JP2003088989A - レーザ割断方法およびその方法を使用したレンズまたはレンズ型を製造する方法ならびにその製造方法によって成形されたレンズ、レンズ型 - Google Patents
レーザ割断方法およびその方法を使用したレンズまたはレンズ型を製造する方法ならびにその製造方法によって成形されたレンズ、レンズ型Info
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Abstract
によって硬脆材料を剥離することを特徴とするレーザ割
断方法を提供する。 【解決手段】硬脆材料の表面にレーザ光吸収物質を塗布
し、照射したレーザ光を該物質に吸収させて硬脆材料の
表面に熱分布を形成し、その熱分布によって硬脆材料を
剥離することを特徴とするレーザ割断方法。
Description
割断方法およびその方法を使用してレンズまたはレンズ
型を製造する方法ならびにその製造方法によって成形さ
れたレンズ、レンズ型に関するものである。
は、切削や研削による手法、エッチングによる手法が主
である。これには多くの工程を要し、コストがかかって
しまう問題や、工程中に廃棄物が排出されることにより
周囲の環境を汚染する等の問題があった。こうした背景
から、最近では硬脆材料をレーザで割断する加工方法が
注目を集めている。レーザによる硬脆材料割断は、シリ
コンウェハやセラミック基板等の硬脆材料の加工に適用
性が高い。
ム)付近では熱膨張に伴う圧縮応力が発生し、レーザビ
ーム外側周囲では引張り応力が発生する。この応力が材
料の破壊靭性を上回ると亀裂が発生し、これによって切
断が可能となる。しかし、現在のレーザ割断法はマクロ
領域の加工しか実現できておらず、マイクロ領域では加
工が困難とされてきた。しかも三次元での割断など実現
不可能とされていた。さらに、マイクロ領域の微細加工
においては、ニーズが高いにも関わらずレーザ割断法で
は不可能とされている。その原因はマイクロ領域での精
密な熱分布を形成できないところにある。
材料の表面にレーザ光吸収物質を塗布し、照射したレー
ザビームを該物質に吸収させて硬脆材料の表面に熱分布
を形成し、その熱分布によって硬脆材料を剥離すること
を特徴とするレーザ割断方法を提案し、上記問題点を解
決することを目的とする。また本発明の他の目的は、前
記レーザ割断方法を使用してレンズあるいはレンズ型を
製造する方法ならびにその製造方法によって成形された
レンズ、レンズ型を提供することにある。
ームの強度分布を制御することによりスポット内の温度
分布を精密にコントロールし、硬脆材料から所定形状の
材料例えば凸レンズ、凹レンズ、非球面レンズ等、を剥
離成形することができる。レンズの形状はパルスレーザ
の強度分布によって決定されることから、レーザ(熱
源)として急熱急冷が可能なパルスレーザを使用するこ
とで、瞬時に生じる加熱現象でマイクロ領域の温度分布
を精密に制御することが可能となる。また本発明では、
レーザビームを被加工物上でスキャンしながら、またレ
ーザビームの強度を制御しながら、凸レンズ、凹レン
ズ、非球面レンズ等、を剥離成形することができる。
した技術解決手段は、硬脆材料の表面にレーザ光吸収物
質を塗布し、照射したレーザ光を該物質に吸収させて硬
脆材料の表面に熱分布を形成し、その熱分布によって硬
脆材料を剥離することを特徴とするレーザ割断方法であ
る。また、前記レーザ光はパルスレーザあるいはCWレ
ーザ(連続発振レーザ)であることを特徴とするレーザ
割断方法である。また、前記レーザ光吸収物質は、望ま
しくは金属物質を含む塗料(例えば、三ツ星ベルト製の
「ハイカラT」など)であることを特徴とするレーザ割
断方法である。また、前記硬脆材料はガラス、水晶、サ
ファイア、シリコン、セラミックス等であることを特徴
とするレーザ割断方法である。また、硬脆材料の表面に
レーザ光吸収物質を塗布し、照射したレーザ光を該物質
に吸収させて硬脆材料の表面に熱分布を形成し、その熱
分布によって硬脆材料からレンズを剥離成形することを
特徴とするレンズ製造方法である。また、前記レーザ光
はパルスレーザあるいはCWレーザであることを特徴と
するレンズ製造方法である。また、前記レーザ光吸収物
質は、望ましくは金属物質を含む塗料(例えば、三ツ星
ベルト製の「ハイカラT」)であることを特徴とするレ
ンズ製造方法である。また、前記硬脆材料はガラスある
いは水晶、サファイア、シリコン、セラミックス等であ
ることを特徴とするレンズ製造方法である。また、前記
レンズ製造方法によって製造したことを特徴とするレン
ズである。また、硬脆材料の表面にレーザ光吸収物質を
塗布し、照射したレーザ光を該物質に吸収させて硬脆材
料の表面に熱分布を形成し、その熱分布によって硬脆材
料から硬脆材料を剥離し、残った母材を加工型とするこ
とを特徴とするレンズ型の製造方法である。また、前記
レーザ光はパルスレーザあるいはCWレーザであること
を特徴とするレンズ型の製造方法である。また、前記レ
ーザ光吸収物質は、望ましくは金属物質を含む塗料(例
えば、三ツ星ベルト製の「ハイカラT」)であることを
特とするレンズ型の製造方法である。また、前記硬脆材
料はガラスあるいは水晶、サファイア、シリコン、セラ
ミックス等であることを特徴とするレンズ型の製造方法
である。また、前記レンズ型の製造方法によって製造し
たことを特徴とするレンズ型である。
参照して説明すると、図1は本発明に使用するレーザ割
断法に使用するレーザ割断装置、図2はレーザビーム断
面の強度分布を説明する図、図3は図1中のA部拡大
図、図4は実際にマイクロレンズを製造する方法の説明
図である。
ガラス、2は集光レンズ、3はレーザ光線(レーザビー
ム)、4は光学ガラス1表面に塗布されるレーザ光吸収
物質4であり、各部材は図示のような配置とする。なお
硬脆材料としては光学ガラスに限定することなく、他の
硬脆材料(例えば、水晶、サファイア、シリコン、セラ
ミックス等)を対象とすることもできる。
源(熱源)から発射されたレーザ光線(レーザビーム)
3は集光レンズ2で集光され、光学ガラス1に照射され
る。この時、本例の場合には、レーザビームとして図2
(イ)または図2(ロ)に示すような強度分布をもった
レーザを使用し、この強度分布をもったレーザビーム3
をガラス面に1ショット、あるいは複数ショット照射す
る。この結果、ガラス面に塗布したレーザ光吸収物質4
で吸収されるレーザ光の量が変化し光学ガラス1の表面
にレーザビームの強度分布と同様な温度分布が発生し、
この温度分布によって光学ガラス1にクラックが発生し
光学ガラス1の一部が図3に示すように剥離され、精密
な光学レンズが成形される。なお、レーザビーム断面の
強度分布は、作成するレンズ形状に合わせて成形するこ
とになるが、この強度分布は公知のビーム整形器によっ
て容易に成形することができる。
分布に限らず、塗料を塗布した試料に対し図4に示すよ
うにデフォ−カス量を制御したり、あるいはレーザビー
ムの出力を制御したり、さらには上記の条件を組み合わ
せながら所望のレンズを作製することが可能である。な
お、レーザビームとしてパルスレーザを用いることによ
り急熱急冷が可能となり、熱歪みによって表面近傍の加
熱部が母材と剥離し凸レンズ、凹レンズを形成すること
ができる。こうして成形されたレンズは表面が鏡面を保
持している。
スレーザを光学ガラス1に照射して、その強度分布と同
様な形状のレンズを作製するものであるが、それ以外
に、たとえば、CWレーザ、Qスイッチレーザ等を使用
しながらレーザスポットを光学ガラス1上でスキャンす
ることによって所望のレンズ形状を作製することもでき
る。 図面を参照してこの例について説明すると図5は
レーザビームをスキャンしながら3次元レーザ割断する
装置の光学系の説明図である。
ー(ガルバノミラー)、Y方向にビームを振らすミラー
(ガルバノミラー)で反射され集光レンズを介して被加
工物表面に照射される。この時前記ミラーの振り角を高
速で制御することでレーザビームスポットを光学ガラス
上でスキャンし、エネルギー分布を作り出すことができ
る。このスキャンの様子を図6に示す。レーザビームス
ポットは始めは形成しようとするレンズの直径(外形)
に合わせて走査され、ついでレンズの中心に向かって少
しずつ径を小さくしながら、略外径と同心形状に走査さ
れる。このとき、各走査を行うレーザスポットの強さを
制御することで、ガラス面に塗布したレーザ光吸収物質
4で吸収されるレーザ光の量が変化し光学ガラス1の表
面に温度分布が発生し、その温度分布によってクラック
が発生し光学ガラス1の一部が剥離され前述したと同様
に精密な光学レンズが成形される。なお、光学ガラス上
のスキャンの状況は、必ずしも円形ではなく、異形形状
とすることもでき、またスキャンするピッチも自由に制
御することが可能である。こうして、マイクロ領域でも
温度分布を自在にコントロールすることができ、非球面
レンズなどあらゆる形状のレンズの創成が可能となる。
て熱伝導によって三次元クラックを発生させ、三次元割
断によってレンズもしくは型を作るため、硬脆材料(光
学ガラス)の表面に塗布するレーザ光吸収物質(塗料、
三ツ星ベルト製の「ハイカラT」等)の物性が重要にな
ってくる。
料を塗布して実験を行った結果、良好なクラック進展が
確認され、今までよりも容易にレンズ型を作成すること
が容易になった。このメカニズムは次のように考えられ
る。即ち、金属微粒子をわずかに含む塗料にレーザが照
射されると被加工物と融合し金属微粒子がガラス内部で
凝集する。これにより熱の放出が顕著になり、クラック
が進展しやすくなる。さらにレーザを走査させること
で、入熱量を局部で異なるようにすれば、非軸対照な非
球面レンズでも蒲鉾状の細長いレンズでも容易に製作す
ることができる。
(東芝LAY−504A)を使用した。主な仕様は、発
振波長λ:1064nm,ビ−ムモ−ド:TEM00,パ
ルス幅0.2ms, 0.4ms,レ−ザ出力:0〜3J
/P,発振ビ−ム径:3mmφ,集光径:120μm,
焦点距離:50mmである。図4に示すようにパルスレ
ーザを光学ガラス(BK7)表面に照射し、表面で光エ
ネルギーを熱エネルギーに変換する。これによりスポッ
ト径に相当する局所で急熱、急冷現象が生じることにな
る。この時、ガラス表面から内面にむけて放射状に熱拡
散が生じ、レーザ割断が行われる。 〔レ−ザ吸収物質の選定〕レ−ザ吸収物質として、3次
元穴あけ加工で実績のある合成インキ(ピ−ス、三菱鉛
筆社製)と、コロイド粒子を分散させた塗料(ハイカラ
T、三ツ星ベルト社製)を検討した。まず、吸収物質に
よるガラスへのダメ−ジを調査するために、照射条件を
様々変えて加工実験を行った。その結果、いずれの条件
でも合成インキでは照射部にチッピングが発生した。一
方、コロイドを分散した塗料では、パルス幅が0.4m
s以下でチッピングの発生は確認できなかった。そこで
本実験では、レ−ザ吸収物質として後者の塗料を用いる
ことにした。 〔実験条件および割断の評価基準〕塗料を塗布した試料
に対し、レ−ザ照射実験を行い3次元割断の可能性を調
査した。実験ではパルス幅毎に、デフォ−カス量(図4
参照)と出力を変化させ、その際の割断状態を観察によ
り定性的に評価した。ちなみに、特に割断良好なもの:
◎、割断良好:○、割断可能であるが形状が不良:△、
割断不良(割断のためのクラックが中途半端に発生):
▲、溶融物が飛散した穴あけ状態となり割断不能:×と
した。なお、マイクロレンズの製造の可能性を調査する
ため、ここではデフォ−カス量を±1.0mmまでとし
た。 〔実験結果〕パルス幅0.2ms時の実験結果を図7に
示す。これにより、焦点部では0.1J/Pで3次元割
断が可能であることが判った。デフォ−カス部でも0.
13J/P以上でややマイナス領域で○となる部分が多
くなった。0.4ms時の実験結果を図8に示す。これ
により、焦点部で0.17J/pの時○となり、マイナ
ス領域にかけて右下がりの傾向で○もしくは◎領域があ
ることが分かった。この領域よりも出力が大きい場合は
×となった。これらから、0.2msの時の方が良好な
3次元割断が可能になることが分かった。一方、0.4
ms時では◎部分が存在する。この◎部分では割断によ
って剥離する凸部の様子が○部分と異なっていた。すな
わち、○部では剥離する凸部はほとんど変質していな
い。ところが、◎部では剥離した凸部に小規模な穴あけ
状態が確認でき、溶融したガラスがそっくり剥離し割断
されていた。これらより、割断時には急熱急冷が重要で
あることを裏付ける実験結果が得られた。
たが、硬脆材料としてはレンズを加工用としては光学ガ
ラスを使用するが、他の硬脆材料を使用することも可能
である(例えば、水晶、サファイア、シリコン、セラミ
ックス等)、またレーザビームとして、望ましいのは、
CWレーザ、パルスレーザであり、また硬脆材料の表面
に塗布する材料は三ツ星ベルト製「ハイカラT」などが
望ましい。さらに、本発明はその精神または主要な特徴
から逸脱することなく、他のいかなる形でも実施でき
る。そのため、前述の実施形態はあらゆる点で単なる例
示にすぎず限定的に解釈してはならない。
によれば、硬脆材料に照射するレーザビームの強度分布
を制御することによりスポット内の温度分布を精密にコ
ントロールすることで凸レンズ、凹レンズ、非球面を高
精度で成形可能である。凹面レンズを集積して複数マイ
クロレンズの集合体を形成可能である。またレンズを剥
離した後の母材をマイクロ凸レンズの型としても利用で
きる。三次元割断であるため、発塵無く切り代が不要で
あり、切りくずがでないクリーンな加工法である。ま
た、CCDのマイクロレンズアレー、またはその型の製
作法として利用可能である。さらに、多様されているマ
イクロ非球面レンズの製作を行うことも可能である。ま
た、レーザビームの強度分布を制御してやることにより
スポット内の温度分布を精密に制御できマイクロレンズ
を精密に形成することができマイクロ非球面レンズも強
度分布で容易に実現でき低コストの高精度マイクロレン
ズアレーが製作できる。また、レーザビームを被加工物
上でスキャンすることにより自由な形状のレンズを創成
することができる、等々の優れた効果を奏することがで
きる。
ザ割断装置である。
る。
ある。
成図である。
る。
Claims (14)
- 【請求項1】硬脆材料の表面にレーザ光吸収物質を塗布
し、照射したレーザ光を該物質に吸収させて硬脆材料の
表面に熱分布を形成し、その熱分布によって硬脆材料を
剥離することを特徴とするレーザ割断方法。 - 【請求項2】前記レーザ光はパルスレーザあるいはCW
レーザ(連続発振レーザ)であることを特徴とする請求
項1に記載のレーザ割断方法。 - 【請求項3】前記レーザ光吸収物質は、望ましくは金属
物質を含む塗料であることを特徴とする請求項1または
請求項2に記載のレーザ割断方法。 - 【請求項4】前記硬脆材料はガラス、水晶、サファイ
ア、シリコン、セラミックス等であることを特徴とする
請求項1〜請求項3のいずれかに記載のレーザ割断方
法。 - 【請求項5】硬脆材料の表面にレーザ光吸収物質を塗布
し、照射したレーザ光を該物質に吸収させて硬脆材料の
表面に熱分布を形成し、その熱分布によって硬脆材料か
らレンズを剥離成形することを特徴とするレンズ製造方
法。 - 【請求項6】前記レーザ光はパルスレーザあるいはCW
レーザであることを特徴とする請求項5に記載のレンズ
製造方法。 - 【請求項7】前記レーザ光吸収物質は、望ましくは金属
物質を含む塗料であることを特徴とする請求項5または
請求項6に記載のレンズ製造方法。 - 【請求項8】前記硬脆材料はガラスあるいは水晶、サフ
ァイア、シリコン、セラミックス等であることを特徴と
する請求項5〜請求項7のいずれかに記載のレンズ製造
方法。 - 【請求項9】前記請求項5〜請求項8に記載したレンズ
製造方法によって製造したことを特徴とするレンズ。 - 【請求項10】硬脆材料の表面にレーザ光吸収物質を塗
布し、照射したレーザ光を該物質に吸収させて硬脆材料
の表面に熱分布を形成し、その熱分布によって硬脆材料
から硬脆材料を剥離し、残った母材を加工型とすること
を特徴とするレンズ型の製造方法。 - 【請求項11】前記レーザ光はパルスレーザあるいはC
Wレーザであることを特徴とする請求項10に記載のレ
ンズ型の製造方法。 - 【請求項12】前記レーザ光吸収物質は、望ましくは金
属物質を含む塗料であることを特とする請求項10また
は請求項11に記載のレンズ型の製造方法。 - 【請求項13】前記硬脆材料はガラスあるいは水晶、サ
ファイア、シリコン、セラミックス等であることを特徴
とする請求項10〜請求項12のいずれかに記載のレン
ズ型の製造方法。 - 【請求項14】前記請求項10〜請求項13に記載した
レンズ型の製造方法によって製造したことを特徴とする
レンズ型。
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- 2001-09-13 JP JP2001277400A patent/JP3886756B2/ja not_active Expired - Fee Related
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