JP2003115275A - 走査形電子顕微鏡 - Google Patents

走査形電子顕微鏡

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JP2003115275A JP2002284082A JP2002284082A JP2003115275A JP 2003115275 A JP2003115275 A JP 2003115275A JP 2002284082 A JP2002284082 A JP 2002284082A JP 2002284082 A JP2002284082 A JP 2002284082A JP 2003115275 A JP2003115275 A JP 2003115275A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 試料を高角度に傾斜した場合にも、高効率な
二次電子検出を行って高分解能観察を行うことのできる
走査電子顕微鏡を提供する。 【構成】 レンズ磁界100を試料側に発生できる磁極
形状の対物レンズ6の電子線通路部に1個以上の加速電
極10a,10bを配置して正の電圧を印加し、加速電
極のうち試料に最も接近した電極10bの外側、又は試
料側に電界補正電極11を配置して負の電圧を印加す
る。また、加速電極のうち試料に最も接近した電極10
bを磁性体で形成して磁極として機能させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子線装置に係り、特に
試料を傾斜した状態で高分解能像を得ることのできる走
査電子顕微鏡及びその類似装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、走査電子顕微鏡において高分解能
像を得るための方法として、対物レンズ磁極の間に試料
を配置する、いわゆるインレンズ方式にする方法、ある
いは対物レンズの内側の磁極の外径を外側の磁極の内径
よりも小さくし、かつ内側の磁極の下面を外側の磁極の
下面と同程度かそれよりも試料側に突出させて試料側に
レンズ磁界を発生させる方法が知られている。また、米
国特許第4,713,543号明細書に記載されている
ように、電子銃から対物レンズ部までの電子線通路に軸
対称な電極を配置して正の高電圧を印加し、対物レンズ
を通過するときの一次電子線のエネルギーを試料に到達
するときのエネルギー(最終加速電圧)よりも高くし
て、対物レンズの収差を低減する方法も知られている。
【0003】上記の方法では、いずれも試料から発生す
る二次電子が対物レンズの磁界に巻き上げられるか、あ
るいは対物レンズの電子線通路に配置した電極の印加電
圧で加速されて、対物レンズの上部(電子源側)に進行
するため、二次電子を対物レンズの上部で検出する必要
がある。特に、試料側にレンズ磁界を発生させる対物レ
ンズでは、対物レンズの上部に進行した二次電子はその
後、対物レンズの磁界が消滅すると発散してしまうの
で、対物レンズの磁界が消滅した後の二次電子の発散を
抑えて二次電子を効率よく検出するために、対物レンズ
の磁極の一次電子線通路部に二次電子を加速する電極
(加速電極)を配置して正の電圧を印加していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術では、二次電子を加速する電極(加速電極)に印
加している正の電圧、あるいは収差を低減する目的で一
次電子線を加速する電極(加速電極)に印加している正
の電圧により、試料と加速電極との間に電界が発生す
る。
【0005】試料を傾斜しないときには、加速電極と試
料との間の電界は軸対称となるため、この電界の作用と
対物レンズの磁界の作用で、試料から発生する二次電子
が効率よく対物レンズ上部の二次電子検出器に導かれ
る。しかし、試料を傾斜すると、試料の傾斜方向で加速
電極と試料の間の距離が変化して電界の強いところと弱
いところが発生するため、二次電子は光軸と直交する方
向に偏向される。その結果、試料から発生した二次電子
は対物レンズを通過する途中で壁に衝突し、対物レンズ
の上部に配置した二次電子検出器に到達しなくなる欠点
があった。その上、この非対象な電界は収差発生の原因
ともなる。
【0006】また、対物レンズ磁極の電子線通路に電極
を配置するために、対物レンズ下面(平坦部)の直径が
大きくなり、試料を高角度に傾斜した場合に対物レンズ
下面と試料との距離(ワーキングディスタンス)が長く
なって、分解能が低下するという問題があった。一方、
対物レンズの下部に電極を配置して負の電圧を印加する
方法が、例えば特公昭60−9543号公報に開示され
ている。しかし、この方法は、二次電子のエネルギー弁
別を目的とするものであるため、エネルギー弁別を行わ
ない通常の二次電子像観察では電極の電圧を0Vにする
必要があり、対物レンズの磁界消滅後の二次電子の発散
を抑えることができない。
【0007】本発明の目的は、試料から発生した二次電
子を比較的長い距離輸送して対物レンズの上部で検出す
るタイプの走査電子顕微鏡において、前記従来技術の欠
点をなくし、試料傾斜時に二次電子検出効率を低下させ
ないで高分解能観察を行うとともに、試料を傾斜した場
合にも短いワーキングディスタンスを実現することので
きる走査電子顕微鏡を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明では、二次電子の加速電極の外側、あるいは
試料側に電界補正電極を配置し、対物レンズから試料表
面までの光軸上の電位を0又は正の電位に維持できる範
囲で電界補正電極に負の適切な電圧を印加する。電界補
正電極は軸対象な形状とするのが好ましい。この電界補
正電極の設置により、試料の傾斜角度によらず常に最高
の二次電子検出効率を維持できる。なお、試料を傾斜し
たときに生じる二次電子の偏向作用は加速電極の印加電
圧に依存するため、電界補正電極の印加電圧は加速電極
の印加電圧に連動して変化させる。
【0009】また、試料を傾斜したときのワーキングデ
ィスタンスを短くするために、加速電極を磁性体で構成
して対物レンズ磁極の一部として機能させる。逆の言い
方をすると、対物レンズの磁極を光軸方向に2分割し、
その一方に電圧を印加して加速電極として作用させる。
正の電圧を印加された加速電極と負の電圧を印加された
電界補正電極は、一次電子線の照射点における試料の表
面付近を少なくとも0又は正の電位に維持した状態で、
試料を傾斜したときに、ビーム照射点及びその周辺の電
位分布の軸対称性が崩れることを防止する。
【0010】
【作用】試料を傾斜したときに、正電圧を印加された加
速電極と試料の間に発生する電界による二次電子の偏向
を、加速電極と同軸上に配置して負電圧を印加された電
界補正電極と試料の間に発生される電界の偏向作用で相
殺する。そのため、電極と試料との間で二次電子が偏向
されることは無くなり、二次電子は偏向されずに加速電
極に進入できる。加速電極の内部の電位は軸対称である
ため、加速電極に進入した二次電子は光軸と直交方向に
偏向されることなく加速される。したがって、試料を傾
斜しないときと同じ状態で二次電子を検出できる。
【0011】図2は、このことを走査電子顕微鏡の撮像
視野の変化によって説明したものである。図2(a)
は、加速電極を備えるが、本発明の電界補正電極を備え
ない従来の走査電子顕微鏡において、試料の傾斜がゼロ
のときの撮像視野80を表し、明るい領域81が視野中
心にある。この状態で試料を傾斜すると、図2(b)に
矢印で示すように明るい領域81は視野80の中心から
逃げる。これは、試料を傾斜したことによって加速電極
と試料の間の電界が軸非対称になり、試料から発生した
二次電子がその非対象な電界によって偏向されたためで
ある。ところが、加速電極と共に電界補正電極を設置
し、その電界補正電極に負の電圧を印加すると、図2
(c)に矢印で示すように、視野の隅の方に逃げていた
明るい領域81は視野中心方向に向かって移動する。そ
して、負の電圧を適切な値とすると明るい領域81は再
び視野中心に戻り、図2(a)と同様の条件で試料を観
察することができるようになる。
【0012】また、電界補正電極を設けると試料を傾斜
しても試料のビーム照射点付近の電位分布があまり軸非
対称にならないので、一次電子線に対しても非点収差の
増大を抑える効果がある。試料傾斜時に加速電極と試料
の間に形成された電界によって生じる二次電子の偏向作
用は、試料に最も接近した加速電極の印加電圧に依存す
るため、電界補正電極の負の印加電圧を試料に最も接近
した加速電極の印加電圧と連動させて、予め定めた関係
(二次電子の偏向作用が相殺される印加電圧の関係)が
成立するように制御することで、例えば、加速電圧やワ
ーキングディスタンスに応じて加速電極の印加電圧を変
えた場合においても、試料傾斜時の二次電子偏向作用を
なくして高効率な二次電子検出が可能になる。
【0013】加速電極のうち、試料に最も接近している
電極を磁性体で構成して対物レンズ磁極として機能させ
ると、対物レンズ下面の直径を小さくすることができ、
試料傾斜時のワーキングディスタンスが短くなって高分
解能が得られる。
【0014】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明す
る。図1は、本発明による走査電子顕微鏡の一実施例の
概略構成図である。陰極1と第一陽極2の間には、マイ
クロプロセッサ(CPU)50で制御される高圧制御電
源40により電圧V1が印加され、所定のエミッション
電流が陰極から引き出される。陰極1と第二陽極3の間
にはCPU50で制御される高圧制御電源41により加
速電圧Vaccが印加されるため、陰極1から放出された
一次電子線4はVaccの電圧に加速されて後段のレンズ
系に進行する。一次電子線4は、レンズ制御電源16で
制御された集束レンズ5と対物レンズ6により試料7に
微小スポットとして集束され、偏向コイル8で試料上を
二次元的に走査される。偏向コイル8の走査信号は、観
察倍率に応じて偏向制御回路15により制御される。一
次電子線の集束角(ビーム開き角)は対物レンズ絞り1
4で決められる。試料7を載置した試料ステージ70
は、試料を水平方向に移動する機能及び試料を傾斜させ
る機能を備えている。
【0015】対物レンズ6の電子線通路部には軸対称な
加速電極10a及び10bが配置され、電圧制御電源3
1a及び31bにより、それぞれ正の電圧Va1及びVa2
が印加される。一次電子線4は、加速電極10a及び1
0bに印加された電圧Va1及びVa2によって加速電圧V
accよりもさらに加速された後、対物レンズ磁極と試料
7との間で元のエネルギー(Vacc)に減速して試料7
に照射される。対物レンズ6の磁極はレンズ磁界100
を試料側に発生できるように、外側磁極の孔径が内側磁
極の孔径よりも大きく、かつ、内側磁極の先端が外側磁
極の先端よりも試料側に位置している。加速電極10a
及び10bにそれぞれ正の電圧Va1及びVa2を印加する
と、一次電子線4は対物レンズ磁界100の中をVacc
よりも高いエネルギーで通過するため、レンズ収差が低
減される。
【0016】電子線4の照射によって試料7から発生し
た二次電子9は、対物レンズ6の磁界にトラップされて
対物レンズ上方へ進行しながら加速電極10bの電圧V
a2で加速された後に、電圧Va1を印加された加速電極1
0aと電圧Va2を印加された加速電極10bのギャップ
部に形成される静電レンズの作用を受けて集束され、対
物レンズ6の磁界が消滅しても発散することなく対物レ
ンズ6の上部に進行して二次電子検出器20で検出され
る。電圧Va1とVa2は、いずれが大きくても、あるいは
両電圧が等しくてもその境界領域に静電レンズを形成す
ることができ、その値は加速電圧Vaccの大きさやワー
キングディスタンスに応じて適宜設定される。二次電子
検出器20の信号は、像信号増幅器17を通して画像メ
モリ51に取り込まれ、像表示装置18に試料の拡大像
として表示される。電子光学系の構成要素を制御する各
制御回路及び制御電源は、それぞれCPU50で集中制
御される。
【0017】対物レンズ6に設けられた加速電極10b
の外側には、軸対称な電界補正電極11が配置されてお
り、電圧制御電源32により負の電圧Vbが印加され
る。電界補正電極11の電圧Vbは、試料7を傾斜した
ときに、Vbに起因する二次電子9の偏向作用が加速電
極10bの電圧Va2に起因する偏向作用を相殺する値に
設定される。この二次電子の偏向作用が相殺されるVb
とVa2の関係は予め実験やシミュレーションで求めてお
き、その関係を満たすように制御CPU50で設定する
ことができる。
【0018】次に、電界補正電極の作用を図3、図4及
び図5により説明する。図3は、左側に対物レンズ断面
を、右側に光軸上の電位分布を示したものである。試料
位置の電位は0であり、試料付近の光軸上の電位は電界
補正電極11に印加する電圧Vbの大きさに応じて変化
する。電位勾配が存在する領域は静電レンズとして働
き、試料から発生した二次電子を集束する作用をする。
図中の曲線aは電界補正電極11が無いときの電位分布
を示し、電界補正電極11に印加する負の電圧Vbの絶
対値を大きくして行くに従って光軸上の電位分布は曲線
b,cのように変化してゆく。曲線bはVbの値が適切
なときの電位分布を示し、曲線cはVbの絶対値が大き
すぎるときの電位分布を示す。電位分布cでは、光軸上
に電位が負になる領域が形成されるため、試料から発生
した二次電子を対物レンズ内に引き上げることができ
ず、二次電子を検出することができない。
【0019】図4は電界補正電極が無いときの、試料傾
斜時の等電位線を示している。電界補正電極が無い場合
には、図4に示すように、試料傾斜時に等電位線101
が試料7の傾斜方向に非対称にはみ出すため、試料7か
ら発生した二次電子9は光軸の方向に加速されるだけで
なく、光軸と直交する方向(試料傾斜方向)にも偏向作
用を受ける。その結果、大部分の二次電子は加速電極1
0a,10bの内壁に衝突して二次電子検出器20に到
達しない。
【0020】図5は、加速電極10bの外側に電界補正
電極11を配置して負の電圧Vbを印加したときの、試
料傾斜時の等電位線101を示している。電界補正電極
11には負の電圧Vbを印加するため、試料傾斜時に二
次電子が負電圧Vbによって偏向される方向と、加速電
極10bの正電圧Va2によって偏向される方向とは逆向
きになる。したがって、Vbによる二次電子の偏向作用
とVa2による二次電子の偏向作用とが相殺されるように
電圧Vbの値を選ぶことにより、図5に示すように両電
極による試料近傍の電位分布の軸対称性が改善され、二
次電子9が光軸と直交する方向に偏向されずに対物レン
ズ6の上部へ進行して二次電子検出器20で検出され
る。
【0021】図6は、各電極への印加電圧の一例を示す
図である。図6は縦軸が印加電圧、横軸が試料傾斜角度
であり、加速電圧Vaccが1kVのときの各電極10
a,10b,11への印加電圧Va1,Va2,Vbと試料
傾斜角度の関係、及び加速電圧Vaccが10kVのとき
の各電極10a,10b,11への印加電圧V'a1,V'
a 2,V'bと試料傾斜角度の関係を示している。電圧
b,V'bは負電圧であるが、図6では簡単のため絶対
値で示してある。加速電圧Vaccが1kVのときには、
一次電子線のフォーカスに必要な対物レンズ磁界強度が
加速電圧10kVのときに比較して小さいため、試料か
ら発生した二次電子を対物レンズ部の二次電子加速電極
まで導く磁界強度も弱い。そのため、試料に最も近接し
た二次電子加速電極10bの1kVにおける印加電圧V
a2は、対物レンズの磁界の弱さを補うために、加速電圧
10kVのときの値V'a2よりも高い値に設定する必要
がある。これに伴い、電界補正電極11の電圧Vbも加
速電圧Vaccが1kVのときには高く、加速電圧Vacc
10kVのときには低い値V'bに設定される。
【0022】試料に最も近接した二次電子加速電極10
bの印加電圧Va2の最適値は、試料7と加速電極10b
までの距離、及びその間の磁界の強さに依存するため、
加速電圧Vaccやワーキングディスタンス毎にその最適
条件を見出すことになる。一方、電界補正電極11の印
加電圧Vbは、試料7に最も近接した加速電極10bの
印加電圧Va2に依存するため、加速電極10bへの印加
電圧Va2を決めた後に試料傾斜による二次電子の損失が
無いようにその最適値を決定する。試料に近接していな
い他の加速電極10aへの印加電圧Va1は加速電圧V
accやワーキングディスタンスに対して変化しないた
め、それらの条件に対しては一定値とすることができ
る。これは二次電子9のエネルギーが加速電圧Vacc
ワーキングディスタンスに依存しないためである。
【0023】試料傾斜角度が0゜から約45゜の範囲で
は、電界補正電極11への印加電圧Vbを一定にして
も、試料から発生した二次電子を効率よく二次電子検出
器20に導き、高分解能像を得ることができる。しか
し、試料傾斜角度をさらに大きくする場合には、図6に
示すように、電界補正電極11への印加電圧Vbを試料
傾斜角度に応じて制御することが、二次電子の高効率検
出に有効である。
【0024】上に述べたような(1) 種々の加速電圧V
accやワーキングディスタンスに対して最適なVa2
値、(2) 試料傾斜時に二次電子の偏向作用を相殺するた
めのVa2 とVbの関係、及び(3) 大きな試料傾斜角度に
対して最適な印加電圧Vb等の関係は、いずれも実験あ
るいは数値シミュレーションで求めて関係式又はテーブ
ルの形で記憶しておくことができる。CPU50は、そ
れらの関係式あるいはテーブルを参照して電源31b,
32を最適制御する。
【0025】次に、対物レンズの電子線通路部に配置す
る加速電極、及び電界補正電極の他の実施例について説
明する。図7は、加速電極10aと10bを一部オーバ
ーラップさせて配置した実施例である。この場合、2つ
の加速電極10a,10bの境界部分に静電レンズを形
成するためには、加速電極10aへの印加電圧Va1と加
速電極10bへの印加電圧Va2を異ならせる必要があ
る。
【0026】図8は、対物レンズ6の電子線通路に1個
の加速電極10を配置する例である。電界補正電極11
は、対物レンズ6の内側磁極の下方に位置する。本実施
例の場合、二次電子の発散を抑制する機能に限界があ
り、対応できるVaccの範囲やワーキングディスタンス
の範囲が限られる等、加速電極を2個以上配置する場合
に比べて調節の自由度は制限されるものの、他の実施例
と同様に試料を傾斜させた状態で高分解能観察を行うこ
とができる。
【0027】図9は、対物レンズの電子線通路部に配置
する加速電極のうち試料に最も接近して配置される加速
電極10bを磁性体で構成した例である。磁性体電極1
0bは対物レンズ6の内側磁路6aに対して磁気的に接
続して配置され、対物レンズ6の内側磁極として機能す
る。電界補正電極11は磁性体電極10bの外側に試料
の傾斜を邪魔しないように配置される。本実施例による
と、加速電極10bの下面が対物レンズ下面となり、試
料を傾斜しても短いワーキングディスタンスで高分解能
観察ができる。磁性体磁極10bは、対物レンズ6の内
側磁路6aに対する組立位置精度を向上するために、図
10に示すように、上部部分を内側磁路6aに被せるよ
うな構造とすることもできる。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、試料を高角度に傾斜し
ても短いワーキングディスタンスが実現できるためレン
ズ収差が小さくできるとともに、高い二次電子検出効率
が得られるため、試料を高角度に傾斜して高分解能観察
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の概略断面図。
【図2】加速電極及び電界補正電極が撮像視野に与える
影響の説明図。
【図3】光軸上の電位分布の説明図。
【図4】電界補正電極がないときの等電位線分布と二次
電子の軌道の説明図。
【図5】電界補正電極に負の電圧を印加したときの等電
位線分布と二次電子軌道の説明図。
【図6】試料傾斜角度と各電極への印加電圧の関係を示
す説明図。
【図7】加速電極及び電界補正電極の他の実施例の説明
図。
【図8】加速電極及び電界補正電極の他の実施例の説明
図。
【図9】加速電極を磁性体で構成した実施例の説明図。
【図10】加速電極を磁性体で構成した他の実施例の説
明図。
【符号の説明】
1:陰極、2:第一陽極、3:第二陽極、4:一次電子
線、5:集束レンズ、6:対物レンズ、7:試料、8:
偏向コイル、9:二次電子、10a,10b:加速電
極、11:電界補正電極、14:対物レンズ絞り、1
5:偏向制御回路、16:レンズ系制御回路、17:像
信号増幅器、18:像表示装置、20:二次電子検出
器、31a:加速電極電源、31b:加速電極電源、3
2:電界補正電極電源、50:制御CPU、51:画像
メモリ、70:試料ステージ、80:撮像視野、81:
明るい領域、100:対物レンズの軸上磁界分布、10
2:等電位線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小瀬 洋一 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株 式会社日立製作所エネルギー研究所内 Fターム(参考) 5C001 AA03 AA05 CC04 5C033 DD02 DD09 DE02 DE06 UU02 UU03

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一次電子線を細く絞って試料に照射する
    ための集束レンズ系と、該一次電子線を試料上で二次元
    的に走査するための電子線偏向手段と、対物レンズと、
    載置した試料を少なくとも水平及び傾斜方向に移動させ
    る機構を有する試料ステージとを含む走査形電子顕微鏡
    において、 前記対物レンズの磁極は試料側に磁場を発生させる形状
    を有し、該対物レンズの電子線通路部の軸方向に1個以
    上配置された一次電子線が通過できる軸対称な加速電極
    と、 該加速電極に正の電圧を印加する手段と、 前記加速電極のうち試料に最も接近している電極よりも
    外側、又は試料側に配置された一次電子線が通過できる
    電界補正電極と、 該電界補正電極に、前記試料ステージの傾斜角が所定の
    大きさ以上のとき、当該所定の大きさ未満のときに比べ
    て大きな負の電圧を印加する手段とを備えることを特徴
    とする走査電子顕微鏡。
  2. 【請求項2】 一次電子線を細く絞って試料に照射する
    ための集束レンズ系と、該一次電子線を試料上で二次元
    的に走査するための電子線偏向手段と、対物レンズと、
    載置した試料を少なくとも水平及び傾斜方向に移動させ
    る機構を有する試料ステージとを含む走査形電子顕微鏡
    において、 前記対物レンズの磁極は試料側に磁場を発生させる形状
    を有し、該対物レンズの電子線通路部の軸方向に1個以
    上配置された一次電子線が通過できる軸対称な加速電極
    と、 該加速電極に正の電圧を印加する手段と、 前記加速電極のうち試料に最も接近している電極よりも
    外側、又は試料側に配置された一次電子線が通過できる
    電界補正電極と、 該電界補正電極に負の電圧を印加する手段とを備え、 当該電界補正電極に負の電圧を印加する手段は、前記一
    次電子線の加速電圧が小さいときには大きな負の電圧を
    印加し、前記一次電子線の加速電圧が大きいときには小
    さな負の電圧を印加することを特徴とする走査電子顕微
    鏡。
  3. 【請求項3】 一次電子線を細く絞って試料に照射する
    ための集束レンズ系と、該一次電子線を試料上で二次元
    的に走査するための電子線偏向手段と、対物レンズと、
    載置した試料を少なくとも水平及び傾斜方向に移動させ
    る機構を有する試料ステージとを含む走査形電子顕微鏡
    において、 前記対物レンズの磁極は試料側に磁場を発生させる形状
    を有し、該対物レンズの電子線通路の軸方向に配置され
    た一次電子線が通過できる軸対称な1個の加速電極と、 該加速電極に正の電圧を印加する手段と、 前記加速電極よりも外側、又は試料側に配置された一次
    電子線が通過できる電界補正電極と、 該電界補正電極に、前記1個の加速電極に印加される正
    電圧より絶対値が大なる負の電圧を印加する手段とを備
    えることを特徴とする走査電子顕微鏡。
  4. 【請求項4】 一次電子線を細く絞って試料に照射する
    ための集束レンズ系と、該一次電子線を試料上で二次元
    的に走査するための電子線偏向手段と、対物レンズと、
    載置した試料を少なくとも水平及び傾斜方向に移動させ
    る機構を有する試料ステージとを含む走査形電子顕微鏡
    において、 前記対物レンズの磁極は試料側に磁場を発生させる形状
    を有し、該対物レンズの電子線通路の軸方向に配置され
    た一次電子線が通過できる軸対称な1個の加速電極と、 該加速電極に正の電圧を印加する手段と、 前記加速電極よりも外側、又は試料側に配置された一次
    電子線が通過できる電界補正電極と、 該電界補正電極に、前記試料ステージが傾斜したときに
    発生する横方向の電界を相殺するような電界を発生する
    ための負の電圧を印加する手段とを備えることを特徴と
    する走査電子顕微鏡。
  5. 【請求項5】 一次電子線を細く絞って試料に照射する
    ための集束レンズ系と、該一次電子線を試料上で二次元
    的に走査するための電子線偏向手段と、対物レンズと、
    載置した試料を少なくとも水平及び傾斜方向に移動させ
    る機構を有する試料ステージとを含む走査形電子顕微鏡
    において、 前記対物レンズの磁極は試料側に磁場を発生させる形状
    を有し、該対物レンズの内側磁路に磁気的に接続して配
    置され、対物レンズの内側磁極として機能する磁性体
    と、 該磁性体に正の電圧を印加する手段と、 前記磁性体よりも外側、又は試料側に配置された一次電
    子線が通過できる電界補正電極と、 該電界補正電極に、前記磁性体に印加される正電圧より
    絶対値が大なる負の電圧を印加する手段とを備えること
    を特徴とする走査電子顕微鏡。
  6. 【請求項6】 一次電子線を細く絞って試料に照射する
    ための集束レンズ系と、該一次電子線を試料上で二次元
    的に走査するための電子線偏向手段と、対物レンズと、
    載置した試料を少なくとも水平及び傾斜方向に移動させ
    る機構を有する試料ステージとを含む走査形電子顕微鏡
    において、 前記対物レンズの磁極は試料側に磁場を発生させる形状
    を有し、該対物レンズの内側磁路に磁気的に接続して配
    置され、対物レンズの内側磁極として機能する磁性体
    と、 該磁性体に正の電圧を印加する手段と、 前記磁性体よりも外側、又は試料側に配置された一次電
    子線が通過できる電界補正電極と、 該電界補正電極に、前記試料ステージが傾斜したときに
    発生する横方向の電界を相殺するような電界を発生する
    ための負の電圧を印加する手段とを備えることを特徴と
    する走査電子顕微鏡。
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