JP2008150982A - ベーンロータリー圧縮機 - Google Patents

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Masahiro Nakagawa
昌宏 仲川
Hiromasa Shimaguchi
博匡 島口
Yoshitake Ueshima
義武 上嶋
Hiromi Ishida
博巳 石田
Yoshinobu Maemura
好信 前村
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Abstract

【課題】圧縮行程の際の冷媒のリーク量を低減する。
【解決手段】シリンダ室5の吐出口11側の内壁形状は楕円曲線よりも外側方向に広がった(扁平した)形状となっている。具体的には、シリンダ室5の内壁形状は、図2に示すように、半径r1の円弧により定義される円弧領域(角度領域θ1,θ5,θ6,θ10)と、第1の正弦波曲線により定義される楕円曲線領域(角度領域θ2,θ7)と、半径r2(>r1)の円弧により定義される円弧領域(角度領域θ3,θ8)と、第2の正弦波曲線により定義される楕円曲線領域(角度領域θ4,θ9)とにより形成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、冷房装置の冷媒ガスの圧縮処理に利用して好適なベーンロータリー圧縮機に関する。
従来より、楕円の内壁形状を有するシリンダ室内に半径方向に摺動するベーンを備えるロータを回転自在に横架することにより形成されたベーンロータリー圧縮機が知られている(特許文献1参照)。このベーンロータリー圧縮機は、ロータの回転に伴い回転するベーンの摺動運動によって容積が増減する圧縮室を有し、圧縮室の容積の増大に伴い吸入口を介して圧縮室に冷媒を吸入し(吸入行程)、圧縮室の容積の減少に伴い吸入した冷媒を圧縮して吐出口から吐出する(圧縮行程)。
特許第2673431号公報
従来のベーンロータリー圧縮機では、シリンダ室が左右対称で短径軸近傍以外の全周が単一の正弦波曲線により規定される楕円形状となっているために、圧縮行程の際、楕円の長径軸から短径軸までの全域に渡って、ベーンとシリンダ間の隙間を介して圧縮された冷媒が低圧の隣の圧縮室側にリークする。このため、従来のベーンロータリー圧縮機によれば、体積効率を向上させることが困難であると共にリークした冷媒を再圧縮しなければならないために冷媒の圧縮に要する動力が増加する。特に電動コンプレッサのような吐出容量が小さい圧縮機では、吐出容量が大きい圧縮機と比較して上記隙間が占める割合が大きくなるために、上記のような問題はより顕著になる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、圧縮行程の際の冷媒のリーク量を低減可能なベーンロータリー圧縮機を提供することにある。
本発明に係るベーンロータリー圧縮機は、楕円の内壁形状を有するシリンダ室(5)を規定するシリンダ(4)と、シリンダ室(5)内に回転可能に配置されたロータ(6)と、ロータ(6)の回転に伴いシリンダ室(5)の壁面を摺動するようロータ(6)に保持されたベーン(8)と、シリンダ室(5)内に冷媒を供給する吸入口(10)と、ベーン(8)の摺動に伴い圧縮された冷媒を吐出する吐出口(11)とを備えるベーンロータリー圧縮機であって、シリンダ室(5)の吐出口(11)側の内壁形状は楕円の長径軸から吐出口(11)方向に伸びる長径を半径とする円弧領域(R1)と円弧領域(R1)の端点と楕円の短径部とを楕円曲線により繋ぐ楕円領域(R2)とを有する。
本発明に係るベーンロータリー圧縮機によれば、シリンダ室の内壁形状が単一の正弦波曲線により表される場合と比較して冷媒の圧縮比が上昇するタイミングが遅くなり、その後シリンダ室の内壁形状が単一の正弦波曲線により表される場合よりも高い圧縮比で冷媒を圧縮するので、冷媒の圧力が所定値以上になり吐出されるタイミングが早くなる。従って、本発明に係るベーンロータリー圧縮機によれば、冷媒がリークするロータの回転角度幅が小さくなり、換言すれば、冷媒がリークする時間が短くなるので、冷媒のリーク量を低減することができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態となるベーンロータリー圧縮機の構成について説明する。
〔全体構成〕
本発明の実施形態となるベーンロータリー圧縮機1は、図1に示すように、円筒状のハウジング2と、ハウジング2内に収容された同芯型のベーンロータリー式の圧縮機構3を備える。圧縮機構3は、略楕円の内壁形状のシリンダ室5を規定するシリンダ4と、シリンダ室5内に収容された円柱形状のロータ6を有する。ロータ6の回転軸6aは、その中心軸線をシリンダ室5のそれに一致させて配置され、回転可能に支承されている。回転軸6aには電磁クラッチ(図示せず)を介して車両のエンジンの回転力が伝達可能であり、車両のエンジンの回転力が伝達されるのに伴いロータ6が回転軸6aと一体に一方向へ駆動回転される。
ロータ6には、複数のベーン溝7が形成されている。各ベーン溝7内には、ベーン8が摺動可能、且つ、ロータ6の周方向へ突出可能に収容されている。各ベーン8は、ロータ6の回転に伴いシリンダ室5の壁面を摺動する。シリンダ室5は、ロータ6に保持されたベーン8によってロータ6の周方向へ区画されることにより、複数の圧縮室9に分割される。各圧縮室9は、ロータ6の回転に伴う吸入行程及び圧縮行程でそれぞれ容積の増大及び減少を繰り返す。シリンダ室5の長径軸近傍には、各圧縮室9に冷媒を供給する一対の吸入口10が開放する。シリンダ室5の短径軸近傍には、各圧縮室9で圧縮された冷媒を圧縮室9から吐出する一対の吐出口11が開放する。各吐出口11には、圧縮室9から吐出される冷媒の逆流を阻止する吐出弁13、及び吐出弁13の過大な変形を阻止する弁サポート14が設けられている。
このベーンロータリー圧縮機1では、車両のエンジンの回転力が電磁クラッチを介して回転軸6aに伝達されると、回転軸6aと一体にロータ6が回転する。ロータ6が回転すると、ロータ6に保持された各ベーン8がシリンダ室5を摺動する。ベーン8の摺動によって容積が増大する圧縮室9には吸引力が作用する。圧縮室9に吸引力が作用すると、吸入行程では、蒸発器からの冷媒が吸入口10を介して各圧縮室9に吸入される。引き続くロータ6の回転に伴い吸入行程にある圧縮室9がその容積を減少させる圧縮行程に移行すると、圧縮室9内の冷媒が圧縮される。圧縮行程中の圧縮室9内の冷媒圧力が所定値以上になると、吐出口11を介して圧縮室9から圧縮冷媒が吐出される。
〔シリンダ室の形状〕
本発明の実施形態となるベーンロータリー圧縮機1では、シリンダ室5の吐出口11側の内壁形状は楕円曲線よりも外側方向に広がった(扁平した)形状となっている。具体的には、シリンダ室5の内壁形状は、図2に示すように、半径r1の円弧により定義される円弧領域(角度領域θ1,θ5,θ6,θ10)と、第1の正弦波曲線により定義される楕円曲線領域(角度領域θ2,θ7)と、半径r2(>r1)の円弧により定義される円弧領域(角度領域θ3,θ8)と、第2の正弦波曲線により定義される楕円曲線領域(角度領域θ4,θ9)とにより形成されている。また、円弧領域(角度領域θ3,θ8)の曲率半径は楕円曲線領域(角度領域θ2,θ7)の曲率半径と同じ又は楕円曲線領域(角度領域θ2,θ7)の曲率半径以上の大きさになっている。
一般に、ベーンロータリー圧縮機では、冷媒は、図3に示すA方向のロータ6の回転にベーン8が追従することにより圧縮される。この際ベーン8には冷媒によって図3に示すB方向にベーン8を押し戻そうとする力が働くと共に、図4に示すようにベーン8とシリンダ3間の隙間から低圧の隣の圧縮室に圧縮された冷媒がリークする。従って、このリーク時間が長い程、冷媒のリーク量が多くなり、体積効率を向上させることが困難になると共にリークした冷媒を再圧縮しなければならないために冷媒の圧縮に要する動力が増加する。
これに対して、上記のようなシリンダ室5の形状によれば、冷媒は、図5に示す円弧領域R1においてはシリンダ室の内壁形状が単一の正弦波曲線(図5に示す破線曲線)により表される場合と比較して低い圧縮比で圧縮され、楕円曲線領域R2においてはシリンダ室の内壁形状が単一の正弦波曲線により表される場合と比較して高い圧縮比で圧縮される。すなわち、上記のようなシリンダ室5の形状では、シリンダ室の内壁形状が単一の正弦波曲線により表される場合と比較して冷媒の圧縮比が上昇するタイミングが遅くなる。そしてその後冷媒はシリンダ室の内壁形状が単一の正弦波曲線により表される場合よりも高い圧縮比で圧縮されるので、冷媒の圧力が所定値以上になり吐出されるタイミングは早くなる。従って、上記のようなシリンダ室5の形状によれば、冷媒がリークするロータ6の回転角度幅が小さく、換言すれば、冷媒がリークする時間が短くなるので、冷媒のリーク量を低減することができる。
以上、本発明者らによってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、この実施の形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、この実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論であることを付け加えておく。
本発明の実施形態となるベーンロータリー圧縮機の構成を示す断面図である。 図1に示すシリンダ室の内壁形状を説明するための模式図である。 ロータの回転に伴いベーンに作用する力を説明するための模式図である。 図3に示すC矢印方向から見たベーンロータリー圧縮機の断面形状を示し、ロータとシリンダ間の隙間を介して冷媒がリークする様子を示す模式図である。 図1に示すシリンダ室の内壁形状の部分拡大図である。
符号の説明
1:ベーンロータリー圧縮機
2:ハウジング
3:圧縮機構
4:シリンダ
5:シリンダ室
6:ロータ
6a:回転軸
7:ベーン溝
8:ベーン
9:圧縮室
10:吸入口
11:吐出口
13:吐出弁
14:弁サポート

Claims (2)

  1. 楕円の内壁形状を有するシリンダ室(5)を規定するシリンダ(4)と、前記シリンダ室(5)内に回転可能に配置されたロータ(6)と、ロータ(6)の回転に伴いシリンダ室(5)の壁面を摺動するようロータ(6)に保持されたベーン(8)と、シリンダ室(5)内に冷媒を供給する吸入口(10)と、ベーン(8)の摺動に伴い圧縮された冷媒を吐出する吐出口(11)とを備えるベーンロータリー圧縮機であって、前記シリンダ室(5)の前記吐出口(11)側の内壁形状は前記楕円の長径軸から吐出口(11)方向に伸びる長径を半径とする円弧領域(R1)と当該円弧領域(R1)の端点と前記楕円の短径部とを楕円曲線により繋ぐ楕円領域(R2)とを有することを特徴とするベーンロータリー圧縮機。
  2. 請求項1に記載のベーンロータリー圧縮機において、前記円弧領域(R1)の曲率半径は前記楕円領域(R2)の曲率半径と同じ又は前記楕円領域(R2)の曲率半径以上の大きさであることを特徴とするベーンロータリー圧縮機。
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