JP2003101138A - 波長可変デバイス - Google Patents

波長可変デバイス

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JP2003101138A JP2002191667A JP2002191667A JP2003101138A JP 2003101138 A JP2003101138 A JP 2003101138A JP 2002191667 A JP2002191667 A JP 2002191667A JP 2002191667 A JP2002191667 A JP 2002191667A JP 2003101138 A JP2003101138 A JP 2003101138A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型、安価で、しかも広帯域において透過ス
ペクトルの透過率が高く、且つ、そのバンド幅が狭い良
好なフィルタ特性を示す波長可変フィルタを提供する。 【解決手段】 基板上に1次元フォトニック結晶からな
る平行に対向する一対のミラーで構成された共振器と、
静電駆動型マイクロアクチュエータが備えられている。
マイクロアクチュエータは、共振器を構成する可動ミラ
ーと一体となった可動電極、可動電極を支持するバネお
よび固定電極を有している。バネの固定端、固定電極お
よび固定ミラーは基板に固定されている。可動電極、バ
ネのうち固定端以外の部分および可動ミラーは基板から
分離されて宙に浮いている。可動電極と固定電極間に電
圧を印加すると、可動電極と固定電極間に静電力が発生
し可動電極が並進移動する。それにより、共振器の共振
器長が変化し、波長多重された複数の信号光から所望の
波長光が選択的に共鳴透過する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、波長可変デバイス
に関し、特に波長多重光の中から特定波長の光を選択す
る波長可変フィルタや特定の波長の光を選択して発振す
る波長可変レーザなどの波長可変デバイスに関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】波長分割多重(WDM)光伝送方式のキ
ーデバイスの一つに、波長多重された複数の信号光から
特定の波長光を選択的に取り出す波長可変フィルタと、
特定の波長光を選択的に発振する波長可変レーザがあ
る。従来の波長可変フィルタの代表例としては、誘電体
多層膜内の多重反射を利用した波長可変フィルタと、フ
ァブリペロー共振器を用いた波長可変フィルタとが知ら
れている。しかしながら、前者は、誘電体多層膜への入
射光の入射角度を制御して誘電体多層膜の実効的な膜厚
を変化させることによって波長を可変にするものである
ため、誘電体多層膜を回転させるサーボ機構を必要とす
る等、構成が複雑となり小型化、低価格化が困難である
という問題を抱えている。また、アレイ化して光並列伝
送に適用するということも困難である。
【0003】一方、後者としては、例えば、特開2000-1
62516号公報に開示されるものが知られている。図15
は、この従来の波長可変フィルタの構成を示す断面図で
ある。従来の波長可変フィルタは、光導波路基板500
内に対向して配置された光導波路501、502と、こ
れら光導波路の両端面の間に配置されたダイヤフラム型
マイクロマシン503とから構成され、入力側の光ファ
イバ510と出力側の光ファイバ511との間に配置さ
れる。ダイヤフラム型マイクロマシン503を構成する
本体504とダイヤフラム505とにそれぞれ取り付け
られた電極506と電極507との間に電圧を印加する
ことによって発生する静電力により、ダイヤフラム50
5が変形する。それにより、誘電体多層膜からなる2つ
のハーフミラー508と509とによって構成されるフ
ァブリペロー共振器の共振器長が変化して透過波長が可
変となる。この構造は、前者の構造に比して構成部品も
少なく、小型化やアレイ化が可能である。また、波長可
変レーザの従来例としては、回転型の回折格子をファブ
リペロー型レーザの外部共振器として実装したものが知
られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、従来の
ファブリペロー共振器を用いた波長可変フィルタは構成
部品が少なく、小型化やアレイ化も可能であるという長
所を持つが、その反面、光が透過する際、ハーフミラー
508、509が形成されているところの本体504や
ダイヤフラム505を通過せざるを得ず、不必要な透過
損失を招くことになる。また、ハーフミラー508、5
09の成膜や本体504とダイヤフラム505との接合
等、その作製プロセスは複雑である。さらに、ファブリ
ペロー共振器を用いた波長可変フィルタでは、ハーフミ
ラーの反射率が高ければ高いほど透過ピークのバンド幅
が狭くなるなど、ハーフミラーの反射率がフィルタ特性
に大きな影響を及ぼすために、使用する光の波長帯域全
域で良好なフィルタ特性を得ようとすれば、その波長帯
域をカバーし得る広帯域高反射率のミラーが不可欠とな
る。今後、Cバンド(1.55μm帯)に加えLバンド
(1.58μm帯)、さらにはSバンド(1.49μm帯)
と光通信に使用される波長帯域が拡がってくると予想さ
れるが、従来の誘電体多層膜でSバンドからLバンドに
亙る広い帯域で高反射率を示すミラーを形成するのは極
めて困難である。また、上述の従来の波長可変レーザ
は、回折格子を回転させるサーボ機構を必要とした複雑
な構成となるため、小型化、低価格化が困難である。
【0005】本発明は、上記課題に鑑みてなされたもの
であって、その目的は、小型、安価で、アレイ化にも適
し、しかも広帯域において透過スペクトルの透過率が高
く、且つ、バンド幅が狭い良好なフィルタ特性を示す波
長可変フィルタと、小型、安価で、アレイ化にも適した
波長可変レーザを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明によれば、対をなして平行に対向配置された
ミラーよりなる共振器と、前記対をなすミラーの間隙を
変化させて共振器長を変える間隔可変機構と、を有する
波長可変デバイスにおいて、前記対をなすミラーの少な
くとも一方と前記間隔可変機構とがともに基板上に一体
的に形成され、かつ、そのミラーのミラー面が前記基板
の基板面に対して垂直に形成されていることを特徴とす
る波長可変デバイス、が提供される。そして、好ましく
は、前記対をなすミラーの少なくとも一方が入射する光
に対し所望の波長帯域にフォトニックバンドギャップを
持つ半導体と空気の周期構造から成るフォトニック結晶
である。また、好ましくは、前記対をなすミラーの他方
も屈折率周期構造を有するフォトニック結晶によって構
成され、これにより波長可変フィルタが構成される。ま
た、好ましくは、前記対をなすミラーの他方が、光増幅
機能を有する半導体チップによって構成され、一方の可
動のミラーがレーザの外部共振器として機能する。
【0007】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照して説明する。 〔第1の実施の形態〕図1は、本発明の第1の実施の形
態の可変波長フィルタの斜視図である。図2は、第1の
実施の形態のフォトニック結晶からなる固定ミラーの平
面図である。図3は、第1の実施の形態の可変波長フィ
ルタの平面図である。図4(a)〜(b)、図5(a)
〜(c)は、第1の実施の形態の一製造方法を説明する
ための工程順の断面図であり、図6(a)〜(c)は、
第1の実施の形態の他の製造方法を説明するための工程
順の断面図である。図1に示されるように、本実施の形
態における波長可変フィルタは、1対の可動電極101
A、101Bと、可動電極を支持する4本のバネ102
と、4本のバネのそれぞれの端部に設けられた固定端1
09と、2対の固定電極103A、103Bおよび10
4A、104Bと、フォトニック結晶からなる可動ミラ
ー105と、可動ミラー105と対向する位置にあるフ
ォトニック結晶からなる固定ミラー106と、基板10
7と、絶縁層108と、から構成される。2対の固定電
極103A、103Bおよび104A、104Bと、フ
ォトニック結晶からなる固定ミラー106とは、基板1
07に固定され、固定部を構成している。1対の可動電
極101A、101Bと、可動電極を支持する4本のバ
ネ102と、フォトニック結晶からなる可動ミラー10
5とは一体を成して宙に浮いており、可動電極を支持す
る4本のバネの固定端109を介して基板107に固定
されながら、可動部を構成している。2対の固定電極1
03A、103Bと104A、104Bと、固定ミラー
106と、バネの固定端109とは、それぞれ、SiO
等よりなる絶縁層108によって基板107と電気的
に絶縁されながら、基板107に固定されている。ただ
し、基板107がその表面に絶縁層を有する場合には、
絶縁層108は必ずしも必要ではない。また、2対の固
定電極103A、103Bおよび104A、104B
と、バネの固定端109とには、それぞれ、電極パッド
(図示せず)が形成されており、この電極パッドを介し
て、2対の固定電極103A、103Bおよび104
A、104Bには電圧が印加され、バネの固定端109
は接地されている。
【0008】この構成において、1対の可動電極101
A、101Bと、これらを支持する4本のバネ102お
よび固定端109と、2対の固定電極103A、103
Bおよび104A、104Bと、から成るマイクロアク
チュエータを用いて、可動ミラー105を図の左右方向
に駆動して、可動ミラー105と固定ミラー106との
間隙(すなわち、共振器長)を制御することにより、可
動ミラー105に入射する波長多重された入射信号光λ
〜λのうち、固定ミラー106から所望の波長を持
つ出射信号光λを選択的に透過させる。これにより、
広帯域において透過スペクトルの透過率が高く、かつ、
半値幅が狭い良好なフィルタ特性を実現することが可能
となる。なお、図1では、作図の簡単のために各固定電
極、各可動電極の櫛歯は、それぞれ、2本、3本のみを
描いているが、必要な駆動力に応じて任意の数の櫛歯数
が選択される。
【0009】次に、本発明による波長可変フィルタの、
構成要素ごとの働きを順に説明する。まず、1対の可動
電極101A、101Bと、可動電極を支持する4本の
バネ102と、その固定端109と、2対の固定電極1
03A、103Bおよび104A、104Bとは、可動
ミラー105を図の左右方向に駆動するためのマイクロ
アクチュエータを構成している。1対の可動電極101
A、101Bと、2対の固定電極103A、103Bお
よび104A、104Bとは全て櫛歯状形状をしてお
り、可動電極101Aは固定電極103A、104A
と、可動電極101Bは固定電極103B、104Bと
互いに噛み合うように配置されている。可動電極101
A、101Bはともに、それぞれの可動電極を支持する
バネ102とその固定端109に形成された電極パッド
とを介して接地されている。
【0010】固定電極103Aと103Bとに同時に同
電圧を印加することにより、可動部が固定ミラー106
に近づく方向に駆動される。一方、固定電極104Aと
104Bとに同時に同電圧を印加することにより、可動
部が固定ミラー106から遠ざかる方向に駆動される。
また、固定電極103A、103Bに電圧が印加されて
いるときには、固定電極104A、104Bは接地さ
れ、逆に、固定電極104A、104Bに電圧が印加さ
れているときには、固定電極103A、103Bは接地
される。
【0011】可動部を左右に変位させるために、可動電
極の櫛歯と固定電極の櫛歯との間の間隙は、可動電極の
中央の櫛歯を除いてそれぞれの櫛歯の左右で非対称であ
る。非対称にすることによって、間隙が狭い方の櫛歯間
に、より強い静電引力が作用し、その間隙がより狭まる
方向に可動電極が引き寄せられる。この場合、固定電極
(可動電極)の一つの櫛歯だけに注目すれば、両隣にあ
る可動電極(固定電極)の櫛歯のうち一方をできるだけ
その固定電極(可動電極)に接近させ、他方をその固定
電極(可動電極)からできるだけ離すほうが、静電引力
の和は大きくなる。しかしながら、櫛歯間の間隔を大き
くすることは、単位間隔内に形成できる櫛歯数を少なく
することになり、空間的な効率を悪くするほうに働く。
結局、電極の形成面積が一定であれば、発生力の体積効
率(単位体積当りの発生力)を最大にするためには、一
つの櫛歯に作用する静電引力と単位長さに形成できる櫛
歯数との積を最大にすればよい。間隙が狭い方の櫛歯間
隔、間隙が広い方の櫛歯間隔、それら両者の比、櫛歯の
幅のうちのいずれか2つの量が決まれば、発生力の体積
効率を最大にするように、他の2つの量も決定される。
また、固定電極を基準に考えて、その固定電極の櫛歯と
隣接する2本の可動電極の櫛歯のうち、左側の可動電極
の櫛歯との間隔の方が小さければ、可動電極は右側に変
位し、逆に、右側の可動電極の櫛歯との間隔の方が小さ
ければ、可動電極は左側に変位する。
【0012】固定電極を2対設けることなく、1対の固
定電極のみで可動電極の全ストロークをまかなうように
することもできる。本実施の形態において、固定電極を
右駆動用と左駆動用とに分割したのは、次の理由によ
る。即ち、可動電極の中央の櫛歯(図1において、可動
電極101Aあるいは可動電極101Bの中央の櫛歯)
は、その左右両隣のどちらの固定電極の櫛歯との間隔も
狭い方の間隔にすることにより、左右両隣のどちらの固
定電極にも寄与させて右駆動用としても左駆動用として
も利用できる。したがって、体積効率の点から有利にな
る。特に、可動電極の櫛歯数が少ない場合に、その効果
は相対的に大きくなる。なお、可動電極101Aを図の
手前方向に引く静電引力と可動電極101Bを図の奥行
き方向に引く静電引力とは互いに打ち消し合うために、
可動部がこれらの方向に変位することはない。
【0013】次に、フォトニック結晶からなる可動ミラ
ー105と固定ミラー106について説明する。近年、
1次元的あるいは2次元的あるいは3次元的に波長のオ
ーダーの周期を持って誘電率したがって屈折率の異なる
材料を周期的に配列した構造を作製して、半導体中の電
子の振る舞いと同様に、光あるいは電磁波の振る舞いを
制御する材料構造が注目されている。このような構造は
フォトニック結晶と呼ばれ、その振る舞いは、半導体中
の電子のエネルギーバンドに相当するフォトニックバン
ドという概念を用いて説明される。このフォトニックバ
ンドには、光あるいは電磁波が固有のモードを持ち得な
い周波数領域、即ち、フォトニックバンドギャップが存
在する。このフォトニックバンドギャップは、一般に、
周期構造をなす誘電体の屈折率の変調が強い程、広帯域
にわたって開く。このように、フォトニック結晶は本質
的に光波長選択性を有するために、波長選択性を有する
フィルタ、即ち、波長可変フィルタへの応用に適した構
造であるといえる。
【0014】ただし、光波長のオーダーの周期を持つ屈
折率変調を3次元的に実現することは極めて困難であ
る。本発明のように、マイクロアクチュエータとフォト
ニック結晶から成るミラーを異方性エッチング等に代表
されるマイクロマシーニング(マイクロマシン技術)に
よって一括成形するのであれば、3次元フォトニック結
晶よりも、1次元もしくは2次元フォトニック結晶の方
がプロセスとの整合性がよい。2次元フォトニック結晶
としては、例えば、構造材中に円柱孔が三角格子配列し
たものが、マイクロマシーニングプロセスとの整合性が
よいという点と、さらに、ブラヴェ格子でいえば六方格
子に対応し、面内のどの方向へも高反射率を示す波長域
を生成可能であるという点とにおいて好適である。本実
施の形態においては、1次元フォトニック結晶を用いて
ミラーを形成した。
【0015】次に、固定ミラーを例として、フォトニッ
ク結晶からなるミラーの構造について説明する。図2
は、本実施の形態の1次元フォトニック結晶からなる固
定ミラーの平面図である。1次元フォトニック結晶から
なる可動ミラーも同じ構造を有している。フォトニック
結晶からなる固定ミラー106は、長方形の空孔を形成
した構造材層120と、空孔を満たしている空気層12
1との周期構造からなる1次元フォトニック結晶より成
っている。各層厚dは、波長可変フィルタの動作帯域
の真空中での中心波長をλ、各層の屈折率をnとし
て、(1)式のように決定される。 d=λ/4n ・・・(1)
【0016】これにより、波長可変フィルタの動作帯域
の中心波長λが、共振器を構成した場合の最大透過波長
となる。ただし、下付きiは、構造材層(S)および空
気層(A)を示している。即ち、図2の1次元フォトニ
ック結晶を用いた固定ミラー106においては、空気層
121を4層含む次のような周期構造となる。 構造材層(d=λ/4n)/空気層(d=λ/4)
/ 構造材層(d=λ/4n)/空気層(d=λ/4)
/ 構造材層(d=λ/4n)/空気層(d=λ/4)
/ 構造材層(d=λ/4n)/空気層(d=λ/4)
/ 構造材層(d=λ/4n) ただし、空気の屈折率:n=1とした。図2では上記
の通り空気層121が4層含まれる構造を採っている
が、もちろん、その周期は数周期もあれば十分である。
【0017】本発明の波長可変フィルタの構造材層12
0に要求される特性としては、まず、マイクロマシーニ
ングによる高アスペクト比加工が可能である材料である
ことが挙げられる。次に、構造材層120に空孔を開け
てフォトニック結晶構造を形成する場合、フォトニック
バンドギャップが広い波長域に亙って開くように、構造
材層120の屈折率nが空気の屈折率に比して十分高
いことが望ましい。このことは、フォトニック結晶が広
帯域高反射率ミラーとして機能する上で欠くことのでき
ない特性である。以上のことに鑑みて、本発明の波長可
変フィルタの構造材層120の材料としては、既に半導
体微細加工技術の分野において十分な実績があり、尚且
つ、高屈折率を有するSiがふさわしいと判断される。
また、Siに準ずる材料としては、GaAsやInP等
が挙げられる。
【0018】共振器を形成するフォトニック結晶からな
る一対のミラーは、フォトニックバンドギャップ内の波
長光に対しては完全なミラーとして機能する。このフォ
トニックバンドギャップは、周期構造を成す誘電体の屈
折率の変調が強いほど、広帯域に亙って開く。例えば、
図2に示されるような構造材層120と空気層121と
の周期構造からなる1次元フォトニック結晶において、
構造材層120がSiのような高屈折率材料で形成され
ている場合には、前記周期構造の設計(各層厚をどの程
度にするか)にも依存するが、一般には、中心波長λの
周りに数100nm〜1000nm程度のフォトニック
バンドギャップが開く。したがって、本発明の波長可変
フィルタにおけるフォトニック結晶からなるミラーは広
帯域に亙って高い反射率を示す。ファブリペロー型共振
器を用いた波長可変フィルタにおいて、このミラーの反
射率は非常に重要な要素であり、ミラーの反射率が高い
ほど透過スペクトルの半値幅を狭くできる。
【0019】次に、フォトニック結晶からなる可動ミラ
ー105とフォトニック結晶からなる固定ミラー106
とから構成されるファブリペロー型共振器について説明
する。図1において、左側から、可動電極101A、1
01Bと一体化した可動ミラー105に、波長多重され
た複数の入射信号光λ〜λが入ってきた場合、フォ
トニックバンドギャップ内にある波長帯域において、
(2)式を満足する波長λの信号光だけが固定ミラー
106の右方向に共鳴透過して出射信号光となる。 λ=2L/m ・・・(2) ここで、Lはフォトニック結晶からなる可動ミラー10
5の右側面とフォトニック結晶からなる固定ミラー10
6の左側面との間隙、mは整数を表す。この時、共鳴透
過する出射信号光は、フォトニック結晶中を透過する以
外は空気中を伝播するのみで、基板等の不要な物質は一
切経由しない。また、透過する距離も光波長程度と非常
に短いので、透過損失は極めて低く抑えられる。さら
に、上述のように、ミラーが広帯域に亙って高い反射率
を示すので、共振器の透過スペクトルの半値幅は極めて
狭くなる。また、この時、フォトニック結晶からなる可
動ミラー105の右側面とフォトニック結晶からなる固
定ミラー106の左側面との光の通らない部分の一部に
電極を形成して、その間の容量をモニターすれば、ミラ
ー間の間隙変化をセンシングすることも可能である。
【0020】次に、本実施の形態の波長可変フィルタの
製造方法について説明する。図3は、本実施の形態の波
長可変フィルタの平面図であり、図4(a)〜図5
(c)は、本実施の形態の一製造方法を説明するための
A−A線に沿った工程順の断面図である(但し、図1同
様、図3では電極の櫛歯の一部が省略されている)。本
実施の形態の波長可変フィルタは、SOI基板にマイク
ロマシニング技術を用いて一括形成された。まず、Si
基板143上に埋込み酸化膜142を介してSOI層1
41が形成された面指数(110)のSOI基板140
を用意し、その裏面を数10〜100μm程度の厚さま
で研磨してから、その裏面、即ち、Si基板143側の
表面上に、埋込み酸化膜142の膜厚よりも若干薄い程
度の膜厚の熱酸化膜130を形成した後、通常のフォト
リソグラフィー技術とRIE技術とを用いて熱酸化膜1
30のパターニングを行い、波長可変フィルタの可動
部、即ち、バネの固定端109部を除いて、バネ10
2、可動電極101A、101B、可動ミラー105と
なる部位の熱酸化膜130に開口を形成する〔図4
(a)〕。この際、この開口は、可動部の各辺の外側に
0.5μm程度はみ出して形成することが望ましい。次
に、SOI基板140の表面、即ち、SOI層141側
の表面に、可動電極101A、101B、バネ102、
バネの固定端109、固定電極103A、103B、1
04A、104B、可動ミラー105の構造材層12
0、固定ミラー106の構造材層120となる部位を覆
うレジスト膜131を形成する〔図4(b)〕。次い
で、SOI基板140の表面全体に保護用レジスト13
2を形成した後、SOI基板140の裏面を、熱酸化膜
130をマスクとして、KOH水溶液を用いて異方性エ
ッチングを行う。これにより、熱酸化膜130の開口
部、即ち、波長可変フィルタの可動部となる部位に、深
い溝133が、高アスペクト比にて形成できる〔図5
(a)〕。この異方性エッチングにおいて、埋込み酸化
膜142がエッチングストッパとなる。次に、可動部の
底面を基板から離すために、溝133内の埋込み酸化膜
142の除去を行うが、この方法には、次のウェットエ
ッチングかドライエッチングのいずれかが用いられる。
ウェットエッチングを用いる場合には、HF水溶液にて
エッチングを行う。この場合、ウェットエッチングの進
行とともに、固定電極やバネの固定端となる部位に向か
っても埋込み酸化膜142のエッチングが進むが、例え
ば、埋込み酸化膜142の膜厚が2μm、可動電極と固
定電極との間隔が1.5μm、固定電極の幅が4μm、
バネの固定端が6μm□程度であれば、ウェットエッチ
ングの時間を調節して、固定電極と可動電極を支持する
4本のバネの固定端とを基板に固定しておくに十分な幅
の酸化膜層を残すことが可能である。この工程におい
て、基板裏面上の熱酸化膜130も除去される。ドライ
エッチングの場合には、Siとの選択比の大きいC
や、CにHや炭化水素ガスを添加したガス等
を用いて、溝133内の埋込み酸化膜142の除去を行
う。以上の工程により、本実施の形態の波長可変フィル
タの可動部の底面がSi基板143から分離され、溝1
33内で空中に露出する〔図5(b)〕。
【0021】次に、SOI基板140の表面を保護して
いた保護用レジスト132を除去し、露出したレジスト
膜131をマスクとして、SOI層141にRIEエッ
チングを行う。このRIEエッチングは埋込み酸化膜1
42が除去されるまで行うが、埋込み酸化膜142を越
えてSi基板143までエッチングが進行しても何ら不
都合はない。以上の工程により、本実施形態の波長可変
フィルタの各構成要素が形成される。最後に、SOI層
141の表面上のレジスト膜131をOアッシングに
よって除去して、本実施の形態の製造工程を完了する
〔図5(c)〕。なお、固定電極103A、103B、
104A、104Bやバネの固定端109に電圧を印加
するための電極パッド(図示せず)は、例えば、上述の
工程中のSOI基板140の表面にレジスト膜を形成す
る工程に先だって、パッド部になる領域にAlをデポシ
ットする工程を置き、その後でレジスト膜131で覆
い、以後の上述の工程を進めることによって、形成する
ことができる。
【0022】次に、本実施の形態の波長可変フィルタの
動作を具体的に説明する。本実施の形態の波長可変フィ
ルタは、SOI層の膜厚が4μm、埋込み酸化膜の膜厚
が2μmのSOI基板140を用いて試作された。試作
した波長可変フィルタにおけるマイクロアクチュエータ
部の主要な構造パラメータを以下に記す。構造材は、S
iである。構造は図1の基本構造と同じである。可動電
極の櫛歯と固定電極の櫛歯間の狭い方の間隙と広い方の
間隙の比は、1:2.5とした。また、本試作の可変波
長フィルタでは、発生力を大きくするために、櫛歯数を
図1に示した櫛歯数よりも増やした。
【0023】櫛歯の長さ: 50μm 櫛歯の幅: 4μm 可動電極101A、101Bの櫛歯数: 各11 固定電極103A、103Bの櫛歯数: 各6 固定電極104A、104Bの櫛歯数: 各6 可動電極の櫛歯−固定電極の櫛歯間の狭い方の間隙:
1.6μm 可動電極の櫛歯−固定電極の櫛歯間の広い方の間隙:
4.0μm 可動電極を支持するバネのバネ定数: 60.4N/m
【0024】フォトニック結晶からなるミラーの構造
は、図2のような1次元フォトニック結晶構造とした。
その周期構造は、動作帯域の中心波長をλ=1.55μ
mとして、空気の層を4層含んだ次のような構造とし
た。 Si層(110nm)/空気層(390nm)/ Si層(110nm)/空気層(390nm)/ Si層(110nm)/空気層(390nm)/ Si層(110nm)/空気層(390nm)/ Si層(110nm) ファブリペロー共振器部の主要な構造パラメータは以下
の通りである。 構造材層の高さ: 4μm 対向するミラー間の初期間隙: 6.2μm 本実施の形態の波長可変フィルタは、チップ自体の大き
さに限って言及すれば、約200μm角内に収まる超小
型素子であり、アレイ化にも適した構造である。
【0025】本実施の形態の波長可変フィルタにおける
マイクロアクチュエータ部の動特性を顕微鏡型レーザ・
ドップラー振動計で調べたところ、固定電極103A、
103Bに50Vの電圧を印加した時に可動電極101
A、101Bは初期位置からミラー間隔が縮まる方向に
200nm、固定電極104A、104Bに50Vの電
圧を印加した時に可動電極101A、101Bは初期位
置からミラー間隔が広がる方向に200nm並進移動す
ることが判明した。また、駆動電圧の周波数をスイープ
してマイクロアクチュエータの周波数応答スペクトルを
調べたところ、共振周波数が約230kHzであること
も判った。
【0026】次に、本実施の形態の可変波長フィルタの
フィルタ特性を調べた。可変波長フィルタに波長多重光
を入射し、透過光の波長を同定したところ、固定電極に
電圧を印加していない状態での透過中心波長は設計通り
に、1.55μmであった。固定電極103A、103
Bに印加する電圧値を増大させるに従い共振器長が減少
して透過中心波長は小さくなり、50V印加時では15
02.0nmであった。一方、固定電極104A、10
4Bに印加する電圧値を増大させた場合には、共振器長
の増加に伴い透過中心波長も大きくなり、50V印加時
には1597.4nmであった。また、波長可変光源を
用いて透過光の波長スペクトルを調べたところ、固定電
極への電圧無印加時に、1.55μmを中心として可変
幅約100nmの範囲内で共鳴透過スペクトルの透過率
は95%以上を示した。その時観測されるスペクトルの
半値幅は約0.1nmであった。
【0027】次に、図6を参照して第1の実施の形態の
波長可変フィルタの他の作製方法を説明する。本実施形
態における波長可変フィルタは、本作製方法によるマイ
クロマシニング技術を用いて、1枚のSi基板に一括形
成される。図6(a)〜(c)は、本実施の形態の波長
可変フィルタの、図3に示す平面図のA−A線に沿った
工程順の断面図である。まず、Si基板151の表面
に、レジストパターン152を形成し、このレジストパ
ターン152をマスクとして、固定電極103A、10
3B、104A、104Bとなる部位、固定ミラー10
6の構造材層120となる部位、バネの固定端109が
形成される部位を残して、他の領域を数μmエッチング
する〔図6(a)〕。次に、レジストパターンを形成し
直して、波長可変フィルタの可動電極101A、101
B、4本のバネ102、バネの固定端109、固定電極
103A、103B、104A、104B、可動ミラー
105の構造材層、固定ミラー106の構造材層となる
部位を覆うレジストパターン153を形成する。このレ
ジストパターン153をマスクとして、数μm〜数10
μmエッチングを行う〔図6(b)〕。この際のエッチ
ングは、RIE等の異方性エッチングを用いて、高アス
ペクト比構造が得られるようにする。次に、レジストパ
ターン153を残した状態において、エッチングされた
領域の底部に数10nm厚のSiN層を形成する。これ
は、後の工程においてエッチングストップ層となる。以
上の工程によって、Si基板上に、可動部領域の上面
が、後に波長可変フィルタの底部となる固定部領域の上
面よりも数μmだけ低い構造が形成される。
【0028】次に、Si基板151の加工面と別途用意
したガラス基板154とを、周知の陽極接合技術を用い
て接合する。次に、Si基板151の裏面を研磨して数
10μm程度の厚さに薄くした後、SiNエッチングス
トップ層までエッチングを行い、先のエッチングにて形
成した波長可変フィルタの各部位を露出させて、本実施
の形態の波長可変フィルタの製造工程を完了する。
【0029】〔第2の実施の形態〕図7は、本発明の第
2の実施の形態の波長可変フィルタの平面図である。図
7は、デバイス全体レイアウト図であり、実用性を考慮
した詳細設計に基づいて描かれている。図8は、図7の
波長可変フィルタの主要部〔図7の破線で囲まれた領
域〕の詳細な平面図である。図7、図8において、図1
に示した第1の実施の形態と同等の部分には下2桁が等
しい参照符号を付し重複する説明は適宜省略する。ま
た、本実施の形態の概念的な斜視図は、図1に示された
第1の実施の形態のそれと同様である。図7、図8に示
されるように、本実施の形態に係る波長可変フィルタ
は、第1の実施の形態の波長可変フィルタと同様に、1
対の可動電極201A、201Bと、可動電極を支持す
る4本のバネ202と、4本のバネのそれぞれの端部に
設けられた固定端209と、2対の固定電極203A、
203Bおよび204A、204Bと、フォトニック結
晶からなる可動ミラー205と、可動ミラー205と対
向する位置にあるフォトニック結晶からなる固定ミラー
206と、を有している。2対の固定電極203A、2
03Bおよび204A、204Bと、バネの固定端20
9とには、それぞれ、電極取出し部220、220
が形成されており、電極取出し部220を介して2対
の固定電極203A、203Bおよび204A、204
Bには駆動電圧が印加され、電極取出し部220を介
してバネの固定端209は接地される。
【0030】図8に示されるように、本実施の形態の波
長可変フィルタは、大きな外力が加わったり、電極に過
大な電圧が加わったりした際における可動電極201
A、201Bの櫛歯と固定電極203A、203B、2
04A、204Bの櫛歯との衝突、あるいは可動ミラー
205と固定ミラー206との衝突を防止するために、
ストッパー221を備えている。また、可動電極の変位
をモニタできるよう、電極取出し部220の端部と可
動電極201A、201Bの端部との間隔222が静電
容量型変位センサ部を形成している。本実施の形態にお
いては、可動ミラー205および固定ミラー206から
形成される共振器にコリメート光を入/出射させるため
に、光が入射する側と出射する側とに、それぞれ、1本
の直径125μmのコリメーション・ファイバを、共振
器を挟むように突き合せて配置する。従って、本実施の
形態の波長可変フィルタには、コリメーション・ファイ
バを挿入するための深い溝(ファイバ挿入溝)が設けられ
ている。なお、図7、図8における各固定電極の櫛歯数
は6本であり、各可動電極の櫛歯数は11本である。
【0031】この構成において、第1の実施の形態と同
様に、1対の可動電極201A、201Bと、これらを
支持する4本のバネ202および固定端209と、2対
の固定電極203A、203Bおよび204A、204
Bと、から成るマイクロアクチュエータを用いて、可動
ミラー205を図の左右方向に駆動して、可動ミラー2
05と固定ミラー206との間隙(すなわち、共振器
長)を制御することにより、可動ミラー205に入射す
る波長多重された入射信号光のうち、固定ミラー206
から所望の波長を持つ出射信号光を選択的に透過させ
る。これにより、広帯域において透過スペクトルの透過
率が高く、かつ、バンド幅が狭い良好なフィルタ特性を
実現することが可能となる。
【0032】本実施の形態による波長可変フィルタの各
構成要素の働きは、第1の実施の形態の場合と同様であ
るが、左方向駆動用固定電極対204A、204Bおよ
び右方向駆動用固定電極対203A、203Bに印加す
る電圧を、それぞれ、V、Vとしたとき、電圧一定
のバイアス電圧Vと電圧可変の制御電圧Vとを用い
て、V=V+V、V=V−Vと、左方向駆動用
固定電極対204A、204Bと右方向駆動用固定電極
対203A、203Bとに、差動的に電圧を印加して可
動電極を駆動することにより、印加電圧に対する変位応
答の線形性を改善することも可能である。その効果は変
位が小さい時に、より顕著となる。
【0033】次に、本実施の形態におけるミラーの構造
について説明する。フォトニック結晶からなるミラーは
可動ミラー205および固定ミラー206ともに長方形
の空孔を形成した構造材層と、空孔を満たしている空気
層との周期構造からなる1次元フォトニック結晶より成
っている。構造材層および空気層それぞれの層厚d
よびdは、各層の屈折率をそれぞれnおよびn
波長可変フィルタの動作帯域の真空中での中心波長をλ
として、(3)式のように決定される。 d=uλ/4n ・・・(3) ここで、uは奇数であり、各層で異なる値をとっても構
わない。また、添え字iは、構造材層(i=S)および
空気層(i=A)を示している。
【0034】これにより、λを中心波長としたフォトニ
ックバンドギャップが形成され、波長可変フィルタの動
作帯域において1次元フォトニック結晶が高反射率ミラ
ーとして機能する。uの値が大きくなれば、それだけ作
製は容易になるが、フォトニックバンドギャップを示す
波長帯域は狭くなる。本実施の形態における1次元フォ
トニック結晶を用いた可動ミラー205および固定ミラ
ー206は、空気層を4層含む次のような周期構造とな
る。 構造材層(d=uλ/4n)/空気層(d=u
λ/4)/ 構造材層(d=uλ/4n)/空気層(d=u
λ/4)/ 構造材層(d=uλ/4n)/空気層(d=u
λ/4)/ 構造材層(d=uλ/4n)/空気層(d=u
λ/4)/ 構造材層(d=uλ/4n) ただし、空気の屈折率:n=1とした。本実施の形態
では、上記の通り空気層が4層含まれる構造を採ってい
るが、もちろん、その周期は数周期もあれば十分であ
る。本発明の波長可変フィルタの構造材層としては、第
1の実施の形態と同様に、既に半導体微細加工技術の分
野において十分な実績があり、尚且つ、高屈折率を有す
るSiが使用された。
【0035】次に、本実施の形態の波長可変フィルタの
製造方法について説明する。図9(a)〜図11(d)
は、本実施の形態の製造方法を説明するための工程順の
断面図である。図9(a)〜図11(d)は、図8のB
−B線に沿った断面を90°左回転して示している。本
実施の形態の波長可変フィルタは、以下に示すような、
SOI基板を用いた2枚マスクによる表面プロセスによ
り一括形成される。1枚目のマスクでは、本実施の形態
の波長可変フィルタの構成要素である1次元フォトニッ
ク結晶ミラーから成る共振器および静電駆動型マイクロ
アクチュエータのパターニングを行う。また、2枚目の
マスクでは、光が入射する側と出射する側とに直径12
5μmのコリメーション・ファイバ2本を共振器を挟む
ように突き合せて配置するためのファイバ挿入溝のパタ
ーニングを行う。
【0036】まず、Si基板243上に埋込み酸化膜2
42を介してSOI層241が形成された面指数(11
0)のP型SOI基板240を用意し〔図9(a)〕、
ウエハ表面に濃度1020cm−3程度のボロン拡散層
244を形成する〔図9(b)〕。次に、ウエハ表面に
熱酸化膜245を形成する〔図9(c)〕。次いで、1
次元フォトニック結晶ミラーから成る共振器および静電
駆動型マイクロアクチュエータがパターニングされてい
る1枚目のマスクを用いてフォトリソグラフィーを行
い、熱酸化膜245上に第1のレジスト層246をパタ
ーニングする〔図9(d)〕。この時、波長可変フィル
タの可動ミラー205および固定ミラー206のミラー
面とSOI層241の(111)面とが一致するよう、
マスクとSOIウエハ240とをアライメントする。次
いで、RIE(Reactive Ion Etching)技術により熱酸
化膜245のパターニングを行った〔図10(a)〕
後、第1のレジスト層246を取り除く〔図10
(b)〕。次に、熱酸化膜245の上に第2のレジスト
層247を厚く塗り、ファイバ挿入溝がパターニングさ
れている2枚目のマスクを用いてフォトリソグラフィー
技術により第2のレジスト層247のパターニングを行
う〔図10(c)〕。次いで、RIE技術により、順
次、SOI層241のエッチング〔図10(d)〕、埋
め込み酸化膜242のエッチング〔図10(e)〕、S
i基板243のエッチング〔図11(a)〕を行ってフ
ァイバ挿入溝を浅く形成する。次に、第2のレジスト層
247を除去〔図11(b)〕した後、熱酸化膜245
をマスクとしてRIE技術によりSOI層241のエッ
チングを行い、その後、KOH水溶液によりミラー面と
して機能する可動ミラー205および固定ミラー206
の側壁をより平坦化する〔図11(c)〕。この側壁平
坦化の原理は次の通りである。ミラー面として機能する
側壁に一致するようアライメントされたSOI層241
の(111)面はKOH水溶液に対するエッチングレー
トが非常に低い。一方、側壁に存在する凹凸は様々な結
晶面が露出しているためにKOH水溶液に対するエッチ
ングレートが高い。この両者のエッチングレートの差に
より側壁の平坦性が著しく改善される。最後に、HF水
溶液により熱酸化膜245と、可動部の埋め込み酸化膜
242の除去〔図11(d)〕とを行い、可動部をリリ
ースして本実施の形態の波長可変フィルタの製造工程を
完了する。なお、本実施の形態においては金属製の電極
パッドは形成しなかったが、図11(d)の工程の終了
後にメタルマスクを介して金属膜を被着してメタルパッ
ドを形成することもできる。また、図9(b)に示すよ
うに、SOI層表面にボロン拡散層を形成した後、リフ
トオフ法ないし堆積/フォトエッチング法によって金属
電極パッドを形成し、その上にエッチング用マスクとな
る酸化膜をCVD法により形成すればよい。あるいは、
図9(c)に示す工程において、熱酸化膜245を形成
するのに代えて電極パッドとなる金属膜を被着し、これ
をマスクとしてSOI層、Si基板のエッチングを行う
ようにしてもよい。
【0037】以上により、本実施の形態の波長可変フィ
ルタの各構成要素が形成される。埋め込み酸化膜242
の除去に際しては、図8に示すように、固定電極203
A、203B、204A、204Bや固定ミラー20
6、固定端209等の埋め込み酸化膜242を介してS
i基板243に固定されるべき部分と、Si基板243
から完全にリリースされるべき可動電極201A、20
1Bやバネ202とでは、その構造の幅や面積の上でか
なりの差を持たせているため、HF水溶液に浸漬する時
間を適度に調節すれば、可動電極201A、201Bと
バネ202のみをSi基板243からリリースすること
が可能となる。なお、固定電極と可動電極との櫛歯の幅
が等しければ、基板からの可動電極のリリースとともに
固定電極の櫛歯の部分もリリースするが、図8に示すよ
うに櫛歯の幅をバネの幅よりも広くして剛性を高くして
おくと、固定電極に電圧を印加し、固定電極の櫛歯と可
動電極の櫛歯との間に静電力を作用させてもバネが変形
するだけであるので、固定電極の櫛歯が基板からリリー
スすることには何ら問題がない。
【0038】次に、本実施の形態の波長可変フィルタの
動作を具体的に説明する。本実施の形態の波長可変フィ
ルタは、SOI層の膜厚が40μm、埋込み酸化膜の膜
厚が2μmのSOI基板240を用いて試作された。試
作した波長可変フィルタにおけるマイクロアクチュエー
タ部の主要な構造パラメータを以下に記す。構造材は、
Siである。構造は図7、図8に示されるものと同じで
ある。可動電極の櫛歯と固定電極の櫛歯との間の狭い方
の間隙と広い方の間隙の比は、1:2.8とした。
【0039】櫛歯同士対向し合った部分の長さ: 50
μm 櫛歯の幅: 4μm 可動電極201A、201Bの櫛歯数: 各11 固定電極203A、203Bの櫛歯数: 各6 固定電極204A、204Bの櫛歯数: 各6 可動電極の櫛歯−固定電極の櫛歯間の狭い方の間隙:
1.5μm 可動電極の櫛歯−固定電極の櫛歯間の広い方の間隙:
4.2μm 可動電極を支持するバネのバネ定数: 218N/m
【0040】フォトニック結晶からなるミラーの構造
は、図8に示されるような1次元フォトニック結晶構造
とした。その周期構造は、動作帯域の中心波長をλ=
1.55μmとして、空気の層を4層含んだ次のような
構造とした。 Si層(996nm)/空気層(1163nm)/ Si層(996nm)/空気層(1163nm)/ Si層(996nm)/空気層(1163nm)/ Si層(996nm)/空気層(1163nm)/ Si層(996nm) ファブリペロー共振器部の主要な構造パラメータは以下
の通りである。 構造材層の高さ: 40μm 対向するミラー間の初期間隙: 1.55μm 本実施の形態の波長可変フィルタは、チップ自体の大き
さに限って言及すれば、約1mm角内に収まる超小型素
子であり、アレイ化にも適した構造である。
【0041】本実施の形態の波長可変フィルタにおける
マイクロアクチュエータ部の動特性を顕微鏡型レーザ・
ドップラー振動計で調べたところ、固定電極203A、
203Bに約28Vの電圧を印加した時に可動電極20
1A、201Bは初期位置からミラー間隔が縮まる方向
に200nm、固定電極204A、204Bに28Vの
電圧を印加した時に可動電極201A、201Bは初期
位置からミラー間隔が広がる方向に200nm並進移動
することが判明した。また、駆動電圧の周波数をスイー
プしてマイクロアクチュエータの周波数応答スペクトル
を調べたところ、共振周波数が約60kHzであること
も判った。
【0042】次に、本実施の形態の波長可変フィルタの
分光特性を調べた。分光特性評価時の光学系は、光が入
射する側と出射する側とにそれぞれ1本の直径125μ
mのコリメーション・ファイバを共振器を挟むように突
き合せて配置した。コリメーション・ファイバのビーム
ウエストにおけるビーム径は約20μm、ワーキングデ
ィスタンスは300μmである。以上のような光学系の
下、波長可変フィルタに入射する光の波長をスイープさ
せて分光特性を測定したところ、固定電極に電圧を印加
していない状態での透過スペクトルの中心波長は設計通
りに、1.55μmであった。固定電極203A、20
3Bに印加する電圧値を増大させるに従い共振器長が減
少して透過スペクトルの中心波長は短くなり、28V印
加時では約1475nmであった。一方、固定電極20
4A、204Bに印加する電圧値を増大させた場合に
は、共振器長の増加に伴い透過スペクトルの中心波長も
長くなり、28V印加時には約1605nmであった。
また、上記波長可変帯域1475nmから1605nm
において、透過スペクトルの透過損失は−0.8dB以
内、半値幅は0.06nm以下であった。なお、透過ス
ペクトルのピークからゲインを25dB低下させたレベ
ルでの帯域幅(−25dBバンド幅)は0.8nm以下
であった。
【0043】〔第3の実施の形態〕図12は、本発明の
第3の実施の形態の波長可変フィルタの斜視図である。
図13は、第3の実施の形態の波長可変フィルタの平面
図である。ここで、図12は、本実施の形態の波長可変
フィルタにおいて必要となる最少構成要素のみを簡潔に
記した概念図であり、図13は、実用性を考慮した詳細
設計に基づいて描かれたデバイスレイアウト図である。
図13に示すように、本実施の形態における波長可変フ
ィルタは、C−C線に関して左右反転対称であり、左半
分の構造は、図8に示される第2の実施の形態の波長可
変フィルタの構造と同じである。図12および図13に
おいて、図1および図8に示した第1および第2の実施
の形態と同等の構成要素には下二桁が等しい参照符号を
付し、さらに、右半分の構成要素には参照符号の後
に「’」を付して、重複する説明を省略する。固定ミラ
ー306は左右で共通である。なお、図12では基板と
絶縁層が、図13では電極パッド部が省略されている。
【0044】本実施の形態における波長可変フィルタ
は、フォトニック結晶からなる固定ミラー306の左右
両側に可動ミラー305および305’が対向する構
造、すなわち2つのキャビティを持つ構造をとってい
る。ファブリペロー共振器において、第1および第2の
実施の形態のようにキャビティを1つしか有しない構造
がシングルキャビティ構造と呼ばれるのに対して、本実
施の形態のようにキャビティを複数有する構造はマルチ
キャビティ構造と称されるが、このマルチキャビティ構
造を採用することによって、透過スペクトルの矩形性
を、シングルキャビティ構造に比べて著しく改善するこ
とができる。透過スペクトルの矩形性改善は、波長分割
多重(WDM)光伝送方式において、波長領域における
隣接チャネル間のクロストークを抑制しつつ、1チャネ
ルあたりのバンド幅を広げることができるので有益であ
る。本実施の形態の波長可変フィルタは、第2の実施の
形態の波長可変フィルタと同様の製造方法によって作製
可能である。
【0045】フォトニック結晶からなるミラーの構造
は、図13に示すように、第2の実施の形態の場合と同
様に1次元フォトニック結晶構造とした。可動ミラー3
05および305’の周期構造は、第2の実施の形態と
全く同じであり、その動作帯域の中心波長がλ=1.5
5μmとなるように、空気層を4層含んだ以下のような
構造とした。 Si層(996nm)/空気層(1163nm)/ Si層(996nm)/空気層(1163nm)/ Si層(996nm)/空気層(1163nm)/ Si層(996nm)/空気層(1163nm)/ Si層(996nm)
【0046】また、固定ミラー306の周期構造は、動
作帯域の中心波長がλ=1.55μmとなるように、空
気層を9層含んだ以下のような構造とした。 Si層(996nm)/空気層(1163nm)/ Si層(996nm)/空気層(1163nm)/ Si層(996nm)/空気層(1163nm)/ Si層(996nm)/空気層(1163nm)/ Si層(996nm)/空気層(1163nm)/ Si層(996nm)/空気層(1163nm)/ Si層(996nm)/空気層(1163nm)/ Si層(996nm)/空気層(1163nm)/ Si層(996nm)/空気層(1163nm)/ Si層(996nm)
【0047】共振器部の主要な構造パラメータは以下の
通りである。 構造材層の高さ: 40μm 対向するミラー間の初期間隙: 1.55μm
【0048】本実施の形態の波長可変フィルタにおける
マイクロアクチュエータ部の動特性を顕微鏡型レーザ・
ドップラー振動計で調べたところ、第2の実施の形態の
場合と同様な動特性が得られた。まず、固定電極303
A、303Bに約28Vの電圧を印加した時に可動電極
301A、301Bは初期位置からミラー間隔が縮まる
方向に200nm、固定電極304A、304Bに28
Vの電圧を印加した時に可動電極301A、301Bは
初期位置からミラー間隔が広がる方向に200nm並進
移動することが判明した。同様に、固定電極303
A’、303B’に約28Vの電圧を印加した時に可動
電極301A’、301B’は初期位置からミラー間隔
が縮まる方向に200nm、固定電極304A’、30
4B’に28Vの電圧を印加した時に可動電極301
A’、301B’は初期位置からミラー間隔が広がる方
向に200nm並進移動することが明らかとなった。ま
た、駆動電圧の周波数をスイープしてマイクロアクチュ
エータの周波数応答スペクトルを調べたところ、可動ミ
ラー305および305’ともに主共振が約60kHz
であることが判った。
【0049】次に、第2の実施の形態の場合と同じ光学
系を用いて、本実施の形態の波長可変フィルタの分光特
性を調べた。波長可変フィルタに入射する光の波長をス
イープさせて分光特性を測定したところ、固定電極に電
圧を印加していない状態での透過スペクトルの中心波長
は設計通りに、1.55μmであった。固定電極303
A、303B、303A’、303B’に印加する電圧
値を増大させるに従い共振器長が減少して透過スペクト
ルの中心波長は短くなり、28V印加時では約1475
nmであった。一方、固定電極304A、304B、3
04A’、304B’に印加する電圧値を増大させた場
合には、共振器長の増加に伴い透過スペクトルの中心波
長も大きくなり、28V印加時には約1605nmであ
った。上記波長可変帯域1475nmから1605nm
において、透過スペクトルの透過損失は−1.5dB以
内、半値幅は0.06nm以下であった。また、−25
dBバンド幅は、0.4nm以下であった。−25dB
バンド幅/半値幅比を、本実施の形態の場合と第2の実
施の形態の場合とで比較すると、本実施の形態の場合の
方が第2の実施の形態の場合の半分程度である。したが
って、本実施の形態における波長可変フィルタは、共振
器の構造がダブルキャビティ構造であることにより、第
2の実施の形態におけるシングルキャビティの共振器の
波長可変フィルタに比べ、その透過スペクトルの矩形性
が改善されていることが明らかである。
【0050】〔第4の実施の形態〕図14は、本発明の
第4の実施の形態の波長可変レーザの斜視図である。図
14には、本実施の形態の波長可変レーザにおいて必要
となる最少構成要素のみが簡潔に記されている。図14
に示されるように、本実施の形態における波長可変レー
ザは、第1あるいは第2の実施の形態における波長可変
フィルタの固定ミラーの替わりにレーザチップ461を
搭載した構造となっている。図14において、図1に示
した第1の実施の形態と同等の構成要素には下2桁が等
しい参照符号を付して、重複する説明を省略する。レー
ザチップ461と可動ミラー405は、ファブリペロー
型レーザを構成し、その共振器長は約300μmであ
る。レーザチップ461の可動ミラー405と向き合う
側のへき開面には反射防止膜が形成されており、レーザ
チップ461は可動ミラー405から約3μm隔てた位
置に実装されている。このような構成により、可動ミラ
ー405を外部共振器とした波長可変レーザを得ること
ができる。
【0051】本実施の形態の波長可変レーザは、レーザ
チップ461を除けば、外部共振機構および静電駆動型
マイクロアクチュエータからなる共振器長可変機構と
も、第2の実施の形態の波長可変フィルタと同様の製造
方法によって作製可能である。フォトニック結晶からな
る可動ミラー405の周期構造は、動作帯域の中心波長
がλ=1.55μmとなるように、空気層を4層含んだ
第2および第3の実施の形態の構造と全く同じある。構
造材層の高さおよび可動ミラー405の1次元フォトニ
ック結晶が形成されている部分の幅は40μmである。
【0052】本実施の形態の波長可変フィルタにおける
マイクロアクチュエータ部の動特性を顕微鏡型レーザ・
ドップラー振動計で調べたところ、第2の実施の形態の
場合と同様な動特性が得られた。固定電極403A、4
03Bに約28Vの電圧を印加した時に可動電極401
A、401Bは初期位置から可動ミラー405とレーザ
チップ461との間隔が縮まる方向に200nm、固定
電極404A、404Bに28Vの電圧を印加した時に
可動電極401A、401Bは初期位置から可動ミラー
405とレーザチップ461との間隔が広がる方向に2
00nm並進移動することが判明した。また、駆動電圧
の周波数をスイープしてマイクロアクチュエータの周波
数応答スペクトルを調べたところ、可動ミラー405の
主共振が約60kHzであることが判った。
【0053】また、上述のマイクロアクチュエータ部の
動特性評価と同時に、レーザチップ461に25mAの
動作電流を流し、本実施の形態の波長可変レーザの発振
特性を調べた。その結果、ファブリペロー型レーザの縦
モードのうちある特定の発振モードに着目すると、上述
のように可動ミラー405を±200nm動かしたとき
に、発振波長が約0.4nmシフトすることが明らかに
なった。第4の実施の形態は、第2の実施の形態とレー
ザチップとを組み合わせたものであったが、第3の実施
の形態の固定ミラーに代えてレーザチップを配置するよ
うにすることもできる。この場合にはレーザチップの両
端面に反射防止膜が形成される。
【0054】以上、本発明をその好適な実施の形態に基
づいて説明したが、本発明の波長可変フィルタおよび波
長可変レーザは、上述した実施の形態のみに制限される
ものではなく、本願発明の要旨を変更しない範囲で種々
の変化を施した波長可変フィルタも、本発明の範囲に含
まれる。例えば、可動電極および固定電極の櫛歯数は、
必要な静電引力に応じて変更することができる。可動電
極を支持する4本のバネも、板バネだけではなく、可動
電極の変位量を大きくしたい場合には、バネ定数の小さ
くなる複数回の折り返し構造を持つバネにしてもよい。
また、構造材はSiに限らず、GaAsやInP等の高
屈折率を持つ材料が用いられ得る。ミラーの構造につい
ても、1次元フォトニック結晶に限らず、構造材中に円
柱孔が三角格子配列あるいは正方格子配列した2次元フ
ォトニック結晶構造を用いても良い。さらに、エッチン
グマスクとして用いた熱酸化膜は、熱酸化膜に限らず、
シリコン窒化膜あるいはシリコン酸化膜とシリコン窒化
膜とを積層したものであってもよい。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、本発明による波長
可変フィルタは、ファブリペロー共振器型波長可変フ
ィルタの共振器を構成する対向する一対のミラーのミラ
ー面が基板に対して垂直に形成され、そのミラーが高屈
折率半導体と空気の周期構造から成るフォトニック結晶
である、光の伝播経路にフォトニック結晶からなるミ
ラー以外に基板等の不要な物質が存在しない、という特
徴を有するものであるので、本発明によれば、広帯域に
おいて透過スペクトルの透過率が高く、尚且つ、そのバ
ンド幅が狭い良好なフィルタ特性を示す波長可変フィル
タを実現することが可能になる。
【0056】また、本発明による波長可変フィルタおよ
び波長可変レーザは、共振器を構成するミラーを高屈
折率半導体と空気の周期構造から成る1次元フォトニッ
ク結晶構造とする、ファブリペロー共振器の共振器長
可変機構を静電駆動型マイクロアクチュエータで構成す
る、マイクロアクチュエータの構造材がフォトニック
結晶の構造材と同じ高屈折率半導体である、という特徴
を有するものであるので、半導体微細加工技術を基礎と
したマイクロマシーニングによって、共振器長可変機構
およびフォトニック結晶構造を一括成形できる。したが
って、本発明によれば、小型で安価な波長可変フィルタ
および波長可変レーザを実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態の波長可変フィル
タの斜視図。
【図2】 本発明の第1の実施の形態の固定ミラーの平
面図。
【図3】 本発明の第1の実施の形態の波長可変ミラー
の平面図。
【図4】 本発明の第1の実施の形態の一製造方法を説
明するための工程順の断面図の一部。
【図5】 本発明の第1の実施の形態の一製造方法を説
明するための、図4の工程に続く工程での工程順の断面
図。
【図6】 本発明の第1の実施の形態の他の製造方法を
説明するための工程順の断面図。
【図7】 本発明の第2の実施の形態の波長可変フィル
タの平面図。
【図8】 図7の波長可変フィルタの主要部の平面図。
【図9】 本発明の第2の実施の形態の製造方法を説明
するための工程順断面図の一部。
【図10】 本発明の第2の実施の形態の製造方法を説
明するための、図9の工程に続く工程での工程順断面図
の一部。
【図11】 本発明の第2の実施の形態の製造方法を説
明するための、図10の工程に続く工程での工程順断面
図。
【図12】 本発明の第3の実施の形態の波長可変フィ
ルタの斜視図。
【図13】 図12の波長可変フィルタの平面図。
【図14】 本発明の第4の実施の形態の波長可変レー
ザの斜視図。
【図15】 従来例の波長可変フィルタの断面図。
【符号の説明】
101A、101B、201A、201B、301A、
301B、301A’、301B’、401A、401
B 可動電極 102、202、302、302’、402 可動電極
を支持する4本のバネ103A、103B、104A、
104B、203A、203B、204A、204B、
303A、303B、304A、304B、303
A’、303B’、304A’、304B’、403
A、403B、404A、404B 固定電極 105、205、305、305’、405 フォトニ
ック結晶からなる可動ミラー 106、206、306 フォトニック結晶からなる固
定ミラー 107 基板 108 絶縁層 109、209、309、309’、409 可動電極
を支持する4本のバネの固定端 120 構造材層 121 空気層 130 熱酸化膜 131 レジスト膜 132 保護用レジスト 133 溝 140、240 SOI基板 141、241 SOI層 142、242 埋め込み酸化膜 143、243 Si基板 151 シリコン基板 152、153 レジストパターン 154 ガラス基板 220、220、220 電極取出し部 221、321、321’ ストッパー 222、322、322’ 間隔 244 ボロン拡散層 245 熱酸化膜 246 第1のレジスト層 247 第2のレジスト層 461 レーザチップ 500 光導波路基板 501、502 光導波路 503 ダイヤフラム型マイクロマシン 504 本体 505 ダイヤフラム 506、507 電極 508、509 ハーフミラー 510、511 光ファイバ

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対をなして平行に対向配置されたミラー
    よりなる共振器と、前記対をなすミラーの間隙を変化さ
    せて共振器長を変える間隔可変機構と、を有する波長可
    変デバイスにおいて、前記対をなすミラーの少なくとも
    一方と前記間隔可変機構とがともに基板上に一体的に形
    成され、かつ、そのミラーのミラー面が前記基板の基板
    面に対して垂直に形成されていることを特徴とする波長
    可変デバイス。
  2. 【請求項2】 前記基板上に形成されたミラーが、入射
    する光に対し所望の波長帯域にフォトニックバンドギャ
    ップを持つ半導体と空気の周期構造から成るフォトニッ
    ク結晶であることを特徴とする請求項1に記載の波長可
    変デバイス。
  3. 【請求項3】 前記間隔可変機構がマイクロマシンによ
    って構成されることを特徴とする請求項1または2に記
    載の波長可変デバイス。
  4. 【請求項4】 前記間隔可変機構が静電駆動型マイクロ
    アクチュエータによって構成されることを特徴とする請
    求項1から3のいずれかに記載の波長可変デバイス。
  5. 【請求項5】 前記間隔可変機構が、基板上に固定され
    た固定電極と、前記ミラーのいずれかと一体形成された
    可動電極と、を備えていることを特徴とする請求項4に
    記載の波長可変デバイス。
  6. 【請求項6】 前記固定電極と前記可動電極とが櫛歯状
    に入り組んで形成されていることを特徴とする請求項5
    に記載の波長可変デバイス。
  7. 【請求項7】 前記固定電極の各櫛歯からの、該各櫛歯
    の両隣に隣接する前記可動電極の2枚の櫛歯までの距離
    (以下、「櫛歯間ギャップ寸法」という)が、前記固定電
    極と前記可動電極との間への電界無印加時において互い
    に異なり、前記固定電極と前記可動電極との間に電界を
    印加することによって、狭い方の櫛歯間ギャップ寸法
    が、電界無印加時の狭い方の櫛歯間ギャップ寸法(以
    下、「最小櫛歯間ギャップ寸法」という)よりも狭まる
    方向に可動電極が移動することを特徴とする請求項6に
    記載の波長可変デバイス。
  8. 【請求項8】 前記固定電極が、相異なる2方向に前記
    可動電極を移動させる2種類の固定電極(以下、「正方
    向駆動用固定電極」および「負方向駆動用固定電極」と
    いう)より成ることを特徴とする請求項7に記載の波長
    可変デバイス。
  9. 【請求項9】 前記可動電極の中央の櫛歯が、前記正方
    向駆動用固定電極端の櫛歯と負方向駆動用固定電極端の
    櫛歯とに挟まれ、前記可動電極の中央の櫛歯と、その両
    隣の前記正方向駆動用固定電極端の櫛歯および負方向駆
    動用固定電極端の櫛歯との櫛歯間ギャップ寸法が、前記
    固定電極と前記可動電極との間への電界無印加時におい
    て、ともに最小櫛歯間ギャップ寸法であることを特徴と
    する請求項8に記載の波長可変デバイス。
  10. 【請求項10】 電圧一定のバイアス電圧Voを出力す
    るバイアス電圧源と電圧可変の制御電圧Vを出力する制
    御電圧源とを用いて、前記正方向駆動用固定電極および
    前記負方向駆動用固定電極と、前記可動電極との間に、
    それぞれ、Vo+V、Vo−Vとなる電圧を印加すること
    を特徴とする請求項8または9に記載の波長可変デバイ
    ス。
  11. 【請求項11】 前記可動電極が、該可動電極を支持す
    るバネの固定端によって前記基板に支持されていること
    を特徴とする請求項5から10のいずれかに記載の波長
    可変デバイス。
  12. 【請求項12】 前記基板が半導体によって形成され、
    前記可動電極と前記固定電極とがともに前記基板上に絶
    縁層を介して形成された半導体層から形成されているこ
    とを特徴とする請求項5から11のいずれかに記載の波
    長可変デバイス。
  13. 【請求項13】 前記可動電極と前記可動ミラーの下部
    の前記絶縁層が除去されていることを特徴とする請求項
    12に記載の波長可変デバイス。
  14. 【請求項14】 前記基板と前記絶縁層と前記半導体層
    とにより、前記半導体層をSOI層としたSOI基板が
    構成されていることを特徴とする請求項12または13
    に記載の波長可変デバイス。
  15. 【請求項15】 前記半導体層が(110)面を表面に
    持つシリコン層であって、前記共振器のミラー面が前記
    シリコン層の(111)面であることを特徴とする請求
    項12から14のいずれかに記載の波長可変デバイス。
  16. 【請求項16】 前記可動電極の変位を検知する静電容
    量型変位センサを具備していることを特徴とする請求項
    5から14のいずれかに記載の波長可変デバイス。
  17. 【請求項17】 対をなす前記ミラーの双方が、入射す
    る光に対し所望の波長帯域にフォトニックバンドギャッ
    プを持つ半導体と空気との周期構造から成るフォトニッ
    ク結晶であることを特徴とする請求項1から16のいず
    れかに記載の波長可変デバイス。
  18. 【請求項18】 前記間隔可変機構が連結された共振器
    が光伝播経路内に複数個直列に配置されていることを特
    徴とする請求項17に記載の波長可変デバイス。
  19. 【請求項19】 固定のミラーを共通にしてその前後に
    前記間隔可変機構を備えたミラーがそれぞれ配置されて
    いることを特徴とする請求項18に記載の波長可変デバ
    イス。
  20. 【請求項20】 対をなすミラーの一方が前記間隔可変
    機構を有し、他方が光増幅機能を有する半導体チップで
    あって、前記間隔可変機構を有するミラーがレーザの外
    部共振器として機能することを特徴とする請求項1から
    16のいずれかに記載の波長可変デバイス。
  21. 【請求項21】 対をなすミラーの双方が前記間隔可変
    機構を有し、かつ、双方が入射する光に対し所望の波長
    帯域にフォトニックバンドギャップを持つ半導体と空気
    との周期構造から成る1次元または2次元フォトニック
    結晶であり、前記対をなすミラー間に光増幅機能を有す
    る半導体チップが配置され、前記対をなすミラーがレー
    ザの外部共振器として機能することを特徴とする請求項
    1から16のいずれかに記載の波長可変デバイス。
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