JP2003100464A - 有機エレクトロルミネッセンス表示装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 有機層13の両側に正負一対の電極12、17を配
置して構成される有機ＥＬ表示装置において、従来より
も少ない電力で高い表示輝度を得る。 【解決手段】 本発明に係る有機ＥＬディスプレイ１に
おいては、有機層13がストライプ状に形成され、該有機
層13のストライプ間にはそれぞれ反射リブ２が配置され
ている。該反射リブ２は、断面形状が有機層13の光放射
方向に向かって縮小する台形を呈する金属製の反射体21
と、該反射体21の表面を覆う絶縁膜22とから形成されて
いる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、有機エレクトロル
ミネッセンス表示装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、有機エレクトロルミネッセンスデ
ィスプレイ(以下、有機ＥＬディスプレイという)の開発
が進んでおり、例えば携帯電話機に有機ＥＬディスプレ
イを採用することが検討されている。有機ＥＬディスプ
レイは、図５及び図６に示す如く、ガラス基板(11)をベ
ースとして、有機発光層(14)の両側に有機正孔輸送層(1
5)及び有機電子輸送層(16)を配置して有機層(13)を形成
すると共に、該有機層(13)の両側に陽極(12)及び陰極(1
7)を配置して構成されており、陽極(12)と陰極(17)の間
に所定の電圧を印加することによって、有機発光層(14)
を発光させるものである。

【０００３】陽極(12)は透明なＩＴＯ(indium tin oxid
e)を材料とし、陰極(17)は例えばＡｌ−Ｌｉ合金を材料
として、それぞれストライプ状に形成され、互いに交叉
する方向にマトリクス配置されている。又、陽極(12)は
データ電極、陰極(17)は走査電極として用いられ、水平
方向に伸びる１本の走査電極が選ばれた状態で、垂直方
向に伸びる各データ電極に、入力データに応じた電圧を
印加することによって、該走査電極と各データ電極の交
叉点で有機層(13)を発光させて、１ライン分の表示を行
なう。そして、走査電極を順次垂直方向へ切り替えるこ
とによって垂直方向に走査し、１フレーム分の表示を行
なう。

【０００４】この様な有機ＥＬディスプレイ(10)の駆動
方式としては、上述の如く走査電極とデータ電極を用い
て時分割駆動するパッシブマトリクス駆動方式と、各画
素の発光を１垂直走査期間に亘って維持するアクティブ
マトリクス駆動方式が知られている。

【０００５】特にパッシブマトリクス駆動方式の有機Ｅ
Ｌディスプレイにおいては、クロストーク、即ち、選択
されていない水平走査線の画素列にも電圧が印加されて
該画素列が発光することを防止するべく、図６に示す如
く、ストライプ状の有機層(13)のストライプ間にそれぞ
れ、絶縁リブ(18)を配置することが行なわれている。

【０００６】図４(ａ)(ｂ)(ｃ)は、絶縁リブ(18)の形成
工程を表わしている。先ず、図４(ａ)に示す如く、ガラ
ス基板(11)上に陽極(12)を形成した後、該陽極(12)を覆
って、ネガタイプのフォトポリマー(３)をスピンコート
法によって塗布した後、同図(ｂ)の如く、フォトポリマ
ー(３)の表面に、フォトマスク(４)を用いた露光処理を
施す。次に、同図(ｃ)の如く、フォトマスク(４)に対し
て現像を施す。ここで、フォトポリマー(３)に対する現
像速度は、ガラス基板(11)側で速く、表面側で遅いた
め、逆テーパの斜面を有する絶縁リブ(18)が形成される
ことになる。その後、ガラス基板(11)の陽極(12)を覆っ
て、絶縁リブ(18)のストライプ間に、図６の如くストラ
イプ状の有機層(13)を形成する。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】ところで、有機ＥＬデ
ィスプレイを携帯電話機等の小型携帯機器に装備する場
合、出来るだけ少ない電力で高い発光輝度を得ることが
必要となる。しかしながら、従来の有機ＥＬディスプレ
イ(10)においては、図２に示す如く、有機層(13)から発
生する光が、実線の矢印で示す様に前方へ向かって放射
されるだけでなく、破線の矢印で示す様に側方へ向かっ
ても放射され、側方へ向かう光は、絶縁リブ(18)を通過
して、ガラス基板(11)と空気の界面で全反射されること
になる。従って、有機層(13)から発生する光の全てが画
像の表示輝度として有効に利用されず、この結果、必要
な輝度を得るために多くの電力が消費されることとなっ
ていたのである。

【０００８】本発明の目的は、従来よりも少ない電力で
高い表示輝度を得ることが出来る有機ＥＬ表示装置を提
供することである。

【０００９】

【課題を解決する為の手段】本発明に係る有機ＥＬ表示
装置は、有機層(13)の両側に正負一対の電極(12)(17)を
配置して構成され、両電極(12)(17)間に電圧を印加する
ことによって、有機層(13)を発光させるものであって、
有機層(13)はストライプ状に形成され、該有機層(13)の
ストライプ間にはそれぞれ反射リブ(２)が配置され、該
反射リブ(２)は、有機層(13)に面する両側面が光反射面
を形成している。

【００１０】上記本発明の有機ＥＬ表示装置において
は、正負一対の電極(12)(17)に電圧を印加することによ
って、有機層(13)が発光し、有機層(13)から前方へ向か
って進む光と、反射リブ(２)の側面に向かって進む光と
が得られることになる。ここで、反射リブ(２)の側面に
向かって進む光は、反射リブ(２)の側面にて反射され、
進行方向が前方へ転換されて、画像の表示輝度として利
用されることになる。

【００１１】具体的構成において、反射リブ(２)は、断
面形状が有機層(13)の光放射方向に向かって縮小する台
形を呈している。これによって、反射リブ(２)の側面に
入射した光は、反射リブ(２)の側面にて前方へ向かって
反射されることになる。

【００１２】又、他の具体的構成において、反射リブ
(２)は、金属製の反射体(21)と、該反射体(21)の表面を
覆う絶縁膜(22)とによって構成されている。該具体的構
成においては、絶縁膜(22)によって有機層(13)のストラ
イプ間の絶縁が図られると共に、反射体(21)の表面によ
って前記反射面が形成される。

【００１３】

【発明の効果】本発明に係る有機ＥＬ表示装置によれ
ば、有機層から発生する光が有効に前方へ導かれるの
で、従来よりも少ない電力で高い表示輝度を得ることが
出来る。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下、本発明をパッシブマトリク
ス駆動方式の有機ＥＬディスプレイに実施した形態につ
き、図面に沿って具体的に説明する。図１は、本発明に
係る有機ＥＬディスプレイ(１)の積層構造及び光の進行
方向を表わしている。図示の如く、ガラス基板(11)上
に、画面垂直方向に伸びるストライプ状の陽極(12)、画
面水平方向に伸びるストライプ状の有機層(13)、有機層
(13)のストライプ間を伸びる複数本の反射リブ(２)、並
びに画面水平方向に伸びるストライプ状の陰極(17)が積
層され(図６参照)、その表面にガラス基板(19)が設置さ
れている。

【００１５】反射リブ(２)は、断面形状が有機層(13)の
光放射方向に向かって縮小する台形を呈するアルミニウ
ム製の反射体(21)と、反射体(21)の表面を覆うＳｉＯ_２
製の絶縁膜(22)とから構成されている。

【００１６】陽極(12)と陰極(17)の間に電圧を印加する
と、その交叉点で有機層(13)が発光し、図１中に実線で
示す如く直接に、若しくは陰極(17)との界面で反射され
て前方へ向かう光と、図１中に破線で示す如く、反射リ
ブ(２)の側面へ向かって進んだ後、反射リブ(２)の反射
体(21)の側面にて反射されて前方へ向かう光とが得られ
ることになる。この様に、有機層(13)から発生した光が
全て前方へ向かって放射されるので、一部の光がガラス
基板(11)と空気層との界面で全反射することはなく、全
ての光が画像の表示輝度として有効に利用される。この
結果、少ない電力で十分な輝度が得られる。尚、反射リ
ブ(２)は、その表面に絶縁膜(22)を有しているので、従
来の絶縁リブと同様のクロストーク防止機能を発揮す
る。

【００１７】図３(ａ)〜(ｄ)は、上記本発明の有機ＥＬ
ディスプレイ(１)の製造工程を表わしている。先ず図３
(ａ)に示す様に、ガラス基板(19)の表面に、複数本のア
ルミニウム製反射体(21)をそれぞれ断面台形状に形成す
る。該反射体(21)の形成には、周知のフォトリソグラフ
ィー技術を用い、該反射体(21)の両側面に、エッチング
速度の差を利用して順テーパの斜面を形成する。次に図
３(ｂ)に示す様に、各反射体(21)の表面にＳｉＯ_２をコ
ーティングして、絶縁膜(22)を形成する。これによっ
て、反射リブ(２)を具えた基板ブロックＳが得られる。

【００１８】又、図３(ｃ)に示す様に、ガラス基板(11)
の表面に陽極(12)をストライプ状に形成した後、該ガラ
ス基板(11)を覆って、陽極(12)とは直交する方向に伸び
るストライプ状の有機層(13)と陰極(17)を積層する。こ
こで、有機層(13)は、図５に示す如く有機正孔輸送層(1
5)、有機発光層(14)及び有機電子輸送層(16)を積層して
形成される。その後、図３(ａ)(ｂ)の工程を経て得られ
た基板ブロックＳを同図(ｃ)の如く裏返して、ガラス基
板(11)の表面に重ね合わせ、同図(ｄ)の如くガラス基板
(11)上の有機層(13)と陰極(17)を封止する。これによっ
て、図１に示す本発明の有機ＥＬディスプレイ(１)が得
られることになる。

【００１９】上述の如く、本発明に係る有機ＥＬディス
プレイ(１)によれば、新規な構造を有する反射リブ(２)
の採用によって、従来の有機ＥＬディスプレイよりも少
ない電力で高い輝度を得ることが出来る。又、反射リブ
(２)は、従来の有機ＥＬディスプレイ(10)に配備されて
いた絶縁リブ(18)に改変を加えたものに過ぎないので、
有機ＥＬディスプレイの製造工程に大きな変更は不要で
ある。

【００２０】尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に
限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の
変形が可能である。例えば、本発明は、パッシブマトリ
クス駆動方式の有機ＥＬディスプレイに限らず、アクテ
ィブマトリクス駆動方式の有機ＥＬディスプレイに実施
することも可能である。但し、アクティブマトリクス駆
動方式の有機ＥＬディスプレイにおいては、一般に陰極
はシート状に形成されているが、本発明の実施において
は、陰極をストライプ状に形成する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る有機ＥＬディスプレイの要部を示
す拡大断面図である。

【図２】従来の有機ＥＬディスプレイの要部を示す拡大
断面図である。

【図３】本発明の有機ＥＬディスプレイの製造工程を示
す図である。

【図４】従来の有機ＥＬディスプレイの製造工程を示す
図である。

【図５】従来の有機ＥＬディスプレイの積層構造を示す
図である。

【図６】従来の有機ＥＬディスプレイの一部破断斜視図
である。

【符号の説明】

(１) 有機ＥＬディスプレイ (11) ガラス基板 (12) 陽極 (13) 有機層 (２) 反射リブ (21) 反射体 (22) 絶縁膜 (17) 陰極 (19) ガラス基板

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 3K007 AB02 BA06 BB06 DB03 EB00 5C094 AA10 AA48 BA27 CA19 DA12 ED11 FA04

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 有機層(13)の両側に正負一対の電極(12)
   (17)を配置して構成され、両電極(12)(17)間に電圧を印
   加することによって、有機層(13)を発光させる有機エレ
   クトロルミネッセンス表示装置において、有機層(13)は
   ストライプ状に形成され、該有機層(13)のストライプ間
   にはそれぞれ反射リブ(２)が配置され、該反射リブ(２)
   は、有機層(13)に面する両側面が光反射面を形成してい
   ることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示
   装置。
2. 【請求項２】 前記反射リブ(２)は、断面形状が有機層
   (13)の光放射方向に向かって縮小する台形を呈している
   請求項１に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装
   置。
3. 【請求項３】 前記反射リブ(２)は、金属製の反射体(2
   1)と、該反射体(21)の表面を覆う絶縁膜(22)とから構成
   されている請求項１又は請求項２に記載の有機エレクト
   ロルミネッセンス表示装置。