JP2003113170A - 光学活性α−アミノエポキシド誘導体およびそれを用いた光学活性オキサゾリジノン誘導体の製造法 - Google Patents

光学活性α−アミノエポキシド誘導体およびそれを用いた光学活性オキサゾリジノン誘導体の製造法

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JP2003113170A
JP2003113170A JP2001309548A JP2001309548A JP2003113170A JP 2003113170 A JP2003113170 A JP 2003113170A JP 2001309548 A JP2001309548 A JP 2001309548A JP 2001309548 A JP2001309548 A JP 2001309548A JP 2003113170 A JP2003113170 A JP 2003113170A
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Hidetoshi Tsunoda
角田  秀俊
Kyoko Chiba
恭子 千葉
Tsuneshi Suzuki
鈴木  常司
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Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 医薬分野をはじめ多方面において製造上の重
要な化合物である光学活性オキサゾリジノン誘導体の製
造に関して、立体的に純粋な化合物を、工業的な観点か
ら安価にかつ安定的に製造する方法を提供すること。加
えて、当該化合物を製造するにあたり、重要な中間原料
である新規な光学活性α−アミノエポキシト゛誘導体なら
びにその製造方法を提供すること。 【解決手段】 一般式(1)で表される光学活性アミノ
ケトン誘導体に対し、一般式(2)で表されるトリメチ
ルスルホニウム塩を反応させることで、一般式(3)で
表される構造新規な光学活性α−アミノエポキシト゛誘導
体を得、続いて一般式(4)で表されるアゾール誘導体
を反応させることで一般式(5)で表される光学活性オ
キサゾリジノン誘導体を立体選択的に製造する。 【効果】 一般式(5)で表される光学活性オキサゾリ
ジノン誘導体を立体選択的に、しかも工業的な観点から
見て、安価に、かつ安定的に製造可能となった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医薬分野をはじめ
多方面において製造上の重要な化合物である光学活性オ
キサゾリジノン誘導体の新規製造法に関するものであ
り、加えて当該化合物を製造するにあたり重要な中間原
料となる新規な光学活性α−アミノエポキシト゛誘導体な
らびにその製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、医薬品をはじめ多方面において、
光学活性体の需要がますます増加する傾向にある。工業
的な立場から、より簡便で、より安価な製造方法の開発
が強く求められている。
【0003】本発明中に記載した光学活性オキサゾリジ
ノン誘導体はそのままで、あるいは加水分解等でアミノ
アルコール体に誘導することで、例えば、アゾール系の
抗菌剤の原料として医薬分野または農薬分野において重
要な化合物である。
【0004】まず、本発明中に記載した光学活性オキサ
ゾリジノン誘導体の既存製造法について述べる。従来法
としては、アミノ酸から3工程以上かけて合成される光
学活性イミド誘導体を出発原料とし、エバンスらによっ
て開発された不斉アルドール反応を鍵反応として、4工
程にて合成される方法が知られている(J.Org.Chem., 1
995, 60(10), 3000または特開平7-2788)。
【0005】しかしながら従来法は、原料であるアミノ
酸から換算して7工程以上もあり、ナトリウムヘキサメ
チルジシラザンやジフェニルリン酸アジド等の高価な試
薬を必要とし、かつ鍵反応である不斉アルドール反応に
おいて-78℃という極低温が必要であり、工業的に見た
場合、きわめて高コストな製造方法である。加えて、テ
トラヒドロフラン溶媒中で過酸化水素水を用いたり、先
にも挙げたジフェニルリン酸アジド等のアジド化合物を
必要としたり、爆発等の安全上の問題も考えると大量で
の製造には問題が多いと言わざるを得ない。
【0006】まとめると、本特許に記載した光学活性オ
キサゾリジノン誘導体の従来製造方法は、工業的な観点
からは高コストであり、かつ安全性にも多くの問題を有
している。よって、より簡便で、より安価な、工業的に
優れた製造方法の開発が求められている。
【0007】次に、我々が本発明中に記載した光学活性
オキサゾリジノン誘導体を製造するにあたり、重要な中
間原料である光学活性α−アミノエポキシト゛誘導体およ
びその製造法に関しての従来技術を述べる。従来知られ
ている光学活性α−アミノエポキシト゛誘導体の多くは、
アミノ基部分が環状化合物を形成しており(特開平9-183
769)、また一部では遊離のアミンまたはアセトアミド基
(Liebigs Ann.Chem., 1985, 7, 1508)またはジベンジル
アミン(J.Org.Chem., 1997, 62, 5974)となっている。
しかしながら、本発明中に記載したようなアミノ基がウ
レタン基で保護化されたような光学活性α−アミノエポ
キシト゛誘導体は、従来まったく知られておらず、また、
製造方法もまったく異なっている。また、ケトンに対す
るトリメトキシスルホキソニウム塩を用いたエポキシド
化反応は、以前より多くの報告例(J.Am.Chem.Soc., 196
5, 87, 1353)があるが、本特許に記載したようなα位に
アミノ基を有しかつアミノ基がウレタン基で保護化され
ているような光学活性アミノケトン誘導体に対するトリ
メトキシスルホキソニウム塩を用いて製造する方法は、
従来まったく知られていなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、医薬
分野をはじめ多方面において製造上の重要な化合物であ
る光学活性オキサゾリジノン誘導体の製造に関して、立
体的に純粋な化合物を、工業的な観点から安価にかつ安
定的に製造する方法を提供することである。加えて、当
該化合物を製造するにあたり、重要な中間原料である新
規な光学活性α−アミノエポキシト゛誘導体ならびにその
製造方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決する為に鋭意検討を重ねた結果、アミノ基をウレ
タン基で保護化した光学活性アミノケトン誘導体に対
し、トリメチルスルホニウム塩を反応することで構造新
規な光学活性α−アミノエポキシト゛誘導体を得、続いて
当該光学活性α−アミノエポキシト゛誘導体にアゾール誘
導体を反応させることで光学活性オキサゾリジノン誘導
体を製造する新規な方法を見出した。加えて、本方法に
より生成する光学活性α−アミノエポキシト゛誘導体のエ
ポキシ部分の立体は、原料として用いたアミノケトン誘
導体のアミン部分の立体によってほぼ制御可能であるこ
とを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本
発明は、[1] 一般式(1)[化9]
【0010】
【化9】
【0011】(式中R1およびR2は互いに独立して置
換されてもよいアルキル基、置換されてもよいシクロア
ルキル基、置換されてもよいアラルキル基、置換されて
もよいアリール基、置換されてもよいへテロ環または置
換されてもよいヘテロ環アルキル基を示す。R3、R
4、R5、R6およびR7は互いに独立して水素原子、
ハロゲン原子、水酸基、置換されてもよいアルコキシ
基、置換されてもよいフェノキシ基、ニトロ基、置換さ
れてもよいアミノ基、置換されてもよいアミド基、カル
ボキシル基、置換されてもよいアルキルオキシカルボニ
ル基、置換されてもよいフェニルオキシカルボニル基、
置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいシクロ
アルキル基、置換されてもよいアラルキル基、置換され
てもよいアリール基、置換されてもよいへテロ環または
置換されてもよいヘテロ環アルキル基を示す。)で表さ
れる光学活性α−アミノエポキシト゛誘導体、[2] 一般
式(1)のR1がメチル基であり、R3およびR5がフ
ッ素または塩素原子であり、R4、R6およびR7が水
素原子である[]請求項1に記載の光学活性α−アミノ
エポキシト゛誘導体、[3] 一般式(2)[化10]
【0012】
【化10】
【0013】(式中R1、R2、R3、R4、R5、R
6およびR7は前記と同義である。)で表される光学活
性アミノケトン誘導体に、一般式(3)[化11]
【0014】
【化11】
【0015】(式中X-は、塩化物イオン、臭化物イオ
ンまたはヨウ化物イオンを示す。)で表されるトリメチ
ルスルホキソニウム塩を反応させることを特徴とする、
一般式(1)で表される光学活性α−アミノエポキシト゛
誘導体の製造法、[4] 一般式(3)のX-が臭化物イ
オンである[3]記載の光学活性α−アミノエポキシト゛
誘導体の製造法、[5] 一般式(1)のR1がメチル基
であり、R3およびR5がフッ素または塩素原子であ
り、R4、R6およびR7が水素原子である[3]また
は[4]に記載の光学活性α−アミノエポキシト゛誘導体
の製造法、[6] 一般式(1)で表される光学活性α−
アミノエポキシト゛誘導体と一般式(4)[化12]
【0016】
【化12】
【0017】(式中Yは、炭素原子または窒素原子を示
す。)で表されるアゾール誘導体を反応させることを特
徴とする一般式(5)[化13]
【0018】
【化13】
【0019】(式中R1、R3、R4、R5、R6、R
7およびYは前記と同義である。)で表される光学活性
オキサゾリジノン誘導体の製造法、[7] 一般式(1)
のR1がメチル基であり、R3およびR5がフッ素また
は塩素原子であり、R4、R6およびR7が水素原子で
ある[6]に記載の光学活性オキサゾリジノン誘導体の
製造法、[8] 一般式(6)[化14]
【0020】
【化14】
【0021】(式中R1、R2、R3、R4、R5、R
6およびR7は前記と同義である。)で表される光学活
性α−アミノエポキシト゛誘導体、[9] 一般式(6)の
R1がメチル基であり、R3およびR5がフッ素または
塩素原子であり、R4、R6およびR7が水素原子であ
る[8]に記載の光学活性α−アミノエポキシト゛誘導
体、[10] 一般式(7)[化15]
【0022】
【化15】
【0023】(式中R1、R2、R3、R4、R5、R
6およびR7は前記と同義である。)で表される光学活
性アミノケトン誘導体に、一般式(3)で表されるトリ
メチルスルホキソニウム塩を反応させることを特徴とす
る一般式(6)で表される光学活性α−アミノエポキシ
ト゛誘導体の製造法、[11] 一般式(3)のX-が臭化
物イオンである[10]記載の光学活性α−アミノエポ
キシト゛誘導体の製造法、[12] 一般式(6)のR1が
メチル基であり、R3およびR5がフッ素または塩素原
子であり、R4、R6およびR7が水素原子である[1
0]または[11]に記載の光学活性α−アミノエポキ
シト゛誘導体の製造法、[13] 一般式(6)で表される
光学活性α−アミノエポキシト゛誘導体と一般式(4)で
表されるアゾール誘導体を反応させることを特徴とする
一般式(8)[化16]
【0024】
【化16】
【0025】(式中R1、R3、R4、R5、R6、R
7およびYは前記と同義である。)で表される光学活性
オキサゾリジノン誘導体の製造法、[14] 一般式
(6)のR1がメチル基であり、R3およびR5がフッ
素または塩素原子であり、R4、R6およびR7が水素
原子であり、Yが窒素原子である[13]に記載の光学
活性オキサゾリジノン誘導体の製造法。
【0026】
【発明の実施の形態】次に本発明の化合物についてさら
に詳細に説明する。一般式(1)、(2)、(5)、
(6)、(7)および(8)のR1、R2、R3、R
4、R5、R6およびR7が表す置換されていてもよい
アルキル基とは、アルキル基の任意の一部が置換されて
いてもよいアルキル基を意味し、アルキル基とは、メチ
ル基、エチル基、メトキシエチル基、フェノキシメチル
基、ベンジルオキシメチル基、メチルチオメチル基、フ
ェニルチオメチル基、フルオレニルメチル基、フルオロ
エチル基、n−プロピル基、クロロプロピル基、イソプ
ロピル基、n−ブチル基、置換アミノ−n−ブチル基、
イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル
基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル
基、ノニル基またはデシル基等を挙げることができる。
【0027】置換されていてもよいシクロアルキル基と
は、シクロアルキル基の任意の一部が置換されていても
よいシクロアルキル基を意味し、シクロアルキル基と
は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチ
ル基、エトキシシクロペンチル基、シクロヘキシル基、
tert−ブトキシシクロヘキシル基、ベンジルオキシ
シクロヘキシル基、ニトロシクロヘキシル基、シクロヘ
プチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基またはシ
クロデシル基等を挙げることができる。
【0028】置換されていてもよいアラルキル基とは、
アラルキル基の任意の一部が置換されていてもよいアラ
ルキル基を意味し、アラルキル基とは、ベンジル基、2
−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、シンナ
ミル基、ナフチルメチル基、3−クロロベンジル基、4
−アミノベンジル基、2−ニトロベンジル基、4−メト
キシベンジル基、3,4−ジヒドロキシベンジル基、
3,4−ジメトキシベンジル基等を挙げることができ
る。
【0029】置換されていてもよいアリール基とは、ア
リール基の任意の一部が置換されていてもよいアリール
基を意味し、アリール基とは、フェニル基、トリル基、
ブロモフェニル基、メトキシフェニル基、エチルフェニ
ル基、プロピルフェニル基、ニトロフェニル基、アミド
フェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、ヒドロキシ
ルナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基
またはベンゾフェナントレニル基等が挙げられる。
【0030】置換されていてもよいヘテロ環とは、ヘテ
ロ環の任意の一部が置換されていてもよいヘテロ環を意
味し、ヘテロ環とは、テトラヒドロピラニル基、テトラ
ヒドロフラニル基、アルキルテトラヒドロフラニル基、
テトラヒドロチエニル基、メチルスルホニルテトラヒド
ロチエニル基、ピリジル基、ピラジル基、ピリミジル
基、チエニル基、ヒドロキシピリジル基、イミダゾール
基、チアゾール基、ピラゾール基、ピラゾロン基、イソ
キサゾール基、イソチアゾール基、ピロール基、フラン
基、ナフチリジニル基、キノリル基、スルファモイルキ
ノリル基またはシドノン基等を挙げることができる。
【0031】置換されていてもよいヘテロ環アルキル基
とは、ヘテロ環アルキル基の任意の一部が置換されてい
てもよいヘテロ環アルキル基を意味し、ヘテロ環アルキ
ル基とは、3−ピリジルメチル基、4−ピリジルメチル
基、6−メトキシ−3−ピリジルメチル基、3−キノリ
ルメチル基、N−メチル−4−イミダゾールメチル基、
2−アミノ−4−チアゾールメチル基、モルホリノメチ
ル基等が挙げられる。
【0032】一般式(1)、(2)、(5)、(6)、
(7)および(8)のR3、R4、R5、R6およびR
7が表すハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭
素原子またはヨウ素原子等を挙げることができる。
【0033】置換されていてもよいアルキコキシ基と
は、アルキコキシ基の任意の一部が置換されていてもよ
いアルキコキシ基を意味し、アルキコキシ基とは、メト
キシ基、エトキシ基、ブトキシ基、t-ブトキシ基、ヘキ
シルオキシ基、オクチルオキシ基等を挙げることができ
る。
【0034】置換されていてもよいフェノキシ基とは、
フェノキシ基の任意の一部が置換されていてもよいフェ
ノキシ基を意味する。
【0035】置換されていてもよいアミノ基とは、アミ
ノ基の任意の一部が置換されていてもよいアミノ基を意
味する。
【0036】置換されていてもよいアミド基とは、アミ
ド基の任意の一部が置換されていてもよいアミド基を意
味する。
【0037】置換されていてもよいアルキルオキシカル
ボニル基とは、アルキルオキシカルボニル基の任意の一
部が置換されていてもよいアルキルオキシカルボニル基
を意味し、アルキルオキシカルボニル基とは、メトキシ
カルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボ
ニル基、t-ブトキシカルボニル基、ヘキシルオキシカル
ボニル基、オクチルオキシカルボニル基等を挙げること
ができる。
【0038】置換されていてもよいフェニルオキシカル
ボニル基とは、フェニルオキシカルボニル基の任意の一
部が置換されていてもよいフェニルオキシカルボニル基
を意味する。
【0039】以下に一般式(1)および(2)に含まれ
る光学活性α−アミノエポキシド誘導体を表1[表1]〜
表10[表10] に、また一般式(7)および(8)に
含まれる光学活性オキサゾリジノン誘導体を表11[表
11]〜表18[表18]に例示する。ただし、これは本
願発明化合物を制限するものではない。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】
【表5】
【0045】
【表6】
【0046】
【表7】
【0047】
【表8】
【0048】
【表9】
【0049】
【表10】
【0050】
【表11】
【0051】
【表12】
【0052】
【表13】
【0053】
【表14】
【0054】
【表15】
【0055】
【表16】
【0056】
【表17】
【0057】
【表18】
【0058】以下に、本発明の代表的な製造法について
説明する。まず、一般式(1)または(6)で表される
光学活性α−アミノエポキシド誘導体の製造法について
述べる。
【0059】予め一般式(3)で表されるトリメチルス
ルホキソニウム塩を希釈溶媒中、塩基を作用させること
で系中にてスルホキソニウムイリドに変換の後、続いて
一般式(2)または(7)で示される光学活性アミノケ
トン誘導体と反応させることで一般式(1)または
(6)で表される光学活性α−アミノエポキシド誘導体
の製造が可能である。
【0060】また、出発原料である光学活性アミノケト
ン誘導体のアミノ基部分の立体が、例えば、一般式
(2)で表されるようなR配置である場合、新に生成す
るエポキシド部分の立体選択は一般式(1)で表される
ようなS配置となり、高いジアステレオ選択性で反応が
進行することが確認される。同様に一般式(7)で表さ
れるようなS配置の光学活性アミノケトン誘導体を用い
ると、新に生成するエポキシド部分の立体選択は一般式
(6)で表されるようなR配置となる。
【0061】反応において、原料および試薬の添加方法
に特に制限はない。例えば、光学活性アミノケトン誘導
体を必要に応じて希釈溶媒にて溶液とし、予め一般式
(3)で表されるトリメチルスルホキソニウム塩を希釈
溶媒中、塩基を作用させることで系中にてスルホキソニ
ウムイリドに変換した溶液中に加えてもよい。また逆
に、光学活性アミノケトン誘導体に対して、予め一般式
(3)で表されるトリメチルスルホキソニウム塩を希釈
溶媒中、塩基を作用させることで系中にてスルホキソニ
ウムイリドに変換した溶液を加えてもよい。あるいは、
全ての原料および試薬を一括に加えて反応を行うことも
可能である。
【0062】使用可能な塩基としては特に制限はない
が、好ましくは、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム、水素化リチウム、水素化ナトリウム、
水素化カリウム、t-ブトキシリチウム、t-ブトキシナト
リウム、t-ブトキシカリウム等を挙げることができる。
【0063】希釈溶媒として特に制限はないが、好まし
くは水およびメタノール、エタノール、2−プロパノー
ル、t-ブタノール等のアルコール類、塩化メチレン、ク
ロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタンまたはテトラ
クロロエタン等の含塩素有機溶媒、酢酸メチル、酢酸エ
チルまたは酢酸ブチル等のエステル類、ジエチルエーテ
ル、ジフェニルエーテル、ジオキサンまたはテトラヒド
ロフラン等のエーテル類の他、ヘキサン、液体二酸化硫
黄、二硫化炭素、ベンゼン、トルエン、キシレン、ニト
ロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリル、ジメチル
ホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホ
キシド、または1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノ
ン等を挙げることができる。
【0064】反応温度に特に制限はないが、−78℃〜
溶媒の沸点で実施可能であり、好ましくは−20℃〜1
00℃の範囲である。
【0065】反応時間に特に制限はないが、数分間〜7
2時間、好ましくは数分間〜24時間の範囲である。
【0066】続いて、一般式(5)または(8)で表さ
れる光学活性オキサゾリジノン誘導体の製造法について
述べる。
【0067】上記方法にて製造された一般式(1)また
は(6)で表される光学活性α−アミノエポキシド誘導
体を、不活性な希釈溶媒に溶解し、共存塩基存在下また
は非存在下にて、一般式(4)で表されるアゾール誘導
体を反応させることで製造可能である。
【0068】使用可能な共存塩基としては特に制限はな
いが、好ましくは、トリエチルアミン、トリブチルアミ
ン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の有機ア
ミン塩基、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化
カリウム、t-ブトキシリチウム、t-ブトキシナトリウ
ム、t-ブトキシカリウム等の無機塩基等を挙げることが
できる。また、場合によっては共存塩基を必要としな
い。
【0069】不活性な希釈溶媒としては、特に制限はな
いが、好ましくは水およびメタノール、エタノール、2
−プロパノール、t-ブタノール等のアルコール類、塩化
メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン
またはテトラクロロエタン等の含塩素有機溶媒、酢酸メ
チル、酢酸エチルまたは酢酸ブチル等のエステル類、ジ
エチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジオキサンまた
はテトラヒドロフラン等のエーテル類の他、ヘキサン、
液体二酸化硫黄、二硫化炭素、ベンゼン、トルエン、キ
シレン、ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリ
ル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジ
メチルスルホキシド、または1,3−ジメチル−2−イ
ミダゾリジノン等を挙げることができる。
【0070】反応温度に特に制限はないが、−78℃〜
溶媒の沸点で実施可能であり、好ましくは−20℃〜1
00℃の範囲である。
【0071】反応時間に特に制限はないが、数分間〜7
2時間、好ましくは数分間〜24時間の範囲である。
【0072】なお、本発明の一般式(2)または(7)
で表される光学活性アミノケトン誘導体に関しては、我
々の先の報告例(特願平12-341767)およびそれに準じた
方法にて、製造可能である。また、その他の試薬および
使用原料に関しては一般的に市販されており、入手は容
易である。
【0073】
【実施例】以下に、本発明の実施例を記載するが、本発
明はこれらによって制限されるものではない。 [実施例1] (2R,1'S)-2-[1'-(ベンジルオキシカルボ
ニルアミノ)エチル]-2-(4-ベンジルオキシフェニル)オ
キシラン(例示化合物番号:6008)の合成:式9[化1
7]
【0074】
【化17】
【0075】t-ブトキシカリウム0.89gをテトラヒドロ
フラン10mlに溶解し、窒素雰囲気下にてトリメチルスル
ホキソニウム ブロマイド1.35gを分割装入し、室温に
て1時間撹拌した。反応液を氷冷し、(2S)-2-(ベンジル
オキシカルボニル)アミノ-1-(4-ベンジルオキシフェニ
ル)-1-プロパノン1.00gのテトラヒドロフラン7ml溶液を
滴下した。氷冷下にて30分間、続いて室温にて5時間撹
拌した。反応液を氷水に注加し、塩酸にてpH3に調製し
た後に、酢酸エチルで目的化合物を抽出した。有機層を
飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し
た。反応液を濃縮し表題の目的物670mg(64%)を淡褐色固
体として得た。得られた淡褐色固体の一部を2-プロパノ
−ルから再結晶した。 融点=114.5〜116.5℃1 H-N.M.R.(400MHz, CDCl3) δ=7.52-7.31(m, 12H), 6.
99-6.94(m, 2H), 5.12(s, 2H), 5.05(s, 2H), 4.76(d,
1H, J=9.2Hz), 4.49(dq, 1H, J=9.2, 6.8Hz), 3.04(d,
1H, J=5.0Hz), 2.58(d, 1H, J=5.0Hz), 1.11(d, 3H, J=
6.8Hz)APCI-MS(M+)=404.20
【0076】[実施例2] (2S,1'R)-2-[1'-(ベンジル
オキシカルボニルアミノ)エチル]-2-(2,4-ジフルオロフ
ェニル)オキシラン(例示化合物番号:5022)の合成:
式10[化18]
【0077】
【化18】
【0078】(2R)-2-(ベンジルオキシカルボニル)アミ
ノ-1-(2,4-ジフルオロフェニル)-1-プロパノン1.00gを
出発原料とし、実施例1と同様に処理し、表題化合物64
2mg(62%)を淡黄色シロップとして得た。1 H-N.M.R.(400MHz, CDCl3) δ=7.39-7.29(m, 6H), 6.8
9-6.79(m, 2H), 5.11(s,2H), 4.75(d, 1H, J=9.3Hz),
4.49(dq, 1H, J=9.3, 6.9Hz), 3.12(d, 1H, J=4.9Hz),
2.68(d, 1H, J=4.9Hz), 1.14(d, 3H, J=6.9Hz) APCI-MS(M+)=334.30
【0079】[実施例3] (2R,1'S)-2-[1'-(ベンジル
オキシカルボニルアミノ)エチル]-2-(2,4-ジフルオロフ
ェニル)オキシラン(例示化合物番号:6022)の合成:
式11[化19]
【0080】
【化19】
【0081】(2S)-2-(ベンジルオキシカルボニル)アミ
ノ-1-(2,4-ジフルオロフェニル)-1-プロパノン1.00gを
出発原料とし、実施例1と同様に処理し、表題化合物62
0mg(60%)を淡黄色シロップとして得た。1 H-N.M.R.(400MHz, CDCl3) δ=7.39-7.29(m, 6H), 6.8
9-6.79(m, 2H), 5.11(s,2H), 4.75(d, 1H, J=9.3Hz),
4.49(dq, 1H, J=9.3, 6.9Hz), 3.12(d, 1H, J=4.9Hz),
2.68(d, 1H, J=4.9Hz), 1.14(d, 3H, J=6.9Hz) APCI-MS(M+)=334.20
【0082】[実施例4] (4S,5S)-4-(4-ベンジルオキ
シフェニル)-5-メチル-4[(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イ
ル)メチル]-2-オキサゾリジノン(例示化合物番号:120
08)の合成:式12[化20]
【0083】
【化20】
【0084】60%水素化ナトリウム63mgをN,N-ジメチル
ホルムアミド3mlに懸濁し、氷冷および窒素雰囲気下に
て1,2,4-トリアゾール110mgを分割装入した。反応液を
室温にて40分間撹拌し、再び氷冷した。実施例1で得ら
れた化合物158mgのN,N-ジメチルホルムアミド2ml溶液を
滴下した。反応液を60℃に加温し、3時間撹拌した。反
応液を放冷した後に氷水に注加し、1N塩酸にてpH3に
調製した。目的化合物を酢酸エチルで抽出した。有機層
を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し
た。反応液を濃縮し得られた淡褐色シロップをエタノー
ルから結晶化させた。 収量=75mg 収率=54% 融点=167〜169℃1 H-N.M.R.(400MHz, CDCl3) δ=8.04(s, 1H), 7.90(s,
1H), 7.45-7.33(m, 5H),7.19(dd, 2H, J=6.8, 2.2Hz),
6.99(dd, 2H, J=6.8, 2.2Hz), 5.29(s, 1H), 5.06(s, 2
H), 4.74(d, 1H, J=15Hz), 4.64(d, 1H, J=15Hz), 4.30
(q, 1H, J=6.4Hz), 0.87(d, 3H, J=6.4Hz) IR(KBr-disk) ν=3115, 1742, 1615, 1514, 1454, 138
0, 1255, 1184, 1137, 1008, 830, 736, 661cm-1 N.O.E.[ 1H-N.M.R.(400MHz, CDCl3)]測定:5位の水素
原子と4位のトリアゾールメチル基のメチレン部分の水
素原子との間でN.O.E.が観測され、かつ5位のメチル基
の水素原子と4位のトリアゾールメチル基のメチレン部
分の水素原子との間でN.O.E.が観測されなかったことか
ら標記の構造が支持された。 APCI-MS(M+)=365.16
【0085】[実施例5] (4R,5R)-4-(2,4-ジフルオロ
フェニル)-5-メチル-4[(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イ
ル)メチル]-2-オキサゾリジノン(例示化合物番号:110
22)の合成:式13[化21]
【0086】
【化21】
【0087】(2S,1'R)-2-[1'-(ベンジルオキシカルボ
ニルアミノ)エチル]-2-(2,4-ジフルオロフェニル)オキ
シラン500mgを出発原料とし、実施例4と同様に処理
し、表題化合物309mg(70%)を白色結晶として得た。 融点=188〜190℃1 H-N.M.R.(400MHz, CDCl3) δ=8.15(s, 1H), 7.79(s,
1H), 7.5-7.1(m, 1H), 7.1-6.7(m, 2H), 6.30(s, 1H),
4.83(d, 1H, J=14.7Hz), 4.69(d, 1H, J=14.7Hz), 4.30
(q, 1H, 6.5Hz), 0.97(d, 3H, J=6.5Hz) IR(KBr-disk) ν=3235, 1766, 1610, 1497, 1271cm-1
【0088】[実施例6] (4S,5S)-4-(2,4-ジフルオロ
フェニル)-5-メチル-4[(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イ
ル)メチル]-2-オキサゾリジノン(例示化合物番号:120
22)の合成:式14[化22]
【0089】
【化22】
【0090】(2R,1'S)-2-[1'-(ベンジルオキシカルボ
ニルアミノ)エチル]-2-(2,4-ジフルオロフェニル)オキ
シラン500mgを出発原料とし、実施例4と同様に処理
し、表題化合物330mg(75%)を白色結晶として得た。 融点=185〜187℃1 H-N.M.R.(400MHz, CDCl3) δ=8.15(s, 1H), 7.79(s,
1H), 7.5-7.1(m, 1H), 7.1-6.7(m, 2H), 6.30(s, 1H),
4.83(d, 1H, J=14.7Hz), 4.69(d, 1H, J=14.7Hz), 4.30
(q, 1H, 6.5Hz), 0.97(d, 3H, J=6.5Hz) IR(KBr-disk) ν=3235, 1766, 1610, 1497, 1271cm-1
【0091】
【発明の効果】本発明の製造法によれば、医薬分野をは
じめ多方面において製造上の重要な化合物である光学活
性オキサゾリジノン誘導体を、立体制御しながら安価に
かつ安定的に製造することが可能となった。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1)[化1] 【化1】 (式中R1およびR2は互いに独立して置換されてもよ
    いアルキル基、置換されてもよいシクロアルキル基、置
    換されてもよいアラルキル基、置換されてもよいアリー
    ル基、置換されてもよいへテロ環または置換されてもよ
    いヘテロ環アルキル基を示す。R3、R4、R5、R6
    およびR7は互いに独立して水素原子、ハロゲン原子、
    水酸基、置換されてもよいアルコキシ基、置換されても
    よいフェノキシ基、ニトロ基、置換されてもよいアミノ
    基、置換されてもよいアミド基、カルボキシル基、置換
    されてもよいアルキルオキシカルボニル基、置換されて
    もよいフェニルオキシカルボニル基、置換されてもよい
    アルキル基、置換されてもよいシクロアルキル基、置換
    されてもよいアラルキル基、置換されてもよいアリール
    基、置換されてもよいへテロ環または置換されてもよい
    ヘテロ環アルキル基を示す。)で表される光学活性α−
    アミノエポキシト゛誘導体。
  2. 【請求項2】 一般式(1)のR1がメチル基であり、
    R3およびR5がフッ素または塩素原子であり、R4、
    R6およびR7が水素原子である請求項1に記載の光学
    活性α−アミノエポキシト゛誘導体。
  3. 【請求項3】 一般式(2)[化2] 【化2】 (式中R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7
    は前記と同義である。)で表される光学活性アミノケト
    ン誘導体に、一般式(3)[化3] 【化3】 (式中X-は、塩化物イオン、臭化物イオンまたはヨウ
    化物イオンを示す。)で表されるトリメチルスルホキソ
    ニウム塩を反応させることを特徴とする、一般式(1)
    で表される光学活性α−アミノエポキシト゛誘導体の製造
    法。
  4. 【請求項4】 一般式(3)のX-が臭化物イオンであ
    る請求項3記載の光学活性α−アミノエポキシト゛誘導体
    の製造法。
  5. 【請求項5】 一般式(1)のR1がメチル基であり、
    R3およびR5がフッ素または塩素原子であり、R4、
    R6およびR7が水素原子である請求項3または4に記
    載の光学活性α−アミノエポキシト゛誘導体の製造法。
  6. 【請求項6】 一般式(1)で表される光学活性α−ア
    ミノエポキシト゛誘導体と一般式(4)[化4] 【化4】 (式中Yは、炭素原子または窒素原子を示す。)で表さ
    れるアゾール誘導体を反応させることを特徴とする一般
    式(5)[化5] 【化5】 (式中R1、R3、R4、R5、R6、R7およびYは
    前記と同義である。)で表される光学活性オキサゾリジ
    ノン誘導体の製造法。
  7. 【請求項7】 一般式(1)のR1がメチル基であり、
    R3およびR5がフッ素または塩素原子であり、R4、
    R6およびR7が水素原子である請求項6に記載の光学
    活性オキサゾリジノン誘導体の製造法。
  8. 【請求項8】 一般式(6)[化6] 【化6】 (式中R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7
    は前記と同義である。)で表される光学活性α−アミノ
    エポキシト゛誘導体。
  9. 【請求項9】 一般式(6)のR1がメチル基であり、
    R3およびR5がフッ素または塩素原子であり、R4、
    R6およびR7が水素原子である請求項8に記載の光学
    活性α−アミノエポキシト゛誘導体。
  10. 【請求項10】 一般式(7)[化7] 【化7】 (式中R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7
    は前記と同義である。)で表される光学活性アミノケト
    ン誘導体に、一般式(3)で表されるトリメチルスルホ
    キソニウム塩を反応させることを特徴とする一般式
    (6)で表される光学活性α−アミノエポキシト゛誘導体
    の製造法。
  11. 【請求項11】 一般式(3)のX-が臭化物イオンで
    ある請求項10記載の光学活性α−アミノエポキシト゛誘
    導体の製造法。
  12. 【請求項12】 一般式(6)のR1がメチル基であ
    り、R3およびR5がフッ素または塩素原子であり、R
    4、R6およびR7が水素原子である請求項10または
    11に記載の光学活性α−アミノエポキシト゛誘導体の製
    造法。
  13. 【請求項13】 一般式(6)で表される光学活性α−
    アミノエポキシト゛誘導体と一般式(4)で表されるアゾ
    ール誘導体を反応させることを特徴とする一般式(8)
    [化8] 【化8】 (式中R1、R3、R4、R5、R6、R7およびYは
    前記と同義である。)で表される光学活性オキサゾリジ
    ノン誘導体の製造法。
  14. 【請求項14】 一般式(6)のR1がメチル基であ
    り、R3およびR5がフッ素または塩素原子であり、R
    4、R6およびR7が水素原子であり、Yが窒素原子で
    ある請求項13に記載の光学活性オキサゾリジノン誘導
    体の製造法。
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