JP2003099697A - 熱環境の予測方法、およびプログラム - Google Patents

熱環境の予測方法、およびプログラム

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 建物や樹木などのデザインを再現し、表面温
度の予測ができる熱環境の予測方法を提供する。 【解決手段】 本発明の熱環境の予測方法においては、
最初に空間構成要素を三次元空間に形成する。つぎに、
所定間隔ごとの高さについて、空間構成要素を切断し、
生成された平面図形の座標を取得する。つぎに、平面図
形を所定のメッシュに分割し、この各メッシュに部位固
有の情報を与える。つぎに、各メッシュについて、熱収
支計算を行い、表面温度を算出する。つぎに、表面温度
に基づき、熱環境評価指標を算出する。ここで、空間構
成要素は、建物、樹木、および地面である。また、熱収
支計算は、直達日射量、反射日射量、天空日射量、大気
放射量、顕熱流量、および長波長放射量の算出に基づ
く。また、熱環境評価指標は、平均放射温度およびヒー
トアイランドポテンシャルである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱環境の予測方法
に関し、さらにこの熱環境の予測方法に用いるプログラ
ムに関する。
【0002】
【従来の技術】夏季における都市熱環境の悪化が深刻化
している。マクロにみるとエネルギー消費量の増大や熱
帯夜発生頻度の増加などを社会的背景に、都心部の気温
が郊外と比べ相対的に上昇するヒートアイランド現象が
問題視され、またミクロにみると人々の生活空間となる
建築の外部空間において、熱ストレスの増大に伴う熱中
症の発生などが問題化している。
【0003】このような問題に対し、熱環境に配慮した
都市や建築の実現化が求められているが、そのためには
計画・設計段階で熱環境の予測シミュレーションを行
い、事前に熱環境を予測・評価できることが重要であ
る。
【0004】ここで、ヒートアイランド現象はその形成
要因として、都市を構成する建物や地表面などが人工化
したことに伴い、各面の表面温度が上昇し、多大な顕熱
を大気に向け放出していることが主因の一つとして挙げ
られる。また、生活空間の熱的ストレスや快適性につい
て、そのように表面温度が上昇した面からの熱放射が大
きく影響している。すなわち、都市の熱環境にとって、
建物や地面など、建築の外部空間の表面温度が重要なキ
ーワードなのである。
【0005】開発地となる街区や敷地の計画・設計段階
で熱環境の予測・評価を行う必要性が認識され始めてい
るが、上記の理由により、都市熱環境の観点から、また
生活空間の熱的快適性の観点から、設計段階において街
区の全表面温度を予測することは重要である。
【0006】街区内における建築外部空間のデザインを
みると、建物は庇やベランダといった凹凸が存在する複
雑な形状をもち、また樹木の形状も多種多様である。そ
して、それら建築外部空間のデザインが全表面温度を直
接的に規定している。つまり、街区の全表面温度を予測
するには、これら建築外部空間のデザインを考慮できな
ければならない。
【0007】ここで、設計支援手法と熱環境予測手法の
二つのカテゴリにおける既往の手法を振り返り、それぞ
れの特徴を簡潔に述べ、問題点を明確化する。
【0008】最初に、設計支援手法について説明する。
熱環境の分野では、森川らは外部空間から内部空間と扱
う空間スケールを徐々に狭め、熱環境の予測・評価を行
う対話型のRapid Prototype Methodを提案しているが、
現状では屋外空間の評価における適用範囲が広域(数km
〜数10km)から市街地(数100m)レベルに限定されてお
り、空間を構成する各デザイン要素の影響分析が十分考
慮されるまでには至っていない(2)。
【0009】また村上らにおいても、直達日射、長波長
放射、対流、湿気などの各物理現象を総合的に組み合わ
せた計算を行っているが、一時刻のみにおいて各物理量
を、定常計算により総合的に求めているだけで、詳細な
デザインを評価・支援するには十分でとはいえず、また
計算負荷も大きい(3〜5)。現状においては、他を見
ても熱環境についてデザインを考慮に入れた評価法、支
援手法は存在しない。
【0010】つぎに、熱環境予測手法について説明す
る。ここでは、建築外部空間に限定せず、広く熱環境予
測を目的として開発された手法を取り上げていく。
【0011】都市レベルの熱環境評価を目的としている
石野らの一次元熱収支モデルは、樹木、庇等のキャノピ
ー内の部材は全て粗度として統括されているため垂直面
の影響は考慮できず、デザインの評価に用いることはで
きない(6)。
【0012】森山らも石野らと同様な一次元熱収支モデ
ルに蒸発効率、人工排熱を加え都市レベルで都市気温を
算出しているが、地表を平坦な面として扱っており、デ
ザイン的な側面が非常に弱い(7)。
【0013】一方、西岡らは、都市キャノピー層の伝熱
を扱うモデルを提案し、垂直方向の熱収支を計算に組み
込んだモデルを提案している(8,9)。この都市キャ
ノピーモデルはHASP(10)をもとに開発されたため、
換気、空調、室内負荷といった生活行動に伴う影響を考
慮できる反面、HASP自体が本来室内向けにつくられてい
るため、壁面などからの貫流熱量の分布は考慮していな
い。また、窓面などは壁面に占める割合としか扱えず、
建物の形も直方体としてしか扱っていないという問題が
ある。
【0014】谷本らのモデルも、西岡らのモデルと同
様、都市キャノピーにおいて建築−都市−土壌を連成さ
せ、都市〜外部空間レベルの全表面を計算している(1
1,12)。しかし、壁は一枚の面として扱っている、
窓などの面は割合を与えるにしか過ぎない、形態は容積
率・建蔽率・高さの3パラメータのみで規定されるな
ど、デザインの視点からの評価を行うことは厳しい状況
にある。
【0015】村上らは Mellor-Yamadaモデルを用い、大
気乱流モデルによる精度の高い予測手法している(1
3)。しかし、予測の対象が都市〜地域レベルの評価で
あるため、100mメッシュで計算をしており、スケール的
に合致しない。またこのモデルではCPUに高い処理能
力が要求されるという問題点もある。
【0016】吉田らの改良型k−εモデルをもとにして
開発された放射・対流・湿気モデルは、外部空間スケー
ルで、各物理現象を総合的に解析する精緻なモデルであ
るが、1時刻の現象のみが対象であり、 Mellor-Yamada
モデル同様、CPU能力に高い処理能力が要求され、簡
易とは言い難い(14)。
【0017】発明者らが既に開発した1/2500 GIS(地理
情報システム)データを基にした都市の顕熱流量算出を
目的として開発された熱収支モデルは、樹木を含めた全
表面を1m(50cm)メッシュでの質点系として計算してお
り、一次元熱収支モデルと比べ、デザイン的な要素を反
映させやすいという利点をもつ(1)。また、この手法
は非定常計算を行い、時系列で表面温度を算出できると
いう長所もある。ただし、このモデルも、基本的に都市
レベルを対象としているため、数棟で囲まれた建築外部
空間レベルをターゲットにした場合、そのまま適用する
ことはできない。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】上記で挙げた手法は、
高精度に熱環境を予測できる、広域の熱環境を予測でき
るなどそれぞれの利点を持つ。しかしながら、建築外部
空間のデザインを手法に取り込む際には、これらのよう
に屋根・庇・ベランダ等の建物の凹凸物や樹木の枝振り
などを極端に簡略化、あるいはある一定のパターンとす
ることでデザインとすることはできない。
【0019】形式化されたデザインでしか評価が行えな
い原因として、大きく二つの理由が考えられる。先ず、
総合的に熱環境を評価するという流れより放射と気流の
連成により計算を行うために、負荷の大きい気流の計算
をする際に建物や樹木の形状を簡略化しなければなら
ず、結果的に詳細な形状を再現し得ないということが挙
げられる。第二に、熱収支計算を壁面・屋上面といった
面で行うことが多く、窓などはその面積比率から重み付
けをされるためデザイン的な要素の検討には不向きであ
り、ましてや庇やベランダ・樹木などの複雑な形状など
は全く検討の対象外となっている。
【0020】これらの状況を整理して考えると、気流と
放射の連成を行うことで計算負荷は増大し、詳細なデザ
インが考慮できなくなる、および、壁面、地面等を面と
して扱うことでデザイン的要素が欠落する、という2点
に辿り着く。この2点を解決するには、気流と放射の連
成を行わない、および、壁面、地面等を面として扱わな
い、という結論に帰着する。また、建築外部空間の詳細
なデザインの相違は熱放射環境には直接的に影響を及ぼ
すが、気流分布にはそれ程影響を及ぼさない。すなわ
ち、設計支援を目的とした熱環境の予測手法として、建
築外部空間デザインの熱的評価を設計段階で実施できる
ことの重要性を鑑み、全表面温度の詳細な予測ができる
ことは有用であろうと考える。そして、必要に応じて気
流との連成が行えればよいと考える。また同時に、設計
支援のためのシミュレーション手法として、設計とのデ
ータの共有を容易にすることが求められる。
【0021】本発明は、このような課題に鑑みてなされ
たものであり、建物や樹木などのデザインを再現し、表
面温度の予測ができる熱環境の予測方法、およびこの熱
環境の予測方法に用いるプログラムを提供することを目
的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明の熱環境の予測方
法は、空間構成要素を三次元空間に形成し、所定間隔ご
との高さについて、上記空間構成要素を切断し、生成さ
れた平面図形の座標を取得し、上記平面図形を所定のメ
ッシュに分割し、この各メッシュに部位固有の情報を与
え、上記各メッシュについて、熱収支計算を行い、表面
温度を算出し、上記表面温度に基づき、熱環境評価指標
を算出するものである。
【0023】ここで、上述の空間構成要素は、建物、樹
木、および地面であることが望ましい。また、上述の熱
収支計算は、直達日射量、反射日射量、天空日射量、大
気放射量、顕熱流量、および長波長放射量の算出に基づ
くことが望ましい。また、上述の熱環境評価指標は、平
均放射温度およびヒートアイランドポテンシャルである
ことが望ましい。
【0024】また、本発明の熱環境の予測方法に用いる
プログラムは、コンピュータに、空間構成要素を三次元
空間に形成する手順、所定間隔ごとの高さについて、空
間構成要素を切断し、生成された平面図形の座標を取得
する手順、平面図形を所定のメッシュに分割し、この各
メッシュに部位固有の情報を与える手順、各メッシュに
ついて、熱収支計算を行い、表面温度を算出する手順、
表面温度に基づき、熱環境評価指標を算出する手順を実
行させるためのプログラムである。
【0025】ここで、上述の空間構成要素は、建物、樹
木、および地面であることが望ましい。また、上述の熱
収支計算は、直達日射量、反射日射量、天空日射量、大
気放射量、顕熱流量、および長波長放射量の算出に基づ
くことが望ましい。また、上述の熱環境評価指標は、平
均放射温度およびヒートアイランドポテンシャルである
ことが望ましい。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。まず、熱環境の予測方法について説明す
る。図1は、熱環境の予測方法の流れを示したものであ
る。
【0027】この流れに沿って、最初に3D-CAD(Comput
er Aided Design )について説明する。本予測方法で
は、建物や樹木など空間構成要素の3次元形状の形成
を、設計とのデータの共有を容易にすべく、設計で利用
されることが多い3D-CADを用いて行う。
【0028】図2が3D-CADで描かれたモデルである。具
体的な作成方法について説明する。建物について、パー
ソナルコンピュータ等で動作する3D-CADソフトを使用
し、3次元空間上に図面を描く。原則として、通常の C
AD入力の方法に従い、建物を再現する。
【0029】その際以下の点に留意が必要である。壁や
屋根等の空間を構成する部材は全て厚さの無い面として
描く。これは、計算上必要な外部空間に面した面を正確
に認識させるためであり、計算上は、それぞれの面をメ
ッシュ分割した際に与えられる質点において、部材の内
部方向の断面情報(材料、材料の厚さ)が考慮されるの
で不要なのである。
【0030】また、建物内の間仕切り等は再現せず、建
物の外形のみを忠実に面で再現する。つまり、屋内の条
件である室温は、時間変化は考慮するが空間内の分布は
考慮せず、一定として与えられる。さらに、壁・屋根・
ベランダ・窓など一つの建物内に存在する異なる部位
は、後のデータ取得の際、部位毎にデータを取得するた
め、別々のファイルにデータを保存しておくことが重要
である。
【0031】樹木についても同様に、パーソナルコンピ
ュータ等で動作する3D-CADソフトを使用し、3次元空間
上に図面を描く。原則として、通常の CAD入力の方法に
従い、樹冠形、樹種、樹高、樹冠下高さ等の情報から、
樹冠と樹幹の両方を幾何形状として再現する。また、樹
種毎の詳細な形状を再現できるソフト「Tree Pro. 」で
作成されるデータを DXF形式で出力し、使用することも
できる。樹木の形状再現について留意する点としては、
樹木の外形のみを再現し、その外形を覆う面を建物と同
様に作成することである。「Tree Pro. 」のソフトで出
力する際は、樹木の外形を面で型どるエンベロープモー
ドでの出力を行う。
【0032】地面については、パーソナルコンピュータ
等で動作する3D-CADソフトを使用し、2次元平面上に図
面を描く。原則として、通常の CAD入力の方法に従い、
土地被覆が異なる部分を2次元平面上に任意の形状の面
として描く。土地の大規模な起伏は再現しない。ただ
し、建物と同程度の大きさの起伏であれば、建物と同様
の方法によりその三次元形状を再現する。そして、以下
の計算は建物と仮定して行う。留意する点として、2次
元平面上に描かれた図形は、後の作業でその頂点が取得
できるよう、円や楕円などでなく多角形など頂点の集合
体の図形で描かれる必要がある。
【0033】つぎに、図1に示す、三次元空間座標情報
の取得について説明する。近年、3D-CADが設計に使用さ
れる機会はますます増えている。また、3D-CADは建物や
樹木などの複雑なデザインを再現し得る。つまり、入力
の際に3D-CADを用いる利点は多く、設計支援を目的とし
た予測方法を構築する上ではその役割は非常に大きい。
【0034】そこで、本予測方法では、3D-CADデータを
入力データとすべく、3D-CADからのデータ取得法を確立
している。ただし、データの取得も、建物や樹木などの
空間構成をメッシュ化して質点系で計算を行うことを前
提としているために、これに対応したデータ取得法とな
る。
【0035】発明者らが既に開発した方法では、地表の
2次元平面上に表現される GISデータを取得し、計算上
は2次元平面上に垂直に高さ方向分だけメッシュがある
ことを仮定し、三次元の形状を再現していた。つまり、
建物の平面形状と高さが考慮されていた。本予測方法で
は、その2次元平面上のデータを地面において取得する
だけにとどまらず、建物を輪切りにするように高さ方向
に引き続きデータを取得することで3次元化に対応した
データ取得を行う。
【0036】その3D-CAD上でのデータ取得法を図3に示
す。図3の概要を説明する。建物については、地面と水
平に3D-CADを切断し、2次元の切断図形を作り、生成さ
れた平面図形の各頂点の座標を自動的に取得する。具体
的には、 CADソフト「Vector Works」を使用する。「Ve
ctor Works」で建物の CADモデルを作成後(別の CADソ
フトでもよい)、「Vector Works」において、モデルメ
ニューの「図形を切断」コマンドを使用することによ
り、建物をある高さにおいて切断し、その2次元の切断
図形を得ることができる。 CADソフト「Vector Works」
は、Pascal言語によるプログラミングの開発環境が整っ
ているため、この「図形を切断」コマンドの実行から、
切断面の各頂点の座標値取得(切断面は線分の集合とし
て表されるため、その両端の座標値を取得する)までを
プログラムにより自動的に実行することができる。
【0037】これを接地面から高さ方向にメッシュサイ
ズ毎に行うことで、全ての高さにおける切断面から座標
を取得する。ただし、「Vector Works」を使用しなくて
も、独自にプログラムを開発し、 CADから同様の方法に
よって図形情報を取得することもできる。
【0038】建物の形状を CADでモデル化した際、壁や
屋根、ベランダといった異なる部位を別々のファイルに
保存してある。上記の切断〜座標値取得の工程はそれら
ファイルごとに行うことにより、部位毎、別々に座標値
を取得する。これにより、部位を判別し、後に示すよう
に部位番号や表面材料等を生成されるメッシュに与える
際に、それぞれに固有の値を入力することができる。た
だし、全ての部位が合成された CADモデルに対し、上記
の切断〜座標取得の作業を行うこともできる。これに関
しては、後の固有パラメータの入力を説明するところで
説明する。
【0039】樹木についても、建物と同様に高さ毎切断
を行い、切断面の各頂点の座標値を取得することによ
り、その外形の情報を取得する。
【0040】地面については、 CADの2次元平面上に被
覆ごと作成された任意形状の面について、各頂点の座標
値を取得する。座標の取得方法は、建物で任意の高さで
行われるのと同様である。
【0041】以上の方法では、3次元図形を全ての高さ
において2次元化して表すことで、樹木の複雑な形状や
屋根・庇などの細かな部位を3次元形状によらずに容易
に取得できるという利点がある。これにより、今まで直
方体や球など簡易な形状で与えてきた樹木形状も、現実
に即した形で取得できることになる。
【0042】つぎに、図1に示す、空間形状のメッシュ
データ化について説明する。最初に、メッシュの作成方
法について説明する。3D-CADのモデルをある高さで切断
した図形は、全て線分の集合で表される。そこで取得さ
れる線分の両端の座標値をもとに、線分を所定のサイズ
のメッシュに分割し、メッシュデータ化する。すなわ
ち、所定のメッシュサイズで均等に分割されたメッシュ
平面(マス目)に対し、その線分が重なるメッシュにの
み、ある情報(法線ベクトル)を与えるのである。この
とき、最終的にはデータを格納しない建物の内側のメッ
シュに一時的に仮の情報を格納し、建物の内側にあるメ
ッシュと外側にあるメッシュを別々に認識させることに
より、壁のメッシュに、その壁がどの方向を向いている
のかを示すメッシュの法線ベクトル(向き、基準となる
座標軸に対する角度)を与える。
【0043】この作業を高さ方向に切断された全ての図
形に対して行うことにより、三次元のメッシュデータが
完成する。図4に三次元のメッシュデータ化されたモデ
ルを示す。
【0044】また、この作業と同時に各メッシュに番号
・構造など部位固有の情報を入力するが、上記の作業は
部位ごとに分けられた別々のファイルで行われるため、
各メッシュに部位固有のパラメータ(材料、部位番号)
を与えることができる。そして、それら部位固有のパラ
メータがメッシュに格納されたファイルを一つのファイ
ルに合成し、建物のメッシュデータファイルが完成す
る。
【0045】尚、建物の CADモデルから取得された座標
値情報が部位ごと分かれておらず一つのファイルで作成
された場合は、レイヤー毎に情報を分けて保存した部位
より直接それぞれの座標情報を取得し、それを上記の方
法で3次元メッシュ化がされた各メッシュに重ね合わ
せ、固有パラメータを与える方法が可能である。
【0046】樹木についても同様の作業によりメッシュ
化が可能となる。ただし、建物では外周(外壁)のメッ
シュ以外、つまり建物内部にデータは保存しないのに対
し、樹木は日射透過量の計算に必要なため、樹木内部の
メッシュにも日射透過率等の必要なデータを保存する。
データは2次元メッシュデータとなる。
【0047】地面については、上記と同様の方法を一つ
の高さ(=0)において行えばよい。樹木と同様、分類
すべき被覆上のすべてのメッシュに表面材料などの必要
な情報を入力する。
【0048】また、勾配屋根のように鉛直方向の傾斜を
考える必要がある部位に関しては、部位ごと各メッシュ
に「部位番号」を与え、後の計算で三次元の傾きを考慮
した計算が行えるようにしている。
【0049】このような方法を用いることで、同一面に
おいても、壁、窓等の部位の違いを、それらの面積が占
める割合で示すことなく、本来その部位が存在する場所
にメッシュとして情報を与えることができる。
【0050】実際の計算領域内には隙間なく建物や樹木
が存在しているわけではなく、道路上や空き地など上方
空間に何も存在しない領域も多く存在する。そこで、デ
ータ量の削減、及び後に記述する計算負荷低減のため、
領域内にあるそれぞれの建物と樹木を内接する最小の仮
想直方体を配置し、この直方体領域内にのみ三次元のメ
ッシュデータを作成することで、計算領域のすべてに対
してデータを保存しないこととした。この仮想直方体の
座標値等の情報はファイルに格納しておく必要があり、
その情報は以下の通りである。 仮想直方体の各頂点の(X,Y)座標値の最小、最大 仮想直方体の高さ 仮想直方体が含む建物(樹木)の番号
【0051】ここで、各メッシュに格納する情報につい
て説明する。各メッシュに格納する情報は以下に示すと
おりである。
【0052】下表に示す、3D-CAD上で図形に与えるパラ
メータの内容について説明する。最初に、建物について
説明する。まず、メッシュの法線ベクトルであり、その
メッシュが向く方向を示す。これは、入力条件として値
を入力するのではなく、メッシュ化の際に自動的に取得
するものである。つぎに、建物番号である。また、建物
の構造であり、具体的には木造、S造、RC造などであ
る。また、表面材料であり、具体的には、屋根について
モルタル、アスファルト、トタン、瓦、スレートなどが
ある。壁面については、モルタル、木、コンクリート、
タイル、ガラスなどがある。また、部位であり、具体的
には壁面、ウッドデッキ、ガラス、屋根、パーゴラ、ベ
ランダなどがある。また、表面仕上げ材の色であり、具
体的には白、灰、黒、赤、黄、緑、青などがある。
【0053】つぎに、樹木について説明する。まず、メ
ッシュの法線ベクトルであり、そのメッシュが向く方向
を示す。つぎに、樹木番号がある。また、樹種があり、
具体的には落葉樹、常緑樹などがある。また、日射透過
率がある。これについては、後に詳しく説明する。ま
た、樹高がある。そして、樹高に占める樹冠部高さの割
合であり、計算上、光線が透過する樹冠部と透過しない
樹幹部を高さの割合で区別する。
【0054】つぎに、地面について説明する。まず、建
物・樹木の有無である。また、土地被覆材料であり、具
体的には舗装面(アスファルト、コンクリートなど)、
裸地(湿潤、乾燥)、芝地などである。
【0055】建物 メッシュ位置:各メッシュの位置情報(X,Y,Z) 法線ベクトル:各メッシュが向く方向 図1では、空間形状のメッシュデータ化と同時に計算さ
れ、メッシュに格納される。 建物番号 :他の建物との区別に使用 建物構造 :RC造・木造など、構造を入力 壁や屋根等の表面材料を除く断面構造を決定 表面材料 :壁や屋根等の表面仕上げ材の断面構造を
決定 部位 :壁・屋根・ベランダ等、部位の区別に使
用 表面仕上げ材の色:日射吸収率の決定に使用
【0056】樹木 メッシュ位置:各メッシュの位置情報(X,Y,Z) 法線ベクトル:各メッシュが向く方向 図1では、空間形状のメッシュデータ化と同時に計算さ
れ、メッシュに格納される。 樹木番号 :他の樹木との区別に使用 樹種 :樹種の区別に使用 日射透過率 :各メッシュにおける日射透過率 樹高 :各樹木の高さ 樹高に占める樹冠部高さの割合:樹冠部と樹幹部の区別
に使用
【0057】地面 建物・樹木の有無:そのメッシュ上に建物や樹木が存在
するかを示す 土地被覆材料:土地被覆材料の決定
【0058】つぎに、本方法で適用するメッシュサイズ
の検討結果について説明する。設計支援を目的として全
表面温度を予測する場合、その予測する空間のメッシュ
サイズは非常に重要な要素となる。メッシュサイズは、
予測対象となる場所のスケールにより、それぞれに適し
たメッシュサイズが必要となる。
【0059】本予測方法は、対象を建築外部空間と定め
ているため、この建築外部空間の構成要素を表現し得る
メッシュサイズでなければならない。しかし、当然の如
く、メッシュサイズが小さくなればなるほど、計算時間
は指数関数的に長くなり、設計に反映させることが難し
くなる。これらの総合的な観点から、本予測方法で用い
るメッシュサイズとしては、0.1〜1.0mの範囲で
あることが望ましい。
【0060】つぎに、計算空間領域内における建物・樹
木領域の導入による計算負荷軽減法について説明する。
本予測手法では、三次元のメッシュデータを構成してい
るため、高さ方向の分だけ計算負荷は増えてしまう。そ
こで、高さ方向の計算負荷を減少させることで、大幅な
計算時間の増加が起こらないような計算方法を導入して
いる。
【0061】本予測方法では、建物構造、表面材料とい
ったデータを3D-CADから一括して入手して3次元化した
計算に組み込んでいる。しかし、実際の計算領域内全域
に隙間なく建物や樹木が存在しているわけではなく、何
も存在しないメッシュの計算は、ただいたずらに計算負
荷を増やす要因になってしまう。そこで、本方法では、
このような高さ方向に何もない空間を3次元で扱わない
方法を検討した。
【0062】そのための方法として、領域内にあるそれ
ぞれの建物と樹木を内接する最小の仮想直方体を領域内
に配置し、この領域内に入った場合にのみ3次元の計算
を行い、その他の領域については2次元として扱うこと
とした。
【0063】この計算方法を用いることで、全領域を基
本的に2次元平面上のトレースとして解くことになり、
必要に応じて3次元の計算を行うため、計算負荷の低減
が可能である。このとき2次元平面上のトレースの際に
も高さの情報は逐一考慮されているため、仮想の3次元
計算が成り立つ。
【0064】つぎに、図1に示す、構成要素詳細データ
ベースについて説明する。構成要素詳細データベース
は、建物については、入力情報である表面材料・構造に
対して、部材の断面構造を整備したものである。つま
り、シミュレーションの入力である表面材料と構造、部
位が選択されれば、このデータベースとの対応により断
面構造が決定するのである。ここで、部材の断面構造と
は、部材を構成する層ごとの材料とその厚さのことであ
る。また、地面については、入力情報である土地被覆材
料に対して、その断面構造を整備したものである。建物
と同様、土地被覆材料が選択されれば、このデータベー
スとの対応により断面構造が決定する。
【0065】つぎに、図1に示す、物性値データベース
について説明する。物性値データベースは、建物や地面
など、水分移動を伴わない主に人工物の熱収支計算を行
う際に必要な熱物性値を、構成要素詳細データベースに
記載される材料に関して整備したものである。具体的に
は、記載される材料は地面ならアスファルト、コンクリ
ート、土などであり、建物であればモルタル、コンクリ
ート、木材、各種断熱材、ガラス材などである。また、
記載される熱物性値は、熱伝導率(熱抵抗)、容積比
熱、日射吸収率、日射反射率、長波長放射率(長波長吸
収率と等しい)である。
【0066】つぎに、図1に示す、気象条件について説
明する。気象条件は、地域のアメダスデータなどをもと
に入力を行う。必要な項目は、水平面全天日射量(もし
くは法線面直達日射量及び水平面天空日射量)、気温、
相対湿度(もしくは絶対湿度)、風速、雲量である。時
系列のデータを入力する。
【0067】つぎに、図1に示す、室温、室内側対流熱
伝達率について説明する。室内側の境界条件としては、
室温及び室内側の対流熱伝達率を考慮する。室温につい
て、具体的には、上記の気象条件を入力条件とし、熱回
路網法を用いた動的熱負荷計算手法(後退差分法)によ
り時系列で値を求め、それを熱収支計算の際に与条件と
して与える。ただし、実測データなどの値を入力しても
良い。室内側対流熱伝達率については、屋内空間一定と
して設定している。
【0068】つぎに、図1に示す、各メッシュにおける
熱収支計算について説明する。ここで、各メッシュの熱
収支計算における表面温度算出のための基本方程式を数
1に示す。
【0069】
【数1】
【0070】方程式の左辺は、部材表面における熱流を
示す。右辺第一項は受熱日射量の項である。直達日射
量、天空日射量、および周辺地物からの反射日射量が考
慮され、天空日射量には天空率が乗ぜられる。周辺地物
からの反射日射量については、鏡面反射成分、拡散反射
成分が考慮されている。右辺第二項は大気放射量の項で
あり、 Bruntの式により構成される。右辺第三項は、周
辺地物との長波長放射の授受の式であり、左は周辺地物
から受ける長波長放射量の積算で、右はそのメッシュが
周囲に放射する長波長放射量である。右辺第四項は顕熱
項であり、表面と空気の対流熱伝達による顕熱の移動を
計算している。
【0071】つぎに、各メッシュにおける熱収支計算に
ついて具体的に説明する。最初に、図1に示す、受熱日
射量の計算について説明する。ここで、受熱日射量は、
直達日射量、鏡面反射日射量、拡散反射日射量、および
天空日射量からなっている。
【0072】まず、直達日射量の計算について説明す
る。日時・緯度・経度・時刻から決定される太陽位置
(太陽高度、太陽方位)に対し、建物や地面の各メッシ
ュから仮想の(短波長)放射線を射出し、ある決められ
た計算領域内に障害物がなく放射線が領域外に出た場合
には、そのメッシュに直達日射量を与えるといった計算
を、全メッシュに対し行う。
【0073】このとき、水平面・鉛直面・三次元の傾斜
面に対し、それぞれの法線ベクトル(向き)に応じた受
熱日射量の算出が行われる。また、放射線が建物や樹木
の樹幹部に当たった場合は、直達日射量が0となるが、
樹木の樹冠部に進入した場合は、後に述べる樹木による
日射減衰効果に従い、直達日射量を減衰させる。
【0074】以上より、法線面直達日射量を1としたと
き、微小面である各メッシュに対する直達日射の入射角
の余弦成分が、メッシュが受ける直達日射量の単位成分
となる。そして、後の表面温度算出の熱収支計算の際
に、気象条件の水平面全天日射量から直散分離(宇田川
の式)により法線面直達日射量を求め、それにこの単位
成分及びメッシュの日射吸収率を乗じた値を直達日射に
よるメッシュの受熱日射量とする。計算は、一日を通し
た時系列での計算である。
【0075】つぎに、図1に示す鏡面反射日射量の計算
について説明する。直達日射の計算において、直達日射
量が与えられたメッシュに対し行う。そのメッシュが鏡
面反射面の場合、面の法線ベクトルから直達日射の照射
方向に対する反射角を算出する。そして、その反射方向
に(短波長)放射線を射出し、到達したメッシュに鏡面
反射日射量(反射面の直達日射量に日射反射率を乗じた
もの)を与える。直達日射量と同様、表面温度算出の熱
収支計算の際に、この鏡面反射日射量にメッシュの日射
吸収率を乗じた値を、鏡面反射日射による受熱日射量と
する。直達日射量の計算同様、放射線が樹木の樹冠部に
進入した場合は、後に述べる樹木による日射減衰効果に
従い、鏡面反射日射量を減衰させる。また、鏡面反射日
射量が樹冠部での減衰によりある値以下になった場合
は、その時点で放射線の追跡を打ち切る。直達日射量と
同様、一日を通した時系列での計算を行う。
【0076】つぎに、図1に示す拡散反射日射量の計算
について説明する。直達日射量の計算において、直達日
射量が与えられたメッシュに対し行う。そのメッシュが
拡散反射面の場合、完全等方拡散とし、その面に対し水
平方向360度・鉛直方向90度の半球状の全方向を等
立体角となるように、一定間隔で分割し、その全方向に
拡散反射を想定した(短波長)放射線を射出し、到達し
たメッシュに拡散反射日射量(反射面の直達日射量に日
射反射率を乗じ、放射線の全射出数で除したもの)を与
える。直達日射量と同様、表面温度算出の熱収支計算の
際に、この拡散反射日射量にメッシュの日射吸収率を乗
じた値を、拡散反射日射による受熱日射量とする。直達
日射量・鏡面反射日射量の計算同様、放射線が樹木の樹
冠部に進入した場合は、後に述べる樹木による日射減衰
効果に従い、拡散反射日射量を減衰させる。また、拡散
反射日射量が樹冠部での減衰によりある値以下になった
場合は、その時点で放射線の追跡を打ち切る。直達日射
量と同様、一日を通した時系列での計算を行う。
【0077】なお、本予測方法では、その指向特性より
正反射性の強い材料については全て鏡面反射と仮定し、
それ以外の部材については全てが拡散反射をすると仮定
して計算を行った(15)。
【0078】つぎに、図1に示す、天空日射量の計算に
ついて説明する。水平面全天日射量から直散分離(宇田
川の式)により水平面天空日射量を求める。表面温度算
出の熱収支計算を行う際に、後に説明する各メッシュに
おける天空率に、この水平面天空日射量を乗じた値を、
メッシュが受ける天空日射量とする。この天空日射量に
メッシュの日射吸収率を乗じた値を天空日射によるメッ
シュの受熱日射量とする。
【0079】ここで、天空率の計算について説明する。
天空率はその地点から天空が見える割合を示す値であ
り、高層の建物に囲まれた空間等では必然的に小さくな
る。具体的には、各メッシュから水平方向に仮想の放射
線を射出し、建物や樹木等の物体に到達した場合には、
その高さと水平面上での到達距離から、鉛直方向の仰角
を算出し、空が見える割合を求める。これを水平方向3
60度に一定間隔で行うことにより、天空率を算出す
る。なお、樹冠部については、天空が透過して見える隙
間の部分の影響を考慮する。具体的には、樹種、樹高、
樹冠幅、樹冠下高さから樹冠部の空隙率(天空が見える
割合)を算出したものを入力条件とし、樹冠部の天空率
を計算する際にその値を一定値として与え、樹冠部では
その割合で天空が見えるものとして計算をする。垂直面
では、壁に対して屋内側の計算は行う必要が無いため、
水平方向は壁の法線ベクトル(向き)に対して±90度
で、同様に放射線の追跡を行い、天空率を算出する。傾
斜面では、水平面と同様に、水平方向360 度に放射線の
追跡を行う。すなわち、自身の傾斜面に対して、上部方
向にあたる向きへ射出される放射線は、最低限その傾斜
角が前述の仰角となるため、 その分だけ天空率は減少
する。
【0080】つぎに、図1に示す、大気放射量の計算に
ついて説明する。各メッシュが受ける実質的な大気放射
量は、 Bruntの式から得られる大気放射量(全天)に、
各メッシュにおける天空率を乗じ、さらに大気の長波長
放射率とそのメッシュにおける長波長放射率(長波長吸
収率と等しい)を乗じることにより算出される。また、
気象条件の雲量により、大気放射量を変化させる(A.An
gstrom, H.Philippsの式による)。
【0081】つぎに、図1に示す、顕熱項の計算につい
て説明する。顕熱項はつぎのようにして計算する。与条
件として与えられる風速から、Jurgesの式に基づき、対
流熱伝達率を求める。表面温度算出の熱収支計算の際
に、非定常計算の一時刻前のそのメッシュにおける表面
温度と気温、及び求まった対流熱伝達率から、顕熱流量
を算出する。
【0082】つぎに、特殊な対象における熱収支計算と
して、焼け込みと、樹木による日射減衰効果について説
明する。最初に、焼け込みの導入に関する検討結果につ
いて説明する。建築外部空間において、屋根や庇の下や
パーゴラの下は直達日射を防ぐ格好の場所となる。しか
しながら、一概に日射遮蔽をすれば良いというものでは
なく、その遮蔽物が金属であるのか、また木材であるの
かなど材料の伝熱性能によってその熱放射環境は著しく
違ってくる。
【0083】熱伝導率が大きい部材において日射遮蔽を
した場合、人が集まるその場の熱放射環境が劣悪にな
り、使い勝手が悪くなる可能性がある。そのためにも熱
放射環境を悪化させる要因となる焼け込みの影響を考慮
し、設計の際にそれを生かすことが必要となる。そこ
で、本予測方法では焼けこみの再現を行っている。
【0084】焼け込み面の表面温度を求める方法とし
て、一次元熱伝導方程式を用いて算出した。ただし、メ
ッシュサイズを20cmとしているため、庇など焼けこ
みが問題となる部材は1メッシュで与えられてしまうた
め、メッシュ下部にも情報を与えられるようにし、部材
裏面において算出される反射日射量、長波長放射量をそ
こに格納する。そして、表面温度算出の際にそれらメッ
シュ下面と上面の熱流をそれぞれ算出し、部材断面にお
いて一次元熱伝導を計算することによりこの伝熱現象を
再現した。
【0085】つぎに、樹木による日射減衰効果の検討結
果について説明する。建築外部空間をデザインする上
で、樹木は重要な要素になると同時に、有効に配置する
ことで、その熱放射環境を良好に導く手段となる。しか
しながら、樹木による日射減衰効果、そして樹木の形状
が十分に再現されていなければ、有効な配置を提案する
ことはできない。そこで、本予測方法では樹木による日
射減衰効果を検討した上で、方法に組み込んだ。
【0086】樹木による日射減衰効果モデルの概要を説
明する。山田らの研究によると、樹冠の透過の経路によ
り、樹幹下の日射量は大幅に変わることが明らかになっ
ている(16)。この方法を再現するものとして、平岡
の提案するROSSの植生群落内放射輸送方程式の拡散近似
解法が現状では最も高精度であるが、入力パラメータが
多く非常に複雑であり、本予測方法に組み込むことは困
難を極める(17〜19)。また、西川らは空隙率を用
いた日射遮蔽効果の簡易推定法を提案しているが、まだ
十分に樹冠内における日射の減衰が考慮できるまでのデ
ータが整備されていないという問題を抱えている(2
0)。
【0087】そこで本方法は、メッシュ化により高い再
現性で形状を再現できる利点を生かし、簡易型の日射透
過方法を提案した。その概念を図5に示す。まず、デジ
タルカメラ等により、樹冠中央部の真下から樹木を撮影
し、樹冠中央部における空隙率(天空が見える割合)か
ら理論上の日射透過率X%を算出する。次に、その際に
透過するメッシュ数をYとして、メッシュを通る毎の透
過率τを数2としメッシュを通る毎に直達日射量を透過
させる方法を組み込んだ。
【0088】
【数2】
【0089】つぎに、図1に示す、表面温度の計算と周
辺地物の長波長放射の計算について説明する。
【0090】表面温度の算出に用いる熱伝導の計算につ
いて説明する。上述の数1を表面における熱収支の条件
とし、部材内部の伝熱は一次元の熱伝導を考慮し、後退
差分法により非定常計算を行う。部材内部方向の境界条
件としては、建物に関しては内壁の対流熱伝達率と室温
を与え、地面については地中1mの温度不易層までの計
算を行う。このとき部材内部については、構成要素詳細
データベースで整備される断面構造に対し、断面を構成
する材料各層の厚さより微細な間隔でメッシュ分割を行
っている。
【0091】表面温度の算出には、材料の蓄熱の影響を
考慮した非定常計算を行うことが必要である。差分の時
間刻みは計算量を考慮できるよう、30秒〜5分まで選
択可能としている。全計算期間は、4日間の助走期間の
後、5日目に周期定常解を得ている。
【0092】つぎに長波長放射の計算をもとに表面温度
を求める方法について、詳細に説明する。任意形状の三
次元空間における計算を広域にわたって行う場合には、
きわめて大きなメモリ空間が必要とされるため、大型計
算機等を用いた場合でも容易に処理することができな
い。このようなことから、ワークステーションレベルで
計算が可能となる実用的な長波長放射授受の計算方法と
して、以下のアルゴリズムを採用している。 (1)周辺地物の表面温度を気温とみなして第一次の熱
収支計算を行い、表面温度の近似値の時系列変化を得
る。天空以外は全て周辺地物であることから、実際の計
算では(1−天空率)に気温の絶対温度の4乗と大気の
長波長放射率、メッシュの長波長放射率(吸収率に等し
い)を乗じたものが、そのメッシュが受ける長波長放射
量となる。 (2)得られた表面温度の近似値を利用し、メッシュ
毎、その面に対し水平方向360度・鉛直方向90度の
半球上の全方向を等形態係数となるように分割し、その
全方向に仮想の(長波長)放射線を射出し、到達したメ
ッシュの表面温度、長波長放射率を取得することによ
り、そのメッシュが受ける長波長放射量の時系列変化を
求める。 (3)(2)に基づいて、熱収支計算を行い、各メッシ
ュの表面温度の時系列変化を求める。なお、そのメッシ
ュが放射する長波長放射量は、表面温度算出の際、表面
における熱収支条件として、そのメッシュの表面温度
(絶対温度)の4乗に比例した熱量を部材内部方向への
熱流から減少させている。 (4)(2),(3)を繰り返すことにより、表面温度
の時系列変化の計算結果を収束させる。特に、計算時
間、計算精度のバランスから、現実的な反復回数は2回
である。
【0093】つぎに、潜熱の移動を伴う空間構成要素の
表面温度の扱いについて説明する。すなわち、樹木・芝
生・湿潤裸地面の扱いについて説明する。潜熱の移動を
伴う空間構成要素については、熱水分同時移動方程式を
用いると計算量が膨大になり、設計支援ツールとして実
用的な計算が行えない。そこで、樹木・芝生・湿潤裸地
面等については、既往研究より得られる回帰式を用い表
面温度を算出している。具体的には、樹木については、
気温と日射量による回帰式(21)である。芝生につい
ても気温と日射量による回帰式(22)である。湿潤裸
地面については、気温、日射量、風速による回帰式(2
2)である。ただし、潜熱の扱いとして、熱水分同時移
動方程式、及びその簡易モデル(23)を組み込むこと
は可能である。
【0094】つぎに、顕熱項の計算に必要となる風速・
気温の、空間分布の扱いについて説明する。本シミュレ
ーションでは、ヒートアイランドが顕著となる弱風条件
下における全地表面の熱収支を予測する。このため、都
市キャノピー内の大気の分布については考慮せず、都市
キャノピー層の上空の風速・気温で代表させる。ただ
し、気流数値シミュレーションなどによりそれらの分布
が与えられれば、各メッシュでその風速・気温を考慮し
た表面温度算出も可能である。
【0095】つぎに、熱環境評価指標(MRT、HI
P)について説明する。最初に、図1に示す、MRTに
ついて説明する。MRT(Mean Radiant Temperature;
平均放射温度)は人間が周辺の地物から受ける熱放射に
よる放射温度の全方位の平均として定義され、熱放射環
境を評価するのに有効な指標である。
【0096】算出式は微小球を仮定し、数3に示す通り
である。MRTの計算結果より、街区内の全領域におい
て地表面から1.2m高さにおけるMRTを分布画像と
して出力し、各空間における熱放射環境を評価する。
【0097】
【数3】
【0098】MRTは、高さ1.2mの水平面上におい
て地表面と同様のメッシュサイズでメッシュを仮定し、
建物など地物を除くすべてのメッシュにおいて算出を行
う。メッシュは微小球と仮定しMRTを計算する。具体
的には、メッシュ毎、その面に対し水平方向360度・
鉛直方向±90度の全球上の全方向を等形態係数となる
ように分割し、その全方向に仮想の(長波長)放射線を
射出し、到達したメッシュの表面温度、長波長放射率を
取得する。そして、数3に応じ、MRTを求める計算は
等形態係数となるように行っていることから、数3のF
mnは一定値(1/放射線の全射出数)となる。
【0099】つぎに、図1に示す、HIPについて説明
する。HIP(Heat Island Potential ;ヒートアイラ
ンドポテンシャル)は、開発等の対象となる敷地や街区
が、周囲に及ぼす環境影響の指標、すなわち都市熱環境
の評価指標として、ヒートアイランドを起こし得る度合
いを評価するために、発明者らが提案したものであり、
建物や地面など全ての表面から発生する顕熱の敷地また
は街区の面積に対する割合として定義される。HIPは
対象地の全表面温度から求まり、数4に算出式を示す。
都市キャノピー層では、その上部の気温と内部の気温と
では差が生じ、また同じ街区内でも気温分布が生じるこ
とが分かっている。このとき、数℃の気温分布が生じる
場合もあるが、表面温度の分布が数十℃にも及ぶことか
ら、HIPでは第1近似として上述の気温分布はないも
のとして扱う。すなわち、数4のTaは一定値として設
定される。
【0100】
【数4】
【0101】HIPは、算出された各メッシュにおける
表面温度と、入力条件である気温との差を、全表面にお
いて積算し、街区の水平面投影面積で除することにより
算出される。
【0102】つぎに、図1に示す、3D-CADについて説明
する。表面温度、MRT分布を算出しても、熱環境の専
門家にしか伝わらないのであれば、それは設計支援手法
として用いる際に片手落ちとなってしまう。そのために
も、評価者が簡単に扱え、そして視覚的に分かりやすい
出力が必要となる。
【0103】その方法として、入力の際に用いた3D-CAD
(ソフトVector Works)を再び用いることとした。ま
ず、計算がメッシュで行われているため、それを活か
し、プログラムでそれぞれのメッシュが持つX−Y−Z
座標の情報どおりに3D-CAD上に単位立方体を配し、それ
によりメッシュ形状を再現した。このメッシュに対し、
表面温度計算の結果を自動的に入力し、温度情報をRG
B情報に変換し、青から赤(0000ff〜00ffff〜00ff00〜
ffff00〜ff0000)の256色を割り当てた。つまり、表
面温度情報をもった単位立方体が積み重なることによ
り、解析街区における3次元での表面温度の出力を行っ
ている。また、入力に用いた CADの形状モデルに出力結
果を直接貼り付ける方法も行った。
【0104】また、焼け込みのある部材に関しては、立
方体底面に伝熱計算を組み込んだ結果を別途それに対応
した色を与えることで、出力上、焼け込みを表現した。
【0105】3D-CAD上に出力結果を表現することで、普
通に3D-CADを用いる場合と同じく自由な視点から評価を
行えるために、ある特定のポイントを拡大して見る場合
や評価対象地の熱放射環境全体を見渡す場合、また2次
元でMRT分布を出力し、全体の分布を捉える場合と、
あらゆる角度から評価を行うことが可能となった。
【0106】つぎに、本予測方法を用いた適用例につい
て説明する。現状みられる予測方法では、複雑な形状を
有する住宅地の熱環境を把握することができなかった。
そこで、今回開発を行った予測方法を実際に建築数棟で
囲まれた住宅地に適用することで、これらの手法との明
確な差異化を図る。
【0107】そのために、まず、複雑な形状を持つ住宅
地を設定する。そして、本予測方法を適用することで、
その評価地の全表面温度、MRT分布、HIPを算出
し、その評価地の熱的特性を把握する。これより、詳細
なデザインが全表面温度分布及び熱放射環境に影響を与
えていることを確認し、本予測方法の有効性を確認す
る。
【0108】本予測方法適用地の設定について説明す
る。本予測方法の適用地として、建築数棟で囲まれ、樹
木を多く有する住宅地を選定した。住宅地を選定した理
由は、日射の遮蔽効果がみられる樹木や屋根などの遮蔽
物が多い場所であること、本予測方法の適用地を建物周
り〜街区としたために、その際もっとも適用事例が多い
と思われる戸建住宅群であること、建物の形状が複雑
で、既往のモデルを用いては計算することが不可能な場
所であること、の3つの観点によるものである。
【0109】この条件に合致するものとして、2階建て
戸建住宅5棟、高木4本、中低木15本を有する住宅地
を想定し、計算を行った。使用材料は以下のようにし
た。 地面:コンクリート舗装 壁面:木造モルタル仕上げ 屋根面:木造モルタル仕上げ ガラス面:普通ガラス ウッドデッキ:木材 樹木:落葉樹(南中時の樹冠下中央部透過率20%)
【0110】また、計算領域は東京都内の住宅密集地に
見られる1街区50m×50m(250メッシュ×25
0メッシュ)とし、メッシュサイズは20cmとした。
なお、この住宅地の場所は関東地方(35°41´N 139°
46´E )で時期は夏季(8月16日)を設定し、4日間
の助走期間を置いた後、表面温度を算出した。気温、日
射量、絶対湿度は建築設計資料集成の冷房設計用外界条
件を利用した。また、住宅に囲まれた空間を評価の主眼
に置いているため、計算領域外の周辺地物はすべて空気
とし、また地面は平坦として扱った。
【0111】本予測方法の適用結果を図6〜9に示す。
本シミュレーション方法の特徴は、建築の外部空間にお
いて詳細なデザインの影響を考慮した表面温度の予測が
できる点にある。
【0112】図6は12時の1.2m高さにおけるMR
T分布である。建物や樹木のデザインにより、空間内に
おいてMRTに大きく差が生じており、熱放射環境が悪
化した空間と良好な空間が一目で把握できる。
【0113】図7は、住宅地の表面温度分布を上空から
の俯瞰により出力したものである。住宅地上空からの俯
瞰で結果を出力することにより、住宅地全体の表面温度
分布の傾向が確認できる。特に、本解析対象地では樹木
の効果が表面温度に十分に現れていることが分かるな
ど、住宅地の表面温度分布を特徴付けるデザイン要素が
確認できる。
【0114】図8は敷地内の通路上の表面温度分布を出
力したものである。屋根形状、庇、樹木形状等のデザイ
ンの影響が表面温度に見てとれる。
【0115】これらの図より、屋根形状、樹木形状、
庇、ベランダ等のデザインの影響が表面温度に見てと
れ、その有効性が確認できる。
【0116】図9はHIPの時間変化をグラフ化したも
のである。図中の「現状」は現状のHIPを示したもの
であり、「樹木なし」は「現状」から樹木をなくしたモ
デルで算出したHIPである。この図では、両者のHI
Pに明確な差が生じていることから、樹木の熱環境調整
効果がHIPという指標により定量的に確認できる。ま
た、熱環境は一時刻のみの評価では不十分であるが、本
シミュレーション方法では一日を通した時系列での計算
を行っているため、図9のように時間変化を考慮した熱
環境を評価することができる。
【0117】ここでは、本予測方法を建築数棟と樹木で
囲まれる住宅地に適用した結果を表面温度分布、MRT
分布としてそれぞれ示した。図より、屋根による建築壁
面、地面への日射遮蔽や、樹木の形状による日射減衰効
果の違いなどより、本予測方法がこれらデザインの影響
を踏まえて全表面温度分布及び熱放射環境を評価できる
ことを確認した。また、HIPの指標を用いることによ
り、これらデザインの影響を定量的に評価することがで
きた。
【0118】以上のことから、本予測方法によれば、建
物や樹木などの詳細なデザインを再現し、全表面温度の
予測ができる。また、設計で使用されることも多い3D-C
ADを建物や樹木形状等の三次元幾何情報の入力媒体とし
て使用しているため、設計とのデータの共有が容易であ
る。また、樹木のモデル化に関して、まず3D-CADを使用
しているため、樹木形状の再現が容易に行える。さら
に、樹冠内における日射減衰過程の再現が従来の方法よ
り高精度に、且つ膨大な計算負荷をかけることなく行え
る。また、3D-CADを出力媒体として使用しているため、
計算結果の表面温度分布を評価者の自由な視点から出力
することができ、第三者による評価を容易にしている。
これは、設計支援を目的とした手法としては非常に重要
な要素である。MRTとHIPの指標を使用することに
より、建築外部空間のデザインが熱放射環境及び都市熱
環境に与える影響を定量的に評価することができる。
【0119】なお、本予測方法は上述した内容に限定さ
れるものではない。本予測方法で説明した個々の計算以
外に、以下のものを追加して、全体の計算の精度をより
向上させることができる。
【0120】まず、表面温度算出の顕熱項の計算に必要
となる気温・風速のデータを、今回は空間分布を考慮せ
ず空間内一定として与えていたが、より高精度の予測を
行う上では気流数値シミュレーションの結果を入力条件
とし、各メッシュにその近傍の算出値を与えることも可
能である。また、気流数値シミュレーションに限らず、
空間内の気流・気温の分布が与えられれば、それを入力
することも可能である。
【0121】また、本予測手法による全表面温度の算出
結果を境界条件とし、気流数値シミュレーションを行う
ことができ、それにより高精度の気流・気温分布の予測
が可能である。上記の方法と併せて、本予測手法と気流
数値シミュレーションとの連成が行える。ただし、既往
研究に見られる連成手法(村上らの研究)と比べ、表面
温度予測シミュレーションと気流数値シミュレーション
を別々のプログラムとして独立できるため、気流数値シ
ミュレーションでは計算負荷増大の主因となってしまう
建物形状の再現を、各シミュレーションで別々に行える
利点があり、ひいては膨大な計算負荷をかけずに連成が
行える。つまり、表面温度の予測は本手法を用い詳細な
形状を再現して行い、気流数値シミュレーションは簡略
化した形状で行えばよいのである。このとき、形状モデ
ルの異なる両シミュレーションにおけるデータの受け渡
しを行い、連成を設立させる。
【0122】また、本予測手法では、日射反射の多重反
射の計算について、計算時間と予測精度のバランスを鑑
みて、鏡面・拡散ともに一次反射までを導入している。
ただし、2次以降の多重反射を導入し、より一層の予測
精度の向上を図ることも可能である。また、拡散多重反
射について、高精度の反射過程の再現法であるラジオシ
ティ法を導入することもできる。
【0123】また、本予測手法では、室温条件を与条件
として入力した。ただし、建物の表面温度についてさら
なる高精度の予測を行うために、室温の計算が行える建
物熱負荷計算等との連成を行うことも可能である。すな
わち、まず表面温度算出の際に求められる表面熱流を建
物負荷計算の外部境界条件として入力し、室温の予測を
行う。つぎに、その結果をもとに外表面の熱収支計算を
行い、より忠実な室温条件を用いた表面温度予測を行う
ことが可能である。また、この方法を用いることによ
り、詳細な建物の外表面熱流の分布を考慮した熱負荷計
算が行えるため、ヒートアイランドに寄与する要因とし
て全表面から発生する顕熱に加え、空調負荷量の算出に
基づく空調分の人工発生熱が考慮でき、街区から発生す
る顕熱流量がより詳細に求まり、都市熱環境へのインパ
クトを多面的に予測することができる。
【0124】また、本予測方法で説明した個々の計算
を、以下のものに変更することもできる。まず、長波長
放射授受の計算について、確率的な現象予測の方法であ
るモンテカルロ法を導入することも可能である。
【0125】また、本予測手法は計算ステップに応じ、
幾つかのプログラムから構成されている。そのため、任
意の三次元形状の街区について、必要に応じて受熱日射
量、天空率、周辺地物からの長波長放射量等の分布を画
像として出力することができ、設計段階で地区の熱環境
を規定する要因を詳細に検討し、フィードバックできる
ところに特徴がある。ただし、すべてのプログラムを一
体化し、入力から出力までを一連の計算で行えるように
することも可能であり、計算にかかる人的負荷を減らす
こともできる。
【0126】また、樹冠の日射透過過程の再現につい
て、より高精度の方法(例えば平岡の提案する方法)や
簡易推定法(例えば西川らの空隙率を用いた方法)など
を導入することも可能である。また、植生や土壌、透水
性舗装面など、水分の移動を伴う要素の表面温度算出に
ついて、高精度の熱水分同時移動方程式や簡易推定法
(例えば谷本らの提案するモデル)の導入も可能であ
る。また、本予測手法では、室温条件を部屋ごと分けず
に、建物内一定として与えていた。ただし、部屋ごとに
室温条件を与えることも可能である。
【0127】また、本発明は上述の実施の形態に限らず
本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採
り得ることはもちろんである。
【0128】つぎに、熱環境の予測方法に用いるプログ
ラムについて説明する。熱環境の予測方法に用いるプロ
グラムは、図10に示すとおりである。本シミュレーシ
ョン方法は、計算のステップに応じ、幾つかのプログラ
ムから構成されている。そのため、任意の三次元形状の
街区について、必要に応じて受熱日射量、天空率、周辺
地物からの長波長放射量等の分布を画像として出力する
ことができ、設計段階で地区の熱環境を規定する要因を
詳細に検討し、フィードバックできるところに特徴があ
る。
【0129】本プログラムの流れを、図10に沿って具
体的に説明する。なお、本プログラムは、最初の「熱環
境の予測方法」のところで説明した方法に基づくもので
ある。
【0130】まず、3D-CAD三次元幾何情報の入力では、
CADソフト「Vector Works」を用い、建物や樹木形状の
再現やモデル化といった、シミュレーションに必要な三
次元幾何情報の入力を行う。
【0131】建物・樹木切断プログラムは、3D-CADで作
成された建物・樹木のモデルを、メッシュサイズの間隔
で高さ毎切断し、それぞれの高さにおける断面の線分座
標値を取得するプログラムである。プログラミングの開
発環境が備わった CADソフト「Vector Works」において
作成されたプログラム(Pascal言語、発明者が作成)を
使用し、その「Vector Works」上で切断の作業及び、座
標値取得の作業を実行する。
【0132】各高さにおける断面の線分座標値は、上記
のプログラムで高さ毎切断された建物や樹木の断面形状
における、各頂点の座標値情報である。
【0133】以下は Fortran言語で作成されたプログラ
ム(発明者が作成)を使用する。メッシュデータ化プロ
グラムは、高さ毎に取得された図形断面の線分座標値を
もとに、メッシュサイズに応じたメッシュ化を行うプロ
グラムである。すべての高さで行うことにより、三次元
のメッシュデータを作成し、同時に各メッシュに対し、
構造・表面材料等の情報を入力する。地面については2
次元メッシュデータが作成される。
【0134】三次元メッシュデータは、上記プログラム
で作成された建物や樹木の三次元のメッシュデータであ
る。情報としては、(X,Y,Z)座標値や建物(樹
木)番号、建物構造(樹種)などが格納されている。地
面は2次元メッシュデータとなり、土地被覆材料などが
格納される。構成要素詳細データベースは建物について
は建物構造や表面材料、地面については土地被覆材料毎
にその断面構造が整備されたものである。また、物性値
データベースは、構成要素詳細データベース内に記載さ
れる材料の物性値を整備したものである。いずれも表面
温度計算プログラム内で表面温度を算出する際に使用さ
れる。
【0135】気象条件の水平面全天日射量は直散分離に
より法線面直達日射量と水平面天空日射量に分けられ
る。法線面直達日射量は表面温度算出の際、直達日射量
の気象データとして使用され、水平面天空日射量は天空
日射量の気象データとして使用される。気温、風速は表
面温度計算の際、顕熱項の算出に使用される。相対湿度
(絶対湿度)は大気放射量算出の際、Brunt の式で使用
される。雲量は、大気放射量算出の際使用される。
【0136】直達日射量計算プログラムは、日時・緯度
・経度等の情報をもとに、各メッシュが受ける直達日射
量を算出するプログラムである。一日を通しての時系列
計算を行う。
【0137】直達日射量データは、直達日射量計算プロ
グラムで計算された直達日射量の情報がメッシュ毎に保
存されたものである。
【0138】鏡面反射日射量計算プログラムは、各メッ
シュにおける直達日射量データ及び日時・緯度・経度・
日射反射率等の情報をもとに、その一次鏡面反射成分を
算出し、正反射により到達したメッシュに反射日射量を
与えるプログラムである。一日を通しての時系列計算を
行う。
【0139】鏡面反射日射量データは、鏡面反射日射量
計算プログラムで計算された各メッシュが受ける鏡面反
射日射量の情報がメッシュ毎に保存されたものである。
【0140】拡散反射日射量計算プログラムは、各メッ
シュにおける直達日射量データ及び日時・緯度・経度・
日射反射率等の情報をもとに、その一次拡散反射成分を
算出し、完全等方拡散により到達した各メッシュに反射
日射量を与えるプログラムである。一日を通しての時系
列計算を行う。
【0141】拡散反射日射量データは、拡散反射日射量
計算プログラムで計算された各メッシュが受ける拡散反
射日射量の情報がメッシュ毎に保存されたものである。
【0142】天空率計算プログラムは、天空日射量・大
気放射量の見積に必要となる天空率を算出するプログラ
ムである。時系列の計算ではない。ここで得られる天空
率をもとに、天空日射量、大気放射量は算出される。
【0143】天空率データは、天空率計算プログラムで
計算された天空率の情報がメッシュ毎に保存されたもの
である。
【0144】長波長放射量計算プログラムは、各メッシ
ュが周辺の地物から受ける長波長放射量を算出するプロ
グラムである。長波長放射量計算の入力データとしては
全メッシュにおける表面温度の情報が必要なため、表面
温度が算出された後にプログラムは実行される。具体的
には、第一回目の表面温度を、周辺地物の表面温度を気
温と仮定し長波長放射量の項を算出し、計算する。つぎ
の段階でこの長波長放射量算出プログラムは使用され、
その表面温度の計算結果をもとに、各メッシュが受ける
長波長放射量を算出する。そして、このような表面温度
算出→長波長放射量の計算→表面温度算出の反復を2回
行い、表面温度を収束させる。
【0145】長波長放射量データは、長波長放射量計算
プログラムで計算された各メッシュが受ける長波長放射
量の情報がメッシュ毎に保存されたものである。
【0146】表面温度計算プログラムは、算出された直
達日射量・天空率などのデータに加え、与条件として与
えられる材料物性値データ・気象データ・室温データ等
から各メッシュにおける表面温度を、部材断面方向への
一次元熱伝導を考慮し非定常計算により算出するプログ
ラムである。部材断面構造と部材を構成する各層の物性
値は、断面構造詳細データベース及び物性値データベー
スより決定される。
【0147】図1の天空日射量はこの計算内において考
慮され、気象データである水平面全天日射量から直散分
離により求まる水平面天空日射量に、プログラム計算に
より算出された天空率と日射吸収率を乗ずることにより
求まる。図1の大気放射量はこの計算内において考慮さ
れ、Brunt の式から求まる大気放射量に天空率と大気の
長波長放射率、各メッシュの長波長放射率(吸収率に等
しい)を乗ずることにより求まる。図1の顕熱項はこの
計算内において考慮され、非定常計算の一時刻前のその
メッシュにおける表面温度と気温、及び対流熱伝達率か
ら算出される。潜熱移動を伴う空間構成要素について
は、実験から求まった回帰式により、表面温度を回帰す
る。周期定常解として、4日間の助走期間の後、5日目
に得られる表面温度を最終解としている。
【0148】全表面温度データは、表面温度計算プログ
ラムで計算された表面温度の情報がメッシュ毎に保存さ
れたものである。
【0149】3D-CADに出力では、プログラミングの開発
環境が備わった CADソフト「VectorWorks」において作
成されたプログラム(Pascal言語、発明者が作成)を使
用し、その「Vector Works」上で CADに街区の全表面温
度の算出結果を出力する。また、MRTを2次元平面上
に出力する。
【0150】HIP算出では、HIPの算出式に基づ
き、全表面温度の算出結果からHIPの算出を行う。算
出には、Fortran 言語で作成されたプログラム(発明者
が作成)を使用する。
【0151】MRT算出では、MRTの算出式に基づ
き、全表面温度の算出結果からMRTの算出を行う。算
出には、 Fortran言語で作成されたプログラム(発明者
が作成)を使用する。
【0152】以上のことから、熱環境の予測方法に用い
る本プログラムによれば、建物や樹木などの詳細なデザ
インを再現し、全表面温度の予測ができる。また、設計
で使用されることも多い3D-CADを建物や樹木形状等の三
次元幾何情報の入力媒体として使用しているため、設計
とのデータの共有が容易である。また、樹木のモデル化
に関して、まず3D-CADを使用しているため、樹木形状の
再現が容易に行える。さらに、樹冠内における日射減衰
過程の再現が従来の方法より高精度に、且つ膨大な計算
負荷をかけることなく行える。また、3D-CADを出力媒体
として使用しているため、計算結果の表面温度分布を評
価者の自由な視点から出力することができ、第三者によ
る評価を容易にしている。これは、設計支援を目的とし
た手法としては非常に重要な要素である。MRTとHI
Pの指標を使用することにより、建築外部空間のデザイ
ンが熱放射環境及び都市熱環境に与える影響を定量的に
評価することができる。
【0153】なお、本予測方法は上述した内容に限定さ
れるものではない。本予測方法で説明した個々の計算以
外に、以下のものを追加して、全体の計算の精度をより
向上させることができる。
【0154】まず、表面温度算出の顕熱項の計算に必要
となる気温・風速のデータを、今回は空間分布を考慮せ
ず空間内一定として与えていたが、より高精度の予測を
行う上では気流数値シミュレーションの結果を入力条件
とし、各メッシュにその近傍の算出値を与えることも可
能である。また、気流数値シミュレーションに限らず、
空間内の気流・気温の分布が与えられれば、それを入力
することも可能である。
【0155】また、本予測手法による全表面温度の算出
結果を境界条件とし、気流数値シミュレーションを行う
ことができ、それにより高精度の気流・気温分布の予測
が可能である。上記の方法と併せて、本予測手法と気流
数値シミュレーションとの連成が行える。ただし、既往
研究に見られる連成手法(村上らの研究)と比べ、表面
温度予測シミュレーションと気流数値シミュレーション
を別々のプログラムとして独立できるため、気流数値シ
ミュレーションでは計算負荷増大の主因となってしまう
建物形状の再現を、各シミュレーションで別々に行える
利点があり、ひいては膨大な計算負荷をかけずに連成が
行える。つまり、表面温度の予測は本手法を用い詳細な
形状を再現して行い、気流数値シミュレーションは簡略
化した形状で行えばよいのである。このとき、形状モデ
ルの異なる両シミュレーションにおけるデータの受け渡
しを行い、連成を設立させる。
【0156】また、本予測手法では、日射反射の多重反
射の計算について、計算時間と予測精度のバランスを鑑
みて、鏡面・拡散ともに一次反射までを導入している。
ただし、2次以降の多重反射を導入し、より一層の予測
精度の向上を図ることも可能である。また、拡散多重反
射について、高精度の反射過程の再現法であるラジオシ
ティ法を導入することもできる。
【0157】また、本予測手法では、室温条件を与条件
として入力した。ただし、建物の表面温度についてさら
なる高精度の予測を行うために、室温の計算が行える建
物熱負荷計算等との連成を行うことも可能である。すな
わち、まず表面温度算出の際に求められる表面熱流を建
物負荷計算の外部境界条件として入力し、室温の予測を
行う。つぎに、その結果をもとに外表面の熱収支計算を
行い、より忠実な室温条件を用いた表面温度予測を行う
ことが可能である。また、この方法を用いることによ
り、詳細な建物の外表面熱流を考慮した熱負荷計算が行
えるため、ヒートアイランドに寄与する要因として全表
面から発生する顕熱に加え、空調負荷量の算出に基づく
空調分の人工発生熱が考慮でき、街区から発生する顕熱
流量がより詳細に求まり、都市熱環境へのインパクトを
多面的に予測することができる。
【0158】また、本予測方法で説明した個々の計算
を、以下のものに変更することもできる。まず、長波長
放射授受の計算について、確率的な現象予測の方法であ
るモンテカルロ法を導入することも可能である。
【0159】また、本予測手法は計算ステップに応じ、
幾つかのプログラムから構成されている。そのため、任
意の三次元形状の街区について、必要に応じて受熱日射
量、天空率、周辺地物からの長波長放射量等の分布を画
像として出力することができ、設計段階で地区の熱環境
を規定する要因を詳細に検討し、フィードバックできる
ところに特徴がある。ただし、すべてのプログラムを一
体化し、入力から出力までを一連の計算で行えるように
することも可能であり、計算にかかる人的負荷を減らす
こともできる。
【0160】また、樹冠の日射透過過程の再現につい
て、より高精度の方法(例えば平岡の提案する方法)や
簡易推定法(例えば西川らの空隙率を用いた方法)など
を導入することも可能である。また、植生や土壌、透水
性舗装面など、水分の移動を伴う要素の表面温度算出に
ついて、高精度の熱水分同時移動方程式や簡易推定法
(例えば谷本らの提案するモデル)の導入も可能であ
る。また、本予測手法では、室温条件を部屋ごと分けず
に、建物内一定として与えていた。ただし、部屋ごとに
室温条件を与えることも可能である。
【0161】また、本発明は上述の実施の形態に限らず
本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採
り得ることはもちろんである。
【0162】参考文献 (1)飯野秋成:リモートセンシングと地理情報による
都市の全表面の熱収支解析、東京工業大学博士論文、19
94.3 (2)森川泰成、工藤圭子、小野浩史、西村正和:市街
地における温熱環境の予測・評価手法の検討、 pp869-8
72、1997.9 (3)小林康、大岡龍三、村上周三、磐田靖子、吉田伸
治、原山和也:建築の被覆状況、形状の変化が屋外熱環
境に及ぼす影響(その1)建築の被覆状況の変化、形状
の変化が建物表面温度、還流熱負荷に及ぼす影響、日本
建築学会大会学術講演梗概集、pp1141-1142 、2000.9 (4)大庭万希子、持田灯、吉野博、村上周三、大岡龍
三、吉田伸治:建築の被覆状況、形状の変化が屋外熱環
境に及ぼす影響(その2)建物外表面のアルベドの違い
が屋外空間の温熱快適性に及ぼす影響、日本建築学会大
会学術講演梗概集、pp1143-1144 、2000.9 (5)原山和也、吉田伸治、大岡龍三、村上周三、磐田
靖子:建築の被覆状況、形状の変化が屋外熱環境に及ぼ
す影響(その3)街区形状の変化による温熱環境緩和効
果の検討、日本建築学会大会学術講演梗概集、pp1145-1
146 、2000.9 (6)石野久彌、森山正和、水出喜太郎、中山哲士:一
次元熱収支モデルによる数値計算と地表面近傍環境の観
測による都市熱環境解析に関する研究、日本建築学会計
画系論文集、第 469号、pp45-51 、1995.3 (7)森山正和、竹林英樹、宮崎ひろ志:一次元熱収支
モデルによる夏季の都市気温シミュレーションにおける
蒸発効率と人工排熱成分の推定に関する一手法、日本建
築学会計画系論文集、第 519号、pp85-91 、1999.5 (8)西岡真稔、松尾陽:都市キャノピーにおける建築
の放散熱とその影響 その1 建築の放散熱に関する伝熱
モデル、日本建築学会計画系論文集、第 508号、pp29-3
4 、1998.6 (9)西岡真稔、松尾陽:都市キャノピーにおける建築
の放散熱とその影響 その2都市キャノピーモデル、日
本建築学会計画系論文集、第 521号、pp73-80 、1999.7 (10)松尾陽:HASP/ACLD/8501解説、日本建築設備士
協会、1986 (11)谷本潤、林徹夫、片山忠久、大濱淳司、笠間幹
雄:建築−都市−土壌連成モデルによる都市高温化要因
の定量的比較に関する研究第 1報理論構成手法と基本
解、日本建築学会計画系論文集、第 504号、pp87-93 、
1998.2 (12)谷本潤、林徹夫、片山忠久、大濱淳司、笠間幹
雄:建築−都市−土壌連成モデルによる都市高温化要因
の定量的比較に関する研究第 2報数値実験による要因効
果特性解析、日本建築学会計画系論文集、第 510号、pp
53-60 、1998.8 (13)村上周三、持田灯、金相、大岡龍三:関東地方
における土地利用状況の変化と流れ場・温度場の関係、
日本建築学会計画系論文集、第 491号、pp31-39、1997.
1 (14)吉田伸治、大岡龍三、持田灯、富永禎秀、村上
周三:樹木モデルを組み込んだ対流・放射・湿気輸送連
成解析による樹木の屋外熱環境緩和効果の検討、日本建
築学会計画系論文集、第 536号、pp87-94 、2000.10 (15)日本建築学会編:建築設計資料集成1 環境、丸
善、pp80、1978.6 (16)山田宏之、丸田頼一:樹木の日射軽減作用に関
する研究、造園雑誌、51号、pp84-94 、1987.2 (17)平岡久司、中村泰人: Ross,J.の植物群落内放
射輸送モデルに関する研究(その 1) Szeicz,G.の測定
データとの比較、日本建築学会計画系論文集、第416
号、pp17-24 、1990.10 (18)平岡久司: Ross J.の植生群落内放射伝達モデ
ルに関する研究 その2Ranson,K.J. の測定データとの
比較、日本建築学会計画系論文集、第 443号、pp1-6 、
1993.1 (19)平岡久司:ROSSの植生群落内放射輸送方程式の
拡散近似解法に関する研究、日本建築学会計画系論文
集、 495号、pp31-36 、1997.5 (20)西川竜二、宿谷昌則:樹木の日射遮蔽効果の簡
易推定法の開発、日本建築学会計画系論文集、第 527
号、pp29-35 、2000.1 (21)下川宰司、片山忠久、林徹夫、谷本潤、何平、
池沢紀幸;樹木のある街路の熱環境予測、その 5、日本
建築学会学術講演会梗概集,pp.131-132,1996年 (22)梅干野晁他;屋上の芝生植栽による照り返し防
止・焼き込み防止効果、日本建築学会建築環境工学論文
集,pp.133-140,1995年 (23)例えば谷本潤他;都市熱環境評価のための地表
面からの蒸発量の簡易計算手法に関する研究、日本建築
学会計画系論文集No.534,pp.63-68,2000.8
【0163】
【発明の効果】本発明は、以下に記載されるような効果
を奏する。所定間隔ごとの高さについて空間構成要素を
切断し、生成された平面図形の座標を取得し、平面図形
を所定のメッシュに分割し、各メッシュについて熱収支
計算を行うことにより、または、コンピュータに、所定
間隔ごとの高さについて空間構成要素を切断し生成され
た平面図形の座標を取得する手順、平面図形を所定のメ
ッシュに分割し各メッシュについて熱収支計算を行う手
順を実行させることにより、建物や樹木などのデザイン
を再現し、表面温度の予測ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱環境の予測方法の流れを示す図である。
【図2】解析対象地のCADモデルを示す図である。
【図3】3D−CAD上でのデータの取得方法を示す図
である。
【図4】解析対象地の三次元メッシュデータを示す図で
ある。
【図5】本予測手法で用いる樹木の日射遮蔽効果の概念
を示す図である。
【図6】1.2m高さにおけるMRT分布を示す図であ
る。
【図7】表面温度分布(住宅地俯瞰)を示す図である。
【図8】表面温度分布(敷地内通路)を示す図である。
【図9】HIPの日変化を示す図である。
【図10】プログラムフローを示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 冨樫 雅和 神奈川県横浜市西区東久保町29−9 (72)発明者 浅輪 貴史 神奈川県横浜市緑区長津田町4259 東京工 業大学内 (72)発明者 山村 真司 神奈川県横浜市緑区長津田町4259 東京工 業大学内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 空間構成要素を三次元空間に形成し、所
    定間隔ごとの高さについて、上記空間構成要素を切断
    し、生成された平面図形の座標を取得し、上記平面図形
    を所定のメッシュに分割し、この各メッシュに部位固有
    の情報を与え、上記各メッシュについて、熱収支計算を
    行い、表面温度を算出し、上記表面温度に基づき、熱環
    境評価指標を算出する熱環境の予測方法。
  2. 【請求項2】 空間構成要素は、建物、樹木、および地
    面である請求項1記載の熱環境の予測方法。
  3. 【請求項3】 熱収支計算は、直達日射量、反射日射
    量、天空日射量、大気放射量、顕熱流量、および長波長
    放射量の算出に基づく請求項1記載の熱環境の予測方
    法。
  4. 【請求項4】 熱環境評価指標は、平均放射温度および
    ヒートアイランドポテンシャルである請求項1記載の熱
    環境の予測方法。
  5. 【請求項5】 コンピュータに、空間構成要素を三次元
    空間に形成する手順、所定間隔ごとの高さについて、上
    記空間構成要素を切断し、生成された平面図形の座標を
    取得する手順、上記平面図形を所定のメッシュに分割
    し、この各メッシュに部位固有の情報を与える手順、上
    記各メッシュについて、熱収支計算を行い、表面温度を
    算出する手順、上記表面温度に基づき、熱環境評価指標
    を算出する手順を実行させるためのプログラム。
  6. 【請求項6】 空間構成要素は、建物、樹木、および地
    面である請求項5記載のプログラム。
  7. 【請求項7】 熱収支計算は、直達日射量、反射日射
    量、天空日射量、大気放射量、顕熱流量、および長波長
    放射量の算出に基づく請求項5記載のプログラム。
  8. 【請求項8】 熱環境評価指標は、平均放射温度および
    ヒートアイランドポテンシャルである請求項5記載のプ
    ログラム。
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