JP2003083961A - 唾液緩衝能検査方法及び唾液緩衝能検査用具 - Google Patents

唾液緩衝能検査方法及び唾液緩衝能検査用具

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JP2003083961A JP2001280025A JP2001280025A JP2003083961A JP 2003083961 A JP2003083961 A JP 2003083961A JP 2001280025 A JP2001280025 A JP 2001280025A JP 2001280025 A JP2001280025 A JP 2001280025A JP 2003083961 A JP2003083961 A JP 2003083961A
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Kazuhiro Takagi
和博 高木
Junichi Okada
淳一 岡田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 被験者の唾液緩衝能を簡易に且つ判定者の主
観に影響されず検査できる唾液緩衝能検査方法及びこの
方法を実施するのに好適な唾液緩衝能検査用具を提供す
る。 【解決手段】 pH3.0〜7.0の範囲内に変色域を持
ち且つその指示色を2段階以上に識別容易なpH指示薬
と温度25℃湿度50%の条件下において検査に用いる
唾液の容量と同量の水を加えたときにpH1.5以上3.
0未満の範囲内で異なるpH値を示す量の酸とから成る
2〜10種の薬液が吸水性の素材に含浸されているか、
液体状又はジェル状でそれぞれ一定容量の容器内に収納
されている唾液緩衝能検査用具を準備し、該薬液にそれ
ぞれ前記検査に用いる容量の被験者の唾液を加えて所定
時間経過後の各薬液の色を前記識別容易な指示色として
測定し、各薬液が示す前記識別容易な指示色から総合評
価して唾液緩衝能を判定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、被験者の唾液緩衝能を
簡易に且つ判定者の主観に影響されず検査できる唾液緩
衝能検査方法及びこの唾液緩衝能検査方法を実施するの
に好適な唾液緩衝能検査用具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】歯牙のう蝕症の発症及び進行は、口腔内
細菌が炭水化物を代謝することにより産生した酸が歯質
中のカルシウムイオンやリン酸イオンを溶出させる脱灰
と、カルシウムイオンやリン酸イオンが再び歯質中に取
り込まれる現象である再石灰化が長期間繰り返し作用し
ている中で、両者のバランスが崩れて長時間脱灰側に環
境が傾く現象によって生じる。唾液の役割には、唾液中
に存在するカルシウムイオンやリン酸イオンを歯質へ供
給するという機能の他に、口腔内細菌が炭水化物を代謝
することにより産生される酸を中和させて脱灰を防ぐと
いう緩衝能がある。この酸に対する唾液の緩衝能には個
人差が認められるため、唾液の緩衝能について個別に客
観的な情報を得ることが、う蝕症の発症及び進行を停止
させる指針を立てる上で必要である。
【0003】唾液の緩衝能は、主に炭酸と重炭酸塩の相
関による作用、リン酸塩による作用、タンパク質による
作用という3つの緩衝作用により調節されており、この
うち最も重要なものは炭酸と重炭酸塩の相関による作用
で、これは炭酸と重炭酸塩の平衡関係に基づいている。
酸が添加されたときには、重炭酸塩が弱い炭酸を放出す
る。この炭酸は急激に水と二酸化炭素に分解されて溶液
からは遊離する。多くの緩衝剤と対照的に、この仕組み
は弱酸の蓄積ではなく、酸を完全に取り除く結果とな
る。即ち、炭酸と重炭酸塩の平衡関係に基づく唾液の緩
衝能が維持されるには、多くの量の酸を取り除くのに必
要な十分な量の重炭酸塩が必要とされる。また、唾液の
重炭酸塩の変動は、唾液のpH値の変化に現れることが
確認されている。
【0004】従って、唾液の緩衝能を検査するには酸を
用いた滴定による重炭酸塩の量の評価が最も信頼されお
り、その実験室レベルにおける標準的な方法がエリクソ
ン法である(Ericsson Y.:“Clinical investigations
of the salivary bufferingaction.” Acta. Odontol.
Scand. 17:131−65(1959))。このエリク
ソン法は、採取した唾液に一定量の塩酸を添加し、泡立
ちと二酸化炭素の混入を防止する処置を施しながら一定
時間攪拌した後、電極を用いて最終pH値を測定すると
いうものである。しかし、この方法は煩雑な操作と特別
な装置とが必要であるため一般には普及していない。
【0005】そこで、より簡便に唾液緩衝能を検査する
方法として、酸とpH指示薬とを予め染み込ませて乾燥
させた紙に、紙全体を覆うようにスポイトを用いて唾液
を滴下すると、唾液中の炭酸と重炭酸の作用により、紙
に染み込ませた酸に対して緩衝能が働き、紙に染み込ま
せたpH指示薬の変色域を超えるpH値に到達するまで
緩衝能が働いた場合にはpH指示薬の示す色が変化する
ので、唾液の緩衝能により上昇した後の紙のpH値を、
唾液を加えた部分の色と既知のpH値における色見本と
を比較することにより判断し、唾液の緩衝能をlow、
medium、highの3段階で判定する方法が行わ
れている(熊谷崇他:“クリニカル カリオロジー”,
130−31、医歯薬出版株式会社発行)。しかしなが
らこの方法では、唾液の緩衝能をlow、mediu
m、highの3段階でしか評価できず、より正確な検
査を行うには充分でないという問題があった。また、検
査の精度を向上させる効果を狙い、数種のpH指示薬を
紙に染み込ませる等して、唾液を加えた部分の示す色に
多数のバリエーションを設定しても、判定者により色の
判断にバラツキが生じ、検査結果に誤差が生じる虞があ
った。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術の問題点を解消し、被検者の唾液緩衝能を簡易に且つ
判定者の主観に影響されず検査できる唾液緩衝能検査方
法及びこの唾液緩衝能検査方法を実施するのに好適な唾
液緩衝能検査用具を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記課題を
解決すべく鋭意研究した結果、測定に用いるpH範囲内
に変色域を持ち且つその指示色を2段階以上に識別容易
なpH指示薬と検査に用いる唾液の容量と同量の水を加
えたときにpH指示薬の変色域のpH値未満の範囲内の
pH値を示す量の酸とから成る数種の薬液を準備し、各
薬液における酸の量を異ならせておくと、検査する唾液
の緩衝能が高い場合には少ない量の酸の薬液であって
も、また多い量の酸の薬液であっても、加えた唾液によ
りpH指示薬の変色域を超えるpH値に到達するまで緩
衝能が働いてpH指示薬の指示色が変化する一方、検査
する唾液の緩衝能が低い場合には、少ない量の酸の薬液
では加えた唾液によりpH指示薬の変色域を超えるpH
値に到達するまで緩衝能が働いてpH指示薬の示す色が
変化するが、多い量の酸の薬液では加えた唾液によりp
H指示薬の変色域を超えるpH値に到達するまでは緩衝
能が働かずpH指示薬の指示色が変化しないことを利用
して、1種の薬液に2段階以上に識別容易な指示色を設
定するだけで唾液の緩衝能を各色の判定に個人差を生じ
させることなく判定することができ、また唾液を加えた
後に1種の薬液の指示色に多数のバリエーションを設定
せずとも、個々の被験者の唾液の緩衝能を簡易に且つ判
定者の主観に影響されることなく正確に検査できること
を究明して本発明を完成したのである。
【0008】即ち本発明は、pH3.0〜7.0の範囲内
に変色域を持ち且つその指示色を2段階以上に識別容易
なpH指示薬と温度25℃湿度50%の条件下において
検査に用いる唾液の容量と同量の水を加えたときにpH
1.5以上3.0未満の範囲内で異なるpH値を示す量の
酸とから成る2〜10種の薬液を準備し、該薬液にそれ
ぞれ前記検査に用いる容量の被験者の唾液を加えて所定
時間経過後の各薬液の色を前記識別容易な指示色として
測定し、各薬液が示す前記識別容易な指示色から総合評
価して唾液緩衝能を判定することを特徴とする唾液緩衝
能検査方法と、この唾液緩衝能検査方法を実施するのに
好適な、前記薬液が吸水性の素材に含浸されて非吸水性
の素材に間隔を設けて固定されている唾液緩衝能検査用
具及び前記薬液が液体状又はジェル状でそれぞれ一定容
量づつ並列して一体化した一定容量の容器内に収納され
ている唾液緩衝能検査用具とに関するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明における唾液緩衝能検査方
法では、pH3.0〜7.0の範囲内に変色域を持ち且つ
その指示色を2段階以上に識別容易なpH指示薬と、温
度25℃湿度50%の条件下において検査に用いる唾液
の容量と同量の水を加えたときにpH値が1.5以上3.
0未満を示す異なる量の酸とから成る2〜10種の薬液
を使用する。
【0010】薬液に使用するpH指示薬は、pH3.0
〜7.0の範囲内に変色域を持ち且つその指示色を2段
階以上に識別容易なものであれば特に限定されず、例え
ばブロモフェノールブルー(変色域:3.0〜4.6),
ブロモクロルフェノールブルー(変色域:3.2〜4.
8),コンゴーレッド(変色域:3.0〜5.0),ブロ
モクレゾールグリーン(変色域:3.8〜5.4),2,
5ジニトロフェノール(変色域:4.0〜5.8),メチ
ルレッド(変色域:4.4〜6.2),クロルフェノール
レッド(変色域:5.0〜6.6),p−ニトロフェノー
ル(変色域:5.0〜7.0),ブロモクレゾールパープ
ル(変色域:5.2〜6.8),ブロモフェノールレッド
(変色域:5.2〜7.0),ブロモチモールブルー(変
色域:6.0〜7.0)等がpH3.0〜7.0の範囲内に
変色域を持つため好ましい。このようにpH指示薬がp
H3.0〜7.0の範囲内に変色域を持っていなければな
らないのは、前記した如く唾液の緩衝能において重要な
ものが炭酸と重炭酸塩の相関による作用であるから、酸
側での測定となるからである。これらのpH指示薬を2
種以上混合して使用することも可能である。これらのp
H指示薬は、水やエタノール等の溶媒に溶解して使用す
る。
【0011】また薬液に使用する酸は、例えば塩酸,硫
酸,硝酸,亜硝酸,クエン酸,シュウ酸,ギ酸,リン
酸,マロン酸,スルファミン酸,フタル酸,コハク酸,
マレイン酸,葉酸,リンゴ酸,酒石酸,ホウ酸,ピルビ
ン酸,アルギン酸,ヒアルロン酸,尿酸,アクリル酸等
の一般的な酸が使用可能である。中でも塩酸,硫酸,リ
ン酸が安定した検査結果を得ることが可能であり且つ入
手し易いことから好ましい。これらの酸は、pH指示薬
と同様に、水やエタノール等の溶媒に溶解して使用す
る。
【0012】前記したpH指示薬と酸とから成る薬液
は、そのまま液体状として又はジェル状として使用する
場合と、所定体積の吸水性の素材に浸漬や噴霧等の手段
で含浸させてを使用する場合とがあり、液体状又はジェ
ル状として使用する場合にはそれぞれガラス製や、ポリ
プロピレン,ポリスチレン,ポリエチレン等の高分子重
合体製の所定容量の容器内に収納して使用し、所定体積
の吸水性の素材に含浸させて使用する場合には短冊状,
円筒状,角柱状等の吸水性の素材に含浸させて使用する
場合と、薬液を含浸させたこのような所定体積の吸水性
の素材を非吸水性の素材に間隔を設けて固定したものを
使用する場合とがある。
【0013】所定体積の吸水性の素材に含浸させて使用
する場合において、吸水性の素材としては、薬液を含浸
させることが可能な材質でれば特に限定されず、例え
ば、濾紙,吸い取り紙,紙タオル等の紙や、脱脂綿,石
英ウール,ガラスウール,ウール,絹,綿,麻,アクリ
ル,レーヨン,ナイロン,ニトロセルロース,酢酸セル
ロース,再生セルロース,ガラス繊維等の繊維から成る
布や不織布等や、デキストラン,ムタン,レバン,セル
ロースパウダー等を固形に形成したものを使用すること
ができ、中でも濾紙,吸い取り紙,紙タオル等の紙が適
している。また、このような薬液を含浸させたこのよう
な所定体積の吸水性の素材を非吸水性の素材に間隔を設
けて固定したものを使用する場合の非吸水性の素材とし
ては、ガラスや、ポリプロピレン,ポリスチレン,ポリ
エチレン等の高分子重合体等の短冊状や円盤状などの板
状のものが好ましく使用できる。
【0014】このようにして使用されるpH指示薬と酸
とから成る薬液における酸の量は、温度25℃湿度50
%の条件下において検査に用いる唾液の容量と同量の水
を加えたときにpH値が1.5以上3.0未満を示す異な
る量である。これは、酸の量が温度25℃湿度50%の
条件下において検査に用いる唾液と同量の水を加えたと
きにpH値が1.5未満であると、検査する唾液の緩衝
能が低い場合に検査に用いる容量の被験者の唾液を加え
た総ての薬液のpH値がpH指示薬の変色域に到達せず
に指示色が変化しないことがあり、一方3.0以上であ
ると検査する唾液の緩衝能が高い場合にも検査に用いる
容量の被験者の唾液を加えた総ての薬液のpH値がpH
指示薬の変色域を超えてしまって実用的でない場合が生
じる危険性があるからである。
【0015】また、酸の量を変えた薬液の種類が2〜1
0でなければならないのは、薬液の種類が1種類の場合
は、酸の量が1段階しか設定できないため、検査結果に
充分な精度が得られず、11種類以上の場合には薬液指
示の色の組合わせパターンが多くなり判定が複雑になり
好ましくないからである。
【0016】本発明に係る唾液緩衝能検査方法を実施す
るには、前記のpH3.0〜7.0の範囲内に変色域を持
ち且つその指示色を2段階以上に識別容易なpH指示薬
と温度25℃湿度50%の条件下において検査に用いる
唾液の容量と同量の水を加えたときにpH1.5以上3.
0未満の範囲内で異なるpH値を示す量の酸とから成る
2〜10種の薬液を準備し、その準備した薬液に被験者
の唾液をスポイト等を用いて所定量加える。
【0017】この際、各薬液が液体状又はジェル状でそ
れぞれ所定容量の容器内に収納されているものを使用す
る場合には、スポイト等で唾液を所定量加えた後に、そ
の容器内で薬液と唾液とを充分に攪拌することが好まし
いので、各薬液が収納されている容器は蓋で密栓可能な
ことが好ましいが、容器内の薬液が洩れ出ないように容
器に封鎖用プラスチックフィルム等が熱融着などの手段
で予め固定されていて、唾液の検査時にその封鎖用プラ
スチックフィルム等を容器の開口部から剥離することの
できるようなものであっても差し支えなく、このような
構造の場合には各容器が並列していると各薬液の指示色
を比較できて便利である。そして、各容器には加えられ
る唾液の必要量を示す線等が記載されていたり、必要量
の唾液が加えられるとその容器が満杯になるように構成
されていると、唾液を必要量加えることが簡単である。
【0018】また、各薬液がそれぞれ所定体積の吸水性
の素材に含浸されている場合には、その吸水性の素材全
体を覆うように唾液を加えた後、吸水性の素材に吸収さ
れずに余った唾液は紙タオル等で吸い取ると加える唾液
の量を一定にすることができる。この際、各薬液がそれ
ぞれ含浸されてされている所定体積の吸水性の素材が非
吸水性の素材に間隔を設けて固定されていると、各薬液
の指示色を比較できて便利であり、また吸水性の素材の
各体積が同一であることが好ましい。
【0019】かくして各薬液にそれぞれ検査に用いる所
定容量の被験者の唾液を加えて1〜30分の所定時間経
過後の各薬液の色を前記識別容易な指示色として測定
し、各薬液が示す前記識別容易な指示色から総合評価し
て唾液緩衝能を判定するのである。この総合評価として
は、例えば各薬液の示す2段階以上に識別容易な指示色
に対して予め唾液緩衝能スコアを設定しておいて、得ら
れた唾液緩衝能スコアを用いて合計したり平均したりす
る等の処理を施し、その結果から唾液緩衝能を判定して
唾液緩衝能を検査する。このとき、薬液に使用するpH
指示薬が、例えばブロモクレゾールグリーンの場合に
は、黄色→緑色→青色と変化するので、黄が0点、緑が
1点、青が2点、例えばメチルレッドの場合には、赤色
→橙色→黄色と変化するので、赤が0点、橙が1点、黄
が2点等と唾液緩衝能スコアを設定することができる。
また、唾液を加えて所定時間後の各々の薬液の指示色の
組み合わせを纏めた色の組み合わせ表から唾液緩衝能の
高低を判定したり色の組み合わせに対して予め唾液緩衝
能スコアを与えておき、得られた唾液緩衝能スコアから
唾液緩衝能を判定して唾液の緩衝能を検査してもよい。
このときの唾液緩衝能スコアとしては、例えば薬液が3
種類でその薬液のpH指示薬が全てブロモクレゾールグ
リーンの場合には、黄黄黄が1点、黄黄緑が2点、黄緑
緑が3点、黄緑青が4点、緑緑緑が5点、緑緑青が6
点、緑青青が7点、青青青が8点と唾液緩衝能スコアを
設定でき、例えば薬液が3種類でその薬液のpH指示薬
が全てメチルレッドの場合には、赤赤赤が1点、赤赤橙
が2点、赤橙橙が3点、赤橙黄が4点、橙橙橙が5点、
橙橙黄が6点、橙黄黄が7点、黄黄黄が8点と唾液緩衝
能スコアを設定できる。
【0020】
【実施例】以下に実施例により本発明を更に説明する
が、本発明はこれ等実施例に限定されるものではない。 実施例1 pH指示薬としてのブロモクレゾールグリーン溶液
(0.5g/L)とメチルレッド溶液(0.5g/L)と
を1:1で混合した溶液を、酸としてのリン酸でpH値
を3.0,3.2及び3.4に調節し、これらの薬液を幅
6mm、長さ6mm、厚さ0.32mmの吸水性の素材である
濾紙(商品名:クロマトグラフィー用濾紙No.514
A,アドバンテック東洋社製)それぞれに含浸させた後
に乾燥させた3個の短片〜を、厚さ0.5mm、幅6m
m、長さ70mmの短冊状の非吸水性の素材であるポリエ
チレン板に所定間隔を設けて貼り付けて固定したものを
唾液緩衝能測定用具とした。このとき短片〜は総て
赤色を示していた。また、温度25℃湿度50%の条件
下において短片〜の各々にイオン交換水を加え余っ
た分を軽く拭き取ったところ、pH値は短片〜の順
に、それぞれ2.0,1.8,1.6を示した。短片〜
の各々に5人の被験者A〜E各々の唾液を加え、余っ
た唾液を軽く拭き取ったところ、5分後に短片の示す色
は赤,青,緑の何れかであった。そこで赤が0点,青が
1点,緑が2点として点数を合計した。結果を表1に示
す。また、塩酸を用いた滴定により測定した被験者A〜
E各々の唾液中の重炭酸塩濃度も表1に合わせて示し
た。
【0021】
【表1】
【0022】実施例2 実施例1における唾液緩衝能検査において短片〜の
順でその色の組合わせから、赤赤赤が1点,青赤赤が2
点,青青赤が3点,緑青赤が4点,青青青が5点,緑青
青が6点,緑緑青が7点,緑緑緑が8点として唾液緩衝
能を判定した検査結果を表2に示す。また、塩酸を用い
た滴定により測定した被験者A〜E各々の唾液中の重炭
酸塩濃度も表2に合わせて示した。
【0023】
【表2】
【0024】実施例3 厚さ5mm、幅6mm、長さ70mmのポリエチレン板に所定
間隔をあけて直径7mmの穴を3箇所穿ち、その穴へpH
指示薬としてのブロモクレゾールグリーン溶液(0.5
g/L)50μlと酸としての0.18N,0.30N及
び0.42Nの塩酸50μl各々とから成る薬液を容量
が1.5mlのマイクロチューブ(IWAKI社製)に
収納した3個の容器〜を嵌め込んで設置し、唾液緩
衝能測定用具とした。このとき容器〜内の薬液はす
べて黄色を示していた。また、温度25℃湿度50%の
条件下において各容器〜の各々に1mlのイオン交
換水を加えたところ、容器〜内の薬液のpH値はそ
れぞれ1.7,1.8,2.1を示した。容器〜内の
薬液の各々に5人の被験者A〜E各々の唾液を1mlず
つ加え、蓋を閉めてよく攪拌したところ、5分後に各薬
液の指示色は黄、緑、青の何れかであった。そこで黄が
0点,緑が1点,青が2点として点数を合計した。結果
を表3に示す。また、塩酸を用いた滴定により測定した
被験者A〜E各々の唾液中の重炭酸塩濃度も表3に合わ
せて示した。
【0025】
【表3】
【0026】実施例4 厚さ5mm、幅6mm、長さ70mmのポリエチレン板に所定
間隔をあけて直径7mmの穴を7箇所穿ち、その穴へpH
指示薬としてのブロモクレゾールグリーン溶液(0.5
g/L)50μlと、酸としての0.12N,0.18
N,0.24N,0.30N,0.36N,0.42N及び
0.48Nの塩酸50μl各々とから成る薬液を容量が
1.5mlのマイクロチューブ(IWAKI社製)に収
納した7個の容器〜を嵌め込んで設置し、唾液緩衝
能測定用具とした。このとき容器〜内の薬液はすべ
て黄色を示していた。また、温度25℃湿度50%の条
件下において各容器〜の各々に1mlのイオン交換
水を加えたところ、容器〜内の薬液のpH値はそれ
ぞれ2.22,2.05,1.92,1.82,1.74,
1.68,1.62を示した。容器〜内の薬液の各々
に5人の被験者A〜E各々の唾液を1mlずつ加え、蓋
を閉めてよく攪拌したところ、5分後に各薬液の指示色
は黄、緑、青の何れかであった。そこで黄が0点,緑が
1点,青が2点として点数を合計した。結果を表4に示
す。また、塩酸を用いた滴定により測定した被験者A〜
E各々の唾液中の重炭酸塩濃度も表4に合わせて示し
た。
【0027】
【表4】
【0028】
【発明の効果】以上に詳述したように、本発明に係る唾
液緩衝能検査方法及び唾液緩衝能検査用具は、被験者の
歯牙のう蝕症の発症及び進行を停止させる指針を立てる
ために必要な唾液の緩衝能の検査を、簡易に且つ判定者
の主観に影響されず正確に行うことができるものであ
り、歯科医療分野に貢献する価値の非常に大きなもので
ある。加えて、この原理を利用することにより、血液や
水溶液にも応用可能とするものであり、歯科医療分野に
限らず種々の全医療及び水質検査,試薬作製に貢献する
価値の非常に大きなものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2G042 AA10 BB03 CB03 DA08 FA11 FB02 GA01 2G045 AA40 BB41 CB07 FB11 GC12

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 pH3.0〜7.0の範囲内に変色域を持
    ち且つその指示色を2段階以上に識別容易なpH指示薬
    と温度25℃湿度50%の条件下において検査に用いる
    唾液の容量と同量の水を加えたときにpH1.5以上3.
    0未満の範囲内で異なるpH値を示す量の酸とから成る
    2〜10種の薬液を準備し、該薬液にそれぞれ前記検査
    に用いる容量の被験者の唾液を加えて所定時間経過後の
    各薬液の色を前記識別容易な指示色として測定し、各薬
    液が示す前記識別容易な指示色から総合評価して唾液緩
    衝能を判定することを特徴とする唾液緩衝能検査方法。
  2. 【請求項2】 各薬液が液体状又はジェル状でそれぞれ
    所定容量の容器内に収納されているものを使用する請求
    項1に記載の唾液緩衝能検査方法。
  3. 【請求項3】 各薬液がそれぞれ所定体積の吸水性の素
    材に含浸されているものを使用する請求項1又は2に記
    載の唾液緩衝能検査方法。
  4. 【請求項4】 各薬液がそれぞれ含浸されてされている
    所定体積の吸水性の素材が、非吸水性の素材に間隔を設
    けて固定されているものを使用する請求項3に記載の唾
    液緩衝能検査方法。
  5. 【請求項5】 pH3.0〜7.0の範囲内に変色域を持
    ち且つその指示色を2段階以上に識別容易なpH指示薬
    と温度25℃湿度50%の条件下において検査に用いる
    唾液の容量と同量の水を加えたときにpH1.5以上3.
    0未満の範囲内で異なるpH値を示す量の酸とから成る
    2〜10種の薬液をそれぞれ含浸されている所定体積の
    吸水性の素材が、非吸水性の素材に間隔を設けて固定さ
    れていることを特徴とする唾液緩衝能検査用具。
  6. 【請求項6】 吸水性の素材の各体積が同一である請求
    項5に記載の唾液緩衝能検査用具。
  7. 【請求項7】 pH3.0〜7.0の範囲内に変色域を持
    ち且つその指示色を2段階以上に識別容易なpH指示薬
    と温度25℃湿度50%の条件下において検査に用いる
    唾液の容量と同量の水を加えたときにpH1.5以上3.
    0未満の範囲内で異なるpH値を示す量の酸とから成る
    2〜10種の薬液が液体状又はジェル状でそれぞれ一定
    容量づつ並列して一体化した一定容量の容器内に収納さ
    れていることを特徴とする唾液緩衝能検査用具。
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