JP2003106273A - ベーン式バキュームポンプ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】バキュームポンプのベーンを２枚に分割し、ば
ね力を利用してベーンの両端面をインナーレースに確実
に接触させてシールする構造を採っているため、２枚の
ベーンおよびばねにより部品点数が増加しコスト高とな
る問題があった。 【解決手段】ベーン式バキュームポンプのベーン１５の
中央部に弾性変形可能な薄肉屈曲部１５ａを形成するこ
とにより、ベーン１５を一部品で樹脂成形できるように
して、バキュームポンプのコストダウンを可能とし、し
かもベーン１５の薄肉屈曲部１５ａにより、カムリング
１２の内面に確実に接触してベーン前後の吸入室Ａと排
出室Ｂをシールできるようにし、容積効率を向上できる
ようにした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、ベーン式のバキ
ュームポンプに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近時の自動車には高圧ポンプばかりでな
く低圧のバキュームポンプも一部に採用されている。バ
キュームポンプにはベーン式、ピストン式、ギアー式等
があるが小型、省エネルギー効率の面でベーン式が優れ
ているため、自動車用エンジン周りの流体のバキューム
系はベーン式バキュームポンプが採用されるようになっ
てきた。

【０００３】この種のベーン式バキュームポンプは、図
３に示すように、カムリング１の内周に真円ではなく、
楕円のような形状のインナーレース２が設けられ、この
インナーレース２より小径でかつ回転中心が偏心したロ
ーター３が内装され、このローターに２分割したベーン
５ａ、５ｂがスライド自在に挿入され、弦巻ばね６によ
りベーン５ａ、５ｂをインナーレース２に当接し、ロー
ター３を矢印方向に回転させることにより流体を吸入口
７より吸引して排出口８に排出することにより吸入口側
に接続されている密閉室又は密閉回路の気圧を低下させ
る一種の真空ポンプである。なお、図中Ａは吸入室、Ｂ
は排出室、９は逆止弁を示す。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】この種のベー-ン式バ
キュームポンプにおいては、カムリング１のインナーレ
ース２が数値制御あるいは倣いにより楕円状の形状に内
面加工され、ベーン５ａ、５ｂが接触する２点間の距離
をローター３のすべての角度位置において一定となるよ
うにしている。

【０００５】しかしながら、そのような形状に加工する
ことは実質的に困難であり、１枚のベーンを用いてその
両端面をカムリングの内面に常時接触させることができ
ないため、上記したようにベーンを２枚に分割し、ばね
力を利用してベーンの両端面をインナーレースに確実に
接触させてシールする構造を採っているが、上記した構
成のものでは、２枚のベーンおよびばねにより部品点数
が増加し、コスト高となる問題があった。

【０００６】そこで、この発明の目的は、ベーンを一部
品で成形し、しかもベーンの両端をインナーレースに確
実に接触できるようにしたベーン式バキュームポンプを
提供することである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項１の発明は、ポンプ本体内に円形又は楕円形
のインナーレースを持つカムリングと、このカムリング
の中心線に対して偏心した中心線を持つローターと、こ
のローターの回転中心に対して直交して貫通し滑り案内
されたベーンと、流体の吸入口と排出口を持ち、カムリ
ングとローターを相対回転させることにより吸入口に接
続された密閉室又は密閉回路中の流体を力学的に吸い出
すベーン式バキュームポンプにおいて、当該ベーンの中
央部分に長さ方向に均等に弾性変形可能な薄肉屈曲部を
一体的に設けた。このことによりベーン式バキュームポ
ンプの持つ従来の課題を解決した。

【０００８】また請求項２の発明は、請求項１に記載の
ベーン式バキュームポンプにおいて、薄肉屈曲部の形状
をベーンと同一材料でかつ断面が鼓型の連結帯に形成し
てなるものである。

【０００９】

【実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面に基づい
て説明する。図１は本発明のベーン式バキュームポンプ
の断面図を示すもので、このベーン式バキュームポン
は、前後２枚のケーシング１０の中に略楕円形のインナ
ーレース１１を形成したカムリング１２が組み込まれて
いる。このカムリング１２の中に楕円中心に対して回転
中心が偏心したローター１３が上面はインナーレース１
１に接近し下面は十分なる空間の吸入室Ａと排出室Ｂが
形成されるようにケーシング１０に軸架されている。ロ
ーター１３は外部の自動車用エンジンその他の駆動源と
接続されると共に、ローター１３の軸心に対して直角に
貫通しその両先端がインナーレース１１に接触する単一
の部品からなるベーン１５をすべり自在に密に接触して
いる。

【００１０】またカムリング１２、ローター１３及びベ
ーン１５は共にケーシング１０の内側面にすべり自在に
密に接触又は嵌合していて流体の漏洩を封止する構造に
なっている。前記インナーレース１１は、偏心したロー
ター１３を貫通したベーン１５の両端面が軽く接触する
ように、ベーン１５の両端面に接触するインナーレース
１１の２点間の距離がローター１３のすべての回転位置
においてほぼ一定となる楕円形状に形成されている。

【００１１】前記ベーン１５の両端面は中央部の弾性変
形可能な薄肉屈曲部１５ａによる弾性力によりインナー
レース１１に確実に接触して流体がインナーレース面か
らの漏洩を防止するように構成されている。

【００１２】本発明の要旨であるベーン１５の詳細を図
２で説明すると、ベーン１５は樹脂からなり、中央の薄
肉屈曲部１５ａを挟んで両端が相似形のベーン帯１５ａ
１、１５ａ２に分離すると共にその各先端部に曲面状の
接触面１５ｂをもっている。中央部の薄肉屈曲部１５ａ
は複数の薄肉が残るように押し出し成形により加工され
ている。その形状はベーン１５がインナーレース１１に
挿入されたときに弾性変形可能でかつベーン１５の接触
面１５ｂがインアーレース１１に当接して流体の密封作
用に十分なる均等な張力を与えるために断面が鼓型の連
結帯に加工される。その形状は加工の容易性と均等弾力
の創出の容易性から「く」の字型の対称形をなしてい
る。なお、図１中、１７は吸入口、１８は排出口を示
す。

【００１３】上記した実施の形態においては、楕円形の
インナーレース１１を持つカムリング１２について説明
したが、ローター１３の偏心量が小さなものにおいて
は、インナーレース１１を円形にしたものでもベーン１
５を薄肉屈曲部１５ａによってインナーレース１１に確
実に接触させることが可能である。

【００１４】

【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、ベー
ンを一部品で樹脂成形できるため、バキュームポンプの
コストダウンが可能となる。しかもベーンは中央部の弾
性変形部により、カムリングの内面の確実に接触してベ
ーン前後のポンプ室をシールできるため、容積効率が向
上し、真空圧達成までの時間を短縮することができる。
また、ポンプ内部の洩れが減少し、真空圧保持時間が長
くなり、省エネルギー化を達成できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態を示すベーン式バキューム
ポンプの横断面図である。

【図２】本発明の要部であるベーンの側視図である。

【図３】従来のベーン式バキュームポンプを示す図であ
る。

【符号の説明】

１０ ケーシング １１ インナーレース １２ カムリング １３ ローター １５ ベーン １５ａ 薄肉屈曲部 Ａ 吸入室 Ｂ 排出室

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ポンプ本体内に円形又は楕円形のインナ
   ーレースを持つカムリングと、このカムリングの中心線
   に対して偏心した中心線を持つローターと、このロータ
   ーの回転中心に対して直交して貫通し滑り案内されたベ
   ーンと、流体の吸入口と排出口を持ちカムリングとロー
   ターを相対回転させることにより流体を力学的に給排出
   するベーン式バキュームポンプにおいて、当該ベーンの
   中央部分に長さ方向に均等に弾性変形可能な薄肉屈曲部
   を一体的に設けたことを特徴とするベーン式バキューム
   ポンプ。
2. 【請求項２】 請求項１において、前記薄肉屈曲部をベ
   ーンと同一材料でかつ断面が鼓型の連結帯に形成し、ベ
   ーンの外端が外方向に均等に伸縮可能にしたことを特徴
   とするベーン式バキュームポンプ。