JP7460845B1 - 環境外力予測システム、耐久性情報提供システム、環境外力予測方法及び環境外力予測プログラム - Google Patents

環境外力予測システム、耐久性情報提供システム、環境外力予測方法及び環境外力予測プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】建築材料が受ける環境因子が複合して作用することに起因して生じる劣化の外力を示す環境外力を予測する。【解決手段】環境外力予測システム1は、対象建築材料に関する場所情報、照射面が向く方向を示す方向情報、建築材料特定情報、及び、壁構造特定情報を取得する建築材料情報取得部11と、場所情報に基づいて、算出対象期間及び建築材料が設けられた場所の太陽光線強度を算出する太陽光線強度算出部12と、方向情報及び太陽光線強度に基づいて特定方向太陽光線強度を算出する特定方向太陽光線強度算出部13と、対象建築材料の特性情報及び壁構造に関する壁構造情報並びに特定方向太陽光線強度に基づいて、対象建築材料が設けられた場所における照射方向の太陽光線の熱影響予測情報を算出する熱影響予測情報算出部14と、特定方向太陽光線強度及び熱影響予測情報に基づいて対象建築材料に対する環境外力を算出する環境外力算出部15とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、環境外力予測システム、耐久性情報提供システム、環境外力予測方法及び環境外力予測プログラムに関する。
建築物に用いられるプラスチック、樹脂及びゴム等を素材とした有機系建築材料(例えば、WPRC(木材・プラスチック再生複合材)、塗料、防水材及びシーリング材等、材料自体が有機系であるものだけでなく、少なくとも表面に有機系材料が用いられているもの全てを含む)は、屋外環境下において経年で劣化が進行するため、点検、調査及び診断により劣化度が判定され、判定結果に基づいて補修及び改修が行われる。例えば、特許文献1には、太陽光線の外装塗装への影響を予測する予測情報提供システムが開示されている。
特開2022-97781号公報
建築物に用いられるプラスチック、樹脂、ゴムなどを素材とした建築材料の屋外環境下の経年劣化及び耐候性は、例えばJIS規格に規定された屋外暴露試験により評価される。建築物の仕様を決める際に建築材料の耐候性を考慮する場合において、当該建築物において使用される状態と同じ場所及び方角に建築材料を設置して劣化状態を評価することが好ましいが、建築材料の劣化状態の情報を事前に得るためには長期の暴露期間を要するため、前述の屋外暴露試験で評価するのが一般的であった。しかしながら、建築材料が使用される建築物と前述の屋外暴露試験とでは暴露環境が異なるので、材料劣化の進行速度に差異が生じ、詳細な材料の寿命を推定することが困難であった。また、実際の建築材料の劣化は、場所に応じた環境因子が複雑に関連して生じるので、屋外暴露試験を行う場所の環境因子だけでは、実際に使用される建築物での建築材料の寿命に至る期間を求めることは困難であった。なお、環境因子は、建築材料が曝されている地域の環境条件であって、気温、湿度、紫外線量及び降雨量等を含む。
そこで本発明は、評価対象となる建築材料が存在する場所又は設置が計画される場所に応じて、建築材料が受ける環境因子が複合して作用することに起因して生じる劣化の外力を示す指標である環境外力を予測及び提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本開示の一側面に係る環境外力予測システムは、建築物に設けられた建築材料における、環境因子に起因する劣化の外力である環境外力を予測する環境外力予測システムであって、予測の対象の建築材料である対象建築材料が設けられた場所を示す場所情報、対象建築材料が太陽光線の照射を受ける面である照射面が向く照射方向を示す方向情報、対象建築材料を特定する建築材料特定情報、及び、対象建築材料が設けられた壁構造を特定する壁構造特定情報を取得する建築材料情報取得部と、場所情報に基づいて、太陽光線強度情報の参照により、算出対象の期間及び対象建築材料が設けられた場所における太陽光線強度を算出する太陽光線強度算出部であって、太陽光線強度情報は、日時及び場所ごとの太陽光線強度を含む、太陽光線強度算出部と、方向情報及び太陽光線強度に基づいて、対象建築材料が設けられた場所における、方向情報により示される照射方向の太陽光線強度である特定方向太陽光線強度を算出する特定方向太陽光線強度算出部と、建築材料特定情報に基づく建築材料特性情報の参照により得られた対象建築材料に関する特性情報、及び、壁構造特定情報に基づく壁構造情報の参照により得られた対象建築材料が設けられた壁構造に関する壁構造情報、並びに、特定方向太陽光線強度に基づいて、対象建築材料が設けられた場所における照射方向の太陽光線の熱影響予測情報を算出する熱影響予測情報算出部であって、建築材料特性情報は、各建築材料の材質、材質ごとの密度、比熱、反射率及び熱伝導率のうちの少なくとも一つを含む特性情報であり、壁構造情報は、建築材料の下地を構成する壁構造に関する情報であって、壁構造の材質、材質ごとの密度、比熱、熱伝導率等のうちの少なくとも一つを含む、熱影響予測情報算出部と、特定方向太陽光線強度及び熱影響予測情報に基づいて、対象建築材料に対する環境外力を算出する環境外力算出部と、算出された環境外力を出力する出力部と、を備える。
本開示の一側面に係る環境外力予測方法は、少なくとも一つのプロセッサを備え、建築物に設けられた建築材料における、環境因子に起因する劣化の外力である環境外力を予測する環境外力予測システムによって実行される環境外力予測方法であって、予測の対象の建築材料である対象建築材料が設けられた場所を示す場所情報、対象建築材料が太陽光線の照射を受ける面である照射面が向く照射方向を示す方向情報、対象建築材料を特定する建築材料特定情報、及び、対象建築材料が設けられた壁構造を特定する壁構造特定情報を取得する建築材料情報取得ステップと、場所情報に基づいて、太陽光線強度情報の参照により、算出対象の期間及び対象建築材料が設けられた場所における太陽光線強度を算出する太陽光線強度算出ステップであって、太陽光線強度情報は、日時及び場所ごとの太陽光線強度を含む、太陽光線強度算出ステップと、方向情報及び太陽光線強度に基づいて、対象建築材料が設けられた場所における、方向情報により示される照射方向の太陽光線強度である特定方向太陽光線強度を算出する特定方向太陽光線強度算出ステップと、建築材料特定情報に基づく建築材料特性情報の参照により得られた対象建築材料に関する特性情報、及び、壁構造特定情報に基づく壁構造情報の参照により得られた対象建築材料が設けられた壁構造に関する壁構造情報、並びに、特定方向太陽光線強度に基づいて、対象建築材料が設けられた場所における照射方向の太陽光線の熱影響予測情報を算出する熱影響予測情報算出ステップであって、建築材料特性情報は、各建築材料の材質、材質ごとの密度、比熱、反射率及び熱伝導率のうちの少なくとも一つを含む特性情報であり、壁構造情報は、建築材料の下地を構成する壁構造に関する情報であって、壁構造の材質、材質ごとの密度、比熱、熱伝導率等のうちの少なくとも一つを含む、熱影響予測情報算出ステップと、特定方向太陽光線強度及び熱影響予測情報に基づいて、対象建築材料に対する環境外力を算出する環境外力算出ステップと、算出された環境外力を出力する出力ステップと、を有する。
本開示の一側面に係る環境外力予測プログラムは、建築物に設けられた建築材料における、環境因子に起因する劣化の外力である環境外力を予測する環境外力予測システムとしてコンピュータを機能させるための環境外力予測プログラムであって、予測の対象の建築材料である対象建築材料が設けられた場所を示す場所情報、対象建築材料が太陽光線の照射を受ける面である照射面が向く照射方向を示す方向情報、対象建築材料を特定する建築材料特定情報、及び、対象建築材料が設けられた壁構造を特定する壁構造特定情報を取得する建築材料情報取得ステップと、場所情報に基づいて、太陽光線強度情報の参照により、算出対象の期間及び対象建築材料が設けられた場所における太陽光線強度を算出する太陽光線強度算出ステップであって、太陽光線強度情報は、日時及び場所ごとの太陽光線強度を含む、太陽光線強度算出ステップと、方向情報及び太陽光線強度に基づいて、対象建築材料が設けられた場所における、方向情報により示される照射方向の太陽光線強度である特定方向太陽光線強度を算出する特定方向太陽光線強度算出ステップと、建築材料特定情報に基づく建築材料特性情報の参照により得られた対象建築材料に関する特性情報、及び、壁構造特定情報に基づく壁構造情報の参照により得られた対象建築材料が設けられた壁構造に関する壁構造情報、並びに、特定方向太陽光線強度に基づいて、対象建築材料が設けられた場所における照射方向の太陽光線の熱影響予測情報を算出する熱影響予測情報算出ステップであって、建築材料特性情報は、各建築材料の材質、材質ごとの密度、比熱、反射率及び熱伝導率のうちの少なくとも一つを含む特性情報であり、壁構造情報は、建築材料の下地を構成する壁構造に関する情報であって、壁構造の材質、材質ごとの密度、比熱、熱伝導率等のうちの少なくとも一つを含む、熱影響予測情報算出ステップと、特定方向太陽光線強度及び熱影響予測情報に基づいて、対象建築材料に対する環境外力を算出する環境外力算出ステップと、算出された環境外力を出力する出力ステップと、をコンピュータに実行させる。
上記の側面によれば、対象建築材料が設けられた場所及び日時における太陽光線強度が取得され、更に対象建築材料の照射面が向く照射方向に基づいた特定方向太陽光線強度が算出されるので、太陽光線に基づく環境因子が適切に評価される。また、対象建築材料の特性情報及び対象建築材料が設けられる壁構造に関する壁構造情報が更に考慮されて熱影響予測情報が算出されるので、熱に関する複数の環境因子が適切に評価される。そして、特定方向太陽光線強度及び熱影響予測情報に基づいて環境外力が算出されるので、対象建築材料に対して作用する劣化の外力が適切に評価された情報を得ることが可能となる。
他の側面に係る環境外力予測システムでは、太陽光線強度算出部は、少なくとも太陽高度に基づいて全天日射量を太陽光線強度として算出し、又は、予め算出された全天日射量を太陽光線強度として取得し、全天日射量は、地上に到達する直達光及び散乱光による日射量を含むこととしてもよい。
上記の側面によれば、全天日射量が太陽光線強度情報として取得又は算出されるので、主要な環境因子の一つである太陽光線に関する情報が適切に考慮される。
他の側面に係る環境外力予測システムでは、特定方向太陽光線強度算出部は、太陽光線強度として取得又は算出された全天日射量に基づいて、照射面への各方向からの直達光及び散乱光の光線強度の積算により特定方向太陽光線強度を算出することとしてもよい。
上記の側面によれば、照射面が向く照射方向が受ける直達光及び散乱光の光線強度の積算により算出された特定方向太陽光線強度が環境外力の算出に用いられるので、対象建築材料の照射面が受ける太陽光線の強度が環境外力に適切に反映される。
他の側面に係る環境外力予測システムでは、熱影響予測情報算出部は、照射面の時間ごとの平均表面温度を熱影響予測情報として算出することとしてもよい。
上記の側面によれば、対象建築材料の劣化に大きな影響を与える照射面の平均表面温度が、環境外力の算出に用いられるので、環境因子の一つとしての温度に関する要素が、環境外力の算出において適切に反映される。
他の側面に係る環境外力予測システムでは、環境外力算出部は、式(1)により、
環境外力=C×Σ[Sτexp(-Ea/RT)] ・・・式(1)
(定数C:日射と気温による劣化特性値(4.68×10
変数S:所定の単位期間における特定方向太陽光線強度
定数τ:日射による劣化特性値(0.276)
定数Ea:日射と気温による劣化の活性化エネルギー(35.6KJ/mol)
定数R:気体定数(8.314×10-3KJ/mol/K)
変数T:熱影響予測情報に含まれる所定の単位期間における照射面の平均表面温度)
環境外力を算出することとしてもよい。
上記の側面によれば、対象建築材料の劣化に対する全天日射量及び照射面の平均表面温度の環境因子が積算されることにより、算出対象として設定された期間にわたって対象建築材料に対して作用する劣化の外力の適切な指標値を得ることが可能となる。
本開示の一側面に係る耐久性情報提供システムは、任意の暴露場所に設けられた建築材料からなる試験体に関して、請求項1~5のいずれか一項に記載の環境外力予測システムにより出力された、所与の単位期間における環境外力である単位期間環境外力を取得する単位期間環境外力取得部と、試験体が暴露場所に設けられてから所定の性能を満たすことができなくなるまでの期間として予め得られた経年劣化期間を単位期間環境外力に乗じることにより総環境外力を算出及び出力する総環境外力算出部と、を備える。
上記の側面によれば、単位期間環境外力に経年劣化期間を乗じて総環境外力を算出することにより、当該建築材料が寿命を終えるまでに受けることが可能な環境外力の情報を当該建築材料の属性情報として得ることが可能となる。
他の側面に係る耐久性情報提供システムは、環境外力予測システムにより算出及び出力された建築材料が設けられる評価対象の場所である評価場所における単位期間の環境外力を取得し、当該建築材料からなる試験体に基づいて算出された総環境外力を、評価場所における単位期間の環境外力で除すことにより、評価場所に建築材料が設けられた場合における、単位期間により表される寿命情報を算出及び出力する寿命情報算出部、を更に備えることとしてもよい。
上記の側面によれば、当該建築材料に関する総環境外力を、評価場所における単位期間の環境外力で除すことにより、当該評価場所における当該建築材料の精度の高い寿命情報を得ることが可能となる。
本開示の一側面によれば、評価対象となる建築材料が存在する場所又は設置が計画される場所に応じて、建築材料が受ける環境因子が複合して作用することに起因して生じる劣化の外力を示す指標である環境外力を予測及び提供することが可能となる。
本実施形態に係る環境外力予測システムの機能的構成を示すブロック図である。 環境外力予測装置のハードウェア構成を示す図である。 図3は照射面が向く照射方向を示す方向情報を模式的に示す図であって、図3(a)は、方向情報の要素である方位角を示す図であり、図3(b)は、方向情報の要素である仰角を示す図である。 太陽光線強度情報記憶部に記憶された太陽光線強度情報の構成の例を示す図である。 特定方向太陽光線強度の算出処理を説明するための図である。 建築材料特性情報記憶部に記憶された建築材料特性情報の構成の例を示す図である。 壁構造情報記憶部に記憶された壁構造情報の構成の例を示す図である。 建築材料の時間ごとの平均表面温度の算出式の例を示す図である。 耐久性情報提供システム及び耐久性情報提供装置の機能的構成を示す図である。 環境外力予測システムにおいて実施される環境外力予測方法の処理内容を示すフローチャートである。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本実施形態に係る環境外力予測システムの機能的構成を示すブロック図である。本実施形態の環境外力予測システム1は、一例として環境外力予測装置10により構成される。図1に示されるように、環境外力予測装置10は、プロセッサ101を備えるコンピュータにより構成される。本実施形態の環境外力予測装置10は、機能的には、建築材料情報取得部11、太陽光線強度算出部12、特定方向太陽光線強度算出部13、熱影響予測情報算出部14、環境外力算出部15及び出力部16を備える。これらの機能部については、後に詳述する。
また、環境外力予測装置10の各機能部11~16は、太陽光線強度情報記憶部21、建築材料特性情報記憶部22及び壁構造情報記憶部23といった記憶手段にアクセス可能に構成されている。太陽光線強度情報記憶部21、建築材料特性情報記憶部22及び壁構造情報記憶部23は、図1に示されるように、環境外力予測装置10に備えられることとしてもよいし、環境外力予測装置10からのアクセスが可能に設けられた外部の記憶手段として構成されてもよい。
図2は、環境外力予測装置10のハードウェア構成図である。環境外力予測装置10は、物理的には、図2に示すように、プロセッサ101、RAM及びROMといったメモリにより構成される主記憶装置102、ハードディスク等で構成される補助記憶装置103、通信制御装置104などを含むコンピュータシステムとして構成されている。環境外力予測装置10は、入力デバイスであるキーボード、タッチパネル、マウス等の入力装置105及びディスプレイ等の出力装置106をさらに含むこととしてもよい。
プロセッサ101は、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムを実行する演算装置である。プロセッサの例としてCPU(Central Processing Unit)およびGPU(Graphics Processing Unit)が挙げられるが、プロセッサ101の種類はこれらに限定されない。例えば、プロセッサ101は専用回路により構成されてもよい。専用回路はFPGA(Field-Programmable Gate Array)のようなプログラム可能な回路でもよいし、他の種類の回路でもよい。
主記憶装置102は、環境外力予測装置10を実現させるためのプログラム、プロセッサ101から出力された演算結果などを記憶する装置である。主記憶装置102は例えばROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)のうちの少なくとも一つにより構成される。
補助記憶装置103は、一般に主記憶装置102よりも大量のデータを記憶することが可能な装置である。補助記憶装置103は例えばハードディスク、フラッシュメモリなどの不揮発性記憶媒体によって構成される。補助記憶装置103は、コンピュータを環境外力予測装置10として機能させるためのプログラムP1(環境外力予測プログラム)と各種のデータとを記憶する。また、太陽光線強度情報記憶部21、建築材料特性情報記憶部22及び壁構造情報記憶部23が環境外力予測装置10に含まれる場合には、太陽光線強度情報記憶部21、建築材料特性情報記憶部22及び壁構造情報記憶部23は、主記憶装置102、補助記憶装置103及びその他の記憶素子のいずれかに構成されてもよい。
通信制御装置104は、通信ネットワークを介して他のコンピュータ及び装置等との間でデータ通信を実行する装置である。通信制御装置104は例えばネットワークカードまたは無線通信モジュールにより構成される。
図1に示した各機能部は、図2に示すプロセッサ101、主記憶装置102等のハードウェア上にプログラムP1を読み込ませてプロセッサ101にそのプログラムP1を実行させることにより実現される。プログラムP1は、環境外力予測装置10の各機能要素を実現するためのコードを含む。プロセッサ101は、プログラムP1に従って通信制御装置104等を動作させるとともに、主記憶装置102及び補助記憶装置103におけるデータの読み出し及び書き込みを実行する。処理に必要なデータ及びデータベースは主記憶装置102及び補助記憶装置103内に格納される。なお、本実施形態では、各機能部11~16が、環境外力予測装置10に構成されることとしているが、複数のコンピュータに分散して構成されることとしてもよい。
プログラムP1は、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどの有形の記録媒体に固定的に記録された上で提供されてもよい。あるいは、プログラムP1は、搬送波に重畳されたデータ信号として通信ネットワークを介して提供されてもよい。
再び図1を参照して、環境外力予測装置10の機能部を説明する。建築材料情報取得部11は、環境外力の予測の対象の建築材料である対象建築材料に関する場所情報、方向情報、建築材料特定情報及び壁構造特定情報を取得する。
場所情報は、対象建築材料が設けられた場所を示す情報であって、例えば緯度及び経度であってもよい。また、場所情報は、建築物の所在位置を表す情報により代替されてもよい。
方向情報は、対象建築材料が太陽光線の照射を受ける面である照射面が向く照射方向を示す情報である。図3は、方向情報を模式的に示す図である。方向情報は、図3(a)に示されるように、照射面sfが向く照射方向rsの水平方向における方位角と、図3(b)に示されるように、照射面sfが向く照射方向rsの垂直方向における仰角とを含む。また、照射面が曲面の場合には、照射面を細分化することで、方向情報を示すことが可能である。
建築材料特定情報は、対象建築材料を特定する情報であって、具体的には製品の仕様の情報であってもよい。建築材料特定情報は、製品を特定する情報及び施工厚さを含んでもよく、また、材料を特定する材料種別(例えば、WPRC、塗料、防水材、シーリング材等)を含んでもよい。
壁構造特定情報は、対象建築材料が設けられた壁構造を特定する情報であって、具体的には、対象建築材料が設けられる下地の構造を特定する情報である。
さらに具体的には、壁構造特定情報は、壁(下地)構造の断面構成を特定する情報であって、例として、(コンクリート150mm+断熱材30mm+石膏ボード25mm)というように、壁構造の断面を順に構成する複数の材料の種別及び厚さ等の情報を含んでもよい。
建築材料情報取得部11は、場所情報、方向情報、建築材料特定情報及び壁構造特定情報を、入力手段を介した情報の入力に基づいて取得してもよいし、対象建築材料の属性とした予め記憶された情報を取得又は受信してもよい。
太陽光線強度算出部12は、場所情報に基づいて、太陽光線強度情報の参照により、算出対象の期間及び対象建築材料が設けられた場所における太陽光線強度を算出する。太陽光線強度算出部12は、少なくとも太陽高度に基づいて全天日射量を太陽光線強度として算出し、又は、予め算出された全天日射量を太陽光線強度として取得する。なお、全天日射量は、地上に到達する直達光及び散乱光を含む。
具体的には、太陽光線強度算出部12は、太陽光線強度情報記憶部21を参照して、太陽光線強度を算出する。図4は、太陽光線強度情報記憶部21に記憶された太陽光線強度の構成の一例を示す図である。太陽光線強度情報記憶部21は、場所及び日時(最小単位は1時間単位)ごとの年間を通した通年の太陽光線強度情報を記憶している記憶手段である。太陽光線強度情報は、時間ごとの全天日射量であり、地上に到達する紫外線量、赤外線量、及び可視光線量等の電磁波量、並びに日射量などの情報である。これらの情報は、太陽高度の位置から既知の放射伝達方程式などに基づいて算出される。放射伝達方程式等による全天日射量の算出は、「奥村知之,天空光源シミュレーション,Unisys Technology Review第145,SEP.2020」等において開示された既知の手法により可能である。
また、放射伝達方程式を用いた全天日射量の算出は、本発明の発明者による特許出願の「太陽放射強度算出装置及び太陽放射強度算出方法(特許第6817095号)」において開示された既知の手法により実施可能である。さらに、全天日射量の算出の一部を構成しうる紫外線の強度の算出は、本発明の発明者による特許出願の「紫外線情報提供システム及び紫外線情報提供プログラム(特許第7153473号)」において開示された既知の手法により実施可能である。
太陽光線は太陽中心部における水素の核融合を発生源とする電磁波エネルギーである。太陽から放射された電磁波エネルギーは地球大気の上端に達したあと、大気中の微粒子によって散乱・吸収を受けながら地上まで到達する。従って、対象建築材料が設けられた位置に到達する太陽光及びそのエネルギーは、太陽の方向からの直達光に加えて、様々な方向からの散乱光を含む。
太陽光線強度情報は、場所及び波長ごとの、直達光及び散乱光の分光放射輝度(単位:W・m-2・sr-1・nm-1)を含む。具体的には、太陽光線強度情報は、直達光の太陽光線強度として、太陽方向天頂角及び太陽方向方位角ごとの分光放射輝度を含み、散乱光の太陽光線強度として、散乱光の方向の相当する天頂角及び方位角ごとの分光放射輝度を含む。
太陽光線強度算出部12は、太陽光線強度情報記憶部21を参照して、対象建築材料が設けられた場所における、算出対象の期間に亘る太陽光線強度を取得する。なお、場所及び日時ごとの太陽光線強度が太陽光線強度情報記憶部21に予め記憶されていることに代えて、放射伝達方程式等による当該対象建築材料が設けられた場所における全天日射量の算出を、太陽光線強度算出部12が実施してもよい。
特定方向太陽光線強度算出部13は、方向情報及び太陽光線強度に基づいて、対象建築材料が設けられた場所における特定方向太陽光線強度を算出する。特定方向太陽光線強度は、方向情報により示される照射方向の太陽光線強度である。即ち、全天日射量は、水平面で受けた単位面積あたりの全天日射エネルギーであるところ、特定方向太陽光線強度は、水平面とは異なりうる照射面における日射エネルギーに相当する。
図5は、特定方向太陽光線強度の算出処理を模式的に示す図である。具体的には、特定方向太陽光線強度算出部13は、太陽光線強度算出部12により太陽光線強度として取得又は算出された全天日射量に基づいて、照射面sfへの各方向からの直達光及び散乱光の光線強度の積算により特定方向太陽光線強度を算出する。
図5に示されるように、地上に到達する直達光及び散乱光を含む各方向に向かう太陽光(sla,sla,slb)のうち、太陽光slaは、照射面sfに照射され、太陽光slbは、照射面sfに照射されない。特定方向太陽光線強度算出部13は、太陽光線強度算出部12により取得又は算出された太陽光線強度(全天日射量)に基づいて、図5の模式図における太陽光slaに相当する太陽光の光線強度の積算により特定方向太陽光線強度を算出する。
熱影響予測情報算出部14は、対象建築材料に関する特性情報、及び、対象建築材料が設けられた壁構造に関する壁構造情報、並びに、特定方向太陽光線強度に基づいて、対象建築材料が設けられた場所における照射方向の太陽光線の熱影響予測情報を算出する。具体的には、熱影響予測情報算出部14は、照射面の時間ごとの平均表面温度を熱影響予測情報として算出する。
熱影響予測情報算出部14は、対象建築材料に関する特性情報を、建築材料特定情報に基づく建築材料特性情報の参照により取得する。建築材料特性情報は、例えば、建築材料特性情報記憶部22に記憶されている。
図6は、建築材料特性情報記憶部22に記憶された建築材料特性情報の構成の例を示す図である。図6に示されるように、建築材料特性情報記憶部22は、WPRC、塗料、防水材及びシーリング材といった材料の種別ごとに、密度、比熱、反射率及び熱伝導率等の特性情報を関連づけて記憶している。熱影響予測情報算出部14は、建築材料特定情報により特定される対象建築材料の種別に関連づけられている特性情報を、建築材料特性情報記憶部22から取得する。
熱影響予測情報算出部14は、対象建築材料が設けられた壁構造に関する壁構造情報を、壁構造特定情報に基づく壁構造情報の参照により取得する。壁構造情報は、例えば、壁構造情報記憶部23に記憶されている。
図7は、壁構造情報記憶部23に記憶された壁構造情報の構成の例を示す図である。図7に示されるように、壁構造情報記憶部23は、コンクリート、ALC、窯業系サイディング、鋼材及びアルミといった壁構造の材質の種別ごとに、密度、比熱、反射率及び熱伝導率等の壁構造情報を関連づけて記憶している。熱影響予測情報算出部14は、壁構造特定情報により特定される壁構造の材質に関連づけられている壁構造情報を、壁構造情報記憶部23から取得する。
熱影響予測情報算出部14は、対象建築材料の特性情報、壁構造情報及び特定方向太陽光線強度に基づいて、対象建築材料の照射面における時間ごとの平均表面温度を算出する。図8は、建築材料の時間ごとの平均表面温度の算出式の例を示す図である。なお、図8に示される算出式は、本発明の発明者により出願された特許文献1から引用された既知のものであって、外壁塗装の温度予測の例として示されているが、外壁塗装以外の対象建築材料にも適用される。
図8に示されるように、物体表面(対象建築材料の表面)が外界から受け取る熱量は、対流熱伝達、日射量、大気放射及び潜熱量の加算並びに物体赤外放射の減算により表される。
熱影響予測情報算出部14は、式中のθsi を対象建築材料の表面温度に相当する解として、その他の変数及び定数を代入して式を解くことにより、対象建築材料の表面温度を得る。式中の変数は、予め機能部12~14等により取得され、式中の定数は予め設定されている。なお、この算出式で算出される表面温度の算出単位は任意に設定されるが、例えば時間単位とされることにより、熱影響予測情報算出部14は、対象建築材料の時間ごとの平均表面温度を算出できる。
環境外力算出部15は、特定方向太陽光線強度及び熱影響予測情報に基づいて、対象建築材料に対する環境外力を算出する。具体的には、環境外力算出部15は、以下の式(1)により設定された期間における環境外力を算出する。
環境外力=C×Σ[Sτexp(-Ea/RT)] ・・・式(1)
定数C:日射と気温による劣化特性値(4.68×10
変数S:特定方向太陽光線強度(照射面の全天日射量)(例えば、原則として月単位)
定数τ:日射による劣化特性値(0.276)
定数Ea:日射と気温による劣化の活性化エネルギー(35.6KJ/mol)
定数R:気体定数(8.314×10-3KJ/mol/K)
変数T:照射面の平均表面温度(例えば、原則として日単位)
なお、式(1)による環境外力の算出は、「劣化外力を指標としたシーリング材の対候性評価に関する研究、日本建築学会大会学術講演梗概集(東海)、2021年9月」等において開示された既知の手法により可能である。
環境外力算出部15は、特定方向太陽光線強度算出部13により算出された特定方向太陽光線強度(照射面における全天日射量)を変数Sに代入し、熱影響予測情報算出部14により算出された照射面における平均表面温度を変数Tに代入し、予め設定された定数C,τ,Ea,Tを用いて、設定された所定期間における環境外力を算出する。なお、環境外力算出部15は、環境外力の算出の対象とする期間に、変数S及び変数Tの単位期間を整合させる。
出力部16は、算出された環境外力を出力する。出力の態様は限定されず、所定の表示手段に表示させること、所定の記憶手段に記憶させること、所定の送信先に送信させること等であってもよい。
次に、環境外力予測システム1により予測された環境外力を用いて建築材料の耐久性情報を提供するシステムについて説明する。図9は、耐久性情報提供システム及び耐久性情報提供装置の機能的構成を示す図である。図9に示されるように、耐久性情報提供システム1Aは、一例として、耐久性情報提供装置10Aにより構成される。耐久性情報提供装置10Aは、環境外力予測装置10と同様に、図2に示したハードウェア構成を有する。耐久性情報提供装置10Aは、図1に示される環境外力予測システム1の機能を含み、更に機能的には、単位期間環境外力取得部17、総環境外力算出部18及び寿命情報算出部19を備える。
単位期間環境外力取得部17は、任意の暴露場所に設けられた建築材料からなる試験体に関して、環境外力予測システム1により予測及び出力された、所与の単位期間における環境外力である単位期間環境外力を取得する。
図1に示された環境外力予測システム1は、任意の建築物の所在地の環境、建築材料が施工される部位、並びに、太陽光線の照射方向からの方位及び角度等の施工面の環境における環境外力を算出するものと想定して説明されたが、任意の暴露場所(試験場所)における試験体を対象として、その暴露場所及び照射面の方向における試験体が受ける環境外力を算出できる。単位期間環境外力取得部17は、例えば1年を算出対象の期間として、環境外力予測システム1により算出された、暴露場所における試験体の年間の環境外力を取得する。
総環境外力算出部18は、試験体が暴露場所に設けられてから所定の性能を満たすことができなくなるまでの期間として予め得られた経年劣化期間を単位期間環境外力に乗じることにより総環境外力を算出及び出力する。経年劣化期間は、当該試験体に係る建材がその性能を満たすことが出来なくなり寿命を迎えるまでにかかった期間であって、予め暴露試験を行って情報を得られているものとする。ここでの建材の性能は、建材の美観及び/又は機能であってもよい。建材の美観は、例えば、光沢保持率、色差及び白亜化度などを基準とすることができる。また、建材の機能は、力学的な強度及び伸び率などの指標を基準とすることができる。これにより、当該試験体が建材としての寿命を迎えるまでに暴露場所で受けた環境外力の総量を算出することが可能となり、当該試験体を構成する建築材料の属性情報として総環境外力を得ることができる。
寿命情報算出部19は、耐久性の評価対象の建築材料に関して、環境外力予測システム1により算出及び出力された当該建築材料が設けられる評価対象の場所である評価場所における単位期間の環境外力を取得する。即ち、評価対象の建築材料が実際に使用される施工場所及び向きにおける単位期間(例えば年間)の環境外力が取得される。そして、寿命情報算出部19は、当該建築材料からなる試験体に基づいて算出された総環境外力を、評価場所における単位期間の環境外力で除すことにより、評価場所に当該建築材料が設けられた場合における、単位期間により表される寿命情報を算出及び出力する。これにより、当該評価場所における当該建築材料の精度の高い寿命情報を得ることが可能となる。
次に、図10を参照して、本実施形態の環境外力予測システム1の動作について説明する。図10は、環境外力予測システム1において実施される環境外力予測方法の処理内容を示すフローチャートである。
ステップS1において、建築材料情報取得部11は、環境外力の予測の対象の建築材料である対象建築材料に関する場所情報、方向情報、建築材料特定情報及び壁構造特定情報を取得する。
ステップS2において、太陽光線強度算出部12は、場所情報に基づいて、太陽光線強度情報の参照により、算出対象の期間及び対象建築材料が設けられた場所における太陽光線強度を算出する。
ステップS3において、特定方向太陽光線強度算出部13は、方向情報及び太陽光線強度に基づいて、対象建築材料が設けられた場所における特定方向太陽光線強度を算出する。
ステップS4において、熱影響予測情報算出部14は、対象建築材料に関する特性情報、及び、対象建築材料が設けられた壁構造に関する壁構造情報、並びに、特定方向太陽光線強度に基づいて、対象建築材料が設けられた場所における照射方向の太陽光線の熱影響予測情報を算出する。
ステップS5において、環境外力算出部15は、特定方向太陽光線強度及び熱影響予測情報に基づいて、対象建築材料に対する環境外力を算出する。ステップS6において、出力部16は、算出された環境外力を出力する。
次に、環境外力予測システム1を利用した、建築材料に関する各種の有用な情報を取得する手法について説明する。
前述のとおり、熱影響予測情報算出部14は、有機系の対象建築材料が設けられた場所における特定方向の太陽光線の熱影響予測情報を算出する。この特定方向の太陽光線の熱影響予測情報の算出は、より具体的には、有機系建築材料が太陽光線の照射を受ける照射面の平均表面温度(時間単位)として算出することである。この算出結果は、日単位の期間の照射面の平均表面温度、最高表面温度及び最低表面温度に変換されることができる。
そして、最高表面温度と最低表面温度との温度差、対象建築材料の線膨張係数、対象建築材料の設計長さ等の情報を、以下に示す既知の式(「建築用シーリング材ハンドブック2017、日本シーリング材工業会」に開示された温度ムーブメント式)、
δt=α・L・ΔT
δt:熱伸縮の大きさ(mm)
α:建築材料の線膨張係数(/℃)
L:建築材料の設計長さ(mm)
ΔΤ:建築材料表面の温度差(℃)
に代入することにより、当該有機系の対象建築材料が設けられた場所における特定方向の「熱伸縮の大きさ」(例:|6mm|等)の算出が可能である。
また、[照射面の最高表面温度-照射面の平均表面温度]及び[照射面の最低表面温度-照射面の平均表面温度]のそれぞれと、建築材料の線膨張係数、建築材料の長さ等の情報を、既知の式に代入して、当該有機系建築材料が設けられた場所における特定方向の[熱伸縮の大きさ](例:伸長+3mm、収縮-3mm等)を算出することが可能である。
さらに、照射面の平均表面温度を任意の期間(季節)の平均表面温度として温度差を計算することが可能である。例えば、建築材料が施工された時期が冬期である場合には、冬期期間中の平均表面温度を適用する。(例:伸長+2mm、収縮-4mm等)。
上記の式により[熱伸縮の大きさ]が算出されることにより、当該建築材料が適用される箇所における目地幅を熱伸縮を考慮して設定する等、より詳細な納まりを検討・提案することが可能となる。
さらに、伸長及び収縮のより詳細な[熱伸縮の大きさ]が求められることにより、例えば、目地幅に充填するシーリング材の熱伸縮による変動に基づいて、目地幅の変動による被着体との接着耐久性を検討することができ、また、ひび割れ直上の防水塗膜が受ける変動幅に基づいて、ひび割れ直上の建築材料の伸縮繰り返しによるひび割れ追従性を検討することができる。
続いて、耐久性情報提供システム1Aを利用した、建築材料に関する各種の有用な情報を取得する手法について説明する。
例えば、シーリング材の耐久性情報(推定耐久年数Y)の算出を例にすると、熱影響予測情報算出部14による算出結果を用いて、建材が太陽光線の照射を受ける照射面の表面温度から、その建材を実際に使用している施工場所及び向きにおける日単位の平均表面温度、最高表面温度、最低表面温度が算出される(時間単位で算出したものを日単位に変換する)。
また、[照射面の最高表面温度-照射面の平均表面温度]及び[照射面の最低表面温度-照射面の平均表面温度]のそれぞれ、建築材料の線膨張係数並びに建築材料の長さ等の情報を、上記の熱伸縮の大きさδtを算出する式に代入して、当該有機系建築材料が設けられた場所における特定方向の[熱伸縮の大きさ](例:伸長+3mm、収縮-3mm等)を算出できる。
さらに、試験体において、熱伸縮に起因する変動幅毎の破断が発生する(すなわち寿命を迎える)までの積算量(変動幅(c)×変動回数)を予め取得する。ここで、変動幅(c)に、算出した[熱伸縮の大きさ]が適用される。この積算量の算出において、変動回数の情報は予め試験により得られる。この変動幅毎の積算量は場所及び向きには依存しない一定の値とみなすことができる。そして、これらの情報を。変動幅毎に変動する回数が増えると劣化量が蓄積し、あるしきい値を超えた時点で寿命を迎えるモデルであるマイナー測(線形損傷則)に適用する。
前記の試験体における変動幅毎に、横軸に破断回数、縦軸に変動幅をプロットしグラフ化することにより、変動幅と破断回数のS-N図(材料の疲労破壊において一定の振幅で繰り返し負荷される応力と破断までの負荷の繰り返し数の関係を示した曲線であり、劣化や損傷が蓄積し進行すると仮定した疲労寿命の評価に広く使用されている)が作成される。S-N図における3点以上の変動幅と破断回数の情報により、下記式の近似曲線が得られる。
n1/N1+n2/N2+・・・+ni/Ni=Σni/Ni=1
n:変動幅の回数、N:変動幅の寿命を迎える回数
なお、上記式は、本発明の出願人による特許出願(「防水塗膜の耐久性評価方法及び耐久性評価装置」特開2022-13241号公報)に開示された既知の式である。
特定方向の1年間の変動幅毎の積算回数(所定の変動幅の荷重をni回受けるものとするとき)から、Y=1/(Σni/Ni)の式により、特定の建物に形成される当該有機系建築材料の推定耐久年数Yを求めることができる。実際の施工場所及び向きにおいて当該建材が年間に何回動くか、または1日に何回動くかは、環境及び状況次第で異なる判断をすることもありえる。
以上説明した本実施形態の環境外力予測システム1、環境外力予測装置10、環境外力予測方法及びプログラムP1によれば、対象建築材料が設けられた場所及び日時における太陽光線強度が取得され、更に対象建築材料の照射面が向く照射方向に基づいた特定方向太陽光線強度が算出されるので、太陽光線に基づく環境因子が適切に評価される。また、対象建築材料の特性情報及び対象建築材料が設けられる壁構造に関する壁構造情報が更に考慮されて熱影響予測情報が算出されるので、熱に関する複数の環境因子が適切に評価される。そして、特定方向太陽光線強度及び熱影響予測情報に基づいて環境外力が算出されるので、対象建築材料に対して作用する劣化の外力が適切に評価された情報を得ることが可能となる。
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
本開示の要旨は、以下の[1]~[10]のとおりである。
[1]
建築物に設けられた建築材料における、環境因子に起因する劣化の外力である環境外力を予測する環境外力予測システムであって、
予測の対象の前記建築材料である対象建築材料が設けられた場所を示す場所情報、前記対象建築材料が太陽光線の照射を受ける面である照射面が向く照射方向を示す方向情報、前記対象建築材料を特定する建築材料特定情報、及び、前記対象建築材料が設けられた壁構造を特定する壁構造特定情報を取得する建築材料情報取得部と、
前記場所情報に基づいて、太陽光線強度情報の参照により、算出対象の期間及び前記対象建築材料が設けられた場所における太陽光線強度を算出する太陽光線強度算出部であって、前記太陽光線強度情報は、日時及び場所ごとの太陽光線強度を含む、太陽光線強度算出部と、
前記方向情報及び前記太陽光線強度に基づいて、前記対象建築材料が設けられた場所における、前記方向情報により示される前記照射方向の太陽光線強度である特定方向太陽光線強度を算出する特定方向太陽光線強度算出部と、
前記建築材料特定情報に基づく建築材料特性情報の参照により得られた前記対象建築材料に関する前記特性情報、及び、前記壁構造特定情報に基づく前記壁構造情報の参照により得られた前記対象建築材料が設けられた壁構造に関する前記壁構造情報、並びに、前記特定方向太陽光線強度に基づいて、前記対象建築材料が設けられた場所における前記照射方向の太陽光線の熱影響予測情報を算出する熱影響予測情報算出部であって、前記建築材料特性情報は、各建築材料の材質、材質ごとの密度、比熱、反射率及び熱伝導率のうちの少なくとも一つを含む特性情報であり、前記壁構造情報は、前記建築材料の下地を構成する壁構造に関する情報であって、壁構造の材質、材質ごとの密度、比熱、熱伝導率等のうちの少なくとも一つを含む、熱影響予測情報算出部と、
前記特定方向太陽光線強度及び前記熱影響予測情報に基づいて、前記対象建築材料に対する前記環境外力を算出する環境外力算出部と、
前記算出された環境外力を出力する出力部と、
を備える環境外力予測システム。
[2]
前記太陽光線強度算出部は、少なくとも太陽高度に基づいて全天日射量を前記太陽光線強度として算出し、又は、予め算出された前記全天日射量を前記太陽光線強度として取得し、
前記全天日射量は、地上に到達する直達光及び散乱光による日射量を含む、
[1]に記載の環境外力予測システム。
[3]
前記特定方向太陽光線強度算出部は、前記太陽光線強度として取得又は算出された前記全天日射量に基づいて、前記照射面への各方向からの直達光及び散乱光の光線強度の積算により前記特定方向太陽光線強度を算出する、
[2]に記載の環境外力予測システム。
[4]
前記熱影響予測情報算出部は、前記照射面の時間ごとの平均表面温度を前記熱影響予測情報として算出する、
[1]~[3]のいずれか一項に記載の環境外力予測システム。
[5]
前記環境外力算出部は、式(1)により、
環境外力=C×Σ[Sτexp(-Ea/RT)] ・・・式(1)
(定数C:日射と気温による劣化特性値(4.68×10
変数S:所定の単位期間における前記特定方向太陽光線強度
定数τ:日射による劣化特性値(0.276)
定数Ea:日射と気温による劣化の活性化エネルギー(35.6KJ/mol)
定数R:気体定数(8.314×10-3KJ/mol/K)
変数T:前記熱影響予測情報に含まれる所定の単位期間における前記照射面の平均表面温度)
前記環境外力を算出する、[1]~[4]のいずれか一項に記載の環境外力予測システム。
[6]
任意の暴露場所に設けられた前記建築材料からなる試験体に関して、[1~5のいずれか一項に記載の環境外力予測システムにより出力された、所与の単位期間における前記環境外力である単位期間環境外力を取得する単位期間環境外力取得部と、
前記試験体が前記暴露場所に設けられてから所定の性能を満たすことができなくなるまでの期間として予め得られた経年劣化期間を前記単位期間環境外力に乗じることにより総環境外力を算出及び出力する総環境外力算出部と、
を備える耐久性情報提供システム。
[7]
環境外力予測システムにより算出及び出力された前記建築材料が設けられる評価対象の場所である評価場所における前記単位期間の環境外力を取得し、当該建築材料からなる前記試験体に基づいて算出された前記総環境外力を、前記評価場所における前記単位期間の環境外力で除すことにより、前記評価場所に前記建築材料が設けられた場合における、前記単位期間により表される寿命情報を算出及び出力する寿命情報算出部、を更に備える、
[6]に記載の耐久性情報提供システム。
[8]
少なくとも一つのプロセッサを備え、建築物に設けられた建築材料における、環境因子に起因する劣化の外力である環境外力を予測する環境外力予測システムによって実行される環境外力予測方法であって、
予測の対象の前記建築材料である対象建築材料が設けられた場所を示す場所情報、前記対象建築材料が太陽光線の照射を受ける面である照射面が向く照射方向を示す方向情報、前記対象建築材料を特定する建築材料特定情報、及び、前記対象建築材料が設けられた壁構造を特定する壁構造特定情報を取得する建築材料情報取得ステップと、
前記場所情報に基づいて、太陽光線強度情報の参照により、算出対象の期間及び前記対象建築材料が設けられた場所における太陽光線強度を算出する太陽光線強度算出ステップであって、前記太陽光線強度情報は、日時及び場所ごとの太陽光線強度を含む、太陽光線強度算出ステップと、
前記方向情報及び前記太陽光線強度に基づいて、前記対象建築材料が設けられた場所における、前記方向情報により示される前記照射方向の太陽光線強度である特定方向太陽光線強度を算出する特定方向太陽光線強度算出ステップと、
前記建築材料特定情報に基づく建築材料特性情報の参照により得られた前記対象建築材料に関する前記特性情報、及び、前記壁構造特定情報に基づく前記壁構造情報の参照により得られた前記対象建築材料が設けられた壁構造に関する前記壁構造情報、並びに、前記特定方向太陽光線強度に基づいて、前記対象建築材料が設けられた場所における前記照射方向の太陽光線の熱影響予測情報を算出する熱影響予測情報算出ステップであって、前記建築材料特性情報は、各建築材料の材質、材質ごとの密度、比熱、反射率及び熱伝導率のうちの少なくとも一つを含む特性情報であり、前記壁構造情報は、前記建築材料の下地を構成する壁構造に関する情報であって、壁構造の材質、材質ごとの密度、比熱、熱伝導率等のうちの少なくとも一つを含む、熱影響予測情報算出ステップと、
前記特定方向太陽光線強度及び前記熱影響予測情報に基づいて、前記対象建築材料に対する前記環境外力を算出する環境外力算出ステップと、
前記算出された環境外力を出力する出力ステップと、
を有する環境外力予測方法。
[9]
建築物に設けられた建築材料における、環境因子に起因する劣化の外力である環境外力を予測する環境外力予測システムとしてコンピュータを機能させるための環境外力予測プログラムであって、
予測の対象の前記建築材料である対象建築材料が設けられた場所を示す場所情報、前記対象建築材料が太陽光線の照射を受ける面である照射面が向く照射方向を示す方向情報、前記対象建築材料を特定する建築材料特定情報、及び、前記対象建築材料が設けられた壁構造を特定する壁構造特定情報を取得する建築材料情報取得ステップと、
前記場所情報に基づいて、太陽光線強度情報の参照により、算出対象の期間及び前記対象建築材料が設けられた場所における太陽光線強度を算出する太陽光線強度算出ステップであって、前記太陽光線強度情報は、日時及び場所ごとの太陽光線強度を含む、太陽光線強度算出ステップと、
前記方向情報及び前記太陽光線強度に基づいて、前記対象建築材料が設けられた場所における、前記方向情報により示される前記照射方向の太陽光線強度である特定方向太陽光線強度を算出する特定方向太陽光線強度算出ステップと、
前記建築材料特定情報に基づく建築材料特性情報の参照により得られた前記対象建築材料に関する前記特性情報、及び、前記壁構造特定情報に基づく前記壁構造情報の参照により得られた前記対象建築材料が設けられた壁構造に関する前記壁構造情報、並びに、前記特定方向太陽光線強度に基づいて、前記対象建築材料が設けられた場所における前記照射方向の太陽光線の熱影響予測情報を算出する熱影響予測情報算出ステップであって、前記建築材料特性情報は、各建築材料の材質、材質ごとの密度、比熱、反射率及び熱伝導率のうちの少なくとも一つを含む特性情報であり、前記壁構造情報は、前記建築材料の下地を構成する壁構造に関する情報であって、壁構造の材質、材質ごとの密度、比熱、熱伝導率等のうちの少なくとも一つを含む、熱影響予測情報算出ステップと、
前記特定方向太陽光線強度及び前記熱影響予測情報に基づいて、前記対象建築材料に対する前記環境外力を算出する環境外力算出ステップと、
前記算出された環境外力を出力する出力ステップと、
を前記コンピュータに実行させる環境外力予測プログラム。
1…環境外力予測システム,1A…耐久性情報提供システム、10…環境外力予測装置、10A…耐久性情報提供装置、11…建築材料情報取得部、12…太陽光線強度算出部、13…特定方向太陽光線強度算出部、14…熱影響予測情報算出部、15…環境外力算出部、16…出力部、17…単位期間環境外力取得部、18…総環境外力算出部、19…寿命情報算出部、21…太陽光線強度情報記憶部、22…建築材料特性情報記憶部、23…壁構造情報記憶部、P1…プログラム(環境外力予測プログラム)。

Claims (8)

  1. 任意の暴露場所に設けられた建築材料からなる試験体に関して、建築物に設けられた建築材料における、環境因子に起因する劣化の外力である環境外力を予測する環境外力予測システムにより出力された、所与の単位期間における前記環境外力である単位期間環境外力を取得する単位期間環境外力取得部と、
    前記試験体が前記暴露場所に設けられてから所定の性能を満たすことができなくなるまでの期間として予め得られた経年劣化期間を前記単位期間環境外力に乗じることにより総環境外力を算出及び出力する総環境外力算出部と、を備え、
    前記環境外力予測システムは、
    予測の対象の前記建築材料である対象建築材料が設けられた場所を示す場所情報、前記対象建築材料が太陽光線の照射を受ける面である照射面が向く照射方向を示す方向情報、前記対象建築材料を特定する建築材料特定情報、及び、前記対象建築材料が設けられた壁構造を特定する壁構造特定情報を取得する建築材料情報取得部と、
    前記場所情報に基づいて、太陽光線強度情報の参照により、算出対象の期間及び前記対象建築材料が設けられた場所における太陽光線強度を算出する太陽光線強度算出部であって、前記太陽光線強度情報は、日時及び場所ごとの太陽光線強度を含む、太陽光線強度算出部と、
    前記方向情報及び前記太陽光線強度に基づいて、前記対象建築材料が設けられた場所における、前記方向情報により示される前記照射方向の太陽光線強度である特定方向太陽光線強度を算出する特定方向太陽光線強度算出部と、
    前記建築材料特定情報に基づく建築材料特性情報の参照により得られた前記対象建築材料に関する前記特性情報、及び、前記壁構造特定情報に基づく壁構造情報の参照により得られた前記対象建築材料が設けられた壁構造に関する前記壁構造情報、並びに、前記特定方向太陽光線強度に基づいて、前記対象建築材料が設けられた場所における前記照射方向の太陽光線の熱影響予測情報を算出する熱影響予測情報算出部であって、前記建築材料特性情報は、各建築材料の材質、材質ごとの密度、比熱、反射率及び熱伝導率のうちの少なくとも一つを含む特性情報であり、前記壁構造情報は、前記建築材料の下地を構成する壁構造に関する情報であって、壁構造の材質、材質ごとの密度、比熱、熱伝導率のうちの少なくとも一つを含む、熱影響予測情報算出部と、
    前記特定方向太陽光線強度及び前記熱影響予測情報に基づいて、前記対象建築材料に対する前記環境外力を算出する環境外力算出部と、
    前記算出された環境外力を出力する出力部と、を備える
    耐久性情報提供システム
  2. 前記太陽光線強度算出部は、少なくとも太陽高度に基づいて全天日射量を前記太陽光線強度として算出し、又は、予め算出された前記全天日射量を前記太陽光線強度として取得し、
    前記全天日射量は、地上に到達する直達光及び散乱光による日射量を含む、
    請求項1に記載の耐久性情報提供システム
  3. 前記特定方向太陽光線強度算出部は、前記太陽光線強度として取得又は算出された前記全天日射量に基づいて、前記照射面への各方向からの直達光及び散乱光の光線強度の積算により前記特定方向太陽光線強度を算出する、
    請求項2に記載の耐久性情報提供システム
  4. 前記熱影響予測情報算出部は、前記照射面の時間ごとの平均表面温度を前記熱影響予測情報として算出する、
    請求項1に記載の耐久性情報提供システム
  5. 前記環境外力算出部は、式(1)により、
    環境外力=C×Σ[Sτexp(-Ea/RT)] ・・・式(1)
    (定数C:日射と気温による劣化特性値(4.68×10
    変数S:所定の単位期間における前記特定方向太陽光線強度
    定数τ:日射による劣化特性値(0.276)
    定数Ea:日射と気温による劣化の活性化エネルギー(35.6KJ/mol)
    定数R:気体定数(8.314×10-3KJ/mol/K)
    変数T:前記熱影響予測情報に含まれる所定の単位期間における前記照射面の平均表面温度)
    前記環境外力を算出する、請求項1に記載の耐久性情報提供システム
  6. 環境外力予測システムにより算出及び出力された前記建築材料が設けられる評価対象の場所である評価場所における前記単位期間の環境外力を取得し、当該建築材料からなる前記試験体に基づいて算出された前記総環境外力を、前記評価場所における前記単位期間の環境外力で除すことにより、前記評価場所に前記建築材料が設けられた場合における、前記単位期間により表される寿命情報を算出及び出力する寿命情報算出部、を更に備える、
    請求項に記載の耐久性情報提供システム。
  7. 任意の暴露場所に設けられた建築材料からなる試験体に関して、建築物に設けられた建築材料における、環境因子に起因する劣化の外力である環境外力を予測する環境外力予測方法により出力された、所与の単位期間における前記環境外力である単位期間環境外力を取得する単位期間環境外力取得ステップと、
    前記試験体が前記暴露場所に設けられてから所定の性能を満たすことができなくなるまでの期間として予め得られた経年劣化期間を前記単位期間環境外力に乗じることにより総環境外力を算出及び出力する総環境外力算出ステップと、を有し、
    前記環境外力予測方法は、
    少なくとも一つのプロセッサを備え、建築物に設けられた建築材料における、環境因子に起因する劣化の外力である環境外力を予測する環境外力予測システムによって実行される方法であって、
    予測の対象の前記建築材料である対象建築材料が設けられた場所を示す場所情報、前記対象建築材料が太陽光線の照射を受ける面である照射面が向く照射方向を示す方向情報、前記対象建築材料を特定する建築材料特定情報、及び、前記対象建築材料が設けられた壁構造を特定する壁構造特定情報を取得する建築材料情報取得ステップと、
    前記場所情報に基づいて、太陽光線強度情報の参照により、算出対象の期間及び前記対象建築材料が設けられた場所における太陽光線強度を算出する太陽光線強度算出ステップであって、前記太陽光線強度情報は、日時及び場所ごとの太陽光線強度を含む、太陽光線強度算出ステップと、
    前記方向情報及び前記太陽光線強度に基づいて、前記対象建築材料が設けられた場所における、前記方向情報により示される前記照射方向の太陽光線強度である特定方向太陽光線強度を算出する特定方向太陽光線強度算出ステップと、
    前記建築材料特定情報に基づく建築材料特性情報の参照により得られた前記対象建築材料に関する前記特性情報、及び、前記壁構造特定情報に基づく壁構造情報の参照により得られた前記対象建築材料が設けられた壁構造に関する前記壁構造情報、並びに、前記特定方向太陽光線強度に基づいて、前記対象建築材料が設けられた場所における前記照射方向の太陽光線の熱影響予測情報を算出する熱影響予測情報算出ステップであって、前記建築材料特性情報は、各建築材料の材質、材質ごとの密度、比熱、反射率及び熱伝導率のうちの少なくとも一つを含む特性情報であり、前記壁構造情報は、前記建築材料の下地を構成する壁構造に関する情報であって、壁構造の材質、材質ごとの密度、比熱、熱伝導率のうちの少なくとも一つを含む、熱影響予測情報算出ステップと、
    前記特定方向太陽光線強度及び前記熱影響予測情報に基づいて、前記対象建築材料に対する前記環境外力を算出する環境外力算出ステップと、
    前記算出された環境外力を出力する出力ステップと、を有する、
    耐久性情報提供方法
  8. 耐久性情報提供システムとしてコンピュータを機能させるための耐久性情報提供プログラムであって、
    任意の暴露場所に設けられた建築材料からなる試験体に関して、建築物に設けられた建築材料における、環境因子に起因する劣化の外力である環境外力を予測する環境外力予測システムにより出力された、所与の単位期間における前記環境外力である単位期間環境外力を取得する単位期間環境外力取得ステップと、
    前記試験体が前記暴露場所に設けられてから所定の性能を満たすことができなくなるまでの期間として予め得られた経年劣化期間を前記単位期間環境外力に乗じることにより総環境外力を算出及び出力する総環境外力算出ステップと、を前記コンピュータに実行させ、
    前記環境外力予測システムは、
    予測の対象の前記建築材料である対象建築材料が設けられた場所を示す場所情報、前記対象建築材料が太陽光線の照射を受ける面である照射面が向く照射方向を示す方向情報、前記対象建築材料を特定する建築材料特定情報、及び、前記対象建築材料が設けられた壁構造を特定する壁構造特定情報を取得する建築材料情報取得部と、
    前記場所情報に基づいて、太陽光線強度情報の参照により、算出対象の期間及び前記対象建築材料が設けられた場所における太陽光線強度を算出する太陽光線強度算出部であって、前記太陽光線強度情報は、日時及び場所ごとの太陽光線強度を含む、太陽光線強度算出部と、
    前記方向情報及び前記太陽光線強度に基づいて、前記対象建築材料が設けられた場所における、前記方向情報により示される前記照射方向の太陽光線強度である特定方向太陽光線強度を算出する特定方向太陽光線強度算出部と、
    前記建築材料特定情報に基づく建築材料特性情報の参照により得られた前記対象建築材料に関する前記特性情報、及び、前記壁構造特定情報に基づく壁構造情報の参照により得られた前記対象建築材料が設けられた壁構造に関する前記壁構造情報、並びに、前記特定方向太陽光線強度に基づいて、前記対象建築材料が設けられた場所における前記照射方向の太陽光線の熱影響予測情報を算出する熱影響予測情報算出部であって、前記建築材料特性情報は、各建築材料の材質、材質ごとの密度、比熱、反射率及び熱伝導率のうちの少なくとも一つを含む特性情報であり、前記壁構造情報は、前記建築材料の下地を構成する壁構造に関する情報であって、壁構造の材質、材質ごとの密度、比熱、熱伝導率のうちの少なくとも一つを含む、熱影響予測情報算出部と、
    前記特定方向太陽光線強度及び前記熱影響予測情報に基づいて、前記対象建築材料に対する前記環境外力を算出する環境外力算出部と、
    前記算出された環境外力を出力する出力部と、を備える、
    耐久性情報提供プログラム
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