JP2003095820A - 植物生長調節剤 - Google Patents

植物生長調節剤

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JP2003095820A
JP2003095820A JP2001288302A JP2001288302A JP2003095820A JP 2003095820 A JP2003095820 A JP 2003095820A JP 2001288302 A JP2001288302 A JP 2001288302A JP 2001288302 A JP2001288302 A JP 2001288302A JP 2003095820 A JP2003095820 A JP 2003095820A
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plant growth
cut
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coa reductase
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Isao Yamatsu
功 山津
Teiji Yamanaka
鼎司 山中
Tadashi Sato
忠 里
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Abstract

(57)【要約】 【課題】切り花、切り枝等の開花及び開花期間を調節
し、また、切り花、切り枝、切り草等の鮮度を飛躍的に
長く保たせ、植木、立木、街路樹あるいは芝などの生長
を抑制することができる、実用上の有用性が極めて高
く、かつ植物にダメージを与えない、新規な植物生長調
節剤及び植物生長調節方法を提供することを目的とす
る。 【解決手段】3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−
CoA還元酵素阻害剤を有効成分として用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、切り花、切り枝、
切り草等の日持ち(花持ち、枝持ち、葉持ち)を改善
し、観葉植物、植木、立木、街路樹あるいは芝等の剪定
・刈り込みの手間を低減する、植物生長調節剤あるいは
植物生長調節方法に関する。
【0002】
【関連技術】近年、生活水準の向上や生活スタイルの欧
米化に伴い、あるいはマンション等庭や緑のない生活環
境に潤いを求め、さらには空気清浄効果やアロマテラピ
ー等環境改善効果も期待して、切り花・切り枝・切り草
・観葉植物の贈答や家庭内消費が急増してきている。
【0003】しかし切り花、切り枝、切り草では、手入
れ・管理状況にもよるが、概ね1週間程度が限界(寿
命)であり、長時間楽しむことは難しいのが現状であ
る。
【0004】また、観葉植物は狭い屋内で利用・鑑賞す
ることが多いが、生長すると却って邪魔になることもあ
った。
【0005】一方、都市・交通環境整備の一環として、
公園や街路・歩道・遊歩道・中央分離帯、防音・防ガス
植林等の整備も進み、植木、立木、街路樹の植栽が盛ん
に行われている。
【0006】しかしこれらの植栽は1年も経つと大きく
生長し、交通や電線の妨害・障害となり、また、美観を
損ねる、害虫の発生を助長する、隣家等の日照を妨げ
る、防犯上好ましくない等の問題を生じるため、定期的
に剪定が必要であり、その費用やカットした枝の処理に
多大の手間・コストを要してきた。
【0007】また公園やゴルフ場の整備・増加にも伴
い、芝の植栽も盛んになっているが、こちらも定期的に
刈り込みを行わないと、敷地に立ち入れない、芝の雑草
化、美観・害虫等の問題が生じる。
【0008】しかし、切り花、切り枝、切り草等の寿命
を飛躍的に延長し、また、植物にはダメージを与えずに
植木、立木、街路樹あるいは芝などの生長を抑制し、剪
定や刈り込みの手間・コストを低減する画期的な薬剤・
方法はないのが現状であり、有効性の高い植物生長抑制
剤あるいは植物生長抑制方法が求められていた。
【0009】従来から、糖分や無機塩等特にリン酸塩、
アミノ酸、有機酸、ビタミン等の栄養物質を与えたり、
抗生物質により細菌の発生・増殖を抑えたりすることに
より、切り花、切り枝、切り草等の活性化を図る技術は
公知である。
【0010】また例えば特開平2−286601号公報
には、キトサンを利用する切り花活性化剤が開示されて
いる。
【0011】しかし、従来知られている栄養物質投与
は、切り花等の細胞内代謝を活性化させるため一時的に
はみずみずしく見せるものの、切り取った植物の細胞を
無理に働かせるため、必ずしも日持ち効果は期待できな
かった。
【0012】一方、特開平2−286601号公報に記
載された発明は、キトサンのコスト・大量安定供給にお
いて難があり、家庭で簡便・頻繁・大量に利用するには
問題が多かった。また、今日に至るまで市販化されてお
らず、実際の有用性は不明であった。
【0013】従って、実際には切り花、切り枝、切り草
等の寿命を飛躍的に延長し、また、植物細胞にダメージ
を与えずに植木、立木、街路樹あるいは芝などの生長を
抑制し、剪定や切り込みの手間・コストを低減する画期
的な薬剤・方法はないのが現状であり、有効性の高い植
物生長調節剤あるいは植物生長調節方法の開発が強く望
まれていた。
【0014】一方、1976年に、遠藤章らにより、メ
バロン酸生合成を触媒し、コレステロール生合成経路の
律速酵素である3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル
−CoA還元酵素(HMG−CoAリダクターゼ)を特
異的に阻害し、コレステロール合成を阻害することによ
り、血中コレステロールを低下させる薬剤として、メバ
スタチンが発見された(J. Antibiot., 29,1346(197
6))。
【0015】メバロン酸は、イソプレノイド化合物の重
要な中間体であり、メバロン酸生合成経路から、コレス
テロールやフィトステロール等のステロイド、茎や葉の
伸張成長などに関与する植物ホルモンであるアブシジン
酸やジベレリン類、フィロキノン(ビタミンK1)、レ
チノール(ビタミンA1)等のジテルペン、及びβ−カ
ロテン等のカロチノイド等のイソプレノイド化合物が生
合成される。3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−
CoA還元酵素阻害剤(以下、HMG−CoAリダクタ
ーゼインヒビターと称する)である上記コレステロール
合成阻害剤メバスタチンにより、タバコのカルス細胞の
生長が抑制させることが、遠藤章らにより報告(Agric.
Biol. Chem., 47(6), 1401-1403, 1983)されている
が、分化した花や、葉、木など生長した植物に対する、
HMG−CoAリダクターゼインヒビターの作用につい
ては、不明であった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記事情に
鑑みてなされたもので、切り花、切り枝、切り草等の鮮
度を飛躍的に長く保たせ、植木、立木、街路樹あるいは
芝などの生長を抑制することができる、実用上の有用性
が極めて高く、かつ植物にダメージを与えない、新規な
植物生長調節剤及び植物生長調節方法を提供することを
目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するた
め、本発明の植物生長調節剤は、HMG−CoAリダク
ターゼインヒビターを有効成分として含有するものであ
る。
【0018】本発明に係る植物生長調節剤又はHMG−
CoAリダクターゼインヒビター産生菌を、水溶液とし
て植物に吸収させることにより、切り花、切り枝、切り
草等の日持ち(花持ち、枝持ち、葉持ち)を改善し、観
葉植物、植木、立木、街路樹あるいは芝等の生長を抑制
させて、剪定・刈り込みの手間を低減することができ
る。
【0019】本発明者は、長年コレステロール生合成機
序の研究に取り組み、特にコレステロール生合成阻害作
用に基づく薬剤についても探索してきた。
【0020】その結果、意外にもHMG−CoAリダク
ターゼインヒビターが、分化した植物に対しても、生長
抑制作用を示し、それだけではなく、生長を遅らせ、更
には植物の成熟までをも遅らせ、植物の寿命を延ばすと
いう、驚くべき作用を見出した。すなわち、HMG−C
oAリダクターゼインヒビターが、極めて優れた植物生
長調節作用を有しており、HMG−CoAリダクターゼ
インヒビターを有効成分とする植物生長調節剤を用いる
ことにより、細胞内代謝を活性化するのではなく逆に抑
制するため、カット後の細胞にも無理を強いる悪影響が
なく、所期の目的を本質的に達成でき、実用上非常に好
ましいことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0021】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を説明
するが、これらの実施の形態は例示的に示されるもの
で、本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が
可能なことはいうまでもない。
【0022】本発明に係る植物生長調節剤は、HMG−
CoAリダクターゼインヒビターを有効成分として含有
するものである。
【0023】本発明における有効成分であるHMG−C
oAリダクターゼインヒビターとは、メバロン酸生合成
経路において律速酵素であるHMG−CoAリダクター
ゼに対し阻害作用を有する、天然由来又は合成・半合成
化合物であれば限定されないが、具体的には例えば以下
の化合物を挙げることができる。
【0024】(1)プラバスタチン(Pravastatin) (2)シンバスタチン(Simvastatin) (3)ロバスタチン(Lovastatin) (4)フルバスタチン(Fluvastatin) (5)セリバスタチン(Cerivastatin) (6)アトルバスタチン(Atorvastatin) (7)ニバスタチン(Nivastatin) (8)メバスタチン(Mevastatin)
【0025】これらのHMG−CoAリダクターゼイン
ヒビターは分子内に不斉炭素原子を複数有することがあ
るが、本発明においては限定されず、いずれの光学異性
体でもよく、またラセミ体であってもよい。またフリー
体に限らず塩としても存在し得るが限定されず、アルカ
リ金属塩、アルカリ土類金属塩、アミン塩、アミノ酸塩
等の薬理学的に許容される塩であれば限定されない。こ
れらの中でも、ナトリウム塩あるいはカルシウム塩がよ
り好ましい。さらに幾何異性体や水和物も存在すること
もあるが、限定されない。
【0026】なお、上記HMG−CoAリダクターゼイ
ンヒビターは、公知化合物であり、試薬、工業原料等と
して入手することも可能であり、また、先行技術に記載
された実施例に従って、発酵や合成手段で得ることもで
きる。
【0027】本発明に係る植物生長調節剤により、切り
花、切り枝、切り草、観葉植物、植木、立ち木、街路樹
又は芝などの植物の生長を調節することができる。
【0028】本発明に係る植物生長調節剤により、切り
花の開花を遅らせることが可能であり、また、切り花、
切り枝、切り草の鮮度を飛躍的に長く保たせ、寿命を延
ばすことができる。
【0029】本発明に係る植物生長調節剤により、観葉
植物、植木、立ち木、街路樹や芝などの植物の生長を抑
制することができる。本発明の植物生長調節剤を用いる
ことにより、木や芝の生長が遅くなり、また、寿命を延
ばすことができる。
【0030】植物の生長の速度は、植物生長調節剤の
量、濃度、又は回数等を調節することにより、調節する
ことが可能である。
【0031】また本発明における植物生長調節方法の実
施に当っては、HMG−CoAリダクターゼインヒビタ
ーを有効成分とする植物生長調節剤を植物に吸収させる
ことにより優れた効果が認められる。植物生長調節剤を
植物に吸収させる方法は、特に限定されないが、例え
ば、本発明に係る植物生長調節剤を、植物を浸す水に添
加するか、植物生長調節剤を含有した水溶液を植物に散
布することにより優れた効果が認められる。また、HM
G−CoAリダクターゼインヒビター産生菌を植物に散
布させることによっても、同等の効果を得ることができ
る。
【0032】本発明におけるHMG−CoAリダクター
ゼインヒビターの使用量は、植物の種類、大きさ、カッ
ト後の経過日数、気温・温度、湿度、日照などの環境に
よって異なり限定されず、また使用薬物によっても異な
り、特に限定されないが、HMG−CoAリダクターゼ
の阻害活性に応じて用いられる。例えば、プラバスタチ
ンは、水溶液として植物に散布する場合、1m2当り
0.1mg〜500mg散布するのが好ましく、より好
ましくは1m2当り1mg〜200mgであり、さらに
好ましくは1m2当り5mg〜50mgであり、花瓶な
どの水に添加する場合は、0.1mg/L〜100mg
/Lの濃度で用いることが好ましく、より好ましくは1
mg/L〜50mg/Lの濃度である。
【0033】本発明に係る植物生長調節剤に有効成分と
して用いるHMG−CoAリダクターゼインヒビター
は、高脂血症の治療薬や動脈硬化症の予防薬など、人体
薬として用いられており、人体に対し害のない安全な化
合物であり、さらに、土中で分解されるため、残留性が
なく、環境上もなんら悪影響のない、極めて優れた化合
物である。
【0034】
【実施例】以下に本発明の実施例を記述するが、本発明
はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0035】(実施例1〜実施例3及び実験例1) 1.目的 HMG−CoAリダクターゼインヒビターによるゴール
ドクレストの生長抑制作用を調べた。
【0036】2.材料 (1)HMG−CoAリダクターゼインヒビターとし
て、プラバスタチン(実施例1)、メバスタチン(実施
例2)及びロバスタチン(実施例3)を用いた。プラバ
スタチンは、メバロチン(三共製薬(株)製)をエタノー
ル抽出して得た。メバスタチンは、和光純薬工業(株)よ
り購入した。ロバスタチンは、紅麹菌の発酵エキス(ヤ
エガキ酒造(株)製)をアセトン抽出して調製した。 (2)ゴールドクレストは市販のものを用いた。
【0037】3.方法 容量2Lの植木鉢に、1.8Lの土を入れ、樹高35〜
40cmのゴールドクレストを移植し、一ヶ月間水を与
えながら根付かせる。その後、以下のHMG−CoAリ
ダクターゼインヒビターを200mLの水に溶解し散布
する。
【0038】実施例1; プラバスタチン 5mg 実施例2; メバスタチン 10mg 実施例3; ロバスタチン 5mg 実験例1; 水のみ
【0039】この散布を二週間ごとに12週間続ける。
各週ごとにおける樹長をものさしで測定する。
【0040】4.結果 表1に実施例1〜実施例3及び実験例1の結果を示す。
結果は、初期値を0としたものを示した。表1に示した
ように、HMG−CoAリダクターゼインヒビターを散
布した実施例1〜実施例3のいずれにおいても、ゴール
ドクレストの生長が抑制された。実施例2では、HMG
−CoAリダクターゼの阻害活性の比較的弱いメバスタ
チンを、実施例1及び実施例3において添加したHMG
−CoAリダクターゼインヒビターの倍量を添加してい
るが、実施例1及び実施例3と、ほぼ同程度の生長抑制
作用を示した。従って、添加したHMG−CoAリダク
ターゼインヒビターのHMG−CoAリダクターゼに対
する阻害活性に対応した量を散布することにより、同等
の植物生長抑制作用が生じ、HMG−CoAリダクター
ゼに対する阻害活性に応じて、植物の生長が抑制され
る。
【0041】
【表1】
【0042】(実施例4及び実験例2) 1.目的 HMG−CoAリダクターゼインヒビターによる芝の生
長抑制作用を調べた。
【0043】2.材料 (1)HMG−CoAリダクターゼインヒビターとし
て、実施例1で用いたプラバスタチンを同様に用いた。 (2)芝は高麗芝を用いた。
【0044】3.方法 (実施例4) 1)芝生長抑制作用 夏季(7月初旬)の芝生を1m2の正方形になるよう、
周囲を20cm切り取り、その1m2の芝生を長さ3c
mに刈る。この時点で、正方形の対角線の交点及び交点
と各点を結ぶ線上の中心点4箇所の計5箇所の芝生の長
さを、溶液散布時及び最終散布一週間後の芝生の長さを
測定する。この芝生にプラバスタチン20mgを1Lの
水に溶解し、一様になるよう週一回、4週間にわたり散
布する。一週ごとに上記5箇所の芝生の長さを測定す
る。芝の生長抑制作用の評価は、実験開始日の芝生の長
さ(5箇所の平均値)に対する測定日ごとの芝生の長さ
(5箇所の平均値)の比率を算出して行った。
【0045】2)芝緑色長持ち作用 その後、冬季まで放置し、11月1日より2週間ごとに
2ヶ月間観察し、測定日の芝生の状態を4段階にて評価
した。
【0046】(実験例2)プラバスタチン20mgを添
加した水1Lの代わりに、水1Lのみを散布すること以
外は実施例4と同様の条件及び手順にて実験を行った。
【0047】4.結果 芝の生長抑制作用の評価の結果を表2に示す。表2に示
した如く、プラバスタチンを含有した水溶液を散布した
実施例4では、水のみ散布した実験例2に比べて、非常
に芝生の生長が遅かった。
【0048】
【表2】
【0049】冬季の芝緑色長持ち作用の評価の結果を表
3に示す。表3に示した如く、実施例4では、実験例2
に比べて芝生が枯れ始める時期が非常に遅く、緑色の状
態が飛躍的に長くなっていた。
【0050】
【表3】
【0051】以上より、プラバスタチンにより、芝生の
生長が抑制され、更には芝生の緑色状態の期間を飛躍的
に伸ばすことが判明した。
【0052】(実施例5〜7及び実験例3) 1.目的 HMG−CoAリダクターゼインヒビターによる切り花
の開花抑制及び長持ち作用を、HMG−CoAリダクタ
ーゼインヒビターの濃度による影響と共に調べた。
【0053】2.材料 (1)HMG−CoAリダクターゼインヒビターとし
て、実施例1で用いたプラバスタチンを同様に用いた。 (2)切り花としては、切りバラを用いた。
【0054】3.方法 室温が20℃にコントロールされた部屋で、開花直前の
切りバラを容量300mLの花瓶にさし、水にて以下の
濃度に調製したプラバスタチン水溶液を、それぞれの花
瓶に200mLずつ入れ、2日ごとに開花の状態を2週
間にわたり観察する。
【0055】 実施例5; プラバスタチン濃度 2mg/L 実施例6; プラバスタチン濃度 10mg/L 実施例7; プラバスタチン濃度 50mg/L 実験例3; 水のみ
【0056】観察日ごとに、開花状態を5段階にわけて
評価した。また、開花後の花の状態について、10日
後、12日後及び14日後にそれぞれ観察し、しおれ具
合を4段階にわけて評価した。
【0057】4.結果 表4に、切りバラの開花状況の結果を示した。また、表
5に、開花後の花の状態に対する結果を示した。表4に
示した如く、プラバスタチンは、切りバラの開花を濃度
依存的に遅らせた。表5に示した如く、実施例6では、
開花後の花の寿命が非常に伸びていた。最もプラバスタ
チン濃度の高い実施例7では、最も開花が遅かったが、
すぐにしおれ始めてしまった。以上より、プラバスタチ
ンの濃度に依存して、切りバラの開花が抑制され、花が
長持ちすることが示された。HMG−CoAリダクター
ゼインヒビターの濃度を調節することにより、切り花の
開花及び開花期間を調節することが可能である。
【0058】
【表4】
【0059】
【表5】
【0060】(実施例8、実施例9及び実験例4) 1.目的 HMG−CoAリダクターゼインヒビターによる切り枝
の開花抑制作用を、HMG−CoAリダクターゼインヒ
ビターの濃度による影響と共に調べた。
【0061】2.材料 (1)HMG−CoAリダクターゼインヒビターとし
て、実施例1で用いたプラバスタチンを同様に用いた。 (2)切り枝としては、梅の切り枝を用いた。
【0062】3.方法 室温が20℃にコントロールされた部屋で、開花直前の
梅の切り枝を容量300mLの花瓶に挿し、水にて以下
の濃度に調製したプラバスタチン水溶液を、それぞれの
花瓶に200mLずつ入れ、2日ごとに開花の状態を1
0日間にわたり観察する。
【0063】 実施例8; プラバスタチン濃度 2mg/L 実施例9; プラバスタチン濃度 10mg/L 実験例4; 水のみ
【0064】観察日ごとに、開花状態を5段階にわけて
評価した。
【0065】4.結果 表6に結果を示す。表6に示した如く、プラバスタチン
は、梅の切り枝の開花を濃度依存的に遅らせた。従っ
て、HMG−CoAリダクターゼインヒビターの濃度を
調節することにより、切り枝の開花を調節することが可
能であることが示された。
【0066】
【表6】
【0067】(実施例10及び実施例11) 1.目的 HMG−CoAリダクターゼインヒビターの水中及び土
中における安定性について調べた。
【0068】2.材料 HMG−CoAリダクターゼインヒビターとして、実施
例1で用いたプラバスタチンを用いた。
【0069】3.方法 (実施例10) 水にて1g/Lの濃度に調製したプラ
バスタチン水溶液20mLに、腐葉土20gを加え、室
温に放置する。一週ごとに1mLをサンプリングし、ミ
リポアフィルターにてろ過し、ろ液をHPLCにて定量
する。HPLCの操作条件は以下の通りである。
【0070】操作条件: 検出器: 紫外吸光光度計(測定波長;245nm) カラム: 内径約6mm、長さ約15cmのステンレス
管に5μmの液体クロ マトグラフ用ODSを充填する。 カラム温度: 40℃付近の一定温度 移動相: メタノール:水=7:3 流量: 0.5mL/分
【0071】HPLCによる定量値の初期値に対する比
率を、以下の計算式(I)を用いて算出した。
【0072】
【式1】 残存率(%)=(各週における定量値/初期値)×100 ・・・・(I)
【0073】(実施例11) プラバスタチン水溶液に
腐葉土を加えない以外は実施例10と同様の条件及び手
順により実験を行った。
【0074】4.結果 表7に、実施例10及び実施例11の残存率の結果を示
した。表7に示した如く、腐葉土の存在する実施例10
では、腐葉土を加えなかった実施例11とは異なり、プ
ラバスタチンが次第に分解されていき、6週間でほとん
どのプラバスタチンが分解されていた。実施例11は、
6週間後の定量値も初期値と同様の値を示し、まったく
分解されていなかった。以上より、プラバスタチンは土
壌微生物により、分解可能な化合物であり、植物生長調
整剤として、土中に散布しても、環境上なんら悪影響の
ない、極めて安全かつ有用性の高い化合物であるといえ
る。また、廃棄の際も、土壌に廃棄することで簡便かつ
容易に分解可能である。
【0075】
【表7】
【0076】
【発明の効果】以上、詳述したごとく、本発明に係るH
MG−CoAリダクターゼインヒビターを有効成分とし
て含有した植物生長調節剤は、極めて優れた植物生長調
節効果を有しており、切り花、切り枝等の開花及び開花
期間を調節し、花の長持ちに非常に効果的であり、ま
た、切り草等の寿命を飛躍的に延長し、更には、植物に
はダメージを与えずに植木、立木、街路樹あるいは芝な
どの生長を抑制し、剪定や刈り込みの手間・コスト低減
に有効であることが明らかである。さらに、本発明に係
る植物生長調節剤において有効成分として用いるHMG
−CoAリダクターゼインヒビターは、人体薬として用
いられており、人体に対し害のない安全な化合物であ
り、さらに、土中で分解されるため、残留性がなく、環
境上もなんら悪影響のない、極めて優れた化合物であ
る。従って、このHMG−CoAリダクターゼインヒビ
ターを有効成分として含有した植物生長調節剤は、実用
上の有用性が極めて高く、かつ植物にダメージを与えな
い、画期的な植物生長調節剤である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年12月18日(2001.12.
18)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正内容】
【0058】
【表4】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正内容】
【0059】
【表5】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0066
【補正方法】変更
【補正内容】
【0066】
【表6】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4H011 AB03 BA01 BB06 BB08 BC18 CA03 CB11 CD03 DA13 DC05 DD03 DE15

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル
    −CoA還元酵素阻害剤を有効成分とすることを特徴と
    する植物生長調節剤。
  2. 【請求項2】 前記植物が切り花、切り枝、切り草、観
    葉植物、植木、立木、街路樹又は芝であることを特徴と
    する請求項1記載の植物生長調節剤。
  3. 【請求項3】 前記切り花の開花を遅らせることを特徴
    とする請求項2記載の植物生長調節剤。
  4. 【請求項4】 前記切り花、切り枝又は切り草の鮮度を
    長く保たせることを特徴とする請求項2記載の植物生長
    調節剤。
  5. 【請求項5】 前記植物の生長を抑制させることを特徴
    とする請求項1記載の植物生長調節剤。
  6. 【請求項6】 前記3−ヒドロキシ−3−メチルグルタ
    リル−CoA還元酵素阻害剤が、プラバスタチン、シン
    バスタチン、ロバスタチン、フルバスタチン、セリバス
    タチン、アトルバスタチン、ニバスタチン、メバスタチ
    ン及び前記化合物の薬理学的に許容される塩からなる群
    から選択される1種又は2種以上であることを特徴とす
    る請求項1〜5のいずれか1項記載の植物生長調節剤。
  7. 【請求項7】 3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル
    −CoA還元酵素阻害剤を有効成分とする植物生長調節
    剤の水溶液を作成し、この水溶液を植物に吸収させるこ
    とを特徴とする植物生長調節方法。
  8. 【請求項8】 前記水溶液を植物に吸収させる方法が、
    切り花、切り枝又は切り草を浸す水に植物生長調節剤を
    添加することを特徴する請求項7記載の植物生長調節方
    法。
  9. 【請求項9】 前記水溶液を植物に吸収させる方法が、
    植物に水溶液として散布することを特徴する請求項7記
    載の植物生長調節方法。
  10. 【請求項10】 前記3−ヒドロキシ−3−メチルグル
    タリル−CoA還元酵素阻害剤が、プラバスタチン、シ
    ンバスタチン、ロバスタチン、フルバスタチン、セリバ
    スタチン、アトルバスタチン、ニバスタチン、メバスタ
    チン及び前記化合物の薬理学的に許容される塩からなる
    群から選択される1種又は2種以上であることを特徴と
    する請求項7〜9のいずれか1項記載の植物生長調節方
    法。
  11. 【請求項11】 3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリ
    ル−CoA還元酵素阻害剤産生菌を植物に散布すること
    を特徴とする植物生長調節方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN108077247A (zh) * 2018-01-30 2018-05-29 云南省农业科学院茶叶研究所 一种茶树种质资源枝条的离体保存方法

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