JP2003114064A - ロータリー弁を用いたパルスチューブエキスパンダ - Google Patents

ロータリー弁を用いたパルスチューブエキスパンダ

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Abstract

(57)【要約】 【課題】長寿命化が図れ、冷凍効率に優れたパルスチュ
ーブエキスパンダを提供する。 【解決手段】アクティブバッファを取り付けたパルスチ
ューブ冷凍機であって、温端部に連通する高圧切替弁お
よび低圧切替弁並びに前記冷端部に連通する高圧吸気弁
および低圧供給弁にロータリー弁を用いたことを特徴と
するパルスチューブエキスパンダである。両端のロータ
リー弁との作動を同期し、単一のモータで駆動させる構
造とし、さらに、パルスチューブとロータリー弁と一体
で構成するのが望ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、産業用空調設備、
家庭用空調設備、車用空調装置、保冷倉庫および冷蔵冷
凍庫等に用いられるパルスチューブエキスパンダに関
し、さらに詳しくは、低温作動時においても長寿命化が
図れ、複雑な制御にも対応でき、冷凍効率に優れたロー
タリー弁を用いたパルスチューブエキスパンダに関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】小型で極低温用冷凍機として用いられる
パルスチューブ冷凍機は、膨張部に固体ピストンを有し
ない機械式冷凍機の一種であって、冷媒ガスの圧力振動
を繰り返し冷凍機に供給することにより、冷凍機の内部
で冷媒ガスに膨張および圧縮を加えて、冷熱を発生させ
るエネルギー変換装置である。この冷凍機の一形態とし
て、パルスチューブのみを有し、冷却された冷媒ガスを
直接に被冷却空間または被冷却物に供給するパルスチュ
ーブ冷凍機、すなわち、パルスチューブエキスパンダが
ある。
【0003】図1は、パルスチューブエキスパンダの全
体構成を模式的に示した図である。パルスチューブエキ
スパンダでは、膨張部であるパルスチューブ1が設けら
れ、その両端に温端部1aと冷端部1bとが配置される。パ
ルスチューブの冷端部1bには、冷媒ガスに圧力振動を発
生させる圧縮機2と高圧吸気弁3および低圧供給弁4と
が連通されている。一方、パルスチューブの温端部1aに
は位相制御手段5が連通されている。さらに、温端部1a
で発生する熱を冷凍機外部に取り出すために、温端熱交
換器10を配備してもよい。
【0004】圧力振動を発生させるため、吸気される冷
媒ガスは圧縮機2により高圧となって、高圧吸気弁3を
通してパルスチューブ1に供給され、パルスチューブ内
で膨張し、中圧・中温状態と中圧・高温状態に分離され
る。中圧・中温状態の冷媒ガスは、パルスチューブ1の
冷端部1bから低圧供給弁4を通して放出されるが、その
際に膨張してさらに低圧・低温の状態となる。
【0005】通常、パルスチューブエキスパンダでは、
位相制御手段5としてオリフィスを用いたバッファータ
ンクが設けられるが、ガスがオリフィスを通過するとき
に不可逆的な損失が発生するため、その冷凍効率が悪化
する。このような欠点を改善し、冷凍効率を向上させる
ため、位相制御手段として高圧バッファおよび低圧バッ
ファを配置し、これらの切替用として高圧切替弁および
低圧切替弁を設けて、アクティブバッファとして活用す
るパルスチューブエキスパンダが開発されている。
【0006】図2は、アクティブバッファを取り付けた
パルスチューブエキスパンダの全体構成を模式的に示し
た図である。アクティブバッファを配備した位相制御手
段では、パルスチューブの温端部1aに連通するように、
高圧バッファ6および低圧バッファ7と、高圧バッファ
用の高圧切替弁8および低圧バッファ用の低圧切替弁9
が設けられる。そのため、図2に示すパルスチューブエ
キスパンダでは、冷端部1bに連通する高圧吸気弁3およ
び低圧供給弁4と温端部1aに連通する高圧切替弁8およ
び低圧切替弁9と開閉タイミングを制御することによっ
て、冷凍機内の冷媒ガスの流れをコントロールして、冷
凍効率を高めることができる。
【0007】具体的に、弁の開閉タイミングの制御方法
を説明する。初期の段階では、高圧吸気弁3および低圧
供給弁4を閉め、低圧切替弁9も閉めた状態で、パルス
チューブ内は低圧ガスと同じ圧力になっている。そこ
で、高圧切替弁8を開くと、高圧ガスが高圧バッファ6
から流れ込むので、パルスチューブ1の内部は高圧ガス
の状態になる。
【0008】高圧切替弁8を開いた状態で高圧吸気弁3
を開くと、高圧ガスがパルスチューブの冷端部1bに流入
することになる。このとき、冷端部1bから吸気された高
圧ガスの圧力は、高圧バッファ6から供給されたガス圧
より高圧であるから、高圧バッファ6から供給されたガ
スは、再び高圧バッファ6に戻される。
【0009】次に、高圧切替弁8と高圧吸気弁3とを閉
じた状態にして低圧切替弁9を開くと、パルスチューブ
内の冷媒ガスは低圧バッファー7に流入するので、パル
スチューブ内の圧力は低圧バッファー7の圧力まで低下
する。すなわち、パルスチューブの冷端部1bに吸気され
た冷媒ガスは、低圧バッファー7の圧力まで膨張し、温
度降下を生じて、パルスチューブの冷端部1bを冷却す
る。
【0010】さらに、低圧切替弁9を開いた状態で冷端
部1bに連通する低圧供給弁4を開くと、パルスチューブ
内で膨張した冷媒ガスは、低圧供給弁4を介して、直接
被冷却空間または被冷却物に供給される。これと同時
に、低圧バッファー7から低圧ガスがパルスチューブ1
の内部に供給される。このようなサイクルを繰り返すこ
とによって、ガスの出入り口における損失を無くし、パ
ルスチューブ内のガス膨張を効率的にエネルギー変換す
ることが可能になる。
【0011】ところが、パルスチューブエキスパンダで
は上述の作動サイクルを数〜数十Hzという比較的高速の
サイクルで運転すると同時に、運転状態によっては冷端
部1bに連通する高圧吸気弁3および低圧供給弁4、また
は低圧供給弁4のみが低温状態、例えば−100℃以下と
いった極低温状態になることがある。
【0012】従来から、低温の作動環境下で適用できる
切替弁として電磁弁が採用されている。しかし、電磁弁
を使用すると、冷媒ガスを大容量にした場合に、弁構造
が複雑となり、大寸法の弁が必要となり、高速での作動
が困難になる。さらに、高速で電磁弁を作動させると、
弁の寿命が著しく短くなる。しかも、高速作動によって
電磁弁自身の発熱が激しく、通過する冷媒ガスの温度を
上昇させ、パルスチューブエキスパンダの冷凍効率を低
下させるという問題がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】前述の通り、パルスチ
ューブエキスパンダの吸気弁、供給弁または高圧・低圧
切替弁(以下、総称して「切替弁」という)として電磁
弁を用いると、冷媒ガスの大容量化にともなって弁が複
雑となり、高速で作動させると、寿命が低下し、冷凍効
率にも悪影響を及ぼすことになる。このような課題を解
決するため、本発明者らは、種々の検討を加えた結果、
パルスチューブエキスパンダの切替弁として、電磁弁に
替えてロータリー弁を用いることが有効であることを知
見した。
【0014】図3は、平面シール型のロータリー弁の構
成を示す図である。平面シール型ロータリー弁11は、2
つのポート17、18を設置した回転子12と3つのポート1
9、20、21を設置した固定子13とが面接触する構造であ
る。弁の外側はハウジング14からなり、モータ15の回転
によって駆動軸16を介して回転子12を回転させ、ポート
17〜21の連通状況を切り替えるようになっている。すな
わち、図3に示すようなポート17、18、19、20の連通状
況を、回転子12を回転させてポート17、18、20、21の連
通状況に替えて、冷媒ガスを2方向に切り替えることが
できる。したがって、平面シール型ロータリー弁11を使
用する場合には、温端部の高圧切替弁および低圧切替弁
用として、また冷端部の高圧吸気弁および低圧供給弁用
として、それぞれ1個ずつ設置すればよい。
【0015】しかしながら、平面シール型ロータリー弁
を使用する場合には、大容量の冷媒ガスを連通させるた
めにポート径を大きくしたり、また、複雑な制御を行う
ためにポート数を増やすと、必然的に回転子と固定子と
の直径を大きくしなければならず、切替弁が大型化し
て、作動用のモータも大容量のものが要求される。その
ため、平面シール型ロータリー弁は、比較的小規模のパ
ルスチューブエキスパンダに適用するのが有効である。
【0016】図4は、側面シール型ロータリー弁の構成
を示す図である。側面シール型ロータリー弁31は、軸心
を中心として回転する円筒状の回転子32と、この回転子
を回転自在に内蔵するハウジング33とからなり、回転子
32の外周面に複数のポート37〜40を設けるとともに、ハ
ウジング33の内周面にはこれらのポートと対応するよう
に複数のポート41〜46を設けている。モータ34に連結さ
れた駆動軸35を介して回転子32が回転することによっ
て、回転子のポート37〜40とハウジングのポート41〜46
との組み合わせを変動させて、冷媒ガスの連通状態を切
り替えるようになっている。冷媒ガスの漏れを防ぐた
め、駆動軸35がハウジング33を貫通する部分にはシール
22が施される。
【0017】また、側面シール型ロータリー弁31では、
回転子32に作用する軸方向および半径方向の荷重が軸受
け36により支えられるため、モータ34への負荷が減少
し、モータ34の所要動力をさらに軽減することができ
る。回転子32が受ける負荷を減少させることによって、
軸受け36をより小型の簡易な構造にすることができる。
このような構造上の有利性が相まって、モータの小型化
のみならず、ロータリー弁全体の構成を小さくすること
ができる。
【0018】側面シール型ロータリー弁は寿命が長く、
パルスチューブエキスパンダの大型化、大容量化、また
は制御の複雑化にも容易に対応することができる。言い
換えると、側面シール型ロータリー弁31では各ポートが
軸方向に独立しているため、ポート径を大きくしたり、
ポート数の増加する場合であっても、回転子32の直径を
そのまま大きくする必要がない。
【0019】一方、回転子32の直径を小さくできれば、
回転子に作用する圧力負荷を低減することができると同
時に、回転子の周速度を減少させることができる。これ
により、モータ34の所要動力を減少させ、小型で高速な
モータを使用できるようになる。さらに、回転子の周速
度の減少は、回転子32とハウジング33にシール処理を施
した場合であっても、シール部材の摩擦による発生トル
クを減少させ、シールや回転子の長寿命化に有効であ
る。
【0020】ところで、側面シール型ロータリー弁をパ
ルスチューブエキスパンダの冷端部に連通する吸気弁、
供給弁として用いた場合、低温状態で使用される低圧供
給弁とモータとの離間距離が短いと、モータの作動熱が
冷媒ガスへ伝熱して冷凍効率を低下させたり、または運
転条件によって極低温状態で使用されると、モータも異
常に低温化し作動が困難になることがある。
【0021】図5は、冷端部に連通する切替弁用として
改善された側面シール型ロータリー弁の構成例を示す図
である。同図に示すように、モータ34と回転子32の間に
設けられた駆動軸35およびハウジング33を延長し、離間
距離Lを確保して、その間の伝熱抵抗を大きくすること
によって、モータ34からの冷媒ガスへの伝熱を削減し、
モータ34の異常な低温化を防止することができる。
【0022】本発明は、上述の知見に基づいてなされた
ものであり、パルスチューブ冷凍機として要求される寿
命延長を図り、供給される冷媒の大容量化、さらに制御
の複雑化に対応できる、ロータリー弁を用いたパルスチ
ューブエキスパンダを提供することを目的としている。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1にかか
るパルスチューブエキスパンダ(以下、「第1のパルス
チューブ冷凍機」という)は、両端に温端部と冷端部と
有するパルスチューブと、この温端部に連通して高圧バ
ッファおよび低圧バッファ並びに高圧切替弁および低圧
切替弁とからなる位相制御手段と、前記冷端部に連通し
て圧力振動を発生する高圧吸気弁および低圧供給弁とを
設けて、前記パルスチューブで冷却された冷媒を被冷却
空間に供給するパルスチューブエキスパンダであって、
前記温端部に連通する高圧切替弁および低圧切替弁並び
に前記冷端部に連通する高圧吸気弁および低圧供給弁に
ロータリー弁を用いたことを特徴としている(後述の図
6参照)。
【0024】次に、請求項2にかかるパルスチューブエ
キスパンダ(以下、「第2のパルスチューブ冷凍機」と
いう)は、高圧切替弁および低圧切替弁に用いられるロ
ータリー弁と高圧吸気弁および低圧供給弁に用いられる
ロータリー弁との作動が同期し、単一のモータで駆動さ
れることを特徴としている(後述の図7参照)。
【0025】また、請求項3にかかるパルスチューブエ
キスパンダ(以下、「第3のパルスチューブ冷凍機」と
いう)は、パルスチューブの温端部が高圧切替弁および
低圧切替弁に用いられるロータリー弁と一体で構成さ
れ、パルスチューブの冷端部が高圧吸気弁および低圧供
給弁に用いられるロータリー弁と一体で構成されている
ことを特徴としている(後述の図8、図9参照)。
【0026】さらに、請求項4にかかるパルスチューブ
エキスパンダ(以下、「第4のパルスチューブ冷凍機」
という)は、両端に温端部と冷端部と有するパルスチュ
ーブと、この温端部に連通してオリフィスを用いた位相
制御手段と、前記冷端部に連通して圧力振動を発生する
高圧吸気弁および低圧供給弁とを設けて、前記パルスチ
ューブで冷却された冷媒を被冷却空間に供給するパルス
チューブエキスパンダであって、前記冷端部に連通する
高圧吸気バルブおよび低圧供給バルブにロータリー弁を
用いたことを特徴といている(後述の図10参照)。
【0027】そして、請求項5にかかるパルスチューブ
エキスパンダは、上記第1〜第4のパルスチューブ冷凍
機のロータリー弁が側面シール型または平面シール型の
いずれかであることを特徴としている。
【0028】
【発明の実施の形態】本発明のロータリー弁を用いたパ
ルスチューブエキスパンダ(第1〜第4のパルスチュー
ブ冷凍機)の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0029】図6は、第1のパルスチューブ冷凍機の構
成例を示す図である。第1のパルスチューブ冷凍機で
は、アクティブバッファ型パルスチューブエキスパンダ
を対象にしている。図6に示す構成例では、温端部1aお
よび冷端部1bに連通する切替弁として、側面シール型ロ
ータリー弁31を使用している。特に、冷端部1b側に用い
られるロータリー弁は、前記図5に示すように、冷端部
に連通する切替弁用として改善された側面シール型を使
用している。
【0030】温端部1aおよび冷端部1bに連通するロータ
リー弁31は、それぞれ単独のモータ34で駆動され、両ロ
ータリー弁とパルスチューブとの接続には連通管23が用
いられている。このような構成では、それぞれのロータ
リー弁31を駆動するモータ34の作動を同期させるための
制御装置24が必要になる。また、冷凍機の効率化の観点
からは、パルスチューブ1の管壁における伝熱Tに加
え、冷端部1bに連通するロータリー弁31のハウジング33
における伝熱T、および駆動軸35における伝熱T
考慮しなければならない。
【0031】図7は、第2のパルスチューブ冷凍機の構
成例を示す図である。第1のパルスチューブ冷凍機と同
様に、アクティブバッファ型パルスチューブエキスパン
ダを対象にしており、温端部1aおよび冷端部1bに連通す
る切替弁として、側面シール型ロータリー弁31を使用
し、ロータリー弁とパルスチューブとの接続には連通管
23が用いられている。
【0032】しかし、第2のパルスチューブ冷凍機で
は、温端部1aに連通するロータリー弁31と冷端部1bに連
通するロータリー弁31をモータ34に連結された単一の駆
動軸35で回転できるように、両者の回転子32を駆動軸35
で連結し、かつ同一のハウジング33に内包されるように
構成したものである。これにより、温端部1aおよび冷端
部1bに連通するロータリー弁31の作動を同期させ、単一
のモータ34で駆動させることができるので、制御を簡単
にすることができる。
【0033】図8は、第3のパルスチューブ冷凍機の構
成例を示す図である。第2のパルスチューブ冷凍機と同
様に、アクティブバッファ型パルスチューブエキスパン
ダを対象にしており、温端部1aおよび冷端部1bに連通す
る切替弁として、側面シール型ロータリー弁31を使用
し、いずれの回転子32も駆動軸35で連結され、同一のハ
ウジング33に内包されるように構成されている。
【0034】第3のパルスチューブ冷凍機の特徴は、パ
ルスチューブの温端部1aおよび冷端部1bがロータリー弁
31と一体で構成されており、両端のロータリー弁間のハ
ウジング内部の空間をパルスチューブ1として使用して
いることである。このため、側面シール型ロータリー弁
31のパルスチューブ1ヘの連通路(ポート)は、ハウジ
ング33の外周には開口しておらず、ハウジング33の内側
端面に開口している。
【0035】第3のパルスチューブ冷凍機では、図8に
示すように構成することによって、前記図2を用いて説
明したように、冷端部1bに連通する高圧吸気弁3および
低圧供給弁4と温端部1aに連通する高圧切替弁8および
低圧切替弁9と開閉タイミングを制御することによっ
て、冷凍機内の冷媒ガスの流れをコントロールして、冷
凍効率を高めることができる。そして、これらのエネル
ギーその変化は、ポリトロープ変化に基づくものであ
る。
【0036】第2のパルスチューブ冷凍機に比べ、第3
のパルスチューブ冷凍機の構造では、温端部1aと冷端部
1bとを貫通する部材が少なくなるため、伝熱T、T
が少なくなり冷凍効率を向上させることができる。ま
た、温端部1aに連通するロータリー弁と冷端部1bに連通
するロータリー弁をモータ34に連結された単一の駆動軸
35で回転できるようにしているので、単一のモータ34で
駆動させることができ、複雑な制御機構が不要となり、
製作コストを低く押さえることができるのは、第2のパ
ルスチューブ冷凍機の場合と同様である。
【0037】図9は、第3のパルスチューブ冷凍機であ
って、温端部および冷端部に一体構成される切替弁に平
面シール型ロータリー弁を用いたの構成例を示す図であ
る。冷端部1bおよび温端部1aに平面シール型ロータリー
弁11を構成した場合であっても、それぞれの切替弁の開
閉タイミングを制御することによって、伝熱量の低下を
図り、冷凍効率を高めることができる。しかし、前述の
通り、平面シール型ロータリー弁11を用いた場合には、
弁の構造上の問題から、大型化には一定の制限がある。
【0038】図10は、第4のパルスチューブ冷凍機の構
成例を示す図である。第4のパルスチューブ冷凍機では
オリフィスを用いた位相制御手段を対象としているた
め、冷端部1bに連通する切替弁のみがロータリー弁を使
用している。すなわち、圧力振動を発生する高圧吸気弁
および低圧供給弁を側面シール方式のロータリー弁31と
し、パルスチューブの冷端部1bと一体で構成されてお
り、ハウジング33に相当する空間をパルスチューブ1と
して使用している。
【0039】第4のパルスチューブ冷凍機では、冷端部
1bの連通路から高圧のガスを吸気して、パルスチューブ
1内で膨張・圧縮を行うことにより、冷端部1b側から位
相制御手段(オリフィス)側にエネルギー移動が発生す
る。その結果、冷端部1b側はより低温に、温端部1a側は
より高温になり、冷端部1bの低温供給の連通路から中圧
・低温の冷媒ガスが外部に放出され、さらに低温・低圧
の冷媒ガスとなり、被冷却空間に供給される。
【0040】上記図6〜図10では図示しないが、第1〜
第4のパルスチューブ冷凍機のいずれであっても、パル
スチューブの温端部1aで発生する熱を冷凍機外部に取り
出すために、温端熱交換器を配備してもよい。
【0041】
【発明の効果】本発明のロータリー弁を用いたパルスチ
ューブエキスパンダによれば、電磁弁に替えて、温端部
および冷端部に連通する切替弁に側面シール型または平
面シール型いずれかのロータリー弁を用いることによっ
て、低温作動時においても長寿命化が図れ、冷凍効率に
優れたパルスチューブ冷凍機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】パルスチューブエキスパンダの全体構成を模式
的に示した図である。
【図2】アクティブバッファを取り付けたパルスチュー
ブエキスパンダの全体構成を模式的に示した図である。
【図3】平面シール型のロータリー弁の構成を示す図で
ある。
【図4】側面シール型ロータリー弁の構成を示す図であ
る。
【図5】冷端部に連通する切替弁用として改善された側
面シール型ロータリー弁の構成例を示す図である。
【図6】第1のパルスチューブ冷凍機の構成例を示す図
である。
【図7】第2のパルスチューブ冷凍機の構成例を示す図
である。
【図8】第3のパルスチューブ冷凍機の構成例を示す図
である。
【図9】、第3のパルスチューブ冷凍機であって、温端
部および冷端部に一体構成される切替弁に平面シール型
ロータリー弁を用いたの構成例を示す図である。
【図10】第4のパルスチューブ冷凍機の構成例を示す
図である。
【符号の説明】 1:パルスチューブ、 1a:温端部、 1b:冷端部 2:圧縮機、 3:高圧吸気弁 4:低圧供給弁、 5:位相制御手段 6:高圧バッファー、 7:低圧バッファー 8:高圧切替弁、 9:低圧切替弁 10:熱交換器、 11:平面シール型ロータリー弁 12、32:回転子、 13:固定子 14、33:ハウジング、 15、34:モータ 16、35:駆動軸、 22:シール 23:連通管、 24:制御装置 31:側面シール型ロータリー弁、 36:軸受け
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 大介 大阪府堺市築港新町2丁6番地40 エア・ ウォーター株式会社内 (72)発明者 垣見 康浩 大阪府堺市築港新町2丁6番地40 エア・ ウォーター株式会社内 Fターム(参考) 3H067 AA13 AA16 CC23 DD03 DD12 DD32 EA05 FF11 GG02 GG23 GG24

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】両端に温端部と冷端部と有するパルスチュ
    ーブと、この温端部に連通して高圧バッファおよび低圧
    バッファ並びに高圧切替弁および低圧切替弁とからなる
    位相制御手段と、前記冷端部に連通して圧力振動を発生
    する高圧吸気弁および低圧供給弁とを設けて、前記パル
    スチューブで冷却された冷媒を被冷却空間に供給するパ
    ルスチューブエキスパンダであって、前記温端部に連通
    する高圧切替弁および低圧切替弁並びに前記冷端部に連
    通する高圧吸気弁および低圧供給弁にロータリー弁を用
    いたことを特徴とするパルスチューブエキスパンダ。
  2. 【請求項2】高圧切替弁および低圧切替弁に用いられる
    ロータリー弁と高圧吸気弁および低圧供給弁に用いられ
    るロータリー弁との作動が同期し、単一のモータで駆動
    されることを特徴とする請求項1に記載のパルスチュー
    ブエキスパンダ。
  3. 【請求項3】パルスチューブの温端部が高圧切替弁およ
    び低圧切替弁に用いられるロータリー弁と一体で構成さ
    れ、パルスチューブの冷端部が高圧吸気弁および低圧供
    給弁に用いられるロータリー弁と一体で構成されている
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のパルスチュ
    ーブエキスパンダ。
  4. 【請求項4】両端に温端部と冷端部と有するパルスチュ
    ーブと、この温端部に連通してオリフィスを用いた位相
    制御手段と、前記冷端部に連通して圧力振動を発生する
    高圧吸気弁および低圧供給弁とを設けて、前記パルスチ
    ューブで冷却された冷媒を被冷却空間に供給するパルス
    チューブエキスパンダであって、前記冷端部に連通する
    高圧吸気弁および低圧供給弁にロータリー弁を用いたこ
    とを特徴とするパルスチューブエキスパンダ。
  5. 【請求項5】上記ロータリー弁が側面シール型または平
    面シール型であることを特徴とする請求項1〜4のいず
    れかに記載のパルスチューブエキスパンダ。
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