JP2003089840A - Al2O3−金属系複合材料およびその製造方法 - Google Patents

Al2O3−金属系複合材料およびその製造方法

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JP2003089840A JP2001284439A JP2001284439A JP2003089840A JP 2003089840 A JP2003089840 A JP 2003089840A JP 2001284439 A JP2001284439 A JP 2001284439A JP 2001284439 A JP2001284439 A JP 2001284439A JP 2003089840 A JP2003089840 A JP 2003089840A
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Toyokazu Matsuyama
豊和 松山
Noboru Yoshikawa
昇 吉川
Akira Hattori
亮 服部
Kyosuke Yoshimi
享祐 吉見
Shoji Taniguchi
尚司 谷口
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Coorstek KK
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Toshiba Ceramics Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複雑な形状の製品であっても容易に加工する
ことができ、しかも、1000℃以上の高温において
も、高強度かつ高靭性であるAl23−金属系複合材料
を提供する。また、このような複合材料を、任意の組成
で、均質かつ容易に得ることができる製造方法を提供す
る。 【解決手段】 SiO2を主成分とするガラス成形体を
AlまたはAl合金の融体と反応させて、網目構造のA
23マトリックスを含む複合材を得る工程と、前記工
程により得られた網目構造のAl23マトリックスを含
む複合材を、Al基合金融体中に1回または複数回浸漬
させる工程とを含む製造方法を用いて、網目構造のAl
23マトリックスの空隙に、Siを含むAl基合金が、
密に充填していることを特徴とするAl23−金属系複
合材料を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、Al23−金属系
複合材料およびその製造方法に関し、より詳細には、A
lを含む金属間化合物および網目構造のAl23マトリ
ックスからなるAl23−金属系複合材料およびその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】Al23セラミックスは、硬度、機械的
強度、耐熱性、化学的安定性等に優れていることから、
耐熱材料、構造用材料、研削・研磨材等の各種用途に幅
広く使用されている代表的な工業用セラミックスであ
る。その反面、硬度が高いため、加工性に劣り、また、
焼成温度が1500〜1900℃と高いため、複雑な形
状の製品を高精度で成形加工することが困難であるとい
う欠点を有している。
【0003】一方、SiO2を主成分とするガラスは、
熱膨張係数が小さく、耐食性に優れているという長所を
有しており、また、硬度も比較的低いため、複雑な形状
の製品であっても、比較的容易に成形加工することがで
きる。
【0004】上記のようなAl23セラミックスとSi
2の特性に鑑みて、特公平6−57859号公報に、
Al23−Al−Si系複合材料が提案されている。ま
た、このAl23−Al−Si系複合材料の製造方法と
して、特公平6−57860号公報および特公平7−9
6693号公報に、いわゆる一段融体浸漬反応法、すな
わち、ガラス成形体を高純度のAl融体中に浸漬し、A
lとSiO2とを反応させることにより、そのガラス成
形体と同形状であるAl23−Al−Si系複合材料を
製造する方法が提案されている。
【0005】上記製造方法によれば、原料とするSiO
2を、その成形体の形状、寸法とほぼ同一のAl23
Al−Si系複合材料に変換することができる。このた
め、加工性に優れたSiO2を原料として、所定の形状
に適宜成形加工を行うことにより、複雑な形状であって
も、前記複合材料を容易に得ることが可能であり、この
ような複合材料は、複雑な形状の構造材、各種機械部品
として好適である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記製
造方法により得られるAl23−Al−Si複合材料
は、Al23相およびSiを含む金属相(Al相)によ
り構成され、そのAl相中に固溶しているSiは、数a
t%と少量である。このため、前記複合材料を加熱する
と、圧縮強度は、複合材料の金属相を構成するAlの融
点(660℃)に近づく400℃以上で急激に低下して
しまう。したがって、高温環境で使用される各種機械部
品、エンジン部材等としても十分に耐え得るものとする
ためには、Al23−Al−Si複合材料の高温強度の
向上を図ることが要求される。
【0007】上記課題に対しては、金属相の合金化によ
る改良方法が種々検討されている。その1つの方法とし
て、SiO2をAlに対する合金成分の割合が低い合金
Alの融体と反応させる、いわゆるSiO2と低合金A
lとの一段融体浸漬反応方法によって、Al23−低合
金Al複合材料を製造する方法を検討した。しかしなが
ら、この方法によっても、Al相中に固溶している合金
成分元素の量は数at%程度と少量であり、圧縮強度は
500℃以上で低下してしまう。
【0008】これに対して、金属間化合物は、高融点で
あり、低合金Alよりも高温まで、強度を維持すること
ができる。しかしながら、例えば、粉末冶金法によるF
eAl金属間化合物を主成分とする合金や一方向凝固法
による多結晶FeAlでは、約900℃以上で、引張強
度が100MPa以下に低下してしまう。また、単結晶
FeAl単相の圧縮強度も、600℃付近で最大値を示
した後、約800℃以上で、100MPa以下に低下し
てしまう。したがって、金属間化合物単独では、100
0℃以上の高温においても、圧縮強度が200MPa以
上である合金材料を得ることは困難であった。
【0009】そこで、Al23と金属間化合物との複合
材料により、高温強度の向上を図ることを検討した。そ
の方法としては、金属相を、高融点の金属間化合物によ
って形成させることを意図して、SiO2をAlに対す
る合金成分の割合が高い合金Alの融体と反応させる、
いわゆるSiO2と高合金Al融体との一段融体浸漬反
応方法を試みた。しかしながら、この方法では、ガラス
成形体(SiO2)の表面近傍にAl2 3の緻密層が形
成され、この緻密層が障壁となって、Al融体と内部の
SiO2との反応が妨げられ、全体が網目構造であるA
23マトリックスを得ることが困難であった。したが
って、この方法では、目的とする高強度、高靭性の複合
材料を得ることは困難であった。
【0010】本発明は、上記技術的課題を解決するため
になされたものであり、複雑な形状の製品であっても容
易に加工することができ、しかも、1000℃以上の高
温においても、高強度かつ高靭性であるAl23−金属
系複合材料を提供することを目的とするものである。
【0011】また、本発明は、上記のような高温強度特
性に優れたAl23−金属系複合材料を、任意の組成
で、均質かつ容易に得ることができるAl23−金属系
複合材料の製造方法を提供することも目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係るAl23
金属系複合材料は、網目構造のAl23マトリックスの
空隙に、Siを含むAl基合金が、密に充填しているこ
とを特徴とする。このような構造からなる複合材料は、
Al23セラミックスの耐熱性と、金属の加工容易性を
備え、しかも、優れた高温強度特性を有するため、種々
の機械部品等に好適である。
【0013】前記Al基合金は、AlおよびAlの融点
以上の融点を有する1または複数の金属元素を成分とす
る金属間化合物であることが好ましい。金属相を高融点
の金属間化合物とすることにより、高温強度等の特性を
向上させるものである。
【0014】また、前記金属元素は、Fe、Ni、C
r、Ti、Cu、Co、Mnのうちのいずれかであるこ
とが好ましい。これらの金属元素は、Alとの金属間化
合物を構成する金属元素であって、Alよりも高融点で
ある元素のうち、特に好ましいものである。また、これ
らの金属元素によれば、高靭性の金属間化合物が得られ
やすい。
【0015】また、本発明に係るAl23−金属系複合
材料の製造方法は、SiO2を主成分とするガラス成形
体をAlまたはAl合金の融体と反応させて、網目構造
のAl23マトリックスを含む複合材を得る工程と、前
記工程により得られた網目構造のAl23マトリックス
を含む複合材を、Al基合金融体中に1回または複数回
浸漬させる工程とを含むことを特徴とする。この方法に
よれば、複雑な形状の製品の作製が可能であるという一
段融体浸漬反応方法の長所を維持した状態で、複合材料
の強度特性を向上させることが可能である。また、任意
の組成で、均質かつ容易に、前記Al23−金属系複合
材料を得ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明について、添付図面
を参照して、より詳細に説明する。本発明に係るAl2
3−金属系複合材料は、Siを含み、Alを一成分と
するAl基合金からなる金属間化合物相と、網目構造を
形成するAl23のマトリックスとからなり、前記マト
リックスの空隙に、前記金属間化合物相が密に充填して
いる構造を特徴とするものである。このような構造から
なる複合材料は、Al23セラミックスの耐熱性と、金
属の加工容易性を備え、しかも、1000℃以上におい
ても、圧縮強度が200MPa以上と優れた高温強度特
性を有し、かつ、高靭性であるため、種々の機械部品等
に好適である。
【0017】前記複合材料の金属相を構成するAl基合
金は、AlおよびAlの融点以上の融点を有する金属元
素、特に、Fe、Ni、Cr、Ti、Cu、Co、Mn
のうちのいずれか1種または複数を成分とする金属間化
合物であることが好ましい。金属相を、これらの金属元
素とAlとの金属間化合物相とすることにより、Al2
3−Al(またはAl23−低合金Al)複合材料よ
りも、高温強度特性を向上させることができる。
【0018】図2に、本発明に係るAl23−金属間化
合物(Siを含むFe3Al)複合材料のAl23相/
Siを含むFe3Al相界面の高分解能透過型電子顕微
鏡(TEM)写真(60万倍)を示す。図2の写真から
も明らかなように、Al23相/金属間化合物相間の接
合状態が良好であるため、高温において、金属間化合物
相内で大きな塑性変形が可能になると、Al23も変形
を余儀なくされる。しかしながら、Al23自体も、高
温により靭性が若干向上するため、Al23相は、局所
的な破壊に留まる。このため、Al23−金属間化合物
複合材料は、1000℃以上においても、割れを生じに
くく、塑性変形を生じる。
【0019】図1に、1000℃以上において塑性変形
を生じた本発明に係るAl23−金属間化合物(Siを
含むFe3Al)複合材料の破断面の走査型電子顕微鏡
(EM)真を示す。図1の写真から明らかなように、金
属間化合物による高温強度の向上とともに、マトリック
スとして強度を担保しているAl23相において、局所
破壊を伴う塑性変形が同時に進行するため、優れた靭性
を示す。
【0020】上記のような本発明に係るAl23−金属
系複合材料は、SiO2を主成分とするガラス成形体を
AlまたはAl合金の融体と反応させて、網目構造のA
23マトリックスを含む複合材を得る工程と、前記工
程により得られた網目構造のAl23マトリックスの複
合材を、Al基合金融体中に1回または複数回浸漬させ
ることを含むことを特徴とする製造方法により得ること
ができる。この方法によれば、複雑な形状の製品の作製
が可能であるという一段融体浸漬反応方法の長所を維持
した状態で、さらに、Al基合金と融体浸漬反応させる
ことにより、複合材料の強度特性を向上させることが可
能である。
【0021】従来の製造方法により得られたAl23
金属間化合物の複合材料は、Al23が離散的に分布し
ており、一体のマトリックスを形成しておらず、しか
も、両者の界面密着性が劣っていたり、界面に別種の化
合物が生成され、強度が低下し、材料の高強度化は、必
ずしも十分に図られていなかった。本発明は、多段融体
浸漬反応法により、このような複合材料を、任意の組成
で、均質かつ容易に得ることを可能としたものであり、
また、高強度化を図ることができる。
【0022】すなわち、まず、SiO2を主成分とする
ガラス成形体をAlまたはAl合金の融体と反応させ
て、網目構造のAl23マトリックスを含む複合材を得
る第1の工程において、原子レベルで密着したAl23
とAlの接合状態が形成される。そして、前記工程によ
り得られた網目構造のAl23マトリックスを含む複合
材を、Al基合金融体中に1回または複数回浸漬させる
第2の工程において、Alを金属間化合物に置換して
も、その網目構造によって強化材としての役割を担うA
23マトリックスとの間に、原子レベルでの良好な接
合状態が保持される。このように、Al23相/金属間
化合物相間において良好な接合状態が保持されるのは、
Al基合金の融体を用いて浸漬反応を行うことにより、
浸漬反応処理時間を数分程度と比較的短時間とすること
ができるため、上述した粉末冶金法や一方向凝固法と比
べて、反応速度論的効果によって、Al23相/金属間
化合物相界面に、別種の化合物相がほとんど形成されな
いためであると考えられる。
【0023】上述したように、高温強度等の特性を向上
させるためには、金属相であるAl基合金は、Alおよ
びAlよりも高融点の金属元素を成分とする金属間化合
物とすることが好ましい。しかしながら、SiO2を主
成分とするガラス成形体と、Alに対する合金成分の割
合が高い高合金Alとを反応させる場合には、上述のよ
うに、反応が進行せず、1回の浸漬処理では、高融点の
金属間化合物からなる金属相と網目構造のAl23マト
リックスとからなる複合材料を、均質な状態で得ること
は困難である。したがって、まず、SiO2と、Alま
たは低合金Alとの融体浸漬反応により、Al23−S
i−Al(またはAl23−Si−低合金Al)複合材
料を作製した後、この複合体を高合金Al融体中に所定
時間浸漬し、複合材料中の金属相を所定の金属間化合物
に置換する融体浸漬反応を行う。
【0024】以下、本発明に係る製造方法を、Al23
−(Siを含むFe−Al金属間化合物)複合材料を例
として、具体的に説明する。まず、所定形状のSiO2
を主成分とするガラス成形体を作製する。このガラス成
形体を、高周波誘導炉等を用いて、Ar雰囲気中、10
00〜1200℃で、Alまたは低合金Al(Fe−A
l合金)の融体中に1〜6時間浸漬させ、Al23−S
i−AlまたはAl23−Si−低合金Al(Fe−A
l合金)複合材料を作製する。次に、前記複合材料を、
Ar雰囲気中、1400〜1550℃で、高合金Al
(Al−Fe)に5分間程度浸漬させることにより、所
定形状のAl23−(Siを含むFe−Al金属間化合
物)複合材料が得られる。なお、その後、金属相の最適
な強度が発現される組織を得るために、必要に応じて、
適宜熱処理を施してもよい。上記製造方法は、Fe以外
の金属を構成成分とする合金融体を用いた場合でも、同
様に行うことができる。
【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づきさらに具体的
に説明するが、本発明は下記の実施例により制限される
ものではない。 [実施例1]SiO2を主成分とするガラス成形体(直
径5mm×長さ50mmの棒状体)を、高周波誘導炉を
用いて、Ar雰囲気中、1100℃で、Al融体中に4
時間浸漬させ、Al23−Si−Al複合材料を作製し
た。次に、得られたAl23−Si−Al複合材料を、
Ar雰囲気中、1450℃で高合金Al(Al−65a
t%Fe)に5分間程度浸漬させ、Al23−金属間化
合物(Siを含むFe3Al)複合材料を得た。得られ
た複合材料を、Ar雰囲気中、1000℃で、1時間熱
処理した。この複合材料の金属相組成を表1に示す。ま
た、この複合材料の圧縮強度の低下開始温度、室温にお
ける硬度、塑性変形の評価を行った。これらの結果も、
表1に示す。また、図1に、この複合材料の破断面の走
査型電子顕微鏡(SEM)写真を示す。図2に、この複
合材料のAl23相/Siを含むFe3Al相界面の高
分解能透過型電子顕微鏡(TEM)写真(60万倍)を
示す。さらに、この複合材料の1000℃における圧縮
破壊強度は、200MPaを超えることが認められた。
【0026】[比較例1]SiO2を主成分とするガラ
ス成形体(直径5mm×長さ50mmの棒状体)を、高
周波誘導炉を用いて、Ar雰囲気中、1100℃で、A
l融体中に4時間浸漬させ、Al23−Si−Al複合
材料を得た。得られた複合材料を、Ar雰囲気中、55
0℃で、1時間熱処理した。この複合材料の金属相組成
を表1に示す。また、この複合材料の圧縮強度の低下開
始温度、室温における硬度、塑性変形の評価を行った。
これらの結果も、表1に示す。
【0027】[比較例2]SiO2を主成分とするガラ
ス成形体(直径5mm×長さ50mmの棒状体)を、高
周波誘導炉を用いて、Ar雰囲気中、1200℃で、低
合金Al(Al−5at%Fe)融体中に4時間浸漬さ
せ、Al23−低合金Al複合材料を作製した。得られ
た複合材料を、Ar雰囲気中、600℃で、1時間熱処
理した。この複合材料の金属相組成を表1に示す。ま
た、この複合材料の圧縮強度の低下開始温度、室温にお
ける硬度、塑性変形の評価を行った。これらの結果も、
表1に示す。
【0028】[比較例3]SiO2を主成分とするガラ
ス成形体(直径5mm×長さ50mmの棒状体)を、高
周波誘導炉を用いて、Ar雰囲気中、1200℃で、高
合金Al(Al−30at%Fe)融体中に4時間浸漬
させ、Al23−(低合金Al+金属間化合物)複合材
料を作製した。得られた複合材料を、Ar雰囲気中、6
00℃で、1時間熱処理した。この複合材料の金属相組
成を表1に示す。また、この複合材料の圧縮強度の低下
開始温度、室温における硬度、塑性変形の評価を行っ
た。これらの結果も、表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】表1に示したように、一段融体浸漬反応法
により作製したAl23−金属系複合材料(比較例1〜
3)は、加熱により強度が低下し始める温度は、Alの
融点である660℃未満であった。一方、二段(多段)
融体浸漬反応法により作製したAl23−Siを含むF
3Al複合材料(実施例1)は、1200℃であり、
1000℃以上の高温においても高強度が維持されるこ
とが認められた。また、1000℃以上において、大き
く塑性変形することが認められた。これは、図1に示し
たこの複合材料の破断面のSEM写真から明らかなよう
に、金属間化合物による高温強度の向上とともに、マト
リックスとして強度を担保しているAl23相におい
て、局所破壊を伴う塑性変形が同時に進行することによ
るものである。さらに、図2に示したように、金属相と
網目構造のAl23マトリックスとの間には、原子レベ
ルでの良好な接合状態が保持されていることが認められ
た。
【0031】[実施例2〜7]実施例1と同様の方法
(二段融体浸漬反応法)により、表2の実施例2〜7に
示すような各種金属間化合物により金属相が構成された
Al23−金属系複合材料を作製した。なお、これらの
金属間化合物中には、いずれもSiが含まれる。例え
ば、FeAl金属間化合物(実施例2)においては、F
eの一部がSiにより置換された構造となる。得られた
各複合材料の1000℃における圧縮破壊強度を測定し
たところ、いずれも200MPaを超えるものであっ
た。これらの結果を、実施例1と合わせて、表2に示
す。
【0032】[比較例4、5]比較例1と同様の方法
(一段融体浸漬反応法)により、表2の比較例4、5に
示すような各種金属間化合物により金属相が構成された
Al23−金属系複合材料を作製した。得られた各複合
材料の1000℃における圧縮破壊強度を測定したとこ
ろ、いずれも200MPa未満であった。これらの結果
を、表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】表2に示したように、一段融体浸漬反応法
により作製したAl23−金属系複合材料(比較例4、
5)は、金属相に融点が低いAl相(融点:660℃)
が含まれているため、1000℃よりも低温で、強度が
低下してしまい、1000℃における圧縮破壊強度は、
200MPa未満であった。一方、二段融体浸漬反応法
により作製したAl23−金属系複合材料(実施例1〜
7)は、金属相がAl相を含まず、金属間化合物相のみ
からなるため、1000℃よりも高温で強度が低下し始
めるため、1000℃における圧縮破壊強度は、200
MPaを超えるものであった。
【0035】
【発明の効果】以上のとおり、本発明に係るAl23
金属系複合材料は、複雑な形状の製品であっても、容易
に作製することができるため、各種機械部品、エンジン
部材等への応用が可能である。また、1000℃以上の
高温においても、高強度かつ高靭性であるため、耐熱材
料として用いることも期待される。また、本発明に係る
製造方法によれば、上記のような高温強度特性に優れた
Al23−金属系複合材料を、任意の組成で、均質かつ
容易に作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】1000℃において塑性変形を生じた本発明に
係るAl23−Siを含むFe 3Al複合材料の破断面
の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図2】本発明に係るAl23−Siを含むFe3Al
複合材料のAl23相/Siを含むFe3Al相界面の
高分解能透過型電子顕微鏡(TEM)写真(60万倍)
である。
フロントページの続き (72)発明者 服部 亮 茨城県日立市城南町3−1−26 (72)発明者 吉見 享祐 宮城県仙台市青葉区片平2丁目1−1 東 北大学金属材料研究所内 (72)発明者 谷口 尚司 宮城県仙台市青葉区荒巻字青葉 東北大学 大学院工学研究科内 Fターム(参考) 4K020 AA06 AC01 BB02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 網目構造のAl23マトリックスの空隙
    に、Siを含むAl基合金が、密に充填していることを
    特徴とするAl23−金属系複合材料。
  2. 【請求項2】 前記Al基合金は、AlおよびAlの融
    点以上の融点を有する1または複数の金属元素を成分と
    する金属間化合物であることを特徴とする請求項1記載
    のAl23−金属系複合材料。
  3. 【請求項3】 前記金属元素は、Fe、Ni、Cr、T
    i、Cu、Co、Mnのうちのいずれかであることを特
    徴とする請求項2記載のAl23−金属系複合材料。
  4. 【請求項4】 SiO2を主成分とするガラス成形体を
    AlまたはAl合金の融体と反応させて、網目構造のA
    23マトリックスを含む複合材を得る工程と、 前記工程により得られた網目構造のAl23マトリック
    スを含む複合材を、Al基合金融体中に1回または複数
    回浸漬させる工程とを含むことを特徴とするAl23
    金属系複合材料の製造方法。
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