JP2019138914A - 唾液測定方法 - Google Patents

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内田 哲也
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内田  哲也
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Koji Tsuchiya
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【課題】より簡便かつ短時間で唾液サンプル中のチオシアン酸イオンの濃度を測定することができる方法を提供する。【解決手段】唾液測定方法は、生体の唾液を採取して唾液サンプルとする唾液採取工程と、唾液サンプルを水で希釈した後に濾過して唾液サンプルから気泡を除去する気泡除去工程と、気泡除去工程後に紫外域における唾液サンプルの吸光度を測定する吸光度測定工程と、吸光度に基づいて唾液サンプル中のチオシアン酸イオンの濃度を求める濃度算出工程と、濃度算出工程において求められたチオシアン酸イオンの濃度に基づいて生体の状態または状態変化を評価する状態評価工程と、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、生体から採取した唾液サンプルに含まれるチオシアン酸イオンの濃度を測定する方法に関するものである。
特許文献1には、生体から採取した唾液サンプルに試薬を加えて化学発光を生じさせ、その化学発光強度に基づいて唾液サンプル中のチオシアン酸イオン(SCN)の濃度を測定する発明が開示されている。また、特許文献1には、生体から採取した唾液サンプルに試薬を加えて発色させ、その発色した唾液サンプルの波長450nmでの吸光度に基づいて唾液サンプル中のチオシアン酸イオンの濃度を測定する発明も開示されている。さらに、特許文献1には、唾液サンプル中のチオシアン酸イオンの濃度に基づいて生体のストレス状態を評価できることが記載されている。
特許第4758328号公報
Aune, T. M. and Thomas, E. L. (1977)Accumulation of hypothiocyanate ion during peroxidase-catalyzed oxidation ofthiocyanate ion. Eur. J. Biochem., 80, 209-214.
特許文献1に開示された発明は、唾液サンプル中のチオシアン酸イオンの濃度を測定する為に唾液サンプルに試薬を加える工程等が必要であり、その為の時間を要する。
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、より簡便かつ短時間で唾液サンプル中のチオシアン酸イオンの濃度を測定することができる方法を提供することを目的とする。
本発明の唾液測定方法は、生体の唾液を採取して唾液サンプルとする唾液採取工程と、紫外域における唾液サンプルの吸光度を測定する吸光度測定工程と、吸光度に基づいて唾液サンプル中のチオシアン酸イオンの濃度を求める濃度算出工程と、を有する。本発明の唾液測定方法は、唾液サンプルを水で希釈した後に濾過して唾液サンプルから気泡を除去する気泡除去工程を更に備えるのが好適である。
本発明の唾液測定方法は、濃度算出工程において求められたチオシアン酸イオンの濃度に基づいて生体の状態または状態変化を評価する状態評価工程を更に有するのが好適である。このとき、状態評価工程において生体のストレス状態もしくはリラックス状態またはこれらの状態の変化を評価するのが好適である。
本発明の唾液測定方法は、生体に刺激を与える刺激付与工程を更に有し、刺激付与工程において生体に与えられた刺激と当該刺激付与後の生体の状態または状態変化との間の相関を状態評価工程において評価するのが好適である。このとき、刺激付与工程において刺激として痛みを生体に与えてもよい。
本発明によれば、より簡便かつ短時間で唾液サンプル中のチオシアン酸イオンの濃度を測定することができる。
図1は、本実施形態の唾液測定方法のフローチャートである。 図2は、KSCN標準液の吸光度スペクトルを示す図である。 図3は、化学法の場合のKSCN標準液の吸光度スペクトルを示す図である。 図4は、UV法の場合のKSCN標準液の吸光度スペクトルを示す図である。 図5は、化学法の場合のKSCN濃度と波長450nm吸光度との関係を示すグラフである。 図6は、UV法の場合のKSCN濃度と波長227nm吸光度との関係を示すグラフである。 図7は、被験者Aのサンプルについて化学法による450nm吸光度とUV法による227nm吸光度との関係を示すグラフである。 図8は、被験者Bのサンプルについて化学法による450nm吸光度とUV法による227nm吸光度との関係を示すグラフである。 図9は、被験者Cのサンプルについて化学法による450nm吸光度とUV法による227nm吸光度との関係を示すグラフである。 図10は、被験者Dのサンプルについて化学法による450nm吸光度とUV法による227nm吸光度との関係を示すグラフである。 図11は、被験者A〜Dそれぞれのサンプルについて得られたチオシアン酸イオン推量濃度等を纏めた表である。 図12は、被験者Aのサンプルについて推定他成分割合平均値Rを用いて補正した場合のUV法計算SCN濃度Nの時間的変化を示すグラフである。 図13は、被験者Bのサンプルについて推定他成分割合平均値Rを用いて補正した場合のUV法計算SCN濃度Nの時間的変化を示すグラフである。 図14は、被験者Cのサンプルについて推定他成分割合平均値Rを用いて補正した場合のUV法計算SCN濃度Nの時間的変化を示すグラフである。 図15は、被験者Dのサンプルについて推定他成分割合平均値Rを用いて補正した場合のUV法計算SCN濃度Nの時間的変化を示すグラフである。 図16は、被験者Aのサンプルについて他成分割合を80%として補正した場合のUV法計算SCN濃度Nの時間的変化を示すグラフである。 図17は、被験者Bのサンプルについて他成分割合を80%として補正した場合のUV法計算SCN濃度Nの時間的変化を示すグラフである。 図18は、被験者Cのサンプルについて他成分割合を80%として補正した場合のUV法計算SCN濃度Nの時間的変化を示すグラフである。 図19は、被験者Dのサンプルについて他成分割合を80%として補正した場合のUV法計算SCN濃度Nの時間的変化を示すグラフである。 図20は、UV法の場合のKSCN濃度と波長260nm吸光度との関係を示すグラフである。 図21は、UV法の場合のKSCN濃度と波長250nm吸光度との関係を示すグラフである。 図22は、UV法の場合のKSCN濃度と波長240nm吸光度との関係を示すグラフである。 図23は、UV法の場合のKSCN濃度と波長230nm吸光度との関係を示すグラフである。 図24は、UV法の場合のKSCN濃度と波長220nm吸光度との関係を示すグラフである。 図25は、UV法の場合のKSCN濃度と波長210nm吸光度との関係を示すグラフである。 図26は、UV法の場合のKSCN濃度と波長200nm吸光度との関係を示すグラフである。 図27は、UV法の場合のKSCN濃度と波長190nm吸光度との関係を示すグラフである。 図28は、被験者Aの4サンプルそれぞれの吸光度スペクトルを示す図である。 図29は、被験者Aのサンプルの227nm吸光度と220〜240nm吸光度積算値との関係を示すグラフである。 図30は、被験者Aのサンプルの227nm吸光度と217〜237nm吸光度積算値との関係を示すグラフである。 図31は、被験者Aのサンプルの227nm吸光度と222nm吸光度との関係を示すグラフである。 図32は、被験者Aのサンプルの227nm吸光度と232nm吸光度との関係を示すグラフである。 図33は、被験者Eのサンプルについて推定他成分割合平均値Rを用いて補正した場合のUV法計算SCN濃度Nの時間的変化を示すグラフである。 図34は、被験者Eのサンプルについて他成分割合を80%として補正した場合のUV法計算SCN濃度Nの時間的変化を示すグラフである。 図35は、痛みが付与された被験者のサンプルについて化学法による450nm吸光度とUV法による227nm吸光度との関係を示すグラフである。 図36は、痛みが付与された被験者のサンプルについて得られたチオシアン酸イオン推量濃度等を纏めた表である。 図37は、痛みが付与された被験者のサンプルについて当該個人の推定他成分割合平均値Rを用いて補正した場合のUV法計算SCN濃度Nの時間的変化を示すグラフである。 図38は、痛みが付与された被験者のサンプルについて他成分割合を80%として補正した場合のUV法計算SCN濃度Nの時間的変化を示すグラフである。 図39は、痛みが付与された被験者の4サンプルそれぞれの吸光度スペクトルを示す図である。 図40は、痛みが付与された被験者のサンプルの227nm吸光度と220〜240nm吸光度積算値との関係を示すグラフである。 図41は、痛みが付与された被験者のサンプルの227nm吸光度と217〜237nm吸光度積算値との関係を示すグラフである。 図42は、痛みが付与された被験者のサンプルの227nm吸光度と222nm吸光度との関係を示すグラフである。 図43は、痛みが付与された被験者のサンプルの227nm吸光度と232nm吸光度との関係を示すグラフである。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
図1は、本実施形態の唾液測定方法のフローチャートである。本実施形態の唾液測定方法は、唾液採取工程S1、気泡除去工程S2、吸光度測定工程S3および濃度算出工程S4を順に行って、生体から採取した唾液サンプルに含まれるチオシアン酸イオンの濃度を測定する。また、本実施形態の唾液測定方法は、濃度算出工程S4の後に状態評価工程S5を行って、生体の状態または状態変化を評価する。
唾液採取工程S1では、生体の唾液を採取して唾液サンプルとする。唾液の採取に際しては、スポイトを用いて必要量の唾液を採取するのが好ましい。気泡除去工程S2では、唾液サンプルを水で希釈した後に濾過して唾液サンプルから気泡を除去する。例えば、0.9mLの水が入れられたフィルター付き注射筒を予め準備しておき、この注射筒内に0.1mLの唾液を入れることで、希釈および濾過を簡便に行うことができる。このような容量法ではなく、唾液および水それぞれを天秤で秤量して重量法によって正確に希釈してもよい。
このように唾液を水で希釈することで、唾液の粘性を低減することができ、その後の唾液の濾過を短時間に行うことができる。また、濾過により唾液から気泡を除去することで、吸光度測定工程S3の際の光の散乱に因る測定精度低下を抑制することができる。なお、濾過により気泡たけでなく他の光散乱要因物質をも除去することができる。
吸光度測定工程S3では、気泡除去工程S2において気泡が除去された後の唾液サンプルの紫外域における吸光度を測定する。例えば、石英ガラス製の測定用セルに入れた唾液サンプルに対して紫外光を入射させ、唾液サンプルを透過した紫外光の強度を検出する。例えばセル内の光通過距離は1cmである。紫外光の入射光強度と透過光強度との比から唾液サンプルの吸光度を測定することができる。吸光度の測定には、既存の吸光度測定装置を用いることができる。
なお、一般に、生体内のイオン類は、紫外域や可視域には電子遷移の吸収帯を持たない場合が多いので、吸光度法で測定することは考え難い。しかし、例外的にチオシアン酸イオンは、特殊な分子構造を持っているので、特異的な電子遷移の吸収帯が紫外域に存在する。本実施形態では、チオシアン酸イオンの紫外域の吸収帯を利用する。なお、チオシアン酸イオンとチオシアン酸塩とで紫外域における吸光度スペクトルは互いに同じである。つまり、カウンターカチオンの相違による吸光度スペクトルの変化はほとんどない。
ここで吸光度測定に用いる光は、310nm以下の波長の紫外光であればよく、波長範囲210〜240nm内の波長の紫外光であるのが好ましく、また、波長範囲222〜232nm内の波長の紫外光であるのが更に好ましい。測定に用いる紫外光は、狭帯域のものであってもよいし、或る帯域(例えば210〜240nmまたは217〜237nm)を有するものであってもよい。光源から出力される広帯域光を分光して、所望の波長の光を用いればよい。或いは、光源から出力される広帯域光のうちバンドパスフィルタにより選択した或る帯域の光を用いてもよい。なお、帯域を有する紫外光を用いる場合、得られる吸光度は、その帯域での入射光強度積算値と透過光強度積算値との比から求められる。
濃度算出工程S4では、吸光度測定工程S3において測定された吸光度に基づいて、唾液サンプル中のチオシアン酸イオンの濃度を求める。このとき、チオシアン酸イオン濃度と吸光度との間の関係を表す検量線を予め用意しておき、この検量線を用いて、測定で得られた吸光度から唾液サンプル中のチオシアン酸イオンの濃度を求める。また、吸光度測定工程S3で用いられる紫外光がチオシアン酸イオンだけでなく唾液中の他成分(例えばアミノ酸やタンパク質)によっても吸収されるので、他成分による光吸収の影響を低減する為の補正処理を行って、より正確なチオシアン酸イオンの濃度を求めるのが好適である。
状態評価工程S5では、濃度算出工程S4において求められたチオシアン酸イオンの濃度に基づいて、唾液を採取した生体の状態または状態変化を評価する。ここで評価する生体の状態としてストレス状態またはリラックス状態が挙げられる。また、本実施形態の唾液測定方法は、生体に刺激を与える刺激付与工程を更に有するのが好適であり、この刺激付与工程において生体に与えられた刺激と当該刺激付与後の生体の状態または状態変化との間の相関を状態評価工程S5において評価するのも好適である。
刺激付与工程において生体に与える刺激としては、生体のストレス状態またはリラックス状態に影響を与える刺激、このような影響を与える可能性がある刺激、または、このような影響を調査したい刺激、等が挙げられる。具体的には、このような刺激として、触覚刺激(温度や痛み等)、聴覚刺激(音楽等)、嗅覚刺激(芳香や臭気等)、味覚刺激(調味料等)、視覚刺激(絵画等)が挙げられる。
次に、比較例と対比しつつ実施例の唾液測定方法について更に詳細に説明する。チオシアン酸イオンは、塩化鉄(III)(FeCl)と反応することで赤色を呈し、赤色域の波長450nmの吸光度測定による定量が可能であることが知られている(非特許文献1参照)。以下では、このように酸化鉄を試薬として用いて波長450nmの吸光度測定を行う方法を化学法といい、これを比較例とする。一方、実施例は、紫外域の波長227nmの吸光度測定を行い、以下では、これをUV法という。
チオシアン酸カリウム(KSCN)の濃度を0.5mM,1.0mM,2.0mMおよび5.0mMそれぞれに調整したKSCN標準液を作製した。図2は、KSCN標準液の吸光度スペクトルを示す図である。化学法(比較例)およびUV法(実施例)それぞれで、これらのKSCN標準液を用いて吸光度を測定して、定量性を確認するとともに、検量線を作成した。
図3は、化学法の場合のKSCN標準液の吸光度スペクトルを示す図である。図4は、UV法の場合のKSCN標準液の吸光度スペクトルを示す図である。図5は、化学法の場合のKSCN濃度と波長450nm吸光度との関係を示すグラフである。図6は、UV法の場合のKSCN濃度と波長227nm吸光度との関係を示すグラフである。
これらの図から、化学法およびUV法の何れにおいても、KSCN濃度と吸光度との間には良好な比例関係があり、吸光度に基づいてKSCN濃度を定量性よく求めることができることが分かる。KSCN濃度をxとし、吸光度をyとすると、化学法の場合の検量線は下記(1)式で表され、UV法の場合の検量線は下記(2)式で表される。
y=0.236x …(1)
y=0.182x …(2)
4名の被験者A,B,C,Dについて、30分間のクレペリン検査によるストレス付加の前後の唾液中のチオシアン酸イオン濃度の変動測定を、化学法およびUV法それぞれで行った。クレペリン検査は、単純な計算の繰り返しを一定時間に亘って被験者に課すものであり、被験者にストレスを与えることができる。クレペリン検査開始30分前、クレペリン検査終了直後、クレペリン検査終了30分後およびクレペリン検査終了60分後それぞれで、被験者の唾液を採取し、化学法およびUV法それぞれで吸光度を測定した。図7〜図10は、被験者A〜Dそれぞれのサンプルについて化学法による450nm吸光度とUV法による227nm吸光度との関係を示すグラフである。これらの図から、化学法による450nm吸光度とUV法による227nm吸光度との間に高い相関関係が認められる。
被験者A〜Dそれぞれのサンプルについて、先に作成した検量線を用いて吸光度からチオシアン酸イオンの濃度を求めた。図11は、被験者A〜Dそれぞれのサンプルについて得られたチオシアン酸イオン推量濃度等を纏めた表である。この表に示されるように、UV法により得られたチオシアン酸イオンの推量濃度は、化学法により得られたチオシアン酸イオンの推量濃度と比較して大きな値となった。これは、唾液中の他成分(例えばアミノ酸やタンパク質)も紫外域に吸光特性を有していることが原因である。
UV法では、例えば以下のようにして、他成分による光吸収の影響を低減する為の補正処理を行って、より正確なチオシアン酸イオンの濃度を求める。各サンプルについて、化学法により得られたチオシアン酸イオンの推量濃度をNとし、これを真の値とする。また、UV法により得られたチオシアン酸イオンの推量濃度(補正前の濃度)をNとする。これらの濃度N,Nに基づいて、下記(3)式により、各サンプル中の推定他成分寄与割合Rを求める。さらに、各被験者の4サンプルの推定他成分寄与割合Rの平均値Rを求める。そして、UV法により得られたチオシアン酸イオンの推量濃度Nおよび推定他成分寄与割合平均値Rに基づいて、下記(4)式により補正をして、UV法によるチオシアン酸イオンの補正後推量濃度Nを求める。
R=100×(1−N/N) …(3)
=N×(1−R/100) …(4)
図11は、各被験者について、UV法検量線推量濃度N、化学法検量線推量濃度N、推定他成分割合R、推定他成分割合平均値RおよびUV法計算SCN濃度Nを示す。同図に示されるように、推定他成分割合平均値Rは、10%程度の個人差があるものの、凡そ80%である。また、各被験者の4サンプルの間での推定他成分割合Rの大きな変動は認められない。そこで、以上の知見に基づいて、他成分割合を一律に80%として、UV法により得られたチオシアン酸イオンの推量濃度Nに対し、下記(5)式により補正をして、UV法計算SCN濃度Nを求めてもよい。
=0.2×N …(5)
図12〜図15は、被験者A〜Dそれぞれのサンプルについて個人毎の推定他成分割合平均値Rを用いて補正した場合のUV法計算SCN濃度Nの時間的変化を示すグラフである。図16〜図19は、被験者A〜Dそれぞれのサンプルについて他成分割合を一律に80%として補正した場合のUV法計算SCN濃度Nの時間的変化を示すグラフである。これらの図において、実線はUV法計算SCN濃度N,Nの時間的変化を示し、点線は化学法検量線推量濃度Nの時間的変化を示す。これらの図に示されるように、個人毎の推定他成分割合平均値Rを用いて補正した場合、および、他成分割合を一律に80%として補正した場合の何れにおいても、UV法計算SCN濃度は化学法検量線推量濃度Nと良く一致している。
上述したUV法(実施例)では波長227nmの紫外光を用いて唾液サンプルの吸光度を測定したが、本実施形態の唾液測定方法は、紫外域の他の波長の光を用いて吸光度を測定してもよい。図20〜図27は、UV法の場合のKSCN濃度と各波長での吸光度との関係を示すグラフである。図20は波長260nmの場合を示す。図21は波長250nmの場合を示す。図22は波長240nmの場合を示す。図23は波長230nmの場合を示す。図24は波長220nmの場合を示す。図25は波長210nmの場合を示す。図26は波長200nmの場合を示す。図27は波長190nmの場合を示す。なお、KSCN標準液の吸光度スペクトルは、図2に示したとおりである。UV法の場合のKSCN濃度と波長227nm吸光度との関係を示すグラフは、図6に示したとおりである。これらの図から、波長範囲210〜240nmにおいて吸光度に基づいてKSCN濃度を定量性よく求めることができることが分かる。
図28は、被験者Aの4サンプルそれぞれの吸光度スペクトルを示す図である。図29は、被験者Aのサンプルの227nm吸光度と220〜240nm吸光度積算値との関係を示すグラフである。図30は、被験者Aのサンプルの227nm吸光度と217〜237nm吸光度積算値との関係を示すグラフである。図31は、被験者Aのサンプルの227nm吸光度と222nm吸光度との関係を示すグラフである。図32は、被験者Aのサンプルの227nm吸光度と232nm吸光度との関係を示すグラフである。これらの図から、本実施形態の唾液測定方法は、波長227nmの吸光度でなく、例えば波長222nmや波長232nmの吸光度を測定してもよく、また、単一波長での吸光度でなく、例えば220〜240nmや217〜237nmの帯域での吸光度積算値を測定してもよいことが分かる。
これまで説明してきた実施例は、紫外域における生体の唾液サンプルの吸光度を測定し、この吸光度に基づいて唾液サンプル中のチオシアン酸イオンの濃度を求め、そして、このチオシアン酸イオン濃度に基づいて生体のストレス状態を評価するものであった。しかし、本実施形態の唾液測定方法は、チオシアン酸イオン濃度に基づいて生体のリラックス状態を評価することもできる。
生体のリラックス状態を評価する実施例では、クレペリン検査に替えて、被験者Eが好む芳香を15分間に亘って該被験者Eに嗅がせた。芳香付与開始30分前、芳香付与終了直後、芳香付与終了30分後および芳香付与終了60分後それぞれで、被験者Eの唾液を採取し、化学法およびUV法それぞれで吸光度を測定して、検量線を用いて化学法検量線推量濃度NおよびUV法検量線推量濃度Nを求めた。そして、上記(4)式,(5)式により、UV法計算SCN濃度N,Nを求めた。
図33は、被験者Eのサンプルについて推定他成分割合平均値Rを用いて補正した場合のUV法計算SCN濃度Nの時間的変化を示すグラフである。図34は、被験者Eのサンプルについて他成分割合を80%として補正した場合のUV法計算SCN濃度Nの時間的変化を示すグラフである。これらの図において、実線はUV法計算SCN濃度N,Nの時間的変化を示し、点線は化学法検量線推量濃度Nの時間的変化を示す。
これらの図に示されるように、個人毎の推定他成分割合平均値Rを用いて補正した場合、および、他成分割合を一律に80%として補正した場合の何れにおいても、UV法計算SCN濃度は化学法検量線推量濃度Nと良く一致している。また、図12〜図19に示されるように、クレペリン検査によるストレス付加の後に被験者のUV法計算SCN濃度が上昇したのに対し、図33,図34に示されるように、芳香付与により被験者をリラックスさせた後に被験者のUV法計算SCN濃度が下降した。
このように、本実施形態の唾液測定方法は、紫外域における生体の唾液サンプルの吸光度を測定し、この吸光度に基づいて唾液サンプル中のチオシアン酸イオンの濃度を求めることで、このチオシアン酸イオン濃度に基づいて生体のストレス状態またはリラックス状態を評価することができる。
また、本実施形態の唾液測定方法は、生体に与えられた刺激と該生体の状態(ストレス状態、リラックス状態)または状態変化との間の相関を評価することもできる。以下では、被験者に刺激として痛みを与えたときの該被験者のストレス状態の変化を確認した実施例について説明する。
被験者への痛み付与の前後の唾液中のチオシアン酸イオン濃度の変動測定を、化学法およびUV法それぞれで行った。被験者への痛み付与は、被験者の腕の一部を自分自身の指先で30秒間に亘って強くつまむことにより行った。痛み付与30分前、痛み付与直後、痛み付与30分後および痛み付与60分後それぞれで、被験者の唾液を採取し、化学法およびUV法それぞれで吸光度を測定した。図35は、痛みが付与された被験者のサンプルについて化学法による450nm吸光度とUV法による227nm吸光度との関係を示すグラフである。この図から、被験者に刺激として痛みを与えた実施例においても、化学法による450nm吸光度とUV法による227nm吸光度との間に高い相関関係が認められる。
この被験者のサンプルについて、先に作成した検量線を用いて吸光度からチオシアン酸イオンの濃度を求めた。図36は、痛みが付与された被験者のサンプルについて得られたチオシアン酸イオン推量濃度等を纏めた表である。同図は、UV法による227nm吸光度に基づいて検量線により得られたUV法検量線推量濃度N、化学法による450nm吸光度に基づいて検量線により得られた化学法検量線推量濃度N、上記(3)式により得られた各サンプル中の推定他成分割合R、4サンプルの推定他成分割合Rの平均値である推定他成分割合平均値R、および、上記(4)式により得られたUV法計算SCN濃度Nを示す。
同図にも示されるように、被験者に刺激として痛みを与えた実施例においても、推定他成分割合平均値Rは凡そ80%であり、被験者の4サンプルの間での推定他成分割合Rの大きな変動は認められない。したがって、この実施例においても、他成分割合を一律に80%として、UV法により得られたチオシアン酸イオンの推量濃度Nに対し、上記(5)式により補正をして、UV法計算SCN濃度Nを求めてもよい。
図37は、痛みが付与された被験者のサンプルについて当該個人の推定他成分割合平均値Rを用いて補正した場合のUV法計算SCN濃度Nの時間的変化を示すグラフである。図38は、痛みが付与された被験者のサンプルについて他成分割合を80%として補正した場合のUV法計算SCN濃度Nの時間的変化を示すグラフである。これらの図において、実線はUV法計算SCN濃度N,Nの時間的変化を示し、点線は化学法検量線推量濃度Nの時間的変化を示す。これらの図に示されるように、被験者に刺激として痛みを与えた実施例においても、個人毎の推定他成分割合平均値Rを用いて補正した場合、および、他成分割合を一律に80%として補正した場合の何れにおいても、UV法計算SCN濃度は化学法検量線推量濃度Nと良く一致している。
図39は、痛みが付与された被験者の4サンプルそれぞれの吸光度スペクトルを示す図である。図40は、痛みが付与された被験者のサンプルの227nm吸光度と220〜240nm吸光度積算値との関係を示すグラフである。図41は、痛みが付与された被験者のサンプルの227nm吸光度と217〜237nm吸光度積算値との関係を示すグラフである。図42は、痛みが付与された被験者のサンプルの227nm吸光度と222nm吸光度との関係を示すグラフである。図43は、痛みが付与された被験者のサンプルの227nm吸光度と232nm吸光度との関係を示すグラフである。これらの図から、本実施形態の唾液測定方法は、生体に与えられた痛みと該生体のストレス状態との間の相関を評価する際にも、波長227nmの吸光度でなく、例えば波長222nmや波長232nmの吸光度を測定してもよく、また、単一波長での吸光度でなく、例えば220〜240nmや217〜237nmの帯域での吸光度積算値を測定してもよいことが分かる。
以上のように、化学法(比較例)では唾液サンプルに試薬を加えて発色するまで一定時間(例えば1分間)に亘り待機する必要があるのに対して、本実施形態の唾液測定方法では、生体の唾液サンプルに試薬を加える必要がなく、より簡便かつ短時間で唾液サンプル中のチオシアン酸イオンの濃度を定量性よく測定することができる。本実施形態の唾液測定方法は、ベッドサイドのように生体の状態を評価したい時および場所で、何ら試薬を用いることなく、また、生体の負担が殆どなく、迅速かつ簡便に安価に生体の状態を評価することができる。本実施形態の唾液測定方法は、乳幼児や障害者などの自己の状態を的確に表現することができない者を対象とする場合や、動物を対象とする場合にも、適用可能である。
また、本実施形態の唾液測定方法は、得られたチオシアン酸イオンの濃度に基づいて、生体の状態(ストレス状態、リラックス状態)または状態変化を評価することができ、更には、生体に与えられた刺激と当該刺激付与後の該生体の状態または状態変化との間の相関を評価することもできる。本実施形態の唾液測定方法は、生体をストレス状態とする刺激の低減に貢献することができ、生体をリラックス状態とする刺激(または、ストレス状態を緩和する刺激)の向上に貢献することもできる。本実施形態の唾液測定方法は、例えば、生体の痛みの程度の評価、生体の痛みを低減する鎮痛剤の適切な選択や開発、及び薬効評価に貢献することが期待され、また、生体のストレス状態を緩和させる又はリラックス状態とする機器,音楽および香粧品など幅広い分野の癒し商品の開発に貢献することも期待される。

Claims (5)

  1. 生体の唾液を採取して唾液サンプルとする唾液採取工程と、
    紫外域における前記唾液サンプルの吸光度を測定する吸光度測定工程と、
    前記吸光度に基づいて前記唾液サンプル中のチオシアン酸イオンの濃度を求める濃度算出工程と、
    を有する唾液測定方法。
  2. 前記濃度算出工程において求められたチオシアン酸イオンの濃度に基づいて前記生体の状態または状態変化を評価する状態評価工程を更に有する、請求項1に記載の唾液測定方法。
  3. 前記状態評価工程において、前記生体のストレス状態もしくはリラックス状態またはこれらの状態の変化を評価する、請求項2に記載の唾液測定方法。
  4. 前記生体に刺激を与える刺激付与工程を更に有し、
    前記刺激付与工程において前記生体に与えられた刺激と当該刺激付与後の前記生体の状態または状態変化との間の相関を前記状態評価工程において評価する、
    請求項2または3に記載の唾液測定方法。
  5. 前記刺激付与工程において前記刺激として痛みを前記生体に与える、請求項4に記載の唾液測定方法。
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