然黒鉛、人造黒鉛、アセチレン
ブラックなどのカーボンブラック、ニードルコークス等
の無定形炭素等を挙げることができる。活物質層中の導
電剤の割合は、通常0.01重量%以上、好ましくは
0.1重量%以上、さらに好ましくは1重量%以上であ
り、通常50重量%以下、好ましくは20重量%以下、
さらに好ましくは10重量%以下である。導電剤が多す
ぎると容量の面で不十分となることがあり、少なすぎる
と電気導電性が不十分になることがある。
【0052】また、正極に使用される結着剤としては、
ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、
フッ素化ポリフッ化ビニリデン、フッ素ゴム等のフッ素
系高分子の外、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエ
ン三元共重合体)、SBR(スチレン−ブタジエンゴ
ム)、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、
ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチ
レン、ニトロセルロース等を挙げることができる。活物
質層中の結着剤の割合は、通常0.1重量%以上、好ま
しくは1重量%以上、さらに好ましくは5重量%以上で
あり、通常80重量%以下、好ましくは60重量%以
下、さらに好ましくは40重量%以下である。多すぎる
と容量の面で不十分となることがあり、少なすぎると強
度が不十分になることがある。
【0053】また、スラリーを調製する際に使用する溶
媒としては、通常は結着剤を溶解あるいは分散する有機
溶剤が使用される。例えば、N−メチルピロリドン、ジ
メチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエ
チルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル
酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミ
ノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフ
ラン等を挙げることができる。また、水に分散剤、増粘
剤等を加えてSBR等のラテックスでスラリー化する場
合もある。
【0054】活物質層の厚さは、通常10〜200μm
程度である。正極に使用する集電体の材質としては、ア
ルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属
が用いられ、好ましくはアルミニウムである。なお、塗
布・乾燥によって得られた活物質層は、電極材料の充填
密度を上げるためローラープレス等により圧密されるの
が好ましい。
【0055】本発明のリチウム二次電池は、通常上記正
極と負極及び非水系電解液とを有する。本発明のリチウ
ム二次電池に使用できる負極材料としては、炭素材料を
使用するのが好ましい。このような炭素材料としては、
天然ないし人造の黒鉛、石油系コークス、石炭系コーク
ス、石油系ピッチの炭化物、石炭系ピッチの炭化物、フ
ェノール樹脂・結晶セルロース等樹脂の炭化物およびこ
れらを一部炭化した炭素材、ファーネスブラック、アセ
チレンブラック、ピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊
維、あるいはこれらの2種以上の混合物等が挙げられ
る。負極材料は、通常、結着剤及び必要に応じて導電剤
とともに集電体上に活物質層として形成される。また、
リチウム金属そのものや、リチウムアルミニウム合金等
のリチウム合金を負極として用いることもできる。負極
に使用できる結着剤や導電剤は、正極に使用するものと
同様のものを例示することができる。
【0056】負極の活物質層の厚さは、通常10〜20
0μm程度である。負極の活物質層の形成は、前記正極
の活物質層の形成方法に準じて行うことができる。負極
の集電体の材質としては、通常銅、ニッケル、ステンレ
ス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属が用いられ、好ましく
は銅である。本発明のリチウム二次電池に使用できる非
水系電解液としては、各種の電解塩を非水系溶媒に溶解
したものを挙げることができる。
【0057】非水系溶媒としては、例えばカーボネート
類、エーテル類、ケトン類、スルホラン系化合物、ラク
トン類、ニトリル類、ハロゲン化炭化水素類、アミン
類、エステル類、アミド類、燐酸エステル化合物等を使
用することができる。これらの代表的なものを列挙する
と、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、
クロロエチレンカーボネート、トリフルオロプロピレン
カーボネート、ブチレンカーボネート、ジエチルカーボ
ネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネ
ート、ビニレンカーボネート、テトラヒドロフラン、2
−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、4
−メチル−2−ペンタノン、1,2−ジメトキシエタ
ン、1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、
1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソ
ラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラ
ン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリ
ル、ブチロニトリル、バレロニトリル、1,2−ジクロ
ロエタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシ
ド、燐酸トリメチル、燐酸トリエチル等の単独もしくは
二種類以上の混合溶媒が使用できる。
【0058】上述の非水系溶の中でも、電解質を解離さ
せるために高誘電率溶媒を使用するのが好ましい。高誘
電率溶媒とは、概ね25℃における比誘電率が20以上
の化合物を意味する。高誘電率溶媒の中で、エチレンカ
ーボネート、プロピレンカーボネート及びそれらの水素
原子をハロゲン等の他の元素またはアルキル基等で置換
した化合物が電解液中に含まれることが好ましい。この
ような高誘電率溶媒を使用する場合、高誘電率溶媒の電
解液中に占める割合は、通常20重量%以上、好ましく
は30重量%以上、さらに好ましくは40重量%以上で
ある。該高誘電率溶媒の含有量が少ないと、所望の電池
特性が得られない場合がある。
【0059】電解塩としては、従来公知のいずれもが使
用でき、LiClO4、LiAsF6、LiPF6、Li
BF4、LiB(C654、LiCl、LiBr、Li
CH3SO3Li、LiCF3SO3、LiN(SO2
32、LiN(SO2252、LiC(SO2
33、LiN(SO3CF32等のリチウム塩が挙げ
られる。
【0060】また、CO2、N2O、CO、SO2等のガ
スやポリサルファイドSx2-、ビニレンカーボネート、
カテコールカーボネートなど負極表面にリチウムイオン
の効率よい充放電を可能にする良好な皮膜を生成する添
加剤を任意の割合で電解液中に存在させてもよい。な
お、電解液の代わりに、リチウムイオン等のアルカリ金
属カチオンの導電体である高分子固体電解質を用いるこ
ともできる。また、上記電解液を、高分子によって非流
動化して半固体状電解質を用いることもできる。本発明
のリチウム二次電池においては、正極と負極との間に、
上記のような様々な材料によって電解質層を設けること
ができる。
【0061】正極と負極との間には、通常セパレーター
が設けられる。セパレータとしては、微多孔性の高分子
フィルムが用いられ、その材質としては、ナイロン、ポ
リエステル、セルロースアセテート、ニトロセルロー
ス、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化
ビニリデン、テトラフルオロエチレンや、ポリプロピレ
ン、ポリエチレン、ポリブテン等のポリオレフィン系高
分子を挙げることができる。また、ガラス繊維等の不織
布フィルター、さらにはガラス繊維と高分子繊維の複合
不織布フィルター等も用いることができる。セパレータ
の化学的及び電気化学安定性は重要な因子であり、この
点から材質としては、ポリオレフィン系高分子が好まし
く、特に、電池セパレータの目的の一つである自己閉塞
温度の点からポリエチレン製であることが好ましい。
【0062】ポリエチレン製セパレータの場合、高温形
状維持性の点から超高分子量ポリエチレンであることが
好ましく、その分子量の下限は好ましくは50万、更に
好ましくは100万、最も好ましくは150万である。
他方分子量の上限は、好ましくは500万、更に好まし
くは400万、最も好ましくは300万である。分子量
が大きすぎると、流動性が低すぎて加熱されたときセパ
レータの孔が閉塞しない場合があるからである。
【0063】
【実施例】下記において、SUS粉(焼成)とは、SU
S粉を焼成温度900℃で10時間焼成したものであ
る。 [化合物が吸引される磁束密度の測定]試料の粉末とサマ
リウム磁石(表面磁束密度6000ガウス)とを水平に
敷いた紙の上に10cm程度離して置き、磁石を徐々に
試料に近づけていき、試料が磁石に吸い寄せられた場所
の磁束密度をカネテック社製磁力計(TM―501)で
計測した。代表的な化合物の吸引される磁束密度を下記
に例示する。
【0064】
【表1】
【0065】上記表1において6000ガウス以上と
は、6000ガウスでは吸引されなかったことを意味す
る。 実施例1 Mn23 10gに対し、粒径100μm程度の鉄粉1
gを混入し混合したものを紙上に拡げ、磁束密度が60
00ガウスの磁石を試料が受ける磁力が2000ガウス
になるまで上から近づけた。この状態で紙を5分間左右
に揺らした。その結果、鉄粉1gが磁石により回収され
た。
【0066】実施例2 鉄粉の代わりに、粒径100μm程度のSUS粉(未焼
成)1gを用いた以外は実施例1と同様にして、SUS
粉(未焼成)1gを磁石により回収した。 実施例3 鉄粉の代わりに、粒径100μm程度のSUS粉(焼
成)を用いた以外は、実施例1と同様にして、SUS粉
(焼成)1gを磁石により回収した。
【0067】実施例4 磁石を、試料が受ける磁力が500ガウスとなるまで近
づけた以外は実施例1と同様にして、鉄粉1gを磁石に
より回収した。 実施例5 Mn23 10gの代わりに、Ni(OH)2 10gを
用い、磁石を、磁石が受ける磁力が2500ガウスにな
るまで近づけた以外は、実施例2と同様にして、SUS
粉(未焼成)1gを回収した。
【0068】実施例6 Mn23 10gの代わりに、Co(OH)2 10gを
用い、磁石を、磁石が受ける磁力が2000ガウスにな
るまで近づけた以外は、実施例2と同様にして、SUS
粉(未焼成)1gを回収した。 実施例7 Mn23、AlOOH、 Li2CO3 を、それぞれ最終
的なスピネル型リチウムマンガン複合酸化物中の組成
で、Li:Mn:Al=1.04:1.84:0.12
(モル比)となるように秤量したもの(以下「原料混合
物」という)10gに、粒径100μm程度の鉄粉1g
を混入し混合したものを紙上に拡げ、磁束密度が600
0ガウスの磁石を試料が受ける磁力が2000ガウスに
なるまで上から近づけた。この状態で紙を5分間左右に
揺らした。その結果、鉄粉1gが磁石により回収され
た。
【0069】実施例8 実施例7により得られた鉄粉が除去された原料混合物1
00gをボールミルで30分間粉砕した。次いで該原料
混合物を焼成路に充填し、800℃で40時間仮焼し、
次いでボールミルで1時間解砕した後、900℃にて5
0時間本焼し、正極活物質とした。得られた正極活物質
をボールミルで5分間解砕し、次いで50μmのメッシ
ュのふるいにかけた。その結果、平均粒子径9μmのほ
ぼ球状の造粒粒子が得られた。X線解折を測定したとこ
ろ、立方晶のスピネル型リチウムマンガン複合化合物の
構造を有していることが確認された。
【0070】
【発明の効果】本発明により、電池材料への鉄の混入を
防止することができ、更には、電池材料へのSUS粉の
混入を防止することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G048 AA04 AB01 AB05 AC06 AE05 AE08 5H029 AJ14 AK03 AL06 AM02 AM03 AM04 AM05 AM07 CJ00 CJ02 CJ08 CJ12 CJ28 DJ16 5H050 AA19 BA17 CA07 CB07 FA17 GA02 GA05 GA10 GA12

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リチウム化合物、遷移金属化合物、及び
    必要に応じて置換元素金属化合物を混合する工程1、該
    混合物を乾式粉砕機にかけ混合物を粉砕する工程2、次
    いで該混合物を焼成炉に充填し焼成し、リチウム遷移金
    属複合酸化物を得る工程3、焼成後のリチウム遷移金属
    複合酸化物を解砕する工程4、解砕されたリチウム遷移
    金属複合酸化物を分級する工程5からなり、工程1の
    前、工程2の前、工程2の後のいずれか1つ以上に、磁
    力により鉄粉及び/又はSUS粉を除去する工程を設け
    たことを特徴とするリチウム遷移金属複合酸化物の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 工程2の後に、磁力により鉄粉及び/又
    はSUS粉を除去する工程を設けた請求項1に記載の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 更に工程5の前又は後に、磁力により鉄
    粉及び/又はSUS粉を除去する工程を設けた請求項1
    又は2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 工程3の焼成が、仮焼、解砕及び本焼を
    この順に行われる請求項1〜3のいずれかに記載の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 解砕の後に、磁力により鉄粉及び/又は
    SUS粉を除去する工程を設けた請求項4に記載の製造
    方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010277987A (ja) * 2009-04-28 2010-12-09 Jfe Steel Corp 乾電池からのマンガン酸化物回収方法
JP2011222206A (ja) * 2010-04-07 2011-11-04 Nissan Motor Co Ltd 電極の製造装置、製造方法及び電極並びに当該電極を用いたリチウムイオン電池
US8500444B2 (en) 2009-09-14 2013-08-06 Takasago Industry Co., Ltd. Rotary kiln and battery material manufactured by the rotary kiln

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